堕とし屋 淫辱の罠と堕ちゆく獣たち

  

  堕とし屋――

  それは賭博、売春、麻薬、人身売買、殺人といったあらゆる犯罪が横行する裏社会でのみ存在を許されている[[rb:賤業 > せんぎょう]]の一つ。その仕事内容は文字通り、ターゲットを堕とすこと。一言で言えばセックス狂いにさせることだ。依頼人から頼まれた相手を、手練手管を弄して骨まで蕩かすほどの快楽漬けにさせて肉欲の虜とさせるのである。無論、程度の差はある。貞操観念の強い相手を性に奔放にさせてほしいといった軽い内容から、異性愛者に同性同士のセックスの悦びを目覚めさせてほしいといったもの、はたまた多淫症や色情狂に至るまでとことん嬲り続けてほしいといった闇の深いものまでと幅広い。総じて依頼人の根底にあるのは恨み辛みか歪んだ愛欲だ。堕とし屋は多額の報酬の見返りに彼らの醜い願望を叶える。己の肉体を武器にして標的を毒牙にかけるのである、淫靡な底無し沼に引きずり込み正気を喪失させるべく……。

  [chapter:堕とし屋 淫辱の罠と堕ちゆく獣たち]

  日中だというのにどんよりと暗い深い森の中を突っ切る素早い影がひとつ。

  堕とし屋の犬獣人、ドルグは止まることなく走り続けていた。すでに森に入って一時は経っただろうか。それなのに男の脚はまるで疲れを知らないかのように体を森の奥へ奥へと運んでいく。

  若く逞しいシェパード犬獣人であった。

  落ち葉が積もった地表のいたるところに巨木の根が大蛇の如くうねる悪路を物ともせずに、大柄の体が跳ねては沈みを繰り返しながら鬱蒼とした森を突き進む。見れば彼の着衣のなんと心許ないことだろうか、厚い樹冠によって一条の光さえ差し込まないこの森には毒蛇や毒虫の類がそこかしこに潜んでいるというのに、頼りない半袖の布服と薄手の革ズボンという格好はどう考えても場違いだった。

  男の鋭い眼差しが背後に流れた。

  そして再び前を向くや彼はひた走る、どこまでも続く樹海をただひたすら。

  ドルグは追われていた。

  彼の服装をあまりにも軽率だと誰も[[rb:詰 > なじ]]ることはできまい。何せ、追手に捕えられようものなら即、打ち首という悲惨な末路が待ち構えているのだから。極刑に処されるだけの大罪を犯してしまった彼は、布袋のひとつも携えることなく着の身着のまま逃げてきたのだった。

  反逆の罪。

  国家転覆を企てたとしてドルグの命運は風前の灯火だった。

  それも当然だ、何せ国王と王子を[[rb:誑 > たぶら]]かそうとしたのだから。

  堕とし屋ドルグのもとにその依頼が舞い込んできたのはつい一か月ほど前のことだ。

  王宮を取り巻くように形成された街の外れにある貧民窟、そのさらに深部に、正業に就かず、無法な行いをする[[rb:無頼 > ぶらい]]な輩が巣食っている退廃地区と呼ばれる場所がある。都市が大規模で華々しくなればなるほど落ちる影も大きくなり濃さも増す。煌びやかな表の世界とは隔絶された、陽の光も届かない都の暗部のその淀んだ[[rb:澱 > おり]]の中にはどれほどの犯罪者が潜んでいるのか見当もつかなかった。そんな無数に蠢く闇の世界の住人のうちで、堕とし屋として名を馳せていたドルグの棲家をある晩、一人の老いた獅子男が訪ねてきた。

  見るからに[[rb:堅気 > かたぎ]]といった雰囲気の身なりのいい男だった。

  元は王直属の近衛兵だったと告げた彼は、胸に長らく鬱積していた心情を吐露するかのように重苦しい声で言った。

  『王とその王子を貴殿の力で[[rb:篭絡 > ろうらく]]してほしい』

  卓上の[[rb:蝋燭 > ろうそく]]の灯に獅子の黄金色の瞳が凄みを帯びて輝いていた。

  誰が二つ返事で引き受けるだろうか、国家の元首である国王を毒牙にかけるなどと。あまりに突飛で、そして[[rb:甚 > はなは]]だしく現実味に欠ける依頼だった。ときどきやって来るのだ、こういった気の触れたようなことをほざく輩が。ドルグは鼻で笑うと、男を追い返そうと席を立ち上がろうとしたときだった。

  老いたといえども元近衛兵の逞しい腕が、携えていた麻袋をドスンと卓上に置いた。

  『見返りはこれでどうか? 危険な任務になろう、これは前払い分だ。成功した暁にはさらに倍額出そう』

  ずっしりと重い袋の中を覗くと大量の金貨が鈍い光を放っていた。一生遊んで暮らせるほどの大金だった。

  ドルグの腰を再び席に着かせるにはそれで十分だった。

  客人は揺らめく蝋燭の炎を瞳に映すことしばらく。そして、おそらく昔は幾人もの配下を恐れ[[rb:戦 > おのの]]かせてきたであろうその[[rb:厳 > いか]]めしい面立ちに悲哀を滲ませながらおもむろに口を開いた。

  『貴殿は知らぬと思うが我が国の王政は腐りきっておる……』

  獅子男の眼差しが炎から自身の手元へと落ちた。

  長年、剣を握ってすっかり硬くなった指の肉球を擦りながら彼は話を続ける。

  『嘆かわしいことに寵愛する[[rb:妾 > めかけ]]の言いなりなのだ。正妻である妃が[[rb:身罷 > みまか]]られてからだ、妾が露骨に[[rb:政 > まつりごと]]に口を出すようになったのは。王もまたそれを拒みもせぬ。さらに[[rb:憤懣 > ふんまん]]やる方ないのが、王子までをも色香で惑わせる始末。あの毒婦めが……』

  語気に憤怒が篭っていた。

  『臣下の[[rb:諫言 > かんげん]]も聞く耳を持たぬようでな、王はすっかり変わられた……。このままでは亡国の一途をたどるのは必定。[[rb:儂 > わし]]は今まで何のために剣を振るってきたのか、何のために王を担ぎ上げてきたのか……』

  男の声が震えていた。

  彼は愛する母国を蝕む内患を憂える義勇の士であったのだ。

  二人の間に沈黙が流れる。

  王宮の内情がそんなことになっているとはドルグは露とも知らなかった。遥か高みの世界の情報などこんな最下層の罪人の耳にまで落ちてくるはずもなく、そしてドルグ自身関心もなかった。彼が結局、獅子男の依頼を引き受けたのは愛国心や正義感をくすぐられたからではない。[[rb:端 > はな]]からそんなものは微塵も持ち合わせていない。金がすべてだった。

  獅子男の口調には真実味があった。

  迷路のように入り組んでいる退廃地区からドルグの棲家を探り当てる行動力に執念のようなものを感じた。

  そして、最後は金貨の詰まった麻袋が堕とし屋の顎を引かせたのだった。

  「糞がっ!」

  横たわる朽ち木を勢いよく飛び越えながらドルグは苦々しく口走った。

  あの獅子男を一瞬でも信じた己が無性に腹立たしかった。

  完全な罠だったのだ。

  依頼をこなそうと、しんと静まり返る夜更けの王宮に忍び込んだドルグを待ち受けていたのは、王でも王子でもなく物陰からわらわらと湧いてくる殺気立った兵士たちだった。王の寝室まであと少しというところでドルグは撤退を余儀なくされた。月明りを受けて青白く光る幾本もの剣が、侵入者の首を[[rb:刎 > は]]ねんと執拗に追いかけてくる。王宮を抜け、市街地を抜け、長閑な村を抜け、そして命からがら逃げてきたこの深い森の奥にまで彼らは追跡の手を緩めなかった。忠実な王の駒なのだ。あの獅子男が言ったような[[rb:件 > くだん]]の王であったなら、そこまでの忠誠を誓えるはずがない。

  ドルグはまんまと[[rb:彼奴 > きゃつ]]の策略に[[rb:嵌 > は]]められたのである。

  罪人を取り締まる役目を担っている騎士団が、ドルグに的を絞って捕えるべく画策したとは本人は気付くべくもない。しかも一個小隊を投入するほどの大捕り物ときた。堕とし屋ドルグの悪名はそれほど高かったということだが、それを当人が聞いたら後々、俺は騎士団が総出で捕まえようとしたが逃げ切った男だぞ、と[[rb:尾鰭 > おひれ]]を付けて自慢げに鼻を鳴らすことだろう。

  ドルグの脳裏に[[rb:忌々 > いまいま]]しいあの獅子男の顔が思い浮かぶ。

  「やってくれやがったぜ、老いぼれのドラ猫がっ!」

  一芝居打った[[rb:老獪 > ろうかい]]な男が脳裏でニタリとほくそ笑んでいた。

  今さら奴がいったい何者かを考えても仕方がないが、おそらく男の素性は本人曰く元近衛兵か退役軍人であることは間違いないだろう。騙すためとはいえ仕えた主君のことを顔色ひとつ変えずに罵れるその胆力の強さは空恐ろしいものがあった。だからこそ真に迫った彼の演技に[[rb:欺 > あざむ]]かれたのだ。

  一杯食わされたが、しかしドルグの表情は悲愴感に彩られてはいなかった。

  前払いで受け取った大金という唯一の救いがある。

  今まで犯してきた諸々の罪と比べて今回の反逆罪はあまりにも重く心にのしかかってきたが、金があればどうとでもなる。このまま逃避行を続けて隣国に抜けて再起を図るもよし、どこか遠い地に家でも買って悠々自適に暮らすもよし。前途は決して暗いものではなかった。

  たとえ金がなくてもドルグには堕とし屋としての腕があった。

  ドルグは雄堕ち専門の堕とし屋だった。

  雄堕ち――それは雄としての快楽に堕ちること。雄堕ち専門の堕とし屋は主に肛交でもって標的を堕とす。雄の生殖本能を剥き出しにさせて、日がな一日、他人の体に種付けることしか考えられないほどに超絶的な快楽を骨の髄にまで植え付けるのである。生殖器を挿入して射精することこそが至高であると。

  己の肉壺を駆使してドルグは今まで何人もの男たちを肉欲の虜としてきた。

  股を開き、尻を高く掲げて硬い肉棒を何百本と体内に迎え入れた。

  今まで請け負ってきた依頼は様々だ。ある男を見境のない強姦魔に仕立ててほしいという依頼では、標的をとことん快楽漬けにして理性を崩壊させた。ほかにはノンケ男に肛交の醍醐味を叩き込んで男色に目覚めさせてほしいといったものもあった。ドルグは依頼をこなすために標的と淫らにまぐわい、彼らの雄としての生殖本能を操って手玉に取ってきたのである。

  逃亡者は脚を止めた。

  どうやらさしもの忠僕といえどもこの険路は諦めざるを得なかったらしい。執拗に食らい付いてきた追手の気配はなく、深い森のさざめきが静かに鼓膜を撫でている。

  顎から流れ落ちようとする汗を拭いながら男はゆっくりと息を吐いた。

  呼吸のたびによく鍛えられた分厚い胸板がその筋肉美を見せ付けるかのように上下する。堕とし屋は肉体が何よりの資本だ。汗をすっかり吸った薄い布の服は、成熟した若い雄の肉付きをこれでもかというほど露骨に浮き上がらせていた。大胸筋は布を引き裂かんばかりに膨れ上がり、凸凹と見事に六つに割れた腹筋が男の鍛錬の成果を如実に物語っている。

  ドルグは鼻をスンと鳴らした。

  自分の体から立ち昇ってくる汗の臭いの中にザーメンの臭いが混じっていた。

  「チッ……」

  苛立たしく舌を鳴らすのも当然。何せ、今回の任務のために一か月間禁欲を強いてきたのだから。

  欲求不満に自らを追い込めば追い込むほど、いざセックスになれば乱れに乱れることができる。目尻に涙を浮かべて男を迎え入れるその痴態を見て、攻め手はより一層男根を奮い勃たせるのである。雄堕ち専門の堕とし屋に禁欲は付き物であった。

  自然と手が股間に落ちる。

  革ズボンを硬くいきり勃った男根がギチギチに押し上げていた。

  「フゥゥッ……糞っ!」

  昨晩の任務でようやくブッ放せるはずだった大量のザーメンが、行き場を失って熱くわだかまっているのを感じる。その臭いが漏れ出しているのだ。汗と獣の雄臭い臭いに混じった精液臭に男は何度も鼻をひくつかせた。

  ドルグは人一倍性欲が強かった。

  だからこそ堕とし屋は天職と言えた。

  雄堕ちを専門としたのは、簡単に言えば己の体で男が気持ちよくなっているのを見たいからであった。男根をギンギンに勃起させた雄の発情姿ほどエロいものはない。そんな雄が鼻息荒く己に飛びかかってくるのである、子作りをせんと子種を植え付けんと。全身に汗を浮かせて余裕のない表情で必死に腰を振り続ける雄がどうしようもなく好きだった。孕ませようと一心不乱に快感を貪る雄がどうしようもなく好きだった。そしてそんな発情した雄たちを相手する己のことも好きだった。少しそこには被虐趣味があるのかもしれない。逞しい雄に体を貫かれる悦び、尻が性処理道具として使われる悦び、無責任に体内に放たれるザーメンがドルグを雄堕ち専門の堕とし屋へと歩ませたのだった。

  吐き出す息すら熱かった。

  体力と精力が[[rb:漲 > みなぎ]]りまくったシェパード男の肉体が今、激しく男を求めていた。

  もし、この場に誰か男がいたのなら誘惑せずにいられなかっただろう。いや、我慢できずに飛びかかっていただろうか。男は筋骨逞しいドルグに襲いかかられて肝を冷やすのだが、次第に彼の放つ[[rb:淫蕩 > いんとう]]の雰囲気に呑まれていくのだ。熱い唇を押し付けられ、妖しい手つきで股間を弄られて……。そして気付いたときにはもう骨抜きになるほど何回もまぐわい、そしてついには精が尽きるまで搾り取られてしまうのである。

  追手を撒いた安堵感に押されて射精欲が爆発的に膨れ上がっていく。

  「ウゥッ、早く[[rb:射精 > だ]]してぇ……っ!」

  そう口走ったときにはもう彼の手は着衣に伸びていた。

  四方を深い緑に囲まれたこの場所は無論、人の気配はなく、思う存分オナニーに耽ることができそうだ。居ても立っても居られずに交差した腕で服を素早く脱ぐと、一段と強く汗の臭いが鼻を衝いた。

  男が見ても惚れ惚れとする肉体であった。

  骨太で逞しい牧羊犬の薄茶色の体毛は背にかけて黒毛に変わりそのコントラストがことさら美しかった。頑丈で大きな体躯は汗に濡れてくっきりと筋肉美を際立たせていた。その中でも大きく前に迫り出した大胸筋にある桃色の突起物を男の指が強く摘まむ。

  熱い吐息が樹冠のほうへと放たれた。

  「くはぁっ……はああっ!」

  乳首に湧いた甘い快感にシェパードの精悍な顔が歪む。

  指と指の間で乳頭を押し潰すと、肉厚のそれはたちまちピンと硬く勃起して淫らな快感増幅器官と化したのである。ジンジンと疼くような快楽が乳首から全身に広がっていく。

  愚息が狭い革ズボンの中でますます充血していき、その痛さに男は唸った。

  堪らず革靴と革ズボンを脱ぎ捨てて、豪快に突っ張った下穿きを取っ払うと、飛び出た怒張が勢いよく腹を打つ。

  「雄くっせぇ……はあぁ堪らん」

  男の生殖器独特の臭いがきつく鼻腔を刺した。昨晩から日中になる今までずっと走りっぱなしだったところに、この鬱蒼と繁る樹海の高温高湿度も加わって蒸れに蒸れまくっていたのだ。生殖能力のすこぶる旺盛な若い肉体が発散するそこの臭気は、一瞬で精悍な男の顔をだらしなく[[rb:蕩 > とろ]]けさせた。

  ペニスを握ってみると[[rb:火傷 > やけど]]するほどの熱量にドルグは目を細めた。

  「ああ、あっちぃ……」

  肉体が激しく射精を求めていた。

  この長期に渡る禁欲によって狂おしいほどの性的欲求が腰の奥に渦巻いているのを感じた。陰嚢を鷲掴みにしてみるとずっしりと重い。ザーメンがパンパンに詰まっているのだ。金玉が鉛のように重く、今にも張り裂けそうなほど凝り固まっている。

  ドルグは肉体もさることながらその雄の象徴もまた目を見張るものがあった。

  頑健な体格に見合った一物だった。

  根元からグンと反り返った陰茎はうねうねと蛇行する青筋を幾本も浮かべ、大きく傘の開いた雁高の亀頭の先は[[rb:臍 > へそ]]まで届いていた。もし彼が雄堕ち専門ではなくて雌堕ち専門の堕とし屋だったとしても間違いなく大成していただろう。この巨根で執拗に尻を掘り上げられたらどんな硬派な雄野郎でもやがては雌のごとく[[rb:善 > よ]]がり狂ってしまうに違いない。

  ペニスの臭いがこれほど欲情を誘うものだったとは。

  ドルグは右手を動かした。

  「ほおおっ!? おっおほっ!」

  一か月ぶりの性的快感が電流のごとく背筋を貫く。

  オナ禁のせいで快感が飛躍的に高まっていた。正直、怒張が外気に触れただけでも快感を覚えてしまっていたのに、一扱きしただけで、雁首を軽く擦っただけでまさか絶頂並みの快感を得られるとは思いもしなかった。ドルグの開きっ放しのマズルから涎が一筋垂れていく。

  誰も立ち入らない深い森の中で自慰に耽る雄一匹。

  そんな開放的な場所で全裸オナニーに没頭する獣人を瞳に映している者がいた。

  気持ち良さげに宙をたゆたっている犬男の尾が止まった。

  ほぼ同時に[[rb:忙 > せわ]]しく動いている右手も止まった。

  手の中の怒張がみるみると萎んでいく男の体が金縛りに遭ったかのように硬直していた。快楽にだらしなく緩んでいた表情は強張り、ギョッと見開かれた彼の焦茶色の瞳はある一点を凝視していた。ちょうど前方斜め、何気なく向けた視線の先で緑青色の大きな眼がまっすぐに男を射抜いていたのだ。

  森が、動いた。

  いや、正確には森の一角が[[rb:俄 > にわ]]かに蠢きだした。

  交差した視線がそいつを動かしたのか。枝葉をへし折り、地面を踏み鳴らしながら圧倒的に高い緑の壁が迫ってくる。それは見上げるほど巨大なドラゴンであった。擬態かそれとも偶然か、森の緑に溶け込むかのようなコバルトグリーン色の鱗を艶めかせ、それよりもさらに濃い緑青色の[[rb:双眸 > そうぼう]]を光らせて近付いてくる。完全に捕食者の眼光であった。

  ドルグの背に嫌な汗が流れた。

  この森はドラゴンの棲家だったのだ。

  [[rb:此奴 > こいつ]]は微動だにせずずっとその場で息を潜め、侵入者の様子を眺めていたのである。

  「くっ!」

  短く唸ったドルグの両足は地に縫い付けでもされたかのように動かなかった。ドラゴンの鋭い爪が深々と地面を抉っている。犬男の体なぞ一薙ぎで紙切れのように千切れてしまうに違いない。

  やがて倒木を木っ端微塵に踏み潰して森の主はドルグの眼前で歩みを止めた。

  生臭い鼻息が顔面に吹き付けてくる。

  深い叡智を感じさせる竜眼が侵入者の体を値踏みするかのように細くなった。喰いでのある奴かどうか品定めしているのか、それとも[[rb:何処 > どこ]]から喰らってやろうかと考えあぐねているのか。だが、どうやらそのどちらでもないらしい。

  ドルグを丸呑みできるほどの巨大な口が開き、一抱えもある牙と鋭い牙列が覗くや、

  「……その指輪、なかなかに関心が尽きぬ」

  地の底から響いてくるような低く重い声が森を震わせた。

  ドラゴンはドルグの体ではなく彼が指に嵌めている古めかしい指輪を興味深げに見やっていたのだ。それは彼がいつも肌身離さず身に付けている装身具の一つだった。堕とし屋を稼業にした頃、ある古物商から買ったものだ。デザイン性もなく石座に美しい紅色の宝石が嵌め込まれているだけのシンプルな代物で、古代のいつ頃作られたのかは分からなかった。

  その古さゆえに数百年を生きると言われるドラゴンの[[rb:琴線 > きんせん]]に触れでもしたか。

  「それを我に供しよ、されば我の寝所を不埒な行いで[[rb:穢 > けが]]した罪を[[rb:赦 > ゆる]]してやろう。どうだ、悪い取引ではあるまい?」

  再び森がざわめいた。

  指輪一つ差し出すだけで命が助かるなら安いものだ。もしここで顔を横に振ろうものならこのドラゴンは指を食い千切ってでも指輪を奪い取る気だろう。

  ドルグは頷いた。

  指輪を外して前に差し出すとドラゴンの喉が満足げに鳴った。

  「それでよい、殊勝な獣よ……」

  言い終えるや否や一陣の風がドラゴンの巨躯を包み込んだ。するとどうだ、見る間に巨躯が縮まっていくではないか。いやそれだけではない、肉体の造形が波打つように崩れたかと思えばたちまち人型へと変貌し始めたのである。

  一瞬の出来事だった。

  気が付けば、一糸纏わぬ若い竜人の青年が前に佇んでいた。

  がっしりとした逞しい雄の肉体であった。背丈はドルグとさほど変わらなく、巨竜時と同じく全身をコバルトグリーンの鱗に覆われた体躯はどこもかしこも肥育した筋肉にえげつないほど大きく膨れ上がっていた。

  彼は高慢たっぷりの表情で犬男から指輪を受け取るとさっそくそれを指に通す。

  「おお……見よ、この鮮血の如き美しい輝石の煌めきを……」

  うっとりと眼を輝かす竜人をドルグは顔色一つ変えずに見やっていた。指輪を奪われて残念がる様子も、命拾いして心底安堵する様子も彼には見られない。ひとえに何かを待っているような、固唾を飲んで成り行きを見守っているような真剣な眼差しは竜人の顔に注がれていた。

  その顔に変化が表れたのは指輪を嵌めてから数拍ほど置いてからだ。

  「……ぐぬ? ぬ、ぬうぅぅっ!?」

  竜人の眉間に深い皺が刻まれ、顔が苦悶に歪んでいくではないか。

  何事が起こったのか、体が震え全身から汗が噴き出し、たちまちその場に崩れ落ちた。異変の発端は指輪にあると瞬時に感じ取ったか、彼はすぐさま外そうとしたが、だが外れる気配がなかった。指の鱗に食い込んだかのようにまったく動きもしない。

  [[rb:狼狽 > うろた]]える彼の肉体に急激な変化が起き始めていた。

  「ぐおおっ!? 我の体がっ! 体が燃えるように熱いっ!!」

  地に両膝を付き、天を仰いで咆哮する竜人の体のあらゆる筋肉がビキビキに青筋を浮かべて隆起するや、大きく開かれた[[rb:股座 > またぐら]]から赤黒い肉塊がグググ……と姿を現し始めたのである。股間に走る肉の溝の中から突き出たそれは、粘液をねっとり纏った竜人のペニスであった。

  ドルグの顔が愉悦に歪んだ。

  それは所有者以外が身に付けると、強制的に発情させる効果のある指輪であった。

  堕とし屋に打ってつけな商売道具の一つだ。輪っかの裏に持ち主の名が刻まれており、持ち主以外の者が装着すると立ちどころに効果が発動する。石座部分から媚薬が染み出し、体内に浸透するのだ。すなわちこの指輪は魔装具である。古来より宝石や準貴石を嵌め込んだ指輪は、その宝石特有の属性を持った力を得る。例えば、琥珀は邪眼から守ってくれる宝石であり、猫目石やルビーは妖術から守ってくれるといったものだ。竜人が装着しているそれは魅了の効果を持った宝石に加えて、独自にドルグが強力な媚薬を仕込んだ代物だった。

  竜人の眼が赤く血走っていた。

  狂おしいほどの肉欲に身を焼かれているのだ。

  「ガアァァッ! なっ何をっ、我の体になにをしたっ!?」

  「人様の物を奪い取ろうとする愚かな輩に下された罰だ」

  ドルグは軽薄に鼻を鳴らして言った。

  さすがは闇の世界の住人である。初めはドラゴンに[[rb:怯 > ひる]]みはしたものの元来、肝は据わっている。堕とし屋として修羅場を何度も潜り抜けてきた彼の表情に余裕が戻っていた。

  「お、おのれっ[[rb:謀 > たばか]]りおったか犬畜生の分際の貴様がっ!」

  「さて……憎まれ口を叩ける余裕がどこまであるか見物だな?」

  「グッ、グッガアァァァーッ!?」

  牙を剥いた竜人の口から一際大きな咆哮が轟いた。

  浸透した超強力な媚薬が理性すらも蝕みだしたのだ。狂おしいほどの肉欲に襲われていることは一目瞭然だった。限界まで開き切ったスリットからドラゴン特有の円錐状のペニスが根本まで飛び出して堂々と天を衝いていた。淫裂から露出したばかりのそれは湯気を上げ、網目状の微細な血管をびっしりと浮かせ、小さな尿道口から早くも我慢汁をとろりと垂れ流している。

  ドルグはそこから目を離すことができなかった。

  「凄ぇな、お前のチンポ……」

  淫らな粘液にぬらぬらと[[rb:塗 > まみ]]れた生殖器の何と卑猥なことか。辺りには発情した雄の臭いが立ち込めていた。堕とし屋は身震いした。この臭いがまた堪らないのだ、雄の生殖本能がくすぐられる臭いであった。

  竜人の眼に涙が浮かんだ。

  発狂しかねないほどの性欲の昂りを一刻も早く処理しなければ、と危険を感じた脳が命ずる。このままでは自我が崩壊し、廃人になってしまうと。愚かな畜生へ痴態を晒すことに躊躇している時間はなかった。思い切り劣情を噴き上げたい、その一心でペニスへ手を伸ばそうとしたのだが……、

  憐れな竜人は驚愕に目を見開いた。

  「グアァッ! アガッガアァァッ! 体がっ手がっ、動かぬっ!」

  それもそのはず、彼を発情させた媚薬は巨竜すらも麻痺させるほどの強力な痺れ薬でもあった。自慰したくても自慰できない、この状況下でその事実は竜人を奈落の底へと突き落とすに等しかった。

  浮かんでいた涙がついに零れ、頬を伝い落ちていく。

  「ガアァ……魔羅がっ、我の魔羅がぁっ! アァ、アアァァッ!」

  瞳に絶望の色が浮かんでいた。

  耐え難いほどの責め苦だろう。

  手を上下させるだけの単純な摩擦行為なのにそれができない。ただひたすら竿を扱きたい、扱きまくって吐精すればこの苦しみから解放されるというのに、指一本すら動かすことが叶わない。浮き立った血管がブチ切れんばかりに赤黒く茹った肉茎を見やる竜人の顔は涙でぐっしょり濡れ、精悍だったというのに今は苦悶に醜く歪んでいた。

  黙って様子を見ていたドルグの喉が、ごくりと鳴った。

  あまりにも、今のドルグにはあまりにも竜人の痴態は煽情的過ぎた。

  この一か月間強いられた禁欲生活で欲求不満は限界にまで達していた。昨晩食えるはずだった二本の竿は拝むこともできずに、ただ[[rb:徒 > いたずら]]に欲望を焚き付けられただけだった。悶々とした性的欲求が、鬱屈したセックス願望が、ドルグの鼻息を次第に荒らげていく。

  「本当に凄ぇぜお前のチンポ……ドラゴン野郎のチンポ堪んねぇ」

  目の前で逞しくそそり勃つ肉棒が網膜に焼き付く。

  雄堕ち専門の堕とし屋として今まで何百、何千という男根を尻に咥え込んできた。今また目の前に実に美味そうな男根が隆々と勃起している。形、大きさ、色、どれをとっても一線級の極上チンポだ。このチンポはいったいどんな味なのだろう、どんな快楽を己に与えてくれるのだろう……。知りたかった、堕とし屋として未だ知らない男のペニスの心地を、善がり狂う姿を。

  ドルグは牙を剥いて吼えた。

  「グオオッ糞がぁっ! もう辛抱ならねぇっ!!」

  竜人に飛びかかって勢いよく押し倒すや、彼の腰の上へと跨った。

  「なっ何をするかっ!?」

  「黙ってやがれ! ザーメンぶっ放したくて堪んねぇんだろ、だから今からお前の願望を叶えてやるってんだよっ!」

  引き攣った笑みを竜人へと落としながら男は言った。

  そして屹立した竜根を迎え入れるべくゆっくりと腰を下げていく。前戯などまどろっこしい行為はやっていられなかった。先ほどから肛門が疼いて疼いて仕方がない、己でも穴が物欲しげにヒクヒクと痙攣しているのが分かるほど他人の肉棒を欲していた。ある意味、堕とし屋こそが最もセックスに病み付きになってしまっている人種かもしれなかった。

  嫌々というように竜人が涙ながらに顔を横に振っていた。

  「きっ貴様何をっ! よ、よせっ……我は男と交わる気など毛頭っ、や、[[rb:止 > や]]めろ止めぬかっ!!」

  表情と口調に激しい嫌悪を滲ませて彼は言う。

  だがドルグは薄ら笑いを浮かべながら構わず腰を落としていく。

  「男は初めてか? ならお前に極楽を見せてやるよ……野郎のケツマンコでな」

  数多の男たちの精液を搾り取ってきた肉壺がまた新たな精液を搾り取るべく、竜根の突端に狙いを定めた。完全な逆レイプだ。それもまた一興、自由を封じられた逞しい野郎の上に乗りかかって合意を得ず強引にセックスに及ぶことに堕とし屋は少なからず興奮を覚えていた。

  肛門が灼熱の先を捉えた。

  「ほおおっ! あっちぃぜぇ……」

  ドルグは体を震わせた。先っぽが触れただけだというのに悪寒めいた快楽が背に走ったのだ。

  「止せっ[[rb:愚昧 > ぐまい]]な畜生めが! それ以上腰を沈めたら決して許しはせぬ、お前の体を八つ裂きに……」

  竜人は途中で言葉を失った。ドルグが問答無用で尻をさらに落としたのである。ねっとりとした生温かな感触がペニスを包み込んだ。

  「ヒッ、ヒィィィッ!?」

  屈強な竜人らしからぬ甲高い声が喉から[[rb:迸 > ほとばし]]った。

  意識が遠のくほどの超絶的な快感がペニスから全身へと瞬く間に広がっていく。それは未曾有の快楽。通常の性交では決して味わうことのできない禁断の悦楽。未だかつて経験したことのない桁外れの性的快感に脳が激しく揺さぶられた。

  竜人が白眼を剥き、マズルから涎がだらだらと垂れ落ちる。

  「アガ……ガッガァァ……ンガァァ、アァ」

  粘膜と粘膜の接触点から途轍もないほどの快感が生じてくる。汚らわしい獣の尻穴だというのに何たることか。竜人は堪らず熱っぽい息を解き放った。抗うことができない、この穴には決して逆らえない。

  ズブ……ズブリュリュリュゥ、と粘った音を立てて竜根が呑み込まれていく。

  野郎の肛門が男嫌いのペニスを丸呑みにしていく。

  「ガァァッ、おのれっ、おのれぇっ! グガァァッ、ガァァ……」

  口では悪態をつき続ける竜人であったが怒張は一向に萎える気配がない。いや、それどころかますます硬くなって体積を増やしていくではないか。生殖器としての役割を遂行しようとしているのだ、この肉穴は種付けするに足る生殖孔であると脳が判断を下したのである、たとえ相手が雄であったとしてもだ。

  ドルグもまた熱い吐息を放っていた。

  「おっほぉ……これだ、これだぜぇ俺が求めていたのは!」

  尻穴を穿つこの感覚、ミリッミリミリミリと圧倒的な物量が直腸内を埋めていくこの感覚、これこそがアナルセックスの醍醐味だ。雄の生殖器を迎え入れる雌のマンコと化した雄膣の中を今、竜人のペニスが体奥深くへと潜っていく。

  ガニ股のままゆっくりゆっくりと交わりを深くしていくドルグ。

  「おほぉぉ……ほぉっ、ほおおっ、でっけぇ、やっべぇなドラゴンチンポ」

  根元に向かって極端に太くなっていく特異な形状をした竜根を括約筋が物ともせずに咥え込む。ひたすら貪欲であった。雄堕ち専門の堕とし屋として標的の男どものチンポを片っ端から平らげてきた彼にとって、三度の飯より好物なのがセックスなのだ。厳密には男の股にぶら下がっているその物なのだが。

  久方ぶりのペニスの感触に肉体が喜び勇んでいた。

  それも強健な竜人のペニスであるのだから堪らない。

  「すっ凄ぇ……まだ奥に侵入してきやがるっ! どんだけデケぇんだよ……おっふぅ」

  腸壁をこそいで奥へ奥へと入っていく極上の太魔羅。一か月もお預けを食らわされてすっかり乾いていた腸の細胞がまるで生き返ったかのように歓喜していた。

  やがて根本まで体内に沈めるとドルグは満足げに長息した。

  「ふぅぅぅ……ああ、すっげ」

  完全な結合を果たしたのである。

  直腸がすっかりドラゴンペニスの形に歪められているのを感じる。腸の形を逞しい男の一物の形状に無理やり矯正される喜びは[[rb:一入 > ひとしお]]だ。この瞬間、男の腸は竜人専用の肉の[[rb:鞘 > さや]]であった。それにしても何という大太刀か、肉刀の先があろうことかさらに奥まった結腸のほうまで達していた。気を少しでも抜いたらチンポ狂いになってしまうほどの明らかにヤバいブツだった。腰を上下させるまでもなく、じっとしているだけで早くも達しそうになる。伝わってくるのだ、腹の中で竜根がドクンドクンと力強く脈打っているのが。その感覚が堪らなかった。絶頂に向かってひた走る前の、例えるなら嵐の前の静けさの中で、己の腹の奥で他人の生殖器が獰猛に息衝いている感覚がどうしようもなく身を焦がすのである。

  愛おしい。

  堪らなくチンポが愛おしい。

  できるだけ体の奥深くへ種付けしようと、大量に子種を仕込もうと限界まで硬くなっている高慢チンポが狂おしいほど可愛らしい。

  「はぁぁ……たっまんね。デカマラはこれだから止めらんねぇ、病み付きになっちまう……」

  存分にその形を、硬さを確かめながら竜人を見下ろして、

  「どうだぁ、野郎のケツマンコは? お前が拒絶していた野郎の尻の中に今ずっぽり[[rb:挿入 > はい]]ってるぞ、分かるか?」

  そう言って括約筋をキュッキュッと締めてやるとあからさまに竜人の顔が歪んだ。

  「ガァァッ!? アアッ、アグゥゥッ!」

  「また硬くなったなぁ? 分かるぜぇ? 今すぐにでも射精してぇんだろ? 認めろよ、男に犯されてビンビンに感じてるのが今のお前なんだよ。女のマンコも野郎のケツマンも何ら変わらねぇ、同じ肉の穴だ。むしろ男のほうがよく締まるときてる。どうせ同じ穴ならより気持ちよくなれる穴のほうがいいだろ?」

  堕とし屋はニタリと口の端を吊り上げて再び括約筋に力を込めた。

  「おっふぅ!? ……い、[[rb:射精 > い]]かせてくれっ、御託はいいから早くっ[[rb:射精 > い]]かせてくれいっ!」

  竜人は長い舌をだらんと垂らしながら切願した。

  暴力的なまでの劣情に気が狂いそうだった。今は一秒でも早く絶頂に達することしか考えられなかった。痺れ薬の影響で体を動かせない以上、頼りはこの憎々しい犬獣人の男しかいないのだ。だが、楽になれるならもう何者でもよかった、たとえそれが男の汚らわしい尻の穴でも。

  猛り狂ったペニスを直腸の粘膜が妖しく撫でていく。

  「ほおおっ! おっおっおほっ!」

  竜人の喉から歓喜の嬌声が漏れた。

  ゆっくりと男の腰が上下していた。ペニスに生じる途轍もない快感に意識が白む。男の尻とはこうも塩梅のいいものだったとは思いもしなかった。何せ、生温かく柔っこい肉壁がぴっとりと吸着しながら竿を前後に擦っていくのだから堪らない。それはまさしく男の精を確実に搾り取らんとする動きであった。

  瞬く間に射精中枢がザーメンを噴かんと働く。

  「オッグゥゥゥッ! いっ[[rb:射精 > い]]くっ、[[rb:射精 > い]]っぐぅぅっ!」

  絶頂に向かって全身の筋肉がビキビキに筋張り、あとは尿道を精液が駆け上るだけといったところで、

  「ぐうっ!? な、なぜだっ! 貴様何を考えているっ!?」

  竜人は顔から悲愴感を溢れさせて男を[[rb:詰 > なじ]]った。

  犬獣人があろうことか竜根の付け根を手でもってギリリと強く締め付けていたのである。そのせいで射精できないのだ。絶頂まであとほんの少しだったというのに何と許しがたい所業か。

  「なぜ、なぜ[[rb:射精 > い]]かせぬのだーっ!」

  放出先を失った大量のザーメンが腰の奥で渦巻いていた。

  「[[rb:射精 > い]]かせねぇよ? 何を勝手に、誰の許しを得て[[rb:射精 > い]]こうとしてんだよ? 俺はまだ許可してねぇぞ、お前は俺の尻を使わせてもらってる立場だということをまだ分かっちゃいねぇようだな」

  「な、何を……」

  「俺の許しなしに射精なんざさせねぇってことだ。高貴なドラゴン殿なら耐え切ってみせなっ!」

  不敵な笑みを浮かべた犬獣人がまた腰を上下し始めた。

  「グガァァァーッ! アーッアガーッ!」

  再び絶頂寸前のとてつもない快楽が脳髄を痺れさす。

  蛇の生殺しだ、快感を与えられるだけ与えられて射精することを許されないとは。竜人の射精は完全に犬男の制御下に置かれたのである。絶頂しそうになるたびにペニスの根本をきつく掴まれ、括約筋で締め付けられて、寸止めは何回も繰り返された。

  竜人は涙を、鼻水を、涎をだらだら垂らしながら必死に哀願する。

  「ヒッヒギィィッ……も、もう[[rb:射精 > い]]か、[[rb:射精 > い]]かせてくれぃ……ガアァァァ」

  「…………」

  しかし男は許可しない。騎乗位のままうっとりとした面持ちで無言で腰を上下し続けるのだ。

  [[rb:射精 > だ]]したくても[[rb:射精 > だ]]せない竜人の苦しげな声が森に染みていく。筋骨逞しい裸体はすっかり脂汗に塗れ、美しいコバルトグリーンの鱗を[[rb:艶 > なま]]めかしく輝かせていた。その肉体美から臭ってくる[[rb:噎 > む]]せるほどの雄の体臭を鼻腔に通しながらドルグは組み敷く男に胸の内で訴えた。

  さあ竜人よ、雄の生殖本能を剥き出しにしろ――と。

  射精こそが、種付けこそが雄の本懐である、と。

  堕とし屋の手にかかって堕ちぬ者はいない。それがどんな崇高な理念をもっている男でも、性的接触を不浄のものと見なしている男でも例外ではない。性欲というものが人にある限り堕とし屋の魔手から逃れる術はないのである。ときには監禁し数日に渡って快楽漬けにされ、ときには薬物を用いて通常では味わえないほどの快楽に溺れさせられ、またときには強烈すぎるが[[rb:故 > ゆえ]]に性指向までをも歪まされて皆、肉欲の[[rb:坩堝 > るつぼ]]に囚われる。未だかつて経験したことのない破壊的な快楽の前に、個人の自戒や思想など何の障害にもならないのだ。

  そしてここにまた一人、[[rb:矜持 > きょうじ]]を捨てようとする者がいた。

  「ごっ後生だっ、頼むからもう[[rb:射精 > い]]かせてくれっ!」

  竜人が涙で眼を赤く腫らしながら懇願した。

  幾度となく強いられる寸止めに彼のペニスは痛々しいほど赤黒く鬱血し、青筋がグロテスクなまでに浮き上がっていた。ドルグは腸液と先走りですっかり白く泡立った体液塗れの結合部を確かめると、指にべっとりと付着したそれを恍惚の表情で舐め取りながら言う。

  「……却下、だ」

  「ヒッ、ヒィッ!」

  血も涙もない返答に竜人は絶望した。

  「何でもするっ! 何でもお前の言うことを聞く! だからもう楽にさせてくれっ! このままだと頭がどうにかなりそうなのだっ、ガァァァッ!!」

  「……何でもだと? なら俺の配下となれ、そうすれば射精することを許してやる」

  途轍もない要求だった。

  気位の高いドラゴンが獣人の下に、それも賤業に就いている男の言いなりになるなどあってはならないことだ。だが、竜人はその無理難題を呑んだ。追い詰められた彼には少しの余裕すら残されていなかったわけだ。

  「わ、分かった! 契約というわけだなっ!」

  契約――それはこの世界において、結ぶ者が上位の存在、すなわちドラゴンや悪魔、精霊、神などの超常の存在である場合、言葉上だけの約束事では済まされない。魔術によって結ばれ、絶対的な拘束力を有する。射精という一時の快楽を得んがために契約を結ぶとはこの竜人は何と愚かなことか、一度結ばれた契約は相手側から申し出ない限り絶対に[[rb:反故 > ほご]]にすることはできないというのに。

  だが、すでにもう手遅れのようだ。

  何事かを呟く竜人の[[rb:口吻 > こうふん]]から青白い光芒が漏れていた。

  竜語による高等魔術だ。たちまち光芒が眩いばかりに光を放ち、やがてそれが消える頃には、竜人とドルグの双方の舌の上にまったく同じ形の小さな[[rb:痣 > あざ]]ができあがっていた。主従関係を結んでいる証である竜紋であった。

  ドルグはやや肉が盛り上がっているその刻印を指で触って確かめると、

  「確かに……」

  してやったりとほくそ笑んだ。

  己の手駒としてこれほど頼りになりそうな奴はいない。初めて彼の逸物の見事さを見たときに決めていたのだ、此奴は使える、と。此奴なら雌堕ち専門の堕とし屋として大いに活躍してくれるだろう。己は雄堕ち、此奴は雌堕ちの堕とし屋で荒稼ぎしてやる。ドルグの胸中で底知れない野望が赤々と燃えていた。

  契約は成った。

  「よし、射精を許してやろう。思う存分俺の中に種付けしやがれ、このスケベドラゴンがっ!」

  竜根を握っていた指を離し、激しく腰を上下させるドルグ。

  「オッゴオオオーッ!? オゴッ、オフッオゴゴォォッ!!」

  分厚い尻肉がバチュンバチュンッ! と卑猥な音を立てて何度も竜人の股間に叩き付けられる。暴れ回るドルグの怒張の先から放たれた粘液の糸が竜人の腹や胸へと次々に刻まれていく。遠慮のない豪快なセックスだった。しぶく汗、交接部から飛び散る愛液、発情した男と強制的に発情させられた男の歪なセックスはどこまでも淫らに堕ちていくのだ。

  ドルグは己の乳首を両手で[[rb:抓 > つね]]りながら、

  「おほぉぉっ! アガるぜぇっ、俺の前立腺をゴリゴリ削っていきやがるっ!」

  極限まで硬化し切った雄肉に容赦なく前立腺を潰されて呻いた。

  夢中で腰を動かしながら男は確信した。こんなデカブツを長時間ハメ続けられたら雌堕ち待ったなしだ。此奴は原石だ、金の卵だ、磨けば磨くほど金になる。意識が陶然としていく中でそう思った。

  ふと竜人の顔を見れば彼はすでに正気を保っているかも怪しかった。

  「イギッ、ヒギッヒィィィッ! グガッギッグゥゥッ!」

  半ば白眼を剥いて、笑んでいるような泣き笑っているような何とも締まりのない表情で無様なアヘ顔を晒している。狂おしいほどの快感に襲われているのだろう、一方的なセックスで与えられる快楽を貪欲に貪っているのだ。おそらく思いっきり腰を突き上げたい衝動に駆られているはずだ、体が麻痺していなかったら壊れた機械のように腰を打ち付けているはずだ。だがそれは叶わない。強制的に与えられる快楽でこの男はこのまま無様に射精するしかないのだ。

  深い森の中で盛り合う雄二体。

  獰猛な[[rb:喘 > あえ]]ぎ声を上げて青姦する姿は[[rb:獣 > けだもの]]そのものであった。

  「おおすっげっ! ドラゴンチンポッ、チンポ最高っ! グオオッオッオッオホォッ!」

  「ガッグウゥゥゥッ! グガッ、ガッ、ガハァァァーッ!」

  筋肉隆々の体からダラダラと汗を噴かせて犬獣人と竜人は異種姦に耽る。種族の壁などとうに彼らは感じていなかった。雄と雄、快楽を求めるただの雄同士、それが全てだった。

  竜人の喘ぎが露骨に切羽詰まったものに変わった。

  「おおっ[[rb:射精 > い]]くのかっ! [[rb:射精 > い]]きやがるのかっ! いいぞ[[rb:射精 > い]]けっ、俺のケツマンコに思う存分ブッ放せっ!」

  ドルグは[[rb:止 > とど]]めとばかりに、竜根が抜ける寸前まで引き上げた腰を反転、容赦なく落とした。ズブリュッ! と湿った音を立てて一気に吞み込まれる肉棒。そのまま腰を左右に回して結合部をグリグリと擦り付けるや、

  「オッゴオオオオォォォォォォーーーーーーッッッ!!」

  大地を揺るがすほどの大咆哮が竜人の口から迸った。

  その声に呼応するかのように直腸の中にずっぽり埋まっていた怒張が一際大きく膨れた瞬間、

  ドッビュウウウウウウルルルルルルルルーーーーーーッッッ!!! ビュブッビュブッビュブブブブブブゥゥゥゥゥーーーーーッッビュービュービュビュビューーーッッ!!!! ドビュッドビュッ! ドピュブブブブブルルルルルルルルルッッーーーーーーッッッ!!!! ビュビビッビューッビューーッビュビュビューーーーッッッ!!!! ドビュッドクドクドクドクドクッッ!!!

  ドラゴン族の射精とはこうも凄まじいものなのか。

  鈴口から勢いよく射出されたザーメンがたちまち腸内を白く染め、結腸の奥のほうにまで遡っていく。

  「オガッ、ガァァァァッ!! ガハッ、グアァァァァーーーッ!!」

  竜人が完全に白眼を剥き、食い縛った牙の間から泡を吹いていた。

  どれほどの快感に襲われているというのか想像すらつかない。肉壺の中へと注がれていく精液は勢いを弱めることなく放出され続けている。圧倒的な量だった。ドラゴンの精力の強さは獣人の比ではない、それこそ無尽蔵というほどに旺盛なのである。

  感極まったドルグもまた絶頂に体を震わせていた。

  「おっほぉぉぉっ流れ込んできやがるっ! 大量のザーメンが俺の腹の中にっ! ウッゴォォォーーッ!!」

  膨張する腹に押し出されるようにして男の獣根から白濁が噴き上がった。

  ドビュブブブルルルルーーッビュブブッッ!! ビュービュゥゥッ! ビュブッッ! ドックンドックンドクドクッ!! 暴れる怒張の先から太い白線が何本も宙へと引かれていく。たちまち竜人の体を淫らに濡らし、顔まで飛んでは顔射に汚す。

  腹が見る間に膨れていった。

  絶頂の最中、ドルグは体をビクンビクンと痙攣させながら、

  「おお凄ぇっ、腹がぁっ俺の腹がぁぁっ!」

  歓喜に善がり狂った。狂暴な射出量に腹が妊婦のごとく膨れ上がっていた。

  ドルグは白んでいく意識の中で思った。この竜人は無自覚にもまぐわった相手を確実に孕ませるべくこれほど膨大な量のザーメンを仕込んでいるのだ。俺は子を産む気などないというのに、配下のくせに何と傲慢で身勝手な男か。[[rb:嗚呼 > ああ]]……逞しい竜人に孕まされてしまう、異種の子を孕んでしまう……。ドルグは淫らな妄想に恍惚と酔いながら再び精を噴き上げさせた。

  ようやく己の射精が治まるとドルグは倒れるように上半身を竜人の厚い胸へと預けた。

  「ハァハァ……ハァ、ハァハァハァ」

  意識を持っていかれそうなセックスだった。堕とし屋である己が危うく堕としかけられた。いや実際、あと少し気を許していたらどうなっていたか分からなかった。荒い息を整えながら男は再度、確信した。やはりこの男は堕とし屋の素質がある、それも天性と言えるほどの高い素質が。これほど大量のザーメンを流し込まれたら誰が理性を保っていられようか、保ってなどいられない、何せ流し込まれるそばから削られていくのだから……そして己の肉体が竜人の色に染められていくのを自覚するのである、己はこれでもう竜人の所有物になってしまったのだと。

  気を失っている竜人を見下ろしてドルグは呟く。

  「恐ろしい奴め……」

  腹をすっかり満たし終えたザーメンが結合部からゴポゴポと音を立てて溢れ出ていた。

  微風すら吹かない薄暗い深い森の中で、発情した雄たちは狂ったように盛り合う。二人の濃密な精液臭と雄臭い淫臭が漂う中で、全身汗だくになりながら彼らは精が尽きるまで盛り合う。雄と雄、堕とし屋と堕とし屋の卵は互いの肉体を隅々まで知り尽くさんとばかりに、それから三日三晩、寝る間も惜しんで貪り合った。

  竜人の名はレガルトと言った。

  ドルグの見立て通り、堕とし屋になる資質は十分過ぎるほどあった。ドラゴンの底無しの体力と精力の強さを考えればこれほど適職なものはない。さらに彼の傲慢とも言えるほどの性格は雌堕ち専門の堕とし屋とするには打ってつけだった。標的は強い雄によって雌へと堕とされる、己が弱い雌だと自覚させるには相手は傲慢な性格ぐらいがちょうどいい。

  レガルトにセックスのあれこれを教えると驚くべき早さで吸収した。

  基本的な性技の他にも人心掌握術や読心術といった心理学から肉体の構造などの簡単な医学、裏社会の仕組みまで、堕とし屋に必要とされる知識を叩き込んだ。だが彼の場合、その恵まれた肉体さえあれば、他がたとえ[[rb:疎 > おろそ]]かであってもどうにかなるだろう。それほどレガルトの生殖器と精液量は類稀なものであったのだ、それだけで標的を雌に堕とせるほどに。

  程なくしてドルグはレガルトを堕とし屋に仕立て上げた。

  彼の初仕事はすでに用意してある。

  ドルグは闇稼業に身を置きながらこう見えて律儀な性格であった。仕事はいったん引き受けたからには最後までやりきるのが信条だ。

  まだ終わらせていない案件が一つだけある。

  ドルグの脳裏に一人の老いた獅子男の顔が浮かんだ。偽りの依頼を持ちかけてきたあの憎き老獪な男であった。彼奴から受け取った前払いの金がある。いったん受け取ったからには依頼を最後までこなさなければならない、このまま逃亡することは己の主義が許さない。ドルグはレガルトと共に仕事を完遂するつもりだった。一度狙った獲物は堕とし屋の矜持にかけても逃したくはなかった。

  ドルグは早くも股間が疼くのを感じた。

  あの晩、ヤリ損ねた恨みが沸々と湧いてくる。この恨み辛みを肉情に乗せて思う存分犯し、善がり狂わせてやらなければ気が済まなかった。どんな声で鳴くのだろうか? どんな顔で[[rb:射精 > い]]くのだろうか? 高貴な野郎共の[[rb:射精 > い]]き顔を思うとますます股間が硬くなっていく。

  二人の堕とし屋は国王と王子を堕とすべく立ち上がった。

  [newpage]

  ある日の麗らかな日中のことだった。

  王宮への帰路に就いていた獅子のタイダル王子とその御付の一行は、森の中頃に差しかかった辺りで足を止めた。梢の間から陽の光が降り落ちる苔むした道の先で、横合いから巨大な魔獣が飛び出してきたのである。全身、血を浴びたように[[rb:紅 > あか]]い被毛に覆われた、地獄の番犬と称される魔犬ガルムだ。一行の顔に緊張が走った。ドラゴンが棲むと噂される王宮から遠く離れた森と違い、街近くにあるこの森では魔物の類などこれまで一度も出たことはなかった。

  虚を衝かれた一行へと魔犬がその巨体を躍らせた。

  王子を守らんと衛兵たちがすかさず剣を抜いて応戦するも、元より魔獣との戦闘など想定していない。最低限の人数ではあまりにも劣勢に過ぎた。たちまち守りを突破されて飛びかかってくるガルムの振り上げた右腕の一撃を、タイダルは抜刀したその刀でどうにか受け止めた。

  ガルムの鋭利な爪と刀がかち合い火花が飛び、耳障りな音を奏でる。

  「ぐぬっ……ぬぅっ!」

  タイダルは歯肉を剥きながら唸った。

  魔犬の何たる[[rb:膂力 > りょりょく]]か、跳ね返せない。獅子獣人の腕力をもってしても防戦一方だった。

  どんな者にも負けない自信があった。その自信がタイダルという男を培ってきた。偉大なる父、獅子王ザルザの嫡子として、次期王位継承者として恥ずかしくないよう己を厳しく律してきた。日々の鍛錬も一日も欠かしたことはない。毎日肉体を[[rb:苛 > いじ]]め、限界まで追い込み、禁欲的に肉体作りに打ち込んできた。結果、齢三十を過ぎてますます雄としての脂が乗って精気漲る頑強な肉体を得ることができた。だが……、

  「グオオオーッ!!」

  タイダルはこめかみに青筋を浮かべて吼えた。

  魔犬ガルムの凶相が顔面近くにまで迫る。太い牙から滴る唾液が刀を伝ってボタボタと顔に落ちてくる。喰らう気なのだ、腹を満たす気なのだ。

  腕に自信のあるさしもの強者といえどもあまりに分が悪かった。

  魔犬の体格は大柄のタイダルの体の優に三倍以上はあった。

  押し負けて次第に[[rb:後退 > あとずさ]]るタイダルとガルムの向こうで新たな剣戟の音が響いた。魔獣は一体だけではなかったのだ。新手が一行を情け容赦なく強襲する。最早狩りであった、魔獣による獣人狩りだ。傭兵たちは王子を守ることも叶わず、口々に何事かを叫びながら剣を振っていた。

  タイダルは一人ガルムの牙に抗っていた。

  勝機を見出そうといったん退いては応戦を繰り返すことしばらく。御付らとどれほど引き離されてしまっただろうか、辺りに[[rb:人気 > ひとけ]]はなく刀と牙の交わる音だけが響いていた。

  敗色が濃厚になってきた頃だった。

  つと、低木の茂みの方から一陣の旋風が木々をざわめかせるや、一人の剣士が飛び出してきたではないか。若い竜人の男だ。彼はそのまま一直線にガルムへと飛翔すると剣を[[rb:翻 > ひるがえ]]した。刃の一閃が鮮やかな軌跡を残す。たちまちガルムの紅い毛が鮮血のように宙へと舞い散った。

  流れるような剣捌きだった。

  いったい何者か。ガルムは突如として現れた青年の神速の一太刀に恐れ戦いたか、口惜しそうに狂猛な唸り声を残して繁みの中へと消えていった。

  「かたじけない……お陰で命拾いした」

  礼を言うと竜人の青年は剣を鞘へと納めながらにっこりと破顔した。

  「何の。あなたが無事で何よりだ、どこかお怪我はされておられぬか?」

  「貴殿のお陰で私は大丈夫だ、改めて助太刀感謝する」

  凛々しい風体の竜の若者であった。簡素な革鎧に一振りの剣を[[rb:佩 > は]]いているのを見るに傭兵といったところだろうか、先ほどの剣筋から察するとよほど腕の立つ剣士のようだ。露出した肩や腕は分厚い筋肉で逞しく盛り上がり、美しいコバルトグリーンの鱗が木漏れ日に青々と煌めいて実に神々しかった。

  ふと彼の容姿に見惚れてしまっていたタイダルは慌てて我に返ると、

  「……それにしてもまさかこの森であのような魔物に出くわすとはな」

  「まだその辺りに潜んでいるやもしれませんな。これも何かの縁、道中お供しましょう」

  竜の青年は再び胸のすくような笑みに白い牙を覗かせて言った。

  「おお、それは心強い! 私はタイダルと言う。貴殿の名は?」

  「[[rb:某 > それがし]]はレガルトと申す。タイダル殿……はもしや王族であられるあの? 道理で纏う雰囲気がただならないと思うておりました、お初にお目にかかりますタイダル様」

  [[rb:慇懃 > いんぎん]]にその場に片膝を突こうとした彼をタイダルは顔を振って押し止めた。

  青年レガルトがタイダルに感じ取ったのは王道を歩む者の強い覇気か。その長身の肉体はレガルトに負けず劣らず雄々しさが漲り、全身が分厚い筋肉に覆われていた。百獣の王の証である[[rb:鬣 > たてがみ]]も堂々として勇ましく、装着した銀の鎧の右胸辺りと剣の[[rb:柄頭 > つかがしら]]には王族の証である獅子の紋章が眩しいほどの威光を放っていた。

  タイダルは感心しきりに、

  「レガルト殿の剣技の冴え、実に見事だった。どこぞの傭兵団に属しているのか?」

  「いえ、某は放浪の身なれば、仕える主を持たず[[rb:徒 > いたずら]]に諸国を[[rb:彷徨 > さまよ]]っている根無し草です」

  「何ともったいない……」

  一拍置いてタイダルは何事か思い至ったかその琥珀色の瞳を輝かせた。

  「それなら我が国に、いや、私に仕えてみぬか? 悪いようにはせぬぞ!」

  竜の青年は心底驚いたといった表情で、

  「これは願ってもない申し出、某としてもそろそろ仕官先を見つけねばと思っていたところでした。……ですが本当によいのですか? 某のようなどこの馬の骨とも分からない者を召し抱えるなど」

  「案ずるな、貴殿の悪評など私が立たせはせぬ」

  任せろとばかりに大きく反らせた胸をドンと叩いてみせるタイダルに青年は顔を綻ばせた。

  タイダルは力強く頷くと、表情をがらりと引き締めて言う。

  「と、立ち話をしている余裕はない。私の配下が向こうでまた戦っているかもしれん。早速だが力を貸してくれ!」

  「御意に……」

  タイダルが踵を返し、青年に背を向けたときだった。すぐ背後から怖気を覚えるほどの妖気が爆発的に膨れ上がるのを感じた。何事か、身の危険を感じて[[rb:咄嗟 > とっさ]]に振り返ったタイダルの目に映ったのは、迫ってくる竜人レガルトの宝石のように透き通った緑青色の眼だった。

  レガルトの顔が近付き、口唇がタイダルの口を塞ぐ。

  「ぐむっ!? な、何をするかっ……んむぐっぐうっ!」

  何という力の強さか。顎を押さえた手が力尽くでマズルを割り、口の中に生温い舌が強引に入ってくる。

  「んっ、んんっ、んんむうぅぅーっ!?」

  竜の分厚く長い舌が口腔内を這い回る。

  タイダルの顔が怒気と息苦しさにたちまち真っ赤に染まっていく。

  何が起こっているのか一瞬理解できなかった。すぐさま豹変した青年に唇を奪われているのを自覚すると期待を裏切られた激しい怒りが身を焦がした。それに男から接吻されるなど恥以外の何物でもなかった。斬って捨ててやるまでだ、急速に湧いた殺意は、しかしなぜか急速に消え失せていった。

  レガルトの緑青色の双眼が瞬きもせずタイダルの目を射抜いていた。

  竜眼――魔眼の一種であるその眼に見つめられると感情が鈍化し、敵意が甚だしく低くなる。軽い催眠状態に陥ってしまうのである。

  口を離したレガルトがいやに熱っぽい声で囁く。

  「……我は貴様が気に入ったぞ、勇猛な獅子の王子よ。貴様のこの熟れた雄の肉体はさぞ美味かろう、我の肉情を十二分に満たしてくれそうだ」

  「ぐっ、何を言って……うぐっ」

  タイダルは苦悶に唸った。

  怒気や殺意はすっかり消失していた。青年に見つめられたときから頭の中に白い[[rb:靄 > もや]]がかかったように意識が判然としなくなっていた。

  「おっお前は傭兵などではないなっ? いったい何者だ、他国の刺客か……っ!」

  体に力が入らない。タイダルはどうにか青年を詰問すると、自力では立っていられなくなり背後の木へと背中を預けた。

  青年の指先が妖しさをもって獅子男の鬣を撫ぜ、ゆっくりと首筋から胸先へと落ちていく。

  「ぐうっ……っ!」

  タイダルは青年の眼差しから目を離すことができなかった。畏怖を覚えるほどの眼光の何と美しいことか。透き通る緑青色の虹彩の奥で[[rb:蠱惑 > こわく]]的な光が揺らめいていた。その光を見ているとどうにも不思議な気分になった。故郷を懐かしむような郷愁にも似たこの切ない感情は何か……。この竜の青年を見ているとなぜこうも胸を締め付けられてしまうのか。

  竜眼に魅入られたタイダルの鎧が青年の手で外されていく。

  レガルトの口角が[[rb:僅 > わず]]かに上がった。

  首尾は上々であった。標的の一人である王子が今日、この森を通ることは前もって知っていた。知能の劣る下等種の魔獣を使役することなどドラゴンにとって造作もないことだ。魔獣をけしかけて一行を襲わせて王子を孤立させたところで篭絡する計画であった。

  催眠下に入ったタイダルの瞳がうっとりと熱を帯びていた。

  「ううっ、私の体にいったい何をした下郎め……」

  まだ残っている反抗心が男の口を割って出る。

  「ふふ……[[rb:愛 > う]]い奴だ。だがいつまでそう言っていられるかな? これから貴様は我に犯されるのだ、せいぜい抗ってみせよ、そのほうが我も嬲り甲斐があるというもの」

  「ほっ、ほざけ、誰がお前などに」

  「口はそう言うが、はたして貴様の肉体はどうかな?」

  レガルトは鎧を外して露わになったタイダルの胸先へと舌を這わせた。

  「うぐぅっ!?」

  獅子男の体がビクンと跳ねた。

  その反応の良さにレガルトは満足げに眼を細めた。やはり思っていた通りだ。この男はこれまでの半生、女には目もくれず[[rb:克己 > こっき]]してひたすら修練に励んできたに違いなかった。性的な行為に免疫がないのが見るからにも丸わかりだった。女に好かれようともしていない。武骨なガタイからは獣臭と汗の臭いの混じった雄臭い体臭が漂っていた。

  胸の薄茶色の毛並みの中からぷっくりと盛り上がっている肉厚の乳首を口に含むや、

  「ウガァァ……」

  獅子の太いマズルから漏れるのは甘い嬌声。

  女色とは無縁の日々だった彼がそこを他人に舐められるなど生まれて初めての経験であった。口に含まれた瞬間、腰が痺れるような甘い快感が体中に広がっていくのを感じた。

  タイダルの乳首が今、性感帯の自覚を持とうとしていた。

  「お……おふぅ、おおっ……おうぅぅっ!」

  乳首が吸われている。

  乳など一滴も出ないというのに力強く吸われ続けている。

  厚ぼったい乳輪を舌が撫ぜ、乳頭を牙が甘噛みし、乳飲み子のように青年の口が吸い付いている。吸われるたびに分厚い大胸筋が痙攣し、脚がガクガクと震えた。乳首から生じる快感にタイダルは激しく困惑した。そこがこれほどまで感じるものだったとは思いもしなかったのだ。男には不要のただの小さな肉粒だとばかり思っていた。それがどうだ、思わず熱い息が漏れてしまうほど感じてしまっているではないか。

  久しく忘れていた性的快感が俄かに獅子の一物を膨らませていく。

  彼の大きく盛り上がった革の下穿きをレガルトはゆっくり撫でながら言う。

  「……胸を愛撫しただけで感じたか、よほど色気に飢えていたとみえる。いや……それだけ貴様の精力が旺盛ということか、愉しみだ」

  「ぐっ、ぐぅぅ……」

  獅子男は顔を真っ赤にして閉口した。

  返す言葉もない。この肉体のあからさまな反応の前に強がりを言うほど愚かではなかった。今はただ、胸を締め付ける竜人の一挙手一投足に期待してしまっている己がいた。この場限りの火遊びならこの男の[[rb:戯事 > ざれごと]]に付き合ってもいいのではないかと思ったのだ。

  観念したと感じ取った竜人の指が下穿きを外すと、飛び出したペニスが勢いよく獅子の腹を打った。

  「ほう……中々の逸物だ」

  「ぐぅ、そんなにマジマジと見るな……」

  羞恥に顔を横に逸らせるタイダル。

  さすが百獣の王の名を冠するに相応しい堂々とした獣根だった。鎧と下穿きに長時間押し込められていたそこはすっかり蒸らされ、強烈な雄の臭いが鼻を衝く。下穿きの内側を見れば薄っすらと白い汚れがこびり付いていた。禁欲が長いせいで夢精でもしたのか。

  レガルトはそれを拾い上げると鼻に押し当てた。

  「これが貴様の雄の臭いか、なるほど」

  [[rb:饐 > す]]えた汗の臭いと蒸れまくった性器の恥臭がツンと鼻の奥を刺激した。

  実に性欲をそそられる臭いだった。思いっきり吸うと男臭い三十路筋肉獅子男の淫らな性臭が鼻腔から肺に一気に入っていく。むくつけき野郎の蒸れた性器の臭いが細胞の一つ一つにまで染みていくのが分かった。

  辛抱堪らずレガルトも裸になった。

  己の体からも雄の臭いがプンプンと漂ってくる。股座に走るスリットからはすでに臨戦態勢に入った肉柱がぬらぬらと粘液に塗れて[[rb:聳 > そび]]え立っていた。

  「ぬうぅぅ……堪らぬっ!」

  もう我慢ならなかった。目の前で屹立する獅子の肉棒にむしゃぶりつく。

  塩気の強いペニスの旨みが口一杯に広がっていく。逞しい雄の味がした、愚直に修練に汗を流し続けている勇ましい雄の味が。

  「おっおふぅっ!? そっそんなに強く吸われたら私はっ!」

  乳首を吸われただけで感度の良さを露呈させた男が、堪らず唸った。

  根元まで咥え込まれてのバキュームフェラに未だかつて味わったことのない快感が体を襲う。あまりの快感にタイダルは体を大きくのけ反らせた。喘ぎ声を天へと放ち、後頭部を背後の木に押し付けながらペニスから上ってくる性的快感に善がりまくった。激しい快楽の大波に溺れそうだった。どうにか抗おうと竜人の頭を離そうとするがビクともしない。獣根を丸呑みにしたまま長い舌を巻き付かせている。ずぞぞぞっ、と途轍もなく淫らな音色が股間から聞こえてきた。

  「おふっ! おふぅぅっ! そんなっそんなことがっ!」

  強烈なオーラルセックスに射精欲が無理やり引き出されていく。

  生殖器が種を吐かんとさらにガチガチに硬くなっていく。

  レガルトは舌技を惜しみなく駆使した。堕とし屋ドルグから叩き込まれたフェラテクをいかんなく発揮した。喉の奥までペニスを咥え、喉輪でもって亀頭を締め上げる。そして亀頭を押さえたまま陰茎を長い舌で愛撫するのだ。逞しく張り出した雁首を喉輪が擦り、ゴツゴツと節くれ立った砲身をふんだんに唾液を纏った舌で磨いてやるのである。

  獅子男のマズルから涎がボタボタとレガルトの頭に垂れてくる。

  「おぐうぅっ! おおっほっほぉぉっ! 男の口淫がこれほどまでとはっ!」

  野郎の低い嬌声を耳に楽しみながらレガルトは舌を蠢かす。

  ぷりっぷりの亀頭を舌で円を描くように[[rb:舐 > ねぶ]]ってやると小さな穴から粘った液体が止め処なく湧いてくる。その塩辛い味がこれまた美味なのだ、雄しか作り出すことのできない極上の妙味であった。

  鼻を鳴らすと発情した二体の雄の臭気に頭がクラクラした。

  再び亀頭を喉輪で挟み、さらに強く締めたときだった。

  「ウゴォォッ!? だっ駄目だっ口を離してくれっ! 果ててしまうっ果ててっ!」

  だがレガルトは口を離さなかった。しゃぶり続けたまま顔を上げると、今にも泣き出しそうな獅子の顔が己を見下ろしていた。その表情に瞬く間に深い皺が刻まれていく。絶頂を迎えるサインだった。たちまち獅子の全身の筋肉が強張り、口の中の獣根がさらに膨れ上がった直後、

  ビュブブブルルルルルルルーーーーーーッッッ!!!! ビュブッビュビビビッビュービュビューーールルルルルルルルッッッ!!! ビュビュビュビュブブブブブブブッッ!! ブリュリュッビュブブブブルルルッ!! ドッビュブウウウウウウウッッッーーーーーッッッッ!!!!

  口内に煮えに煮えた獣液が迸った。

  「オッゴオオォォォォーーーッ!!! グガッガァァァァッ!!! オッオッオッオッグウゥゥゥッ!!!」

  耳をつんざくほどの獅子の咆哮が鼓膜を震わせる。

  尿道口から怒涛の勢いで噴出するザーメンが滝のごとくレガルトの食道へと流れ落ち、腹を満たしていく。濃密なザーメン臭が鼻腔を通り抜けていった。どれほど濃厚な精液だというのか、臭いを嗅いだだけで孕んでしまうかと思うほど濃かった。

  最後の一滴まで搾り取ると、レガルトはザーメン塗れの舌を彼の股下へと忍ばせる。

  「……貴様の初めてを頂くぞ」

  言うや、舌先で弄るのはタイダルの肛門。

  固く閉じていた尻たぶを強引に割って舌が侵入してきたというのに獅子男は魂を抜かれたようにぼうっと突っ立ったままだった。初めて体験した口淫と、気が遠のくほどの絶頂にすっかり放心してしまったのだ。

  レガルトは内心でほくそ笑んだ。

  男の舌技で達した彼はまず一段堕ちたといっていい。男で射精してしまったという事実が重要なのだ。一度味わってしまった彼の雄としての矜持は崩れ出し、そしてなし崩し的に男色の底無し沼へと溺れていくのである。

  ――さあ、貴様は雌となるのだ。

  堕とし屋レガルトの悪意をもった舌が肛門を優しく[[rb:解 > ほぐ]]していく。

  「くはぁっ……レガルト殿何をっ……そんな汚いところを!」

  獅子男が切なげな声色で問うた。

  琥珀色の瞳にすでに害意はなく熱病に冒されたかのように熱く潤んでいた。竜眼を用いての性的接触はどうやら効果[[rb:覿面 > てきめん]]だったか。いやこの男の場合、竜眼の効果は無用だったかもしれない。女に免疫がなく、腕っぷしの強さだけが頼りな脳筋野郎を男同士の快楽へ溺れさせるのは[[rb:容易 > たやす]]い、男の精力が強ければ強いほど尚更だ。それからしてみればタイダルはまさにそんな野郎だった。堕としやすいのだ。だからこそドルグは竜人の初仕事に彼を選んだのである。

  会陰部に沿って差し入れた舌で愛撫する。

  「ふうぅっ……くっ、くぅぅっ!」

  己の股下から聞こえてくる湿った音に獅子男が固く目を瞑って身悶えている。

  筋骨逞しい獅子獣人が惜し気もなく全裸にその肉体美を晒して、男の愛撫に羞恥に顔を赤くしている様は絶景の一言だった。噎せ返るような雄の臭気も相まって辺りには淫猥な気配がわだかまっていた。もし男好きな者がこの場に出くわしたなら一瞬で股座を硬くさせるだろう。どうやらムンムンと臭ってくるその熟れた雄の臭いに彼自身も再び催してしまったようだ。先ほどあれだけ竜人の口の中へ放出したというのに、獅子男のそこは前にも増して急角度で天を衝いていた。

  頃合いよしとみてレガルトは獅子をその場に四つん這いにさせると尻を高く掲げさせた。

  唾液に塗れた肛門が淫靡な艶を放って男を誘っていた。

  「我を欲するか、卑しい穴め……」

  「そっそんなっ私はただ」

  「ただ何だ? 我の魔羅を欲しいのだろう? 肉体は正直だ。貴様だけが気付いておらぬ、この肉孔は早く嵌めてほしいとヒクついて[[rb:強請 > ねだ]]っておるぞ?」

  「う、ううっ……」

  惑乱した頭では冷静な判断を下せるはずもない。獅子男は押し黙るほかなかった。

  レガルトは舌舐めずりした。獅子の尻は一抱えもあるほど肉付きのいい代物だった。日々積み重ねてきた鍛錬の賜物だろう。どっしりと重量級の尻の中心部で薄紅色をした肉の穴が収縮を繰り返している。この穴はまだ男を知らぬ、これまでただ食った物を排泄するためだけに使われてきたがそれも今日までだ。今からもう一つの使い道があることを知らされるのだ、男の性欲を処理するという使い道が。

  レガルトは怒張を穴へと宛がった。

  「はうっ!?」

  獅子の尾が驚きにピンと立つ。

  腰をゆっくりと前に突き出していくや、ズププッ、と粘った音を立てて竜根が肛門を押し広げていく。

  「ああっ!? グアアッ! アッアガァッ!」

  括約筋が無理やり伸ばされる感覚に獅子は鬣を震わせて呻いた。外側から異物が尻の中に押し入ってくる経験など今までなかったのだから緊張に体も強張るというものだ。

  「力を抜け、息を整えてゆっくりと深呼吸しろ」

  これは強姦ではない。あくまで双方合意の上でのセックスでなければならなかった。雌へと堕とすには惚れさせるのが手っ取り早いのである。レガルトは高慢な口調ながらも的確なアドバイスを獅子へ送った。

  従順に深呼吸を繰り返す獅子の体内に怒張がゆっくりと沈んでいく。

  さすがに初物はきつい。

  舌で解しただけでは足りそうになかった。根本に向かって極端に太くなっていく竜人のペニスは先端だけを挿入してそれ以上進まなかった。だが決して、堕とし屋はここで無理に捻じ込もうとしない。先端だけを執拗に何度も何度も挿入を繰り返す。するとどうだ、

  「おあぁっ、あぐっ……おふぅ、おおぉ……」

  しばらくして獅子男の声色が何とも艶めかしいものに変わっていくではないか。

  弛緩した括約筋がペニスを貪欲に呑み込み始めた。

  緊張が完全に解けたのだ。

  「ハアァァッ、レガルト殿ぉっ! おぅふっ!」

  ズプズプと沈むのに合わせて男から甘い嬌声が漏れる。

  「いい調子だぞタイダル……遠慮なくそのまま我を喰らうがいい」

  埋まっていく愚息を見下ろしながらレガルトはニタリとほくそ笑む。最高の眺めだった。広背筋が分厚く発達した逆三角形の体躯を、後背位で犯す悦びといったらない。逞しい男が尻を掲げて男根を嵌められているのだ、獣がまぐわうような体位で。獅子男の肥大した筋肉群をうっとりと見やりながらレガルトはなおも腰を前へと突き出していった。

  やがて完全に竜根が埋没した。

  初物アナルがキュウキュウと愚息を締め付けてくる。

  「分かるかタイダル? 我の魔羅が今お前の中にずっぽりと収まっているのが」

  「ああ分かるっ、分かるぅっ! レッ、レガルト殿の一物が奥の方までっ、ああっ!」

  初めての肛門性交に感極まったか男の声が震えていた。

  レガルトは腰を動かし始めた。

  括約筋まで鍛えていそうなむさい男の穴の感触は格別だった。何せ腰を引こうとするたびに、抜かせまいと腸の柔肉が吸い付いてくるのである。それでも強引に引くと、竿肌に肛門の薄い肉がピットリと[[rb:縋 > すが]]り付いてくるのが途轍もなく淫猥だった。

  すぐさま突っ込むと今度はねっとりとした腸壁が纏い付いてきた。

  まったくふしだら極まる肉壺だ。[[rb:初 > うぶ]]なふりして雄の種を搾り取る気満々でいるのだ。初めて男根を迎え入れたくせに、もう孕む気でいる。赤子が欲しくて欲しくて仕方がないのだろう。

  「ククク……本当に貴様の肉体は正直だな」

  「ちっ違うっ、私はそんな淫らな男ではっ! 信じてくれ、他人と、しかも男と契りを結ぶのは今日が初めてなのだっ!」

  「ほう、その歳にして童貞か。これはよいことを聞いた。まだ何色にも染まってない者は染めやすいっ!」

  「おっふぅっ!?」

  肉杭を容赦なく打ち込まれて獅子男の口から野太い喘ぎ声が漏れる。

  「なら我の色に貴様を染めてやろうぞっ!」

  また容赦なく肉杭を叩き込む。

  「おっほおおっ!? おおお……っ!」

  豊満な尻たぶに十本の指をぐっと食い込ませて逞しい腰使いで怒張を突き刺すレガルト。激しいピストン運動に獅子の体が大きく揺さぶれる。これが男同士のセックスだと言わんばかりの猛烈なファックだった。激しい抜き差しに、腸内から外へ押し出されるマン屁がブビビッと肛門を鳴らせ、その淫音に獅子男は羞恥に身を[[rb:捩 > よじ]]りながらも次第に高まっていく絶頂感に酔い痴れるのである。

  タイダルは恍惚の世界にいた。

  「オグウッ! オゴッ! グガァッ! ガッ! ガハァッ!!」

  突かれるたびに意識が明滅し脳裏にいくつもの火花が散った。

  これがセックス、これが男同士の交尾! 圧倒的だった。荒々しいまぐわいに頭の中がぐちゃぐちゃになった。思考回路が麻痺し、脳髄に快感の濁流が一気に流れ込んでくる。

  「アガァァッ凄ぇっ! 凄ぇ凄ぇっ、ガァァッアァッ!」

  雄としての矜持が溶かされていく。

  これまで築き上げてきた王族としての誇りが、次期獅子王としての自尊が、一突きされるごとに崩れて徹底的に壊されていく。

  嗚呼、何と逞しく力強い腰使いなのだろう。肉体が悦んでいる、屈強な雄に犯されて喘いでいる。[[rb:雄渾 > ゆうこん]]な生殖器を体の奥深くにまで挿入されて歓喜に[[rb:戦慄 > わなな]]いている。肉体が雌になる、雌としての生殖本能が芽生えていく……。この精強な竜人の子を孕みたいと願ってしまう。嗚呼、嗚呼……種が欲しい、この男の種が。

  切望の涙がタイダルの瞳から零れ落ちていった。

  「ンアァッ、種をっ! レガルト殿の種をどうか私の中にっ!」

  「フンフンッ! ぬぅっ、よいのか、貴様の腹に種付けても?」

  「ああっ、いい! あなたの種なら私はいくらでも欲しいっ! レガルト殿ぉっ!」

  タイダルは男の腰使いがさらに激しくなるのを感じた。

  このまま中出しする腹積もりなのだ。確実に子種を体内の奥深くへ植え付けるべくこの男は腰を振っている。嬉しかった、己の体で気持ち良くなってくれることが涙が出るほど嬉しかった。これほどの快感を与えてくれた男のことが、性の悦びを目覚めさせてくれた男のことが堪らなく愛しかった。

  猛烈な高速ファックに体が、意識が激しく揺さぶれる。

  「ひっ、ひいっ、ひあっアガァッ! んあぁっあんっはぁぁんっ!!」

  タイダルは雌鳴きに鳴きまくった。

  肉同士のぶつかり合う音がパンパンパンパンッ! と白んだ意識の片隅で鳴っている。結合部がぐずぐずに溶けてしまったかのように感覚がなかった。ただ灼熱の鉄棒と化した巨大な男根が尻を深く抉っていく感覚のみがタイダルのなけなしの理性を強烈に痺れさせていた。

  程なくして竜人の呻き声が聞こえるのとほぼ同時だった。

  腹が見る間に膨れていくのを感じた。

  射精しているのだ。男が己の腹の中に大量の種汁を放っているのだ。

  「ああレガルト殿っ、私も私も共にっ! ガガァァーーーアッーーアァァーーーッ! ンッハアァァッーーッ!」

  タイダルも[[rb:強 > したた]]かに精を放った。ペニスの先から煮え滾った白濁が放水銃のごとく噴き出ていく。すこぶる粘度の強い高密度の獣液がビュービューッ! と穿たん勢いで地面に打ち付けられる。尻を掘られながらの射精が、種付けされながらの射精が、タイダルの中に微かに残っていた雄の矜持を完全に粉砕した。

  腹が愛する男のザーメンで満たされていく。

  何と膨大な量か。

  こんなに仕込まれてはもう身籠るしかないではないか。タイダルは言い様のない多幸感に包まれていた。甘い情愛が脳髄をとろとろに蕩かしていくのを感じる。身も心もこの男に捧げたいと願ってしまうのは図々しいだろうか。この男は己のことをどう思っているのだろうか。ふと胸中に頭をもたげた不安がタイダルの口を開かせる。

  「レガルト殿、私は……」

  続くはずだった言葉は、しかし男の唇によって断たれた。

  情熱的なキスが不安を一瞬で吹き飛ばす。嗚呼、愛されているのだ。タイダルは腹の中で再び硬くなりだした竜根にそう強く確信したのであった。

  王宮の西側にある王子の寝室で一風変わった奇妙なバトルが繰り広げられようとしていたのは、レガルトとタイダルが森の中で睦み合ってから一週間ほど後の夜のことだった。

  素っ裸の壮年の灰色狼の男が顔を真っ赤にして怒鳴った。

  「王子を[[rb:誑 > たぶら]]かす蛮族には負けぬっ!」

  彼が気色ばむのも無理はない。

  城の者が寝静まった今宵、城内を巡視していた彼、バルツ将軍は王子の寝室の前を通りかかったときに奇妙な声が漏れ聞こえてくるのに気付いた。耳をそばだててみればそれはどうやら男の喘ぎ声のようで、出所は目の前の寝室のようだった。もしや不審者が忍び込んだか、そう危ぶんだバルツがいざ室内に飛び込んでみるとどうだ、三人の全裸の男たちがベッドの上で体をもつれ合わせているではないか。

  その三人の男こそ、ドルグとレガルト、そしてタイダルであった。

  堕とし屋二人の手によって王子はさらなる調教を受けていたのである。

  徹底的に雌堕ちさせるべくタイダルは二人に犯された。毎日大量のザーメンを腹に仕込まれ、すっかり男に犯される悦びに目覚めた彼を救おうと今、バルツは奮起しているのだ。

  王子を救う手段はセックスバトルで。

  それは王子本人からの提案だった。

  本来なら警備兵を呼んで不届き者二人を捕えるやり方が常道なのだが、王子の命令とあれば従うしかなかった。勝利の条件は、王子をより満足させたほうが勝者、というもので、バルツ将軍はセックスにはいささか自信があるようだった。

  彼は雄々しく屹立した剛直を見せ付けるように腰をぐいっと前に突き出すと、

  「タイダル王子っ、今お助けいたしますぞっ!」

  鼻息荒く言った。

  どうやらこの将軍、王子に気があるらしい。王子の裸体を見る目がビキビキに血走っている。

  「バルツ将軍……っ!」

  悩ましげに眉根を寄せる王子に名を甘く呼ばれて、狼男は飛びかからん勢いでベッドに身を沈めると彼を胸に掻き抱いた。

  「王子……」

  バルツは熱い抱擁に伝わってくる想い人の温もりに目を細めた。タイダルとは同い年だった。王子が幼少のみぎりより彼の稽古の相手として剣を交わらせてきた。共に笑い、共に泣き、常に苦楽を共にして過ごしてきた、片想いの恋情を密かに胸の中に忍ばせながら。

  ようやく抱き締めることができた。

  王子の逞しい体が発する得も言えない雄の臭いが鼻先をくすぐっている。劣情を誘う臭いだった。たちまちバルツの鈴口に透明な粘液の玉が生じた。

  「俺に抱かれるのがお嫌ではありませんか?」

  「嫌であるものか……お前になら何度でも私は」

  見つめ合う二人、どちらともなく重なる口吻。

  タイダルもまたバルツの背に腕を回して熱く抱き合った。将軍バルツの肉体は実戦経験の豊富さ故によく引き締まってゴツゴツと硬かった。体中に戦いの最中に受けた刀傷が走り痛々しかったが、それが逆に彼の勇壮ぶりを際立たせていた。

  「お前の体は傷だらけだな……」

  肩口に走っている古傷を優しく舐めながらタイダルは言った。

  「王子を守るためなら全身が切り刻まれようと構いはしませぬ」

  「馬鹿を言うな、私はお前に守られるほど弱くない。だが今宵だけは……私を救い出してはくれぬか?」

  「おっ、王子っ!」

  バルツの怒張をやんわりとタイダルの手が包んでいた。

  再び二人は唇を重ねた。上になり下になり身を翻しながら互いの口腔を激しく貪り合った。舌を絡ませ、唾液を交換し、牙を鳴らした。やがてうつ伏せになった王子の体の上にバルツは覆い被さると、彼の耳元でようやく返答を囁くのだ。

  「お救いいたします、俺の愚息で満足していただけるように」

  唾で湿らせた指を王子の肛門へと宛がった。

  「おお……っ!」

  バルツは思わず感嘆した。そこに触れた途端、湿った肉襞が指先に吸い付いてきたのだ。そのまま指を潜らせると、さして抵抗を示すことなくグププ……と中へ中へ入っていく。内部はとろっとろに蕩けていた。これほど塩梅のいい肉風呂にペニスを沈めたらどれほど気持ちがいいだろうか。

  もう我慢の限界だった。

  肛門に怒張の先を宛がうと一気に腰を落とした。

  「ハァァァァァーーーッ! バルツゥ!!」

  タイダルの艶めかしい嬌声が長い尾を引いて部屋に響いた。

  生温い粘膜に包まれてバルツもまた熱い吐息を放った。何たる気持ちよさだろう、粘液をふんだんに纏った柔襞が一斉にペニスに絡み付いてくる。まるで精液を催促でもするかのように強烈な快感をペニスに植え付けてくる。

  「おおっ、おおおっ!?」

  気付けば勝手に腰が動いていた。

  バルツははたして知っているかどうか。

  夢中になって挿入しているその穴は、今日まで何発も二人の男の精を搾り取ってきた肉孔だということを。今晩も先ほどまでドルグたちに犯されて、二人のザーメンがたっぷりと溜まった種壺と化していることを。抜き差しするたびに彼らの放った種汁がドプドプと外に掻き出されている事実を。

  いや、彼はもう気付きはしまい。

  タイダルの尻の中に仕込んでいた媚薬によって理性など一瞬で吹き飛んでしまっていたのだから……。

  「グオオオッ!? オッオオッ! なっ何だこれはっ! 腰がっ腰が止まらんっ! 凄い、凄いぞタイダル王子の尻穴はっ! 腰が抜けるようだっ、オゴォォォッ!!」

  一心不乱に突きまくる灰色狼の姿を四つの瞳が冷ややかに見ていた。

  寝室の片隅にあるソファーに腰掛けながらドルグとレガルトはニタニタと嘲りの笑みを零した。実に滑稽な光景だ、次期王位継承者の尻を配下の男が猛烈な腰使いで掘っているのだから。完全に覆い被さりながら腰だけが激しく上下に動いている。よっぽど雄膣の塩梅がいいらしい。それも当然だ、何せ二人のザーメンが最高の潤滑剤となっているのだ。そうとも知らず、野郎のザーメン塗れの穴で気持ちよくなっているのだから滑稽以外の何物でもない。

  狼男の体が硬直した。どうやら射精しているらしい。

  程なくして男がまた腰を動かし始めた。そして数分と経たずまた体が硬直した。射精だ。

  また腰が上下する。また硬直する。また射精する。

  さて抜かずの何発まであの男はいけるか。ドルグとレガルトは薄ら笑いを浮かべながら賭け事をするかのようにそれぞれ思った数を言っていく。雄堕ちしてしまった将軍バルツと雌堕ちしてしまった王子タイダルの喘ぎ声は、結局、東の空が明るくなるまで止むことはなかった。

  それから数日後、ドルグの姿は国王ザルザの執務室にあった。

  壁や天井には絢爛豪華な装飾が施され、精緻な意匠を凝らした調度品の数々が室内の品位を限りなく高めている中で、ドルグの存在だけがあまりにも異質だった。下賤の者が王宮に立ち入ることさえ恐れ多いことなのに、なぜ彼は王宮の最奥に入り込み、その上さらに獅子王との謁見を許されたのか……。無力な庶民の力でどうとなるものでもなかった。タイダル王子が愛するレガルトの口添えを受けてドルグを国王の世話役に推挙したのだ。

  すでに堕とし屋の毒牙はザルザの首根にかかっていた。

  執務室の窓辺にある立派な[[rb:黒檀 > こくたん]]の机に向かっているザルザは全裸であった。

  肘掛けに両肘を置いて椅子に腰掛けている初老の獅子獣人の表情には微塵の恥じらいもなく、彼は裸であることが[[rb:然 > さ]]も当然といったように泰然と構えていた。

  そんな一糸纏わぬ男の脚元から湿った音が聞こえてきた。

  「獅子王様の一物は逞しゅうございますね……どんな気丈な女子もこれに貫かれたらたちまち淫らな雌となるのでございましょう?」

  口調に[[rb:媚 > こび]]をたっぷりと乗せてドルグはザルザの獣根にまた舌を這わせた。

  「うむ……」

  淡い快感に気持ち良さげに目を細めた王の手がドルグの頭を優しく撫でる。

  おそらく若い時分に女を星の数ほど抱いてきたのだろう、ザルザの男根は黒々と淫水焼けしていた。英雄色を好むとは言うが、だがそれは彼が若かりし頃の話。老王の一物はドルグの愛撫を受けても力なく萎んでいた。

  しかしドルグに焦りの色はない。

  重たげに垂れ下がっている毛むくじゃらの陰嚢を口に含んでモニュモニュとやんわり揉む。滲み出てくる雄のきつい精臭を鼻に楽しみ、肥え太った睾丸の感触を舌で楽しむ。鶏卵大の大きさから見るに、おそらく昔はザーメンを大量生産していただろうことは想像に難くなかった。その中の一匹の幸運な精子がやがてこの世にタイダル王子を生み出したのだ。そう思うと実に感慨深い、父と子揃ってこうして男色の沼に引きずり込もうとしているのだから。

  王のふぐりをたっぷりと堪能すると続いて、ぐてんと垂れているペニスの先を口に含む。

  さすが王国を[[rb:興 > おこ]]した稀代の王の持ち物と言うべきか。

  そこもまた獅子王の名に恥じぬ立派な一振りだった。赤子の握り拳はあるかと思われる大きな亀頭に唾液を満遍なく擦り込んでいく。そして頭を落とし、今度は極太の陰茎を口腔全体で捉えると優しく揉み解す。モニュモニュ、モニュモニュと。時折り、雁首に舌を戯れさせ、尿道口に舌先を突っ込んでやる。

  そんな獣根を慈しむような柔らかなフェラを続けること一時間近く。

  「むぅ……」

  ザルザが小さく唸った。

  その直後だった、口の中の獣根がムクムクと体積を増していくではないか。どうやら久しく忘れていた肉欲が目覚めたようだ。たちまち硬い肉塊が口の中を圧迫する。

  「んんんっ、んぶっ!?」

  咥え切れなくなってドルグは堪らず口を離した。

  長い眠りから覚めた獅子肉の何と[[rb:猛々 > たけだけ]]しいことだろう。その長さは臍を優に越えて[[rb:鳩尾 > みぞおち]]にまで達していた。

  「本当に獅子王様の一物は凄い、ですね……」

  ドルグは生唾を飲み込んだ。

  長い時間しゃぶり続けていたせいで獣根からは湯気がほかほかと立ち上り、雁高の[[rb:鰓 > えら]]からは唾液の糸が何本も滴っていた。見ているだけで尻が疼いてしまう。この希少な男根は己にどんな世界を見せてくれるのか楽しみで仕方がなかった。

  「おおっ、[[rb:余 > よ]]の魔羅がこれほどまでにっ! 性欲が漲るこの感覚、実に久方ぶりだ!」

  若さが戻ってきたかのように王が喜びに目を輝かせた。

  「ああ獅子王様、その雄々しい御姿、頼もしゅうございます」

  ドルグは立ち上がると、ザルザの逞しい胸に縋り付いた。老いたといえども肉体は衰えることなく厚く頑丈で、被毛の中に閉じ込められていた老熟した雄の臭いに陶然と熱い息をつく。そして鼻から抜けるような甘い声色で、

  「私は獅子王様の世話役……どうか私めに獅子王様の昂りの処理をさせてくださいませ」

  「よいのか?」

  「……はい、私は獅子王様をずっとお慕い申し上げておりました。この逞しい胸の中に抱かれたいと常々夢想しながら一人寂しく自身を慰めてきました。ようやく夢が叶い私は……ああっ獅子王様っ!」

  ザルザの首に腕を回してドルグは彼の唇を奪った。

  「フフ、愛い奴め、どれ余が可愛がってやろう」

  王の黄金色の瞳が好色に染まり、粘った眼光を放つ。

  獅子王の分厚い舌がマズルを割って口の中に押し入ってくる。

  「んむぅっ、んあっザルザ様ぁっ! んくっんんっ!」

  キス越しにザルザの強い生殖本能を感じた。雄として覚醒したのだ。生殖を果たすべく、雌の体内に己の種を植え付けるべく、これからこの男は交尾に挑むのだ。ドルグが勝利を確信した瞬間だった。これまで何人もの男共に抱かれてきた、雌として扱われてきた。乳首を吸われ、尻を犯され、絶頂の雄叫びを聞かされ、最後に耳元で愛を囁かれた。この獅子王ザルザもまた彼らと同じ道を歩むのだ、雄堕ちの道を。

  王の手を取って導いた先は己の秘肛。

  「むぅ……」

  ザルザの粘った眼光が糸のように細くなる。

  指先にしっとりと吸い付く肉々しい感触にザルザが発奮するまでそう時間を置かなかった。彼の獣根の先からふしだらな粘液が糸を引いていく。

  ドルグは王の腰の上に跨るや、

  「さあ獅子王様、今一つに……」

  二本の指で己のそこを左右に押し広げた。

  それは男色の園に咲く肉の淫花、男の精を搾り尽くす肉の妖花。淫らな粘液にねっとりと艶めく秘奥が、王から搾精すべく極太の獣根を吞み込んでいく。結合部からたらり、と花の蜜が溢れた。

  

  草木も眠る丑三つ時。

  国王の寝室に二体の雄の荒々しい息遣いが響いていた。

  「グァァッ国王様っ、そんなに突かれたら[[rb:某 > それがし]]っ、ガアァッ頭がおかしくなってしまいますっ!」

  「なれっ! なるがいいっ善がり狂えっランドフォンッ!」

  一人は獅子王ザルザ。そしてもう一人は騎士団長の[[rb:鷲 > わし]]の鳥人ランドフォンであった。

  鳥人の総排出腔に王の獣根が深々と突き刺さっていた。

  ランドフォンは正常位で犯されながら、臍越えの巨根を根本まで挿入されて狂ったように首を振った。王によって仕込まれた媚薬が彼の理性を蝕んでいた。狭い総排出腔をミチミチに埋まった肉棒に拡張させられて、めくるめくほどの快感が頭になだれ込んでくる。

  「どうだランドフォンッ、余の魔羅はっ!」

  「ハァァッ! アアッいいっ! 国王様のデカマラいいっ!!」

  「ガハハハッそれほどよいか! ならもっとたっぷりと味わわせてやるっ!」

  ザルザは彼の両膝を折ってその太ましい腰の上に覆い被さると、種付けプレスの体勢で容赦なく犯す。獣根をほぼ垂直にズドンッ! と総排出腔に打ち付ける。

  「カッハァァァーーッ!? ア、アア……ッ!」

  鷲の大きく開いた黄色い[[rb:嘴 > くちばし]]から掠れた嬌声が放たれた。

  内臓を抉られたかのような猛烈な一突きだった。凶悪なサイズの亀頭がゴリゴリと腹の奥を削っている。たちまち総排出腔からブシャー! と勢いよく透明な体液が迸った。潮を噴いたのだ。

  「よいっ、実によいぞっランドフォン! さすが勇名轟きし騎士団長だ、余の役に立つことを心得ておる!」

  獅子王ザルザは獰猛な牙を剥いて笑んだ。

  世話役のドルグとまぐわってからだ、狂おしいほどの情念が身を焼くようになったのは。すぐさま発散するためドルグを呼び寄せようとしたのだが、なぜか彼は王宮から忽然と姿を消してしまっていたのである。街中をくまなく探させたが消息は[[rb:杳 > よう]]として知れなかった。性欲を吐き出す器を失った王は、こうして尻の締まりのよさそうな手頃な臣下を呼び出しては滾る劣情を吐き出す日々であった。

  雄堕ちしてしまった王の肉体に狂猛な射精欲が渦巻いていた。

  発情した雄たちの淫らな臭いに満ちた寝室に獣のような嬌声が染みていく。

  「オゥガッ、オオッフッ! グオオッオッオッオッ!」

  「ンアアッ国王様っ! 国王様っ国王様っ国王様ぁっ! グッハァァッ!」

  容赦のない種付けプレスにベッドが大きく軋む。

  ぶっとい肉杭が打ち込まれるたびに二人の体から飛び散る無数の汗の粒。獅子王の薄茶の被毛も騎士団長の純白の羽もぐっしょりと汗に濡れ返っての汗だくセックス。猛々しい雄と雄、鬼気迫るほどの激しい交尾はひたすら雄の本能の赴くままに。

  腰の奥底から目も眩むほどの射精感が一気に駆け上がってくる。

  「グヌヌヌゥッ[[rb:射精 > だ]]すぞっ! 余の子を孕むがいいランドフォンッ!! グオオッゴォォッグオオオオーーーッ!!」

  ザルザは牙からだらだらと涎を滴らせながら絶頂を告げると、怒張を渾身の力で男の生殖孔に打ち込んだ。

  ブビュッブビュビューーブルルルルルルルッッ!!! ドッビュウウウゥゥゥゥーービュブブブブブッッッ!!! ビュービュービュブブブブブュビュブブビュピピッビュービュービューーーーッッッゥ!!!! ドックンドックンドックンドックドックドックドクドクドクドクッッ!!

  脈動する会陰が大量のザーメンを矢継ぎ早に送り出していく。

  射精の途轍もない快感が頭を痛いほど痺れさす。

  嗚呼、堪らぬ……この絶頂感も、勇敢な手駒の体内に子種を仕込むこともこれほど癖になってしまうとは。足りぬ、まだ全然[[rb:射精 > だ]]し足りぬ、種付けし足りぬ……。ああそうであった、この王宮には射精欲を満たしてくれる美味そうな男共がまだまだわんさかいる。片っ端から種付けしてくれよう。むくつけき雄どもの尻たぶをかっ開き、窄まる穴を余の魔羅で貫き、たっぷりと子種汁を注ぎ入れてやる。

  総排出腔から漏れ出てくる大量のザーメンを恍惚と見やりながら、獅子王ザルザは再び腰を動かし始めた。

  この国が辿った末路をここに少し記そう。

  雌堕ちした王子タイダルはすっかりチンポ狂いになり、昼夜を問わず兵士たちを誘惑しては日々[[rb:爛 > ただ]]れた性生活を送っていた。好物の男根を口に咥え、尻に嵌め、毎日犯される彼の体からは常にザーメンの臭いが漂っていた。噂によると、逞しい男たちの放った精液を溜めた精液風呂に浸かるのが日課になっているらしく、それが真実だとすれば彼はザーメン狂いでもあったのかもしれない。

  一方の雄堕ちした国王ザルザと言えば。

  彼の性欲は老いてもなおますます盛んになったらしく、その底知れない精力と頑健な肉体でもって臣下たちを端から手籠めにしていった。その姿はもう、息子同様に[[rb:色情狂 > サチリアジス]]のそれであった。寝室はおろか執務室や玉座でもところ構わずセックスに明け暮れ、彼のそばには常に全裸の屈強な男たちが控えていたという。彼らは無論、ザルザ専用の種壺であることは間違いない。何せ尻穴からいつも鮮度の高そうな白濁が垂れ落ちていたというのだから。

  そんな淫蕩な王族の統べる国が長続きするはずがなく、亡国の一途を辿ったことは言うまでもない。

  

  練達の堕とし屋ドルグと新人の堕とし屋レガルトは、あの忌々しき依頼をこんな胸の空くような形で達成できてさぞ喜んでいることだろう。特にドルグは笑いが止まらないに違いない。何せ[[rb:欺 > あざむ]]かれた相手を見事こてんぱんに叩きのめしたのだから。それも国ごとなのだから痛快極まりないだろう。

  彼らの姿はすでにこの国にはなかった。

  竜人レガルトは堕とし屋の職が気に入ったようで、でも本心はドルグを好いているらしく、森には戻らずドルグと共に今もあった。遠い地で二人が雄堕ちと雌堕ちの堕とし屋コンビとして名を馳せていくのはまた別のお話。

  終