素晴らしき10月

  人間の営みにより地球は青の輝きを失った。私達夫婦はそんな故郷を捨て、宇宙へと旅立った。終の棲家を探す為である。

  個人所有の宇宙船なんて珍しくもない時代。私達のように『死ぬのならせめて美しい自然の中で…』という考えの老人は意外と多い。

  そんな私達が見つけたのは小さな星。一年中秋の惑星だ。

  妻は雑草の様に生える稲穂を見て感動した。死ぬまで宇宙食を覚悟していたがこれで美味しいお米が食べられる!と。

  私も感動した。甘柿。渋柿。手を伸ばせば熟した果実がぶら下がっている。

  通称・10月の星と呼ばれるここは冬が来る前の実りが1年中約束された惑星だ。都市伝説と思っていた惑星をまさか見つけられるとは…

  この惑星の存在を地球に伝えれば、発見者の私達がこの惑星の権利を手に出来る。

  やめておこう…私達の死後、良からぬ者に荒らされる10月の星を想像したくはない。

  そうだろう?目の前の小さな墓に眠る偉大なる移住者達。