バーチャルナイト リアライズ! ~ダイブした仮想世界がリアルすぎて獅子獣人のサムライとXXXしました~

  「ええーっ!? 部屋分けぇ!?」

  仮想世界で行われているヒーローグランプリ。

  キナ臭い空気も漂ってきた大会の真っ最中。

  本日の宿を……というところで声を上げたのはオレ、“リグザ”だった。

  向かいには今回の作戦のオペレーター。パラレルフライト社の観測者。

  年はたぶんオレと同じくらいかやや下か。

  それもあってか、気安く話してくれて結構助かっている。

  「しょーがないじゃん。ここら辺の宿、他の参加者もいるからどこも一杯なんだって」

  「そんなとこまでリアルにしてどーすんだよ……」

  もう何度目かわからないツッコミをするオレ。

  RPGゲームで宿がいっぱいで泊まれないなんて普通ない。

  運営には、ゲームにおけるリアリティとユーザビリティのバランスにしっかり気を配ってもらいたい。終わったらアンケートに書いてやるか。

  「それで、セラスは先に一人部屋取れたところに入ってもらったでしょ。

  あと、仮押さえで取れたのがあっちとそっちの宿だけで……」

  指折りながら数えて言うオペレーター。

  こいつ、結構マネージャーとかも向いてそうだな。ゲームチームのマネージャーとかどうだろうか。

  オレがそう見定めていると、チームメイトのシャフトがニコニコしながら言う。

  「手慣れてますね。ラグビーチームのマネージャーとかどうですか」

  うっ、先を越された。

  「ええー? いや手慣れてるっていうか……こういうこと、うちの会社だと他にやる人いないだけで……まさか社長にやってもらうわけにいかないしさ」

  とか謙遜しつつも照れているオペレーター。

  ころころ表情の変わるやつ。見ていて飽きない。

  「いや、誇るがよい。そうしたことを如才なくできるのも才能だ」

  その時、口を開いたのは横で黙ってオレたちのやり取りを見ていた獅子獣人だ。

  トウシュウ。異星のサムライ。

  オレとは色々あったが、まあ打ち解けたといってもいい。

  さすが年長者。そういうセリフも臆面なく言う、とこっそり感心するオレ。

  いやそれにしてもその恰好なんだが――。

  「トウシュウ先生。――うん、ありがとうございます!」

  「ふっ!? ふん、貴様を認めたわけではないわ勘違いするなよ!」

  ……いや認めたわけじゃないならなんなんだ。

  しかもその今や見ないレベルのツンデレムーブ。化石か。

  言ったら絶対怒るから言わないけど。

  「じゃ、そういうわけなので[[rb:二対二 > にーにー]]で分かれます」

  「どう分けますか?」

  「拙者はなんでもよい」

  オレも別に……いやトウシュウと相部屋だったらちょっと気まずいかも。

  打ち解けたとは言え、二人きりだと何を話していいか。

  これは単純にオレが年が離れている相手と話慣れてないだけか。

  オペレーターが、こちらをちらっと見た。――どうする?

  察して、オレは慌てて言った。

  「若いやつ同士、おっさん同士でいいんじゃないか。話も合うだろ」

  咄嗟に言ってしまったが、まあ合理的な判断じゃないだろうか?

  つまりオレはオペレーターと。オレの希望も入っているのは否定できないが。

  「……おっさんて、俺もその範疇なんですかね」

  「……シャフト、“その範疇”とは、どういう意味だ」

  「ああーっ!? いえ、その! 決して先生がその!」

  「……フゥ」

  慌てるシャフト、むっつり息をつくトウシュウ。

  そしてオペレーターに半眼で睨まれるオレ。イエローカードを出すポーズ。

  「はいリグザー、軽い一言でチームの空気を乱さなーい」

  「うっ!? ご、ごめん……」

  これまでの言動で反省しているところもあって謝るしかない。

  そりゃ考えなしの発言だったかもしれないけど!

  なんとなく決めごとに理屈を通して欲しいのは、オレがゲーマーだからだろうか。

  いやだから別に嫌ではないのだけどただ選べるのであればできるだけ合理的であって欲しいというかそういう意味で年齢分けと言うのは理にかなっていると思うわけで実際オレはなんでこんなに言い訳しているのかと小一時間問い詰

  「じゃあ埒が明かないからじゃんけんで決めよう。いいみんな、せーのっ」

  「えっ」

  「じゃーんけーん――!」

  ああっ、こいつ仕切りも結構強い。さすが色々な修羅場をくぐってきただけある。

  乗せられて、オレも含めて全員が思わず手を出す。

  組み合わせは――。

  ◆◆◆

  「シャフトさん、一緒の部屋だけどよろしくね」

  「ええ。よろしくお願いします。オペレーターさん」

  「……………………。」

  なんでこーなる。

  なんだっけ、起こって欲しくないことこそ起こる法則のこと。

  マーフィー? フレミング? ベンフォード?

  現実逃避してみても変わらない。

  ……やっぱりというか何と言うか。オレの相部屋はトウシュウになった。

  “リグザ”のバイザー越しの何とも言えない表情を見てか、オペレーターが取りなすように言う。

  「人間ペアと獣人ペアだから理にかなってるでしょ」

  「……フン」

  そーですね。たしかに。

  何が合理的なのか、実際自分でももうよくワカラナイし!

  「それじゃ明日、ここに集合。朝は各自の宿で出るから」

  オレがその背をぼんやり見送っていると、背後でトウシュウが言った。

  「いつまでもヘソを曲げているな。決まったのだから、さっさと行くぞ」

  振り返れば、すたすた行ってしまう後姿。

  慌てて追いすがって、

  「あ、あんたと同部屋が嫌ってわけじゃないよ、ただ……」

  「ただ?」

  「…………なんでもない」

  

  それもあるけど。

  それもあるけど――、

  誰もあんたのシースルーにツッコまない世界線が怖いんだって!!!

  ◆◆◆

  トウシュウは、さっきの特訓で新しい力を得たらしい。

  今はその新形態に慣れたいらしく、変身を解かないままにしてもらっている。

  バトルのような激しい消費行動はできず、おそらく時間経過で戻ってしまうだろうと言うことだったが……なんともマジメなおっさんだ。

  それにしても、新形態……いい響きだ。

  フォームチェンジとか男の子の夢が詰まってる。

  ――オレはまたしても、ちょっぴり現実逃避をしている。

  だって……と思う。

  そりゃこの人とはそれなりに打ち解けたけど!

  気まずさってやつはそんなに簡単になくなるわけでもないじゃないか!!

  さっきから言い訳ばかりしているオレ。

  それがどうしてなのか、自分でもよくわからないが。

  トウシュウに次いで宿に入った。店主から鍵を受け取っている。

  上への階段は奥にあるようだ。

  「ここから登るのか」

  「すごい階段だな……」

  その宿はヨーロッパ風のこぢんまりした三角屋根の建物だった。

  目的の部屋は三階、最上階。一番上はその一部屋のみらしい。

  ……いや、返す返すそこまでリアルにする必要があるのかどうか。

  この仮想世界、作った奴は相当なオタクに違いない。

  見上げるほどの階段を、一段一段ゆっくりと昇っていく。

  脚にも腰にも疲労を感じる。さっきの特訓と戦闘のダメージが蓄積している。

  

  トウシュウも、と見上げて、オレは軽く硬直する。

  ……ふんどしって、尻丸出しじゃないか…………。

  思わずまじまじ見てしまう。

  いやこれはアレなナニではなく、鍛え抜かれた肉体の参考にと言うか。

  脚もぶっとい。身体のあちこちに刻まれている傷も、歴戦の戦士の証だ。

  ……ああ、オレはそれが、少しうらやましいんだ。

  「ぶふっ!?」

  んで、そんなことをぼんやり考えていたら顔をぶつけた。というか埋まった。

  尻に。硬い。デカい。

  「おいっ、気を付けぬか」

  「ごっ、ごめん! そんなつもりじゃ!」

  「どんなつもりだ」

  慌てて言い[[rb:繕 > つくろ]]って、跳ねるように上がった狭い踊り場。

  目の前が部屋の扉で、男二人で立ったらほぼ密着状態の狭さだ。

  身の置き場に困ってオレがわたわたしていると――トウシュウの身体が、ふら、と揺れた。

  「!? あぶなっ――大丈夫か!?」

  咄嗟に支える。えっえっ、まさかオレのせい!?

  手には硬く引き締まった筋肉の感触。

  「……少し、慣れないことをしすぎたようだ」

  悪態をつかれるかと思ったが、トウシュウは低く呟いただけ。

  目線もいくらか伏し目がちになっている。

  ……びっくりした。彼の疲労もピークだったらしい。

  「大丈夫か?」

  「すまん」

  「ん……ううん……」

  年上に、それもこの人に素直に謝られると困ってしまう。

  この人は、こういうところがあるから――。

  「――ほら、開けるよ。鍵貸して」

  「ん……」

  トウシュウから鍵を受け取って、年季の入った扉を開ける。

  彼を先に入らせて、そして――その後に入ったオレは悲鳴を上げる。

  「ベッドひとつしかないんだけどぉーーーーーー!?」

  「ああ、うるさい」

  結局悪態をつかれました。はい。

  ◆◆◆

  最上階の部屋は、三角屋根の形に天井が低くなっていて。

  壁には正方形の出窓付き。格子ガラスの向こうには月も見える。

  明かりはそれと、薄暗いランプだけ。雰囲気ばっちり。

  古いアニメでみるような、どこかワクワクする屋根裏部屋そのまんまだ。

  ……いや、今はそんなことにほっこりしている場合じゃない。

  問題のベッド。

  部屋の中心にあるそれは、いちおうキングサイズ? とは言っても……、

  「だっ、だって、だってだって、一緒にねねね、寝るんだぞ!」

  「静かにしてくれ。――仲間と雑魚寝などもしたことがないのか?」

  「んぐぅ」

  ありますけど。ゲーマー合宿とかありましたけどぉ?

  言いたい。このおっさんに教えてあげたい。

  ゲーマーだって結構過酷なんだ。数時間特訓した後、菓子パンやらカップ麺やらを食べて、そのまま寝袋で寝たりするんだ。すげー腰痛くなるんだぞ。あ、カップ麺食いたい。

  「水は……出るようだ」

  トウシュウはそんなこちらはお構いなしに、備え付けの洗面所で手拭いを濡らしている。

  さっさと顔を拭いて、笠を外して羽織りを下ろして……あ、シースルーの前掛け部分も外した。ということは、ふんどし一丁で寝るのか。

  それなら寝る際の和装ということで……いい、の、か? ふんどし?

  オレの頭上を飛び交う疑問符などいざ知らず、トウシュウはベッドに腰かけて、黙って寝支度を整えていく。

  足装具も外し、足袋も脱ぐ。ふくらはぎのあたりを何度も揉んでいる。

  疲れてるんだ。無理もない。

  「明日、時間があればまた、稽古に付き合ってくれ」

  「えっ」

  ぽつりと言われた言葉にオレが目を瞬くと――こちらを向いた彼と目が合った。

  薄いランプの光に照らされた顔。その瞳が、きらりと光を反射した。

  「お主が嫌でなければ」

  「う、うん…………。嫌じゃ、ない、よ」

  本音だった。嫌じゃないんだ……全然。

  トウシュウが何か言った。

  それから首をこきこき鳴らして――背を向けた。

  「では、拙者は先に休ませてもらう。貴様も夜更かしするなよ。寝坊するぞ」

  「こっ、子ども扱いするな」

  「フン、おっさんだからな」

  ……根に持ってる。

  彼はそのまま、身体を横たえた。

  「おやすみ」

  「――――。」

  オレは口をへの字にしたまま立ち尽くしていた。

  ……わかってる。この人は礼儀正しい。かなり気も回る。

  こんなにキャンキャン言ってるオレにもちゃんと挨拶するし、ベッドだってしっかり半分開けてくれているし、気にならないように背中を向けてくれているし。

  それに今――ありがとう、と言ったのだ。

  この人が、見習うべき先輩であることは間違いない。

  くそう。オレは認めた。どちらかと言えば、自分の青さを。

  「…………。」

  オレもアーマーを外してインナーだけになる。

  ……このインナー、身体のラインがかなりくっきり出ていて、よく見たらアレな恰好なのは、ふんどし一丁とあまり変わらないかもしれない。

  さっと身体を拭く。そんなに汚れてもいない。

  ここは食事もできる仮想空間だけど、汗やらなにやらの不快さは抑えられているみたいだ。さすがにそうじゃなきゃ困るが。

  そうしてオレも、ベッドに乗って横になる。

  隣のトウシュウを起こさないように、そっと。

  「…………おやすみ」

  呟くように放った言葉が、彼に届いていたのかどうかは、わからなかった。

  [newpage]

  「…………とう、さん」

  夢の中で、いつも思い出す。

  オレの胸の中に、いつまでもあるその姿を。

  大きくて、温かくて、がっしりした身体。

  オレが思い切り抱きついてもびくともしない。

  「………………ぃ、ぉぃっ……!」

  遠くで、何かが聞こえる。

  もしまた会えたら……。

  こうして、ぎゅっとして……。

  その存在を、確かめたいんだ。

  大好きな……。

  「……きさ、まっ……やめぬか…………!」

  「とう、さん……?」

  はっと目を覚ます。いつもの夢?

  けど違うことにすぐ気が付く。

  現実に思考が追いついてくる。

  身体の下の硬い感触に目を見開けば。

  オレは、トウシュウの上にのし掛かっていたのだった。

  ◆◆◆

  「??????????」

  オレは今、激しく混乱しています。

  だってその、厚く鍛えられた胸板がオレの顔の下にあって。

  もちろん、夢で見ていた人のじゃない。獅子獣人のサムライのそれだ。

  

  しかもその胸の突起、ピンと立った先端に…………えーっと、オレの口から糸を引くヨダレが……、え、と……まさか。

  [[rb: 雄っぱい > 吸ってた]]?

  

  ちら、と上目遣いで見れば。

  獅子獣人――トウシュウが、信じられないものを見る目でこちらを睨んでいた。

  疲れは隠せず半眼気味だったが、頬は真っ赤だ。怒ってる。

  ……いえあの、オレだって信じられないけど…………。

  “リグザ”の身体は結構大きいから。

  つまりその、寝込みを襲うような形なら、この武人が相手でも……可能、なの?

  さらに今更気付けば、オレの片足がトウシュウの脚に絡みついていて。

  いやこれは抱き枕を身体に挟んで寝る時の恰好で……。

  さらにさらに。

  [[rb:跨 > またが]]るオレの下半身、インナーの股間を高く押し上げているナニが、その。

  ……彼の太腿に、がっつりと押し付けられていて。

  

  どう見ても言い訳不可です本当にありがとうございました。

  「き、貴様……よ、夜這い、だと……」

  「ぇっ、や、それは……!」

  引きつって言うトウシュウに、反射的に逃げようとしてしまう。

  ばっと身を引いて手をついた先、薄い毛布がズルっと滑った。

  バランスを崩したオレは――彼の股間に頭突きした。バイザーで。

  

  「ぐうぉっ!? ――っ、キサマぁ!!」

  「わあーごめん!」

  ぐいと頭を押さえつけられる。

  [[rb:叩 > はた]]かれるかと身をすくめ――、

  「こんなことをしおって……!」

  「!!」

  目の前に突き付けられたそれに、大きく息を呑んだ。

  白いふんどし越しに押し上げる、雄の象徴。

  尻や脚の大きさからも納得しかないデカさ。

  ……これはあの、疲れナントカとかいうやつでしょう、か?

  「こんなで、寝られるかっ、責任を取れ……!」

  「ひっ――――」

  ふんどしがズラされて飛び出したそれを前に、喉の奥で音が鳴った。

  鼻をつく強い雄の臭い。顔の近くで感じる熱。

  ホントに仮想世界だよなあここ!?

  「ちょ……ちょっと、まって……」

  「何が待ってだ……キサマ、さきほどから、あんな……!」

  ドン引きしつつも、オレは目の前のそれから目を離すことができない。

  硬さと柔らかさを備えた肉の棒。先端には雫の珠が光っている。

  ……興奮、してる。トウシュウも、そんな風になるんだ。

  それを認識した途端――、オレの下腹をどろりと熱いものが流れた。

  「――――っ」

  ごくりと唾を呑み込んで、おそるおそる握りしめた。祈るみたいに、両手で。

  トウシュウが身体を硬くする。

  彼の欲望が、オレの手の中でどくどくと脈打っている。

  

  はじめはゆっくり、上下に動かしてみる。

  それから親指で、先端の露を亀頭や筋に沿って丁寧に伸ばしていく。

  短い呼気を荒くするトウシュウ。気持ちいい、みたいだ。

  少しだけ冷静になれたオレは、とっぷりとした袋を片手に乗せて、マッサージするみたいに揉んでみたりする。

  いちいちびくりとする反応を確かめながら、更に脚の付け根や、その奥へ指を這わせていく。

  ……うわ、こっちにも毛が繋がってる……エロい…………。

  顔を近づけて、下腹部に頬ずりした。ごわごわした体毛と陰毛の感触。

  そしてオレは、トウシュウ自身を一気に口に含んだ。

  「おっ――、うぅっ――」

  呻きを押し殺しながらも、トウシュウが耐えきれなかったようにオレの後頭部に手を置いた。感じてる。

  ぐちゅぐちゅとわざと音を立てて、それを何度も繰り返す。

  もっと激しくしようと――太い指がオレのうなじあたりを強く掴んだ。

  動きを止めて見上げると、鋭い目つきが見返してくる。

  「……下りろ」

  オレは大人しく従う。そりゃ、一つしかないベッド、汚したくないもんな。

  そうして窓辺で向かい合って立つと、

  「キサマも…………っ」

  トウシュウがやや怒ったみたいに言う。

  オレは小さく頷いて、下半身のインナーをずり下げた。

  布の下で痛いくらいになっていたそれが跳ねた。たっぷりの先走りで濡れている。

  ……パンツもインナーも、汚れてるな。間違いなく。

  そうして立ったまま、互いの欲望を握り合って熱い呼吸を交わすオレたち。

  部屋のランプはいつの間にか消えていた。

  あるのは差し込む冴えた青い月の光だけ。

  暗い部屋の中で、ヒーローでもある二人が絡み合うのは、ひどく淫靡に思えた。

  ……いいのかよ、こんなことして…………。

  けれど熱を帯びていく思考が冷静さを塗りつぶしていく。

  そして――気付いてしまう。トウシュウの顔、近い。

  相変わらずのしかめっ面。でも今ならわかる。

  色々な感情がないまぜになった表情。きっとそれは、オレと同じ。

  そうしてオレは改めて認識する。この人も、現実的な男なんだ。

  オレは躊躇なく、その口に自分の舌を差し入れていた。

  「ふっ……!? ま、てっ……きさ、ま……ん……」

  身を引くトウシュウ。けど、狭い部屋。後ろはすぐ壁だ。下がれない。

  オレはそのまま食いついた。逃げられないように、幾度も。

  トウシュウは抵抗する素振りをみせて、だがすぐ観念したように力を抜いた。

  オレは、その顔を貪るようなキスをする。

  唇に、髭に、鬣に、頬に、鼻に。彼の顔のパーツ全てを確かめるみたいに。

  トウシュウはぎゅっと顔をしかめながら、それを受け入れていた。

  制御の効かない若い雄をなだめているよう。

  くそう。実際その通りなんだけど、悔しい。

  オレは呼吸に合わせて上下する胸に手を伸ばして、硬い突起を強くつねった。

  「おぅっ……! よせっ、やめろ……!」

  びくりと身を震わせる雄に笑ってやる。

  ついでに鼻の頭をぺろっと舐めてやった。

  「……はは、トウシュウ、ここ、感じるんだ……やらしい」

  「……やかましい」

  低く唸って睨まれた途端、下着ごとインナーを下ろされていた。

  「あっ――――」

  下半身が空気にさらされる感覚。あたふたしている間に上も剥ぎ取られてしまう。

  嘘だろ。バイザーだけ残して全裸とか。

  そのまま腰から抱えられて、出窓に押し倒された。

  獅子獣人の大きく厚い身体が、のし掛かるように覆いかぶさってくる。

  「いっ――――あっ、ああ――んっ」

  首筋に甘噛み。ピリっとした痛みに声が漏れる。

  お返しとばかりにあちこちを愛撫され、その度に震えるオレの身体。

  そして彼の顔が脚の間へと――。

  「やっ――まって、そこは――」

  逃れようとするオレの両手ががっしり掴まれる。

  さらに腰を両サイドから肘で固定されて、オレは完全に抑え込まれた。

  「あぅ――っ!?」

  ぞりっとした感触に身が跳ねた。脳の裏に迸る電流。

  ざらざらした舌が、最も敏感な部分を責め立ててくる。

  腰が反射的に暴れるも、押さえつけられたオレは逃げられない。

  強く、弱く。緩急をつけたストロークに下半身が持って行かれそうになる。

  やめてと身体で示しても――止めてくれない。

  雄としての力の差を見せつけるように。

  オレの身体が征服されていく。

  「トウ、トウシュウ……っ! イっちゃ、イっちゃうからぁ……っ!」

  冗談みたいなほど仰け反って――本当に、達する寸前で解放された。

  ガクガク震えるオレの身体。思考が白く染まりかけている。

  滲んだ視界の果てで、仰向けのオレを見下ろすしかめっ面が遠くに見える。

  月光に照らされた雄々しい肉体が汗で鋼のように輝いている。

  天井で、肩で息をする大きな影が蠢いている。

  フゥゥ、と大きく息を吐く音が聞こえた。

  「……どうして欲しい」

  「…………。…………キス……、して」

  ――また、トウシュウの身体がオレに覆いかぶさってきた。

  オレも待ってましたとばかりに大きく口を開けて舌を絡める。

  さっきはぎこちなかった動きが今度は滑らか。

  互いの熱を交換するように、何度も何度も唾液を交換する。

  やばい……すげー気持ちいい……。

  下半身がじんじん痺れて、感覚がなくなってきた。これだけで達してしまいそう。

  首に腕を回してしがみつく。ぎゅっと。強く。

  無骨で大きな手が下に伸びて、自身とオレのそれを合わせて握って扱きだす。

  粘液まみれの先っぽが擦り合わされて、ぞくぞくする快感が神経を荒らす。

  「んあぁ……んぅぃっ、んぅ……」

  変な声、出るぅ……。

  とろとろに溶けていく意識の中、オレはがむしゃらに彼の身体に足を回した。

  彼の熱が、もっと、欲しい。

  「トウ、シュウ…………もっと……」

  舌を絡めながら絶え絶えに言うが、空いている手でぐっとバイザーを抑えられた。

  バカなことを言うな、というように。

  ほどなく――トウシュウが身を強張らせて、

  「リグザ……っ」

  「……! トウシュウ……」

  ほぼ同時、ふたつの身体が激しく跳ねる。

  熱く爆ぜた白濁が、彼の手と二人の腹と胸を、汚していた。

  「…………!………!」

  「…………………っ、…………」

  しばらく、獣のような唸り声だけが狭い部屋に充満していた。

  月光に裸の身体を晒して荒く息をして。

  ぐったり力が抜け落ちる感覚に身を任せながらも、オレは思っていた。

  …………ホントに、どんだけリアルなんだよ、この仮想世界…………。

  ◆◆◆

  翌朝、広場で合流するとオペレーターがさっそく声をかけてくる。

  「おはよう。トウシュウ先生とケンカしなかったー?」

  「ん……」

  ケンカはしなかったけど、もっとすごいことはしました。

  うわの空で思うオレである。

  ――あの後、お互い無言のまま身体を拭いて。寝ろ、とだけ言うトウシュウに、寝れるかぁ! と反射的に言いそうになったものの、横になったオレは即爆睡。

  そして目を覚ました時には彼の姿はなく。

  窓がわずかに開いていて、朝の清涼な空気が鼻に清々しかった。

  しばらくぼーっとした後で、危なっかしい階段を下りていくと、彼は食堂で待ってくれていた。

  まあ、食事は言葉少なに終わり今に至って。

  ……昨日までのとは、別の気まずさが発生しているんだが。

  今そんなトウシュウは……と見れば、向こうで何でも無い顔をして他のメンバーと話している。

  大人の余裕見せつけやがって。くそう。

  オレはまだ……その、色々……。

  言葉少ななオレの様子を違う意味で取ったか、オペレーターが言う。

  「ごめん。今日も部屋なかったらさ、部屋分け替えよ」

  「あー……いや、その」

  歯切れ悪く、口をぱくぱくしてしまうオレ。

  ……それから、思わず言ってしまった。

  視界の端で、彼がちら、とこちらを見るのを認識しながら。

  「このままで、いいよ……部屋」

  ◆◆◆

  「バーチャルナイト リアライズ! ~ダイブした仮想世界がリアルすぎて獅子獣人のサムライとXXXしました~」

  ――承認。