素晴らしき10月

  猫は家につく。なんて言われているがそれは間違いだ。

  猫は場所につく。それはひだまりであったり、飼い主の膝の上であったり様々だ。

  ちなみに私がついている場所は台所である。それも出来れば秋半ばの10月がいい。

  台所の夏の暑さは猫に堪えられぬ。冬の寒さは辛抱ならぬ。故に涼しいこの時期が一番なのだ。

  何より、この台所には美味いものが最初に届く。今日は秋刀魚か。脂がのっていて実に美味そうだ。生で早速頂くとしよう。

  あ~、この弾力のある肉!素晴らしい!たまらない!これぞ新鮮な生ならではの楽しみ!日本酒が欲しくなる!

  おっと、いけないいけない。これは七輪で炙り、その香りを外に放たなければならない。

  そうしてこの店にお客が来るのを待つ…そうすれば、丸裸にひん剥かれた人間が台所へと届けられる。

  バターを塗りこんだ人間。一口くらい齧りたいが店主にバレたら大目玉だ。

  さ~て、準備開始!今宵も山猫軒は大忙しだぞ!