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結局オムツを取り換えられた後、日が落ちても満足に
動けないオレを見かねて心配した男から…。
「体調が優れないようでしたら無理せずに泊まって
いってもらってもかまいませんので…。」
という言葉を掛けられていた。被疑者のアジトに寝泊まり
するなど危険極まりない行為だが、体が動かない以上
他に選択肢もなく…無意識のうちとはいえもう既に1泊
していることもあり、警戒するのも今更な状況だった。
「この部屋を使ってもらってかまいませんし。それに
ぼくの取り調べ終わってないですよね?ぼくも…
いつまでも疑われてはいたくないですから…。」
オレが泊まることで自分の行動を監視させる意図もある
らしい。自身の潔白を信じて疑ってもいないようだ。
本当に…この男が犯人じゃないのか…?
いや…まだそれを見極めるには早いだろう…。
「わ、わかった。有難く泊まらせてもらうことにする。
では早速一般人の…。」
するとオレの言葉に男が割って入ってきた。
「待って下さい!ダメですよ。体調が優れないんですから。
今日はもうゆっくりしてください。」
「だが…。」
「ダメです。そりゃ…行方不明の方々のことは心配ですけど
…聴取は体調が戻ってからです。ぼくは逃げませんよ。」
この男は自分のことよりもオレや被害者のことを心配して
いるのか…相変わらず…嘘のニオイはしない…。
「…体調が戻ったら話を聞かせてもらう。」
「そうしましょう。…そうだ。ちょっと待ってて下さい。」
男はそう言うと部屋を出てから、しばらくすると洗い終えた
オレのヒーロースーツと飲食物を持ってきた。
「スーツはここに掛けておきますね。食べ物や飲み物は
口に出来るようでしたら、こっちに置いておきますね。」
男はオレの手に届く範囲にスーツと差し入れを置いた。
「あ、ああ…すまない。」
「何かあったら呼んでください。それじゃあぼくは仕事が
あるので、無理をしたらダメですからね。」
そう言うと男は部屋を出て行く…。取り残されたオレは…
まだ満足に身体が動かないので男の行動を振り返った。
こんなに協力的な一般人…見たことがないな…。みんなが
みんなこうだとヒーローの活動も捗るだろうが…やましい
ことがあるから…その裏返しの行動なのかもしれない。
…だが、あの男の発言には嘘のニオイがしない…。
オレへの行方不明者への心配も本当にそう思っているよう
だった。だったら…あの戦闘能力は?とても一般人とは…
オレを抱えてこの部屋に来た時だってあんなに軽々と…
考えれば考えるほど怪しくもあり…信用に足る気もする。
わからないな…そうだ。差し入れの飲食物は?毒でも
入っていれば、一発で黒だろう。そう思ってなんとか身体を
動かして…まず飲み物を手に取る。そしてスーツの機能を
使って毒物の反応が無いかを調べる。飲み物に毒は無い。
同様に食べ物も調べてみるが反応はなかった。
(はぁ…そう簡単にはいかないか…。)
オレは飲み物を口に含む。いたって普通の水、無味無臭だ。
食べ物はサンドウィッチだったが…普通…よりもかなり
薄味だった。毒を疑うであろうオレへの配慮なのかそれとも
作った男の好みなのか…毒を調べずとも疑いようもなく
素材の味といった感じだ。正直物足りない…。
(まあ、タダで貰ってるものに贅沢は言えないか…。)
ヒーローも身体が資本な以上、失った力を取り戻す為には
疑わしかろうが好みでなかろうが食べない訳にはいかない。
ヒーロースーツの機能も問題なく使えるし…本部との連絡も
飲食物の異物の有無も…より高度な虚偽も見破れる…。
スーツも無事に戻ってきた。ヴィランならそんなことは
しないだろう…それもあんなに汚れていたのをこんなに
キレイに…っ!?そう思って再び自身の痴態を思い出す。
(あ、明日こそはっ…!!こんな醜態は晒さないぞっ…!)
今日あったことは無かったことには出来ない。失敗は…
繰り返さないことが大事なんだ…!散々に打ちのめされて
オレは無理やり自身を励ます。深く考えたら負けだ…!
というか…昨日今日の出来事を振り返るだけの強い心は
もうオレの中に残っていなかった…。だってそうだろう…
街中で盛大に粗相をし…気を失って運ばれて…オムツを
穿かされて…そのオムツを濡らして…その挙句、汚れた
オムツを取り換えられるなんて…。ヒーローとしての尊厳
なんて一欠けらも残ってないじゃないか…!
考えないようにしていても思い出してしまい…定期的に
精神にダメージを受ける。…寝よう。そうだ…寝よう。
ここが被疑者の家だなんて関係ない…もう寝る。決めた。
オレは部屋の明かりを消し…自動で自己防衛する能力を
発動する。流石にこのくらいの自衛をはやっておかないと
ダメだろう。昨日から色々ありすぎて疲れていたのか…
急に眠気が襲ってきた。
(へ…んだ…な…。こん…な急に…いつ…もなら…
目を…あけ…てら…れな…い…。)
オレは気を失うように眠りについた。
[newpage]
「ん…ぅ…。…う…にゃ…。ん…。」
窓から温かい光が差し込み朝を知らせる…。
…もう朝か…起きなきゃ…。だって…オレは…ヒーロー
なんだから…。寝坊するヒーローなんていないだろう?
守るべき人達から失望されないように…どんな時だって
人々に希望を与え…憧れの存在で在り続けられるように…。
オレは…そうならなきゃいけないんだから…。
でも…まだ…眠い…昔からオレは朝に弱かった。
ヒーローになってからもなんとか克服しようと頑張っては
いるが…。それにしても…日差しが温かいな…布団の中は
こんなに冷たいのに…まるで濡れているような…とくに…。
ふと、股間周りの湿った感触に嫌な予感がする…まさか…!
「ふぁっ!?…ぁ…!?~~っ!?…いって…ぇ?!」
ベッドから飛び起きたのは良かったが途端足腰に力が入らず
床に倒れ込んでしまう。倒れる際に頭を庇って肘を打った。
いや…そんなことより…オムツは?!どうなってる…?!
「…~~っ!!あ…ぁ…お、おれ…オレ…~~~っ!!」
嫌な予感は見事に当たり…オレはうなだれる…。いい歳
した大人が…ヒーローが…寝ている間に…粗相を…。
「すごい音がしましたけど…大丈夫ですか?」
「~~~っ!?」
床に倒れた際の音を聞きつけて心配した男が部屋に顔を
見せる。さ、最悪だ…どんな顔をしたらいいんだよ…!
「ああ~…。おねしょ…しちゃったんですね。」
男が言葉を発した瞬間、オレは凍り付いた。
おねしょ…しちゃったんですね。
おねしょ…しちゃったんですね。
おねしょ…しちゃったんですね。
オレの中で何度もエコーがかかったように響き渡る。
永遠にも感じられる時間を経て…凍り付いた思考が戻って
きた…耐え難い…いや、最早耐えられない羞恥と共に…。
「お、オレっ…うそだ…こんな…のって…~~っ!」
隠ぺいする間もなく男に失敗を見られて「おねしょ」
呼ばわりされ…オレはすっかり涙目になって座り込む。
「ほら、大丈夫ですよ。見て下さい。ベッドは濡れて
ないじゃないですか。何も心配しなくていいですよ。」
「そ、そういうん…じゃ…なく…てぇ…。」
「いいですか?体調が悪い時はそんなこともあるんです。
だから気にしないでいいんですよ。」
そう言うと男はオレの背中を擦ってくれる。男の温かい
心が染み渡るように伝わって…んん…?ち、違う…
これは…初めて会った時の電流じゃないか…?!
「も、う…だいじょう…ぶ…!だからっ…!?」
「失敗してしまって、不安だったんですよね…?
大丈夫ですよ。落ち込まなくていいですからね。」
「ち、ちがっ…!…あ…ぅ…?!ぁ…やめ…っ…!」
危機を感じて男から離れようとするも体の力が入らずに
距離を取ることが出来ない。それに加えて男はオレの
背中を撫でる行為をやめようとしなかった。
「う…あっ…!?あ…ぁ…っ!!…~~っ!!」
「ヒーローだって…苦しい時は泣いてもいいんですよ。
今は…ぼくが付いていますから…。」
(ちがっ…違うからっ…!は、離してくれっ…!)
オレが上げている声を泣いていると勘違いされて男は
より強くオレを抱きしめて背中を撫で続ける。
「う…ぐ…ぁ…~~っ?!や…あ…っ!~~っ!?」
撫でられるほどに性的な刺激はますます強くなり…声を
抑えることも出来なくて…おねしょで濡らしてしまった
オムツの中でオレの股間の硬度は増していく。
「いいんですよ。苦しいのをいっぱい出したら…
楽になりますから。そしたらまた頑張りましょうね。」
(…だめっ…だっ…!このままじゃ…またっ…!)
この男の手で射精させられてしまう。何とかそれだけは
避けたかったが男を遠ざけることも、まともに言葉を
発することも出来ずに絶頂への階段を駆け上がる…。
「あ~…っ!…あぅ…~~っ!く…ぅ…~っ!?」
「ぼくが付いてますからね…いっぱい出してください。」
「やっ…あ…っ!?…つ…ぅ…!!あっ…~~~っ!!」
心配して背中を撫で続ける男の手によってオレはまたも
絶頂へと誘われる。あの時と同じような脳に焼き切る快感が
身体中を駆け抜け…おねしょでいっぱいになったオムツに
何度も何度も吐精してしまう。繰り返す絶頂を抜けて朦朧と
する頭の中で男から発せられる…わずか…な…???
次に目を覚ました時は既にその日の夕方近くだった…。
[newpage]
昨日で失うものはすべて失ったと思っていたが…
それ以上…まだ失うものがあるなんて思わなかった…。
人々の模範になるべきヒーローがベッドから起きれない
どころか粗相をを繰り返す始末…オレは大人で…ヒーロー
なんだよな…?清潔に保たれた少し子供部屋っぽい内装の
室内でオレは途方に暮れている…。
また気を失っている間に…あの男の世話になったのだろう。
あの股間に張り付く…生温い不快感がないことだけが
今のオレにある唯一の救いだった。またベッドの脇に
軽食を用意してくれている…オレは飲み物を手に取り
それを口にした。普通の水だが…干からびるような錯覚を
覚えるほどに色々と出し尽くした身体に染み渡るようだ。
飲み物を飲み干したところで男が部屋に入ってくる。
「よかった。目を覚ましたんですね…心配したんですよ。」
男はほっとしたような表情を浮かべている。
「あ、ああ…すまない…。オレは…どうしてしまったん
だろうな…。こんなヒーローなんて幻滅しただろう?」
我ながら情けない発言をしたものだ…だが…男はオレが
予想しなかった言葉を口にする。
「ヒーローだって一人の人間ですよ。体調を崩す時も
あるはずです。だから…そんなこと言わないで下さい。」
この男は優しくて…そして強いな…。身体能力のことだけ
じゃない精神的にも強くて逞しい…。
「すまない…。本当に…。」
それだけ口にしてオレは黙ってしまった。そして男も
続けて言葉を紡ぐことはせず…ただ傍に居てくれた。
オレが落ち着くまで男は待ってくれた。被疑者に心を
許すことは、もちろん褒められた行為ではないが…
正直…その心遣いが有難かった。
「…眼鏡姿…初めて見たな…。」
長い沈黙をオレの言葉が破る。男は嬉しそうにオレを見て。
「そうですね。でもこれ…伊達なんですよ。」
レンズは度無しで、パソコン作業の為にブルーライト対策
なんです。そう明るく言った後に…。
「元々は…弟の眼鏡だったんです…。」
そう言った男の表情は普段と違って影があるように見えた。
「生まれつき身体が弱くて…それで視力も良くなかったので
しょうね…。体調が悪い時はベッドから起きれなくて。」
両親、兄弟は既に亡くなっていると資料にあったが…。
こういう事情があったんだな…。
「そういう時は…ぼくが世話をしてたんですよ。」
そうか…だからあんなに手慣れてたのか…。納得はしたが
何度も世話を焼かれていることを思い出して、オレは顔を
赤くしてしまう。
「もう弟が死んで10年は経つでしょうか…だから…
ですかね…生きていれば…きっとあなたくらいの…。」
親身に世話をしてくれるのは…この男が優しいからだけ
ではない…オレに弟を重ねているからか…。
「…アクセルという…。」
「えっ?」
「オレの名前だ、紹介も出来ていなくて…すまない。」
「アクセルさん?…ありがとうございます。」
「あなたの方が年上なのだから呼び捨てで良い。」
「そう…ですか?そしたら…アクセル君で。そうか…
ぼくも自己紹介がまだでしたね…ぼくはディアス。
ディアス・グレイスと言います。」
男は簡単な自己紹介をしてくれた。それは調査資料に
書いてあった内容と同じで…そこから新たに得られる
ものは無かったが…彼の人と成りがわかった気がする。
彼は被疑者だが…彼との接し方を改めるべきだろう。
オレは…心を決めることにした。
「ディアスさん。オレは…あなたに対して失礼な
態度を取ってきたと思う。…すまなかった。」
「…!!…気にしないで下さい。アクセル君は自身の
仕事を一生懸命やっていたんですから…。」
彼の寛大さを…オレも見習わなければならないな…。
「そうだ。アクセル君…ヒーローで在り続けることは
大変な時もあると思います。ぼくで良ければいつでも
相談に乗りますからね。なんでも言ってください。」
オレもいつか彼のような大人になれるだろうか…。
「甘えてもらっても良いですよ。だって君よりもぼくは
年上のお兄ちゃんですからね。」
流石にそんな状況は来ないと思うが…好意は受け取って
おくべきか…?少々、過保護すぎる気もするんだが…。
「そ、それは…機会があったら…な…。」
少し気恥しい気はしたが…悪い気はしなかった。
その日は雑談だけで終わってしまったが…次の日は
朝から…その…粗相をすることもなかったので…。
ようやく本格的な聴取や捜査をすることになった。
つづく
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