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【Remake第3章~第5章】虚構のカジノ、奪われた未来 ―魔法少女スターライト・パステル~星宮エリスになっちゃった!Remake~スピンオフ小説

  [chapter:第3章 偽りの日常 ― 月島ミカとしての潜伏]

  星見学園の朝礼のチャイムが鳴り響く。 その中に、まるで以前と何も変わらないかのように―― 月島ミカの姿をした少女がいた。

  笑顔も、しぐさも、声も、すべてが“月島ミカ”そのもの。 だが、その胸の奥に宿るのは四天王メイカの冷たい魔力。

  (……人間の生活。観察の価値はあるわ。情報も集められるし)

  教室で友達に笑顔を向けるたび、メイカは心の奥で無機質な分析を続けていた。

  昼休み、裏庭。 彼女の足もとに、小さな白い犬が嬉しそうに尻尾を振りながら寄ってくる。 ――いいえ、それは偽りの姿。

  「ザ・ワン、いい子ね。放課後に動くわよ」

  犬の擬態をした怪人ザ・ワンは、その言葉を理解したように小さく吠えた。

  ◆

  夕暮れの公園。 星見学園の帰り道、小柄な少女がひとり遊具の前で立ち止まる。

  「うぅ……ひとりで帰るの、やっぱりちょっとこわい……」

  そこへ、月島ミカの姿で歩くメイカが現れた。

  「ねぇ、大丈夫? 遅くまで残っていたの?」

  少女は安心して微笑み返す。 “ミカ”は学園でも有名な、優しい先輩だから。 メイカの笑みは柔らかい。 だがその瞳の奥には、獲物を見据える捕食者の光があった。

  (エナジー値……悪くない。最初のサンプルにふさわしいわ)

  ザ・ワンが犬の姿のまま草むらから姿を現す。 その口元には、うっすらと牙がのぞいていた。

  「きゃっ……わ、わんちゃん……?」

  少女が後ずさった瞬間―― ザ・ワンの姿が揺れ、怪人の本性が一瞬のぞいた。

  「だ、だれか――」 「その子から離れて!!」

  夕暮れの公園に、茶色と金の光が降り注いだ。 屋根の上から飛び降りてきたのは、落ち着いた茶色のスーツを纏う魔法少女。

  「―魔法少女スターライト・テラーナ!」

  栗色の髪が風になびき、琥珀の瞳が鋭く細められる。 茶色と金の光に包まれた魔法少女―― スターライト・テラーナ は、怯える少女を抱き寄せながら叫んだ。

  [uploadedimage:22966884]

  「走って!! 絶対に振り返らないで!!」

  少女は涙を拭い、必死に駆け出す。 その背中が街灯の影に消えるのを、メイカはただ無表情に見送った。

  (逃がした……まぁいいわ。今日の目的は“魔法少女”のほう)

  メイカの瞳が冷たく光る。

  [newpage]

  [chapter:第4章 棘のムチ ― スターライト・テラーナとの戦闘]

  テラーナはロッドを構え、茶色の魔力を全身に纏う。

  「あなた……いったい何者なの……!」 「挨拶は後でいいわ。まずは――捕まえさせてもらう」

  メイカが手をかざすと、地面から紫黒い結晶が伸び、それがしなるように形を変える。 棘のムチ。

  「来なさい」

  振り下ろされたムチが空気を裂く。 テラーナはバリアを張るが――

  バキィッ!!

  鋭い棘がバリアを貫き、肩を切り裂いた。

  「きゃあっ!」 「防御は悪くないけど……あなた、スピードが足りないのよ」

  ムチは蛇のようにうねり、テラーナの足を絡め取る。

  [uploadedimage:23032768]

  「くっ……離れなさい!!」

  茶色の光を放つが、ムチの棘が吸い取り、術式を乱す。 (……このムチ、魔力を“食う”……!) 焦るテラーナに、メイカは楽しげに微笑んだ。

  「気づくのが遅いわね。ほら、もっと暴れて?」

  ムチは一気に締め付け、胸、腰、腕――全身を縛り上げた。

  「うぁ……っ……!」

  メイカはムチを通して魔力を流し込み、テラーナの胸元へ指を向ける。

  [uploadedimage:23032769]

  「あなたのエナジー、いただくわね。大魔王さまのために」

  棘から茶色の光が吸い上げられ、メイカの掌へと流れ込む。 テラーナは抵抗しようとするが、身体は徐々に弱っていく。

  「やっ……め……」

  光が尽き、テラーナの茶色のスーツが霧のように解け――変身が解除される。 少女がムチの中で脱力し、崩れ落ちた。

  [uploadedimage:23032770]

  「……はぁ……っ……」 「頑張ったわね。でももう動けないでしょう?」

  メイカが指を鳴らすと、ムチは消え、少女はひざから崩れ落ちた。 意識は残っているが、身体は完全に言うことを聞かない。

  その時だった。 メイカの足元に、ぴょこん、と小さなカエルが跳ねてきた。

  「ケロ……?」

  メイカは一瞬だけ目を細め―― 次の瞬間、口元にゆっくりと笑みが広がった。

  「……これだわ」

  ひらめきの光が瞳に宿る。 メイカは少女に手をかざし、小さく詠唱する。

  「泡よ、少女を包み、眠りへ誘え――縮小(コンパクト)」

  透明な泡が少女を包み込む。 泡は静かに光り――すうっ………と、縮んでいった。

  スポンと収まったのは、メイカの片手に乗る小さな球状結晶。 中には眠る少女の小さな影。

  [uploadedimage:23032773]

  「ふふ……おとなしくなったわね。大魔王さまもきっと喜んでくださる」

  メイカは結晶を胸の前に掲げ、満足げに微笑んだ。 その時、擬態を解いたザ・ワンが静かに近づいてくる。 その爪の間には先ほどのカエルがちょこんと乗っていた。

  「ワン(持ったよ)」 「いい子ね、ザ・ワン。そのカエルは後で使うわ。さぁ、帰りましょう。任務は完了よ」

  メイカは結晶を握り、ザ・ワンの後ろを歩きながら、公園の影へと消えていく。 彼女の手のひらの上。 小さな少女は、何も知らず眠り続けていた。

  [newpage]

  [chapter:第5章 森住 和奏の収監]

  ゆっくりと視界が戻る。 テラーナは石床のひんやりした感触を背に、身体を起こした。

  (……ここは……牢屋……?)

  鉄格子。 湿った空気。 そして自分の身体には―― 白黒ボーダーの囚人服。

  (どうして……私……)

  記憶を手繰り寄せると、森の光のように茶色く輝く魔力が、棘のムチに吸い取られる感覚だけが蘇った。

  そのときだった。 コツ、コツ、コツ…… 鉄の爪が石床を叩く音が近づく。

  牢屋の前に現れたのは、犬型怪人ザ・ワン――擬態を解いた本来の姿。 両手に持っているのは、黒いカメラと一枚のスレート。 少女は身を縮める。

  「な、何を……」

  ザ・ワンは何も言わず、鉄格子越しにスレートを差し出した。 その瞬間――

  ピッ――!

  スレートが紫色に光り、森住 和奏(もりずみ わかな)の名前が自動で浮かび上がった。

  和奏の瞳が大きく見開く。

  「……! どうして、私の……!」

  ザ・ワンは表情を変えず、和奏の反応を面白がるようにレンズを向けた。

  パシャッ。

  乾いた撮影音。 牢屋の中で、光が一瞬弾ける。 森住和奏の マグショット が記録された。

  [uploadedimage:23039038]

  「やめてっ……やめてよ……!」

  ザ・ワンはスレートを無造作に地面へ落とし、背を向ける。 去り際に振り返ることもなく、ただ静かに闇の廊下を歩き去っていった。

  残されたのは―― 鉄格子の中で肩を抱え、震える 森住和奏。

  「どうして……誰か……助けて……」

  そのかすかな声だけが、湿った牢の空気に吸い込まれていった。

  続く

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