Ad
▼1
〝赤子〟らしいと副官は述べた。敵軍を率いているのは。彼は眉をひそめると、
「……つまり、噂は真実だったと言うことか?」
「先の戦で生け捕りに致しました敵兵が、拷問にかけるまでもなく喚き散らしましてございます。それはもう、たいそうな心酔ぶりで」
「……フン。おおかた猿族の仔でも捕まえてきて、丸刈りにしただけであろうよ。或いは[[rb:変化 > へんげ]]の術によるものか、はたまた幻術か」
そう、赤子等この世に存在しない。なぜならそれは人間の子供だけを意味する言葉なのだから。
――片膝を立て、毛皮の敷物にあぐらをかいた豹獣人の男は唇の端で皮肉っぽく薄く笑うと、[[rb:杯 > さかずき]]からもう一口、血のように赤黒い酒をすすった。
かつてこの世界には人間と獣人、二つの種族が存在していたと言う。原始時代には危ういバランスを保ちつつも共存できていた両者だったが、或る人間の英雄が「火」を発明したのをきっかけにそのバランスは崩れ、獣人は被支配者層に身を落とすこととなった。一部の種族はその過程で完全に絶滅してしまったと言う。
長い長い屈辱と忍耐の歴史を経て、今度は或る獣人の英雄が《アニマ》を発見した。それは己の「魂のかたち」を理解し、普段は肉体や精神と言う檻に閉じ込められてしまっているその本来の力を解放する[[rb:業 > わざ]]。作り物の火に長年依存してきた結果、魂が衰弱し切った人間にはどうあがいても使いこなせない業だった。
それが第二の歴史の転換点。人間は火でつちかった文明を総動員して対抗しようとしたが、無尽蔵のエネルギーであるアニマはもちろん、獣人自身の繁殖力の強さと成熟速度を前に人的・物的資源が枯渇し始めると、焦りのあげく――ついに、細菌兵器で自滅した。むろんそれは獣人側にも相当な被害を及ぼしたが、彼等の環境への適応速度は人間とは比べ物にならない位速かったのである。
それでも辛うじて生き延びた人間は無条件降伏したが、獣人はかつて自分達がそうされたように、彼等を被支配者層におとしめるつもりは毛頭なかった。代わりに、皆殺しにしたのである。比較的獣人に寛容・同情的であった国、そして人間側にすり寄っていた獣人の種族も含めて。
――かつて人間に火を与えた英雄の末裔を、人類最後の一人を処刑台に引き立てて来させると、熱狂する民衆に向かい、当時の獣人のリーダーは雄たけびを上げたと言う。
『今こそ、地上に我等が楽土を築く時!』
そしてその男を生きたまま八つ裂きにし、それまで人間が独占してきた富や知識や栄誉を皆に分け与えるように、各種族の代表者に喰らわせた。
――皮肉なことに偉大なるリーダーの死後、《楽土》はその時分け与えられた肉と同じ数に引き裂かれ、今尚相争い続けることになってしまったのだが。
彼はそのうち、『右足の国』の王統に連なる者である。複雑に入り組み、毒のある植物や小動物が無数にはびこる樹海の奥深く。昼でも夜のように暗い国。その重く苦しい闇を豹の形にくり抜いてきたかのごとく、彼の肉体は尻尾の先から鼻の先、そしてヒゲの先に至るまで艶やかな漆黒に染め抜かれていた。物思いに耽りながら杯の水面を見つめている、その双眸だけが深緑と金色が混ざり合ったような、複雑な色合いに物憂げに底光りしている。
豹獣人特有のしなやかな体躯は他の猫科の獣人に比べると華奢に映るが、それは脂肪を極限まで絞り落としているため。一本一本の筋繊維は鋼のように硬く、且つ伸縮性に富んでおり、それらが束に合わさった太い筋肉が毛皮越しにもくっきりと美しい稜線を描いている。身につけているものと言えば腰布とマント程度だが、彼には鎧や兜はもちろん、護身用の短剣すら必要ないことを副官はよく知っていた。
彼の名は[[rb:墨雲 > すみぐも]]と言う。陰気な国の生まれの、陰気な性格の男にはふさわしい……と彼自身は自虐している。王族の証とされるこの毛皮の色も、個人的には気に入らなかった。元はと言えば単なる突然変異で生じたものを崇め奉り、それを子孫に伝えるために血族結婚を繰り返して。いつしか民衆の間にまで、「誰よりも黒い毛皮を持つ者こそが王位を継ぐべき」等と言う[[rb:戯 > ざ]]れ[[rb:言 > ごと]]が広まってしまった。あげくの果てに王のことを〈夜と月と死の化身〉等と、まるで神のように持てはやして。
――そんな[[rb:体 > てい]]たらくだから『左目の国』との戦に敗れ、属国にされてしまったのだ……と墨雲は苦い顔で杯を干した。
『左目の国』の王、獅子族の〈[[rb:端倪 > たんげい]]〉はそんな迷信とは縁のない、完全な実力主義者だった。たとえ自分の子や孫でも「見込みがない」と思えば廃嫡し、失態には死をもって償わせる。逆にどんなに身分が卑しいとされる者であっても「見込みがある」と思えば取り立てて、その後の功績いかんでは王家の一員として迎え入れる。
――『右足』の有力な王位継承者候補である墨雲が処刑されることもなく、今こうして『左目』の将として一軍を率いているのもその賜物であった。
[newpage]
▼2
「……墨雲、御前に[[rb:罷 > まか]]り越してございます」
「うむ。近う寄れ」
謁見の間。〈端倪〉王は玉座に片肘を預け、悠然と頬杖をついていた。既に老人と呼んでも差支えない年齢でありながら、獅子獣人の中でも際立って大柄なその体躯は全く衰えを見せていない。タテガミの色艶こそ若い頃に比べると褪せているものの、顎の下辺りから黒くなったその剛毛は齢を重ねるごとにボリュームを増して行き、胸から腹、そしてもっと下へと渦巻きながら続いている。ふさふさとしたタテガミのせいで、少し頭を傾けただけで重い王冠がズリ落ちそうになるのが難点だった。
――装飾品の類いはそれ以外には、左右のこめかみでタテガミを房にして束ねている金具程度。肩のマントは軽く羽織るだけ。腰には申し訳程度に緋色の布を巻いているが、玉座の何段か下で畏まっている墨雲からは少し目線を上げただけで中身が見えてしまいそうだった。
唯でさえ筋骨隆々とした巨体なのに、黒い縁取りのある唇がめくれ上がって牙を覗かせ、鼻面や眉間に細かな皺が寄っているせいで余計に恐ろしげに、そして威圧的に映る。しかしその金色の瞳はいつも[[rb:諧謔 > かいぎゃく]]的に、イタズラ小僧のように輝いていた。今も墨雲に〝赤子〟征伐の任を厳かに命じつつ、その長いヒゲや先が房状になった尻尾はピクピクと、彼をからかうように蠢いている。
「必ずや……」
片膝をつき、顔を伏せた姿勢のまま墨雲はその勅をありがたく拝命した。任務に成功すれば褒美は意のままだとも、『右足』の王族や彼の血族の地位を向上させてやるとも、失敗すればその逆だとも〈端倪〉王は言わなかった。その程度でモチベーションが左右される人材等、最初から使い物にならないと割り切っているのだ。ましてや口約束を信じる者等。
――それでも墨雲は祖国のために戦果を挙げなくてはならない。自分にも『右足の国』にもまだ利用価値が残っているのだと、王に示さなければならない……。
「では、私はこれにて……」
「まあ待て。何のために人払いをしておいたと思う?」
〈端倪〉王は好色な、そして獰猛な笑みを浮かべた。玉座とはまだ距離があるにも関わらず、お互いの間の空気が一瞬にして[[rb:淀 > よど]]み、ネットリと全身にまとわりついてくるような錯覚を墨雲は感じた。毛皮からじわりと汗が染み出し、鼓動が早くなってくる。
「参れ、墨雲」
臣下と言うよりペットの名前を呼ぶような気安い、そしてある種の愛情に満ちたその言葉自体に引き寄せられるように、墨雲はよつんばいで玉座へと歩み寄ると、〈端倪〉王の足元に伏せてその裸足のつま先に接吻した。玉座から手を伸ばし、その頭をさも愛しげに撫でてやる王。
――本来は『右足』の国王唯一人を主君として仰ぐべき者にとってあまりにも屈辱的な一連の行為に四肢が震え、漆黒の体毛の下でその頬が朱に染まる。思わず背筋の毛が逆立ち、恍惚ではなく威嚇の唸り声をゴロゴロと喉の奥から発してしまいそうになったが、墨雲は強靭な精神力で何とかそれを押さえ込んだ。
「[[rb:愛 > う]]い奴よ」
〈端倪〉王はそんな彼の内心も見透かしたように嗜虐的にほくそ笑むと、顎を持ち上げて喉を撫でさする。墨雲は両目をぎゅっとつむると、唇を真一文字に引き結んだ。その眉間に隠し切れない嫌悪の皺が寄る。
――王はその手を相手のうなじへと回すと、まるで親猫が子猫を咥えて運ぶ時のようにそこの毛皮をつかんで持ち上げ、己の股ぐらへと引き寄せた。
「まずはいつものように、口で奉仕してもらおうか」
一瞬、薄目を開けた墨雲の深緑と金色の瞳が憎悪の光に閃いたが、すぐに目を伏せると王の脚の間にうずくまり、緋色の腰布に手をかける。王家の紋章が入ったブローチを外すと、既に半勃ちの王笏が彼の鼻先に鎌首をもたげた。
元々の体格が大きいとは言え、〈端倪〉王の持ち物は現時点でも王自身の太腿とほとんど長さが変わらない程の巨根である。「立っていても座っていても納まりが悪くてかなわん」と常日頃から冗談まじりに言っているが、この逸物をもってしても足りない程の好色漢で、男も女も種族も関係なく、「見込みがある」と思った相手に片っぱしから手を出しては己の子種を植えつける。
――そのおかげで、彼が把握しているだけで最低でも三〇〇人は子供がいるとか、実の兄弟姉妹と知らず愛し合う悲劇が起こったとか、まことしやかな噂が流れている。
〈端倪〉に限らず、『左目』の国王は代々子だくさんだった。それにも関わらず、かつての『顎の国』のように跡目争いで国が分裂する事態が一度も起きていないのは。そしてもう老境に差しかかっているにも関わらず、〈端倪〉の王位を脅かす者が現れないのは――『左目』においては、その王統に代々伝わるアニマこそが王の印とされるため。そして現時点で、〈端倪〉以上にそれを使いこなせる者が存在しないため……。
「……」
王の獣根を下から捧げ持つようにすると、その先端に接吻する墨雲。まだ半勃ちだと言うのに指が回らず、両手を縦に重ねて握っても長さが余る程に雄大なその裏筋を根元から舐め上げ、くびれの部分を舌先でくすぐる。その付け根から玉座へと垂れ下がる、これまた巨大な一対の睾丸と、それを覆う毛むくじゃらの陰嚢を片手で揉みほぐしつつ、横笛でも吹くように獣根の側面を軽く咥えて、そこにボコボコと浮かび上がった血管を唇と舌でなぞる。老いた獣の体臭とフェロモンが口や鼻の粘膜から直接脳にしみ込むように伝わってきて、墨雲の頭の芯を痺れさせた。
「ずいぶんと上達したではないか」
玉座に片肘をつき、さも愉快そうに属国の将を見下ろしながら呼びかける〈端倪〉王。直接的な刺激よりもその光景の方に興奮したのか、獣根が一回り大きく膨張する。
――ストイックな武人気質と言うべきか、色事に関してはかなり奥手だった墨雲。有力な王位継承者である以上子作りは義務だと言うのに、いい年になっても妻を迎えもせず、危険な戦場ばかりを選んで駆け回っていた。それはひょっとすると、毛皮の色合いだけで跡継ぎを決めようとする『右足』の王家や、国民に対する反発だったのかも知れない。
従って〈端倪〉王の御前にはじめて罷り出た夜、[[rb:伽 > とぎ]]を申しつけられた墨雲は困惑するしかなかった。『右足』では男色の気風は盛んではなかったし、幾ら王が両刀使いとは言え、自分のような偉丈夫は対象外だと思い込んでいたのだ。
――しかし『左目』の属国となってしまった以上、祖国を丸ごと人質に取られているも同然。逆らう選択肢等最初から存在せず、ある種悲壮な覚悟をもって彼は王の寝所へと出向いたのであったが……。
「うっ……ぐ、うぶ、むっ……!」
顎が外れそうな程に大きく口を開け、王の亀頭を咥える墨雲。猫科特有のザラザラした舌をその表面に密着させ、まんべんなく磨き上げるように動かすと王は満足げなうめき声を漏らし、リラックスして玉座に背中を預けると、もっと深く咥え込めるようにと腰を前にずらし、股を広げた。敷物の毛皮の左目のように、ぱっくりと開いた鈴口から苦いような、酸っぱいような涙がにじみ出て来て墨雲の舌に滴り落ちる。吐き気をこらえ、湧き出てくる唾液と共にそれを飲み下す。
本来、一国の王からもったいなくもお情けを頂戴していながらこんな表情をしていては不興を買い、処刑されてしまっても不思議ではない。むしろ祖国を守るために精いっぱい媚を売るべき場面なのだろうが、〈端倪〉王は彼のそんなウブな反応をこの上なく愛でているようだった。あっさりメス堕ち等されてしまってはつまらない、と。
[newpage]
▼5
「今のは射程距離ギリギリだったんじゃないか? [[rb:潮 > うしお]]」
「……」
何とか片肘で身を起こし、自分もそちらに視線を向ける墨雲。地面を両手で掻いて「泳いで」来るのは背ビレと、黒白に塗り分けられた流線形の頭部ですぐにそれと分かる[[rb:鯱 > しゃち]]獣人。地面だけでなく、途中に倒れたり散らばったりしている大小の障害物も一直線にすり抜けて来て、彼のすぐ目の前でザバリと[[rb:陸 > おか]]に上がる。
背丈も横幅もあの〈端倪〉を上回るだろうか。筋骨隆々とした雲衝く大男で、「水」の抵抗を可能なかぎり減らすためか、白い下帯しか身に着けていない。ヒレのある太い尻尾も含めると、〝赤子〟とは十倍以上の体格差があるだろう。武骨で無表情だが、見ようによっては愛嬌のある顔立ちだ。
――〝赤子〟が毛一筋程の傷も負っていないことを確認すると、大男は無表情のまま墨雲を見下ろし、その巨大な足で彼の右手を踏みつけた。バシャリと言う水音と共に、墨雲の右の腕から肩が完全に液状と化して地面に飛び散り、平たく広がる。
「うっ!? ぐ……!」
(中略)
「お前の好きにしていいぞ。潮」
「……」
〝赤子〟がその尻尾の付け根辺りを妖しく撫でさすってやると、潮と呼ばれた鯱獣人は目を細め、筋骨逞しい肉体を震わせた。豹獣人の目にはずっと無表情に見えていた厳つい顔に僅かに朱が差し、口が薄く開いて鋭い牙の列を覗かせ、磯臭い息を吐き出した。下帯の前が盛り上がり、普段は体内に格納されている獣根がまるで別の生き物のようにせり出してきて、たちまちその薄い布地をヌラヌラとした粘液で濡らし、赤黒い肉の色を透けさせた。これから起こることを理解して、墨雲の肝が一気に冷え、全身の毛が逆立つ。
「……!」
とっさに自分自身の喉首に糸を巻きつけ、自害を試みる墨雲。しかしそれは無情にも毛皮を、肉を、血管を、神経を、骨をすり抜ける。潮が墨雲の足側に回り込み、地面に腹ばいになっていた彼の下半身を、尻尾をつかんで起こさせた。液状になって飛び散った右腕だけでなく、まだ原形は留めている左腕も最早自由に動かせない。
「貴さ、まっ……!」
鼻面に恐ろしげに皺を寄せ、〝赤子〟を睨み上げる墨雲。さっきまでと同じ冷たい視線を返してくるだけだと思いきや、〝赤子〟は地面に座り込むと彼の頭を膝の上に掻き抱き、さも愛しげに撫でてきた。
「よしよし。辛かったな。苦しかったな」
「……!?」
予想外の仕草と言葉に完全に虚を突かれる墨雲。その隙に背後の潮は下帯の脇から猛り狂う獣根をつかみ出すと、先細りの先端を彼の菊門にあてがい――力任せに、ねじ込んだ。
「ぬがっ!? がっ、あ、かは、あっ……!」
エラが張っておらず棘状突起も備えていないが、長さや反り、それに根元付近の太さは〈端倪〉の持ち物を上回る凶悪な肉の[[rb:銛 > もり]]が情け容赦なく、墨雲の体内を掘り進んでくる。潮の獣根は既に十分ぬめりを帯びていたとは言え、内臓まではまだ敢えて「液体」に変えていないのか、限界を超えた質量にさしもの墨雲の強靭な肉体も悲鳴を上げる。まだコントロールが利く部分を糸状にほぐれさせ、ダメージを緩和させていなければ完全に腹が裂けていたことだろう。
「ぐあっ! あっ、ぐぬ、う、ううっ……!」
「心配するな。すぐに快くなってくるから」
激痛に身をよじらせ、歯を喰いしばる墨雲の頭を抱き寄せると、優しく顎や喉元をマッサージしてくる〝赤子〟。殺意のこもった目でその顔を睨み返す彼だったが、なぜか相手の声や仕草が脳にまで染み込んでくるような錯覚を感じる。屈辱の極みにあるはずなのに、なぜか心身が徐々にリラックスしてくるような……。
その間に挿入を完了した潮が、手首に彼の尻尾を絡めると、それを手綱代わりに操りながらどっしりとした下半身を打ちつけてくる。ドチュン!ボチュン!と激しい抽挿音が響き始めた。墨雲の美しく六つに割れた腹筋が、大きく膨らんではまた凹む。
「かはっ、ぐ、あがっ……! うっ、ぬぐ、う……!」
「アニマのおかげもあるとは言え、潮の物がこんなに簡単に入るとはな。余程あのスケベジジイに好き放題されていたんだろう、可愛そうに。
――それもこれも、『右足』の国王に義理立てなんかしてるせいでさ」
〝赤子〟が墨雲の耳にそう甘く囁きかけ、軽く接吻して唇で[[rb:食 > は]]むようにすると、体内で潮の獣根が一回り大きく膨れ上がった。胃の腑に対する圧迫感に墨雲がゴボリと喉を鳴らせる。
――頭頂部の穴から湯気を上げつつ、深く繋がったまま墨雲の体をあお向けにひっくり返すと、巨体をのしかからせてくる潮。筋肉の上に適度に脂肪の乗ったその腹に押し潰されながらも、〈端倪〉に被虐の快楽を骨の髄まで教え込まされていた墨雲の獣根は、恥知らずにも雄々しく勃起してしまっていた。
「ぐっ! がうっ! ぐふうっ! かっ、あぐう、っ……!」
(中略)
潮の太い指の間からビチャビチャと、液状化した獣根が飛び散って潮の腕や、墨雲自身の顔を汚す。しかし恐ろしいことに、そんな状態になっても墨雲の脳には失われた片脚や、勃起した獣根からの感覚が伝わってくるのだった。少なくとも、これで墨雲が想い人に挿入することは出来ないだろう……と言いたげに潮がゆっくりと手を開く。まだその中に残っていた液状化した獣根が、墨雲の腹の上へと流れ落ちた。
「ぐっ、う、ぐう、うっ……!」
潮のアニマには射程距離が存在する以上、そこから抜け出せばきっと手足も、獣根も元に戻るだろう。しかし己のオスとしてのシンボルが目の前で握り潰された肉体的、そして精神的衝撃はさすがの墨雲でも耐え難いもので、ゼイゼイと瀕死の喘ぎを上げ、救いを求めるように〝赤子〟の顔を見上げてしまう。
「フー、フー……!」
しかし潮は獣根を握り潰すに飽き足らず、墨雲の肉体を完全に「液体」に変えたかと思うとそれまで以上に激しく腰を使い始めた。尻尾が根元から引きちぎられる。
――肉も内臓も骨も何もかもグチャグチャに[[rb:蕩 > とろ]]けて混ざり合い、巨体がぶつかってくる衝撃で周囲に飛び散る中、潮がその巨根で墨雲を憎々しげに突き上げると、彼の腹部がその輪郭にぴったりと沿って膜のように薄く伸び、赤黒い色を透けさせる。
「ぐがああ! うっ、ぐはっ、ごぎゃ、あがあああ……! ぐああ! いぎっ、がっ、ごがあああ……!」
Ad