僕は仕事の帰り道でハチワレの猫を曳きかけた。
猫は僕をちらりと見た後、路地裏に入っていった。
その日の夜、僕は夢を見た。
曳き殺しかけたハチワレの白黒バイカラーの猫が僕の目の前に来て、すごくにこやかに言った。
「こんにちは。覚えてる?君が自転車でひき殺しかけた猫だよ、僕はね。」
何も言えないでいると、ハチワレは姿を変え、人と同じくらい僕より背丈が同じで、胴が二回りくらい大きい猫お兄さんになって、「なんで黙ってるの?」とにこやかな笑顔のまま聞いてきた。
何故か喋れない。ごめんなさいと言いたいのに言葉が出てこない。
「だまってちゃあ、わからないよ?ごめんなさいも言えないの?」
猫お兄さんが距離を詰めてくる。妙にリアルで毛並みや温かさや息のかかり具合もこそばゆい。
この生暖かさもまるで毛布のようで、なんとなく温かい。でもその、温かい猫お兄さんの発する言葉は僕の謝罪の要求だ。「言えないんだ…自分が悪いって思ってないから。きみって」猫お兄さんは妙に口角を釣り上げたまま、ねっとりとゆっくりめに言葉をつむぐ。「さいていだね」耳元でゆっくりと囁く猫お兄さん。
ぞくりとした。これから何をされるんだろうと思った。けど、猫お兄さんはふふふっと不気味に笑って、僕の怯える様をみて満足したらしい。
「きみって最低だからね。だからこれから毎晩、君の夢に化けて出てあげるね。きみがほんとうはふつうをとりつくろってる最低な生き物だってことをすりこんであげる。」
次の日も、そのまた次の日も、僕の理想の猫お兄さんの姿で、君は最低でクズで死ねばいいのにと、笑顔でにこやかにそっと言葉の湯葉をかけられて味付けされるかのように、すりこまれていった。
僕は最低でくずなんだ。と、思ったその日、今度は猫お兄さんの教育がはじまった。
「きみはくずだから、こんなことを強要されても仕方ないんだ。」という流れで無理やりちんちんを触られた。「きみってちんちんだけはかわいいから、それだけがとりえだね。あとはごみだよ。ごみ。わかった?」「僕のいうことを聞いたら、良い子になれるよ。ちゃんと聞いてね?」
そういう流れで、僕は夢の中で、何度も猫お兄さんのねこちんをしゃぶった。何度もズタズタになった口の中に精液が流し込まれた。ちゃんと吐き出さずに飲んだら褒めてくれた。ご褒美にちんちんを舐めてもらえて、猫お兄さんの機嫌がいいときにはフェラ抜きしてくれた。でも機嫌が悪いときにはとことんいじめ抜かれて、ちんちんを突っ込まれて窒息して目覚めたり、お尻の中に入れられて何度も猫お兄さんが上でプレスされて貫かれたまま圧死しそうになったり、僕がちんちんを入れられたまま、じっとりと湿った肉球で首を絞められたまま、セックスさせられた。口答えすると、言葉責めされながら、耳と首を舐め回され、不意打ちでざっくりと噛まれた。すごく痛いのに、ごめんねとやさしい言葉をかけられると、気持ちよくってなにもいえなくなってしまう。夢の中に入ると、身体は毎回五体満足のはずなのに、今まで血まみれにずたずたになるまで教育されて、愛玩された記憶がよみがえってきて怖くなるんだ。猫お兄さんのことを見ると、噛み傷やひっかき傷の痛み、お尻の裂傷、窒息した記憶がよみがえって叫びたくなる。猫お兄さんが怖くてたまらないのに、あの優しい声でよしよしされたら、幸せの絶頂にいるような気がしてしまうんだ。
「よかったねえ、仕事も順調に勤めて…えらいねえ…えらいよ…自分の立場をわきまえて、きみはちゃんと仕事をできるんだから。」「ねえ、そうだよね?じゃあ、ぼくのおちんちん気持ちよくできるよね?」
僕は涙を流しながら、猫お兄さんのとげとげしいちんちんをほおばる。夢の中なのに噎せ返るようなクセになる匂いが広がる。「よしよし、えらいぞお…」頭を撫でる肉球の接触する感触が気持ちよくてまた僕は何もかもどうでもよくなってしまった。猫お兄さんの機嫌だけとれば生きていけるんだ。
現実を生きているのか、夢を生きているのか、どちらが長いのかわからない。
でも、猫お兄さんの奴隷であることが幸せなのは確かだった。幸せの…はず。だってよしよしされると楽しくなれるんだから。
「何も考えなくていいよ。きみは悪いことしか考えられない悪いペットなんだからね。」
ああっ…たす…たす…猫お兄さんとキスをした。半ば強制的な。「これで、君はもう僕の所有物だ。もう目覚めなくていいんだよ。たくさん愛してあげるね…ふふっじゃあ、記念に消えない傷をたくさんつけてあげようね。君が誰にもとられないようにしてあげる。」