魔竜と浮かぶドクロ

  ポケモン世界にある地方の一つであるアローラ地方の島の一つであるウラウラ島の町の一つ『ポータウン』。

  その町を根城にしていた『スカル団』はリーダーであるグズマの意向によって解散されてはいるのだが団員達が純粋な己の誇示のために悪行を繰り返す不良少年少女の集まりの為にその残党ばかりが居て燻る想いばかりが残っていた。

  「はぁ、どうしたものか…」

  地毛の黒髪に下っぱだった頃の青色が抜けきれておらずその髪を隠す様にドクロの帽子から一転黒のキャップにした青年がマスクで隠してあった口から溜め息をつきながら持っていた書類を眺めていた。

  「はあ~だりぃ~」

  「おっ、後輩君、疲れてるのかい?」

  一旦書類から目を離して自分より後に来た下っぱに話をかける。

  「そりゃあ退屈なんだよな~」

  「そりゃあグズマさんの意向で解散しちゃったからな、やることなんて一つもねぇぞ?」

  リーダーであるグズマがスカル団の解散をした事を思い出しつつそうぼやく。

  「グズマさん今頃どうしてんでしょうね~」

  「俺らのような敗北者とは違う道に行ってんじゃねぇの?」

  そう言って寝転がってから先程の書類を取り出す。

  「俺も元に戻ろうと努力してんだがな…はぁ、あの頃に戻った方が良かったのかな?」

  「だよな~俺らはどうしたらいいんだろうか」

  [newpage]

  各々別の事で悩んでいるなかでもう一人別の下っぱがやってくる。

  「おーい」

  「あー、先輩何持ってきたんですか?」

  自分よりも先に来た下っぱに少し丁寧さを込めながらも持ってきた新聞に対しての疑問を出す。

  「うん、この前ジョウト地方で事件があったよね?確かPバルーン事件とか…」

  「先輩、文字抜けてますぜ?Pチェンジバルーン事件ってやつですよ?」

  先輩下っぱが取り出した新聞に書かれている内容を見ながら文字の指摘をする下っぱ。

  「ああ、ほんとだ…」

  指摘を受けて新聞を直している先輩下っぱ。

  「あ、なんだよそれ?」

  「何でも人間がポケモンにされた後、風船にされる事件だって!」

  「えー、何々…本事件での被害者数は…うわ、数千にもなるってのか」

  「みたいだね~…でさ、その事件に関連する物がこのウラウラ島に流れ着いてるらしいんだ!」

  新聞に書かれている被害者の姿を見ながら驚く下っぱに対し飛んでもない爆弾発言をぶちかました先輩下っぱ。

  「で、どうかな?僕らでその漂着物を探しに行かない?」

  「マジ!いいじゃん!」

  「…それを行うことでのメリットってあるんすか?」

  先輩下っぱの提案に乗り気になる後輩下っぱを尻目にその疑問をぶつける下っぱ。

  「メリットねえ…もしそれを見つけて、僕らがうまく使うことができればすごいと思わない?もし使えなくても、売ればお金になりそうだし…!」

  「ふぅむ、新聞には治療薬が無いから困ってる旨もあるみたいだからな…俺らでそれ専門の医学品作成ってのは行けるんじゃねぇか?」

  「お~やる気出るなこれは!」

  そう答える先輩下っぱに新聞の内容を確認し終えた下っぱがそれに応えるように言葉をつむぎやる気が出てきた後輩下っぱ。

  「だね…よし、早速探しに行こう!」

  「おっしゃあ!ぜってぇ見つけてやる!」

  「先ずは何処にあるのかの確認しないとな…何処にあるのか分かりますか?」

  早速探しにゆこうとする二人に下っぱがその疑問を出しながら書類をバックに入れる。

  「場所わかるのか?」

  「ちょっと待っててね…15番水道、ここからそう遠くないよ」

  「おし、んじゃ行こうぜ」

  「そうだな…っと!」

  必要最低限の道具とポケモンを用意して出発する三人。

  しかしこの行為が後にどえらい目に会う事に成るとは知らなかったのである。

  [newpage]

  15番水道に到着し辺りを見回す三人。

  「よし…じゃあ、探そうか。ルガルガン、出ておいで」

  辺りにそれらしき物が無いと判断した先輩下っぱはたそがれの姿のルガルガンをモンスターボールから出して指示をすると早速辺りを嗅ぎ回り始めるルガルガン。

  「頼むぜジャランゴ!」

  「行っけぇ、クワガノン!」

  スカル団が解散した為に自由にポケモンを選べるようになった彼らは各々のポケモンを呼び出して周囲の探索に取りかかる。

  「さてどこだ~」

  「水道部分にあったらクワガノンが知らせてくれるんだけどな…」

  辺りをジャランゴと共に探し回っている後輩下っぱと飛び回っているクワガノンの様子を見ながら草むらを探る下っぱ。

  「…ルガ!ルガ!」

  「どうしたの?…あ!」

  ルガルガンの声を聞いて先輩下っぱが近寄ると岩壁の近くに黒い機械が砂浜に埋まるようにして流れ着いているのが見えた。

  「ジジ…ジージジ!」

  「お、なにか見つけたようだな?」

  クワガノンの鳴き声を聞き下っぱがそちらに向かうと木製のコンテナが傷だらけのロープと共に落ちているのが見えた。

  「ジャラ!」「何か見つけたのか!」

  ジャランゴの声を聞いて後輩下っぱが見に行くと何やら見たことない木の実が数個と鉱石みたいな物を発見する。

  「コンテナを見つけた。中身の確認してみるぞ…」

  コンテナに開け口があるのを見つけた下っぱが静かに開けて内部を見てゆく。

  「こっちはなんか見たことねぇ木の実と鉱石を見つけたぜ!」

  後輩下っぱが報告する中コンテナの中は何十本ものペットボトルが置かれており中身は透明の液体が入っているようでコンテナの角が欠け壊れておりそこに木の実と鉱石があったことから其処から後輩下っぱの所まで出てしまったのを下っぱが理解した。

  「この木の実は一体?それにこの鉱石高く売れそうだぜ」

  「恐らくこっちに入ってあったコンテナから出たんだと思うぞ。っとホレ!」

  見たことない木の実と鉱石に値踏みするように見ている後輩下っぱにコンテナに入ってあったペットボトルを投げ渡した。

  「あ、確かに…このペットボトルなんか入ってるな?」

  「おーい、こっちも見てみてよ」

  そこへ先輩下っぱが、先ほど発見した機械の一部を持ってやってきており黒いホースがつながった部分をルガルガンに咥えさせながら協力して運んでいた。

  「液体みたいだけど…それ何の機械?」

  「なんだその機械?」

  先輩下っぱが持ってきた機械を見て呟いた下っぱ二人。

  [newpage]

  「砂浜にあったんだけどね、ホースがついてるでしょ?そのペットボトルと何か関係あるんじゃないかな?」

  「あ~確かに気になるな」

  「ふむ、となるとこのペットボトルの中にある液体調べてみたら何か分かるんじゃないかな?結構な数あるから俺らで先に調べてみるか?」

  先輩下っぱの疑問に賛同する後輩下っぱを見てペットボトルの中にある液体の調査をしてみないかと下っぱが提案しつつコンテナから人数分のペットボトルを取り出し始める。

  「毒じゃないよな?」

  コンテナから出てきた怪しげな液体のため不安がある後輩下っぱ。

  「どうやって調べるんだい?」

  「液体の感じから変に腐ってるって感じじゃなかったから、開封して香りを嗅いで場合によっては飲んでみる。木の実と鉱石を運搬する際の水分補給の奴かもしれないし」

  そう言いながら下っぱがペットボトルの封を切って一番手に匂いを嗅ぐ。

  「まぁ大丈夫ならそれでいっか。」

  「…どう?」

  それに賛同した後輩下っぱをよそに先輩下っぱがペットボトルの中身の匂いを嗅ぐ下っぱに尋ねる。

  「ふむ…仄かに木の実の香りがするな。ポケモン用のだったのかな?クワガノン、どうだい?」

  少し怪しく思った下っぱが相棒のクワガノンにペットボトルの中身を近づける。

  「…!ズリュズピピピ!」

  ペットボトルに顔を近づけて嗅いでいたクワガノンが旨そうに飲んでゆく。

  「大丈夫ってことだな」

  「虫タイプだけが大丈夫って事があり得そうだからな、ジャランゴとルガルガンにも飲ませてくれるか?」

  クワガノンの様子を見ながら新たに三本ペットボトルを取り出して飲んでも無事なのに安堵している後輩に一本投げる。

  「ジャランゴどうだ?」

  「…!ジャラ!」

  「ルガルガン、どう?」

  「…ルガ!」

  ジャランゴはスポーツドリンクのように飲んでルガルガンは美味しそうにペロペロとなめた。

  「大丈夫そうだな」

  「こっちも大丈夫みたい」

  「ふむふむ、そんじゃ俺らも飲んで確かめるか?」

  そう言ってペットボトルの封を切る。

  「お、味は悪くねぇな」

  先ずは一口と後輩下っぱが飲んでみると最初に甘味が口の中にくる。

  「少し甘いな」

  「うん、美味しい」

  「ふんわりと甘いけど、くどくなくて少し塩気あるから飲めていけるな?」

  ペットボトルの中身の味に三人各々の感想を出しながら飲んでいった。

  [newpage]

  「ぷはっ、中々の味だったね?」

  ペットボトル一本を空にした下っぱがそう呟きながら水分補給の物ではないかと判断する。

  「そうだな、悪くなかったぜ」

  「うん、そうだね」

  「ふぅむ…やっぱり、さっきの木の実と鉱石に何か秘密があんじゃない…っと!?」

  二人も似たような感想を出しているのを聴きながら調査の再開と立ち上がろうとした下っぱが『何故か』バランスを崩して座り込んでしまう。

  「うっ!なんだ…」

  「どうしたの…うっ!?」

  下っぱの異変に気付く二人であったが彼らも似たような異変を感じ始める。

  「なんだよ…これ…ぐっ!?」

  声自体が自分の声でなくなっていき驚いて口を抑える後輩下っぱ。

  「ううっ…ぐっ…」

  声が自分のものでなくなってゆきさらに身体の形にも少しずつ変化が現れ始めてくる先輩下っぱ。

  「何が、起きて、やがん…ぐぅ!?」

  立ち上がろうとする下っぱだったが腕が持ち上がらない事に気付く。

  「ぐ!が!あ!こ、声が!ジャラ!?」

  「が、ぐ、る!こ、声が…チュリリイィ!?」

  「やっぱり、あの液体に毒が…うが、が…」

  段々と声が鳴き声に変わってゆき次第に身体の形と質感が変わっていって身体から其々獣毛や粘液に鱗が生え出して各々痛みはなかったが変わってゆく感覚に声をあげる。

  「が!ジャ!ジャラ!」

  特に人間にはない部位が出始めているようで後輩下っぱからは段々とジャランゴとは同じような身体に成っているが鱗が数個も出て目がいかつくなってきており自分が知っているジャランゴの姿に見えるが違うことに気付くジャランゴ。

  「うが…が…ルガァァァ…!」

  先輩下っぱからは首周りから刺のようなものが生え出て手足の形が変わって尻尾が生えて前身を毛が覆い始めた。

  その姿は側にいるルガルガンと似てはいるが微妙に違っていた。

  「ぐ、る…ゴルウゥ!」

  「マッ、マッシャー…」

  下っぱは四肢が黒い毛で覆い隠され犬ポケモン特有の形になるとお尻から雷状の尻尾と刺状の毛が破り出てきて顔付きを変えながらマズルを出してゆく。

  その姿から電気タイプだとクワガノンが判断できるが自分が知っているポケモンではなかった。

  「ジャラガァ!!」

  その姿は鱗に覆われて二足歩行は一応可能なポケモンであった後輩下っぱ。

  「ジャラ!?」「ジャラガ!?」

  声はもう人間の鳴き声ではなくなっていた後輩下っぱにジャランゴは主人である彼に驚く。

  それはジャランゴ自体がこの先進化するポケモンでもあったのだから。

  「ルガァァー!!」

  先輩下っぱのその姿はたそがれの姿のルガルガンと似てはいるが色が薄く頭部の刺がなかった。

  「ルガ!?」「ルガ!?」

  ルガルガンもまた自分の主人だった者の姿に驚く。

  それは自分の別の進化先だったのだから。

  「ゴルルチュリイィ!!」

  「ズ、ズピピピィ…!」

  四足歩行でありながら先輩下っぱのルガルガンの姿とは違い黄色と黒が特徴的で目の回りが黄色のポケモンの姿となってしまった下っぱにクワガノンがパチパチを火花を出して見とれていた。

  「ジャラアァ!!!!!」

  「ジャラ!?」

  そのポケモンの名はジャラランガ。

  ジャランゴの進化系であり最終進化の姿である。

  「ルガ!」

  「ルガ!」

  そのポケモンはまひるの姿のルガルガン。

  たそがれの姿のルガルガンと同じくイワンコの進化系である。

  「…ウォルイィー…」

  「マッシャ!?」

  そのポケモンの名はパルスワン。

  此処とは違うガラル地方にいるワンパチから進化した姿である。

  [newpage]

  「ジャ、ジャラジャラ!」

  「ル、ルガガ…」

  「ヤッテキマッシャー!?」

  主人三人がポケモンに成ってしまい右往左往する相棒のポケモン達の後ろでノイズ音を鳴り響かせながら先輩下っぱが持ってきた機械の黒いホース部分が生き物の様に持ち上がり始める。

  「ジャランガ!?」

  「ルガ!?」

  「チュリィ!?」

  黒いホースのその動きに変化し終わったがまだ身体が動けないジャラランガとまひるの姿のルガルガンとパルスワンが気付きそれが自分たちに向かってきている事も理解できた。

  「ザザー…ガガ…『P…ンジ…ター』の服用…発、見…よ、より…『ふう…の実』のエエ、エキス…ほほ放、出シュツ…!」

  「チュリリ…!」

  ノイズが入り込んだ音声と共に黒いホースが相棒含めた六体に狙いを定めているのに気付くパルスワン。

  「ジャラ!」

  逃げろとジャラランガは未だ慣れない身体から皆に鳴き声と共に叫ぶ。

  しかし黒いホースを繋げていた機械から何かが流れ込む音と共に壊れた蛇口の如く黒いホースから放出された透明な黄色の液体をもろに飲む羽目にあった。

  「ジャんぷっ!?」

  「ウォんぐッ!?」

  「ルガんぶっ!?」

  「ルグッ!?」「ジャ!?」「マシャ!?」

  たそがれの姿のルガルガンとジャランゴも飲まされてしまう中でクワガノンだけは反応でき「そらをとぶ」を使って避けた。

  「ジージ…ガガガッ!エラーエラーエラー…」

  クワガノン除く5体の全員にも液体をかけた機械は小さな爆発音と共にエラー音を吐き出しつつ黒煙を吹き出しながらホースを倒して沈黙してしまった。

  「マ、マッシャー…?」

  「ゲホッ、ゲホッ、ピュウゥ…」

  心配するクワガノンにパルスワンが咳き込みつつも返事を返す。

  「ルガ、ルガ…」「ルグルゥー…」

  二匹のルガルガンが、苦しそうに咳き込んだりうめきながらお互いを心配する。

  「ジャラ…」「ジャララ…」

  ジャランゴとジャラランガも苦しそうにうめく中でクワガノン除く5体の腹部からビーチボールに空気を入れるような音が鳴り始め出す。

  「ジャ…ラ…んぷっ!?」

  「ジャラ!?ンジャップ!?」

  ジャランゴとジャラランガの腹部が少しずつ膨らんできており各々似たような驚愕をしつつお腹を触れていた。

  「ウォ、ル…ンップ!?」

  「ルガ…プッ!?」

  「ルル…プッ!?」

  パルスワンとルガルガン2体もお腹が膨らみ出してゆき仰天する中その様子を見ていたクワガノンは目を白黒させていた。

  「チュリュリュ…ップ」

  「キュ、キュッピー…!」

  膨らんでいっている腹部を抑えようと両前足を使ってお腹を触るも柔らかく足が沈み込んで恥ずかしく顔を赤らめるパルスワンに慌てつつも擦るクワガノン。

  「ジャラップ!?」

  「ジャラ!?ジャップ!?」

  腹部がさらに膨らみ段々と浮いていることにジャランゴとジャラランガは気づく。

  「ルグ…!?」「ルガ…!?」

  ルガルガンたちも腹部がさらに膨らみ浮き始めている事に気づいており腹部の膨らみと高度は少しずつ増していく。

  「チュルッブ!?」

  お腹から身体へと膨らむ範囲が広くなり浮かぶ力が強くなってゆくのをパルスワンも気付く中でクワガノンが驚きつつ何とか刺さらないように捕まえようとする。

  「ジャランプッ!?」

  浮くのが止まらずそのまま上空へと浮いていく中クワガノンはパルスワンを捕まえようとしているが5体纏めて上空に飛び上がりそうになる。

  [newpage]

  段々と身体が膨らんで高度が上がってゆき既に島の上空に浮いておりこのままでは何処かに飛んでいってしまうと全員が感じたその時。

  「ん…?あれは…ポケモン!?」

  そこへ通りがかった一人の青年が上空を見て驚きの表情を見せていた。

  青年の名は天馬といい龍狼たちから組織のことを聞いて落下した物資の回収に来ていたのだった。

  『天馬さん、其処に物資が落ちてるかい?』

  飛んでゆきそうなポケモン達を天馬が呆然と見ていると持っていた通信機から龍狼の声が出る。

  「う、うん…ペットボトルと木の実や鉱石、それと何か機械みたいなのが…」

  『もしもの事があって既に被害あってる子は?』

  通信機からのその問いに応える天馬に念を込めてその質問をする龍狼。

  「島の上空に、ポケモンが6匹浮かんでる…もしかしたら、それがそうかな?」

  『マジかよ…直ぐにそっちに向かう。何とかその子達を捕まえてくれるか!?』

  天馬のその返事に龍狼は声をあげると共に走り出す音が聞こえ通信が切れた。

  「サーナイト、アーマーガア、出ておいで!」

  天馬がモンスターボールを2つ投げると中からそれぞれポケモンが姿を現す。

  「サナ!」

  「クロウク!」

  「サーナイト、サイコキネシスであのポケモンたちを止めて、できるなら降ろしてあげて!アーマーガアは空からフォローして!」

  「サナ!」

  「クロウク!」

  天馬の指示を受け二匹はそれぞれ行動に出る。

  アーマーガアが上空に浮かぶポケモンたちのもとへ飛んで行きサーナイトはポケモンたちにサイコキネシスを放ってポケモンたちが飛び去るのを止めた。

  「ンンップルゥ!?」

  「ルプ!?」「ルグゥ!?」

  浮かんでいる最中に突然ブレーキがかかったような衝撃を受けて声を漏らすパルスワンとルガルガンたち。

  「ジャランプ!?」

  「ジャラッ!?」

  ジャランゴとジャラランガも同様に声を漏らし何があったかと下を見る。

  「安心して、助けてあげに来たんだ!」

  地上からポケモンたちに向かって天馬が叫んでいるのを元下っぱのポケモン3体が聞き取る。

  「クロウク!」

  アーマーガアが羽ばたいて風を起こし、ポケモンたちを地上に送ろうとする。

  「ジャラ!?」

  「ジャッ!?」

  ジャランゴとジャラランガは驚きつつもそのまま地上に降り始める。

  「ルガ?」「ルガ?」

  ルガルガンたちは初めてアーマーガアを見て疑問符を出しつつ地上に向かっていく。

  「ウォルウゥ!?」

  「ヤッテキマシャー!」

  パルスワンが地上に向かっているのを見てクワガノンも追いかける。

  「よーし、いいぞ…もう少しだ!」

  「サナ…!」

  「クロウク…!」

  天馬が状況を見てつぶやき、サーナイトとアーマーガアが最後の一押しとばかりに頑張る。

  「遅くなってすまん、必要な物用意してきた!」

  タイミング良く龍狼が到着しその手に杭と鎖を持っていた。

  「ありがとう!」

  天馬が龍狼から杭と鎖を受け取ると降ろされてきたポケモンたちに鎖を着けて反対側を杭で地面につないでいった。

  「鎖取っつけるのは俺にも出来るぜ、ヒノアラシ『スピードスター』!」

  「ピュウピュイィ!」

  龍狼のモンスターボールから出たポケモンの一体であるヒノアラシが星形のエネルギー弾の中心に穴が空いたものを出させると膨らんでいるポケモン達の周辺に刺さるように発射する。

  「おお~!」

  龍狼のヒノアラシの芸当に天馬が感心したように言いながらもスピードスターの穴部分に鎖を取り付け始めてゆく。

  [newpage]

  「結構懐かれちゃってね、レベリングしながら芸学ばせていったらこんなのも出来たって事…あーナディムも芸達者だよ?」

  自慢している龍狼の頭を柔らかい肉球で抗議しているロコンを撫でてあげる。

  「へぇー…その子が前に言ってた…?」

  天馬が龍狼に撫でられて気持ちいい仕草を出すロコンを見てそう言ってくる。

  「ウォルピュウー?」

  「マッシャ?」

  その光景に感心と驚きを見せるパルスワンとクワガノンだったが天馬の言った事に違和感を感じる。

  「あー…当たり。『元人間』の子でね…誤解無いように言うけどこの子の親にはちゃんと伝えて引き取ったんだよ?」

  「キュウフウゥー!」

  そう言いながら龍狼がロコンを地面を下ろすと人がお辞儀する仕草を取った。

  「ウォ、ウォルピュイィ…」

  「ルガァ…」

  青い瞳でその仕草を見せたロコンに事件当時の被害者だと理解できたパルスワンが溜め息を出すかのように声を出しまひるの姿のルガルガンも同様の反応を見せた。

  「そうなんだ、よろしくね!」

  「サナ!」

  「クロウク!」

  その反応に天馬が疑問に感じつつもロコンに挨拶すると、サーナイトとアーマーガアもロコンに挨拶する。

  「キュウゥフ…」

  かなりの大きさでかつ自分よりも実力が高いことを理解して羨ましさを感じていると。

  「キュ、キュムッ…」

  「クワンヌ」

  突然後ろから抱き上げられた感覚に驚いて振り返ると其処には龍狼の相棒であるルカリオがおりサーナイトとアーマーガアに挨拶を返した。

  「ジャラ…」

  マジかよと鳴き声でジャラランガは呟きジャランゴとたそがれの姿のルガルガンにクワガノンが相棒の反応に疑問を思う中。

  「…ん?もしかして、君たちも…?」

  三匹の反応に気づいた天馬が近づいて来る。

  「ウォル!?」

  近づいてきた天馬に膨らんだ身体でながらも警戒の姿勢を見せるパルスワンに無言で彼を守るように遮るクワガノン。

  「大丈夫大丈夫、何もしないから…とりあえず、その膨らんだ身体を元に戻さないとだよね…」

  近づきながら天馬が警戒を解くように言う。

  「ガルル…」

  「ヤッテキマシャー…!」

  警戒を解かずパルスワンは睨んでおりクワガノンに至っては技を発動しようとしていた。

  「…そうだ、サーナイト、彼らに僕の考えを伝えられるかな?」

  「サナ!」

  天馬の言葉にサーナイトがうなずき片方の手をパルスワンの額にもう片方の手をクワガノンに当て天馬の考えていることを伝えようと試みる。

  「ウォル!?(な、何すんだ!?)」

  「マシャッ!?(うおっは!?)」

  「ウォルル!?(何っ!?)」

  サーナイトに触れられて抗議をしようとしたパルスワンだったが頭に響いたそれに驚いたクワガノンに同じく驚きかける。

  「…伝わったみたいだね」

  天馬が彼らの反応に安堵したように呟く。

  「ウォ、ウォルピイィ…(き、君らは一体?)」

  先程までの事を思い出しつつそう呟いたパルスワン。

  「…僕たちが誰かって?僕は天馬、こっちは龍狼くん。僕たちは"Pチェンジバルーン事件"を追ってここに来たんだ」

  サーナイトに額に手を当ててもらいながら天馬が答える。

  「ジャラ!?(事件のだと!?ってか何か知ってるのか!?)」

  天馬と龍狼は何か知っていると感じたジャラランガ。

  「うん、実は…」

  天馬は龍狼から聞いた事件の内容とジョウト地方で起きた出来事の顛末をサーナイトを通じて話した。

  そして事件に関連する物資を回収するために来ていたことを。

  [newpage]

  「あー、君らが何言いたいのかは少し理解できるよ。僕らがこの事件と関わったのはフォックの旦那からだったんよ。今頃レイリュウ達と共に此処に落としていった組織の殲滅やってんじゃないかな?」

  龍狼は怒りの炎を噴き上げるイメージをバックに無表情のフォックの姿を思い浮かべながらヒノアラシとナディムと共に苦笑いを浮かべた。

  「ジャラ!?ジャランガ!?(はあぁ!!?まさか噂の煉獄の竜魔王か!?)」

  気になっていたジャラランガは驚きで呟いた。

  「んっ、何て言ってるんだ?」

  「フォックさんのことを"煉獄の竜魔王"って言ってるよ…フォックさん、そんな風に呼ばれてたんだ…」

  驚いた様子のジャラランガに龍狼が天馬に聞くとサーナイトに自分とジャラランガの額に手を当ててもらいながら天馬がそう答える。

  「ジャラ…ジャランガ!?ジャラ!?(やべぇ…悪の組織を壊滅させるあの凶悪なトレーナーが来たらおしまいだ!?)」

  「ウォ、ウォルピュウゥ…!(お、俺らスカル団も終わる…!)」

  自分達の事を助けてくれた方々がまさかのフォックだったと知り物凄く青ざめて怯えと恐怖が出てくるジャラランガと頭を抱えながら失言をやらかしてしまうパルスワン。

  「…ん?君たち、スカル団なの?」

  サーナイトのエスパー能力で通訳してもらっている天馬がそれを聞いてその疑問を出した。

  「マ、マッシャ…(だ、旦那…)」

  「ウォ、ウォルル。(あ、オワタ。)」

  「ジャ…ジャランガジャラ!(あぁそうだ…あいつが来たらおしまいだ!)」

  溢してしまったその言葉にクワガノンがツッコミを入れられパルスワンはその言葉を漏らす中で震えが止まる様子の無いジャラランガが最終的にそう叫ぶ事から最早悪の組織のブラックリストに載せられるほどの脅威であることを理解する龍狼。

  「ルガ…(ご主人…)」

  「ルガ…(どうしよう…)」

  「うーん、どうしたものかな…」

  彼らの反応を見ながら天馬は呟いた。

  だがフォックの事を勘違いしないでほしい。

  あくまでフォックの場合はオスドラポケを傷つける事と侮辱などに関してはブチキレる為にそれがなければ普通のトレーナーなのである。

  「あ、あはは…そんな二つ名付けられてるのか。本人聞いたらどう反応すんだろ?」

  その事を知っている龍狼とナディムにヒノアラシやルカリオは苦笑や遠い目やら様々な反応を出す。

  「ジャラァー!ガジャラガジャラァー!?(うわあぁー!こっからどうすりゃあ良いんだー!?)」

  「ジャラ…(ご主人…)」

  唖然と恐怖がスカル団の下っぱ達に襲いかかってくるも先程も述べた通りオスドラポケを傷つけなければフォックは基本無害なのである。

  「ウォル…ルッ?ウォ、ウォルピュウイィ!?(ドシヨ…んっ?な、なんか此方に落ちてくるよ!?)」

  そんな事なぞ露知らずあまりの事で固まっていたパルスワンが青い上空から何かが飛んできているのを確認した。

  最初小さい点のような感じであったが近づくにつれそれは黄色の上半身に背中から尻尾にかけて赤い板が特徴的な緑と赤の下半身をしたポケモンと深緑と赤が特徴的な頭部に水色の下半身が風に煽られている動きをしているポケモンがオレンジ色の体表を持って尻尾に炎を持つリザードンに捕まっている姿であった。

  [newpage]

  時間は遡りブレイク団アローラ移動支部。

  「うぅむ…まだ到着していないのか!?」

  部屋を行ったり来たりしていたブレイク団の准幹部が苛立つように叫んでいた。

  「ポ、ポケモン達に運ばしておりますので時間は掛かるもので御座います。もうしばしの辛抱を…」

  「ぐうぅ、ドラゴンタイプを大量に使っているのだぞ…早くやれんのか!?」

  部下に宥められながらも准幹部はとある事件を元に作り出されたある『薬品』を思い浮かんでいた。

  その薬品の性質を知った時からそれを利用すれば自分の地位が上がり幹部への昇格が期待されているのにも関わらずその薬品が届かない。

  その焦りが仕草となって出ていたのである。

  准幹部であるリーダーの機嫌を損ねないようにしている部下の通信機から音が鳴り出す。

  「ん…どうした、来たのか?」

  通信機のスイッチを入れながら薬品の到着がきたのかと期待を込めながら言ってくる。

  「はい、送り出しましたポケモン達の姿を確認しましたのでそろそろ届くかと」

  「おぉ、届くのか!」

  「ただ、雲に入ってるからか肝心の荷物が…ん、何だ…何か燃えてるような光」

  それを遮るように轟音が響くと共にアジトにあったヘリポートが炎に包まれた。

  [newpage]

  「レイリュウ、おにび♪」

  「ヴォルビュイィーピー…」

  鬼火を連射しながらヘリポートを火の海にしてゆくドラパルトに指示していたポケモンがいた。

  「ずいぶんとオスドラポケに色々とやってくれてるな?」

  黒いオーラを纏いながら怒りのオーラを放つリザードン、

  フォックであった。

  「おーおー、旦那完璧に怒り心頭だねぇ。まぁ仕方ないけどね?」

  フォックの怒りの表情を見て少し震えを感じつつも此処まで着いて来てくれたポケモン達を見つつギルガルドと先の事件での警察からの恩赦であるポッチャマの準備を確認してゆく青年、

  莉音が其処にいた。

  「レイリュウ、ついでにシャドーボール大盛りいっちょやっちゃって♪」

  「ヴォーウ!」

  リザードン姿のフォックがドラパルト、

  レイリュウに指示をしてシャドーボールを大量に乱射させてヘリポートへの出入り口に命中させて風通しを良くする程の大きさにしていった。

  「さて出番だよキョウライ!」

  フォックは一つのモンスターボールを上空に投げるとそこから一匹のポケモンが姿を現す。

  「キュリキュピイィ!(俺様参上!)」

  ヘリポートの床にひしゃげた音を鳴らしながら黄色い上半身に緑と赤のコントラストが上半身にマッチする下半身をしたポケモン『パッチラゴン』がその場に現れるもその姿は生物として違和感の無い姿となっており化石ポケモンも知っているブレイク団達に困惑と違和感を感じさせた。

  「さ~て、パジオだけでなくここでも暴れるなんてそろそろ諦めたらどうかしらブレイク団の皆さん?オスドラにこれ以上無理な労働するなら…ぶっとばすよ?」

  圧をかけてブレイク団を睨みつけるフォック。

  「ひ、怯むな!相手はたかがリザードンとトレーナーだ!囲んで叩けば勝機がある!」

  先程の騒ぎを聞き付けてきた隊長が下っぱ達に激を飛ばしつつ警戒を怠ってなかった。

  「あら、いっとくけどリザードンの姿だけどこれでもトレーナーでもあるの、まあ囲んでも大したことないけどな。キョウライとりあえずこいつら逃がさないように暴れて、許す」

  「キュリリ…(言われなくともやりますよ…)」

  その言葉と同時に炎が燃え上がらせるフォックにパッチラゴンはその鳴き声と共に地面に足を掻き込んでバイクのエンジンを起動させるような仕草にブレイク団達に悪い予感を感じさせた。

  「んじゃ派手に暴れちゃって!げきりん!!」

  「キュッピイィ!」

  フォックからの指示を受けてキョウライが掻き込んでいた足を止めた瞬間、

  ポケモンを出したブレイク団達が出したポケモンごと風に吹っ飛ばされる紙のようになった。

  「蒼剣!」

  「おう!サンダー!らいめいげり!」

  其処に更に到着した蒼剣が現れて一匹のポケモンでブレイク団のポケモン達を蹴散らしていっておりそのポケモンはサンダーだが姿が違っていた。

  体色は黄色でなく橙で両翼は閉じた状態になっている。

  このサンダーはガラル地方の姿をしたリージョンフォームと呼ばれたサンダーであった。

  さらに蒼剣自体服装は前のとは異なっており服はガラルサンダーを模した服装で髪も短髪のサンダーの特徴であるとげとげとした髪型となっていた。

  「どう?マジコスの感想は?」

  「なんか力が溢れてサンダーと一つになった気がするぜ!」

  蒼剣が着ている服装はパジオと呼ばれる場所でトレーナーが本気を出す時にそのポケモンとの絆を一体とする服装マジコスである。

  「わぁお、蒼剣さんそのサンダーガラルから手に入れたんですか?」

  げきりんを使いつつ開けられた風穴に入っていったキョウライを見ていた莉音が蒼剣のポケモンを見て驚きながらそう言ってくる。

  「おう!ちょいとフォックとガラル行って捕まえてきたぜ、まあ他のガラルの鳥ポケはフォックなどが捕まえてきたけどな」

  どうやらガラルに行って蒼剣一人で捕まえてきたようで莉音が感嘆の息を溢す。

  「そしてマジコス、ポケモンとトレーナーの絆の証でもあるから本気出す時やブレイク団などの強敵相手には本気でやらないとね♪」

  フォックの方はブレイク団のほとんどを拳骨という名の鉄拳制裁をしていく

  「あ、あはは。此処までやっていってると落としていった荷物が心配になってくるね…あれ大丈夫なのか?」

  フォックの一撃をくらって犬神家宜しく床に穴つくって戦闘不能になってるブレイク団を見つつそう呟いた。

  「荷物はちゃんと持ってるぜ、まあ風の魔力で調整してるけどな」

  「ヴォルピュウゥ…?(一部は落とされちゃったんですけどね…?)」

  荷物に関しては魔力で風を生成して落とさないようにしてはいる様だがもしもの事態になった場合荷物を落とすように訓練されていたポケモン達を思い出しつつレイリュウがそう言ってきた。

  「うっ、余計なこというなよレイリュウ」

  「駄目駄目じゃん…それ場合によってはヤバイことに成るんじゃ?」

  図星を言われてタジタジする蒼剣のその様子から察した莉音が落ちた際のリスクを考えてそう言った。

  「安心して、そこはあたしのポケモン達が拾ったり蒼剣の手持ちポケモン達にも拾わせるようにしてあるから」

  鉄拳制裁という名の某世紀末覇者先輩みたくやるフォックがそう返事する。

  「うーん、漏らしがあったら不味いですからね。此方も少し龍狼達に連絡しておきますね?」

  そう言いながら端末に操作をし天馬と龍狼に落ち漏らした荷物の回収を頼み落ちたと思われる場所を添付する。

  「まあ漏らしのもあるかもだしそうね、っと終わったわよ」

  そうフォックが返事する方向を見るやるとブレイク団全員が完全に犬神家の如く地面に叩きつけられて身体半分埋まっていた。

  「此処まできたら前衛アート染みたものに為ってるなぁ…そろそろかな?」

  莉音はそう答えつつヘリポートの出入り口であったそこから声が聞こえるかどうかの確認をする。

  「何かきたかしら?」

  「周囲からの敵の声の確認…うん、聞こえないから奥の方だね?」

  周辺からのブレイク団の声をポケモンを通じて聞いていた莉音がそう言いきってきた。

  「OK、派手にぶっ飛ばしておかないとね♪」

  「ははっ、主戦力は多いに越したこと無いからな…っと」

  腕をパキポキと鳴らしながらキョウライが通っていった穴に入ってゆくフォックに対してそう言ってから莉音も穴に落ちるように入っていった。

  [newpage]

  「さてどのぐらい暴れたのかしらね」

  キョウライが暴れた具合をフォックが確認すると部屋一つ一つが台風にあったような有り様になっており出口になりそうな所は『がんせきふうじ』で通せんぼにしながら人がいると判断した所に『でんげきくちばし』の一発で風通しを良くしてからげきりんの流れで行ったようである。

  「これはまた、かなり発散していったようだね?」

  降りてその惨状を見た莉音がぼやいた。

  「とりあえず進めて倒しちゃいましょう」

  「お、おぉ…あっ、キョウライだ」

  「キュプゥ…(疲れたぁ…)」

  フォックの提案に莉音が頷きつつ視界の片隅にキョウライが疲れきった状態で床に転がっているのを見つけた。

  「お疲れ様、それじゃあ後は俺がやっておくからゆっくり休んで」

  「キュオ!(ちょま!)」

  フォックはキョウライをモンスターボールに戻し何かを言いかけようとしたキョウライは途中で入ってしまった。

  「さて、出入り口は封じてる様だから捕まえにゆこうか?」

  「えぇ、さて、ぶちのめしますか」

  出入り口の岩石を見ながらそう言ってきた莉音に腕をパキポキしまくるフォックがお互い頷きあった。

  「は、早く取り除かんか!」

  「無茶言わんでくだせぇ、こんなにカッチカチの岩で塞がれてちゃ通れませんよ!」

  岩石に封じられた脱出口を前に准幹部とその部下が騒いでいた。

  「あら俺のポケモンによって動きを封じて残念ねブレイク団の皆さん」

  「な、貴様らいつの間に…!?」

  「フォックのポケモンのお陰で此処まで来れたのさ、さぁ観念してフォックの一撃をくらってな?」

  准幹部の部屋に着いた莉音とフォックに驚きつつも何とかしようとする彼にキョウライがやってくれたのを教えてから残酷な宣告をする。

  「いい加減降参しないと燃やすよ?」

  脅しの要領でブレイク団を睨みつけておりオスドラポケに無理させたことをまだ根に持っているようだ。

  「わ、分かりました。降参、降参します!」

  「なっ、きさ…わ、わかった。」

  部下の発言に驚いていた准幹部であったが彼の懐を見て理解して同じく発言をする。

  「んじゃ大人しくしてね~莉音君頼んだわ」

  「分かったよ。フォック、もしもの為にレイリュウ出しといてね?」

  フォックからの頼みを聞いてそう言いながらギルガルドを出しその布部分を引っ張り出しながら准幹部と部下に近づく。

  「えぇ、余計な事こいつら言わなければだけど…なんか最近俺の事を『煉獄の竜魔王』と言ってくるからどうも気になるのよね」

  「うわぉ、中々の二つ名だねぇ?」

  自分が二つ名を言ってくるのが気になっているようだった。

  「さて御二人がた、手を」

  「今だ!」

  ギルガルドの布部分を見せて莉音を遮るように部下が懐に隠していたスイッチを押し込むとフォックがカプセルに閉じ込められた。

  「きゃっ!?」

  「なっ、フォック!?」

  「油断したな…ふふっ、緊急用に取っておいたカプセルがこんな形で役に立つとはな?」

  「このままお前には空の旅を楽しんでもらうことにしてもらうぞ?」

  そう言いながらスイッチの操作をすると上からのアームに捕まれた瞬間床に穴が開いた。

  「では、楽しんでってくれたまえ」

  「ちょっと!」

  スイッチが押されると共にキレてたフォックがカプセルごと射出される。

  「やりました!あの『煉獄の竜魔王』を射出しましたよ!」

  「大々的に起きたあの事件で逮捕された者達が言っておったあやつも所詮はこの程度であったか!」

  ゲラゲラと大笑いしてフォックを下げずんでいた二人であったが先程までギルガルドの布部分をロープしようとしていたのをマフラーにしていって首に羽織った莉音を無視してしまっていた。

  「…貴公、覚悟は宜しいか?」

  莉音にその後『魔剣の瞬撃士』の二つ名が付けられることになったのはこの時からであった。

  [newpage]

  「これどこに向かってるのかしらね?」

  カプセルがどこに飛んでいってるのかフォックはどうしようかと考えていた。

  「後であのブレイク団の二人…テッケンセイサイシテオカネェト」

  ガチギレしてカプセルに力を込めたフォックはこのカプセルは比較的頑丈な作りになっているがリザードンである今なら力を込めれば壊せることに気づく。

  「あ、これ壊せそうね、せーの!」

  カプセルを思い切り殴りつけて破壊し空に出たフォック。

  「さて脱出っと、あれ?あそこにいるの天馬さんと智月、先にそっちに向かうか」

  フォックは地上にいる二人に気づいてそっちに向かう

  「ピュウイイイイイ!?(なんでえええええ!?)」

  「ヴォーウゥ、ビュイ(フォックさんキョウライ出ちゃってます、よっと)」

  モンスターボールから勝手に出てしまったら空を飛んでいる状況に叫ぶキョウライと彼をうまくフォックに掴まえさせながら自分も掴まるレイリュウを引き連れて。

  「あ!?勝手に出ちゃだめよ!?あ~もう…落ちるけど覚悟してキョウライ」

  勝手に出てしまったキョウライに咎めつつそのまま地上へと急降下する。

  [newpage]

  「おぉーフォックさん、其方済んだんですか?」

  急降下していってたフォックが翼を広げて緩やかに着地する様を見ながら龍狼がそう聞いてきた。

  「ごめんちょっと油断してた、実はカプセルに閉じ込められて飛ばされて今に至るのよ」

  「ジャラ!?(出たあ!?)」

  これまでの事を説明するフォックに対しジャラランガはびくつく。

  「ウォ、ウォルピュウ…(ご、ご本人来ちゃったよ…)」

  「ルガ…(どうしよう…僕らがスカル団だってバレたら…)」

  「あら?スカル団と聞こえたけど君達もしかしてグズマ率いるスカル団なのかしら?」

  「ヴォル!?」「ルガ!?」「ジャラ!?」

  ポケモンの言葉がわかるフォックに鳴き声でわかってしまい驚いてしまう下っぱ三体。

  「え?フォックさん、彼らの言葉がわかるの?」

  三体のポケモンが驚く様子に天馬がフォックに尋ねる。

  「僕ですらこの子の力を借りないとわからないのに…」

  「サナ…」

  「あー、今リザードンの姿だからそれでポケモンの言葉が分かるんだね!」

  「フォウキュウ!(すっごおぉい!)」

  天馬がサーナイトを指して続けると龍狼が思い出したように呟きナディムは純粋に誉めた。

  「なるほど!とにかく、ちょっと事情を聞かないとね…僕もサーナイトの力を借りて話を聞くから…」

  天馬はポケモン達から事情を話してもらうことにする為にサーナイトと協力してゆく。

  「あ〜、まあそれもありますが人間姿になってもポケモンの言葉分かりますよ?ちなみにナディム君達の言葉も分かるから理解してるし、ついでに蒼剣と雷黄もね?」

  人間姿でもポケモンの言葉が分かるというフォックからしたらスキル的なものであり無論それは蒼剣と雷黄もポケモンの言葉がわかっている。

  「うわ、うわ、うわぁ…」

  うまく使えれば戦略の幅が広がるそれに龍狼がその言葉を溢すなかでポケモンの事情を天馬が聞いていった。

  「うーん、どうもスカル団はすでに解散してるみたいだね…彼らは漂着物を探しに来て、それを使ったみたい」

  「成る程、それがあのコンテナと風船の実にオリジン鉱石かぁ…」

  そう言ってコンテナの中の確認をし薬が今膨らんでいるポケモンの数分無くなっているのを確認する。

  「なるほどね、だから姿が変わったというよりは薬飲んだからね」

  「ジャ、ジャラ・・・ジャララ(お、終わった・・・やばい)」

  「ジャランゴ・・・(俺達もなのか・・・)」

  フォックは色々見て察する中でジャラランガとジャランゴはこの世の終わりと感じたのか俯きそうにになる。

  「ヴォルピュウゥ…(就職より先に逮捕かぁ…)」

  「マッ、マッシャー!(き、気をお確かに!)」

  パルスワンに至っては膨らんだ体で無我の境地に至りかけておりクワガノンの気付けの鳴き声が響く。

  「ルガ…(どうしよう…)」

  「ルグゥ…(ご主人…)」

  落ち込んでいる様子のまひるの姿のルガルガンを、たそがれの姿のルガルガンが慰めている。

  「何か気の毒だけど、後はフォックさん次第か…どうするの?」

  天馬が彼らを気の毒に思いながらフォックに尋ねる。

  「いや別にそんな怖がることじゃないし、それにパジオでグズマに会ってるからなんかスカル団の連中の事気にかけてはいたのよね」

  ふとパジオという場所に来たことを思い出したフォック。

  「ジャラ!?ジャランガ!?(えっ!?グズマさんに会ってるのか!?)」

  「ルガ!?(ほんとに!?)」

  「うん、まあグズマは俺が倒して今はパジオでたまに俺が指導したりなどしてバトルを色々叩きこんでいるからね」

  どうやらグズマに会っていて今はフォックがたまにパジオでグズマを指導しているようだ。

  「ピュ、ピュウゥ…(ま、マジかよ…)」

  元リーダーのグズマの現在の姿を聞いて言葉を失う。

  「んでグズマがいうにはそいつらの後を頼みたいってあたしや蒼剣とかに頼まれたのよ、色々とあたしのような色んな世界を行ったり来たりしてるからスカル団の皆の件も何とかしようと思っていたのよね」

  何やらフォック達に後を頼みたいと言ってきたようでフォックもスカル団の件に関して考えていたのだった。

  「ほうほう…つまりポータウンに今だ残っているスカル団達にも助け船出すんだね?」

  今までの話を聞いていった龍狼がそう結論付ける。

  「そういうこと、何か方法ないかしらね?」

  智月と天馬に良い案がないかとフォックが聞いてくる中。

  「…だってさ。良かったじゃない」

  「ヴォル、ビュウゥ…!(感謝、圧倒的感謝…!)」

  天馬がポケモンたちにその事を言うとその事で感極まったパルスワンが滝のように涙を出す。

  [newpage]

  「ふふっ…彼らが真っ当な職に就ければ一番良いんだけどね~。」

  「アローラの社会から追い出された若者たちで構成されているからなぁ…社会復帰は厳しいかも」

  天馬と龍狼がその様子を見つつもスカル団のメンバーの現状を思い出してそう呟いた。

  「う~ん、あ、いっそこの子達と同じポケモン化とかできないかしら?」

  「…え!?大丈夫なの、そんなことして?本人の了承もあるし…それにその後はどうするの?」

  ふとフォックが提案した内容に天馬が驚いて訊いた。

  「社会復帰問題は流石に難しいのと課題があるんですよね、まあだめならクチナシさんにも相談しますけど」

  「うーむ…取り敢えずこいつら引き連れてポータウンに向かって話し合ったら良いんじゃないか?」

  一応もしもの時にはクチナシにも相談するというその提案に対し龍狼が6体のポケモンを指差してその提案を出してみる。

  「そうね~その方がいいけどポケモン化して驚くと思うけど?」

  行くのはいいが問題はポケモン化した3匹をスカル団の下っ端だと伝えて驚く点だ。

  そのまま連れていくとスカル団の下っ端だとわからない。

  「あー、一応スカル団のトレードマークのドクロの帽子を少し手を加えておけば何とかなるけど…」

  「ポケモンになったことに他のメンツが驚くとは思うけどね」

  「中には信じない人も出てきそう…」

  「その時は僕のサーナイトがその人たちに彼らの気持ちを伝えてくれるよ」

  三人寄れば文殊の知恵の如く進んでゆく中で天馬の携帯にメールが届く。

  「…ん?」

  天馬が携帯を見てみると内容は准幹部と部下を戦闘不能にしつつ拘束した事を雁字搦めに結ばれた二人を背景にギルガルドに身を預けてポッチャマに撫でられている莉音の写真があるメールであった。

  「あら莉音君俺がいない間にやってくれてるね、まあ後飛ばしたこいつらにはお仕置きしないとね」

  「ははっ、オスドラポケに対しては其れくらいの想い持ってるからね」

  黒いオーラを纏いながらお仕置きを考えてゆくフォックに苦笑いをしつつスカル団の今後を少し考える龍狼。

  「さてどうしよう、この子たちをポータウンに連れていこうか、それとも莉音くんのところに行こうか?」

  「先にポータウンに行きましょう、莉音君にそいつら逃がさないようにしててと伝えてください」

  優先順位としてフォックはポータウンから行くことに、天馬には莉音に逃がさないように伝える事になった。

  「うん、わかった」

  天馬はそう答え莉音に連絡を入れると直ぐ様了承の返事が来た。

  「では行きましょう、ついでにモフモフも♪」

  「ジャラ!?(ぎゃあっ!?)」

  「ジャッ!?(うわっ!?)」

  「はぁ、やっぱそうするよね?」

  「フォウフウゥ(やれやれだぜ)」

  フォックはジャランゴとジャラランガを同時にモフモフしながら移動するのを龍狼とナディムが少しあきれつつパルスワンをヒノアラシと共に運んでゆく。

  「あ、蒼剣に連絡入れておかないと、もしもし蒼剣。悪いけど残りの方頼むわ、んで莉音君と合流して二人敵捕まえたから見張りよろしく」

  ジャランゴとジャラランガをモフモフしながら蒼剣に連絡したフォックは通話を終わらせてクワガノン除く5体の身体に負担がかからない程度にロープで結んでゆく。

  [newpage]

  「蒼剣、向こうからだ。」

  莉音が掴まえた二人は服装が切り裂かれまくっておりかなりの猛攻撃をやりまくったもので理解できておりその惨状を蒼剣が苦笑しつつもアジト内にあった資料を回収していた。

  「おう、了解っと、ってかお前も派手にやるよな」

  「あー、少しあいつらがやったのを見たら身体が動いて…それより、それらの資料からブレイク団への正体等を調べることは出来る?」

  少し恥ずかしそうに赤らめつつも莉音はアジト内にあった資料をみていた蒼剣にその事を聞く。

  「あ~そういえばブレイク団の情報はフォックが調べたがパジオ中心に動いてる組織だがどうやらトレーナーが仮面つけたのが特徴らしくてな。後ブレイク団にはボスと呼べるのがいないらしい」

  「ボスが居ない!?」

  「あぁ、ブレイク団のほとんどが一般のトレーナーが多くボス自体も現れていなかった、パジオでWPMという大きな大会を襲撃してたようだぜ?」

  どうやらパジオ中心に活動している組織であり珍しくボスと呼べる中心人物が居ない様でそんな彼らの特徴が一般のトレーナーが殆どで活動内容は他トレーナーのポケモンの強奪やパジオで行われたWPMという大会で襲撃を行ったそうだ。

  「だがよ、何とか収まったんだがそのパジオを作った王子様名前忘れたがそいつによってブレイク団の大半辺りがその王子様の元で働いて改心したりはしてるがまだまだ残党が多いようだぜ」

  「ロケット団みたいな感じなのか…それらはそれぞれ単独で動いてるのか分かる?」

  ブレイク団の事を蒼剣から聞いて理解した莉音が少し疑問になった事を聞く。

  「まあ単独でもあって二人か3人とかで行動とかもしてるようだぜ、ポケモンを奪う目的などやってるらしい」

  「そんな彼らが十数人もいたって事は…もしかしたら違う組織が彼らを雇った?」

  蒼剣からその事を聞きその仮説を考えた莉音。

  「そこまではまだわからねぇ、色々調べる必要はあるぜ、パジオでロケット団が2回も襲撃したなどロケット団の方がかなり活発化していたらしい」

  「成る程ね…っと。あーくそ、裏に誰かがいる事が分かったけどそれ以上の事を見事に削除してやがる。」

  蒼剣からその事を聞きつつもアジトにあったパソコンの一つからログインし其処からの情報を手に入れようとしていた莉音であったが調べていたルートが途中で切れておりそれ以上の調査が出来ないように成ってしまっていた。

  「こりゃ相当だな、こいつらに聞いても口きかねぇと思うし、まあフォックだと呪いとかなんやらで色々やからすしな…」

  かつて勇者だった蒼剣はフォックに敗北し発言によって太る呪いを受けたことがあったが今は解呪されており普通に活動できたり太っても動けるようにもなってきているのであるがその事を考えて身震いする。

  「けど、天馬さんが伝えてくれた薬品と思わしき物との取引を行った記録はあるみたいだね…オーレ地方、か」

  その情報を自身の持っている携帯にダウンロードしながら恐らくインターネット越しでの取引でありあの二人から聞けることは呪いでも引き出すことが出来ないと莉音が推察した。

  「なるほど、そこに行くのもありだな。まあ後はフォック達を待つかぁ…あいつ怒らせたらヤバイ事になるからお前ら二人覚悟しといたほうがいいぜ?あいつの倍返しはきついぞ?」

  捕まえている二人に忠告という名の警告を伝えてガラルサンダーと共に見張る。

  「あー、あの人この事知ったらポケモンにさせて太らせるだろうなぁー…」

  先の考えから導き出された結論を蒼剣や二人に聞こえない音量で呟くとポッチャマを抱えながら部屋にあった椅子に座り彼らを見張る。

  [newpage]

  所変わってポータウン

  「ここね、やっぱ荒れてるわね~」

  「すっげぇ荒れ具合、そりゃグズマがフォックに頼むわけだわ。」

  膨らんだ5体のポケモンをロープで結んで飛んでかないようにした龍狼にクワガノンが周囲を飛んでいた。

  「元スカル団のメンバーがいるのは…あそこかな?」

  町の中心部にある大きな建物を指差す天馬。

  「其々の建物にも居そうなのがなぁ…」

  「とにかく、行ってみよう」

  スカル団の事を思い出しながらそう呟く龍狼に行ってみることを提案する天馬。

  「じゃない?行こう行こう」

  「はいはい分かったから…っと、態々行く必要なかったみたいだ。」

  その声を皮切りにスカル団の下っぱ達が出てきて三人を取り囲みだしていた。

  「なんだテメェ等!ここが俺らの縄張りだと知って入ってきたのか!」

  「おまけによぉ…それらは何の真似だ?」

  一人の下っ端がフォック達を睨みパルスワン達の姿を見てそう言い出す下っぱも居た。

  「ちょっと待って!実は伝えたいことがあって来たんだ…まずはこの子たちの帽子を見てもらえるかな?」

  下っぱを制しつつ風船になっているポケモンたちを指差す天馬。

  「ん?えっ!?もしかして!?」

  「ちょ、マジか…全員に知らせてくる!」

  風船になってるポケモン達を見て自分達の仲間だと気付き下っぱの一人が持っている端末に連絡を入れる。

  「あ、ついでにグズマに会ってるからそれも加えて話したのだけど?」

  「なっ!?グズマさんだって!?あんたグズマさんを知っているのか!?」

  「はっ、えっ、はぁ!?」

  グズマの名前を言うと下っ端の一人が驚きだし急なそれに返事がそうなった下っぱを筆頭にスカル団の元下っぱ達がどんどん集まり始める。

  「集まってきたわね」

  「さて、こっからどうしてくんだい?」

  その様子を見ていた龍狼がフォックに聞く。

  「とりあえずこの子達の説明などいきさつなどの説明ね」

  [newpage]

  「あー、グズマさんに会ってるって聞いて動揺したんだが…証拠は持ってるんかい?」

  膨らんでる5匹に視線を向けるフォックに先程すっとんきょうな返事を出した下っぱがそう言ってきた。

  「えっと確か…あったあった」

  フォックはリュックから何やら手紙みたいなのを取り出した。

  「手紙…?」

  それを見て龍狼がそう溢した。

  「とりあえずグズマから預かったのだけどこれで大丈夫かしら?」

  「お、おぉ。俺らの言葉で言ってくるリザードンなんて初めて見たよ…」

  そう言ってまだリザードンの姿になっているフォックの姿に下っ端がビビりつつも手紙みたいなものを受け取ってから何人かの下っぱを呼んで中身を見てみると手紙にはこう書かれていた。

  「スカル団のみんなへ

  ようお前ら、元気してるか?

  お前らがこいつを読んでるってことは、フォックさんに会ってるってことだな?

  俺はフォックにパジオって場所でたまに稽古をつけてもらってる。それと、お前らのことはフォックや蒼剣に頼んである。

  あいつらフォックたちは色んな世界を回っているらしく、実力もあって信用できる人たちだ。

  俺は元気でやってるぜ、だから心配はいらねえ。

  スカル団は解散したが、その志はなくならねえ。

  愛してるぜ、みんな。

  グズマより」

  「ということよ」

  「な、なんと…」

  手紙を読み終えた者達の反応は様々であったがもうスカル団は解散したのだと理解するのには困らなかった。

  「んで俺が色々頼まれてどうするのかをここにきてやろうと思ってだけどちょいと一部の下っ端でポケモンになったのが出てね?」

  「確認なんだが、本当にそいつら俺たちの仲間なんだよな?装飾品があいつらのだってのは理解できるんだが…」

  グズマの件抜きに詐欺の可能性を考えて三匹を見ながらそう聞いてくる。

  「そうよ、何かそうだ天馬さん、サーナイトを通じて通訳頼めますか?」

  「うん、やってみようと思ったところだよ…サーナイト、何とかこの子たちの考えてることをみんなに伝えられるかな?」

  「サナ!」

  サーナイトが三匹の頭に手を触れてもう片方の手から技を出す要領で彼らと考えていることをスカル団に放ち始める。

  「ウォ、ウォルピュウゥ?(み、皆元気?)」

  「ジャラ!ジャランガ!(ってかお前ら俺らに気づけよ!)」

  「ルガ?ルガルガ?(みんな?僕らの言ってることわかる?)」

  「わわ、わっ…マジでそうだったわ!」

  「あほう、もしもの事で詐欺だったらどないすんねん!?」

  「お、おぉ…元気だしいってること分かるぞ?」

  彼ら三匹の問いに対し其々の返事を返してゆく下っぱ達。

  「ということだけどどうかしら?」

  「ど、どういう経緯でこんなことに!?」

  動揺している下っぱ達達が頷き合っている。

  「とりあえず説明しないとね」

  「そうなりそうだね?」

  迫るように皆が見る中でこれまでの事を説明し始めていった。

  [newpage]

  「先ず一つ皆さんに聞きたいのですが、『Pチェンジバルーン事件』を知ってますか?」

  そう言って龍狼はスカル団の下っぱ達を見てゆく。

  「えっと確かなんか人がポケモンに変わるあれか?」

  「それ、新聞でも結構出てるよな?」

  「ええ、それよ」

  「それらと君らに何の関係が?」

  突然Pチェンジバルーン事件の事を言って疑問を感じた下っぱの一人が聞いてくる。

  「まあ俺らはそれを止めるためにやってきたの」

  「半ば巻き込まれる形でだけどな!」

  そう言いながらPチェンジバルーン事件の詳細を説明してゆくフォックとナディムを撫でる龍狼に聞き入っている下っぱ達。

  「う、うわっはぁー、そんな事件が起きてたのかよ。」

  「その事件の際に流出してしまった物があってね、それが此処にある。」

  そう言って龍狼は先ずコンテナに入ってあったふうせんのみやオリジン鉱石を全部バックに入れたものを開け見せた。

  「マジかよ」

  「これ等による新たなる薬品の情報を聞き付けてそれを手に入れようとする組織の追跡、補足をしてったんだが…」

  唖然とする一部の下っ端にそう言いつつ天馬と少し顔を見合わせる龍狼に不安になる下っぱ達。

  「一足遅かったみたいなんだ」

  「薬品は既に作られていて、ブレイク団って組織がひこうタイプやドラゴンタイプのポケモン達を酷使して運送してってね。阻止しようとしたんだが…」

  そう言って今度はフォックの方を見やった。

  「運送された一部が漂流物となって流れちゃったのよ」

  「その漂着物はあの事件に使われた物の改良版みたいで…彼らはその中にあった薬を飲んでしまったんだ」

  風船になっているポケモンたちに目を向け天馬が言う。

  「何…だと?」

  「三人纏めてこうなったのかよ…?」

  「あぁ、先ず薬によってポケモンになってね…この機械でふうせんのみのジュースを浴びせられて膨らまされたんだよ。」

  そう言って龍狼がルカリオに少し視線を向けると波動で感じ取ったルカリオがフォックが運んできた機械を貰って置き見せる。

  「この機械によって膨らんでしまったのよ」

  「そこを僕が見かけて助けたってわけ」

  「と言う訳、現時点で元に戻れない事も付け加えておくよ」

  「そ、そうなのか…」

  膨らんでいる三匹を見ながら皆納得していった。

  「まぁ、これで事情はわかったかしら?」

  「あ、あぁそうだが…」

  「それで、君たちこれからどうして行きたい?」

  フォックのその言葉に返事を返した下っぱ達に突然龍狼がそう言ってきた。

  [newpage]

  「そ、そう言われてもな」

  「既にスカル団は解散している中でグズマさんは君らの事を思ってこの手紙を渡したんだぜ?」

  下っぱ達にそう説き伏せ始める龍狼に頷くナディム。

  「だよな、ならあんたらについていくってのもありか」

  「そうそ…!?」

  「あ、まあそこはあんたらの判断次第だが」

  「けどなぁ、俺ら社会復帰出来ねえんだよな…?」

  「一応、一部は就職出来るように頑張ってるみたいだが…」

  「他に良い方法ねぇもんか…」

  下っぱの一人のそれに驚きかける龍狼だったがフォックのその言葉に下っぱ其々意見を出しあってゆく。

  「二つ方法あるけど、一つは彼らのようにポケモンとして生きていくか、もう一つはブレイク団を倒しに色んな場所を冒険するという手段もあるけど」

  「…あんたの元で働くってのも良いんじゃねぇか?」

  フォックは提案を二つ出す中でふと下っぱの一人がある提案を出した。

  「なるほどね~あたしの元に働くか、まああたし厳しい時もあるからそれでもかまわないかしら?」

  「良いかもな、どうせ俺ら社会からの弾きもん。あんたに付いて行けば良い道が見えそうだ!」

  「ポケモンになってやるってのも良さそうだな!」

  その提案にフォックが賛同するとそれに呼応するように下っぱ達が騒ぎだす。

  「まあポケモン化に関してはグズマに伝えて許可得ておくわ、俺についていく者達は俺の元に来てくれるかしらね」

  『おぉー!!!』

  「んでポケモン化したい方はそうね、智月のとこに集まって」

  「任せろフォック。あの薬品全部持ってきたからな?」

  龍狼が自分の鞄を開けてコンテナに入っていたペットボトルの薬品全部を見せてくる。

  「準備いいわね、あ、とりあえず連絡するわ」

  スカル団の総意が合わさり掛け声がなる中フォックはポリゴンフォンでグズマに連絡を始める。

  「もしもし、実はお前のとこので少しポケモン化の方しても大丈夫か?」

  「もしもし…ああ、フォックか、こないだは世話になったな…え!?あいつらをポケモンに…?」

  「んで他は俺の元で働く感じになった、ポケモン化に関してはちょいとお前の許可得られるかになるが、まああいつらに覚悟あるのと一部ポケモン化になったのがいてな」

  そう言ってフォックは電話越しながらもグズマにこれまでの事を説明した。

  「そっか…まあ、あいつらが望んでるってんなら構わねえぜ…それに、あいつらも居場所ができるってんならそのほうがいいだろうしな」

  「ありがとな、んじゃとりあえず切るね…とりあえずポケモン化の許可は得たわ、とりあえず望んでる者達、覚悟はいいかしら?人でなくポケモンとして生きるという覚悟はあるのかを?」

  電話を切ったフォックはポケモン化を望んでいる者達に最終確認として覚悟があるのかを告げる。

  「相棒のポケモンと共にゆくんなら…覚悟は出来てる!」

  「出来てらぁよ!」

  「それがイバラの道だろうと突き進むさ!」

  下っぱ其々の覚悟は完了できており親指を出す者やモンスターボールからポケモンを出して其を撫でる者もいる。

  「なるほど、それほど覚悟しているのがわかったわ、なら思い残すことはないようね、んじゃ智月、ポケモン化希望の奴らに準備できたらあの薬品を分けて頂戴」

  「はいはーい、此方に来てくださーい!」

  相応の覚悟を見せた下っぱ達に頷きながら龍狼に声をかける。

  それを聞いた龍狼はポケモンになろうとする彼らにペットボトルの薬品を渡し始めていった。

  「よしっ!いくぜ!」

  「ジャラ…(お前ら…)」

  下っ端の一人が思いっきり飲む様にまさか自分達と同じようになるとは思わなかったジャラランガがそう溢す。

  「ウォルピュウゥ?(見事な心意気だね?)」

  その変化してゆく団員達の姿にパルスワンがその言葉を出す中フォックが五匹に近づく。

  「んで君達はどうするのかしら?」

  「マッシャー(あっしは旦那がたに付いて行きますぜ?)」

  「ウォルウゥ…(クワガノン…)」

  姿が変わった3匹と他のポケモン達に対して聞くとクワガノンの魂ある言葉にパルスワンはすり寄ってくる彼に同じく擦り返した。

  「つまり手持ちにかしら?そうなると誰の手持ちになりたい?」

  「(ジャラ、ジャランガ(まああんたでもいいな)」

  「ジャラ、ジャランガ!(俺も主人と共にあんたについていくよ)」

  フォックが手持ちについて言うとジャランゴとジャラランガはフォックについていくことになった。

  「おっけ♪モフモフできるから当然♪︎」

  やはりモフモフしたい欲が出てしまうフォックであった。

  「ウォビュルゥ、ウォルウゥン…(うーむ、俺らの事を手持ちにくれる人は…)」

  「…到着が遅いじゃないかい君達?」

  「すまない、こっちも片付けたところだ」

  突然龍狼が誰もいない方を向いて言ってきたのを困惑するパルスワンとは違い電気が流れるのと共に雷黄が現れいつものヒーロー姿とは違い黄色の服装をして金髪のツンツンとした髪にツリ目をしている。

  「雷黄、悪いけどこの子達手持ちにしてくれるかしら?」

  開口一番にフォックがそう言って雷黄にこれ迄の事を伝える。

  「なるほど、わかった引き取ろう」

  「ウォルフゥ(宜しくお願いします)」

  「マッシャー、ヤッテキマー?(ワアァ、クールだなぁ?)」

  雷黄の姿に少し笑みを見せつつ挨拶を交わす二匹。

  「ルガ…(後は僕らか…)」

  「ルガルガンだと蒼剣ならいけなくないと思う」

  「ルガ!(よろしくお願いします!)」

  「ルガ!(私も!)」

  「じゃあ後で蒼剣に伝えておくわ」

  ルガルガン二匹の申し出に答えつつ他に誰かいないかと見渡すフォック。

  「おっと、そろそろ莉音の方に迎えにゆく頃合いだぞ?」

  そんなフォックにふと腕時計を見た龍狼が呟く。

  「おけ、さ~て、あいつらにはたっぷりとおしおきしないとね~」

  黒い笑みを浮かべながら色々と準備していくフォックに天馬と龍狼が苦笑をする中でポケモンとなった下っぱ達の咆哮が鳴り響いた。

  そうしてスカル団は終焉を迎え新たなる組織が誕生し始めた。

  『スカルドラゴ団』として。

  [newpage]

  「ついたわ、さっそく行動開始よ」

  『イエッサー!』

  フォックはメンバー達に指揮して色々と作業を行っておりメンバー達はスカル団の時の服装の一部を変更してバリエーション豊かな装いで彼らも作業を始めてゆく。

  その中で最初にポケモンになった五匹の方はと言うと。

  「それで、この子達を広いところに運んだけどこれからどうしてゆくんだ?」

  ポケモンになったメンバーの一部と共にパルスワンの身体を消火済みのヘリポートへと運んできた龍狼がそう言ってくる。

  「とりあえず膨らんでる子達の空気を抜いたほうがいいわね、俺はこれからあいつらにお仕置きに行ってくるから後はよろしく」

  そう言うとフォックは奥へと入り莉音と蒼剣がいる所に向かい始める。

  「そういうことなら…ラグラージ、出ておいで!」

  「ラグー!」

  天馬が投げたモンスターボールからラグラージが出てくる。

  「この子たちの空気を抜いてあげて、ただし優しくね」

  「ラグ!」

  天馬から指示を受けたラグラージは風船になっているポケモンのお腹を押し始める。

  「この子のパワーなら、すぐに空気抜けるんじゃない?」

  「そうだな、とりあえずそれで始めよう」

  「ナイス天馬さん、そう言うことなら…ルカリオ、来な!」

  「クワンヌ!」

  天馬のそのやり方を見た龍狼の放ったモンスターボールからルカリオが出てくる。

  「波動を使ってこの子達のお腹を刺激して、優しくな?」

  「ルルァ!」

  ルカリオは風船となっているポケモンのお腹に触れると体内に溜まり込んでいる空気の波動を感じ取ってそれを操って空気抜きをやり始める。

  「ンプッルル…」

  ラグラージにお腹を押し込まれて音が鳴り始めるパルスワンは喉から込み上げ始めるのを少し堪えて他の子を見る。

  「あ、我慢してね、空気抜いてあげてるんだから…他の子たちもやっていこうか、サーナイト、出ておいで!」

  「サナ!」

  「サイコキネシスでお腹を押して、空気を抜いてあげてもらえるかな?もちろん優しくね」

  「サナ!」

  サーナイトは両手からサイコキネシスを放ち二匹分の空気を抜こうとする。

  「ルググ…」

  「ルプゥ…」

  二匹のルガルガンのお腹からも音が鳴り、こらえるように声を上げる。

  「ならこっちはエレキブル、ストリンダー、電気で刺激を与えてくれ」

  「レキブル!」

  「スト!」

  それを見ていった雷黄は二匹を取り出して微弱な電気でお腹を刺激し始める。

  『ジャラップ』

  ジャランガとジャラランガもお腹から音が鳴り出してゆく。

  「いけるか?」

  「ルググ…!」

  「ルプゥ…!」

  雷黄が見てゆく中ルガルガン二匹はだんだんと口から空気が漏れ出てきている様だ。

  「うまくいってるようだな」

  「うん…もう一押しってところだね」

  「油断できない、段々とやっていこう」

  上手く抜けている様子に天馬が笑顔をみせるも雷黄が注意を促して気を引き締め直す。

  「了解だ」

  「プヒュウゥ…!」

  龍狼が合いの手を入れるとパルスワンも空気が抜け始めてゆく。

  「どんどん抜いていくな」

  「そっちのジャランゴとジャラランガ大丈夫か?」

  その2匹から抜けているのか不安に成ってきた龍狼が雷黄と天馬にそう聞いてくる。

  「問題ない」

  「うん、こっちもどんどん抜けていってるよ」

  「ジャラ(なんとか)」

  「ジャランガ(こっちも大丈夫だ)」

  二匹の方は問題なく抜けていっており確認した二人が返事する。

  「ルルオォ…」

  順調に進んでいる状況にルカリオが声を漏らす。

  数分後

  「フォウゥ!(みんなお疲れ!)」

  体内に入っていた気体を吐き出し終えて疲れた5匹にナディムが声をかけた。

  「これで何とかなったようだな」

  「ジャララガ!(スッキリしたぜ!)」

  「ジャラガ!(ありがとう!)」

  雷黄がその姿に頷いているとジャランゴとジャラランガもスッキリして体が軽くなった気分になっていた。

  「ピュルルロオォー…(身体モフモフされたぁー…)」

  「ヤッテキマシャー(旦那どうぞ)」

  程よく身体を触られた感覚に言い知れないモノを感じていたパルスワンにクワガノンが施設内にあった飲み物を持ってきて出してきた。

  「ありがとういただく…さて、フォックの方はどうなってるかだな?」

  「フォックの旦那は容赦ないからなぁ…どんな目にあうのやら?」

  其々飲み物を受け取って飲む中で雷黄と龍狼がそう話し合った。

  [newpage]

  5匹の空気を抜き終わり一安心する中蒼剣と莉音に加えてフォック達はここのリーダーの部屋にいた。

  「ごくろうさま蒼剣、莉音君、さてこっちもやらないとね」

  「あー、一先ず此方の資料見てくれるか?」

  莉音と蒼剣が調べあげて纏めた資料をフォックに渡した。

  「おっと…ふむふむ」

  資料をフォックは見てそう言いながら準備してゆく中蒼剣と莉音はロープで縛り上げて椅子に座らせたブレイク団2人を睨んだ。

  資料の内容はあの5匹が飲んだPチェンジリキッド改こと『Pチェンジウォーター』の取引記録があったようでありその販売員の詳細な情報は判明してなかったが『オーレ地方』の出身であることを理解する。

  「オーレ地方、確かあそこにも組織があるけど何者かによって壊滅したみたいだけど気になるようね?」

  オーレ地方は荒れた地方なのをフォックは聞いたことがあり更にその組織も聞いたことがあった。

  「とりあえず報告ありがとね、さてお仕置きと行こうかしら。ついでに逃がさないよ、逃げようとしても」

  椅子に座っているブレイク団の二人にそう言いつつフォックが一つのモンスターボールを投げると一匹の剣を加えたポケモンと続けて蒼剣もモンスターボールを投げると一匹の顔に盾を纏ったポケモンが出てくる。

  ガラル地方伝説のポケモン『ザシアン』と『ザマゼンタ』だ。

  「俺のザシアンと」

  「俺のザマゼンタから逃がさないぜ?」

  「むっ、むうぅー!」

  「むぐぐっ!」

  ザシアンの方は剣をブレイク団二人に向けザマゼンタの方はフォックと蒼剣を守るように立つ。

  「ブレイク団への繋がりが断たれてるから、独断での行動にしようとしてるみたいだぜ向こうは?」

  そう言いながら莉音が端末を見せる。

  「手際が良いわね、オーレ地方の組織と繋がりあるかは解らないけど調べる必要あるわね?」

  フォックはそう言いながら一つの薬を取り出す。

  「さて、手早く済ませるお仕置きで薬を飲んでもらうわ。ただし吐き出すなどしたらザシアンのきょじゅうざんなどが来るからな?」

  口にロープを付けられて唸り声を出していた二人が嫌な予感を感じて暴れる中そのままその薬を二人に飲ませる。

  「ングブッ!?」

  「ンゴエッ!?」

  薬を飲まされた二人は強烈な苦味と甘味で頭が混乱しその場を転がり回る。

  「さて、そろそろ変化が来るわね」

  フォックの声に反応するように段々と彼らの姿が変わり出すのを蒼剣と莉音が察して念仏を唱えて扉を閉めた。