犬の気持ちIF・犬♀の気持ち

  ほんのりイザ武な人間×獣人パロのみっち愛され

  強めの幻覚と妄想を混ぜ合わせた作品

  10月SPARKと12月DRFで頒布した無配とノベルティでした

  WEB用に編集してあります

  最後の世界線から並行世界に移動してる

  みーんな仲良く会社立ち上げて社畜してるよ

  獣人は今のところみっちのみ

  以下の要素を含みます

  ◇武道のみ獣人・幼児化

  ◆今回は後天性女体化要素もあり

  ◇中身は大人だけど精神は身体に引っ張られがち

  表紙絵はフレンズの星姫すぴか(スピノ)さんが描いてくれました!

  [[jumpuri:users/2516283 > https://www.pixiv.net/users/2516283]]

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  著作権は放棄していません

  この作品を含め、無断転載禁止・AI学習禁止です

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  犬の気持ちIF

  ※武道のみ幼児化・獣人化注意

  「帰る」

  最近、イザナはすぐに帰る。少し前までであれば朝まで共に居たのに、早くて夜になる前には帰宅してしまういい子ちゃん生活をしていた。いや、暴君なことに変わりはないからいい子ちゃんではない。

  女ができたのかとも思ったが、そんな気配は微塵もない。では何が理由なのか……気になって後をつけることにした天竺の面々。バレたらどうなるかなんてわかりきっているのに。

  「あ、ほらタケミチ。イザナが帰ってきたぞ」

  「きゅーん!(イザナくーん!)」

  「オマエら……何で毎回外で待ってるんだよ」

  「タケミチが帰る時間が近づくと玄関で鳴くからさ……」

  「わん! わっふ!(おかえり! 寒かっただろ!)」

  「……ったく」

  マンション下に居たのは鶴蝶と柴犬獣人の幼子。そういえば最近、鶴蝶もいる時といない時があると気づく。その原因はあの獣人の幼子だとピンときた。

  「ちっちぇ〜」

  「イザナ、デレデレじゃん」

  「あんだけちっこかったらそりゃ早く帰るわ」

  「つか、これバレたらヤバくね?」

  「今更気づいたのかよ……」

  ヒソヒソと話しているが、隠れきれていない。そんな天竺の面々にいち早く気づいたのは、獣人の幼子である武道。イザナの腕から飛び降りて、一箇所に集まって話している面々へと駆け寄っていった。

  「わんっ!(天竺!)」

  「オイ、チビがここにいるってことは……」

  「なァ……どうやって、死にてェ?」

  突きつけられた死の宣告。視線を上にあげると、武道のバックには黒いオーラを背負ったイザナが立っていた。

  ◇

  所変わってイザナ宅。あわや全殺しも覚悟したが、武道が泣いて止めてくれたお陰で死にはしなかった。そこそこの怪我は負ったが、生きてるだけで十分である。

  「で? 何しに来た」

  「きゃん! わっふ!(すっげー! 天竺勢揃いじゃん!)」

  「最近早く帰るから気になってよ……」

  「きゅぅん……わん……?」(傷痛そう……叱るより手当てが先じゃね……?)

  「……タケミチ」

  「わふっ?」

  問い詰めようにも、合いの手のように武道の声が入る。何ともマヌケで空気がもたない。イザナは大きくため息を吐くと、武道を抱き上げて自分の膝に乗せた。

  「もういい。タケミチに感謝しろ……」

  「? きゅーん?(? 何か疲れてね?)」

  あのイザナが諦めたことに衝撃が走る。だがあぁもコロコロと表情を変えて、うろちょろされたらそうなるのもわからなくもない。

  「結局そのタケミチ? とはどうやって知り合ったんだ大将」

  「拾った」

  「そんな落ちてたみたいに……」

  「届けも出してるからコイツはオレのだ」

  奪ったんじゃないんだと面々の頭を過るが、警戒心の高い獣人を盗むなんてアホのやることだ。些かこの武道と呼ばれている獣人は警戒心がなさすぎる気もするが……。

  「だから最近早かったんだなぁ」

  「あと鶴蝶も居たり居なかったりした理由はソレか」

  「あぁ、こんだけちぃせぇとな……」

  「なら今度からアジトに連れてきたら?」

  名案! という顔で提案するのは蘭。隣の竜胆もソワソワしながら頷いている。

  「幹部の誰かが見てりゃいいっしょ?」

  「どうする、イザナ」

  「……」

  「わん! きゃん!?(え! オレ外出れる!?)」

  一気に騒がしくなる室内。イザナは眉間に皺を寄せて葛藤しているようだったが、嬉しそうな武道の顔には勝てなかった。

  後日、天竺のアジト内では、柴犬の獣人がアジト内を駆け回り、常に幹部の誰かが付き添っていた。

  「走り回るとあぶねェぞ」

  「ありゃ転ぶな」

  「わふん!(おわっ!)」

  「あっぶねぇ……セーフ」

  「ナイス竜胆」

  あれだけはしゃいでいれば、身体より頭が重い幼子が転ぶのは容易に想像できる。

  ハラハラしながら竜胆が何とかキャッチしたが、捕まえられた武道は尻尾を振って喜んでいる。何という豪胆さ。

  「タケミチ、来い」

  「わんっ!」

  これだけ幹部が面倒を見ていたりしていても、たった一言イザナが声をかければそちらへと走っていってしまう。

  武道の頭を撫でてやっているイザナの姿にいつもの狂暴性は見えない。敵に対しての容赦の無さは変わらずだが、アジトに武道が出入りするようになって、一番助かっているのは幹部と手下達かもしれない。

  そんなこともあり、家でもアジトでも常に獣人の幼子を一番傍に置いていたのは、天竺の王様だった。

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  犬♀の気持ち

  ※武道のみ幼児化・獣人化・女体化と役満注意

  始まりは一緒、でも詳細は……

  また世界線を飛んだと思ったら真っ白い部屋にいた。

  変な部屋にいるし、犬耳と尻尾は生えてる、人語は話せないわと大変な目に進行系であっている武道。

  変な部屋は施設で、何とかそこから逃げ出した。さてどうするかなと思っていたら、疲れまくっている黒川イザナに気に入られお持ち帰り!

  武道をお持ち帰りしたイザナは、鶴蝶へ武道を預けて早々に会議へ。二人は浴室へと足を進めた……というところまでがダイジェスト。雑とは言ってはいけない。

  ◇◆◇

  オレのムスコどこですか?

  数十分前、鶴蝶に武道をシャワーへ入れるよう託し、なかなか進まない会議へと戻ったイザナ。休憩で出て行った時はめちゃくちゃ草臥れていたのに対し、今は昔の抗争時を思い起こさせるくらいギラついている。

  「さっさと始めろ」

  「あ、あぁ……」

  進行役をしていた稀咲もドン引きレベル。

  イザナとしてはさっさとこんな会議を終わらせて、小さい命との交流を深めたい……と考えているとは誰も思うまい。

  だが会議を始めようとした時、扉の外からドタドタバタバタと騒がしい音が聞こえてきた。その音は徐々にこちらへと近づいて、最終的に扉が壊れるくらい勢いよく開かれる。

  「イザナッ!!」

  入ってきたのは先程獣人の幼子をシャワーへ入れるように命令した鶴蝶。上半身は裸。例の幼子に自分のシャツを着させているからと推察。

  それにしても服を着る余裕もなく、いい年して会議室に飛び込んで来たということは、それなりの理由がある……と思いたい。でなければ下僕に変態のレッテルを貼るしかなくなってしまう。

  「うるせェぞ鶴蝶、どうした」

  「こ、コイツ……」

  「! 何かあったか!」

  鶴蝶のシャツに包まれている武道。ショックを受けているのか、具合が悪いのかわからないが項垂れている。さっきまで元気だった耳もヘタれている姿。

  大きな怪我があったか、それとも具合が悪くなったのかとイザナが椅子から立ち上がる。鶴蝶に近寄ろうとしたその時、

  「女の子なんだ!!」

  「……は?」

  「コイツ……女の子なんだよイザナ!!」

  「きゅん、きゅーん……!(オレの、ムスコ消えちゃった……!)」

  鶴蝶の心からの叫びにビタリと止まる。会議室に居た面々も何だ何だと覗き込む。

  沈黙した会議室に武道の悲しみの声が響いた。ただただカオス。

  ◇

  武道のムスコは消え、幼子になり獣人で女の子になった武道。もう止めて、武道のライフはゼロよ! と言わんばかりの連続コンボ。

  ここまでくると心境はなんとかなぁ〜れ! とほぼ投げやりになるのも仕方ない。

  性別は変わってしまったが名前まではバイバイするつもりはなく、何とかイザナ達から武道と呼んで貰っている。一部は女の子なのに男の子みたいだからとミチ呼びされているが、その気づかいはノーセンキューである。

  武道のムスコは消えたし諸々属性過多になったが、みんな反社はやっていないし、幸せそうにしている。自分だけ悲劇が起こっているが生きているだけマシというガバ判定。女の子になったがまぁ何とかやっていけるだろう……そう思っていた。

  「タケミチ、コレはどうだ?」

  「わふ……(イヤっス……)」

  「コレは?」

  「くぅん……(ムリっス……)」

  女の子だからとやたらフリフリした服を勧められる。これは無理。女の子になっても心は男、言葉は発せないが全力で拒否。

  鶴蝶と三ツ谷からアレやコレやと勧められるが、無理なものは無理である。なお、保護者のイザナはジッと見つめて何か考えているよう。

  「Tシャツとかの格好だったからか?」

  「タケミチ的にあんまりこういうのは好きじゃなさそうだな……」

  そうだけど、そうじゃない。人間の言葉を発せないのがどれほど苦しいのか実感した。

  鶴蝶や三ツ谷も疲れた顔をしているし、武道も疲れているが負けられないこの戦い。

  そんな中、座って見ていたイザナが立ち上がり、三ツ谷が持ってきた服を物色し始めた。色々と組み合わせては止め、また違う服を取ったりしている。

  気になった武道はズルズルと鶴蝶のシャツを引きずるようにイザナへと近寄った。

  「ウン……これならどうだ?」

  「わん!」

  イザナが武道にあてた服はマリンルックスタイル。上はセーラーで下はスカートではなくキュロット。これなら大丈夫! と大きく鳴く。

  「わん! きゃんきゃん!!(これ! こういうのだよイザナ!!)」

  先程まで嫌そうにしていた雰囲気はどこへやら。興奮してイザナの周りをぐるぐる回っている。その姿にイザナは満足気に笑い、転びそうな武道を抱き上げる。

  反面、鶴蝶と三ツ谷は突っ伏していた。良かれと思って渡していた服は尽く嫌そうな顔をし、しまいにはそっぽを向いていた武道。それがこんなにも嬉しそうにしているのを見ると凹む。

  「やっぱ……イザナが一番だよな……」

  「まだまだ、修行が足りねェな……オレも」

  「よく見ればわかんだろ」

  イザナのトドメの一言に完全に二人は沈黙した。容赦がない。

  武道の必死の抵抗と、イザナからの助言により何とかスカートではなくキュロットにしてもらえた。どちらにせよ武道が走り回るのでスカートは危ないということになったが、鶴蝶も三ツ谷も諦めていないことに武道は気づいていない。

  ◇◆◇

  違う一面を見せられたら風邪ひくレベル

  体力があり余っているのか、武道はよく走り回る。だが頭の方が重くよく転ぶ。転ぶと前より涙腺が緩いのでよく泣く。

  さて、ここまでの流れを繰り返すと周りはどうなるか。過保護な者たちが増えた。

  「わっふ!(イザナくん!)」

  武道を出迎えに来たイザナと鶴蝶に駆け寄ろうとした武道。

  走ろうとした瞬間、ヒョイと身体を持ち上げたのは蘭。そしてそのまま腕へと座らせる。

  怠惰の化身と言ってもいいあの男が、武道に丁寧に接している。腕に座らせられたことで蘭の顔が近い。大変顔がよろしい。

  「また転ぶだろ〜」

  「慌てんなよミチ、大将は逃げねェって」

  「きゅ〜ん……(下ろして〜……)」

  「オレらの姫さんはおてんばだよなぁ」

  「でもそこが可愛いじゃん兄貴」

  「わふ……わう……(誰これぇ……偽物じゃん……)」

  とろりとした目で可愛い可愛いと視線が言ってくる。この兄にして弟も同じ。竜胆の場合は元々獣人が好きというのもあるらしいが、こんなにも過保護だったか? と思うくらいに優しい。むしろ優しすぎて気味が悪い。

  武道の記憶の中にある灰谷兄弟は、警棒で顔面殴ったり、軽率に腕や足の骨をポキポキ折っている姿。あまりの落差に風邪をひきそう。

  真相は年上や同年代の女に慣れている男達。むしろ何もしなくても寄ってくるのであしらい方は慣れている。

  しかしこんなにも小さい女の子となるとどんな風に扱っていいのかわからず、ホストのような対応になっていた。

  初めはイザナの命令だからとそんな感じだったが、武道と接するうちに次々と落とされた。

  何もしなくても纏わりついてくる女と違い、自分達がやることに楽しそうな反応をしてくれる武道。そんな素直なところを気に入り、今では積極的に武道に関わりにいっている。チョロい男達である。

  面倒を見ている面々は主に天竺。服については三ツ谷、体調については場地、あとは女性陣のみが許されている。

  武道が女の子とわかった会議の日。マイキーを筆頭に会社の主要面子が揃っていて、あの日から武道について根掘り葉掘り聞いてきている。

  だがイザナは頑なにそれらを拒否。自分や鶴蝶だけで面倒をなるべく見るし、誰かに預ける時は天竺の面々もしくは女性陣に固定しているレベル。

  武道に落とされた天竺の面々や可愛いもの好きな女性陣からも、人を増やせばその分自分達の接触が減ってしまうためイザナに協力的。

  イザナ曰く、「アイツらに女の相手は無理だろ」と常々言っている。

  一部任せても大丈夫な面子もいるが、暴走族もしていたヤンチャな連中ばかり。武道の教育に悪いと全て拒否。

  じゃあ灰谷や斑目はいいのかというと、乱暴な言葉や荒っぽいところを見せるなと事前に釘を刺している。もし見せたなら武道のいないところで鉄拳制裁をしていた。

  女の子だからお淑やかにと人一倍イザナは言動を気にしているが、残念ながら中身はいい年した成人男性。それに前の世界線の記憶もあるため、それぞれの性格も知っている。知らぬは武道の周りばかり。

  「大人しくしてたか?」

  「元気よすぎ〜姫さんの体力無尽蔵ってくらい」

  「獣人として体力有り余ってんのかも。でもやっぱよく転びそうになってる」

  「そうか」

  灰谷兄弟ですら今ではこの扱い。他は比較的前の世界線より優しいかな? という感じだが、灰谷兄弟の落差が一番でかい。風邪をひきそう。蝶よ花よと接してきて度々武道の顔が死んでる。

  駆け回っているのも逃げるためだが、周りはそうは思っていないらしい。

  落差もだが見知った顔に女の子扱いされるのがキツイ。だけど三分の一も伝わらないこの感情。

  服装もだが、扱い方についてこうも変わるとキツイとは思ってもいなかった。

  いっそ前の世界線の記憶がなければ、もっと気軽にいれたのだろうか……。

  ◇◆◇

  ホイホイしすぎなプリティーガール

  四苦八苦しながらも、何とか武道は日々を過ごしていた。今日は珍しく公園へと遊びに来ている。外だというのにイザナはベンチの王様になっているので、鶴蝶とキャッチボール。獣人になってから身体を動かすのが楽しいのもあった。

  しかし、運動が楽しいからといって劇的に運動神経がよくなるわけではなく、武道がノーコンな上に獣人なので勢いあまって変な方向にボールを度々飛ばしてしまっている。ボールが変な方向に飛んでいくたび、鶴蝶に取りに行かせるはめになっていた。

  「きゃわん! きゅーん!!(ごめん! カクちゃーん!!)」

  「大丈夫だ! そこで待ってろよ!」

  かれこれ何十回目になるかわからないやり取り。イザナから見たらどっちが犬かわかんねェな……と頬杖をついて見ていると、待っている武道に近寄る不埒な影。

  さっきまでだらけて見ていた姿はどこへやら。スクッと立ち上がると大股で歩き始め徐々にスピードを上げ始めた。

  「可愛いね……おじさんとどっかお出かけしない?」

  ハァハァと息荒く話しかけられた武道。女児で獣人になって外に出かけると、この手のヤツに声をかけられることが増えた。思わず顔もしわくちゃになるし耳も尻尾もへたれてしまう。

  鶴蝶はまだ戻って来ない。ジリジリと男から離れているとベンチから凄い形相でこちらに向かってくるイザナがいた。おっさんも怖いがイザナの顔も別の意味で怖い。

  だがおっさんよりもイザナのが百倍マシだし、何より保護者なのでそそくさとそちらへ走り寄った。

  駆け寄ってきた武道を抱き上げておっさんと対峙するイザナ。おっさんはヤベェ保護者がいる子に声かけたと思っているだろうが後の祭り。

  「ウチのに……なんか用か?」

  迫力が違う。瞳孔は開ききっているし、かつて暴走族で総長していた時よりも威圧感が増している。下手したら反社と思われてもおかしくない。

  違うんです。今世はちゃんとした会社の役員なんです! と言っても信じて貰えないだろう。一般人でちょっと特殊な趣味のおっさんなんて、もうビビり散らかすしかない。

  しかし言葉を出せず震えるおっさんに対して、さらに追撃がある。

  ボールを取って帰ってきた鶴蝶だ。イザナと抱き上げられている武道、そして対峙するおっさん。瞬時に判断して三人へと駆け寄る。

  「どうしたイザナ、何かあったか」

  傷ありオッドアイ、高身長で筋肉ムキムキ。日頃はイザナの秘書みたいなことをしたり、イザナと武道の世話をせっせとしているがこちらも〝喧嘩屋〟と呼ばれていた武闘派。

  前門の虎、後門の狼ならぬ前門のイザナ、後門の鶴蝶。残念ながら一つ目の災難すら乗り越えられず、二つ目の災難もきているので難易度はルナティックである。

  その後はどうなったかと言うと、[[rb:丁寧な言葉 > ・・・・・]]で何とか帰って頂いた……とだけ。

  ◇

  「タケミチが変なヤツをホイホイしすぎる」

  「外行くと確実だな……」

  天竺の面々が集まる部屋で、イザナと鶴蝶がつい先日遭遇したことを話す。ころころと表情を変えるのに連動して動く耳と尻尾。よく泣く大きい目はある意味魅力的。チョロそうなところもあるので、話しかけたらいけるんじゃないかと思われるのか……。

  「え? そーお?」

  「オレらの時は別になかったよな兄貴」

  「オマエらの場合、ずーっとタケミチ抱き上げてたろ!」

  「降りてェって鳴いててもガン無視してたよな」

  「アレは逆に可哀想だろ……」

  はて、そんなことあったか? と灰谷兄弟が言うが、周りから総ツッコミされる。

  常にニコイチと言ってもいい二人。交互に武道を抱き上げていた上に、パリピな見た目は牽制になっていたようだ。

  自分達が武道を抱っこしていたいという本能のまま、欲望に塗れた結果。

  「だが運動はさせねェと……室内ばっかじゃ碌な運動はできねェだろ」

  発言がもう親な鶴蝶。なるべく離れないようにしているが、少し離れるとチャンスとばかりにわいてくるのでどうしたものか。

  「もう少しでっかくなるまでは、複数人で見るしかねェな」

  「オレらだけじゃ回らなくね?」

  「え〜……オレ、他のヤツにミチを世話させるのイヤ何だけど」

  「ここにいるヤツで人数増やしてェヤツいねェだろ」

  「……」

  天竺の面々だけで回すには人数が足りない。足りないならどこかから補充するしかない。補充する先はどこか……会社の面々はうってつけ。

  暴走族をやっていたくらいだから荒事には慣れている。しかし武道をこれ以上他の面々と関わらせたくないイザナは葛藤していた。

  「……一旦保留だ」

  「うん……まぁ、気持ちはわかるよ、大将」

  「ミチを他のヤツにって考えると……なぁ」

  トップも部下も考えが似るのだろうか。何回目かになる保留が出された。

  けれど結局、武道のホイホイの量が多くなってしまい、誘拐事件まで起こったことで不本意ながらも頼むことになるのであった。

  ◇◆◇

  何度目かの初めまして

  「ターケミっち!」

  「来んな、帰れ。教育に悪い」

  「え〜……イザナうっさい」

  誘拐事件後に改めて会社の面々に紹介した結果、イザナのとこに押しかけるヤツが多発した。筆頭はマイキー。どうにも武道がどストライクでお気に入りにランクイン。

  「まぁたやってるよ」

  「ミチ、大人しくしろ」

  イザナとマイキーが口論中、武道は場地と春千夜と共に避難していた。武道は春千夜に捕まり、髪の毛をセットされている。駆け回ってぐしゃぐしゃになっていた耳と尻尾が気になったらしい。

  手ぐしで髪を整えて、どこから出したのか獣人用のブラシとクリームを出してケアしている。少しこそばゆいので耳を揺らすと窘められたが、その口調は優しい。場地はにやにやと笑っているので、時たま春千夜から蹴りが飛ぶ。

  「ったく、イザナはオレにあたり強すぎ」

  「ロクでもないことをタケミチに吹き込むなよ」

  「んなことしねェよ」

  攻防を終えた二人がゆっくりとコチラへと向かってきた。ちょうどケアも終わった武道はイザナへと駆け寄る。

  「イザナく!」

  「キレイにしてもらったな」

  「わん!」

  せっかく整えて貰ったのを崩すわけにはいかないので、軽く撫でてやる。武道も撫でる手が気持ちいいのかきゅんきゅん鳴いている。

  「やっぱ一番はイザナ何だよな〜」

  「ポッと出のオレらはまだまだだろ」

  「天竺より下なのは納得いかねェけどな」

  サッと武道を抱き上げるイザナ。手渡す先はマイキーかと思いきや春千夜。

  「何でだよ!」

  「春千夜がこんなかで一番マシ」

  「えー!!」

  「オレプロなのに?」

  「マイキーは論外、場地はたまにバカやるだろ」

  「はるちよく?」

  「……何でもない」

  またも始まる口論。場地は否定できねェわ! と笑い飛ばしている。それでいいのか専属医。

  春千夜は小さくガッツポーズ。配信ではよく炎上しているが、比較的まともな部類に入る常識人。武道もこの三人なら春千夜くんかなぁ……と思っているので、ある意味共通認識。

  「そろそろ出かけないといけないんじゃないか? 時間大丈夫か?」

  「あ、ほんとだ」

  イザナのスケジュール以外も把握している鶴蝶の一声にバタバタと玄関へと向かう四人。

  今日はこの幼馴染達と武道でお出かけ。イザナも不安そうに玄関まで共に足を進める。

  仕事さえなければ……とギリギリしているが、仕事をしなければ養えないし生活できないので仕方なく諦めるしかない。世知辛い世の中。

  「夕方には帰ってくっから!」

  「安心しろってイザナくん!」

  「オマエら二人の言葉が一番不安……」

  「ミチ、挨拶」

  「! イザナく!」

  また始まりそうな口論に武道がイザナへ声をかけたことでピタリと止む。優先第一なのはこのお姫さま。

  「いって、きましゅ!」

  「ン、楽しんで来い」

  穏やかな笑顔を浮かべて見送るイザナ。リビングの扉からも笑顔で鶴蝶が見送ってくれている。そんな二人にぺかぺかの笑顔で返す武道。

  結局どんな世界線だとしても、関係性というのはそう簡単に変わらない。