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アクセル君の場合 第1話

  (ようやく見つけたぞ…!今度こそ尻尾を掴んでやる!)

  オレは人通りの少ない路地に現れた人影に接近する。

  相手はこの数カ月追い続けた事件の被疑者だ。明かりの

  乏しい路地でオレは人影に向かって声を掛けた。

  「お前が一般人やヒーロー失踪について関わっている

  ことは明白だ!話を聞かせてもらおうか!」

  オレの名前はアクセル。この街のヒーローをやっている。

  ちなみにヒーローってのは一般人にはない特殊能力を

  持っているオレ達みたいな獣人がその能力を使って治安を

  維持したり悪人から人々を守ったりする存在のことだ。

  オレが声を掛けた人影は周りを見渡して答える。

  「…えっ?ぼくのこと…?」

  ごく普通の一般男性にしか見えないが見た目で判断しては

  いけない。なにせ失踪した人物全員と接点があるのだから。

  「そうだ!抵抗しなければ危害は加えない。本部の施設で

  話を聞かせてもらうぞ!」

  すると男は苦笑いを浮かべて…。

  「…いや…家を離れられない事情があって、同行は…。

  お話だけなら協力しますので…。」

  一般人だけでなく既にヒーロー二人がこいつに関わって

  失踪しているんだ…なにかしらの特殊能力をこの男が

  持っている可能性がある以上、有事に備えてこちら側の

  拠点へと連れて行く必要がある。

  「こちらにも事情がある!その要求は聞き入れられない!

  同行しないならヒーロー特権で強制的に連行する…!」

  ヒーローには現場での円滑な活動の為にある程度の特権が

  与えられている。あとは拘束して…連れて行くだけだ。

  オレの能力である身体強化を使って背後に回り拘束する。

  「ちょっ!ちょっと!待ってください!困ります!」

  拘束する…はずだった。男はオレの動きを振り払い距離を

  とる。見た目は痩せ型の大人しそうな男だが、一般人の

  身のこなしではない。常人では能力を使ったオレの動きに

  ついてこられるはずがないんだ。この男…間違いない…

  ヴィラン…!ならば手加減は無用だ…!

  「全力をもって拘束する…!」

  しかし、男は想定以上の動きでオレの攻撃を捌き続けた。

  それも一切反撃をしてこない…防御に徹している。相手の

  能力がわからない以上戦闘を長引かせたくないのだが…。

  「…っ!それほどの力がありながら…!どうして

  ヴィランに身を堕としたんだ!」

  「ヴィ…ヴィラン!?ち、違いますよ!断じて!」

  ヴィランとはヒーローと同じく特殊能力を持ち、そして

  その能力を使って人々に不幸をもたらす存在のことだ。

  「行方不明者達を…どこにやった!」

  「ぼ、ぼくは知らないですって!」

  「犯罪者は皆やってないと言うんだ!」

  オレが軽く息を上げているのに男は未だ息を切らしても

  いない…この男の身体能力は規格外だ!どうにかここで

  捕まえておかないと…。だがそんな思いとは裏腹に男に

  対して有効な攻撃を与えることが出来ない。気持ちが

  焦るせいか…普段より体の動きが重い気がする。

  こうなったら獣化してでも…!

  獣化はヒーローの能力の一つで自身の獣性の姿に変化する

  ことが出来る。犬系の獣人であるオレは身体強化の能力と

  獣化を合わせると爆発的な身体能力の向上を得られる。

  必殺技のようなものだ。オレはその能力を行使して男を

  拘束しようと…した…。

  「…~っ!?!」

  だが能力を使おうとした途端、体中の力が抜けオレは

  地面に膝をつくことになった。

  (なぜだ…?からだ…が…ちからが…はいら…ない…。)

  膝立ちの状態も維持出来ずに地面にへたり込んでしまう。

  「あ、あの…大丈夫ですか?」

  男が心配そうに近づいてくる。こんな状態ではまともに

  抵抗出来ない!いつの間にか相手の能力が発動していた

  のか…?いったい…どこで?…くそっ…やられるっ…!

  「…ち、ちかづくな…。」

  「で、でも…具合悪そうですし…。」

  そう言うと男はオレに近付き背中を撫で始めた。

  「こんな時って、どうすればいいですかね?

  救急車…?救急車を呼びましょうか?」

  な、なんなんだこの男は本当に心配しているのか…?

  しかしそれではヒーローでもないのにあの戦闘能力は?

  考えを巡らせるが答えは出ない。そんな時…。

  「…~っ!…う…ぁ…!?」

  身体に電流のようなものが流れる感覚。油断した隙を

  突かれて何かされたかと思ったが男はオレの背中を擦って

  いるだけだ…。いったい…な…ん…~~っ!?

  「…ぁ…ぐ…~っ!な…にを…!?」

  「ど、どうしたんですか!?」

  男に背中を擦られる度に先ほどの電流のようなものが流れ

  オレは無意識に声を上げていた。なんなんだ…こいつに…

  撫でられたところから全身に…拡がるこの感覚は…?!

  「く…ぅ…~っ?!…う…ぁ…や…めっ…~~っ!」

  う、嘘だろ…?こん…な…状況で…!?背中を撫でられる

  度に流れる電流がオレに性的な刺激を与えている事に

  気付き驚愕する。ばか…な…こんなこと…ある訳…。

  (せ…なかっ…!なで…られて…~っ!それ…だけ…

  なの…にっ…!か…らだ…が…かって…に…~っ!?)

  次第に強くなる感覚を耐えることしか出来ない。あまりに

  強い刺激にスーツの上からもはっきりわかるほどにオレの

  股間は反応し硬く勃起ち上がっていた。

  「…ふ…ぅ…あ…っ!ぁ…ぅ…~~っ!」

  「苦しいんですか?やっぱり救急車を…。」

  男は見当違いなことを言っていたが最早それに反応する

  ことはオレには出来なかった。

  「あ…ぐ…っ!う…あ…~~っ!」

  (こん…な…なん…で…?ちか…ら…はい…らな…い…。

  き…もち…よく…て…あ、あたま…が…。)

  「やっ…あっ!…うぅ…あっ…や…ぁ…~~~っ!!」

  オレは許容量を超えた刺激を前に絶頂に達してしまった。

  今まで経験したことのない脳を焼くような快楽が全身を貫き

  その瞬間スーツの中で勃起ち上がった自身から大量の精液が

  溢れ出した。達したはずなのに、その様子を心配した男に

  背中を撫でられ続けて絶頂が終わらない。

  「そ…れっ…!だめっ…だっ!やめ…~っ!~~~っ!」

  「ぼ、ぼく…どうしたら!?大丈夫ですか!?」

  男にはオレの意志が十分伝わっていないようで、無情にも

  背中を撫でる行為はいつまでも行われた。繰り返される

  絶頂は十分に精液を出せなくなっても続けられ…。

  「く…うぅ…~っ?やっ…あっ…あぁ!?…~~~っ!!」

  そして…限界まで出し尽くし、力なく萎えたそれから

  流れ出る生暖かい液体がスーツを濡らしていく。

  「や…あっ…~!?…と…まん…な…~っ!?…ぃ…。」

  力の入らない体ではどんなに頑張っても…漏れ出すそれを

  止めることは出来ず…そして漏らすほどにオレはより強い

  脱力感に襲われて…。

  (…だ…めだ…。ヴィ…ランの…ま…え…なの…に…。)

  オレはそれ以上…意識を保つことが出来なかった。

  [newpage]

  「…ん…ぅ…?」

  あたたかい布団の中でオレは寝返りを打つ。朝はそんなに

  強くないが…ヒーローなんだから…ちゃんとしないと…。

  起きて…街の平和を…ヴィランから…守って…。

  失踪の誘拐犯を捕まえて…師匠を…見つけなきゃ…。

  「ふ…ぅ…あ…。ん…?」

  あくびをしながらなんとか頭を巡らそうとする…。

  ヴィラン…誘拐犯…?…なんだろう?何かがおかしい…。

  オレは…被疑者と接触して…?それから…?

  「んぁ!?オレは…!?ここは…どこだっ?!」

  オレは布団の中から飛び出した。窓からは明るい光が入り

  清潔に保たれた室内。一見すると子供部屋のような印象。

  飛び起きた場所もよく見ればベッドだったらしい。

  それにしても自身が置かれている状況を理解できない。

  そうだ…あのヴィランと接触して…そして…。

  「…~~~っ!?」

  そこまで考えて自身が晒した痴態が頭をよぎる。

  (あっ…あんな街中で何度もイかされた上に…漏らし…)

  そんな状況を思い出して…今、オレの顔はきっと赤いに

  違いない。いっそ夢であってくれないだろうか?そんな

  都合の良いことを考えてしまう。それにしてもここは…?

  見たこともない場所なのに…危険なんて存在しないかの

  ように安全な場所に思えるのも腑に落ちない。見渡すと

  姿見の鏡があって自身の姿が映り込んだ。

  「見覚えがない服…スーツは奪われたか…。」

  状況からいえば誰かに、恐らくはあの男に脱がされたもの

  だと考えるのが妥当だろうか。スーツは粗相で汚れて…。

  そこまで思考を巡らせたのは良かったが自身の痴態を再度

  思い出すことになり、また顔を赤くすることになった。

  なんとか落ち着きを取り戻してから室内を見渡す。窓一つ

  ドア一つ…どちらも鍵は付いてるものの内側からは簡単に

  開けることが出来るものだった。窓の外の風景を見るに

  昨日の路地からはそんなに離れてはいないらしい。

  「監禁されている…訳ではないのか…?」

  窓から逃げることも出来たが、スーツの所在もわからない。

  あのスーツは装着者の能力を高めることが出来る…あれを

  ヴィランの手元に置いてはいけない…オレ自身もスーツが

  無い状態での戦闘は避けたいが…。それに被疑者のアジトで

  あるなら行方不明事件に繋がる何かをここで見つけられる

  かもしれない。危険だとは思うがオレは部屋のドアを

  開けて建物の中を警戒しながら調べることにした。

  部屋は6部屋ほど、オレがいた部屋にリビング、風呂場

  トイレ、寝室らしき部屋に…書斎?いや…仕事場か?

  見れば見るほど普通の家だな…そんなに広くもないらしい。

  庭も…そう高くない柵と遊具が置いてあって特におかしい

  ところはないように思えた。あの男と鉢合わせるのは得策

  ではないのでどの部屋も詳しく見ることはできなかったが

  大体の構造は把握出来たぞ…残りはあと1部屋だ。

  近づくとあの男の声がする。オレは咄嗟に身を隠した。

  男はオレが中の確認が出来てない部屋からスマホを耳に

  あてながら姿を現した。

  「すみません。お待たせしましたね。…ええ。そうです。

  最近ペットを飼い始めて…。…デザインの案はパソコン

  からお送りしますね。直すところがあったら…。」

  男はオレには気付かず仕事場と思わしき部屋に入っていく。

  仕事の話か…それでさっきの部屋はペットのいる部屋か?

  それにしても…普通すぎる…部屋の様子から男の態度

  どれを見ても一般人のそれと変わらないかのようだ…。

  被疑者のアジトに居るのだから何かあるはずだと思って

  いたのだが…行方不明者の痕跡1つない…。

  「あっ!目を覚ましたんですね。良かった~。」

  「っ!!?」

  オレは不意に掛けられた声の方向へと咄嗟に振り返る。

  「すみません。急に声を掛けたら驚きますよね。」

  いつ背後をとられた?スーツが無いとはいっても…

  気付かないなんて…そんなことあるわけ…。

  「あ、あの…体…大丈夫ですか?」

  そう問いかけられて質問の意味を瞬時に理解することが

  出来ずにいたが…オレが晒した痴態を差すことに気付き

  言葉も出ずに…青くなった…。

  「その…スーツは汚れてたので…失礼ながら、ぼくが

  着替えをさせていただきました。」

  「あ…あぁ…。すまない…。…?って…そうじゃない!

  なぜヴィランが…いったい何が目的なんだ!?」

  「えぇっ!?違いますって!ぼくはヴィランではないし

  何も目的なんてないですからっ!」

  男の様子も行動もおかしなところはない。そもそもオレの

  処遇など意識がないうちにどうとでもできたはずだ…。

  だが説明の付かないこともある。

  「だったら本部への同行を拒否したことは?」

  「だって本部まで行くと何日か帰れないこともあります

  よね?今はペットを飼ってるから困るんですよ。」

  確かに、以前もこの男に行われた調査には3日掛かったと

  記録にあった。その時の容疑は晴れて釈放されたが…。

  「数カ月前も本部への同行依頼があったんです。その時は

  まだペットを飼ってなかったから良かったですけど…。」

  しかし、前回の聴取を担当したヒーローとその調査をして

  いたオレの師匠が失踪している以上…この男を再び調べる

  ことは、どうやっても避けられない。だが…現行この男を

  本部まで連れて行けるだけの力がオレには無いようだ…。

  「わかった…。だが話を聞かせてもらう。それでいいか?」

  「ええ。大丈夫ですよ。ヒーローへの協力は一般人の義務

  ですからね。何でも聞いてください。」

  この男…あれだけの力があって自分のことを本当に一般人

  だと思っているのか?早速探りを入れてみるか…。

  「あの身のこなしはどうやって習得したんだ?」

  オレは言葉を発した瞬間に自身の能力の一つである嘘を

  嗅ぎ分ける力を使い、相手の反応を伺う。

  「特には何も…強いて言うなら学生の頃から運動は

  そこそこ得意だったですかね…。」

  そんなことで説明が付かないような力ではあったが…

  この男、嘘を言っていない…本当に真実なのか…?

  嘘のニオイがしない…だったら…次は…。

  「わかった。そしたら、オレが着ていたスーツは今

  どこにある?確認したいんだが…。」

  これでどうだ?スーツを奪う目的があるなら素直に

  差し出したりはしないだろう?

  「ああ。スーツはお風呂場に干してますよ。」

  「案内を頼む。」

  「どうぞ…こちらです。」

  どうにも嘘は言ってないようだ。まあ、スーツについては

  現物を確保することが大事だ。確認させてもらおう…。

  「ただ、色んな機械が付いていて…洗って良いもの

  だったかわからなかったので…そのままです…。」

  男は少し遠慮がちな口調でオレにそう伝える。なんなんだ

  別に…気にしな…~っ!?い、いや…気にする…よな…。

  オレの色んな体液で汚れていることを失念していた…。

  ほどなく風呂場に到着し、オレのヒーロースーツは無事に

  発見され…機能についても問題ないことを確認したが…。

  「あ、後で…洗わせてもらっていいだろうか…?」

  流石に気まずくてオレは大きな態度を維持することが

  出来なかった…どんな相手であれ…たとえ事件の被疑者

  だったとしても…ここまでの世話をさせたのだから…。

  「は、はい…。大丈夫です。その…気にしないで下さい。」

  いや…気にしないほうが無理だろう…。その時だった。

  「…~っ!?えっ…!?」

  体が薄っすらと汗ばみ…オレは急激な尿意に襲われた。

  「どうしました?」

  「す、すまない…トイレを…借りたい…!」

  「ど、どうぞ。この部屋を出て左の部屋です。」

  「ああ…ありがとう…。…~っ!?」

  正直立っているのがやっとだったが…なんとかトイレへと

  向かう。必死に漏れ出すのを我慢していたせいか額から

  大粒の汗が零れ落ちた。ようやくトイレへと辿り着き…

  ズボンを下ろそうとした。…が、結ばれた紐が解けない。

  既に限界近くまで我慢をしていたのもあって手が震えて

  まともに動かすことも出来ず、時間だけが過ぎる。

  (や、やばいっ!…このままじゃ…っ…漏れ…っ!)

  何度もこんな痴態を晒すわけにはいかない。そんな思いと

  裏腹に…ズボンの腰紐を解けなくて、いつしか紐と闘って

  いた両手はまるで幼児がおしっこを我慢しているかの

  ように股間を押えることしか出来なくなってしまった。

  立っていることも出来なくなり、トイレの床に座り込んで

  それでも…なんとか漏れ出すのを抑えようと抵抗したが

  その努力も虚しくあっけなく限界が訪れる。

  「あ…ぁ…っ!?だめっ…!で、でるなぁ…う…ぁ…?!」

  室内に水音が響き生暖かい感触が股間に広がる。それと共に

  全身の力が抜け落ちるような感覚に襲われた。意識だけは

  失わずに済んだが身動きを取ることは出来なかった。

  (く…そっ…!なん…なんだ…力が…抜けて…!?)

  そしてオレはトイレの床に大きな水溜まりを作って…?

  濡れてない…?床はおろかズボンも濡れてはいなかった。

  状況を掴めずにいると部屋の外から声が掛かった。

  「あ、あの!大丈夫ですか?!…失礼しますっ!」

  心配した男はトイレの戸を開けて中に入ってきた。

  「苦しそうな声がしたので…何があったんです?」

  「う…ぁ…。そ、その…。」

  状況がわからないというのもあったが…漏らしたという

  言葉をとても口に出せず言い淀んでいると。

  「…もしかして…間に合いませんでした…?」

  「~~っ!ち、ちが…いや…違わな…い…。」

  あまりに情けなくて泣きそうになる…もう20も過ぎた

  いい大人が何回も…粗相を繰り返すなんて…。そんなオレの

  様子を見かねてか男はフォロー?の言葉を掛けてくるが…。

  「だ、大丈夫ですよ!ほ、ほらズボン!濡れてないでしょ!

  着替えの下着が無かったのと…ちょっと心配なのもあって

  オムツを穿かせておきましたから!」

  …お…む…つ…?男の発言により衝撃の事実が発覚した。

  (…漏らしたというのか…?いい大人が…ヒーローが?

  オムツに…?それはそれで…恥ずかしすぎるだろう…!)

  あまりの状況に恥ずかしさにオレは俯いてしまうが…

  いつまでもトイレの床に座っているわけにもいかず…。

  だが、オレは立ち上がることさえ出来なかった。

  (いったいなんなんだ…!この男の能力だというのか…?)

  「立てますか?…ちょっと失礼しますね。」

  男はそう言うとオレを抱え上げた。

  「うわっ!…やめっ…!」

  「すみません…立ち上がれなさそうだったので…。」

  「う…。たしかにそうなんだが…。」

  「ここにいるのもなんですし…部屋まで行きますね。」

  「す、すまない…。」

  情けない…だがオレはこの後それ以上に情けない目に遭う。

  「着きましたよ。ベッドでいいですかね。」

  そう言うと男はオレをベッドに横たえた。トイレで抜けた

  力は戻って来る気配も無い。そのせいでベッドに座ること

  さえ出来なかった。

  「大丈夫ですか?いったいどうしちゃたったんですかね…。

  さっきまでは普通に歩いたり…出来てましたよね?」

  (オレが聞きたい…この男の仕業ではないのか…?)

  オレは嘘を嗅ぎ分ける能力を再び使用することにした。

  「何か心当たりはないですか?ぼくで良ければ

  協力しますから、遠慮せずに言って下さいね。」

  どうにも嘘は言ってないらしい…。ニオイがしない…。

  100%嘘を看破出来るわけではないが…そこそこ信用

  出来る能力ではある。他に手立てがないか模索している

  その時だった…。

  「…~~っ!?う…ぁ…?!」

  再び強い尿意がオレを襲い…そして力の入らない体では

  我慢することも叶わず更にオムツを濡らしてしまう。

  漏らすことで襲い来る脱力感に身体が震え始める。

  「…あっ。もしかして…また出ちゃいました?」

  「ちがっ!…わない…けど…。あ…ぅ…。」

  この歳で…誰かの目の前で粗相して…オムツを濡らして

  しまうなんて…羞恥でどうにかなってしまいそうだ…。

  「なんでしょうね…ストレスとか?やっぱりヒーローって

  大変ですか?何か悩みがあったりとかしないですかね?」

  ストレス…もちろんない訳ではないが…いくらなんでも

  こんなに突発的に症状が出たりはしないだろう…。

  だが男の次の発言でそんな思考も全て吹き飛ぶことになる。

  「そろそろオムツを替えないと溢れてしまいますね。

  取り替えますから脱がしますよ~。」

  「!?!~~~っ!!?い、いや自分でっ…!!」

  「えっ?だって動けないですよね?」

  「だ、だからって!いい歳した大人が…!」

  「困った時はお互い様ですよ。足を上げて下さいね。」

  男はオレがトイレで苦戦していた腰紐をあっさりと解き

  オムツを替えにかかる…。なんでこんなに手慣れて…。

  「だ、だめだっ!!やめっ…!!」

  「ちゃんと替えないとかぶれるし、溢れたらベッドも

  汚しちゃいますからね。恥ずかしくても我慢です。」

  そう言うとオムツの両サイドが破かれてオレの股間を

  隠すものが無くなった。男はそこを容赦なく拭き上げて

  キレイにし、新しいオムツを穿かせる。

  「はい、これで大丈夫です。終わりましたよ。」

  「あ…あ…。」

  オレはあまりの状況に言葉も出ない…大人として…

  ヒーローとして、大切な何かを失った気がする…。

  「せっかくですからスーツも洗ってきますよ。

  気を付けることってあります?」

  「!!~~~っ!だ、大丈夫っ!それは自分でっ…!」

  「でも、いつ洗えるかわからないですし。それにあんまり

  あのままにしておくと汚れ落ちなくなっちゃうかも…。」

  (洗われるのも嫌だけど…!汚れが落ちないのも嫌だ…!)

  オレはしぶしぶ洗濯の注意点を伝え…男にスーツを洗って

  もらうことにした…オレの人生でこんなに打ちのめされた

  日は…今までなかったと思う…。

  つづく

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