素晴らしき10月

  秋の収穫を終え、一段落着いたある夜。私の家に大勢の村人が押し掛けてきた。

  皆、鬼気迫る表情で家を荒らす。私に供えられた収穫物の数々を奪っていく。

  さらには私を閉じ込めてある御神体まで破壊していく。

  「何が豊穣の神だ!お前なんかに祈ったところで収穫量が変わるわけじゃねぇ!」「穀物を作っているのは俺らだ!全部返してもらうぞ!」「今年の凶作はお前のせいだ!」

  これまで私を神と崇めていた村人が暴徒と化す。

  御神体から抜け出た私は土地に力を与えた。途端、土地は再び実りに溢れる。

  「素晴らしき10月になった!」「疫病神がいなくなったおかげだ!」

  暴動を止め喜ぶ村人を尻目に、私はそっと村を去る。

  この枯れた土地でも毎年収穫できるよう制御していた力を開放した。これでもう、来年以降はこの土地で収穫は見込めまい。

  愛着のある村であったが不必要というのなら去ろう。

  私もまた、数百年ぶりの自由を謳歌するとしよう。