【ドラパルト♂】ミイラ取りはミイラになりたい

  「くそっ。相変わらず、生意気に、いいカラダしやがって……!」

  「あっ……はあ……んん〜っ……」

  「はあっ……はあ……ああ……」

  「ふうっ……ふうっ……ぐう……」

  「ふうっ……ほんと、いつ見ても無駄のないカラダだな……」

  「……オンバーンこそ。鍛えるのもいいけど、ちょっとは食べれば?……」

  オンバーンとプテラは口々にお互いのカラダを称え合いながら、興奮を共有し、さらに高め合う。首筋、くっきりとした鎖骨、ガッチリしすぎない大胸筋、腰のくびれに引き締まり無駄のない腹筋まわり……。

  しかしこんなことをしていれば、当然キャンプへ戻るのも徐々に遅れがちになっていく。マスターにもさすがに訝しがられるようになり、あまりに帰ってこないときには、同じ手持ちのドラパルトが差し向けられて、二匹の様子を伺いに来るようになっていたが、近づいてくる時の明らかに異質な気配を、オンバーンの自慢の耳から放つ超音波でキャッチできたので、すんでのところでごまかしはきいた。

  危ういことがないことはなかったが、ドラパルトの鈍感のおかげで、バレずに済んでいる……とでも思ったか?

  そもそも何が鈍感だというんだバカ。鈍感なのはお前らの方だ。俺は何にもまして敏感だ。飛行速度も、頭の回転においても、全面的に。600族なめんな。

  実を言うと、あいつら二匹が競争を始めたと同時にこっそり俺も後をつけていたのだ。うん、後をつけていたというのは正確じゃないな。だって、途中からは、あくせくするオンバーンと、悠然と飛ぶプテラすら追い越して、先回りする形になっていたんだから。

  ゴールに定めている孤島の場所はもうわかっている。だったら、最短ルートでこっそりと向かえばいいだけのこと。

  こんな密偵のようなことをしているのも、ひとえにマスターが心配するからだ。まあ、遠くへ行くのはいい。しかしどんどん帰りが遅くなってはいったい何をしているのか知りたくなるのが親心というもんだ。俺も、頭に二匹のドラメシヤを抱えているからよくわかる。

  脳味噌まで筋トレのことしか頭にないオンバーンのバカと、それに比べれば落ち着いてはいるがちょっと世間知らずなところは否めないプテラと。まあ悪いことはしてないだろうが、安心はできない。そこで俺の出番とあいなった。

  はじめは、あいつらが出発してそこそこ時間が経ったら様子を見に行くだけの簡単なお仕事だと思っていたが、どうもそうは問屋が卸さないと、あいつらの挙動不審ぶりから俺は察した。俺が来ると、その途端に池へ勢い良く飛び込む音がして、見ると、あいつら、あっぷあっぷしてやがる。水浴びをしていたと、オンバーンのやつは言い訳をしたので、俺は表向き納得した振りをしつつ、訝しんでいた。オンバーンはともかくとして、いわタイプのあるプテラは水が苦手なはずで、好んで水浴びをする奴ではないはずだが?

  そう思った俺は、ちと詮索をおっぱじめてみたわけだ。といっても、さっき言った通り、あいつらのたむろす場所を特定して、あとは先回りして様子をうかがうだけのことだが。

  そしたら、案の定だ。というか、想像していた以上のものを俺は見てしまった。ほっそりとした、いいカラダをしているポケモン同士、しかも雄同士で、互いの体を愛撫している。うっとりとした体で、手で! 舌で! 胸筋を! 腹筋を! 撫で回してるじゃないか。

  俺が何より先に考えたのは、頭部に控えさせている二匹のドラメシヤのことだった。二匹とも、困惑した様子であいつらの倒錯っぷりを眺めている。何と説明したらいいものか。今すぐにでもどこか離れた場所に行きたかったが、今あいつらに気づかれると面倒だし……

  事が済むまで様子を眺めざるをえなかった俺は、その後もっとすごいものを見せられることになった。まあ、お分かりだろうが……興奮しきった二匹は、共に雄ながら「交尾」をおっぱじめたのである。プテラが突き出したケツに、オンバーンの野郎、ギンギンに勃ったペニスを突き立てやがった。

  ドラメシヤたちはソワソワし始めていた。目の前で起こっている光景をなんと理解すればいいのか、俺に説明してもらいたがっている様子だった。当然のことだ。

  だがしかし、唐突ながら俺がこれから言うことを理解してもらいたい。俺は、あいつらのセックスを見て、その、こう直接的に言ってしまっていいものかわからないのだが………………勃起、してしまったのだ。

  認めよう。かくいう俺もホモなのだ。

  それは、ドラメシヤだった頃から自覚していた。というより、俺が頭に乗っていたドラパルトの奴からしてどうしようもない変態だったわけでして。夜な夜な、頭に控えた俺を起こしては、奉仕させてきやがった。そりゃあ、従うしかなかった。太く、ヌルヌルして、ちょっと熱いあのアレを、ガキの頃はキャンディ代わりにしていたのだ、俺は。うまくしゃぶれば、練乳のご褒美付きだ、ってバカ言わすな。

  ともかくそんなことを続けているうち、親から性癖までしっかりと受け継いでしまった俺は、新しく自慰を覚えるとしばらくは自分のキャンディで満足していたわけだ。それは今のマスターの手持ちになってからも変わらず続けていたわけだが、いざ進化してしまうとそういうわけにもいかなくなってしまった。ドロンチに進化すると、どこからともなく頭に一匹のドラメシヤが。ドラパルトになると二匹だ。心の準備もできないまま、俺は二匹の世話もしないといけない立場になっていた。

  二匹の世話もしないといけないということは、当然、常時二匹の子供の目に晒されているというわけで、上のお世話に気を取られる一方で、下のお世話はご無沙汰になっていった。初めのうちは上手くいくか心配でならなかったのだが、これがなかなか性に合っていたようで、案外うまくやっていけた。理性をギリギリで抑え付けないとヤバイくらいのことは覚悟していたが、二匹の相手をしてるとそんなことは勝手に忘れてしまった……まあ、なにより、自分の性処理を子供に任せるようなヤベー奴みたいにはなるもんか、という無意識の決意が俺を真っ当にさせていたのだろう。

  が。これで今の今まで積み重ねてきたものが俺の頭の中でガラガラと崩れる音が、いま聞こえた。

  たくましい、均整のとれた体つきの二匹が、健康的に体液を撒き散らしながら、いやらしい腰つきをしながら肉体をぶつけ合って、互いの性欲を曝け出しながら、雄の喘ぎ声で悦んでいる。

  「あんっ……んんっ……ぎもぢっ……♡」

  「はああ……どうだ……ああああっ……」

  「…………ふうっっ……ふうっっ……うっ」

  奴らのよがり声につられて、自分も声を出してしまった。幸い、盛りあってる二匹には気付かれていないようだった。まったく、お前の耳は節穴か、オンバーンめ、結果オーライだけど。

  ドラメシヤたちの視線が、あのホモガキどもから俺の方に移っている。ヤバイ、気づかれた。釣り上げられたコイキングのようにピチピチとくねった、我が肉棒。久々にまじまじと直視してみると、すごく、気まずい。ずっと抑えてきたものが全部、このペニスの膨れ具合に現れてやがる。

  体が熱い。心の臓(ゴーストだけど)がバクバクと騒いでいる。凄まじい動悸。胸が苦しい。ああ、だめだ、頭がクラクラしている。俺はひどく混乱している。熱があるみたいに。ドラメシヤたちが心配している、困惑している。オンバーンとプテラは一心不乱に腰を振りあっている。

  「…………………………………………」

  俺はやっとのことで無言でその場を離れることができた。草むらに潜り込んで、こいつが静まるのをずっと待つことにした。じっとしているにも、俯こうとすると息子とムスコが顔を合わせてしまうことになってマズいから、こいつらが何も見えないように、俺はずっと上を向いていた。うん、穏やかな気候、澄み渡った空だ。素敵じゃないか。Wouldn't it be nice?

  なんとか無事にキャンプに帰ってくると、マスターにはこっそり、あの二匹は遊んでいただけだと報告しておいた。うん、嘘はついてないよな?

  日が暮れてきたところであいつらもやっと帰ってきて、マスターは二匹に小言を言いながら、カレーを作り始める。俺も手伝いをした。集めてきた木の実をめいっぱいに投入し、異国から取り寄せたというヤドンというポケモンのしっぽのくんせいを添えた主自慢のあぶりテールカレー。見た目にも強い印象を与えるそいつは、しかし噛むと独特の甘さが滲み出てきてなかなかクセになるし、辛めのルーともマッチする。甘いとか辛いとか甘辛いとか単純な一言では表現できない微妙な味で、だからこそ飽きないし、ついついスプーンも進むうちに、食べきってしまう。

  とはいえ、それは普段の話。カレーの上に豪快に載せられたしっぽは、ピンク色なのも手伝って、さっきのアレとダブって見えてしまう。こういう幼稚な連想をしてしまう辺り、俺がまだまだアレ的に若いってことなのか、ああ〜クソ、クソっ。

  二匹のドラメシヤもぼんやりとではあるだろうが、同じことを思ったらしく、きょとんと顔を見合わせている。お願い、見なかったことにしてくんないか無理だろうけどさ。

  なかなか食が進まなかった。俺は数口食べただけでもう十分だった。あとはドラメシヤに食べさせて、それでも余った分は……

  元から細長の目をもっっっと細めて、俺はあいつらに視線を移す。地面に並べた並盛のカレーの皿に顔からかぶりついて美味そうな食いっぷりだ。

  「わっ、汁飛ばすなって……もっと綺麗に食べろよ」

  「普通じゃんか。お前の食べ方の方がおかしくない?」

  「あんまし毛は汚したくないんだっての」

  他愛無い会話。これまでだったらただ聞き流していただろうが。嫌でもさっきのこいつらの姿を思い出すと、何か別の意味を読み取らずにはいられない。あっちであんなに盛りあっておいた時みたいな振る舞いはおくびにも出そうとしない。感心するくらいだ。そりゃ、偵察するまで関係に気がつかないわけだ。

  俺は物音も立てずにオンバーンの脇に近づいた。自慢の耳やお見通しはどこへやら、肩を叩いて初めて俺の存在に気がついたオンバーンは、ぎょっとして瞳孔を狭めた。

  「うおっ……なんだ、ドラパルトか。びっくりした……」

  「……運動してきたんだろう。そんな並の量で足りるのか。もっと食べたらどうだ」

  と言いながら、奴の皿にほんの少しかじっただけのヤドンのしっぽを、カレーごとどかんと移した。

  「なんだよ突然、あんたにしては珍しいな」

  「……老婆心というやつだ。それに、そういうやつ、好き、なんだろう」

  オンバーンめきょとんとしていた。俺だって最高にわかりにくく茶化したつもりだから、わかられても困るけれども。ともかくは、周囲にもどこか読めない性格と思われている俺だ。オンバーンには、単なる気まぐれ程度にしか思われていないようだった。

  「……まーいーか。ありがとな」

  ボソッと小声で「筋トレの回数増やさねーと」と呟くのを俺は聞き逃さなかった。それに、隣で食っているプテラがその言葉に微かに体を反応させたことも。さっき、抱き合いながらこいつらが語り合っていた話を思い出し、腹が熱くなってくる。

  今度はプテラの側に近寄ってみる。

  「…………………………………………カレー、食うか」

  「……………………?」

  そういえば、比較的新入りのプテラとはサシでしゃべったことはあんまし、なかった。とはいえ、その、何か返事してくれないとこっちも動くに動けないんだが。あたふたしないでくれ。こっちをじっと見て、いかにも新入りらしく、どうすればいいのかみたいな顔しないでくれ。

  「これがこいつのいつもの感じなんだよ、ドラパルトってのんびりしてるから」

  固まったプテラにすかさずオンバーンが助け舟を出してくれて助かった。しかし、のんびりしているとは、お前だけには言われたくないのだが……

  俺は無言で、プテラの皿に余ったカレーをよそった。ちょっと山盛りになったカレーを、プテラも無言で見つめている。

  「育ち盛りなんだから。もっと食べとけ……」

  「あっ……う、うん……」

  どう返事をすればいいのか困っているプテラをよそに、俺はそそくさと二匹のもとをすうっと離れ、マスターに、食後の食器洗いと後片付けを申し出た。

  で、食後。近くの水辺でカレーまみれの皿や鍋を洗いながら、俺は沸き上がりかけた複雑な感情をなんとか抑え込もうと努力していた。うん、家事に励んでいると、やはり心が落ち着いてくるな……すごく、親、って感じがする。悪くない。

  二匹のドラメシヤも、俺の真似事をしながら、一枚の皿を洗ってくれる。ほとんど遊んでいるようなものだったが、あ〜子どもって可愛いなあ。辛いことはなくはないけどさ。

  洗い物が片付いて、積み重ねた食器を持ってキャンプに帰ろうとしたとき、水辺から少し離れた草むらの向こうに気配を感じた。

  俺はため息をつく。ほっといておけばいいんだろうが、念のため様子を見ておこうと思ってしまった。こういうのは大抵、ヨクバリスとかのことが多いのだが、だったらスルーして帰ればいいだけの話。あくまでも、念には念を入れて、だ。キャンプ地からも比較的近いことだし。

  いつものように、こっそりと草むらの様子を伺った。それが運の尽きだった。

  「…………んっ…………んっ…………んっ…………んっ…………」

  「456……457……458……459……」

  俺は慌てて姿を消した。あぶね、あいつら、筋トレしてやがる。腹筋するオンバーンの足を押さえつけたプテラが、淡々と回数を数えている。いつから始めていたんだろうか。しかし、よりにもよってこんなところでするなって! せっかくいい感じで忘れかけていたところだったのに。

  俺は一刻も早くその場を立ち去らねばならなかった。けれど、なぜか体を動かすことができなかった。金縛りにあったみたいだ、ゴーストなのに。

  目を凝らして、俺は二匹の筋トレの様子を観察してしまっていた。鍛え上げられた肉体とはいえ、何百回と連続でやっていればさすがにくるのか、上体を苦しげにあげるたびに、カラダ全体がプルプルと震えていた。それに合わせて下半身がいやらしくくねる。

  「475………………480 ………………485」

  オンバーンが上体をあげきると、ちょうどカウントするプテラと互いの鼻先がくっつく形になる。そういう露骨なことを、平然と無邪気にやってしまえるところにむず痒さを感じるのは俺だけなのだろうか。

  腹に力を入れるたびに、オンバーンのやつの脇腹あたりから筋肉の形がちらっと浮かんで見える。まったく、体つきにはつい見惚れてしまう。さすがにマスターが厳選してオンバットから手塩にかけて育てただけのことはある。プテラも同様。他の同種のポケモンとは、仕上がりが明らかに違う……まあそれは俺も同じことだけど、こういう体型だとそんなに見た目変わんないから、つくづく損してるよなあ。

  「んんんんんんんんん!……んんんんんんんんん……んんんんんんんんん!!」

  「もうちょい! 496ぅ……497ぁ……498ぃ……499ぅ……」

  サポートだけのくせに、プテラの声もまるで一緒に腹筋を鍛えてでもいるかのように火照っていた。

  「500っ! おわりっ!」

  それと同時に、腹筋をやりきったオンバーンはそのまま仰向けに倒れ込んで、舌を突き出し、息を切らした。はりのあるカラダから汗の粒が次々と流れていく。プテラのやつは、トレーニングが終わってからも、その場を動かず、押さえる手をオンバーンの太腿に移して、手持ち無沙汰に揺さぶっている。

  俺は何を見ているんだ。一体、何を期待しているというんだ?

  「お疲れオンバーン……けどさ」

  太腿を左右に畳み、股を開かせると、今まで影になって隠れていたオンバーンのイチモツが露わになった。

  「トレーニング中に興奮しちゃ、だめだろ」

  何回目辺りから勃っていたのか知らないが、漲ったそれはすでに若干の先走りが出て湿っており、ホカホカとした湯気もたててやがった。

  「わりいわりい。つい、さ」

  照れながら、大きな耳の裏側を掻く。軽く上体を起こしていかにも刺激を欲しがっている代物を眺めて苦笑する。

  「……なあ、しゃぶってくれよ」

  こいつ! ぬけぬけとよくそんなはしたないことを……!

  「・・・・・・しょうがないな」

  うぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおい!!!

  プテラのやつが恥じらいもなくいきなり、オンバーンのモノを口いっぱいに頬張ったとき、これ以上直視するのは危険だと本能で察知した俺は、一目散にその場から逃げ出した。あっ、食器置きっぱなしだ!……でもそれはまた後にするっきゃない!

  俺はあいつらがいたところから少し離れた茂みの中に逃げ込んだ。

  「はあっ……畜生っ……あんのリア充どもめぇ……」

  人気のない木陰に寄りかかりながら、頭を上げて、俺は綺麗な星空を見た。ダメだ。今度の今度はもう我慢しきれそうにない。頭を垂れて現実を見る。俺の元気にそそりたったペニス。あんなに刺激の強い絵面を一日に何度も見せられてしまい、忘れかけていた欲望をすっかり思い出してしまった。

  ああ、あの二匹が羨ましい。あんな無邪気に、ためらいなく、恥知らずに、自分たちの欲望に素直になって快楽に耽っている姿は、正直に言って、幸せそうすぎて涙が出ちまいそうだ。ホモだし童貞だし、ペニスを舐められる感覚も、ケツを掘られる感覚も、想像しかできないが、あの二匹の盛り合いを見ていると、きっと相当気持ちがいいんだろうな。見ているだけでこんなに体が興奮してしまうんだから。

  「はあっ……」

  思い切り開脚の姿勢をとり、水色に透き通った自分の肌をさする。頭は独特な翼の形をしてるし、二匹のドラメシヤも養ってはいるが、俺のカラダは悪くはないんじゃないかと思っている。誰か優しくしてくれるんだったら、身を委ねてもいい。一晩くらいは、いい思いを、俺だってしたい。あいつらに味わえて、俺が味わえないなんて、それこそ不平等の極みだ。こんな切ないことってあるもんか。

  意を決して、暴れるペニスへと手を伸ばした。ぎゅっと掴むと、しっかりとした弾力で、俺の指を小気味良く跳ね返してくれる。なかなかいい感じなのでは?

  恐る恐る、2、3回扱いてみる。静電気にうっかり触れたように、とっさに手を離した。ヤバイ、思ってたよりずっと気持ちがいいな、コレ。最後にしたのはドラメシヤの頃だったからなあ。

  目を瞑って、俺はゆっくりと今日見た光景を思い出す。あいつらの彫琢された筋肉質なカラダ、そこから不釣り合いに勃起ししな垂れた一級品の竿、艶めかしいながらも野性味ある腰振り、腹の底からあげるよがり声。経験のない俺にはあまりにも刺激的すぎる。

  「はあっ……ふうっ……んん……」

  上下に動かす手が徐々に速まっていく、と同時に妄想も捗っていく。くそっ、あいつら、散々マスターに迷惑かけてからに、オス同士やらしく盛り合いやがって、俺がお仕置きしてやらないと……俺とお前らとの間にはそんな生半可な筋トレごときで埋められない、決定的な差というのがあるんだってことを、このチンコでたっぷりわからせてやるから覚悟してろよ……

  「……って、うおっ?!」

  不審な感覚に気がついて目を開くと、俺は唖然としてしまった。ドラメシヤたちが、いつのまにか俺のペニスに群がって、舐め始めていたのだ。

  「こらっ! ダメダメっ、離れなさいっ、ほらっ」

  ああああああああっ! 俺が積み重ねてきたものがあああああああ! 何もかも台無しになっていくううううううううう!!

  なんつー性教育しやがったんだあいつら!……いや、見てしまった俺も悪いけど。まさかこんなに早くこいつらが感化されるなんて! 馬鹿な、まさか、これもあの親からの遺伝なのか……? いや、認めないぞ、断じて。

  俺はなんとかドラメシヤたちをペニスから追い払おうとするが、こいつらもしがみついて離れてくれない。ホントにぴったりと貼り付いてびくともしない。その間にも、頬擦りしたり、舌で舐めたりして、ちょびちょびと刺激してくる。

  「ううっ……これは美味しいものでもないし、そもそも食べ物ですらないんだよ……こんなこと人前でしちゃダメなことなんだ……」

  俺の泣き言も虚しく、ドラメシヤたちはすっかり俺のペニスに夢中になっていた。ちょっと弄るとピクッと動くのが面白いらしかった。ああ、親の威厳!

  「…………………………………………………………」

  万事休したか。もうこの子たち言うこと聞く気がしない。我慢強く言い聞かせれば聞いてくれるかもしれないけど、それまでに俺のチンチンが我慢できないと思う。でも子の前でイッたら、もう俺ドラパルトとしてやっていけない気がする。死にたい、もう死んでるだろとか言わないで。

  悪魔が俺の耳に囁く。悪魔はオンバーンの姿をしていた。気やすそうに俺の肩を組んで、ニヤニヤと笑う。

  小難しいこと考えんなって。自分の気持ちに素直になれって。気持ちよくなりたいんだろ? この子たちだって、喜んでるんだから好きにさせておけばいいじゃん、な?

  俺は催眠術にかけられたように、首を深くうなだれた、きつく目も瞑る。何も考えない。無、無、無。頭の中は空っぽ。それ、3、2、1……。

  「……ほら、危ないからどきなさい」

  ドラメシヤたちは顔を見上げると、自分たちの上に大きな影が迫っていることに気がつき、さすがに縋っていたペニスから離れてくれた。他でもない、俺がそいつを咥えようとするからだ。

  「はむっ……ぐぢゅっ……」

  背中をパタリと折り畳むほどに曲げて、俺は自分のモノにありついていた。根元まで咥え込み、汚い音を立てながら先端までゆっくり口を動かす。懐かしい味だ。恥ずかしいし悲しいけれど、童心に帰ったような気がした。俺は悟ってしまった、どんなにも表向き真面目に振る舞っていても、受け継いでしまったものからは逃れられないことを。

  「ぶぢゅっ!……ぢゅるるるるっ!」

  口の動きがますます激しくなっていく。俺もまたこのキャンディに夢中になっていた。ドラメシヤたちが俺の顔にすり寄っている。ゴメンよ、もうすぐ済むからもうちょっとだけ待っててな。

  「ぢゅぢゅぢゅぢゅっ!……ちゅっ………………!」

  いよいよ絶頂が近づいてきた。ペニスの中に大量のアレが溜まっている感じがよくわかる。もう少し。俺はとびっきりの妄想を脳裏に浮かべながら、全力をかけて口を使って扱きまくった。

  「!!………………………………」

  ペニスから俺の精液が飛び出してくるのを、口でしっかり蓋をして漏れ出さないようにして、全部受け止める。ちょっと温かい、ドロッとした粘液が、どんどんと口の中に注がれてくる。ご褒美の練乳だ。ドラメシヤの頃のささやかな夢が叶った、練乳を腹一杯に飲む夢が……ってバカ言わすな。でも、悪くないな。

  自分から放たれたミルクを、俺は一匹で喉をゴクゴク言わせて飲み干した。ようやく萎えたペニスから口を離して、満足のため息をついた。お腹をさするとタプタプと音がした。欲望の液が自分のチンコから一周回ってまた自分の中に収まったことを確認し、なんと言えばいいのかわからないけれど、安心感みたいなものを抱いた。

  ずっと頭の上でどぎまぎしていたドラメシヤたちは、俺の腹の上にヘタレこんだペニスに近寄り、じっと俺の目を見ている。俺はニンマリと微笑む。

  「ほら、舐めな」

  俺が伝えると、ペニスに残っていた白濁液を、二匹のドラメシヤは先を争うように舐め取り始めた。うん、所詮血は争えないんだな、そういうことにしておけ、もう。俺は二匹の頭を優しく撫でてやる。とても嬉しそうだ。悪い気は正直している。無垢な時に、不純なことを、無垢なままに身につけさせてしまったことに対しては。将来忘れたい記憶にでもなったら、遠慮無く俺のことを殺してくれたっていいからな……もう死んでるだろとか、そういうツッコミはいいから。

  ぐったりと木の幹にもたれかかりながら、この後のことを考え始める。まずは、体を洗い流そう。で、食器をキャンプへ持ち帰らないと。帰りが遅くなった理由? そりゃ、途中邪魔に遭遇したからに決まってるだろ、うん、まったく嘘はついてないな? あ、だけどあいつらはもうキャンプに戻ってるだろうか?……最低でもオンバーンはプテラにフェラしてもらってるはずだが、まさか勢い余ってまた余計に盛ったりしてないだろうな?……体を洗うところで鉢合わせたら最悪だ。

  そうだ、問題はあの二匹なのだ。次いちゃついてる姿を見たらもうただじゃおかねえ。なんだか大切な何かを失ってしまったからには、もう俺はこの欲望には忠実になってやる。次ここでキャンプする時には覚悟してケツの穴でもほじっとけ。くそっ、くそっ。

  ああっ! 月が綺麗だなあっ!!