二メートルを超す大男がレスリングパンツ一枚を穿いてシャワー室へと向かっていた。疲れ切っているのか肩を落とし、目にかかる前髪から汗が滴る。
百五十キロの巨体から汗が滝のように流れ、打ちっぱなしのフロアを濡らす、通りすがる仲間の心配する声に軽く返事をして、シャワー室の前でヨタヨタのレスリングパンツを脱ぐ。
股間でゆれるふてぶてしいチンポも、疲れ切ってどこか萎びている。
「んぁぁー」
冷たいシャワーを全身に浴び、男は気持ち良さそうに声を上げる。その声は獣のように低く周囲に響いた。
プロレス団体センゴク。
彼はそこに所属する新人、矢津田ミヅチ。憧れのプロレスラーになれた彼は、見上げるような体格をいかしヒールレスラーとしての道を歩み始めたばかりだ。
「苦労してんなぁ」
隣のシャワー室から、矢津田の先輩レスラーの野村タイガが声をかけてきた。
野村はベビーフェイスとして団体の収益を担う若手である。盛り上がった二の腕、美しく割れた腹筋、アイドルのように整った顔。テレビ番組にも出演し、女性ファンも多い。
「会長もさ、お前みたいな優しい奴にヒールやらせるなんて無茶だぜ」
「いえ、俺が上手くできないだけで。会長は悪くないっす」
「ほら、そういう所が優しいって言ってんの」
「うっす、すんません」
「別に謝ることじゃねえよ。この業界、優しい奴の方が人気でるからなぁ」
隣室のシャワーの音が止まり、カーテンレールが開かれて、野村の足音が遠のいていく。
矢津田は悩んでいた。憧れのプロレスラーになれたは良いが、どうしても相手を殴ったり投げ飛ばすことに躊躇してしまう。
元々、身体がデカい割に小心者で臆病な男だった。小学生の時、犬に吠えられた時なんかは自分よりも小さい女の子の背中に隠れたりしていた。
だが、中学や高校になるとその図体のデカさで悪い先輩に目をつけられ、彼の身体には生傷が絶えなくなった。
そんな境遇でも彼が優しい男に育ったのは、生来の性質や周りの優しさ、そしてプロレスへの憧れもあったのだろう。
自分のように大きな男たちが、勇ましく果敢に戦い合い。そして最後は互いをたたえ合う。
そんな姿に彼は惹かれたのだ。
高校を卒業し、しばらくは土木関係の仕事で働いていたが、ふとテレビで映っていた野村タイガを目にしたのがきっかけでプロレス団体に書類を送っていた。野村の闘いぶりに矢津田の心が燃えたのだ。
無事に入団し、練習生として鍛える内に彼のレスラーとしての才能はみるみる花開いていく。憧れの野村にも褒められ、彼の人生に春が訪れたかに見えた。
「ヒールかぁ、どうしたらいいんかなあ」
シャワーを終えてぼんやりと鏡を見つめる。シャワー室には誰も残っていない。みな酒でも飲みに街にでも行ったのだろう。
「やっぱ刺青でも入れたほうがいいのかなあ」
腕を軽く曲げ力を込める。盛り上がった筋肉の束が濃い陰影を落とす。それだけでも充分に迫力があるのだが、本人はため息をつくばかりだ。
ヒールレスラーとしてのデビュー戦では、ベビーフェイスの野村と闘うことになっている。
下働きでリング下にいた矢津田が試合中の野村を強襲。下剋上と叫びながら、野村のベルトを強奪して去っていく。そういう筋書きだ。
もちろん、既にベルトを奪った後の野村と矢津田の試合は組んである。
ベルトをかけたガチンコ勝負だ。それは野村からの強い要望でもあった。
「はぁ、できるかなあ」
新人の矢津田に突然巡ってきたビッグイベントである。新人のデビュー戦では破格のことだ。裏を返せば、団体はそれほど矢津田の才能と恵まれた体格を買っていたのだ。
しかし、そのプレッシャーに矢津田の小さな心は押しつぶされそうだった。
ジャージを着込みショルダーバッグを背負い、戸締まりを確認して事務所に鍵をかける。矢津田は練習で最後まで残っているので、特別に鍵を渡されていた。
「下剋上かあ」
暗い道をとぼとぼと歩きながら、矢津田は呟いていた。
下剋上とは地位が下の者が上の者に代わって実権を奪うことである。団体名の元になっている戦国時代では世の常であった。
今度の試合も会長のプロレス戦国時代構想の一つだとかなんだとか。矢津田も説明を受けたがあまりピンと来なかった。
しかし、仕えていた主君を裏切ってその家来が国を支配するという、黒く重い感情だけは感じることができた。
「うーん、野村さんにはお世話になってるのにそんな事できないや」
大きな手で頭をポリポリかきながら、深いため息をついてしまう。彼の今までの人生で誰かを裏切ったりするなど考えられず、ましてや国を支配するなど考えたこともない。
だが真面目な彼は会長の命じた役になり切ろうと必死に考えていた。
そんな彼の視界にふと怪しい店の明かりが入り込んだ。どうやら悩みすぎていつもの帰り道から外れてしまったらしい。
その店は骨董品を扱っているようで、店の前には鎧兜に甲冑、古い傘から梯子に暖簾。銅製の風鈴には打ち玉が無く風が吹いても音もなく揺れるだけである。
ぼろぼろの空き家のように見えるが、大きな提灯には明かりが灯り、達筆な字で「古美術よろず商い」と書かれていた。
その怪しい灯りに誘われるように、矢津田は店の中に入ってしまう。
「うわ・・・」
店内は色を失ってしまったように、セピア色に染まっていた。古本、古布、絵画、水墨画、棚にひしめく巻物、錆びて周り続ける機械、タイプライター。
その色褪せて古ぼけた美術品たちの隙間を縫うように、明かりのために立てられた無数のロウソクたち。
オレンジ色に揺れる光と影はよりいっそう店内から色を奪っていた。
「いらっしゃい」
店の奥、番台のような場所に老婆が座っていた。
老婆は矢津田に手招きし無言で彼を呼ぶ。
矢津田はそれに誘われるようにその巨大を老婆の元へと運ぶ。そうしてまるで自らの意思ではないように手のひらを広げて老婆へと差し出した。
老婆はその手のひらに、油に濡れた六文銭をポトリと落とす。
「それはな、家臣でありながら主君を裏切り、その国を奪った悪党の持っていたもんだ。今のあんたにぴったりさ」
そう言って、老婆は冷たく細い手で矢津田の指を折り曲げ、その手のひらに六文銭を握らせた。
冷たく暗い何かが矢津田の手から巨体へと伝わる。ドス黒い油のようにまとわりつきながら、やがて頭まで侵食して墨汁を垂らしたように視界が歪んでいく。
暗くなる視界の奥底で大きな蛇が矢津田を見ていた。
「あれっ!?」
気がつくと、彼はアパートの自室に居た。いつのまにか戻っていたらしい。
何故か全身が汗まみれでべとべとしている。着ていたものもぐっしょりと濡れて、異臭を放ち始めている。
「んー、なんでだ? とりあえず、シャワーでも浴びるかあ」
彼はユニットバスへと向かい、濡れたジャージとパンツを脱ぎ捨て、汗だくの巨体を露わにする。
その太い首には細紐が通された六文銭がかけられているのだが、彼はそのことを気にもしていない。そのまま、シャワーの冷水を浴び始める。
「ふー・・・」
冷たい水が短く刈り込んだ髪を通り抜け、顔を濡らし、太い首を冷やすと胸元の六文銭へとたどり着く。
六文銭の小さな穴を水が通り抜けると、その水は黒く濁り油のようにベトつき始める。
矢津田はそれに気づいていない。目を閉じて頭にかかる冷水の気持ちよさを感じている。
次々に水が六文銭を通り抜けると、油はその量を増して、矢津田の巨躯を多い始める。
盛り上がった胸は黒く染まり、丸々とした腹も黒い油に覆われていく。
やがて、その油は矢津田の股間へとたどり着くと、その太竿の根元から侵食していく。
「んっ? な、なんだこりゃあ!?」
その刺激に矢津田も気づいた。己の身体を覆う黒い油に。
「うわわっ」
慌てて水で洗い流そうとするか、それは全く落ちない。それどころか六文銭に水が注がれて油の量が増してゆく。
それはチンポを覆い尽くし、彼の太い腕や丸太のような脚も黒く侵食されていく。
「あれ? 動けない?」
黒く侵食された手足が思うように動かせなくなった。彼は胸の六文銭に水を与え続ける形で固まってしまう。油はとめどなく流れ、ユニットバスの排水口を塞ぎ、泥池ように溜まり始める。
「くそおおお!」
矢津田は雄叫びを上げて四肢に力を込め。その巨躯を動かし始めた。その力は普段の練習では抑えられていた、彼自身の真の力である。
ぎりぎりと弓を引き絞るような緩慢さで、シャワーから手を離し、脚を上げて、ユニットバスから抜け出そうとする。
(何という、力じゃ。これぞ天下取りの器よ)
その姿を喜ぶような声が、矢津田の頭に響いた。黒い油は太い首を上り、その一筋が彼の耳穴へと入り込んでいた。
(ワシの知と主の力で、国を奪わぬか?)
黒い油は矢津田に囁く。しかし、彼はこの出来事に必死で耳元の声など気にしていない。
(やれやれ、仕方ない。ワシ自身がお主となるか)
黒い油は鼓膜を侵食し、さらに奥へ・・・彼の脳へと進んでいく。耳小骨がインクを吸うように黒く染まっていき、やがて渦を巻く蝸牛も油に濡れ、聴神経を犯していく。
「あ゛っ!」
神経から脳へと黒い油がたどり着いた。祝砲のように声を上げ、矢津田の巨体は動かなくなる。
いま、黒い油の主人がその意識を彼の脳と溶け合いさせ始めたのだ。
(ふぅむ、何という善人よ。この怪力が勿体ない。まずはその軟弱な心を染めてやろう)
「ああぁっ!」
矢津田の優しさという感情が黒く黒く塗りつぶされていく。そこには何もなかったかのように、黒い油が漆黒に変えていく。
(さぁワシとひとつになろう。撃ち破り支配し天下を手に入れるのだ)
「アガガガガ」
黒い油が矢津田の全身を覆っていく。
筋肉が浮かぶ広い背中も、引き締まった尻穴の中も。
内臓にいたる全てが黒に侵食される。
「オオオオオオオ」
雄叫びを上げて矢津田は自らの怒張をすき始めた。一つになり始めた影響か、それとも矢津田が男好きだったからかはわからない。
セックスにも似た二人の融合は、彼らの性的興奮となって自慰行為を止めることができない。
「オアアア!」
ブジュブジュと黒い泡を立て手淫をしている矢津田の頭も完全に黒い油に包まれた。
最早巨大な影法師に成り果てた矢津田の額にさらに変化が起こる。
ボコリとその眉根の間が浮き上がると、そこからズルズルと鋭い角が生えてきたのだ。
太く大きな一本角。それは矢津田が鬼へと変わった証であった。
「ぬうぅぅぅん!」
低く唸り声を上げて矢津田はその巨砲から黒い油を吹き出した。ユニットバスに飛び散り辺りを黒く汚染する。
「コレがワシの顔か」
備え付けられた鏡を見つめていた。そこには柔和で優しさが滲んでいた矢津田の面影はどこにもない。
鋭い眼差し、強欲そうな鷲鼻、歪んだ太い唇。
「ふんっ、この髪はいらんな」
そう言って、矢津田はカミソリを手にすると油まみれの髪の毛を剃り落としていく。
ジョリジョリと矢津田の名残が床に落ち、黒い油に呑まれていく。
「コレで良かろう」
黒い鬼が笑う。
スキンヘッドに一本角。その巨躯を黒い油に包み込み、その一物は常に怒張している。
「フハハ、さぁワシの天下取りの始まりじゃ」
死者の欲望が肉体を得て生まれ落ちた魔の物、黒鬼の誕生であった。
「いてて、今日の矢津田はすげえ迫力だったな。スキンヘッドにしたからか?」
野村は矢津田との練習を終えてシャワーを浴びていた。既に夜遅く、他の人間は夜の街に繰り出し、珍しく矢津田も早々にジャージに着替えるとどこかに消えてしまった。
一人であっても野村はいつものように居残りトレーニングを行い、汗で汚れた筋肉を冷たい水で洗い流す。
「まあ、会長も喜んでたけどよ・・・。なんからしくねえよな」
スパーリング時、矢津田の鬼気迫る表情が頭に浮かぶ。元々の体格の良さもあり並のレスラーでは軽々とあしらわれていたが、今日は違った。
まるで力を楽しむように腕を振り相手を投げた。思わず野村が止めに入り、代わりの練習相手になってやったくらいだ。
「はぁ、俺のアドバイスを変に受け取っちまったかな」
昨夜のシャワー室、野村が矢津田にかけた「優しい奴の方が人気がでる」というのは、たとえヒールレスラーであろうと、その根底に優しさがなければ人気は出ないのだ。
優しいは魅力である。
滲み出る優しさはファンを引きつけるのだ。
「俺は優しいアイツが良かったんだがなぁ」
野村は俯きながらそう呟いた。
声はシャワーの音に流されて、無人のシャワー室に消えていく。
「優しさだけじゃ天下は取れんぞ」
音もなく黒い腕に抱きすくめられた。
いつのまにか矢津田が、黒き鬼が、野村の背後に立ち。その巨体で抱きついてきたのだ。
「や、矢津田? お前なのか?」
身体ごと振り向こうとするが、その腕の拘束は強く首だけしか振り向けない。
その不自由な視界に、真っ黒な異形が映り込むとそれは笑みを浮かべる。
「天下を取るには兵が必要でな。お前は強き兵になりそうじゃ」
「んあっ」
黒鬼は野村の口を自らの口で塞ぎ、黒い油を流し込む。とろとろと流れ落ちる黒い油、それは鍛えられた肉体を内側から犯していく。
十分に油を流し込むと、野村から身体を離し苦しむさまをじっと見守る。
「や、矢津田・・・おま、どう・・・」
「ほう、ワシの油をたらふく食わせてもまだ意思が残っているのか。ますます気に入ったぞ」
吐き出される黒い油。それは水に流されてシャワー室に広がっていく。
無機質なタイル壁、スリップ防止のゴム床。それらがじわじわと黒に侵食され汚れていく。
黒い油は建物そのものにも作用して、そこを異界へと変えていく。
やがてシャワー室すべてが黒に染まった。
真っ黒な世界にただ一人、野村の逞しい褐色の筋肉だけが浮かびあがっている。
「貴様にはワシ特性の油を注いでやろう」
野村の髪の毛を掴み上げ、真っ暗な床に引き倒す。仰向けになったその逞しい肉体の上に、黒鬼の巨体が覆いかぶさる。
「んっ、あぁっ」
油に濡れた巨大な手が、野村の身体をまさぐる。胸をもみ、割れた腹筋をなぞり、その男根と陰嚢を弄ぶ。
ヌメつく油が肌をつたわりその感度が増していく。その快感は野村がこれまでに行った性交よりも勝っていた。
声を出してはなるまいと何とか耐えようとするが、どうしても声が漏れてしまう。
「恥ではないぞ。ワシにかかればどんな武将も簡単に落ちてしまうからのお」
太い指先が野村の四肢をいやらしく揉む。普段ならば何とも感じない腕や太ももを撫でられただけで、極上の快楽が野村を襲う。既に男根は固くなり、雄々しく上を向いて快楽に打ち震えていた。
沢山の女たちに喜びを与えてきたその男根を、黒鬼は頬張るようにしゃぶっていく。口から男根へ黒い油が直接注がれ、野村の股間は真っ黒になってしまう。
「お主にはワシの油を生産をしてもらおうか」
じゅぶりと黒鬼の右手が野村の股間に潜り込んだ。そこはまるで粘土のように柔らかく、黒鬼がこねると形が変わっていく。
「あっぁぁぁぁ・・・」
野村の端正な顔が快楽で醜くゆがむ。そこには面倒見の良いイケメン先輩レスラーの面影はなく、ただ股間をこねられる快感に身を任せる低能な男にしか見えない。
そんな顔にふさわしい股間へと、野村の男根と陰嚢が変わっていく。
人並みの大きさだった陰嚢が、まるで水風船にでもなったかのように大きく膨らみ垂れていく。
皮の剥けた上反りの男根は増々巨大化し、馬を思わせるほどに長く太くなった。
「よしよし、あとは身体じゃ」
黒鬼は野村の両脚を大きく開くと、その尻穴へ黒く太い金棒のような男根をズブリズブリと挿入していく。
油にまみれた巨大な男根は、泥に埋まっていくかのように野村の中へ進んでいく。
「あ゛ああっあがががががっ」
全身を凄まじい快感が貫き、白目をむいてよがる野村。黒鬼の男根によって彼の腹筋はぽっこりと膨れ、その形がわかるほど肌が浮き上がる。
「おうおう、ワシも気持ち良いぞ」
黒鬼はズボズボと音を立て金棒のような男根を前後に動かし、野村の中をかき混ぜていく。
最初に腹の中に入れられた黒い油と混ざり合い、その侵食は加速してやがて先ほど変えられた股間のように、黒い粘土へと変わっていった。
打ち付けられるたびに野村の肌が黒に染まっていく。
「染まって来たな。さぁワシ特製の油じゃたっぷり受け取れ」
金棒のような男根が野村の中で跳ねると、真っ黒な油が鈴口からあふれ出し注がれていく。
それは油よりもねばつき、ゴムよりも伸びた。年経た樹木から流れ落ちる樹脂のように、ねっとりとべとつく脂の塊。暗い欲望と怨念が凝り固まって怒りによって溶けだしたように、黒くネバついていた。
「アアァァァァァ!」
野村の逞しい肉体は真っ黒な油に染まっていた。その額から一本の角がメキメキと生え始めると、その身体が膨らんでいく。
六つに割れた腹筋は満月のように丸くなり。筋肉に覆われた四肢はたっぷりとした脂肪に覆われていく。
「ワシの油を作るには、もっと栄養を蓄えられるようにならんとな」
イケメンレスラーの体格が、タンクのように丸々と肥えていく。その顔にも脂肪が付き、端正な面が醜悪にゆがむ。
「ぐ、ぐふっ」
野村の角が完全に生えると彼は顔を歪めて笑い、己の丸くなった手で馬のような男根をこすりはじめた。
「ぐひぃぃぃ!」
豚のように雄たけびを上げ、彼は先端から黒い油をまき散らした。それはとめどなく流れ続け、真っ黒な異界となったシャワー室を更に黒く濃く染めていく。
黒鬼のために働く兵が誕生した瞬間であった。
「よしよし、お前はその油を使ってワシのための兵を作り続けるのじゃ。よいな?」
返事の代わりに、野村は黒い油を射精した。黒鬼の兵になった彼はもはや二度と自らのために精を吐き出すことはできない。ただ、主のために黒い油を男根から射精し続けるのだ。
「さて、ワシの身体はまだ満足しておらん。今宵はお前に夜伽をしてもらおうか」
黒鬼は再び腰を動かし始める。先ほどよりも強く大きなストロークに、野村は醜い身体を揺らして雄たけび上げた。
彼らの性交は朝まで続き、事務所を完全に黒い油で侵食してしまった。図らずも黒鬼たちは、その天下取りの起点ともなるべき城であり、兵を増やす乱交場を手に入れたのであった。
その儚げな青年は興奮した表情でチケットを握りしめてオフィス街を歩いていた。
青年の名前は佐藤ゲン。高校一年生だ。
彼は運良く新進気鋭のプロレス団体センゴクのファン限定試合チケットが当たったのだ。
「矢津田選手のサイン貰えるかな・・・」
突然現れた下剋上を狙う新人ヒールレスラー矢津田。真っ黒なレスリングパンツに鬼を模したマスクをかぶり、人気ベビーフェイスの野村選手に勝ってしまった。その試合直後、矢津田は他団体に挑戦状を送り付けると次々と他団体の試合に乱入しては、暴れまわっていく。
その獣のような暴れぶりと、鬼のような巨体に青年は引き付けられていた。
元々他団体のファンだったのだが、彼がその団体の試合を見に行った時、ちょうど矢津田選手の襲撃があった。
青年は強さに憧れていた。自身の身体が弱く、運動が苦手だったこともあるが、リングの上で躍動する大きな男たちの姿に感動したのだ。
そんな憧れの男たちを、嵐のように蹂躙し暴れまわり、そして倒していく。青年にとっては偉大な神のように思えた。
試合会場は高層ビルが並び立つのオフィス街の一角。休日のオフィス街は昼間でも人気が少なく、本当にこんな所でプロレスの試合があるのか怪しいものだったが、チケット購入者だけに連絡された試合会場は確かにその住所であった。
センゴクの試合チケットはプレ値が付いていて、それをめぐっての殴り合いも試合場所であったらしい。
今回のファン限定試合もそれを考慮した団体側の配慮で、試合会場自体の場所をわかりづらくしているのかもしれない。
「ここかな・・・?」
真新しい鏡張りのオフィスビル。光が降り注ぐエレベーターホールの入り口には体格の良い警備員が一人立っている。鬼のような形相で佐藤を睨むと「チケットを拝見」と声をかけてきた。
佐藤は慌てて試合チケットを渡すと、ごつい手がそれを破り半券を返した。
「試合会場は地下です」
警備員はエレベーターを指し示すと、青年には興味がなくなったように顔を正面に向けた。
無機質なその対応に青年は気圧されながら、エレベーターへとそそくさと向かう。
「本当に試合あるのかな・・・」
エレベーターで下に降りながら佐藤は不安な気持であった。いくらファン限定とはいえ、観客の誰にもすれ違わない。それにあの恐ろしい形相の警備員。言葉や態度はまるで機械のように冷徹であったが、佐藤は気づいてしまっていた。
「あの人・・・勃起してたよね・・・?」
警備員は明らかに勃起していたのだ。警備服のズボンを突き上げるように、ビール缶ほどのふくらみが確かに浮き出ていた。
青年は男の身体に興味があった。だからこそその股間のふくらみに気づいたのであるが、布越しとはいえ初めてみた他人の勃起にドキドキしながらも、この異常な状況に不安になっていた。
ほどなくして、エレベーターは地下に到着し、鉄の扉が音もなく開いた。
「うわっ」
そこは黒に染められていた。
試合会場の演出なのか、足元にブラックライトが置かれているだけで、視界の殆どが薄暗い。しかし、たくさんの人影がその中で蠢いている。
「試合前の握手会はあちらですよ」
耳元で黒い背広に身を包んだ男が囁いた。会場のスタッフだろうか、この男もまた立派な体格である。
彼が指し示す方向には、ブラックライトに照らされて怪しく光る矢津田選手と野村選手の二人がいた。
彼らはファン達に囲まれて、握手を交わし合い。笑顔でサインを書いている。
「うわぁ、本物だ・・・」
青年は急ぎ足でその場へと向かう。しかし、ふと違和感に気づいた。見上げるような巨体の矢津田選手。引き締まった筋肉の野村選手。そして周りを取り囲むファン達。その場の空気、――熱量がただの握手会を超えているように感じられたのだ。
不審に思いその人だかりの手前で足を止めるが、後ろからきたファンに押されて、佐藤はその輪に入ってしまった。
「えっ」
人ごみに入ったことで、佐藤はその異常な熱の正体に気が付いた。ファン達の瞳はギラつき、その股間は勃起していたのだ。
「おうおう、そんなにがっつくな」
矢津田選手の声の方を見ると、ファン達はみな選手の逞しい肉体に直接触れていた。肩や胸などまだ良い方で、その手をレスリングパンツの上の膨らみや、尻の谷間をまさぐるように触っていたのだ。
「なんだ、俺に触って欲しいのか」
野村選手はとある太ったファンの股間をズボン越しに撫でると、その身を屈めて端正な顔を腹の下に埋めて臭いを嗅いだ。太ったファンは興奮して野村選手の頭を押さえて腰を動かし、しばらくすると短く声を上げて、人ごみから離れていく。そのズボンは暗闇で良く見えなかったが確かに濡れていた。
「な、なにこれ・・・」
佐藤青年はその異常さに怯え、逃げ出すことしか頭にない。握手もサインも欲しくはなかった。憧れの選手がただただ異質で恐ろしかった。
しかし、後ろから押してくるファン達によって青年は逃げ出すことができない。
それどころか、まるで生贄のように矢津田選手の前に押し出されてしまった。
「お、新しい兵か? ちょうど良い、そろそろワシの直属の部隊が欲しかった頃よ」
矢津田選手は大きな手で、佐藤の細腕を掴むと掲げるように抱き上げた。
極上の獲物を捕らえた猟師たちのようにファン達が歓声を上げる。
地に響くような歓声とともに、彼らは身体から黒い油を出し始めた。
佐藤青年から見れば、まるで視界が黒く塗りつぶされていくように見えただろう。
その黒の中で、ファン達の額から一本の角が生え、ブラックライトの青白い光を照り返す。
野村選手も醜く肥えた黒鬼に変わり、その馬のような陰茎から黒い油を垂れ流して床を汚していく。
「お前は前から、ワシは後ろをやる」
矢津田選手も既に黒鬼へと変わっていた。棍棒のような剛直を奮い立たせ、その竿には太い血管がいくつも走っている。
黒鬼は佐藤を宙に浮かせたままうつぶせにして、その未成熟の小さな尻穴を先端に当てる。
「い、いやぁっ!」
佐藤の叫びは野村の馬チンポで塞がれてしまった。黒い油が喉の奥へ、いやチンポは喉を越えて胃にまで届き、直接胃の腑に黒い油を注ぎ込む。
「んんっ!」
矢津田も負けじと、その尻穴へと金棒のようなチンポを挿入する。佐藤の身に着けていたズボンやパンツは、黒い油にあっという間に溶かされて、その固い肉穴を棍棒がメリメリと押し開いて中に入っていく。
「おおっ、良く締まる」
「ぐひぃ!」
矢津田と野村は腰を動かして、青年を前後から犯し始めた。佐藤青年は白目をむいて、前後から襲う快感に小さなチンポから精を噴き出す。
黒い油は華奢な身体を凄まじい速度で侵食し、彼をチンポ中毒に変えてしまった。今の彼は身体が壊れてしまいそうな痛みも苦しみも、チンポがあれば何でも快感に変わってしまう。
その様子を見て、周りのファン達も興奮し、自らの一物を擦り、周りの者と盛り始める。
気が付けば、黒い背広のスタッフも、入り口にいた警備員も、その宴に混ざり黒い油を飛ばしている。
「いくぞぉ、ワシの特製じゃ」
「ぶふぅぅぅっっ!」
矢津田と野村が同時に叫んだ。二人の巨大な一物から特別製の黒い油が佐藤の華奢な身体に注ぎ込まれる。
爪楊枝のような細い四肢はあっという間に真っ黒に染まり、痩せぎすな腹も、あばらの浮いた胸も、真っ黒に変わっていく。
その全身が小さなチンポまで漆黒に染まると、額から一本の角が生えた。
「んんんんんぁぁぁ!」
佐藤はチンポを咥えながら叫ぶと、大きくうねるように跳ねた。
身体がうねるように跳ねるたび、その骨格がバキバキと音を立てて巨大化していき、長くなった四肢は床に触れ、巨大な胴体は前後から差し込まれていた二本のチンポを余裕で納められるほど、巨大化する。
そして次に筋肉であった。全身を覆う細く薄い肉の筋が、瞬く間に太く大きくなっていく。それはまるで樹木の成長を早回しで見ているようであった。
幼い若木が樹齢千年を超える大木へと育っていくように、分厚く大きな巨漢へと変わっていく。
その大きさは矢津田を越え、巨人と言っていい程のものだった。
そしてさらにその股間である。
その股間はもはや化け物じみていた。小太りの男がぶら下がっているような巨根と巨玉。それはまだ萎えていたが、血が通えばいったいどれほどの大きさになるのか・・・想像がつかない。
「なかなか強そうな兵ができた」
矢津田はその出来栄えに満足すると、手を払い顎で奥のドアを指し示した。
黒鬼たちはそれだけで主人の命令を理解すると、生まれ変わった佐藤青年の身体を担ぎ上げて、奥の扉へと連れていく。
扉を抜けたその先は、プロレスリングになっていた。観客席には黒鬼たちがチンポを勃起させて、試合の始まりを待っている。
「今夜は、その鬼とワシとの対戦じゃ。皆の者、大いに楽しむが良い」
会場中に黒い油が飛び散る。ブラックライトの照明が消え、真っ黒な闇の中で黒鬼たちの試合が始まる。
あれから数日、佐藤は苛ついていた。
主君である矢津田から「強者を兵にしてこい」と命令を受けたのだが、ふさわしい強者が見つからなかったのだ。
それに己の中の溢れる性欲を満足に消化できていないのも原因の一つでもあった。
黒鬼たちは普段は元の人間の姿だが、性欲を発散させる――つまり黒い油を男根から射精する際には黒鬼化しなくてはいけない。しかし、規格外の巨大な黒鬼に変わる佐藤の相手をできるものが中々居ないのだ。
唯一満足できるのは、矢津田と野村くらいであるがあの二人は天下取りのために忙しく、学生である佐藤の相手をしている余裕がない。佐藤は仕方なく。普通の黒鬼たち相手に性欲をぶつけているが、弱々しい彼らでは満足できない。
強者も見つからず、性欲も発散できない。イライラしながら彼は地元の繁華街をぶらついていた。
「ん、あれは・・・?」
少し離れた所に、太った男が歩いていた。丸々と太ったその男から、佐藤は異質なモノを感じ取った。
悪臭と言ったらいいのだろうか。腐臭とも汗とも違う、この世の者には感じられない臭いである。現に周りの者たちはその男の事など気にせずに、男のそばを通り抜けていく。
佐藤はその男が気になったので、あとをつけてみることにした。ついでに人気のない所で兵にでも変えてやろうとも思っていた。
そんな気楽な気持ちも、とある建物の前で吹き飛んだ。
「なんだこれ・・・」
そこは相撲部屋だった。沢山の力士たちが、同じように太った親方の指導を受けている。その建物全体、そこにいる力士全てが悪臭を漂わせている。その建物に、先ほど見た男も入っていった。どうやら、買い出し役の見習いだったらしい。
しかし、佐藤は覚えていた。ここにはボクシングジムがあったはずである。
このように立派な相撲部屋など、この街にはなかったはずだ。
「では、失礼します。皆さんでお食べください」
「市長、いつもありがとうございます」
「いえいえ、この部屋は我が市の誇りですよ。これからも頑張ってください」
「はい、ありがとうございます。田貫山、お前も礼をいわんかい」
「うっす、ごっつぁんです」
顔を見たことのあるこの街の市長が、親方と力士に挨拶をして出てくるところだった。どうやら昔からこの街にある相撲部屋の様だが、佐藤は昔からこんな建物があったなど知らなかった。
あの親方と田貫山と呼ばれた力士の顔を佐藤はじっと見つめた。特に濃い悪臭が漂っている二人の顔をどこかで見た覚えがあるのだ。
「あの人・・・遠藤先輩じゃないか・・・?」
遠藤先輩はここにあったボクシングジムに通っていた目つきの鋭い先輩だ。その先輩をありえないほど太らせて顔に肉を付けたら、あの田貫山と呼ばれた力士のような見た目になるかもしれない。その隣に立っている親方も、厳しく先輩を指導していたボクシングジムの会長を太らせればあのような太った男になる気がする。
「ふーん、面白そうだ」
佐藤は笑みを浮かべて夜を待った。
すべてを黒く塗りつぶす夜、兵を増やすには絶好の時である。
「ふぅふぅ、まさか部屋の風呂が壊れるなんて」
贅肉で膨れた巨大な身体を左右に揺らし、田貫山こと遠藤リュウタは、銭湯から相撲部屋への帰り道を一人で歩いていた。
同部屋の力士達よりも人一倍太っている遠藤は脱ぐのも着るのも時間がかかる。それに風呂から出た後はしばらく涼んでいないと汗が滝のように流れて、服が汗だらけになってしまう。
そんな彼のために同部屋の仲間を待たせることはできないと、彼らを先に帰して己は火照りを十分に冷まして、帰路に着いたのだ。
あたりは既に夜遅く人通りも無い。ふぅふぅと荒く息を吐いて歩く遠藤だけである。
「こんばんは、遠藤先輩」
人気のない道路で彼の名を呼ぶ声がした。
遠藤がその脂肪で丸々とした巨体をひねり、後ろを振り向くと、街灯の下にほっそりとした人影が立っている。
「誰だ?」
その影は佐藤であった。
遠藤を野外に誘い出すために風呂の給水機に黒い油を詰まらせ、力士達が銭湯に行くように仕向けたのだ。
「僕、先輩と同じ高校で・・・あのサインもらってもいいですか?」
穏やかだがどこか暗い影のある佐藤に遠藤は警戒していた。それは既に大妖に出会い、その呪をその身に受けてしまっていたためかもしれない。
期待の新人相撲取り田貫山こと、遠藤リュウタは、元々プロボクサーであった。現在、相撲部屋になっている建物も、元々はボクシングジムであり、そこの会長はいまの親方であった。
ボクシングジムに通っていた者はみな、妖怪狸の呪によって、スマートなボクサーから太った狸力士に変わってしまった。それは現実すら改変して、呪に耐性のない人間たちは、元から彼らは力士であるという事になってしまった。
事態に気づいた大神一族が何とか解呪を行ったが、それは完全ではなく。狸から人には戻せたが、力士という改変を戻すことまではできていない。
なので遠藤をはじめとしたボクサー達は、いまだ力士として生活を続けていた。
「あー、俺みたいなデブのサインでいいのか?」
本人達も改変の影響で自分達は力士だと思っている。ルールは違えど同じ格闘技なのだ。当初改変の影響で戸惑いがあったが、今ではすっかり慣れて、情熱を持って日々稽古に打ち込んでいる。
「はい、強い人に憧れてて」
その雰囲気に警戒しながらも、後輩と言われればサインくらいはと思ってしまう。しかも、若いのに自分を強い人なんて言ってくれるのだ。相撲をよく知らない同年代はみな遠藤をただの有名なデブとしか扱わない。
憧れてるなんて言われたら、良い気になってしまうのも仕方ない。
「へへっ、仕方ねえな。紙とペンあるのか?」
照れながら佐藤に歩み寄る。
その巨体が遠藤の細腕の届く距離に近づく。
「なっ!?」
それは一瞬だった。
佐藤の身体から大量の黒い油が湧き出すと、遠藤の巨体を一瞬で包み込んでしまった。それは卵のように形を変え、道路を塞ぐほどに膨れ上がる。
「さっさとやらなきゃ」
佐藤の身体がバキバキと音を立てて巨大化していく。二階建ての家に頭が届くほど伸び、筋肉が大木のように肥大化する。
頭から一本の角が生えると、住宅地の真ん中で、巨大な黒鬼が立ち上がる。
目の前は巨大な黒い卵。それに手を伸ばし、爪先で割ってやる。
音もなく二つに割れ、中からは黒い油に染まった丸々と大きく太った狸の力士が現れた。
黒い油の妖力に刺激され、眠っていた狸の呪いが活性化したのだ。
「なんだぁ? 狸になっちまった。だがまぁ、尻はデカそうだ」
佐藤は黒い水風船のような狸の力士をその剛腕で持ち上げる。粘性の高い油がヌッとりと糸を引いて音もなく道路に落ちていく。
「へへっ壊れるなよ」
そう言って、佐藤は巨大化した股間にぶら下がる俵のようなチンポを狸の柔らかく滑った肉に擦り付け始める。
その心地の良い感触に佐藤の剛直はビキビキと雄々しく立ち上がり、樹齢を重ねた大木のようにそそり立つ。
「はぁぁぁ」
深く息を吐いて、佐藤は巨大な肉柱を同じように巨大な遠藤の尻に埋めていく。
「あっあぁぁっ」
いままで呆然としていた遠藤が声を上げた。尻穴に入り込んでくるチンポの感触が、彼が狸力士となって淫らに男根を咥え込んできた事を思い出したのだ。
たちまち彼はその快楽と活性化した狸の呪いに呑まれていく。
「あぁん、チンポぉ。チンポもっとぉ」
目の前の巨体な黒鬼を抱きしめて、自らその巨根に貫かれようと脂肪を揺らす。
「くぅっ、こいつっ」
いままで先端しか入らなかった黒鬼の巨根がズブズブと狸力士の中に入っていく。
「あぁん、最高やぁ」
狸は喜びの声を上げて、その身に巨根を受け入れていく。
腹を突き破るほど巨大な男根を、狸の呪いの力を使い自らの身体を変化させる事で、黒い油まみれの巨体に埋没させていった。
「はぁぁぁ」
「んっ、すごぉぉい」
二人は互いに恍惚に顔を歪めていた。
己の巨大な肉棒が根元まですっぽりと入り込んだ快感と、己の中に今までで一番の巨大なチンポが入っている愉悦。
二人は無意識に口を吸い合い強く抱きしめあった。互いの欲求を満たすベストパートナーを見つけたのだ。
「アッアッアッ」
二人はそのまま腰を動かし始めた。互いに互いの腰を動かし合う、主導権などない、暴れあうような性交である。
それがまた二人にはあっていた。
巨大な肉棒と淫乱な肉穴。二つがぶつかり合って混ざり合う。黒い油を潤滑剤にして二つの妖異は盛りあう。
「はぁぁぁぁ」
先に漏らしたのは遠藤の方であった。子供のようなおチンチンから、スイカのような金玉で作られた白いザーメンを漏らしたのだ。
それは黒い油に混ざり、尻穴へと垂れて、前後に律動する佐藤の極太チンポへと絡みつく。
「くぅぅ」
チンポから締め付けとは異なる、ゾクゾクする快感が湧き上がる。狸力士の漏らした精液からその呪いが黒鬼を侵食し始めたのだ。
手始めに狸の呪いは黒い油に塗れた十分に巨大な玉袋を犯そうと、それを更に膨らませ始めた。
しかし、その中にたっぷり詰まった黒い油はそれを許さない。それどころか狸の呪いを黒い油が飲み込もうとし始めたのだ。
「あっあっあっあっ」
「おぅおぅおぅおぅ」
互いの身体がぶつかり合うたび、呪いと呪いがぶつかり合う。
遠藤は快楽を感じるたびドリルチンポから情けなく白いザーメンを漏らしては、それは佐藤の肉体につたわっていき、狸の呪いを強めていく。
佐藤の鬼の身体から狸のような毛が生え、その筋肉質の身体は次第に肥えていく。
「ぐふぅ、ふむぅ」
顔にも徐々に脂肪が付き、太った毛深い鬼に変わっていく。
性交が長引き遠藤の巨大な玉袋からトロトロと狸の白いザーメンが流れるほど、黒鬼は不利になっていく。
「ぐがあぁぁ!」
「ひぃぃん!」
黒鬼は吠えると狸力士の巨体を道路に叩きつけ、その肉穴を地面ごとえぐるように巨大な肉柱を打ち付け始めたのだ。
「あぁあぁぁっ!!」
遠藤はますます精液をまき散らし、それは佐藤の狸力士化を進めていく。しかし、黒鬼はそんなことなど問題ではなかった。
己の巨大な一物の全てを受け入れ至高の快楽を与えるこの肉壺の中に、己の種を注ぎ込みたい。その一心であった。
「ぐふぅ、ぶふぅぅ!!!」
顔はほとんど狸に変わっていた。黒い角が生えた狸は、鼻息を荒くし口角から唾液を泡のように飛ばして、一心不乱に腰を打ち据える。
「あっあぁっ! いいっ! いいいっ!」
ズコズコと中をかき混ぜる肉柱。圧倒的な雄の力に遠藤は陶酔し、その熱い快楽の奔流に流されていた。ボクシングも相撲もどうでもいい。ただこの強い雄の精を受け止めたい。そんな思いで彼は中をかき混ぜるチンポを締め付ける。
「ぐぁぁぁ! いくぞぉ!」
太く大きく叫び。もはや黒い角の生えた狸人になった佐藤は、その大木のような男根から黒い油を注ぎ込んだ。
「はぁぁぁぁ」
遠藤の中を濃厚な黒い油が満たしていく。その濃さと量は、遠藤の中の侵食されていなかった部分を黒く染め、狸の呪いの核となっていた巨大な金玉袋すら染め上げていく。
「あがががががが」
狸力士の額から黒い角が伸びていく。金玉袋は黒い油に完全に支配され、狸の呪いは真っ黒に塗りつぶされてしまった。
黒鬼が勝ったのだ。
「ぐぶぅ・・・なるほど大神か・・・矢津田様に報告せねば・・・」
黒い油は遠藤の頭の隅々まで犯し、その記憶に封印されていた狸力士になった顛末を黒鬼の佐藤へと伝えたのだ。
その逞しい身体、高い霊力。兵とするにはうってつけである。
巨大な黒い狸鬼は、新たな兵となった太った黒い狸鬼を抱え上げると、黒い闇に溶けていった。
天地鳴動群雄割拠
暗闇の中で鬼が笑う