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【Remake第0章~第2章】虚構のカジノ、奪われた未来 ―魔法少女スターライト・パステル~星宮エリスになっちゃった!Remake~スピンオフ小説
[chapter:第0章 紫弓の閃光 ― 対怪人ザ・フォト討伐任務]
夜の街を、鋭いシャッター音が切り裂いた。
「――これで“世論”なんてちょちょいのチョイよォ……フヒヒ!
熊市内閣の支持率を下げてやるー!!」
黒い撮影機材を背負った奇妙な怪人 ザ・フォト が街灯の上で狂気の笑いをあげる。 レンズ頭部がうごめき、次の標的を探していた。
「その悪趣味、ここまでよ!」
紫の光線が夜を裂き、怪人の足元を射抜く。 振り返ると、風に翻るツインテール―― 白と紫の魔法スーツの少女、スターライト・モラード が屋上に降り立っていた。
「魔法少女ぉ!? じゃあまずはアンタを撮影し――“悪の魔法少女疑惑”で炎上させてやるッ!」
連射されるシャッター光線。 モラードは冷静に魔力の盾を展開し、光を受け流す。
「あなたの技、全部読めてるわ」
弓に光が集まり、紫弓が生成される。
「スターライト・アロー――!」
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放たれた光矢がレンズを貫き、怪人ザ・フォトは悲鳴を上げて爆散した。 破片だけを残し、闇に消える。
モラードはひとつ息をつき、制服のポケットからスマートフォンを取り出した。 「ふぅ……さて、協会に連絡っと」
画面をタップすると、“任務報告アプリ”が起動する。 怪人の残留魔力データと、戦闘ログが自動で読み込まれた。
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【 討伐ログ送信先:魔法少女協会 】
■対象:怪人ザ・フォト
■結果:殲滅
■分類:世論撹乱系
■備考:今回の撮影データから、背後組織の反応なし。
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送信ボタンに触れると、画面が紫に瞬いた。
「……よし。バックアップデータも送りましょう」
モラードは続けて“今日の戦闘バックアップ”を協会サーバーへアップロード。 戦闘映像、魔力の解析情報、自身の魔力状態――すべてがクラウドに保存されていく。
「これで今日の任務は完了」
そう呟くと、スマートフォンをしまい、夜風に髪を揺らす。 (明日も、街を守れるといいな……)
彼女はまだ知らない。 この直後、彼女自身が“運命の賭け”へと誘われることを――。
[newpage]
[chapter:第1章 虚構のカジノ、奪われた未来]
「もう……出ないし……!」
月島ミカはスマホを投げ出して、天井を仰いだ。 お気に入りの魔法少女カードゲームで、目当てのキャラを引けずに70連目。 ギャル系の見た目とは裏腹に、誰よりも魔法少女に夢中なオタク魂がくすぶっていた。
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深夜2時。家族は寝静まり、画面だけがミカの顔を照らす。 ふと、画面に見慣れぬ通知が現れる。
《 君の“本当の運”を、試してみない? 》
「……あ? なんだこれ」
寝ぼけた指が、通知をタップした。 その瞬間、視界が白に染まり――彼女は仮想空間へと吸い込まれていった。
◆
「っ……な、なにこれ……!?」
目の前に広がるのは、金と紫の光が溢れるきらびやかな空間。 高い天井、回転するルーレット、派手なスロット。 ここは――仮想空間のオンラインカジノだった。
そして自分の格好に気づいた瞬間、ミカは叫び声を上げた。
「なんでバニー……!?」
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黒のバニースーツに黒タイツ、うさ耳までついた露出度の高い衣装。 自分の意思とは無関係に“着せられた”ことが、羞恥と混乱をさらにかき立てていく。
「ようこそ、運命の客人。さあ――“エナジー”を賭けて、ゲームを始めましょう」
声は甘く、どこか人間離れした冷たさを帯びていた。
ゲームは驚くほど簡単だった。 最初はスロットやカードで勝ちまくり、ミカは快楽に酔いしれていた。
「やっば……私、今日めっちゃツイてる!」
勝利のたびに身体が光り、スターライト・モラードとしての魔力が内側から高まっていくような――そんな昂揚感。
だが――賭け金が**「願い」「未来」「名前」**へと変わりはじめる。 負けると体の内側から光が削り取られ、髪の輝きが鈍り、頬の血色が薄れていく。
「えっ……なに、今の……」
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ミカは薄々感じていた。 このカジノは、ただのゲームではない。
「もう戻れないよ」
仮面のディーラーがそう囁いた。 ――負けた。
ミカの脳裏に、そんな言葉が滲んだ瞬間、世界が暗転した。 煌びやかなカジノの光が遠ざかり、視界が白く揺らぐ。足元から力が抜け、崩れるようにその場に倒れ込む。周囲の喧騒も、煌めきも、勝者の歓声さえも、すべてが遠くなる。
「……っ……ぅ……」
◆
目覚めた時、そこはまったく別の空間だった。 石壁に囲まれた冷たい独房。無機質な鉄格子。コンクリートの床に、ミカは横たわっていた。
「あれ……ここ……どこ……?」
頭はまだぼんやりとしていた。だが、身体を起こすと同時に、手足の重さ、身にまとわりつく囚人服の質感、そして肌寒さが現実を突きつけてくる。
ギィ……と軋む扉の音。 現れたのは、黒いローブをまとった獣のような従者。無言のままミカに近づくと、彼女の腕を無造作に掴み、引きずるように連れ出していった。
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たどり着いたのは――撮影室だった。
「立って、こっち向いて」
言葉に感情はない。ミカはされるがまま、マグショット用のボードを持たされ、写真を撮られる。プレートに浮かび上がる名前は――
「月島ミカ」
フラッシュの光が、虚ろな瞳を一瞬だけ照らした。
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◆
薄暗い回廊を抜けた先――そこは“変換の間”と呼ばれる、禍々しい神殿のような空間だった。 巨大な魔法陣が床一面に刻まれ、紫黒の光が脈打っている。中央にミカが立たされた。
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「まもなくだ。おまえの願いも、痛みも、すべてが意味を持つ」
仮面の男がそう囁くと、天井から降り注ぐように紫の雷光が走る。空間全体が震え、空気が一変する。
「いや……っ……あたし……!」
逃げようにも身体が動かない。見えない力に押さえつけられ、膝をつくミカ。その胸元から腹部にかけて、禍々しい紫の文様が浮かび上がっていく。 **“呪い”**が刻まれている。
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これは、望んだ契約ではない。 だが、拒むこともできない運命だった。
「――月島ミカ。おまえの名は、ここで終わる」
その瞬間、闇の向こうから現れた“シルエット”が両腕を広げる。 まるで神のように。だがその実、呪いをもって少女を蝕む“魔王”だった。
「さあ、受け取るがいい。おまえにふさわしい、新たな名を――」
紫の輝きがミカの全身を包み込む。 悲鳴がこだまする。苦しみと絶望の狭間で、彼女の髪が揺れ、角が生え、肌が変わり、力が――
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「メイカ。おまえは、我が忠実なしもべ」
その名が与えられた時、ミカという存在は深い深い檻の奥底へと封じ込められた。
◆
石造りの大広間に、紫黒の光が脈打つ。 円環の魔法陣の中心に、ひとりの女性が静かに膝をついた。
漆黒の艶を放つドレス。 長く揺れる淡紫の髪。額には滑らかな角が伸び、肌には魔の色が染み込んでいる。
その姿は、もはや人間のものではない―― 土の四天王・メイカ。
「……大魔王様」
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彼女は声を発した。 それは甘く、従順で、どこか妖艶な響きを帯びていた。
「この身体も、力も、すべては大魔王様が私に授けてくださったもの……。この身をもって、お応えいたします」
かつて「月島ミカ」と呼ばれていた少女は、今やその名を思い出すことすらない。 否――思い出さぬように、封じられているのだった。
心の奥底、暗く冷たい檻のような空間に、まだ何かが微かに残っている。 温かく、やさしく、誰かを守ろうとする“核(コア)”。 だがそれは、大魔王の封印によって沈黙させられていた。
メイカは微笑む。 己を変えた力を“呪い”だなどとは決して思わない。 それは「選ばれし者」に与えられた、至高の贈り物――。
「私は、大魔王様の忠実なしもべ。命ずるままに従いましょう。この世界を、あなたの望む色に――塗り替えてみせます」
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結ばれた掌には、紫の魔力が淡く揺れる。 その瞳には、かつての迷いや迷子になった光は、もう存在しなかった。
それが、メイカの誕生の瞬間であった。
[newpage]
[chapter:第2章 土の四天王メイカ ― 闇の祝福と最初の眷属]
石造りの謁見の間に、紫黒の光が脈動していた。 その中心にひざまずく少女――長い淡紫の髪、漆黒のドレス。 かつて月島ミカと呼ばれた存在は、もうどこにもいない。
「……名を与える」
闇の奥から響いた声に、少女は恭しく頭を垂れた。 その声の主の姿は決して映らない。 ただ声だけが圧倒的で、絶対で、逆らうという選択肢すら存在しなかった。
「おまえの名は――土の四天王メイカ。土を司り、征服の礎となる四天王の一角だ」
胸の奥が熱く震えた。 誇り、歓喜、そして底知れぬ恐れ。
「……はい。いただいた名、光栄に存じます」
土の四天王メイカの誕生であった。 玉座の間を出ると、三つの影が彼女を待っていた。
炎の四天王:鎧を纏った巨躯の男。全身が赤鉄の装甲に覆われ、炎のように揺れる眼光。
水の四天王:小さな小悪魔少女。青い肌、楽しげな笑み、子供のような体格だが魔力は凄まじい。
風の四天王:ローブを纏った男。顔を見せず、ただ風のように薄い存在感のまま佇んでいる。
「……新入りか」 炎の男が低い声で呟く。
「ふふーん、新鮮でいい感じだヨ」 水の少女はメイカの周囲をくるくると飛び回る。
「……能力は未知数。だが大魔王の選定ならば間違いはないネ」 風の男は淡々と評価した。
だが、その空気の底には ――“格下を迎え入れる側”の余裕があった。
メイカはそれを感じつつ、礼を取る。 「土の四天王、メイカです。今後、よろしくお願いいたします」
三人の視線が交錯し、そして――
「新人歓迎の場がある」 炎の四天王がそう告げた。
案内されたのは、暗い廊下の奥にある巨大な部屋だった。 扉が開いた瞬間――メイカは息をのんだ。
そこには、多数の球体に封じられた魔法少女たちが浮いていた。 どの球体も、淡く光り、時折内部の少女の姿が揺らめく。
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「……これは……」
水の四天王が笑う。 「大魔王さまがね、捕まえた魔法少女から“エナジー”を吸い取るの。世界征服のためのエネルギー……って言ってるヨ」
炎の男が嗤う。 「だが実際の仕組みは我らにもわからん。“あれ”は……理屈を超越している」
風の男も静かに言葉を重ねる。 「大魔王の領域。アス(※作者注:ミーの複数形)たちはただ『吸い上げられた力』を戦力として使うだけネ」
メイカは球体のひとつに近づいた。 中の少女は目を閉じたまま、動かない。 心のどこかで痛みが走った。 ――だが、その感情の名を思い出すことはできなかった。
水の少女が笑顔で告げる。 「メイカも協力してネ。魔法少女はどんどん増えていくから♡」
メイカは胸に手を当て、静かに答えた。 「……はい。大魔王さまのお望みのままに」
◆
メイカに与えられた拠点は――星見学園近くの公園地下。 子供たちが遊ぶ無邪気な公園の下に、四天王の秘密アジトが築かれた。
そこには大魔王直伝の魔法陣と、怪人を造り出す祭壇がある。 初任務として、ひとつ怪人を造り出すよう命じられた。 メイカは土の魔力を祭壇に注ぎ込み、詠唱する。
「創造せよ。我が眷属――最初の怪人」
土と魔力が渦を巻き、獣の形を成す。 犬型の怪人が現れ、咆哮をあげた。
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メイカはその姿を見て、微笑む。 「最初の怪人。最初だけに――名前は “ザ・ワン”。……これが本当の“ザ・ワン”よ」
このダジャレじみた命名に、炎・水・風の四天王は思わず笑いをこらえられなかった。
「クク……悪くないな、新入り」(炎の男) 「ネーミングセンスはイマイチだけど気に入ったヨ♡」(水の少女) 「……最低限、識別にはなるネ」(風の男)
メイカは静かに首を垂れた。
その日の夜、大魔王の声が闇に響いた。
『メイカ……地上に降り、人間たちを萎縮させよ。おまえには“擬態”の権能を授ける』
闇が彼女を包む。 次の瞬間、そこに立っていたのは――
月島ミカの姿。 かつての自分。 だがもう、その名は二度と使わない。
「ザ・ワン。行くわよ」
犬型怪人ザ・ワンが彼女の足元に従い、静かに吠える。 メイカは夕暮れの街へ踏み出した。 人間たちの中へ潜り込み、日常を壊すために。
――大魔王の命に従い。 ――新たな四天王として、最初の任務を果たすために。
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かつて“ミカ”だった少女は、もうどこにもいなかった。
続く
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