[chapter:1.]
[[rb:門扉>もんぴ]]を[[rb:潜>くぐ]]ると芳しい匂いが鼻腔をくすぐった。カレーだ。
美味しそうな香りに、きゅうと胃が鳴って空腹を主張する。
が、これを作っているであろう人物と、昨夜起きた出来事を思い返すと少しだけ気が滅入った。
**********
発端となった出来事を思い出してしまう。
習慣、あるいは羞恥心の違い。お互い、それを認識していなかったのが昨夜の『事故』の原因だ。
人間種のわたし[[rb:鴻>おおとり]][[rb:那由多>・なゆた]]が、獣人種――[[rb:犬狼族>けんろうぞく]]である[[rb:柴本光義>しばもと・みつよし]]氏とルームシェアをはじめて1週間と2日が経った夜。
帰宅し、途中で買ったコンビニ弁当で夕飯を済ませてから風呂に入っていたときだった。
体を洗い、ぼんやりと湯舟に浸かっているとドア越しに
「入るぞー」
と柴本氏の声が聞こえてきた。何のことか分からず、フリーズしたまま返事出来ずにいると風呂場のドアがガチャリと開いたではないか。
そこから、赤茶色の毛玉もとい柴本氏がウキウキした表情で入ってきた。
い、一体何!?
思わず、ホラー映画で怪物に遭遇したかのような悲鳴を上げてしまった。
「なんだよー、そんな驚くことか? いいじゃん。男同士なんだし」
わたしの悲鳴で耳がキーンと痛くなったのか、目を細める柴本氏。そのまま気にせず、赤茶の毛皮の上からシャワーの温水を被りはじめた。
このときのわたしは気が動転していて、氏は服を着たまま風呂に入る変わった趣味の持ち主のように見えてしまった。
だが、冷静に考えれば彼の毛並みは生まれながらの持ち物で、気軽に脱ぎ着出来るものではない。
と、そこまで考えて思い至った。
常に一枚余分に着ているようなもの[[rb:=>即ち]]、"恥"の概念が[[rb:人間>わたしたち]]と少し違うのでは?
[newpage]
[chapter:2.]
わたしが見ず知らずの獣人種の男性とルームシェアを始めた背景には、打算的な理由があった。
広々とした設備のわりに格安の家賃もその理由のひとつだし、あとは――とにかく、色々と訳ありなのだ。
そんなわけで、同居する相手についてはさほど興味がなかった。こちらに危害を加えなければどうでも良い。その程度だった。
けれども、このアクシデントをきっかけに、同居人と彼が帰属する種族について興味が芽生えた気がする。当然ながらこのときのわたしは、そのことに気付く余裕などなかったのだが。
シャワーに濡れて毛並みがしぼむにつれ、肉体のシルエットがあらわになる。日頃丸っこく見えるのは密に生えた毛皮のせいであり、その下に隠された体は思っていたほど柔らかそうではない。
筋肉の上にほどよく脂肪の乗った、柔道家かプロレスラーのような骨太な体躯。自堕落な肥満体型とは程遠く、鍛錬とメンテナンスが行き届いていることが一目瞭然だった。
好奇心で視線を向けるわたしなど気に留める様子もなく――むしろ見せたがっているようですらあった――ボディソープを泡立て、濡れた毛並みにわしわしと塗りたくってゆく。爽やかな香料が室内にふわりと満ちた。
まずは首から上だけを泡だらけにして、シャワーで流す。
「ぷはぁ」
[[rb:瞑>つぶ]]っていた目を開き大きく息をついてから、今度は首から下。
太い指が、濡れた毛並みを泡だらけにしてゆくのを目で追っていた。白い泡の下、動きに合わせて筋肉が隆起する。
分厚い胸や腹。ずんぐりと短くて太い腕や脚。逞しい腰というか尻から突き出た巻き尾は、毛のボリュームがなければ意外と細い。それと、そこそこ立派な――
「ん、なんか気になる?」
にまっと満面に浮かんだ笑顔と目線が合ったときには、色々と手遅れだった。
なにか適当な言い訳がないかと考えているうち、毛並みのところどころに引きつれて治ったような跡があることに気がついた。
傷跡だろうか。どうしたのかと聞いてみたところ
「これか? 昔の職場が結構荒っぽくてさ。いや、おれがいた部署がそうだっただけなんだけどよ。あとは小せぇ頃に通ってた道場だったり、ちょっとケンカしたりとか。まぁ、色々だな」
現在は便利屋を営んでいる柴本氏だが、それ以前には[[rb:陸上防衛隊>りくじょうぼうえいたい]]に籍を置いていたことは既に聞いていた。
他国との戦争とは長らく無縁の平和なこの国でも、やはりそれなりに色々あるのだろう。
ボディソープをシャワーで洗い流す柴本氏を見るうちに、いつになく他人の間合いに踏み込みすぎてしまったことに気がつき、急に居心地の悪さを覚え始めた。もともと他人に肌を晒すこと自体あまり好きではなく、まして他人と風呂に入った経験など殆ど無かったのだ。
そんなわたしをよそに、柴本氏は洗い終えた体を湯舟へと浸し
「やっぱ、裸の付き合いってのは良いモンだな」
すとん。いつもよりずっと遅いタイミングで、心にシャッターが下りる感覚。
ここ[[rb:淡海県河都市>あわみけん・こうとし]]で生まれ育った者ならば、もしかしたら彼の言葉に[[rb:肯>うなず]]けるのかもしれない。
しかし、[[rb:よそ者>、、、]]のわたしは、どうしようもない嫌悪感――あるいは違和感を覚えてしまった。
人間種だけが暮らすわたしの故郷にも銭湯や温泉施設の類は少ないながらもあった。裸の付き合いという言い回し自体も、日常会話で使われることは殆どないものの存在はしている。
が、それが実際に、風呂に浸かりながら近しい距離で言葉を交わすなどという用法になるとは想像すらしていなかった。
忌むべき故郷から逃れたのだという安堵と、見知らぬ異郷に流れついてしまったことへの不安。
「どしたの? のぼせちゃった?」
声を掛けられるのとほぼ同じタイミングで、先に上がりますねと早口で言いながら湯から上がる。
「あ、ちょっと?」
濡れたタイルに滑りそうになりながら、転がるように浴室を後にした。
ぐちゃぐちゃになってしまった頭の中を、ひとりで整理する時間が欲しかった。
[newpage]
[chapter:3.]
そんなことがあり、どうにも気まずい気分のまま出勤した後の昼休み。
端末を確認すると、柴本氏からメッセージが入っていた。
《お疲れ様です。もし良ければ、今日、夕飯を一緒に食べませんか?》
緊張しながら文字を打ったのが容易に想像出来る、短いながらもかしこまった、緊張したような言い回し。
絵文字の混じったフランクな口調もとい文体とスタンプが乱れ飛ぶ以前の記録とを見比べれば、アカウントを乗っ取られたかのようにも見えた。
もしかしたらそれは部分的には合っている――すぐ側で誰かが彼に細かくアドバイスをした結果なのかもしれない。
便利屋という仕事柄か、はたまた人柄そのものに由来するのかは分からないが、彼の周りには老若男女を問わずさまざまな知り合いがいるようだ。
そのうちの誰かが彼の横で口うるさく助言している様子が思い浮かんで、笑いが漏れてしまう。
楽しみにしています。帰る前にまた連絡します。
そんな感じの返信を送ると、間をおかずにいつもの、変なキャラクターが狂喜乱舞するアニメーションのスタンプが返ってきた。
**********
その帰り道。
駅でモノレールを待つ間、携帯端末の地図アプリをなんとなく開いて眺めていると、あることに気がついた。
銭湯や公衆浴場の類が、街のいたるところにあるのだ。
昨晩、湯舟の中で柴本氏が口にした言葉を思い返す――裸の付き合い。
他にも思いつくキーワードを片っ端から検索エンジンに打ち込み、表示されるサイトの文面に目を走らせる。
調べるのに熱中するうち、乗るつもりだった便を逃してしまった。
けれども、それだけの――いや、それ以上の価値はあった。
ただ、同時にその結果は、同居人である獣人の習慣に対し、いかにわたしが無知であったかを示すものでもあった。
ああ。これは帰ったらわたしも謝らなきゃ。
10分ほど間を置いてやって来たモノレールに揺られながら、そう思わずにはいられなかった。
**********
さて。一体どんな顔で入って行けばいいのか。
ドアノブを手に掛けた途端、昨夜の記憶とともに不安が一挙に押し寄せてきた。
逃げ出したい衝動に駆られそうになりながら、故郷の雰囲気を思い出す。
[[rb:河都>ここ]]より遥か北、冷たく澄んで閉ざされた空気。
もう嫌だ。二度と戻りたくない。またぐちゃぐちゃになりかけた頭を振り払いながら、ドアを開けて玄関に入った。
ただいま。帰りました。
帰宅したときの挨拶など久しぶりだと思いながら、声を発した。
ルームシェアを始めてからも、出来る限り顔を合わせないような生活を送ってきたのだ。
そう考えれば、得体の知れない同居人の人となりを知り、少しでも親睦を深めたいと考えたであろう柴本氏は真っ当だったのではなかろうか。その結果導き出されたのが風呂への乱入というのは、かなり思い切った選択だったと思うが。
とにかく、わたしの落ち度はかなり大きい。被害者面などしている場合ではない。謝らなければ。さてどう切り出そうかと考えていると
「あ。おかえりなさい、ませ」
知り合ってからの言動とは想像も付かないほどしおらしい、柴本氏の声が聞こえてきた。
キッチンから漂うカレーの香りを嗅ぐうちに、つい今まで感じていたモヤモヤが全て、どうでも良いもののように思えてきた。
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[chapter:4.]
男性としては背が低い部類で、おそらくは160センチあるかないかだろう。
けれども身長のわりに肩幅は広くてガタイがよく、鋭い眼光と相まって、荒事に長けた――ともすれば暴力的にすら見て取れる。
それが柴本光義という男の第一印象だった。
二言三言でも話してみれば、実はとても人なつこく、よく笑い世話好きな好人物だとすぐに分かるのだが。
そんな彼は今、生まれ持った暴力性と後天的に磨き上げたであろう社交性のいずれも置き忘れ、オドオドした表情で視線を宙に泳がせている。それはまるで、まったく見込みのないピアノ発表会で舞台に立たされた6歳くらいの男の子のように見えた。
「あ、えっと。鴻、さん。ご飯、もう準備できますから、ね」
今までの饒舌ぶりが嘘のようにたどたどしい声音。宇宙人に誘拐されて中身が入れ替わったのではないかと疑ってしまうのは、近ごろ観た映画の影響なのは間違いない。
少し考えた末、手伝いますかと申し出る。
「あ、それなら冷蔵庫に麦茶が入ってるんで、コップについで、いただけます、か?」
相変わらずのたどたどしい言葉に返事をし、洗いカゴに干してあるタンブラーをふたつ取って、冷蔵庫から出したピッチャーから麦茶を注ぐ。
それから食器。スプーンとサラダ用のフォークをカトラリーに入れてテーブルの上に置く。
そうしているうちに、白いご飯とカレーを盛り付けた器がふたつ、テーブルに置かれる。副菜はヨーグルトのフルーツサラダ。
「よーっし! 早いとこ食っちまおうぜ。じゃなかった、えっと……」
もう、普通にしましょうよ。それより、冷めないうちに食べましょうか。
頑張って格式高い言い回しに直すべく頭を巡らせる柴本氏に、笑いかける。
「おう。そうだな……じゃなかった、ですね」
だから、もういいですってば。笑いながら、わたしと柴本氏は準備を終えたテーブルについた。
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[chapter:5.]
市販のルーで作られた、一見するとごく普通のカレーである。
豚の三枚肉とニンジンとジャガイモ。べっこう色になるまで念入りに炒めた玉ネギは、影も形も見当たらない。
セロリやトマトなども入っているようだが、玉ネギ同様に煮溶けているようで、見た限りでは分からなかった。
「いただきまーす!」
胸の前でパチンと手を合わせ、宣言してからスプーンを取る。目の前の器からカレーと飯をすくい取り、スプーンで口に運ぶ。
目の覚めるような味わいと感じたこともない風味の豊かさに心底驚き、向かいの席の柴本氏にそれらを伝えた。
こんな美味しいカレーを食べるのは生まれて初めてかもしれないと伝えると、氏は嬉しそうに笑みを浮かべ
「メシってのは誰かと食うから旨いんだ。じゃなかった。ですよ」
いつもの人なつこい雰囲気に近づくにつれ、出そうになる素の口調をどうにか矯正する彼に、普通に話しましょうよと提案する。
かしこまったままだと、折角のカレーの味が分からなくなってしまうでしょう?
「そ、そうっすね」
二度三度頷くと、顔全体に子供のような表情を浮かべ、屈託無く笑った。
「あ、でも、昨日のアレは謝らせて、くだ、さい。申し訳なかった、です」
テーブルに手をついて頭を下げる彼に、もういいですよとわたしは返す。そもそも、大元の原因はルームシェアを始めてからも氏を避け続けたわたしの言動なのだ。
相手を思って言葉を交わす。それさえやっていれば、昨日の事故は起こらなかったかもしれない。
「昔っから集団生活には慣れてたつもりだったんですよ。小学生の頃から[[rb:群狼流>ぐんろうりゅう]]の道場に通って、高校卒業した後には防衛隊に10年くらいいた。けど、思い返してみたら、人間と暮らすのは鴻さんが初だったなって」
カレーソースとご飯を口に運びながら、柴本氏は言葉を続ける。集団生活に慣れていた彼が、実は人間種と暮らすのは初めてだと言うのには少しばかり驚いたけれども、色々と調べた後では納得できた。
「苦手なヤツでも、一緒に風呂入って言葉を交わせばすぐ仲良くなれるものだ。おれたちはそう言われて育ってきました。学校で誰かとケンカしても、夕方に銭湯でそいつと会って、一緒に風呂入って話せば元通りって」
そうらしいですねとわたしが頷くと、柴本氏は少し驚いた顔でこちらを見た。
彼が言うところの裸の付き合い。それは、獣人ならではの風呂事情に理由があると気付いたのは、つい先ほどのことだった。
全身を密な毛に覆われた彼らは、入浴後にはしっかり毛皮を乾かさなければ皮膚病になることもある。
これを防ぐために全身用のブロワーが使われる。けれども工場に置かれる巨大な扇風機に似た形のそれは、その大きさや重さから個人宅や狭いアパートなどに設置するのは難しい場合もあるらしい。検索するうちに行き着いた獣人のための皮膚科や不動産関連のサイトに、そのような記述があった。
そうした背景から、獣人が人口の半数以上を占める河都では、現在でも銭湯や公衆浴場が多数あり、文化の一部として、また地域の社交場としての側面を担い続けている。
そう考えれば、氏が言うところの裸の付き合いも何らおかしなものではない。どちらかが悪いではなく、単に互いの文化の違いを認識していなかったことに端を発するだけのものだ。
そして何より、その大元の原因となったのは自分の事情だけ考えた結果、生活空間を共にする人を避け続けたわたしの行動なのだ。
だから、わたしも謝らなければならない。異なる文化に、何よりあなたを理解しようとしなかったことをどうか許して欲しいと言うと、柴本氏は更に驚いた顔になり
「えっと、その」
目を宙に泳がせた。ややあって、まだ動揺した様子を隠しきれない様子でこちらに向き直り
「だいたい鴻さんの言う通りっす。ああすればすぐ打ち解けられるんじゃないかと思ったんですが……今日、知り合いに話したら文化の違いを考えろって怒られちゃいました」
頭上の三角耳をしんなり垂らしながら言う柴本氏に、もう仲直りしませんかと提案する。
柴本氏は満面に明るい笑みを浮かべて応じてくれた。
[newpage]
[chapter:6.]
「鴻さんさえよければ、だけどさ。出来るときにはこうやって、一緒にメシ食って話さないか? もちろん、仕事とか用事とか色々あるだろうけど、そういうのが無ぇときには一緒に、どうかな? おれ、あんたのこともっと知りたいんだ」
和やかになった食卓で、いつもの口調に戻った柴本氏の申し出に、わたしは一も二もなく頷いた。
ただ、その流れのまま、わたしの今までのことなんて大したことないから、きっとつまらないだろうと言うと、今まで笑顔だった柴本氏の表情が一気に曇った。
「そんな寂しいこと言うなよ。まぁ、言いたくねぇことがあるなら聞かねぇよ。それは約束する。けど、頼むから自分を卑下しないでくれ。勿体ねぇよ。そんなの」
悲しげな顔で熱弁する氏に、ありがとうと礼を言う。その裏で考える。わたしの素性を知っても尚、彼は同じように言うのかと。
今は考えたくもなかった。他種族共生を掲げる河都市では、[[rb:異種族恐怖症>ゼノフォビア]]持ちは社会秩序を破壊しうる敵として看做されている。異種族恐怖症の家系に生まれ、他種族から隔離された特別都市で育ったわたしは、この河都の人々からは敵として見られかねない。
柴本氏を信じたい気持ちが無いわけではなかったが、そうするには未だ沢山の不安があった。
「昨日は焦り過ぎちゃったけどさ。ちょっとずつ、お互いのこと知っていこうぜ。こうやってメシ食いながらさ」
それはわたしも同じだった。疑っては隠すばかりの人生に疲れを感じ始めていた頃だったのだ。
何より、親しいあるいは親しくなりうる人と囲む食卓が、こんなに豊かで味わい深いものだと知った今、部屋でコンビニ弁当をかっ込むだけの生活には絶対に戻りたくない。
「なんか遅くなっちまったけど、これからよろしくな。鴻さん」
その言葉に、こちらこそよろしくと返す。が、柴本氏は何やら首を傾げて何事かを考え始めた。
「そういやさ、なんて呼べばいい?」
真顔で問われて返答に困る。好きなように呼べば良いし、苗字じゃダメかと問うと
「いや、ダメじゃねぇよ。ただ、何かしっくり来なくってよ。そうそう、下の名前の[[rb;那由多>なゆた]]だっけ、どういう意味なんだ?」
途方も無く大きな数だったと記憶している。10の60乗とも10の72乗とも言われる巨大な数字。
「良い名前じゃねぇか。そっちで呼んでいいか? 那由多って」
名前を誉められたことなど初めてだったので、少しばかり戸惑う。けれど、悪い気はしないので、構わないよと答えると
「じゃ、改めてよろしくな。那由多」
彼に名を呼ばれたとき、心の奥がじんわりと温かくて、ちょっとくすぐったい気分になった。
初めての感覚で慣れないけれど、決して嫌ではない。
もしかするとわたしは、柴本という男を何らかの形で特別視してしまうのかもしれない。
様々な違いに戸惑いながらも、考え、歩み寄りながら過ごす日々は、こうして始まったのだった。
(了)