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イケメン狼獣人がぽっちゃり少年を娶るはなし。【81ーフラフィーとシイスの話】
旅行から帰った、数日後。俺は旅行のお土産を持って、フラフィーのおうちにお邪魔していた。
「こんにちはー!」
「シイス、いらっしゃい!」
大きなお屋敷のエントランスをくぐりながら。そこで出迎えるように待ってくれていたフラフィーに、嬉しくなって駆け寄る。フラフィーは、いつも『馬車でお迎えに行くよ!』って言ってくれるけど、御者さんのいる馬車なんて、俺、乗ったことないし!それに、このおうちはフラフィーの旦那さまのリジットさんが近衛兵長なこともあってか、軍事施設や王城に結構近いところにあるから、このくらいなら全然歩いてこられるんだ。王城や軍事施設近くだったら、お店の配達とかで歩いてくることもあるから、道も分かるし!
だから、フラフィーのおうちにお邪魔するときは、前もってお邪魔する日付とおおまかな時間をお手紙で伝えておく。そうすると、俺がお屋敷の門の前まで行ったら門番さんが門を開けて、エントランスまで案内してくれるんだ。
そうやって、もう何回もお邪魔させてもらってるこのお屋敷は、エントランスも階段も、勿論部屋も広い。俺がいつも通してもらう部屋だって、お客様用だと言う立派な部屋だ。そんな立派なお部屋に通してもらうのも、最初はすこしどきどきしたけど。フラフィーがいつもにこにこして楽しそうだから、俺も嬉しくなって。楽しく話しているうちに、そんなに緊張しなくなってきたんだ。
このお部屋には、勿論テーブルや椅子や、ソファだってあるけど。俺はクッションをお尻の下に敷かせてもらって、床に座って話すほうが好きだった。床にはふかふかのカーペットも敷いてあるから、あったかくて心地好いし!だから今日も、置かれているふわふわのクッションを下に敷いて、床に座らせてもらった。ぴかぴかのお盆に乗っている、綺麗な色の紅茶と美味しそうな焼き菓子が、好い匂いを漂わせてる。
「旅行はどうだった?」
「楽しかったー!すっごく楽しかったよ!あの、これ良かったらお土産…!」
話を振ってくれるフラフィーに、満面で笑顔になりながら、買ってきたお土産をフラフィーに差し出した。フラフィーは勿論ともだちだし、旦那さまのリジットさんには、プライベートビーチなんて凄いものを、彼を通して貸してもらえることになったから。そのお礼も込めて…なんて色々選んだら、ちょっと多くなってしまった。主に食べ物。…だって、可愛らしいお菓子とか、名物だっていう蜂蜜とか、美味しそうなものがたくさんあったんだもの!それに、いつもお土産として持ってくる、うちのクロケットも包んである。このクロケットをお土産で以て来るたびに、『リジットさんも子どもたちも大好きなんだよ!』って、フラフィーがいつも嬉しそうに笑って言ってくれるから。俺は勿論、うちの父ちゃんや母ちゃんも張り切って、たくさん作って持たせてくれるんだ。
「わあ、こんなにたくさん!?いいの!?嬉しい、ありがとう!」
今も、差し出したお土産に、嬉しそうに笑いながらフラフィーが受け取ってくれた。にこにこと顔をほころばせる俺のともだちは、やっぱり可愛い。
「うん、だって可愛いお菓子とか、フラフィーやロバストくんたちも好きそうだなって!それにあのプライベートビーチ、本当に素敵だったよ!リジットさんが、貸してくれるように頼んでくれたんでしょう?本当に有り難う!」
「そう言ってもらえたら、リジットさんも喜ぶよ!シイスがそう言ってくれたよって、リジットさんにも伝えておくね!たくさん泳げた?」
「うん!本当に誰もいなくて、たくさん泳げたよ!」
フラフィーの言葉に頷きながら、…旅行中の出来事が、鮮明に頭の中に思い浮かんだ。一日目の、…初めてハンデットと最後まで、その、えっちなことをして。…凄く、すごく幸せだったこととか。次の日に、2人でお昼近くまで寝坊してしまって、起きてから、焦りながらも照れあってしまったこととか。寝てる間も、ハンデットはずっと、俺を抱き締めるように腕を回してくれていて。裸で、彼の獣毛に来るまれていることが、すごく心地好かったこととか。そんなことを想い出すと、彼のぬくもりや、そのふわふわの獣毛に包まれる感覚までもが蘇ってくるようで。それを噛み締めるように、密かに自分の身体に腕を回した。
そんな俺に、フラフィーがふふ、って、嬉しそうに顔をほころばせた。そんな彼に、まさか俺が考えてることが分かっちゃったのか、って一瞬どきってしたんだけど。どうやら、俺がたくさん泳げたって言ったことが嬉しかったみたいで。両手を顔の前で合わせながら、良かった、って更にフラフィーが笑う。
「海の中も綺麗だったでしょ?外から見るとあんなに真っ青なのに、中に入ると凄く透明で、不思議だよね」
「うん!すごい綺麗だったー!俺、川で遊んだことはあるんだけど、川とはまた全然違うね!水がすっごく透明で、綺麗な魚もいっぱいいて、可愛かったよー!」
話しながら思わず興奮してしまって、自然とこぶしを握ってしまう。そんな俺を見ながら、フラフィーはにこにこと笑って俺の話を聞いてくれた。そのあったかい笑顔に、なんとなく照れてしまう。なんだろう、俺は一人っ子だけど、上に兄姉がいたら、かお姉ちゃん?とか、そういうひとが俺にもいたら、…きっとこんな感じかな、って。ハンデットもも、俺よりも年上だけど、…彼はお兄ちゃんとかじゃなくって、俺の恋人だし!彼と初めて逢ったあの夏の日だって、…彼のことを俺は最初にお兄さん、って呼んだけど。それは、お兄ちゃんみたいだって思ったからじゃなくて、…俺はハンデットのこと、あの瞬間から。きっと好きだったから。
なんて。直ぐに思考がハンデットに結びついてしまう自分に、内心で苦笑した。何をしてても、彼と一緒にいないときでも、ついハンデットのことを考えてしまうのはいつものことだけど。今日は、それが更に顕著だ。
「それでね、俺は背も低いし、深いところまで行くの怖いな、って思ってたらね、ハンデットが俺を抱えて少し深いところまで泳いでくれてね!泳ぐのが速くて、俺を抱えててもあっという間に深くまで潜っちゃって、魚を見せてくれたんだ!俺は上にシャツも着てたから、空気が入って浮きそうになっちゃうのに、凄く速かったんだよ!」
その時のことを想い出して、ハンデットすごく格好良かったなあ…!なんてきゅんきゅんと心臓を高鳴らせながら。更に勢い込んで話す俺に。にこにこと、穏やかに笑って俺の話を聞いてくれてたフラフィーが、不思議そうな顔で首を傾げた。
「シャツ?」
「あっ」
フラフィーの口から零れたその言葉に、…思わず声を上げて止まってしまう。そうだ、普通は泳ぐんだから、上にシャツを着るなんて思ってないよね!俺だって、あの旅行で水着になるまではそんなこと、全然思ってなくて、…だからこそ、その経緯が頭に浮かんで、自然と顔が赤くなる。
あの旅行の日、二日目にお昼近くまで寝てしまった後。お昼ご飯を食べてから、この後海に行こう!って2人で盛り上がって。海岸は2人きりなんだから、旅荘で水着になってそのまま行っちゃおうって話になった。
だけど、いざ、水着になったら、…当たり前だけど上半身裸のハンデットに、俺は何故だか照れてしまって。彼の水着姿を直視できなくて、赤くなって俯いてしまった。おかしいよね、その前の日には、…その、あんなにいっぱい、2人で抱き合ったのに。
そんな風に、照れていた俺に。ハンデットが、…彼のシャツをまた、俺に掛けてきて。どうしたの?って聞いたら、ハンデットも、獣毛の毛先が染まるくらいに赤くなって。
『…痕、がすげえから』
そんなことを、呟くように俺に告げた。それに、俺が慌てて自分の身体を見たら。…俺の膚には、彼の指で掴まれた痕とか、口で吸われた痕が、たくさん残っていて。…俺も、ますます赤くなって、頷くしかできなかった。
もう、その痕は俺の身体から消えかけている。でも、それを想い出すだけで、俺の身体は甘く疼いてしまって。赤くなったまま言葉を詰まらせてしまった俺に、少しだけ不思議そうな顔をしていたフラフィーが、何かに思い至ったようにあ、と小さく声を上げた。それから、ちょっとだけ赤くなって、両手をぶんぶんと顔の前で振る。
「ううん!ごめんね、変なこと聞いて!」
「う、ううん!俺こそごめん!…あっ」
きっと、フラフィーも、同じような経験があるのかな。例えば、…リジットさんがいっぱいつけた痕を、彼の服で隠したこととか。そんなことを思いながら、…ひとつ、彼に聴きたかったことが頭に浮かんで。今度は俺のほうが、思わず声を上げてしまう。その声に気づいたように、小さく彼が首をかしげる。
「…あ、あのさ、俺フラフィーに聞きたいことがあるんだけど、その、いいかな?」
「えっ?もちろんだよ!俺で分かることなら、何でも聞いて!」
そう言って、俺の言葉にフラフィーが大きく頷いた。そのまま、俺を安心させるように笑ってくれる彼に勇気をもらって、彼のほうへと身を乗り出した。そんな俺に、フラフィーも察してくれたのか、耳をこちらへ傾けてくれる。その耳を囲うように手を当てながら、密かに、小さく息を吸い込んだ。
「あ、あのさ…えっと、フラフィーはその、…し、射精しないで気持ち好くなったことってある…?」
正しく内緒話の体で、声を潜めて問いかけた言葉。けれど、それは俺たちだけしかいない静かな部屋に、思いの外響いた。フラフィーが、俺の目の前で、驚いたように目を丸くする。自分の口にした言葉が、一気に恥ずかしくなって、ぶわっと熱が顔に上がった。思わずぶんぶんを両手を顔の前で振りながら、言い訳のように声が口をついて出る。
「あっ!あのね!?その、何ていうか、この間の旅行でね!?その…お、俺、そういう風になっちゃってね!?なんだか分かんなくて、その…フラフィーはリジットさんのお嫁さんだから、何か知ってるかなって!」
さっきの反動のように、今度は大きな声で、そんなことを口走ってしまう俺に。フラフィーが、俺を宥めるようにふんわりと笑いながら、ぶんぶんと動いてしまう俺の手を握った。フラフィーみたいに、その手の熱は、優しくてあったかい。
「うん、分かるよ。俺は、リジットさんから教えてもらってたから、早くそうなりたかったけど、…知らないでそうなっちゃったら、びっくりするよね」
そう言って、その大きくて丸い目を細めて、フラフィーが俺を見つめる。そんな彼の、『分かる』って言ってくれた言葉と、細めてくれた目に、…自然と、ほっと息を吐いた。フラフィーは知ってるんだ!もしかしたらきっと、俺と同じように、射精しないでああ言う風になったこともあるんだ!安心感で胸がいっぱいになって、俺の目は輝かんばかりにフラフィーを見つめてしまう。そんな俺に、フラフィーが照れたように目線を逸らしながら、胸の前で手を組んだ。その手が、もじもじと忙しなく動く。
「あのね、あれって、…その、女の子の絶頂なんだって。俺たちは男だけど、お尻を指とか、…えっと、そのお、おちんちんとかでいっぱい気持ち好くしてもらうと、女の子と同じような絶頂を迎えられるんだって。…リジットさんが、いっぱい教えてくれたんだ。俺たちは、2人とも旦那さまが獣人だから、雌の絶頂って言うのかな」
視線を珍しく、うろうろとさまよわせながら、フラフィーが俺にそう教えてくれる。時折口ごもるのは、きっと言うのが恥ずかしいところなんだろう。それでも、俺の為に一生懸命教えようとしてくれるフラフィーに、嬉しさと、感謝の気持ちでいっぱいになる。
それでも最後の言葉で、彷徨っていた視線が俺に戻された。そのままふんわりと笑った彼の頬は、やっぱり照れたようにうっすらと赤い。思わず、今度は俺から手を伸ばして、フラフィーの手をぎゅう、っと握った。
「ありがとうそうなんだ…!そっか、あれ、め、雌の絶頂って言うのか!そっか、あれ、そう言うのなんだ…!」
「うん。俺は、リジットさんの番いになれた証拠だって想ってる。だから、いつも、凄く嬉しいよ」
そう言って、目の前で笑うフラフィーは、今日一番に可愛くて。俺も、照れてしまいながら同じように満面で笑った。…そうか、あれは雌の絶頂、って言うのか。俺が、…ハンデットの番いに、お嫁さんになれたっていう証拠なのか。フラフィーの言葉を頭の中で反復して、噛み締めるように想う。…数日前に、いっぱい彼のおちんちんを受け入れてた俺の奥の奥が、そのときを想い出すように、幸せで畝った。ハンデットに後ろから抱き締められているような感覚がますます強くなって、こころの奥が蕩けてしまう。
きっと、同じように、フラフィーもリジットさんを想い出しているんだろう。蕩けるような笑顔で、目を閉じているフラフィーは、その柔らかい手をおなかに当てていた。…その気持ちが、今の俺には、よく分かる。俺も、ハンデットを想い出すように両手を下腹部に当てながら、…あ、と内心で声を上げた。そうだ、もうひとつ!
「あの、じゃあ…そういう時に、お、おちんちんからさらさらで透明なのが噴き出たこととか、ある…?」
「えっ?そ、それは、えっと…分からないかも…」
もうひとつ口にした質問は、やっぱり照れてしまってしどろもどろになる。この問いにはどうやら思い当たらなかったらしいフラフィーが、ひとつ高い声を上げてから、困ったように首を傾げた。そんな彼に、慌てて、ううん!全然いいんだ、ごめん!って言おうと思ったけど。俺が口を開く前に、更にフラフィーが言葉を続ける。
「で、でも俺も、気が付くとシーツがびしゃびしゃになってたりするから、俺が気づいてないだけでなってるのかも!その、えっと…り、リジットさんに聞いてみるね!」
「えっ、いいの?」
ちょっとだけ頬を赤くしたまま、それでもそう言ってくれるフラフィーに。今度は俺のほうが、頓狂な声を上げてしまった。そんな俺に、フラフィーがまた、大きく頷いてくれる。
「うん!あっ、そうだ!そうしたら、渡したい本もあるんだ!次までに用意しておくね」
「渡したい本?」
「うん、すごく重要な本なんだ。でも、…きっと凄く嬉しい本だよ」
そう言って、笑いながらフラフィーが顔の前で人差し指を立てた。その言葉は凄く気になるけど、…きっとその『本』って言うのを渡されるまで内緒なんだろう。そう納得して、彼の言葉に俺も笑う。…こんなこと、母ちゃんにだって聞けないって思ってたけど、…フラフィーだったら。俺と同じ獣人のお嫁さんで、お嫁さんって言う意味では俺の先輩で、大事なともだちの、…フラフィーにだったら。こういうことも、ちょっと照れてしまうけど、聞くことができる。
あの日、王城主催のパーティーで。フラフィーと知り合えて、ともだちになれて、本当に好かったな。もう何度となく思ったそんなことを、今も刻むように想いながら。嬉しそうに笑う、俺のお嫁さん仲間で、大切なともだちに。俺も、同じように笑って顔の前で人差し指を立てた。
そのあとは、…お互い惚気あうように、『旦那さま』の話をしたり。お互い耳元に口を寄せ合って、…内緒の話をしたり。たくさん盛り上がって、あっという間に時間が過ぎてしまった。俺は、…恋人は勿論、そもそも誰かを好きになったことだって、ハンデットが初めてだったから。こんな風に、好きなひとの話をともだちとする、なんてことも初めてで。だから。
フラフィーが、俺のともだちになってくれてよかったな、って。彼と話して笑いながら、…そんなことを、また想った。
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