素晴らしき10月

  私が子猫だった頃、人は可愛い可愛いと私を持て囃してくれた。皆が優しかった。

  だけどそれはすぐに終わった。

  私は段ボールに入れられると外へと連れ出された。私は捨てられたのだ。

  私は人を恨んだ。玩具の様に弄び、飽きたらすぐ捨てる無責任者に怒りを覚えた。

  故に、私は人を支配する側に回った。

  外の世界で死にかけていた私を優しい人が助けてくれた。だが私は騙されない。私がこいつを騙すんだ。

  餌を寄こせ!世話をしろ!貰えるものは、奪えるものは何でも我が物にした。

  それはこの人とて例外ではない。私は人をも支配する。人の心を奪ってやろう。

  人は優しく微笑む。

  「もう10月か…ちょっと寒くなってきたね」

  ふん!まるで子猫だった頃の私のような奴だ。

  いいだろう。貴様を私のペットにしてやる。私の素晴らしい提案に感謝するといい。

  ほら、一緒にいてやるから温もりを感じろ。

  「ありがと。これからもずっと一緒にいてね」