夕暮れどき、フェルンはフリーレンとの修行を終えて、少し疲れた顔で扉を開けた。
玄関には、見知らぬ少女が立っていた。
ボサボサの灰色の髪。
泥にまみれた手足。
服には乾いた血のようなものがこびりついている。
フェルン「ただいま戻りました、ハイターさ──ま……。……えーと、お客さんでしょうか?」
ハイターは穏やかな笑みを浮かべていた。
その背後に、少女が隠れるように立っている。
「おかえり、フェルン。事情はあまり詳しく聞いていないのですが……その辺で拾いました。
とりあえず、新しい家族ですよ。」
そう言って、ハイターは部屋の奥からタオルと水の入った洗面器を持ってきた。
少女の前にしゃがみこみ、やさしくその手足を拭う。
「近所を散歩していたら、家畜を襲おうとしていたので止めたんです。
……自分の名前が言えますか?」
少女は目を伏せたまま、小さく口を開いた。
「……アルタ。」
その声は掠れて、どこか怯えているようにも聞こえた。
フェルン「私はフェルンと言います。よろしくお願いいたします、アルタさん。」
一拍の静寂。
少女はわずかに顔を上げ、フェルンを見つめる。
その視線の奥にあるのは、警戒心か、それとも希望か。
ハイターが柔らかく笑った。
「これから賑やかになりますね。」
窓の外では、日が完全に沈み、静かな夜が始まろうとしていた。