どしゃぶられ上司とラブホ避難

  [chapter:1.]

  小降りになりかけた雨は、再び勢いを増していった。

  ぼくたちがいるホテルの窓の外は、ごうごうと唸る雨に煙って何も見えない。

  「君、まだそんな格好をしているのか。風邪を引いてしまうよ。早く脱ぎなさい」

  [[rb:犲燎一狼>さい・りょういちろう]]部長の声に返事をしようと試みる。が、ぼんやりと麻痺した頭では、ああ、はい とかそんな感じの声を出すのが精一杯だった。社会人としては失格だ。

  そう、失格。やらかしたミスの規模を考えれば、それ以外に言いようがない。

  退職した先輩から引き継いだ業務には奇妙な部分が色々とあった。対処の方法を聞こうにも前任者とは連絡が付かず、それで仕方なく、ぼくなりの方法で穴を塞ごうと試みた。が、対策は全て裏目に出て、[[rb:綻>ほころ]]びは大きくなるばかり。

  どうしようもなくなり、上司である係長に報告したぼくを待っていたのは、係長とその上司である課長のふたり同時の大目玉だった。

  我が社のお得意様の機嫌を損ねてしまったのだから、当然だ。

  騒ぎを聞きつけて出て来たのは、このふたりの更に上司である[[rb:犲>さい]]部長。

  『先方へのお詫びには私が行くよ。ほら、君も来なさい』

  部長とともにクライアントにお詫びに向かうや、今までの惨状が嘘のように事態は丸く収まった。その帰り道にゲリラ豪雨に遭い、雨宿りと休息を兼ねて手近なホテルに入ったのだった。

  

  抱えていた問題は解決した。けれども、そのせいで犲部長には迷惑をかけてしまった筈だ。

  溜め息とともにジャケットが肩からずり下がり、ぐしゃりと音を立ててカーペット敷きの床に落ちる。

  ああ、拾わなきゃ。ぼくが[[rb:屈>かが]]み込もうとするより先に、部長の大きな手が拾い上げた。

  「シャツもパンツもずぶ濡れだろう? せっかくの有給を寝込んで過ごすなんて馬鹿げているよ。[[rb:私も脱いだし>・・・・・・]]、さぁ君も早く」

  すみませんと発しながら、じれったそうな声の方を向く。それで、ぼくは――

  !?!?!?!?

  言葉を失った。

  肌着を着ないワイシャツはじっとりと濡れて、ベージュと灰色が複雑に入り混じった毛並みが透けて見えている。肌もとい毛並みを見せることで肉体を誇示するため、露出度の高い服を好むのは獣人の文化だとは知っていた。

  ただ、下からボタンを順に外し、たっぷりとした腹や厚い胸板――[[rb:恰幅>かっぷく]]の良い男性の起伏に富んだそれを"板"と呼ぶのが正しいのかは分からない――が[[rb:露>あら]]わになっていながら、ネクタイは締めたまま。その下の第一ボタンもそのままになっていて、全裸よりもかえって扇情的に見えて仕方がない。

  下に穿いていたものは真っ先に脱いだらしい。スラックスと靴下は今はなく、トランクスとおぼしき、ぐしょぐしょに濡れた布の塊を左手に持っている。

  そんな訳だから下半身は丸出しだ。がっしりとした太い腰や逞しい太股を惜しげもなく[[rb:晒>さら]]している。

  股間には男のシンボル――精力絶倫とのうわさを肯定するようなずっしりと立派な玉と短いが太い竿――が、持ち主のおおらかな人柄を反映したかのように堂々と揺れている。[[rb:勃>た]]っていない筈。でも、かなりの太ましさだ。すんぐりと太い胴を、厚みのありそうな包皮が先端まですっぽり覆い尽くしている。勃てば一体どうなるのか、見てみたい。出来れば口に含んで――などと考えていると

  「どうしたんだい? 何か気になる?」

  頭ひとつぶんは高い位置から、厚い眼鏡のレンズ越しに部長の目が笑っているのに気付いて、我に返った。

  「好きなだけ見ていいよ。何なら触ってくれてもいい。でも、君も脱ぐのが条件だ。私だけじゃフェアじゃないだろう?」

  [chapter:2.]

  仕方なく、ぼくはワイシャツと肌着、それと靴下を脱いだ。

  「ズボンも脱ぎなよ。パンツまでずぶ濡れだろう?」

  はい。ぼくは短く返事をし、観念してズボンとパンツを脱いだ。部長のモノが気になり、よくない想像を膨らませた結果、股間のモノが硬く充血してしまっていた。

  「男ならよくあることだよ。私も若い頃はよくなったものさ」

  たぶん、疲れているせいだと思います。少し裏返りかけた声で返すと、犲部長は少し残念そうな表情で

  「そうか。私のを見て興奮してくれたのかと思ったけど、違ったのかぁ」

  ……えっと、すみません。本当はそっちです。慌てて訂正すると、部長は困ったように笑いながら

  「こんなオジサンに合わせようとして、ムリしなくたっていいんだよ?」

  ムリじゃないです! 本当なんです! つい大きな声が出てしまった。

  ついでに勢い余って、目の前の分厚い皮に包まれた極太のモノに触って――というか、握ってしまった。

  「んっ、おぅ……」

  ぼくの手の中で、部長の雄の部分に血が集まって熱くなり、どんどん膨れ上がってゆく。

  すごい。思わず声が出た。

  

  ひと握りするには少し先端が余るけれども、ふた握りするには明らかに足りない長さ。

  対して、太さはとんでもないものだった。カチカチに充血しきった胴回りには指が回りきらない。付け根近くなどはコーヒーの缶どころか、500mlサイズのペットボトルくらいありそうな気がした。

  そんなふてぶてしい胴体に比べれば亀頭の部分は慎ましやかなようだ。勃ってもほとんどが分厚い包皮に隠れたまま出て来ないそれは、春先に顔を出すタケノコを思わせた。

  「気に入ってくれたなら何よりだよ」

  我に返って見上げると、部長が顔じゅうをくしゃっとさせて笑っていた。

  この場合、上司にあたる人物には一体どう返せば良いのか。新社会人向けのルールやマナーの本に書いていないことは明らかだ。言葉に詰まっていると、部長が口を開いた。

  「ひとつ、頼みたいことがある。こういった場に、仕事の関係を持ち込むのは非常に好ましくない。このホテルの部屋を出るまでの間は、役職とか肩書きとか一切忘れて欲しいんだ。もし嫌なことがあれば、ハッキリと断って欲しい。いいかな?」

  わかりました。ええと……犲、さん……? たどたどしく返すと部長もとい犲さんは困ったような笑顔で

  「出来れば下の名前で呼んで貰えると嬉しいかな。あと、今からは君のことも、苗字じゃなくて名前で呼ばせて貰うよ」

  思い返せば中学に上がる辺りから、いつの間にか友達同士でも苗字で呼び合うのが普通になっていた。名前で呼ばれるのは敏感な部分に触れられるようで、何だかくすぐったい。けれど、決して嫌な気持ちではなかった。

  「それと、ひとつ頼んでいいかな?」

  少しだけ腰をかがめて顔を近付けながら

  「ネクタイ、外れなくなっちゃって。取って貰えると助かるんだけれど」

  [chapter:3.]

  「あぁ、首と肩が楽だ。生き返る……」

  濡れて硬く締まったネクタイとワイシャツの第一ボタンから開放され、犲部長もとい燎一狼さんは満足げに太い方や首を回した。今は分厚いメガネと自前の毛皮以外、何も身に着けていない。

  尻尾を動かすのに合わせるように、股間に提げた立派な玉袋と[[rb:太々>ふてぶて]]しくぼってりとした竿がぶんぶんと揺れる。

  

  そういえば、普段はネクタイなどしていなかったことを思い出す。重要な会議など、ここぞと言うときでなければノーネクタイで過ごされている。そう、今回に関しては、ぼくが業務でミスなど起こさなければ、犲部長はネクタイを締める必要は無かった筈だ。

  ふたたび罪悪感を湧き上がらせていると、分厚くて大きな手が――ええと、この場合はどちらで呼ぶべきか分からない――ぼくの肩に触れた。そして、いつもよりずっと小さく優しい声で、ぼくの名前を呼んでくれた。下の名前を。

  それがきっかけで、今まで押し殺してきた色々な感情が[[rb:堰>せき]]を切ったかのようにあふれ出してきて、苦しくなった。小さな子供のように大声を上げて泣いてしまったぼくの体を、燎一狼さんが太い腕で抱きしめてくれた。逞しい腕と分厚くたっぷりとした胴に包まれる。[[rb:人間>ぼくら]]よりも少しだけ高めの体温が心地良かった。汗と雨でしっとりと蒸れた二重被毛からは、ほんのかすかな香水と加熱蒸気式タバコの甘くて苦い枯草に似た匂いが入り混じった。

  「大丈夫だよ。大丈夫」

  厚みのある胸の奥から響く声と呼吸音、心音に、ひどく安らいだ気持ちになった。

  ぼくが落ち着きを取り戻した頃には、雨はすっかり止んでいた。

  さっきまで雨に煙って見えなかった窓の外は、空気が澄んでいるようにくっきりと見えた。

  空は相変わらず灰色の雲が立ち込めている。けれども、大きく開いた切れ間からは金色の夕陽が光を投げ掛けていた。

  「先方とも話をしたけれど、あれくらい全然問題ない。充分にリカバリー可能だって言っていたよ」

  部長の顔に戻った燎一狼さんが穏やかな笑みを浮かべながら言うのが、にわかに信じられなかった。

  本当ですか!?

  「ああ、本当だとも。それに大抵のことは何らかの形でリカバリーが利くものさ。ただ、人の命がかかるとなると、そうはいかないけれどね」

  最後は少しだけ重々しさを帯びる言葉に頷く。

  「というか、そもそも今回の原因は君じゃないだろう?」

  えーっと……。言葉に詰まり、ぼくは目を逸らした。

  「記録を確かめてみたよ。君が報告した箇所は前任者のときから変わっていなかった。むしろ、よく報告してくれたね。それに、反省するのは私たちの方だ。いつの間にか報告しづらい空気を作ってしまったのだろう。申し訳無かった。係長と課長にはよく言っておくし、今後、再発防止のために必要なことを考えるよ」

  ここまで言うと、部長はふぅ、と息を吐き

  「さぁ、仕事の話はおしまい。で――」

  何故かちょっと残念そうな顔で外を見た。

  「雨、止んじゃったね」

  [chapter:4.]

  何か問題でも? ぼくが問うと、もうすっかり部長のガワが剥がれた燎一狼さんは

  「だってさぁ。私が君をここに連れてきた口実って雨宿りじゃないか。雨止んじゃったなら、ここにいる理由、もう無いだろう?」

  今までオフィスで見てきた姿からは想像もつかない、まるで駄々をこねる子供のように口を尖らせて言う。

  

  理由が無ければダメですか?

  「いや、ダメじゃないよ? むしろ私としては大歓迎なんだけど……そもそも、こんなオジサンで大丈夫? さっきも言ったけど、立場とかそういうの関係ないからね。本当にダメならハッキリ言ってくれなきゃ……その気になってしまうよ?」

  ぼくはもう、さっきからずっと、そのつもりだったんですが。

  ためらうような顔と、股間にぶら下がっている太々しいモノが、出番を待ちわびているかのように徐々に充血を始めるのを交互に見ながら言葉を返す。体は正直だ。

  「君が私に好意を寄せてくれているのは、匂いで気がついた。ここに来る途中、電車に乗ったときにね」

  さっきまではとても頼もしく思えた大きくて分厚い手が、今はひどく頼りなく震えている。

  「でも、匂いは人によって少しずつ違うからね。[[rb:嗅覚>はな]]にばかり頼っていては失敗する。それで若い頃には随分と失敗したものだ。……それに何より、拒まれるのは怖いんだ」

  弱々しく笑うのに、言葉で返す代わりに震える大きな手に触れる。最初はそっとためらうように、次第に力強さを増して握り返してくれた。

  頭ひとつぶん高い位置にある目を見る。今度は何も言わず、広い背を[[rb:屈>かが]]めて顔を近付けてきた。

  それを受け入れる。唇に[[rb:口吻>マズル]]の先端が触れる。[[rb:犬狼族>けんろうぞく]]の尖った歯が当たる。舌を絡め合う。さっき飲んでいたミルクと砂糖のたっぷり入った缶コーヒーと、いつも吸っているタバコの入り混じった、苦くて甘い味。

  酒に酔ったかのような気分で口を離した後、先に言葉を発したのは燎一狼さんだった。

  「あっ」

  どうしましたか? 敬語が抜けないのは勘弁してもらおうと思いながら問うと

  「風呂の湯、出しっぱなしだった……」

  [chapter:5.]

  燎一狼さんとぼくが入ったホテルは、掃除こそ丁寧に行き届いているものの、設備自体はかなり古かった。風呂も冷水と熱湯のふたつの蛇口を交互にひねって温度を調節するタイプだ。当然ながら、自動湯張りだなんて気の利いた設備があったりなどはしない。

  「あぁー、やっちゃったー……」

  ふたりで浸かっても充分に余裕のありそうなバスタブからはザブザブと音を立てて湯があふれ、洗い場の排水溝に吸い込まれてゆく。その光景を見ながら、燎一狼さんが呆然と呟いた。

  

  **********

  「おいで。洗ってあげるよ」

  洗い場にあふれた湯が引いてから、温度と勢いを調節したシャワーを手に招くのに応じる。

  「熱すぎたり、冷たすぎたりしないかい?」

  うん……じゃなかった、はい、丁度良いです。

  「言い直さなくて良いのに」

  ボディソープを泡立てながら燎一狼さんが笑う。大きな手に包まれて、ぼくの体はあっという間に泡まみれにされてしまった。

  「人間の肌って面白いね。全身が手のひらや足の裏みたいにツルツルでさ」

  ほぼ無毛の肌の感触それにぼくの反応が楽しいのか、心底嬉しそうだ。

  自分以外の誰か、好きになりかけている人に触ってもらうのは、くすぐったいけれども気持ちが良い。

  

  ぼくからすれば、獣人の皆さんの方が興味深いですよ。

  目の前にいるこの[[rb:獣人>ひと]]もまた、ぼくと同じように触られることが嫌いでないことを期待しながら触り返す。

  今しがたしてくれたことのお返しにと、ボディソープのディスペンサーをプッシュして中身を取り、両手で泡立ててみたものの、足りそうにない。燎一狼さんはぼくの意図を理解したようで

  「ちょっと待ってね」

  シャワーヘッドをフックに引っかけると、ぼくがプッシュしたボディソープの隣のボトルを手に取った。

  分厚いメガネの奥で目を細め――外すと何も見えないらしく風呂の中でもそのままだ――、しばらく表示を確認すると

  「うん、大丈夫」

  ボトルの中身を豪快に頭から肩のあたりに被った。ボディブラシを手に取り、ぼくの体にそうしてくれたときとは違って豪快な手つきでガシャガシャと手早く泡立てながら塗り広げてゆく。

  好きにしてくれと言わんばかりに広げた両腕の中に、おそるおそる近付くと

  「どうした?」

  転んで頭を打ったら大変ですので。ぼくが返すと燎一狼さんは豪快に笑い

  「あっはっはっは! そんなことか! 高校くらいまでずっと武術をやってきたからね。今だって足腰には自身がある。君に抱きつかれたくらいじゃびくともしないさ。ほら来て」

  そうは言ってもホテルで転んで頭打って労災とかシャレになりませんよ? いろんな意味で。

  「だから、もう勤務時間は終わりだってば」

  とにかく、この[[rb:獣人>ひと]]、仕事以外はかなり大雑把みたいだから全部鵜呑みにするのはちょっと危険だ。などと思いながらも指先や手、腕全体を使いながら塗り広げられたボディソープを出来る限り丹念に泡立ててゆく。

  「あぁ、気持ちいいよ……」

  半分目を閉じて低く唸るのを見ると、なんだか嬉しくなる。太い首に腕を回してしがみつき、懸垂の要領で――とは言ってみたものの鍛錬不足で大して持ち上がらない――体を上下させる。

  「大胆だね」

  部下がこんなでがっかりしましたか? ぼくが問うと燎一狼さんはいいや、と嬉しそうな顔で小さく首を振った。

  

  右腕は首に回したまま、自由になった左手で乳首に触れる。少し黒ずんでいて乳輪は大きい。今は泡に覆われた毛並みの只中にあって、麦畑のミステリーサークルを思わせるそれを指の腹で撫でる。陥没した乳首をくりくりと指先で弄るたびに「うっ!」「あぁ……」と甘く無防備な喘ぎ声を漏らした。

  乳首、感じるんですね? 燎一狼さんが小さく頷いてくれたのが、何だか嬉しかった。

  「もう片方も頼むよ」

  大きくてがっしりとした手で、ぼくの尻の肉を鷲掴みにする。

  「右腕、疲れただろう? 離しても大丈夫だよ?」

  転ばないでくださいね? さっきと同じ言葉を繰り返すと「信用無いなぁ」と燎一狼さんが笑った。

  [newpage]

  [chapter:6.]

  ボディソープの泡を洗い流して湯舟に浸かる。まず燎一狼さんが入ると、なみなみに張った湯がザバーッと豪快にあふれた。湯が排水溝に引いて行くのを待ってから、ぼくも続く。今度はさっきよりも少ない量があふれただけで済んだ。

  「これなら安心だろう? 転ばないし」

  大きな手でぼくの体に触れながら眠そうな声で言うのに、そうですねと返す。尻を支えられたままの格好で両方の乳首を弄ってはみたけれど、どうにも手つきがぎこちないのがバレたようだ。

  「さすがに不安と恐怖の匂いがするのに続けていても、ね」

  獣人のなかでも犬狼族や熊族は嗅覚が鋭いと言われている。体から発する匂いで感情の変化や嘘をついていることすら嗅ぎ分けることの出来る[[rb:獣人>ひと]]がいることは知っているけれど、まさか燎一狼さんもそうだとは思わなかった。驚きを口にすると

  「怖いと思うかい?」少しだけ寂しさやためらいの混じるような口調で言うのに、ぼくは首を振る。ちょっと前、今の仕事を任される直前まで付き合っていた人も、燎一狼さんと同じように感情の匂いを嗅ぎ分けることに長けていた。

  別れたのは決して怖かったからじゃない。相手は警察官だった。忙しさの中、予定が合わずすれ違ってばかりいるうちにお互いに冷めてしまっただけだ。

  「それで君は、[[rb:ここ>・・]]が空いてしまったのを仕事で塞ごうと思ったのかな?」

  太い指で胸の辺りをなぞるのに、はい、と短く返事をすると

  「それはいけないよ」穏やかだけれどはっきりとした口調で首を振った。

  「他人との関係の悩みを仕事で塞ぐのは良いことではない。私もそれで、随分と失敗してしまったからね」

  人間であるぼくは嘘を嗅ぎ分けることも感情の匂いも分からない。けれども今、燎一狼さんの悲しみを感じることが出来た。ぬるい湯の中で、指と指を絡め合う。ぼくの手よりずっと大きくて分厚く、指も太い。けれどもひどく優しい手つきのまま、言葉は続く。

  「沢山、失敗してきたよ。仕事でもプライベートでもね。中には、取り返しの付かないこともあったさ。……ごめんよ。君にこんな話をしてしまって……ん、っ……」

  体の向きを変えて、[[rb:口吻>マズル]]を唇で塞ぐ。今度はぼくの方から。[[rb:貪>むさぼ]]り合うようなキスをしながら、湯の中でたっぷりとした体を[[rb:弄>まさぐ]]る。[[rb:臍>へそ]]の辺りから下を手探りで触れると、ずんぐりとした雄の象徴が熱を帯びて臨戦態勢になっているのが伝わってきた。先端は慎ましやかだが、根元に近づくにつれて太さが増してゆくタケノコ型だ。

  正直ですねとぼくが言うと「今くらいは良いじゃないか」と笑ってくれた。

  

  **********

  「しゃぶってくれるかい?」燎一狼さんが湯舟のへりに腰掛けると、湯のかさが一気に減った。太い脚のあいだ、股座でふてぶてしく主張するモノに触れる。厚みのある皮をめくって、胴にふてぶてしい胴と比べれば可愛らしい亀頭を露出させ……あれ、皮の先っちょが狭いせいで引っかかってほとんど出てこないや。

  「そのまま皮ごとパクッといっちゃってよ。大丈夫、さっき中まで指突っ込んでしっかり洗ったから」

  珍しい果物の食べ方指南みたいだな。言われるままに先端を皮ごと[[rb:咥>くわ]]えると、ボディソープの香料が鼻に抜けた。口中にじゅわっと[[rb:滲>にじ]]み出てくるしょっぱい汁を飲み下してから先端を音を立てて吸うと

  

  「おぅ……っ……」

  持ち主は気持ち良さそうに声を上げた。先端部分を咥えるのは難しくはなかった。けれども、胴の半ば辺りでもコーヒー缶くらいは太さがありそうで、頬張ろうとすると顎が外れそうだ。それでもどうにかならないかと試しながら上目遣いで燎一狼さんの顔を見たところで目が合った。大きな手でぼくの頭をそっと撫でながら

  「大丈夫? 苦しくない?」

  すみません、歯が当たってしまいましたか?

  「それは大丈夫だよ。そんなことより、そこまで無理しなくても充分に気持ち良いよ」

  視界の端で尻尾がぱたぱたと揺れている。職場にいるときには尻尾を揺らしているところをあまり見たことがなかったから、感情が尻尾に乗らないタイプの人かと思ったけれど、どうやらそうじゃないみたいだ。

  [chapter:7.]

  燎一郎さんの、とっても美味しいです。先端からとろとろと垂れ続ける透明の汁を舌で舐めながら言う。その格好のまま上目遣いで見上げると、分厚いメガネのレンズの奥で嬉しそうに目を細めた。尻尾が更に激しくぶんぶんと揺れている。

  「気に入って貰えて嬉しいよ。好きなだけ食べてくれ」

  ぼくの髪を優しい手つきで撫でてくれるのを感じながら、血管を浮かべて怒張しきった果実の先端を吸う。太すぎて口に含みきれない胴の部分を厚い包皮の上から[[rb:扱>しご]]くたびに、クチュクチュと湿った音を立てた。しばらく続けてから口を離し、今度は舌を包皮と亀頭の間に差し込んで、ぺろぺろと舐める。予想した通り、分厚い皮に守られた果肉は敏感なようだ。

  「あっ……! そこ弱っ……!」

  今までとはうって変わって余裕なさげに声を震わせる。それが面白くて、ぷりぷりに張り詰めた敏感な肉を舌で直にかき回した。大きく開いた尿道口からにじみ出る汁を塗り広げながら、皮に守られたまま外に出たことのないカリ首を舌先で探り当てて舐め回す。そうしながら、ずっしりと重みのある玉袋を指先でそっと揉みしだいた。

  

  「んっ……もっとしてくれ……そう……っ!」

  ぶるぶると震える手で、燎一狼さんがぼくの頭に置いた手に力を込めた。続けてくれの合図だとみなして、更にそうする。舌先に当たる肉の感触は、どんどん硬さを増してゆく。

  「っあ……もう、[[rb:射精>で]]る……イく……っ!」

  声を立てるのとほぼ同時に、極太の肉をビクビクと激しく脈打たせた。そこから吐き出される青臭い精液が、口の中に溢れそうになる。濃すぎて喉に絡みそうになるそれをどうにか飲み込んでから、尿道口に残る液体を舌で舐め取った。それから包皮と亀頭の間に舌を差し込もうとしたところで

  「ストップ! くすぐったいからもういいよ!」

  太い指先で肩の辺りをトントンと軽く叩いてきた。どうやら降参のつもりらしい。

  口を離すと、燎一狼さんはふたたび湯の中に入って、ぼくの体を抱き寄せてくれた。

  「しゃぶるの上手いね。誰から教わったんだい?」

  我流ですと答えてから、また口吻に唇を押し付ける。口の中には苦くて青臭い精液の味がまだ残っていた。舌を絡めてその味を伝えると「苦いな」眉間にちょっと皺を寄せた。

  疲れているときって、苦くなるって言いますよね。

  「じゃあ、しっかり休まなければね。君も私も。その前に、君も溜まっているだろう? どうすれば良いか教えてよ」

  ぼくの股間で硬くなったままの男の目印を撫でながら言う燎一狼さん。その大きな手を取って、形ばかりに充血しているモノよりも[[rb:後ろ>・・]]、尻肉の間に隠された肛門へと導く。

  こっちで気持ち良くなりたいです。そう伝えると、嬉しそうな、けれどもちょっとだけ心配そうな顔で

  「勿論だとも。でも、私のは太いよ? 無理して裂けたりすると後が大変だ」

  だけど、試してみたいです。

  「なら、そうしよう。痛かったらちゃんと言うんだよ?」

  太い指で尻の肉をかき分け、その間に隠れた穴を探るように撫でながら言うのに頷く。

  「ああ、でもだいぶお湯が冷めて来ちゃったね。続きはベッドでしようか」

  それなら先に上がっていてください。ちょっと準備があるので。

  

  「分かったよ。また後でね」

  名残惜しそうにぼくを抱きしめてから、燎一狼さんは風呂場から出て行った。獣人用の全身用ブロワーがゴーッと音を立てるのを聞きながら準備を始める。排泄のための器官を使うのだから、出来る限り綺麗に洗うのが一応はマナーだ。万が一[[rb:事故>・・]]が起きても気にしないでくれそうだけれど、備えはしておきたかった。

  [chapter:8.]

  かなり遅れて脱衣場から出ると、燎一狼さんはベッドの上に[[rb:胡座>あぐら]]をかいて小さな携帯端末に何かを打ち込んでいるようだった。会社から貸与された仕事用の携帯端末だ。神妙な横顔。もしや何かあったのではと、また不安な気持ちが芽生え始めるのとだいたい同じタイミングで顔を上げた。ぼくを見てへらりと笑い

  「大丈夫かい? 調子悪いのかと心配してしまったよ」

  すみません、お待たせしましたと言うぼくの顔と、首から提げるストラップの付いた業務用端末を交互に見てから

  「君さえ何ともなければ全然構わないよ。ああ、これは君の件とは一切関係がないからね。大丈夫だ。さぁ、おいで」

  

  促されるままベッドに転がり込むと、太い腕に抱きしめられた。タオルとブロワーで念入りに乾かした毛並みからはボディソープの香りがかすかに漂い、温かさとわずかな湿り気を感じた。

  「だいぶ冷えちゃったね。温かくしないとダメだよ。……って、私のために準備してくれてたんだったね」

  元々ぼくらより高めの体温が心地良くて思わず目を閉じる。

  「疲れが出たかな? ちょっと眠るかい? いいよ。時間はたっぷりあるから」

  慌てて目を開けて首を横に振ると、燎一狼さんが低く声を立てて笑った。

  「したくて堪らないって匂いがする。私もだよ。ほら」

  さっき風呂場で暴発したふてぶてしい肉の竿――愛らしい先端と凶器のような根元のタケノコ型――は、ふたたび硬さを取り戻した様子だった。

  「あと2、3発は出来そうだよ。君のも見せてよ」

  促されるまま仰向けになって脚を持ち上げ、尻の肉を手で割って見せる。そこに燎一狼さんが顔を近付けた。ちょっと恥ずかしい。

  「可愛いなぁ。綺麗なピンク色だ。女の子のアソコみたいに縦に割れちゃってる。大きいのが好きなのかい?」

  頷く。

  「会社じゃとってもマジメなのに、こんなにエッチだったなんて……最高だよ」

  ハフハフと息を荒くしながら、ぼくの尻肉を大きな手でこじ開けて穴を舐め始めた。くすぐったさに声が漏れる。

  「君の[[rb:肛内>なか]]に早く[[rb:挿>い]]れたくて仕方ないんだ。良いかい?」

  いつの間にか右手に使い捨ての薄地の手袋をはめている。アレルギーを起こさない素材で作られた高級な部類に入る品だ。

  「慌てないで。ちょっとずつ慣らして行くからね。力を抜いて」

  ローションのぬめりを帯びた指が這入ってくる。

  「どう? 痛くない?」大丈夫だと返すと、直腸の内壁を確かめるように指がくにくにと動くのが分かった。

  「お、前立腺はここだね」頭の芯が痺れるような感じが来た。ラテックスアレルギーが無い旨は後で伝えるとして、早く欲しいとねだって見せる。

  そうして指を2本、3本と増やして穴を内側から押し広げるように動かす燎一狼さん。これはこれで気持ち良いけれど、太くて短い股間のモノが欲しくて仕方がない。

  [chapter:9.]

  「挿れるよ」

  大きな体がぼくの上に覆い被さってきた。充分に慣らされた肉穴のへりに、指とは違う柔らかくて熱を帯びた、弾力のあるモノが宛がわれた。それを招き入れるように力を抜く。あぁ、[[rb:這入>はい]]ってきた。

  

  「今、先っちょだけ[[rb:挿入>はい]]ってるよ。分かるかい?」

  頷いてから、奥まで来てくださいとねだって見せると[[rb:肛内>なか]]で硬さと熱さを増した。

  「じゃあ、力を抜いて。でも痛かったら言うんだよ? 無理はダメだからね」

  内側から押し広げるように、熱い塊がズブズブと分け入って来た。

  「痛くない?」

  大丈夫です。即答するぼくに、顔全体をくしゃっとさせる燎一狼さん。

  実のところ、ちょっとだけ痛かった。でもそれ以上に気持ちが良い。

  「すごいね。根元まで全部、挿入っちゃった。ほら」

  ぼくの手を取り、繫ぎ目の辺りをなぞるように触らせてくれる。部分的にしか毛の生えていない人間の体と、全身のほとんどを二重被毛に覆われた獣人の体が、ひとつに繋がっているようだった。

  燎一狼さんのたっぷりとした体が呼吸のたびにおおきく揺れる。そのたびに繋がった部分のすぐ近く、体毛のあまり生えていない尻の辺りに、ちくちく、ふわふわとした毛並みの先端が擦れてくすぐったい。

  「どうする? もう動いていいかな?」

  少し考えてから、もう少し今のままでいて欲しいと伝える。大きな背中を屈めて、繋がったままキスをしようと試みる燎一狼さんだけれど

  

  「……あ、抜けちゃった」

  長さがちょっと足りなかったらしい。

  竿は今度はすんなりと、通り道の出来たぼくの肛内へと戻ってきた。それからしばらくはじっとしていたけれど

  「もう慣れて来ただろう? 動くよ」

  ぼくの返事を待たず、燎一狼さんは太く逞しい腰を[[rb:動かし>んぁっ♥]]始めた。武術[[rb:をやって>あっ♥]]いたのは[[rb:もうず>あっ♥]]っと昔のことらしい[[rb:けれど>あっ♥]]、昔取った杵柄は[[rb:健在の>あっ♥]]ようだ。

  ゆっく[[rb:りとし>あっ♥]]た、けれども[[rb:重く確>あっ♥]]かな動きで内側の弱い[[rb:ところ>あっ♥]]を責めてくれた。

  「可愛い声で啼くんだね」

  ぼくの脚を[[rb:抱えて>あっ♥]]ピストン運動を[[rb:続けな>あっ♥]]がら笑う。ペースは次第に[[rb:速くな>あっ♥]]っていった。粘膜が擦れ合う[[rb:たびに>あっ♥]]クチャクチャと湿った音を立てる。

  

  「気持ちいいかい?」

  うん。直腸の内壁越しに弱いところ――燎一狼さんが言うには前立腺――を[[rb:何度も>あっ♥]][[rb:擦られ>あっ♥]]て、頭の芯が溶けてしまいそうだった。

  「君のナカ、熱くてキツくてすっごく気持ちいいよ……!」

  無我夢中で太い腰を打ち付けながら荒く息を吐く。そうしながら、太い指先でぼくの男の部分に[[rb:手探り>あっ♥]]で触れた。

  

  「お尻、気持ちいいんだね。君のココ、ビンビンになってる」

  内側と外側の[[rb:二箇所>あっ♥]]から[[rb:責めら>あっ♥]]れて、意識がトンでしまいそうだった。そんなぼくの肛内で暴れる燎一狼さんの熱いモノもまた、破裂しそうなくらいに硬く張り詰めているみたいだ。限界は近そうだ。いっぱい射精して。気持ちが良くて頭がぼうっとしているせいで、舌っ足らずな言い方になってしまった。

  「……欲しいのかい? 欲しいんだね……もう、すぐイキそう、だ……!」

  太い腰で激しいピストン運動を続けたまま、太い指先でぼくのペニスを扱く。燎一狼さんの手の中で達してしまった。

  「イッちゃった、ね……気持ち、良かった、かい? 今、君のナカ、すっごい、締まって……イク……っ……!」

  最後のひと突きの直後、ぼくの中で燎一狼さんの一部が激しく脈打っているように感じた。野生の獣じみて荒い息をつきながら、たっぷりとした大きな体でぼくの上に圧し掛かってきた。

  「気持ち、良かった、よ。……ありがとう、ね」

  未だ硬さが衰えないモノを呼吸に合わせてゆるゆると抜き差しする燎一狼さん。まだ硬いんですね。ぼくが言うと褒め言葉と解釈したようで、えへへ、と照れたような笑みを浮かべた。

  「もうあと何回でもイケるよ。次はどんな体位がいい?」

  ぼくは燎一狼さんと、上司と部下の関係にあることなどすっかり忘れて愉しんだ。

  [chapter:10.]

  いつの間にか寝てしまっていたらしい。

  さっきまでの出来事は全て夢だったような気がしてならなかった。

  どしゃ降りの雨をしのぐために立ち寄ったホテルで犲部長と下の名前で呼び合い、まるで恋人同士のような時間を過ごしていたこと。

  もはや解決不能と思われたトラブルが、部長のおかげで丸く収まったこと。

  あるいは、課長と係長の両名から大目玉を食らっている最中、部長が助け船を出してくれたことも。

  すべて、ぼくが現実逃避に生み出した幻に思えた。

  けれども、そうではなかった。

  ぼくは犲部長に腕枕と添い寝をされて眠っていたらしい。その格好のまま目が合った。すると部長は何故か急に険しい顔になったではないか。

  「やぁ、起きたのかい? さっき日付が変わったよ」

  声や口調はいつも通りだ。機嫌が悪いとか、そういうことはなさそうだ。そういえばメガネをかけていない。裸眼だと何も見えないと言っていたのを思い出す。メガネを取りましょうかと声を掛けると「そうしてくれると助かる。ありがとう」

  分厚いレンズにきつめの度が入ったそれを、ベッドサイドのテーブルから取って部長もとい燎一狼さんに手渡す。

  「そうそう。これが無いと何も見えないんだ。さっきの[[rb:おれ>・・]]の目つき、酷かっただろ?」

  度のきついレンズの奥で、オフィスで見かけるときよりも屈託なく笑う燎一狼さん。ちょっとびっくりしましたと返すぼくを、燎一狼さんは少しばかり神妙な顔で見た。

  「そういえば、少しうなされていたようだけれど、大丈夫かい?」

  そうだったんですか? 覚えていないです。久々によく眠れてスッキリした気分です。

  「[[rb:久々に>・・・]]ってことは、少なくともここ最近は寝付けないことがあったんだね?」

  ええと……はい。白状すると、また部長の顔に戻った燎一狼さんは続けて

  「明日――じゃなくて、今日は休むといい。いや、少しでも休んで仕事から離れるべきだ。有給は残っているだろう?」

  有給休暇は余っていたし、今年中に使い切れなければ失効する分もそこそこあった。

  「課長と係長にはおれから伝えておくよ。そうすれば、あいつらだってダメとは言わないだろう」

  何から何まで、ありがとうございます。[[rb:無礼講>・・・]]とはいえ――もっと言えばどちらも何も着ていない――、寝転んだまま感謝の意思は伝わらないだろう思い、ベッドのマットの上に正座して頭を下げる。そうしたら部長は驚いたようで、ベッドの上に体を起こしてあぐらをかいた。巨体が動いたはずみでベッドのスプリングマットが大きく揺れた。転げ落ちそうになるぼくの体を、燎一狼さんの太い腕が支えて抱き寄せてくれた。あぐらをかいた膝の上に頭を乗せた格好になるぼくに、燎一狼さんは

  「礼を言われるようなものではないよ。とにかく、ゆっくり休んで――……」

  何を思ったのか、一旦言葉を切り、メガネの奥で目が宙をさまようような動きをしてから

  「実は、おれも今日休みなんだ。それで……君さえよければなんだけれど、もう少し一緒に過ごさないか?」

  はい、是非とも! 即答したぼくに、けれども燎一狼さんは

  「別に強制じゃないんだよ? 他に用事があったり、ひとりで過ごしたいなら無理をする必要は無いんだ」

  ひとりだと、色々考え込んでしまいそうですから

  「……そうか。それなら、君のことをもっと教えて欲しい。体のことだけじゃなくて、趣味の話とか好きな映画とか、君のことなら何でも知りたい。さっき風呂でしてくれたみたいな昔の話でも。それで、出来れば君にも、おれについて興味を持ってもらえれば嬉しい」

  奥ゆかしい愛の告白に似た言葉に、気の利いた返事が見つからず、ぼくはただ頷いた。この[[rb:獣人>ひと]]のことを、ぼくはきっと、もっと好きになる。そんな気がした。

  視界の端、あぐらをかいた股の間で、今は大人しくなっている竿と玉に目が行ってしまう。さっきまではぼくの[[rb:肛内>なか]]で大暴れしていたのだ。見ていると、さっきまで激しく繋がっていた部分が疼いてくる。もっと欲しいけれども、さすがに今日はもう無理だろうと思って見ていると、ぴくりと動いた。

  「まだ気になるかい?」

  チラチラ見ていたのがバレて気まずくなり、慌てて目を逸らすも

  「良いんだよ。好きなだけ見てくれ。何なら触ったり舐めたり、好きにしてくれても……あ、さっきエッチしたのを思い出したら[[rb:勃>た]]って来ちゃった」

  分厚い皮に包まれた極太のタケノコを思わせる逸物は、ふたたびムクムクと充血し、太さと硬さを増しながら[[rb:勃>た]]ち上がった。

  「チェックアウトまでまだ何時間もある。ゆっくりやろうじゃないか」

  続き、やりたいです。燎一狼さんの大きな体にしがみつくようにしなだれ掛かる。

  「何をしたい? してほしい?」

  えーっと……。

  

  宿泊コースの時間ギリギリまで費やしても尚、互いに対する興味は尽きるどころか増す一方だった。

  この日の出来事をきっかけに、ぼくたちは恋人同士として付き合いを深めることになる。その話はまた別の機会にすることになりそうだ。

  (了)