優しくて怪しい猫お兄さんと相部屋になってそのまま飼われてしまう話

  いつも同居している猫お兄さんは優しい。

  家事をこなしてくれて、猫お兄さん自身も仕事がないわけではないのに、僕の仕事の準備も手伝ってくれる。何でもしてくれる。

  何でも…最初の頃は怖かった。

  猫お兄さんにお金を払っている関係でもないのに、彼は優しくて、彼自身から進んで手助けを申し出てくれた。理由を聞いても、猫お兄さんはこれから同じ部屋で暮らす同じ寮の派遣仲間だからこれくらい当然だよ。といった感じで価値観も違うので、僕は怖くなって担当者に部屋を変えてもらいたいとこっそり申し出たが、同じ雇われものの筈なのに上の立場の担当者は猫お兄さんには逆らえないらしく、あとで、「ねえ、名無しくん、ひょっとして僕のこと怖い?」とあくまでさりげなく、皿洗いをしている時になんとなく気になった感じで聞いてきた。

  「そ、そんなことないですけど、なんで猫お兄さんがこんなに僕の世話をしてくれるのかがわからなくて…ふ、ふつ」

  「普通じゃないって…こと?」

  「…はい」

  「ふふ…そう、かもねえ…」その後に言葉が続くかと思われたが、あからさまにしゅん…と漫画のキャラクターのように、あるいはスコティッシュのように、耳を折り畳んで洗い物をしていた。藪蛇のような気がしたが、そうでもないようだ。僕は本当に親切で柔和な猫お兄さんの地雷を静かに踏んでしまったのかもしれない。そう思うとその時は心が痛くなった。その時は。

  …その夜のことだった。

  僕は猫お兄さんと口を聞くことが怖くて早めに布団に入って眠りについたのだが、目が覚めたのは翌日の朝ではなくて、布団の中よりも蒸し暑い毛布っ気のある何かに包まれた闇の中だった。それも服越しの感触よりも直接分厚い毛布で裸体を包み込まれているような気持ちのいいもふもふ感で、しかし暑くて、僕は身じろいだ。すると、毛布の方も僕を押さえ込もうとしてきて、そこで初めて僕は毛布ではない、毛布のような生き物…そう猫お兄さんの胸の中に抱かれているのではないかと勘付いた。

  けれど、それと同時に今まで忘れてしまっていたらしい感覚が文字通り体を下から貫いてきて、僕は大声で鳴いてしまった。

  「んあぁうっ゛!?」とっさに刻み込まれた快感によって音量の調節が間に合わずに、隣の壁に聞こえてしまいそうな程の汚喘ぎをあげてしまう。

  「…目が覚めたかな?そのまま眠ってくれてたらよかったのに…バレちゃあしょうがないねえ。」

  僕の口が猫お兄さんのたるんだお腹で塞がれ、どんなに悲鳴をあげても、隣部屋の同僚には聞こえなくなってしまった。猫お兄さんはしっかりと僕を太い腕とじっとり湿った指球と掌球でがっちりと僕の背中と肩を抑えて、少々野蛮げな荒い息遣いをしていた。僕は有無を言わさず肛門を穿り出すように使われていて、あまりのしんどさに泣き喘ぐことしかできなかった。「優しさで、言わないで、はぁっ、おいて、あげたけど、君には、直接っ、言って、しまった、方が、いいっウッ、らしいね!君はッ、買われたんだよ!そろそろイッちゃいそ…ウッ人身売買なんて!ありえないって!…はぁはっ思ってるだろうけど!事実っそうなんだよね…あぁっイクっ」

  ただでさえ、体格の差でお腹の中が下からつぶされそうなくらいのきつさで、

  根本まで猫お兄さんのおちんちんを受け入れさせられた僕は、猫お兄さんの純粋さを信じかけた甘っちょろい自分への情けなさで心をかき乱されながら、まるでモノのように性欲の捌け口として扱われ、あまりの急展開に壊されかけながら、お尻の奥に熱い液体をみゅくみゅくと注がれて、何がなんだかわからないまま、自身ののお腹と猫お兄さんのお腹に挟まれた自分自身のおちんちんからもちょろちょろと熱い何かがトロトロと零れ落ちるのを感じた。

  #

  性欲を満たした猫お兄さんはとても優しくなる。性欲に操られてしまうんだと反省されれば、僕は責められなかった。そういう甘いところに付け入られている自覚はあるけれど、三度ほど抱かれてしまったら、僕の方がもう抱かれたい雌のような性欲に勝てなくなり、自ら猫お兄さんの性欲のはけ口となるべく、身体を差し出すことをいとわなくなった。

  僕は仕事を辞めますとも言えなくなるまでに性奴隷として飼われる快感を刻み込まれた。ライン作業で動き回るというのに、常に準備万端にするための肛門矯正用の簡易ディルドはぴったりフィットしている。いつまで飼ってもらえるだろうかと、いつの日か捨てられる日が来てしまう不安ばかりが脳内に浮かぶようになってしまって情緒が安定しない。僕は生きていけるのだろうか。そんな感情も、直腸の中で蠢くおもちゃが感じさせてくれる快感で消えては浮き、消えては浮く。

  僕はもう何も考えられない…。

  猫お兄さんの手料理はおいしい。

  僕は猫お兄さんにおいしく頂かれる。

  それでいい。それしかない…。