素晴らしき10月

  実りの秋。私は毎年、伯父の農園の手伝いをする。

  「いつもありがと。今年も気に入ったのあったらあげるよ」

  伯父からの了解も得た。私は気になったそれをじっくり見定めて収穫する。今年の出来は特にいい。これならきっとお金も貯まる。彼氏も出来る。…と、思う。

  去年は見た目を重視したせいか、周りから成金と思われた。今年はそんなミスは絶対にしない。

  木になった財布に手を伸ばす。うん。皮の色艶も最高だ。

  休憩時間、早速収穫したばかりの財布に切れ目を入れ、中を確認する。

  カードポケットも小銭入れもついている。非常に使いやすそうだ。

  長財布の方がお金が貯まりやすいと言うが私は小ぶりな折り畳み式が好きだ。

  財布は本来、木に成るものだという事を殆どの人が知らない。当然、財布農家という仕事も知らない。

  秋財布や春財布とは抑も財布の収穫に合わせて出来た言葉である。

  10月。それは素晴らしき財布が手に入る実りの時期だ。