素晴らしき10月

  「肌寒くなってきた。冬物を買いに行かないか?」

  休日、猫が話しかけてきた。丁度私も冬物のコートが欲しかったところだ。猫を車に乗せ出発する。

  量販店に到着すると猫は人の姿に変化した。猫又って便利な生き物だ。ただ…でっぷりとしたお腹が特徴のおじさん姿はどうにかならないだろうか?

  「すまんすまん。10月は美味いものが多くてつい食い過ぎてしまってな」

  世の若人達よ。これが現実だ。

  猫おじさんと一緒に店を回る。あっ!この服、もう半額になってる…買うタイミング間違えた…

  「君はそれを気に入ったから買ったんじゃないのか?値段で買ったのか?」

  猫おじさんの指摘にぐうの音も出ない。そうだ。気に入って納得したから買ったんだ。

  「人間は物の価値をすぐに見誤る。気を付けなさい」

  どや顔で笑う猫おじさん。お金を渡すとすぐに無駄遣いしてしまう癖に言う事は素晴らしく立派だ。

  このやり取りが好きで私は毎秋、猫とデートする。