人を食うことで有名な猫くんと同居人になってしまった人間の末路
「先輩、僕もう先輩なしじゃ生きてけそうにもないです。…どうしても寂しくて」
「おいおい、俺は男だぜ?」
「わかってるんです。でも、先輩みたいな優しくてたくましい人って側にいるだけで安心できて…」
「へへっ野郎にいわれても嬉しくねえな~」
「だから、先輩の血が欲しいんです。」
「へ?」
「先輩の赤い血潮が飲みたくなるんです。こんな優しげな人が生きて循環している血液が、僕の中に入ったら、きっと安心すると思うんです。」
「だからいっかいだけでいいから、飲みたいです。」
「吸血鬼みたいなこというなよ…」
先輩は飲ませてくれなかったので、仕方ないと三毛猫くんは強行手段に出てしまいました。
睡眠薬をのませてから、こそっと首に噛みついたのです。そして血管という血潮の流れに牙がたどり着くと、じゅるる…と彼の暖かい生き血をすすり飲みし始めました。
ごくっごくっ
「おいしい…おいしいなあ…先輩には悪いけど、先輩の血液は溌剌としていて、とても新鮮、臭みもすくない、だからとても、おいしいんですよね。ああっ苦しそうな顔をして…ごめんなさい。
だけど、やっぱりおいしくてたまらないです。」
唾液と血液で光る噛み跡に牙を差し込み、再びずずずうとヘモグロビンたっぷりの生き血をすする三毛猫くん。
「ごろごろごろ…なんて美味しいんでしょう。なかなかありつけないです。先輩、ごめんなさい。先輩のジューシーな血潮、頂いちゃって。すごく幸せです…。」
それから三毛猫くんは、中途半端に食べ残したくないこだわりと起き抜けに失望される怖さとが責めぎあって、永眠するまで血を吸い付くしてしまいました。
三毛猫くんの胃袋の中に人間ひとりぶんの
赤くて美味な飲み物がたっぷたぷに収納されて、
三毛猫くんは気分がよくなりました。
「はぁん、おいしかったです。先輩、ごちそうさまでした。んあぁ…眠くなってきちゃった…
先輩ぃ、明日もがんばりましょうねぇ~。」
食後のあくびをすると、先輩を食い殺した事実もぼやけて、いつものように、彼をお布団で寝かせて、
真上に身を丸めて横たわり、すやすやと寝ついてしまいました。
朝になって三毛猫くんの自己評価はドン底に陥るのでした…。