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【Remake第0章~第2章】虚構のカジノ、奪われた未来 ―魔法少女スターライト・パステル~星宮エリスになっちゃった!Remake~スピンオフ小説

  [chapter:第0章 紫弓の閃光 ― 対怪人ザ・フォト討伐任務]

  夜の街を、鋭いシャッター音が切り裂いた。

  「――これで“世論”なんてちょちょいのチョイよォ……フヒヒ!

  熊市内閣の支持率を下げてやるー!!」

  黒い撮影機材を背負った奇妙な怪人 ザ・フォト が街灯の上で狂気の笑いをあげる。 レンズ頭部がうごめき、次の標的を探していた。

  「その悪趣味、ここまでよ!」

  紫の光線が夜を裂き、怪人の足元を射抜く。 振り返ると、風に翻るツインテール―― 白と紫の魔法スーツの少女、スターライト・モラード が屋上に降り立っていた。

  「魔法少女ぉ!? じゃあまずはアンタを撮影し――“悪の魔法少女疑惑”で炎上させてやるッ!」

  連射されるシャッター光線。 モラードは冷静に魔力の盾を展開し、光を受け流す。

  「あなたの技、全部読めてるわ」

  弓に光が集まり、紫弓が生成される。

  「スターライト・アロー――!」

  [uploadedimage:23022856]

  放たれた光矢がレンズを貫き、怪人ザ・フォトは悲鳴を上げて爆散した。 破片だけを残し、闇に消える。

  モラードはひとつ息をつき、制服のポケットからスマートフォンを取り出した。 「ふぅ……さて、協会に連絡っと」

  画面をタップすると、“任務報告アプリ”が起動する。 怪人の残留魔力データと、戦闘ログが自動で読み込まれた。

  [uploadedimage:22959538]

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  【 討伐ログ送信先:魔法少女協会 】

  ■対象:怪人ザ・フォト

  ■結果:殲滅

  ■分類:世論撹乱系

  ■備考:今回の撮影データから、背後組織の反応なし。

  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  送信ボタンに触れると、画面が紫に瞬いた。

  「……よし。バックアップデータも送りましょう」

  モラードは続けて“今日の戦闘バックアップ”を協会サーバーへアップロード。 戦闘映像、魔力の解析情報、自身の魔力状態――すべてがクラウドに保存されていく。

  「これで今日の任務は完了」

  そう呟くと、スマートフォンをしまい、夜風に髪を揺らす。 (明日も、街を守れるといいな……)

  彼女はまだ知らない。 この直後、彼女自身が“運命の賭け”へと誘われることを――。

  [newpage]

  [chapter:第1章 虚構のカジノ、奪われた未来]

  「もう……出ないし……!」

  月島ミカはスマホを投げ出して、天井を仰いだ。 お気に入りの魔法少女カードゲームで、目当てのキャラを引けずに70連目。 ギャル系の見た目とは裏腹に、誰よりも魔法少女に夢中なオタク魂がくすぶっていた。

  [uploadedimage:22959548]

  深夜2時。家族は寝静まり、画面だけがミカの顔を照らす。 ふと、画面に見慣れぬ通知が現れる。

  《 君の“本当の運”を、試してみない? 》

  「……あ? なんだこれ」

  寝ぼけた指が、通知をタップした。 その瞬間、視界が白に染まり――彼女は仮想空間へと吸い込まれていった。

  ◆

  「っ……な、なにこれ……!?」

  目の前に広がるのは、金と紫の光が溢れるきらびやかな空間。 高い天井、回転するルーレット、派手なスロット。 ここは――仮想空間のオンラインカジノだった。

  そして自分の格好に気づいた瞬間、ミカは叫び声を上げた。

  「なんでバニー……!?」

  [uploadedimage:22959649]

  黒のバニースーツに黒タイツ、うさ耳までついた露出度の高い衣装。 自分の意思とは無関係に“着せられた”ことが、羞恥と混乱をさらにかき立てていく。

  「ようこそ、運命の客人。さあ――“エナジー”を賭けて、ゲームを始めましょう」

  声は甘く、どこか人間離れした冷たさを帯びていた。

  ゲームは驚くほど簡単だった。 最初はスロットやカードで勝ちまくり、ミカは快楽に酔いしれていた。

  「やっば……私、今日めっちゃツイてる!」

  勝利のたびに身体が光り、スターライト・モラードとしての魔力が内側から高まっていくような――そんな昂揚感。

  だが――賭け金が**「願い」「未来」「名前」**へと変わりはじめる。 負けると体の内側から光が削り取られ、髪の輝きが鈍り、頬の血色が薄れていく。

  「えっ……なに、今の……」

  [uploadedimage:22959966]

  ミカは薄々感じていた。 このカジノは、ただのゲームではない。

  「もう戻れないよ」

  仮面のディーラーがそう囁いた。 ――負けた。

  ミカの脳裏に、そんな言葉が滲んだ瞬間、世界が暗転した。 煌びやかなカジノの光が遠ざかり、視界が白く揺らぐ。足元から力が抜け、崩れるようにその場に倒れ込む。周囲の喧騒も、煌めきも、勝者の歓声さえも、すべてが遠くなる。

  「……っ……ぅ……」

  ◆

  目覚めた時、そこはまったく別の空間だった。 石壁に囲まれた冷たい独房。無機質な鉄格子。コンクリートの床に、ミカは横たわっていた。

  「あれ……ここ……どこ……?」

  頭はまだぼんやりとしていた。だが、身体を起こすと同時に、手足の重さ、身にまとわりつく囚人服の質感、そして肌寒さが現実を突きつけてくる。

  ギィ……と軋む扉の音。 現れたのは、黒いローブをまとった獣のような従者。無言のままミカに近づくと、彼女の腕を無造作に掴み、引きずるように連れ出していった。

  [uploadedimage:23023040]

  たどり着いたのは――撮影室だった。

  「立って、こっち向いて」

  言葉に感情はない。ミカはされるがまま、マグショット用のボードを持たされ、写真を撮られる。プレートに浮かび上がる名前は――

  「月島ミカ」

  フラッシュの光が、虚ろな瞳を一瞬だけ照らした。

  [uploadedimage:23023223]

  ◆

  薄暗い回廊を抜けた先――そこは“変換の間”と呼ばれる、禍々しい神殿のような空間だった。 巨大な魔法陣が床一面に刻まれ、紫黒の光が脈打っている。中央にミカが立たされた。

  [uploadedimage:22959994]

  「まもなくだ。おまえの願いも、痛みも、すべてが意味を持つ」

  仮面の男がそう囁くと、天井から降り注ぐように紫の雷光が走る。空間全体が震え、空気が一変する。

  「いや……っ……あたし……!」

  逃げようにも身体が動かない。見えない力に押さえつけられ、膝をつくミカ。その胸元から腹部にかけて、禍々しい紫の文様が浮かび上がっていく。 **“呪い”**が刻まれている。

  [uploadedimage:22960100]

  これは、望んだ契約ではない。 だが、拒むこともできない運命だった。

  「――月島ミカ。おまえの名は、ここで終わる」

  その瞬間、闇の向こうから現れた“シルエット”が両腕を広げる。 まるで神のように。だがその実、呪いをもって少女を蝕む“魔王”だった。

  「さあ、受け取るがいい。おまえにふさわしい、新たな名を――」

  紫の輝きがミカの全身を包み込む。 悲鳴がこだまする。苦しみと絶望の狭間で、彼女の髪が揺れ、角が生え、肌が変わり、力が――

  [uploadedimage:22960015]

  「メイカ。おまえは、我が忠実なしもべ」

  その名が与えられた時、ミカという存在は深い深い檻の奥底へと封じ込められた。

  ◆

  石造りの大広間に、紫黒の光が脈打つ。 円環の魔法陣の中心に、ひとりの女性が静かに膝をついた。

  漆黒の艶を放つドレス。 長く揺れる淡紫の髪。額には滑らかな角が伸び、肌には魔の色が染み込んでいる。

  その姿は、もはや人間のものではない―― 土の四天王・メイカ。

  「……大魔王様」

  [uploadedimage:22960025]

  彼女は声を発した。 それは甘く、従順で、どこか妖艶な響きを帯びていた。

  「この身体も、力も、すべては大魔王様が私に授けてくださったもの……。この身をもって、お応えいたします」

  かつて「月島ミカ」と呼ばれていた少女は、今やその名を思い出すことすらない。 否――思い出さぬように、封じられているのだった。

  心の奥底、暗く冷たい檻のような空間に、まだ何かが微かに残っている。 温かく、やさしく、誰かを守ろうとする“核(コア)”。 だがそれは、大魔王の封印によって沈黙させられていた。

  メイカは微笑む。 己を変えた力を“呪い”だなどとは決して思わない。 それは「選ばれし者」に与えられた、至高の贈り物――。

  「私は、大魔王様の忠実なしもべ。命ずるままに従いましょう。この世界を、あなたの望む色に――塗り替えてみせます」

  [uploadedimage:23022934]

  結ばれた掌には、紫の魔力が淡く揺れる。 その瞳には、かつての迷いや迷子になった光は、もう存在しなかった。

  それが、メイカの誕生の瞬間であった。

  [newpage]

  [chapter:第2章 土の四天王メイカ ― 闇の祝福と最初の眷属]

  石造りの謁見の間に、紫黒の光が脈動していた。 その中心にひざまずく少女――長い淡紫の髪、漆黒のドレス。 かつて月島ミカと呼ばれた存在は、もうどこにもいない。

  「……名を与える」

  闇の奥から響いた声に、少女は恭しく頭を垂れた。 その声の主の姿は決して映らない。 ただ声だけが圧倒的で、絶対で、逆らうという選択肢すら存在しなかった。

  「おまえの名は――土の四天王メイカ。土を司り、征服の礎となる四天王の一角だ」

  胸の奥が熱く震えた。 誇り、歓喜、そして底知れぬ恐れ。

  「……はい。いただいた名、光栄に存じます」

  土の四天王メイカの誕生であった。 玉座の間を出ると、三つの影が彼女を待っていた。

  炎の四天王:鎧を纏った巨躯の男。全身が赤鉄の装甲に覆われ、炎のように揺れる眼光。

  水の四天王:小さな小悪魔少女。青い肌、楽しげな笑み、子供のような体格だが魔力は凄まじい。

  風の四天王:ローブを纏った男。顔を見せず、ただ風のように薄い存在感のまま佇んでいる。

  「……新入りか」 炎の男が低い声で呟く。

  「ふふーん、新鮮でいい感じだヨ」 水の少女はメイカの周囲をくるくると飛び回る。

  「……能力は未知数。だが大魔王の選定ならば間違いはないネ」 風の男は淡々と評価した。

  だが、その空気の底には ――“格下を迎え入れる側”の余裕があった。

  メイカはそれを感じつつ、礼を取る。 「土の四天王、メイカです。今後、よろしくお願いいたします」

  三人の視線が交錯し、そして――

  「新人歓迎の場がある」 炎の四天王がそう告げた。

  案内されたのは、暗い廊下の奥にある巨大な部屋だった。 扉が開いた瞬間――メイカは息をのんだ。

  そこには、多数の球体に封じられた魔法少女たちが浮いていた。 どの球体も、淡く光り、時折内部の少女の姿が揺らめく。

  [uploadedimage:22962094]

  「……これは……」

  水の四天王が笑う。 「大魔王さまがね、捕まえた魔法少女から“エナジー”を吸い取るの。世界征服のためのエネルギー……って言ってるヨ」

  炎の男が嗤う。 「だが実際の仕組みは我らにもわからん。“あれ”は……理屈を超越している」

  風の男も静かに言葉を重ねる。 「大魔王の領域。アス(※作者注:ミーの複数形)たちはただ『吸い上げられた力』を戦力として使うだけネ」

  メイカは球体のひとつに近づいた。 中の少女は目を閉じたまま、動かない。 心のどこかで痛みが走った。 ――だが、その感情の名を思い出すことはできなかった。

  水の少女が笑顔で告げる。 「メイカも協力してネ。魔法少女はどんどん増えていくから♡」

  メイカは胸に手を当て、静かに答えた。 「……はい。大魔王さまのお望みのままに」

  ◆

  メイカに与えられた拠点は――星見学園近くの公園地下。 子供たちが遊ぶ無邪気な公園の下に、四天王の秘密アジトが築かれた。

  そこには大魔王直伝の魔法陣と、怪人を造り出す祭壇がある。 初任務として、ひとつ怪人を造り出すよう命じられた。 メイカは土の魔力を祭壇に注ぎ込み、詠唱する。

  「創造せよ。我が眷属――最初の怪人」

  土と魔力が渦を巻き、獣の形を成す。 犬型の怪人が現れ、咆哮をあげた。

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  メイカはその姿を見て、微笑む。 「最初の怪人。最初だけに――名前は “ザ・ワン”。……これが本当の“ザ・ワン”よ」

  このダジャレじみた命名に、炎・水・風の四天王は思わず笑いをこらえられなかった。

  「クク……悪くないな、新入り」(炎の男) 「ネーミングセンスはイマイチだけど気に入ったヨ♡」(水の少女) 「……最低限、識別にはなるネ」(風の男)

  メイカは静かに首を垂れた。

  その日の夜、大魔王の声が闇に響いた。

  『メイカ……地上に降り、人間たちを萎縮させよ。おまえには“擬態”の権能を授ける』

  闇が彼女を包む。 次の瞬間、そこに立っていたのは――

  月島ミカの姿。 かつての自分。 だがもう、その名は二度と使わない。

  「ザ・ワン。行くわよ」

  犬型怪人ザ・ワンが彼女の足元に従い、静かに吠える。 メイカは夕暮れの街へ踏み出した。 人間たちの中へ潜り込み、日常を壊すために。

  ――大魔王の命に従い。 ――新たな四天王として、最初の任務を果たすために。

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  かつて“ミカ”だった少女は、もうどこにもいなかった。

  続く

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