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ヤクザが運命の番だった青年の末路

  獅子王猛。ヤクザの幹部。元々破壊衝動のようなものを持ち、現当主によって雇われる。

  恵まれた体格と、その荒々しい性格ですぐに頭角を現し、いつしかその名は日本全国の裏組織、そして警察にも轟いていった。

  しかしとはいえ、血も涙もない、無情なる殺人鬼とまで呼ばれた彼が、唯一愛する者の事を知る者は誰一人として居ない。

  ……それは一体何故なのだろうか?

  ……愛された彼は、愛されるからこそ、その身を拘束され、暗い暗い地下の部屋に閉じ込められているからだ。

  逃げる事を許されない、鋼鉄に覆われた無機質な部屋の中。

  彼は今日も、殺人鬼を喜ばす為の生贄として、その身を捧げる。

  これは、そんな歪な愛情を持った、一人の獅子獣人と、その対象となってしまった、哀れな青年のお話。

  [newpage]

  東龍会は、関東で最も名の知れた指定暴力団の一つであり、頭領の東根龍司が取り仕切る、バチバチの武闘派集団であった。

  その知名度は日本の政治界、財政界にまで及び、著名な政治家達がこぞって龍司に借りを作っているものだから、警察も迂闊に手を出すことが出来ず、今の今まで目立った犯罪行為も表上見つけられないまま、こうやって生き延びてきた、老獪な犯罪組織の一つだった。

  彼等が主に扱うのは闇金による金貸しと、その債務者がもし金を返す事が出来なかった場合、その身を売り渡す。つまりは、人身売買による利益だ。

  と言っても、彼等が行うのは臓器を取り出して売り払う等の行為ではない。文字通り、人を奴隷として売るという事。

  いつの時代も、金持ちはろくでもない娯楽の為に奴隷を欲しがり、そして彼らは、そのニーズに応える為の奴隷を調教して売り渡す。

  獅子王猛は、そんな商品の調教師、その一人だった。

  調教師は、対象の身体が壊れない程度に心を壊し、従順で、様々な命令を聞く奴隷を作り上げる。カリスマ調教師として名が知れていた。

  特に人気があるのは、若い女の奴隷であり、大半が金を払えなかった債務者の娘だった者達だ。

  場合によっては男を欲しがる者もいるが、男の場合はむしろ気兼ねなくやれて楽だと思う。獅子王はどちらかというと痛みによる調教を得意としている為、ある程度傷が付いていても売れる男は、気を使う必要がない分得意だった。

  獅子王猛は真性のドSであり、いつだって対象を征服したいという気持ちに駆られたサディストだ。しかしそれでも商品相手には手加減している方で、実際の所はもっともっと、痛みによる悲鳴を聞き、悦に浸りたいとずっとそう考えている。

  しかし商品は傷付け過ぎると飼い主の楽しみを奪う事になって不評を買うし、いつも中途半端な調教にはフラストレーションが溜まって嫌になるが、これでもそれらの腕が良いので、多数の依頼が入ってしまう人気調教師なのだ。仕事を蹴れば雇い主である龍司の顔に泥を塗る行為となり、最悪命を持って償わねばならない背反行為と見なされる事になる。

  しかしそれでも獅子王がその仕事を続けられているのは、一人の奴隷の存在が関係していたのだった。

  「帰ったぞ…昴。」

  とある屋敷の地下には、設計図にも乗っていない、所謂隠し部屋とも言える、巨大な鉄の檻が建造されていた。

  そこは獅子王の持つアプリと声紋認証でしか開く事が出来ず、彼だけの秘密の部屋として機能し、他の誰も、あの龍司でさえもその存在を知らない。そんなプライベートな部屋だった。

  中央に置かれた巨大なベットの上には、少しやつれたようにも見える人間の青年が一人横たわっている。

  獅子王が声を掛けると、ビクリと身体を震わせた青年がゆっくり起き上がり、少し怯えた表情で獅子王を見上げ、そしてどこか慣れない様子で掠れた声を出した。

  「う…お、かえりなさいませ…ご主人様…」

  「ククク…ようやくちゃんと言えるようになったじゃねぇか。」

  獅子王が、青年の言葉を聞いて満足気にそう言うと、その頭をペットのように撫でる。

  いちいち脅えているのが少しマイナスだが、最初の頃、この場所に馴染めず、反抗的な態度ばかりとっていた頃とは違って大分良くなった方だ。

  今では、戸惑いこそするものの、命令の大半をこなすようになった。

  彼と出会って一年の間に、たったこれだけしか調教が進んでいない。それは、獅子王にとってはもどかしい時間だったが、だからこそ彼に夢中になれる要素の一つでもある。

  今日も今日とて、獅子王は青年を、自らの奴隷として相応しく、調教を行うのだ。

  その前に、青年のこれまでの物語を、おさらいしておくとしようか。

  ーーーー

  青年は組に金を借りておきながら、その金を返す事が出来ず、契約によって身柄を引き渡された、よく居る債務者の家族の一人だった。

  父親はとある薬品会社の研究者兼社長であったが、Ωの発情を抑制する為の薬。それを開発しようとして、足りない研究資金を東龍会に借りていたのである。

  元々様々な金融会社から借金をしていたが、結果的に薬の開発は上手くいかず、金を返す事も出来ないまま、闇金であると知りつつも組に金を借りたようだったが、しかしそれでも、最終的に薬を完成まで持っていくことは出来ず、首の回らなくなった男は東龍会に捕まり、その後家族は拘束されてしまった。

  父親が借金までして薬を完成させようとしたのは、全ては青年の為だった。

  Ωの発情を抑制する薬は、実際のところ現在でも流通していない訳では無かったのだが、その薬は保険も効かず、そのせいで金額も高額であり、庶民の手の出せるような代物では無かったのだ。

  Ωという存在が稀有であり、そもそも薬の需要があまりない事、また、材料を様々な工程を経て加工しなければならず、大変手間がかかる事。

  それらの理由から薬は高額であり、青年はいつも発情に悩まされていて、部屋に籠りきりの生活を送っていた。

  単に発情するだけならば、一週間も耐えれば良いだけだが、青年の場合は程度が違う。

  発情はまるで発作のように、毎日不規則なタイミングで発生し、その都度放出される強いフェロモンは、βでさえも影響を受ける、特殊な発情形態だったのである。

  あまりにも頻繁に、そして強力な発情を行う青年は、学校でも除け者にされ中退。近所の家々からも苦情が寄せられ、塀には酷い落書きまでされる始末。

  発情する度青年自体にも強い負担がかかる為、薬が無ければまともに生活する事も出来ず、父子家庭であった家族は、徐々に経済的な困窮を免れなくなっていった。

  そしてその結果、父親は、妻の忘れ形見である息子を守ろうとΩ専用の抑制剤を作ろうとしたのだが……。

  最終的に、彼らの人生はどん底に落ち、もはや再起不可能な程、手遅れの状態になってしまったのだ。

  父親は最後、息子だけでも助けてくれと懇願したが、しかし勿論、そのような願いが彼等に受け入れられる事は無かった。

  元よりΩという存在が稀有であり、その愛好家が少なからず居ること。

  更に言えば、βでさえ引き寄せる程強いフェロモンを持つ珍しい個体なら、αだけでなく、βの金持ちにも需要がある事。

  そう言った理由もあって、当たり前のように青年は捕われ、そして、その身を闇の世界に捧げる事になってしまったのだった。

  しかしそこで一つ、予想外の出来事が起きる。

  青年の父親を、自らの手で拷問に掛け、更に青年の調教を行うはずだった獅子王猛。彼が珍しく、調教に失敗して青年を殺してしまったのだと言い始めたのだ。

  長年東龍会の調教担当として務めてきた獅子王が、組に入りたての未熟な時ならばいざ知らず、まさか今になって貴重なΩの青年を殺してしまうとは。

  東龍会重鎮達の間で、獅子王の失態をどうするべきか話し合ったが、しかし意外にも彼は全くの無罪放免。罰を受けることもなく、また、肝心の青年の死体もロクに確認しないままで、この事件は無かった事にされた。

  元々発情は、Ωの精神的状態によって、その状況が酷く変化する場合もある。父親を殺されたと知った青年は取り乱し、強い発情に耐えうるだけの精神力を既に持ち得なかった。

  しかし、珍しい個体であるため、そのような状況など理解出来るわけもなく、獅子王はいつも通り調教を開始。一応は様子を見て丁寧に扱ったつもりであったが、結果的に調教後、再度訪れた発情によって青年はあっさりと命を落とし、獅子王猛がそれを見つけて報告。実際に確認したところ青年は確かに亡くなっており、もはや手遅れの状態だった。そう関係者は口を揃えて重鎮達に話した。

  獅子王は東龍会の幹部であり、組に多大な貢献を与えてきた張本人だ。頭目の龍司も一目置く存在であり、部下による信頼も厚く、もはや組にとって無くてはならない存在でもある。だからこそ誰もが彼の言い分を信じたし、それまでの貢献もあって、一度くらいの失敗ならば大目に見てやろうという、そんな流れになった。

  よくよく考えれば不審な点はいくつもあって、例えば、死体を見たという獅子王の部下達は、実際には青年の死体を見ていなかったし、単に獅子王が確認したというから、それを信じて口裏を合わせただけだ。

  それに、これまで何千という調教を行ってきて、失敗した事など一度も無かった獅子王が、衰弱していたとはいえ、そう簡単に対象を殺してしまうことがあるだろうか。

  青年はΩで、獅子王はαである。βでさえ魅了する程のフェロモンを発する青年相手に、興奮が極まってついつい手加減したつもりが出来ていなかったという事もあるかも知れないが、本当にそれが真実か。

  考えれば考えただけ、疑問は浮かぶけれど、しかし最終的には、死んだ青年の事など数日で誰もが忘れ、そしてその存在を思い出すことも二度と無かった。所詮は、獅子王とその一部の部下以外、顔すら見ていない赤の他人の末路である。

  それも踏まえて、全ては獅子王に始めから仕組まれていた、綿密な計画の一部だったという事に、誰も気付く事は出来ず……。

  目を覚ますと青年は、無機質なコンクリートの壁に囲まれた、広い謎の部屋の中に居た。

  自身が服も着ず、素っ裸で寝そべっているのは、腕を目いっぱい広げても、端に届く事すらない巨大なベット。

  壁には見慣れない、縄や鞭、鎖や人の性器を模した張形があって、明らかに異質な、近寄り難い雰囲気を醸し出している。

  するとおもむろに、ガチャリと、2つある扉の1つが開いて、中からとても大柄な獅子獣人の男が現れた。彼は目を覚ました青年に気が付くと、少し口角を上げながらそっと近付いてきて、青年は思わずビクリと肩を震わせながら、ベットの上で後退りするしかなかった。

  「起きたみてぇだな。」

  「……お前は…父さんを殺した…っ」

  「……どうやら記憶は確からしい。」

  「忘れるわけない!」

  「ふ…」

  ベットに腰を下ろした獅子獣人の名前を、既に青年は知っていた。

  父親を拷問に掛けて惨たらしく殺し、自身を無理やり攫って誰かに売ろうとした男。忘れたくても忘れるわけも無い。

  青年は警戒心むき出して、獅子王を睨みつける。

  「…そう警戒すんなよ。俺様が居なかったら今頃、てめぇはどっかの金持ちに売られて良いように嬲られてたぞ?」

  「…だから何だ…!ここだってそれと何が違うんだ!」

  獅子王は青年の言葉に周りを見渡して、小さく笑うと「確かにな…」と自嘲気味に笑った。

  「まぁ、そうだな。だがまぁ、違いと言えば明確な違いも、一つある。」

  「……なっ…!」

  そう言って獅子王が青年の足を掴み、強引に引き寄せてその身体に覆い被さった。

  突然の出来事に、反射的に目をつぶって顔を僅かに背けた青年が、暫く何もない事を確認して薄らと目を開ければ、目の前にはいけ好かない笑顔で、こちらを見下ろす獅子王の野性味溢れた厳つい顔。

  その深紅の瞳はまるで、どこかの伝承に出てくる吸血鬼のように、妙に不気味で美しい、しかし恐怖を携えた、蠱惑的な輝きを放っていた。

  「てめぇは俺様のΩだ。」

  「……え?」

  「運命の番だって事だよ。」

  獅子王の言葉に、一瞬思考が停止する。

  この男が、自分の?

  運命の番とはつまり、αとΩにだけ存在する、生物学的に惹かれ合う存在という事だが。

  「お、俺はあんたの事なんか好きじゃない!」

  昴は、目の前の男に本能的な好意など抱いていななった。むしろ、嫌悪感すらあるレベルだ。

  それなのに運命の番?そんな馬鹿馬鹿しい話があるだろうか。昴はそう思って全力で獅子王の言葉を否定し、その身体を押し退けようと手に力を込めた。しかし……。

  「てめぇは確かに俺様の運命の番だ。それはこっちの本能が証明してる。…てめぇが俺様を運命だと思えないのは、その壊れた発情が関係してるんじゃねぇのか?」

  獅子王の大きく筋肉質な身体は、昴の腕力では微動だにもしなかった。

  そればかりか、尚更顔を近付けてきた獅子王が、そう言って自身の意見を曲げようともしない。

  本来ならば、Ωとα、運命の番であれば、二人出会った瞬間に、まるで雷が落ちるような感覚に会うと言うが、しかし昴はそのようなものを感じる事もなく、獅子王を運命の番などと思える訳もない。

  とはいえ、確かに言われて見れば、βをも魅了してしまう程のフェロモンを発する、普通とは違う発作的な発情を持つ自分だ。普通のΩといくつも違う部分があるのだから、自分が確かに間違っていないと言える材料が無いのも悔しいところだった。

  それでも昴は、獅子王の言葉を否定する。

  「ち、違う…!父さんを殺した奴が、俺の運命の番だなんて!」

  「…そう思うなら、身体に聞いてみっか?それなら一発で理解できるだろうよ。…運命の番だったら、俺様はてめぇの発情を支配出来る。薬なんか無くったって良いって訳だ。」

  「やめっ…!」

  運命の番であるαは、Ωの発情をコントロール出来るという話がある。

  それは、αの子を産むΩが、発情によって排卵しやすくし、確実に赤ん坊を孕めるようにする機能だと言うが、もしそれが本当なら、獅子王は昴の発情をコントロールし、薬が無くてもそれを抑制する事が出来るはずだ。

  操作するには、対象の首の裏、うなじに噛み付く必要があり、獅子王がそう言って顔を近づけてくると、昴は思わずその顔を殴ってしまって。

  「っ…!」

  「…あ」

  流石にこれだけ屈強な体格差があっても、顔面を殴られるのはダメージがあるのだろう。獅子王は僅かに顔を背けて、口の端からつぅ…と血液を垂らした。

  口の中を切ってしまったのだろうか。やってしまったと思う反面、一矢報いる事が出来た昴は、すぐに強気な表情へと戻るが、しかしそれは、獅子王の眉間に皺が寄り、その表情が仁王像のように険しくなるまでの短い間に過ぎなかった。

  「うぐっ…!」

  がっと手首を強く掴まれて、昴は思わずその痛みに呻き声を上げる。傍にあった縄を手繰り寄せた獅子王は、それを使って手馴れたように昴を雁字搦めにすると、立ち上がり、唇を腕で拭いながら昴を冷たく見下ろして……。

  「いいか?ご主人様に逆らったら一体どうなるか、今からその身体に教え込んでやる。……運命の番だからっつって手加減はしねぇ。てめぇと俺で、対等な関係を築けると思うな。」

  「…くそ…野郎!」

  獅子王の威圧的な言葉に、昴は自然と気圧されて身体が震えたが、それでもなお絶対に屈しないと、心だけは気高く反抗心を萎えさせる事は無かった。

  獅子王はそんな昴の言葉を聞くと目を細め、ゆっくりと踵を返せば、おそらく本格的な調教に入るつもりなのだろう。その場で着用していたスーツを手早く脱いでいく。

  ジムか何かできっちり鍛えているのだろう。年齢のせいか少し脂肪もついているが、立派な筋肉に覆われた男らしい背中がまず初めに見えた。

  次に椅子へと座り、手早くスラックスさえも脱ぎさってしまえば、高級そうな黒いビキニパンツが見えて、獅子王の引き締まった臀部が尚更強調されて主張し始める。

  彼は部屋の壁に備え付けられたロッカーを開けると、中から黒く光沢の放つ服を取り出して、その質感を堪能するかのように、ゆっくりとそれを着用していく。

  ラバーのベストは前を開け、豊満な胸と六つに割れた腹を露出した状態にし、同じくラバー質のパンツにも颯爽と足を通す。利き手である右手にだけ、同様の素材で作られたキチキチの手袋をし、そのまま壁に掛けられていた一本の皮鞭へと手を伸ばすと、それを持ってピシピシと自らの手のひらにリズムを取った。

  ゴクリと息を飲んで、身構えている昴へと向き直った獅子王は、相変わらず冷徹な表情で、まるで家畜でも見ているかのようにこちらを見下ろし……。

  そして勢いよく、床に向かって鞭を振り下ろす。瞬間、空気の弾ける凄まじい音が部屋の中に響き渡り、昴は思わず目を閉じて、ギュッと身体を縮こませたのだった。

  それを見た獅子王は、怯えた姿に溜飲が下がったのだろう。少しだけ口角を上げながら、その鞭の説明をする。

  「これはな。本来家畜を調教する時に使うブルウィップっつう一本鞭だ。家畜に使うもんだから、もちろん人間に使ったら服を着てたって思わず叫んじまう程痛てぇ威力になる。」

  「……っ」

  「それを生身の身体に使ったらどうなるか……わかるか?小僧。……打たれた場所は赤く腫れ上がり、蚯蚓脹れになって、肌は歪に盛り上がる。何度も打てば獣人の毛に覆われた硬い身体だって裂けて血が吹きでる程の威力だ。人間じゃあ、その痛みは想像を絶するだろうなぁ。」

  「や、やめっ…」

  「ご主人様に逆らったんだ。罰を受けるのは当たり前だろうが。……なぁ!!」

  ピシャァァ!!!

  「っあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?!?」

  獅子王の振るった鞭の先が、怯える昴の足を打って、瞬間、張り裂けるような絶叫が部屋に響いた。

  地下に作られたこの部屋は、分厚い土によって音が遮られる為、行き場をなくしたそれらは部屋の中に反響し、普通よりも素晴らしく声が響くように出来ている。

  腕を縛られた昴は、涙を浮かべながら、ズリズリとベットの上を這いずって、次の攻撃から逃れようとするが……。

  「何逃げようとしてんだっ!!」

  ビシャッッ!!

  「ひぎいいぃいぃいぃいぃ!!!」

  しかし、所詮は限られた空間の中での事。どんなに逃げようが、鞭の有効射程から出る事は出来ず、むしろそのように逃げようとする姿勢が、獅子王の反感を買うということを、昴はまだ理解出来ていない。

  「んん?さっきまでの威勢はどうしたんだ?なぁ?」

  「あ…ぐ…っ…くそ…」

  「痛てぇか?…痛てぇよなぁ?…ご主人様に逆らえば、容赦ねぇ罰が与えられる。一つ賢くなったじゃねぇか小僧。」

  「はっ…はっ…も、もう…やめ…」

  「あぁ?聞こえねぇよ!!!もっとデカい声で喋ってみろや!!!」

  

  ビュッ!!ビシィィ!!

  「うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!やめてぇぇっっ!!」

  「やめてください!だろうが!?言葉遣いのなってねぇ奴隷だなぁっ!!」

  ビシャ!!ビジッッ!!

  「やあ゛あ゛あ゛!!!!あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

  獅子王の振るう鞭は徐々に徐々に勢いを増し、また、それが狙う箇所もどんどんと痛みの強い場所へと変化していった。

  最初は感覚の鈍い足の先だったのが、次は脛、そして腕の前腕部分。

  昴の叫び声が上がって、気分が高揚していくにつれて、太腿や二の腕、背中や胸など、感覚が敏感な箇所を打ち始めるようになり、昴の白く美しかった肌には、赤い筋がいくつも出来上がっていった。

  予想通り、昴の悲鳴は、運命の番である為か、これまで行ってきたどの調教よりも、獅子王の感情を揺さぶって。

  「ククク…すっかり大人しくなっちまったもんだな。」

  「う…あ…」

  そう言いながら一度手を止めた。

  獅子王も、言いながら、実はそこまで余裕がある訳ではなく、昴の悲鳴が、予想以上に股間に響くのだ。

  本当ならば、今すぐ昴に覆いかぶさって、この猛りを勢いのまま発散したい。種付けしたい。

  そんな感情に駆られるが、それを何とか理性で押さえ込んで、荒く息を吐く。

  素の状態でこれだけ高揚してしまうのに、発情が始まったらどうなるのだろうか。

  恐ろしくもあり、楽しみでもあり……、獅子王は目の前の青年に心乱される、そんな状況に少なからず戸惑ってもいる自分を感じていた。

  (まさか、運命の番がこんだけヤバいとはな…)

  運命の番と言っても、所詮はどこにでもいるそこら辺の餓鬼と変わらない見た目をしているのに、どうしてこんなにも飢えに似たような感覚を得てしまうのか。

  理解に苦しむが、しかしそれ以上に、目の前で震える青年が愛しくも思う。そんな矛盾した感情が獅子王の中で渦巻いていた。

  「理解したか?」

  そう言ってこの男にしては珍しく、まさか奴隷相手にその場へ膝をつき、手を差し伸べた所で、昴はそれを全力で拒否した。

  「近寄るな!!変態!!触るな!!」

  「……っ」

  未だ、強く光を失わない瞳の色。それを見るだけで、獅子王の胸の奥から何か熱いものがとめどなく溢れ出てきてしまう。

  その生意気な声、口調…そして態度。決してそれは友好的な感情ではないのに、しかしそれでも、何故か一つ一つがまるで酷く甘いスイーツのように、獅子王の欲望を掴んで離さない。

  普通、他の奴隷がこのような態度を取ったのならば、死にたいと懇願するような罰を当たり前に与えるものだが。

  しかし今回ばかりはその逆。

  むしろもっともっと、自分に逆らい、そして出来るだけ長く、その威勢を保って欲しいと、そう思う。

  「そうかよ…」

  言いながら、微笑を浮かべた獅子王は、持っている鞭をピンとしならせて、その場から立ち上がった。

  この青年が、いつか自分の手に落ちて、懇願するように擦り寄ってくる。その時が今から楽しみだと、そう思いながら……。

  もう一度鞭を振るった。

  昴の叫び声がまた一つ、部屋に響き渡った。

  [newpage]

  「食え。餌だ。」

  「………」

  目の前には、ペット用の無機質な銀皿に入れられた、ミルクとその中に溶けるパンくずの残飯が差し出されている。

  昴はそれを見下ろしながら、少し隈の残る瞳で、嫌悪感を露わにしていた。

  身体中を鞭で叩かれた前日。あまりの痛みによって上手く寝る事が出来ず、一晩中ジクジクと火傷のように腫れる身体を抱きながら眠った夜は、最悪の一日となった。

  傷は徐々に腫れ上がり、少し身動ぎするだけでも薄くなって破れた肌が擦れ、痛みを伴う。

  少しでも栄養を取って休みたいというのに、差し出されたのがこんな残飯では、そりゃ嫌にもなるというものだ。

  諦めて手を伸ばし、それを飲もうとした所で、獅子王から待ったの声が入る。

  「何普通に食おうとしてんだ?まず食う時にゃ、ご主人様に感謝の言葉を述べ、その気持ちを表す為に奉仕してからだろうが。ふざけるなよ?」

  「…っそれはこっちの台詞だ!何で俺がそんな事しなきゃならないんだ!身体を痛め付けられただけじゃなく、こんな粗末なご飯で、感謝なんか出来るはずないだろ!」

  「……まだ自分の立場がよく分かってねぇようだな。」

  獅子王はそう言うと、一瞬にして昴の背後へと周り、そしてその身体を抱き締めるように拘束してしまった。

  「ぐっ…や、…めろ!」

  「鞭で打たれたのは自業自得だろうが。俺様に逆らったら酷い目に合うっていつになったら学習するんだ?ん?」

  獅子王の抱擁は、それだけで全身を蝕む痛みとなって、多大な影響を与えてくる。

  ツゥ…と鞭で蚯蚓脹れになった箇所を指先でなぞられると、何とも言えないゾッとした感覚が背筋を伝い、腹の奥に何か蠢いているような、そんな違和感が身体を襲った。

  ガッと顔をその大きな手で掴まれると、レザー特有の独特な匂いが、プンと鼻に漂ってくる。

  獅子王は、耳元に口を近付けてくると、昴へと小さな低い声で言葉を紡いできた。

  「いいか?もしてめぇが俺様以外の誰かの手に渡ってたら、今頃どんな事になってたと思う?」

  「……っ」

  「………こんな生易しいもんじゃねぇぞ?肥太った不潔な豚の男に飼われて、奉仕を要求される。嫌だなんだと駄々をこねれば、その瞬間、口煩いからと舌を切り取られて、その飼い主の夕飯にデザートとして並んでた事だろうよ。……それだけじゃねぇ、穴さえ使えりゃ問題ねぇと、薬で痛みを快楽に変換され、手と足も意識がある状態から、ゆっくり…じっくり、ノコギリでゴリゴリ削り取られるんだ。」

  「…ひっ」

  「痛みが快楽になってるから気持ちは良いんだぜ?…だが、頭は完全におかしくなって、てめぇは自らもっと切り刻んでくれと飼い主に要求する。舌もねぇから、うあうあ言って、芋虫みてぇに這いずりながらな。気に入られてりゃあ生きたまま身体を解体されて絶頂に包まれながら死ねるだろうよ。だが、どうでも良くなったらその状態で放置される。……誰も助けはこねぇ。てめぇは狂ったまま永遠に、死ぬまでただただ飼い殺されるって訳だ。」

  獅子王の低い声も相まって、その不気味な話は、根拠の無い信憑性に溢れていた。

  実際は、そこまで極端な話など滅多にないだろう。しかし運が悪ければ、十分有り得た話だと獅子王が理解している事で、それは嘘ではないという凄味があった。

  これまで裏の世界を見てきたからこそ出来る話だ。昴はそうなっていただろう自分を想像してしまって、背筋に冷たいものが走る感覚を感じていた。

  獅子王は、グッと尚更、昴の顔面を後ろに引く。

  「それにもう分かったろ?…てめぇは痛みを堪えるのに夢中だったから気付いてねぇかも知れねぇが、昨日一日、発情は無かった。だろ?」

  「っ!?」

  「てめぇが痛みで途中気絶した時にな、ちょっくらうなじを噛んで発情を操作しといたのさ。気付かなかったか…」

  「…や…そんな…」

  「信じる信じねぇは自由だ。だが、結果としててめぇは昨日発情しておらず、俺は別にわざわざ高価な薬をてめぇに使ったりもしてねぇ。……考えりゃ、答えは一つしかねぇと思うけどな。」

  確かに、昨日、昴は調教中あまりの激痛に意識を失い、そのまましばらく気を失っていた。

  起きた後も痛みが強くて、他のことを考える余裕など全く無かったが、そういえば発情は訪れておらず、こんな状態だから薬なんか飲んでいる訳もない。

  流石に気を失っていたとしても、昴の発情の場合は本来よりも強いので、目を覚まして気が付くだろう。

  獅子王の言葉が本当ならば、自ずと答えは1つしか無いも同然だった。

  「まぁ、昨日はちょっくらやり過ぎたくらいだ。少しの失言なら目を瞑ってやる。痛みも与えすぎりゃただの毒だからな。飴と鞭は塩梅よくいかねぇと。」

  「……くっ」

  「とはいえ、飯を食う前の奉仕と、感謝の言葉は必須だ。これは毎日行ってもらう。……心配しなくても、従順なうちはそこまで酷い事もしねぇよ。」

  そう言って獅子王が手を離すと、昴は自らの顔を擦りながら、それでも不満げな顔で振り返った。

  この不敵な笑みを浮かべている男に、どうにか一矢報いる方法があれば良いのだけれど、現状、彼に逆らってもどうする事も出来ないのは明白な事実だった。

  彼の言葉が真実かどうか分からないが、発情の事に関しても、従順にしていれば手を出してこないという話に関しても、今はただそれを素直に受け入れる事しか出来ない。

  けれど、どれだけこの男がこちらを屈服させようとも、心までは絶対に屈しないと、昴は改めて、そう決意することにした。

  獅子王はベットに腰を下ろすと、昴を前に座らせて、その姿を見下ろす。

  「まずは奉仕のやり方からだ。俺様に感謝の言葉を呟きながら、ズボンのチャックを下ろしてペニスを咥えろ。やり方は一先ず任せる。」

  「…っ!…く…くそ…」

  その言葉に反論しようと思った昴だったが、すんでのところで言葉を飲み込み、ただ悔しさを滲ませるような声を出すことに抑えた。

  我慢しなければ、また手酷い叱責を受ける。身体は傷だらけで、全くそれらも癒えていないのに、これ以上体力を削るようなことをするのは、それこそ本末転倒だ。

  まずは、しっかりと体力を回復しないと。何か考えるのはそれからでも遅くない。

  昴はそう考えながらも、瞳には不満の感情を色濃く残して、言われた通りに行動を開始した。

  「……ご主人様…ご飯を与えてくれてありがとうございます。」

  「……まぁ、妥協点だな。これから口調も厳しく直していってやる。今回は続けろ。」

  「…〜〜っ」

  どこまでも上からの目線に対し、屈辱に塗れながらも、昴はそれを我慢して、獅子王のレザーパンツへと手を伸ばす。しかし……。

  「おっと。手は使うな。口だけで全部やるんだ。わかるな?」

  「…くそ…」

  言われて、昴は反抗的な上目遣いで獅子王を睨みつけながら、腕を下ろし、そのまま顔を股間に近づけた。

  レザー独特のあまり嗅ぎなれない臭いが鼻につくが、それを何とか我慢してチャックに歯を掛ける。

  あまり上手く行かずに、ぐにゅりという嫌な感触が肌を襲うが、それも我慢してやっとチャックを噛む事が出来た。

  ジィィ…とジッパーの開く音がして、中から、黒いビキニが顔を出すと、既にその場所からは、溢れんばかりの性の匂いが漂ってきて。

  「うっ…」

  「さっさとしろ。」

  生暖かく、柔らかい感触が顔面に触れる。汗とレザー、それに性器の匂いとでも言うのだろうか、混ざり混ざって噎せ返るような臭いのするその場所に、もう嫌悪感が爆発寸前だった。

  それなのに、この後ビキニを下ろして、あまつさえ逸物をしゃぶらなければいけない。昴は、こんな行為早く終わらせてしまおうと、手早く行動する事にした。

  「ん…っ……!?」

  レザーパンツの上からでも分かっていた事だが、ビキニを下ろすと、ボロン…と、まるで蛇でも生えているかのような生々しい物体が重たく顔を覗かせた。

  それは萎えた状態で亀頭の半分程度、皮を被った包茎であったが、色は黒く使い込まれており、自身の持つ逸物とも、幼い頃に見た父親の逸物とも違う。破格の見た目をした男らしい物体に思えた。

  そこから漂ってくる臭いが鼻を擽ると、それだけでクラクラとした感覚に陥り、意識が少し混濁する。臭いだけでこうなってしまうのは、ここが特別フェロモンを発する場所であり、流石にΩとしての本能が疼くからだろうか。

  陰嚢もまた大きく、それは野球ボールがぶら下がっているかと思うほどのものだった。浅い被毛がびっしりと生えたその場所もまた、淫らな臭いをプンプンとさせており、空気が一瞬にして生暖かいものとなる。

  昴は思わず目を見開いて、一瞬固まってしまった。

  「……何をしてんだ?見とれてんじゃねぇぞ?」

  「っだ、誰がっ!」

  そうは言ったものの、昴は自分の視線が熱を帯びたものである事を否定出来なかった。

  何故かとても気になってしまう…というより、惹かれている。そんな気がして、視線が挙動不審になる。

  獅子王の射抜くような瞳が見下ろしてくるので、意を決して、その亀頭の先端に口を付けると、ぐにゅりと、不思議な感覚が舌を襲い……。

  チロチロとその先端を舐めた。皮と亀頭の隙間に舌を潜り込ませると、尚更濃い味がしたような気がして、先端からは塩っぱい塩水のような雫が溢れてくる。

  「いいぞ。初めてにしては上々じゃねぇか。」

  「…ん…ふ…ちゅる…♥…」

  頭を優しく撫でられて、そう声を掛けられれば、煩いと声を上げて否定するつもりだったのだが、何故かその言葉が出る事は無かった、

  むしろ、徐々に硬度を持ち始めるペニスを舐める事に夢中になっており、無意識のまま、ぼんやりとペニスに舌を這わせる。

  「ちゅ…♥…ふあ…♥」

  完全に勃起したペニスは、500mlのペットボトル程もある、巨大で立派な逸物に変化した。

  ビキビキと太い血管が蚯蚓のように這い、浅黒く淫水焼けした、完全に亀頭も剥き出しの立派な逸物。それだけで雄としての格付けを決定づけられるような、そんな男らしいペニスが、昴の顔を飛び越える勢いでビクビク跳ねている。

  「休んでんじゃねぇぞ。」

  獅子王のその言葉を聞いて、ハッとした昴は、慌てて付け加えたような憎しみの瞳を向けながらもう一度フェラを再開するが、すぐにその顔は惚けたものになり、いつしか一心不乱にそれを舐め始める。

  ぎこちないが、亀頭を咥えて、ガポガポと歯を当てないように、頭を一生懸命上下させて。

  ふと、おもむろに獅子王の指先が、昴の背中にあった昨日の鞭の蚯蚓脹れを優しくなぞった。

  その瞬間、ゾクゾクとした感覚が背中を襲い、思わず昴は唾液を飛ばしながらジュポンと口を離して、嬌声に似た甲高い声を出してしまう。

  「ひゃああああ♥♥♥」

  「…クックック…鞭で打たれた痕が敏感になってんだろ?…そいつが徐々に気持ちよくなって、癖になってくんだぜ?」

  「…っ…そ、そんなの…」

  「ならないか?…どうだかな。…口が止まってんぞ?誰がやめて良いって言ったんだ?この出来損ないの奴隷が!」

  「んごっ♥♥♥」

  獅子王がそう言って昴の頭を掴み、そして無理やりオナホのようにその頭を上下させた。

  どうやら先程までのフェラにはそこまで満足出来ていなかったようで、昴の喉奥まで届くように、グボッグボッと何度も勢いよく頭を揺する。

  喉を突かれる苦しさに、生理的な涙を浮かべながら、何度も太ももを叩き抗議する昴だが、そんなのは考慮してもらえる筈もなく。

  「出るぞ。零したらお仕置きだからな。」

  「っ!?!?♥♥」

  そう言って一層喉奥までペニスを挿入され、昴の鼻先が獅子王の陰毛に埋まる。

  頭をグッと強く両手で抑え込まれ、動かないように固定されて、食道へと直接ザーメンを吐き出されるようだ。

  ぶふっ…ブッ…と咳き込みながら、目を見開いた昴は、鼻から鼻水と精子の混じった液体を吹き出してしまい。

  「ふう…」

  「〜〜〜ずあっ♥♥がはっ♥ごほっ♥…あ゛っ♥」

  手を離されると、勢いよく顔が離れていって、昴はそのまま咳き込みながら苦しげに息を吸う。

  飲み込みきれなかった精子がポタポタと口と鼻から漏れ、それを見た獅子王はただ冷たく微笑んだ。

  「零したな。……ご主人様からの施しを無駄にするとは、こりゃお仕置きが必要だ。」

  「…え゛…あ゛っ♥」

  口元を拭いながら、涙で充血した瞳で獅子王を見上げる昴。

  獅子王は、項垂れる昴の腕を掴むと、足を開脚した状態で縛り上げ、更には目隠し、猿轡をしてベットに固定してしまう。

  「ん゛〜!!♥ん゛〜っっ!!♥」

  「さて……」

  壁に用意された道具を物憂げに見つめた獅子王は、一つ、立て掛けられていた赤く長い蝋燭を手に取ると、それに火を付けた。

  鞭で赤い筋が出来た身体。そこに向かってその蝋燭を傾けた獅子王の顔は、どこまでも愉悦に歪んでおり。

  「ショータイムだ。」

  「……っ!?!?んぐぅぅぅぅ!!!♥♥♥」

  ポタ…と落ちた一つの雫。

  それが昴の肌に触れると、赤い薔薇を咲かせて弾けるように固まってしまう。

  瞬間、ビクン!と大きく身体を震わせた昴は、猿轡の下でとてつもない悲鳴を上げながら、頭をグンとしゃくりあげ…。

  「ハハハ!すげぇな!!」

  「んぐっ!?♥ぐふっ♥んふっ♥」

  ポタポタと、何度も何度も、花が咲く度、昴の身体が面白いほど大きく震えた。

  その反応が楽しくて、獅子王は飽きること無くいつまでも、昴の身体が真っ赤になるまで、蝋を垂らし続けたのだった。

  [newpage]

  「ひゃうう♥♥」

  「ククク…いい反応だ。」

  昴は今、目隠しをされ、後ろ手に手を縛られて、正座状態のまま、ベットに座らせられていた。

  目の前にしゃがみ込んだ獅子王が、クリップをゆっくりと昴の乳首へと挟むと、瞬間、ビクンと震えた昴が、怯えたような、甘い声で心地の良い囀りを聞かせてくれる。

  「もう一本だ。」

  「ひゃぁあっ♥♥」

  もう片方の乳首にもクリップを付けて、準備は完了。

  それらのクリップには重い鎖がついており、それだけでもかなりの痛みと苦痛があるが、しかし獅子王がその鎖を引っ張れば、尚更それは厳しいものとなる。

  思わず上半身を前のめりにさせて、僅かにズリズリと前に動いた昴を、獅子王は容赦なく叱責した。

  「動くな!」

  「ひぎゃあああ!!♥」

  ビシィ!!

  片方の手で鎖を引っ張り、片方の手で鞭を振るう。少しでも痛みに動けば、また罰として鞭が振るわれ、昴は目隠しによっていつ来るか分からない鞭の叱責に、怯えながら身体を震わせている。

  「動くなって言ってんだよ!出来損ないが!」

  「いあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!♥♥」

  ビシャ!ビシィ!!

  獅子王の鞭は容赦なく振るわれ、出来損ないという言葉と共に、昴をどんどんと精神的な逃げ場のない場所へと追い込んでいった。

  出来損ないという言葉には、奴隷として完璧ではないという事や、Ωとしても他と違って狂った発情をする出来損ないだと、そう言う意図も含まれている。昴を象徴する罵倒の一つだった。

  

  「ごめ゛ん゛な゛ざっ…っ♥♥」

  「申し訳御座いませんだろ??おらぁ!?」

  「ひぎいいぃいぃいぃいぃ!!!♥♥もうじわげござぃまぜぇぇっ♥♥」

  言葉も徐々に修正されており、奴隷として相応しい言葉遣いを身体へ教え込んでいる最中でもある。

  最初は敬語すら使えなかった昴だったが、今ではとりあえず敬語だけでも使おうというような態度になっており、やはり痛みや苦痛と共に教え込むのは都合が良いように思えた。

  獅子王がおもむろに鎖を勢いよく引っ張って、乳首からパチン!という派手な音をさせながらクリップが飛び散る。

  「いぎゃああああ♥♥♥」

  そしてゆっくりとその場に膝を付くと、痛みによって敏感になった昴の乳首を、今度は触れるか触れないかの、優しい手つきで触り始めた。

  「はっ♥あっ♥やっ♥ひっ♥」

  「ククク…気持ちいいだろ?」

  痛みによって敏感になった神経を、その後優しく刺激する事によって快楽とする。そうすると、元は感じる事の無かった部位でも、徐々に性感帯へと開発されていき、更には痛みイコール快楽という方程式も出来上がっていく。

  人間の脳や身体は面白いもので、極限状態になると、全く逆の感覚に陥る事も珍しくない。

  例えば、あまりにも寒い場所に長時間居ると、逆に身体が熱いと感じて、服を脱ぎ去ってしまうという矛盾した行為が起こるのも分かりやすいだろう。

  他にも、犯罪者に人質にされた被害者が、その犯罪者に対して愛情を抱いてしまったりだとか、そういう効果が今の昴の身体にも起きていると考えれば、理解できるだろうか。

  現に昴は、獅子王に対して表向きは反抗的な態度を取る事が少なくなっている。

  内心はどう思っているか知る由もないが、環境の変化に適応しようと、脳が徐々に獅子王に対する抵抗力を奪い、従った方が良いという風に思考をシフトしていっているのだ。

  本人は否定するだろうが、ここまで全て、獅子王という男の思惑通りに事は進んでいた。

  「ひやぁぁぁ♥舐めるのだめぇぇ♥♥」

  ゼロ…ゼロ…と、猫科特有のザリザリとした舌を使って、敏感になった昴の乳首を刺激する。

  乳首など感じる事も無かった昴だったが、一連の調教を受けているうちにどんどんと乳首が性感帯になっていき、今ではすっかり感じる程度には開発されてしまっていた。

  目標は、乳首だけで射精、もしくはドライオーガズムに達する事。

  クリップだけの調教では身体や脳が慣れてしまい、効率が落ちるので、時には蝋燭の蝋で、時には先の鋭い針を使って、時には薬品を塗りたくり、猛烈な痒みを引き起こして……、そのように幾重にも手を替え品を替え、昴の乳首を敏感なものにしていくのだ。

  しばらく刺激したあとは、またしてもクリップを付けて、鞭と共に調教を行う。

  そして再度痛め付けた乳首を刺激し、ついでに身体についた痕も指先でなぞる。

  それらはゾクゾクとした、背筋を登る寒気のような快楽を作り出し、慣れないうちはただ気持ち悪かったそんな感覚も、いつしか心地よいものだと脳が覚えこんでいく。

  バチンッ!バチ!

  「ひぎゃああああ♥♥♥」

  「そら、お待ちかねの時間だ。」

  「ひぃぃぃ♥♥やぁぁぁ♥♥」

  またしても、勢いよくクリップを外しては、優しく刺激するのを繰り返す。

  その日、昴の乳首が真っ赤に腫れ上がり、皮が剥けてしまうまで、それらの調教は続いたのだった。

  [newpage]

  この地下の無機質な鉄の部屋に囚われて、陽の光のロクに浴びる事すら出来ず、時間の感覚が分からないまま、もうどれだけ経っただろうか。

  昴はぐったりとベットに横たわり、ただただ暇な時間を過ごす事しか出来なかった。

  相変わらず、発情が訪れる事は無く、ある意味では理想の状態であるが、囚われる前に考えていた状況とは大きく違い、こんな事ならまだ、人に迫害されながらも自由に生きていた頃の方が良かったと昴は考える。

  いつも調教後に気絶してしまう為、実際に獅子王がうなじを噛んでいる所を確認した事は、実の所まだ無い。

  しかし、目を覚ませば必ず身体は綺麗に処理されており、厳しい調教をしながらも、獅子王が後始末などの世話をしている事は明白だった。

  従順にしていれば、一応言った通り酷い扱いは受けない。

  何かと理由を付けて鞭で叩かれるが、食事なども少しづつマシになっており、最初は鎖に繋がった首輪を付けられてこの狭い部屋の中でさえ自由に動き回れなくなっていたのが、最近はそれも無くなった。

  心の中での反抗心は今もまだ萎えては居ないが、次第に表向きは従ってしまう自分がいる。

  何故か、獅子王に頭を撫でられ、褒められると心地よく感じてしまい、更には彼のペニスに奉仕する時、高揚した気持ちになってしまうのは、Ωのサガなのだろうか。

  このままでは不味いと思いつつも、この鋼鉄の部屋を抜け出す方法は思いつかない。

  分厚い金庫のような扉は獅子王の声紋認証でしか開くことは無く、一時、どうにか獅子王の脇をすり抜けて逃げる事は出来ないかと画策していた時など、その心を見透かされたように、無駄だと一言で一蹴された。

  どうやら、声紋認証の扉を越えた先にも更に扉があるようで、そちらの開き方は全く分からないのだ。

  完全に詰んだ状態で、出来ることと言えば、ただひたすら獅子王に反抗するのみだが……。

  そんな気持ちがある一方で、調教されている身体は、確かに獅子王によって快楽を与えられるように変化していた。

  まるでこの身体が、自分の身体では無いかのように、どんどんと変わっていってしまっている。

  ただひたすら怖くて…その事実を受け入れたくなくて…

  父親を殺した憎き男に、良いように扱われる始末。

  その上、その相手が自身の運命の番だなどと、そんな状況、一体誰が予想だにしただろうか。

  「……父さん…」

  唯一の肉親だった父親を思って、一筋の涙を垂らした。

  全ては自分が、Ωであり、そしてその中でも特殊な体質を持っていたが故の責任。

  自分の身体がΩなどでは無かったら、こんな事も起きなかったのに。

  何度も自殺しようとして…しかし恐ろしくて出来なかった。

  こんな生活を続けるくらいなら、死んだ方がマシなのに、自身の命を犠牲にしてまでこちらを助けようとしてくれた、そんな父親の気持ちを思うと、どうしても舌を噛む事が出来なかった。

  憂鬱な気分に打ちひしがれている所に、扉が開いて獅子王が現れる。

  昴はそれを見ると、ゆっくりとベットの上で上半身を持ち上げ、虚ろな瞳で彼を見上げ…

  「…おかえり…なさいませ…ご主人様…」

  「………」

  心にもない事を言うようにと命令されて、それを律儀に守っている自分が情けなかった。言わないと体罰を受ける、だから何だというのだろう。殺せるものなら殺してみればいい…頭の中ではそう思いつつも、与えられる痛みが脳裏を過ぎると、口は勝手にそんな言葉を紡ぎ出してしまう。

  獅子王が怪訝な顔で近付いてきて、グイと昴の顎を持ち上げた。

  赤い瞳が不機嫌そうに昴を見下ろし、いつもと違って理不尽な命令を下しながら不敵に微笑む獅子王の姿はそこに存在しない。

  「随分元気がねぇじゃねぇか。風邪でも引いたか?」

  「……」

  意味がわからない…と昴は思った。

  こんな生活を強いてる癖に、今頃心配するのはどういう了見なんだろうか。

  額や首筋を触られるが、熱がある訳じゃなく、このいつ終わるとも知れない生活に疲れを感じ、憂鬱になっているだけなのだから、それはある意味、獅子王には絶対治す事の出来ない病のようなものだ。

  昴はそっと視線を外して、項垂れた。

  「ふん…まぁいい。今日は少し趣向を変えるか。」

  獅子王は、昴の様子を見ると、そんな風に小さく呟いて、いつも通り服を脱ぎさり、もはや定番となったラバーの服を着用して昴の元へとやってきた。

  昴の背後に陣取ると、おもむろにその牙が、彼のうなじに食い込んでしまう。

  「っ!?」

  気が滅入っていたのと、あまりにも自然に、突然うなじを噛まれて反応が遅れた昴は、自らの首を覆うように掴むと、バッと振り返って焦ったように少し獅子王から距離を取った。

  しかし、獅子王は昴の腕を掴むと、逃がさないとばかりにその身体を引き寄せて、いつも通り不敵に微笑む。

  うなじを噛まれた。それが表すことはつまり……。

  「今、てめぇの発情のスイッチを入れた。数ヶ月ぶりの発情は、一体どんな事になるか、ちょっくら楽しみだな?」

  「なっ…」

  本来ならば、昴の発情は獅子王にとっても諸刃の剣だった。

  何せ、別に発情状態でなくても、昴は獅子王の心を掻き乱し、欲望を増大させてしまう。それは傍目から見たところで他人には理解できないだろうが、巧妙に隠した感情の内には、激しい情欲の炎が燃え盛っているのだ。それは普段以上に激しい調教の手段を見ても明らかだろう。

  そんな昴の発情は、話によるとβでさえ当てられてしまうような強力な発情であり、おそらく番でない‪α‬相手なら、運命の番を相手した時と同様の魅了効果を与えるくらいにはヤバい代物に思える。

  となると、その運命の番となる獅子王にとっては、どれだけ影響があるのか。理性を無くし、調教どころでは無くなってしまう劇薬となるのは簡単に予想できる事で、獅子王も実際のところ、昴を発情させるのは躊躇っていた。

  しかし、そろそろ監禁生活も長くなり、素人には辛い調教が毎日のように行われていて、昴の心境にもネガティブな変化が訪れているところだろう。

  だからこそ、ここで1つ、互いに羽目を外す時間も必要だ。獅子王の方も、そろそろ本格的に昴を貪りたくて仕方が無くなっており、まだ後ろの調教に着手していないにも関わらず、その剛直で昴を貫き犯す妄想に毎日思考を妨害されている。

  「あ…う…っ??」

  そして、徐々に昴の様子が変化していく様がありありと見えてきた。

  頬が紅潮し、額からは大粒の汗が水滴のように滲み出してくる。まるで風邪を引いた時のように自らの身体を抱いてガタガタと震え始め、目は虚ろに、目尻が下がり始めてきた。

  久しぶりの発情は、何度体験しても慣れる事の無い、凄まじい倦怠感を伴って昴を襲い、徐々にその身体から力が抜けて、背後にいる獅子王へと、無意識に体重を預けていってしまう。

  「……く」

  一方で、獅子王の方も、昴から湧き出る濃いフェロモンの匂いを感知し始める。

  それはまるで、花の蜜に誘われた蜜蜂のように、本能的に惹かれてしまう強烈な衝動。

  甘ったるいバニラのような香りに、頭の中がぼんやりとして、麻酔でも使われているような感覚に陥るが、それを屈強な精神が繋ぎ止め、何とか冷静を装っている。

  しかし、それでも、獅子王の方も額から垂れる大粒の汗を止めることは出来ず、その表情は険しい、余裕の無いものになっていた。

  互いの肌が触れ合う場所から、じんわりと熱のような波紋が広がっていき、息も荒くなっていく。

  「こっち向け…」

  「あ…っ…うむ…♥ん♥」

  堪らず、獅子王は昴の顎を掴んで、その顔を自らの方に向けると、昴の唇へと、マズルで覆うように噛み付かせた。

  荒々しいキス。獅子王はその野太い舌を使い無理やり唇を開くと、唾液を一方的に送り込むようにしながら、昴の口内を蹂躙していく。

  蕩けるような感覚が互いの口から広がっていって、強い熱が身体に浸透していくような、そんな状態。

  最初は掴まれた腕を力無く奮って、何とかその束縛から逃げようともがいた昴だったが、いつしか抵抗は無くなり、身体からは完全に力が抜け落ちて、完全に獅子王へと身を任せる羽目になった。

  そんなディープキスは五分も十分も続き、それでも満足出来ないまま離された頃には、昴はビクンビクンと身体を震わせて、もはや惚けたみっともない顔を取り繕う事も出来ずに、獅子王へと身を預けてしまっていたのだった。

  互いの口から唾液が糸のように橋を紡ぎ、獅子王はそんな昴を見下ろして、強い征服感に襲われる。

  「あ…っ♥う…♥?」

  「エロい顔になったじゃねぇか…」

  昴の惚けた表情を見て、獅子王は尚も強がるような態度でそう呟いた。

  目の前の男の‪α‬として、また、主人としても、ここで欲望に負け、醜態を晒すような事は絶対にしたくない。

  獅子王にとってそれはプライドであり、譲れない本質の一つだ。だからこそ、どんなに強い衝動に駆られても、獅子王は表面上、余裕の態度を崩さないように苦心していた。

  とはいえ、外見を取り繕っても、自らの行動まで抑制するつもりは元から無い。

  「身体中敏感になってるみてぇだな。久しぶりの発情は気持ちいいか?ん?」

  「ひっ♥いいいいっ♥ち、乳首ダメっ…♥」

  「何だよ?何で駄目なんだ?乳首なんか感じねぇって強がってた癖に、やっぱり気持ちいいんだろうが?なぁ?」

  「ちがっ♥あぁっ♥コリコリダメっ♥っ抓るなぁぁぁ♥♥」

  「うるせぇ!乳首で派手にイッてみろ雌豚がぁ!」

  「んお゛お゛お゛お゛♥♥♥」

  獅子王が、背後から抱き着くように回した手で、昴の乳首をキュッとつまみ上げ、コリコリと指の腹で転がした。瞬間、ビクンと大きく震えた昴は、乳首を抓られる度に震えて獅子王へと寄り掛かる。

  獅子王は何度も何度も、巧みな手つきで昴の乳首を転がし、抓り、そして指先で弾いた。

  発情で敏感になった身体は、いつものように快感を我慢出来るほどの余裕は無く、獅子王の言う通り、呆気なく乳首だけで絶頂を味わってしまう。

  「あっ♥いぃいぃいっ♥ぐっっ♥♥」

  「おら、しっかり乳首でイク感覚を覚えんだよ。発情してなくても、これから毎日ここだけでイかせてやるからな。」

  「ひぃぃ♥♥あ゛ぁぁ♥ダメっ♥まだイグっ♥ぅぅぅぅ♥♥」

  それでもなお、獅子王は昴の乳首を弄る手を止めることはなく、まるで追い立てるように何度も乳首だけでの絶頂を身体に教えこんだ。

  一度絶頂する事を覚えてしまえば、乳首でイク事のハードルはどんどん下がっていく。何度も何度も、脳と身体に染み込ませるように絶頂させれば、最終的には発情状態じゃなくてもイけるようになってしまう。乳首でイキ癖が付けば、昴も幾分か素直になるだろうし、どうせ発情させたのだ。その恩恵を最大限活用して、できる所まで調教を終わらせる。

  「もっ♥ダメっ♥無理ぃ♥乳首やぁぁ♥」

  「何言ってんだ。まだまだこんなのは序の口だ。……こっち向け。口開けんだよ。」

  「ひゃっ♥んむっ♥ふぅぅぅ♥♥」

  子供のように駄々を捏ねる昴を見ていると、その顔がもっともっと快楽に歪み、惚けてしまうところを見たくなってしまう。その気持ちを抑えられない獅子王は、昴へとまたディープキスすると、その状態のまま、またしても乳首を刺激し続けた。

  クニクニ…クニュ…ジュルルル…チュ…

  そんな淫らな音が部屋に響き渡り、昴の身体はもうずっと小刻みに震えていて、絶え間ない絶頂を与えられ続けているのは、傍目からでもよく分かった。

  キスを起点にしてドライオーガズムから降りられなくなってしまったのだろう。昴は今、全身にじんわりとした絶頂の波がずっと広がっていて、止まらなくなってしまっている。

  「グルルルル…♥」

  「ん゛っ!?♥♥」

  獅子王の喉から無意識にそんな音が聞こえるのは、彼が心の底からこの状況を楽しんでいる証拠だろう。

  猫科獣人は心地よかったり、リラックスすると無意識のうちにこうして喉を鳴らしてしまうという特徴があるが、獅子王がこうして音を出すのは、正真正銘、生まれてこの方初めての事だった。

  自身の身内にも見せたことの無い姿を、昴の前では隠し通す事も出来ない。幸運だったのは、お互い目の前の快楽に夢中になっていて、そんな気の緩みなど理解出来ていなかった事だろうか。

  獅子王は数十分にも及んだディープキスを辞め、自らのマズルをべろりと舐めると、もはや完全に惚けて意識が混濁しだした昴をベットに押し倒し、その身体を縄で縛り上げた。

  足を開脚するように拘束し、目隠しをする。まるでひっくり返った亀のように身動きが取れなくなった昴を見下ろして、獅子王はギラギラとした欲望をかくそうともしない。

  「さぁ、お待ちかねの時間だ。」

  「はひっ♥…」

  獅子王の視線は、他のどこでもなく、昴のアナルへと注がれていた。

  ジィィ…とゆっくりラバーパンツのチャックを下ろし、自らの勃起したペニスをそこから取り出す。

  とはいえ、そのペニスはあまりにも巨大すぎて、慣らし無しでは、流石に元よりアナルの肉が柔らかいと言われるΩでも受け入れるのは無理のように思えた。

  昴の尻と獅子王の腰が密着すれば、それは昴の臍の辺りまで優に届く長さを持っている。その上でペットボトル並の太さがあるのだから、その規格外さがよく分かるだろう。

  獅子王は、そこで最大限の理性を動員し、自らの欲望を何とか押さえ込んだのだ。

  「……安心しろ。まだ挿入はしねぇ。メインディッシュはもっともっと、焦らしに焦らしてから豪快に頂く。……その方がてめぇには効きそうだしな。」

  「ひぃぃぃ♥♥」

  ぬちぬちと、ローションを垂らした革手袋で、すっかりと割れ目の開いた昴のアナルを上下に摩る。

  ヒクヒクとその穴は獅子王の愛撫に反応して何度も収縮を繰り返しており、処女の癖に随分と好き者な穴だと、獅子王は鼻息を荒くした。

  獅子王は、棚から大量の玩具を手当り次第に持ってくると、その1つにローションを塗りたくる。

  もはや、昴のアナルを可愛がれるのならば、どんな道具でも良かった。取り出したのは、所謂アナルビーズと呼ばれる、比較的細めの、玉が幾つも連なった、長いシリコンアイテムだった。

  獅子王はそれを、ゆっくりと、1つずつ、昴のアナルへと挿入していく。

  更に、今日一日着用し、汗の染み込んだシャツを昴の顔面に押し付けて……。

  「ひぎっ!?♥♥」

  「ククク…発情中だからか、初めての癖に貪欲に飲み込んでいきやがるな。それとも、俺様の臭いに興奮したかぁ?」

  アナルビーズはスムーズに挿入されていき、それはまるで際限を知らない奈落のような有様でビーズを飲み込んでいった。途中少し突っかかるところもあったが、そんなのは関係ないとばかりに力ずくでそれを突破する。目に見えて昴の呼吸が早く、荒くなり、そのせいで獅子王の臭いが脳へと充満していってしまう。

  「そら、全部入っちまったぞ?」

  「ふー♥ふー♥」

  そう言って獅子王が昴をひっくり返し、四つん這いの姿勢にした。縄で縛られているため、まるで蛙のような無様な姿を晒してしまうが、だからと言ってどうにかできる訳もなく、昴は言いなりのようなものだ。

  特に今は、獅子王の……運命の番である‪α‬のフェロモンを多分に含んだシャツを顔に巻き付けられ、そのせいで尚更思考が回らないのかもしれない。

  獅子王は小さく笑うと、パン!パン!と真っ赤になるまで昴の尻を強く打った。

  「おらぁ!何とか言ってみろ雌豚が!!気持ちいいんだろうが!!俺様の臭いはどうだ?堪んねぇだろ?なぁ?!」

  「ふひぃぃ!!♥♥んお゛っ♥お゛っ♥う゛〜〜っ♥♥」

  ビクンと昴の身体が震え、尻に差し込まれたアナルビーズの先端が、力んだせいで少しだけブピュ…と顔を出す。

  獅子王にとって自分の獲物に臭いを付けるのは、獣人の本能として当たり前のことだ。獣人は嗅覚が優れている為に、自らの臭いを所有物に付けることでその領有権を主張する。その臭いが濃ければ濃いほど、それに対する依存度が高いという事になり、更にいえば手を出したら容赦はしないという主張にもなる。汗の臭いは、それが最も顕著にフェロモンを放つ臭いであり、対象にフェロモンを移すための効率の良い物質でもある。

  獅子王が自らの臭いを染み込ませる程夢中になっているものなど、昴以外に無いことを、昴は当然理解していない。

  「そら、一気に引き抜くぞ!気張れや!」

  「っ〜〜!?♥♥んほおおおおおおお♥♥♥」

  ズロロロロロ…ジュビビッ…ジュボッ!♥♥

  そんな盛大な音を立てて、獅子王がアナルビーズを一気に引き抜くと、昴は思わず尻を高く持ち上げながら、絶頂に達した。

  まるで排泄しているかのような心地良さ。一気に抜かれたせいで、腸内の様々な場所を、ビーズの突起が刺激し、処女の癖に、アナルで絶頂したのである。

  引き抜かれた後のアナルはヒクヒクと何度も縮小しており、ビーズにはいくつもの糸がねっとりと橋を作っていた。

  もちろん、こんなもので終わる調教では無い。

  「おら、もっかい挿れんぞ!」

  「やああああ♥♥もうらめぇぇ♥♥」

  じたばたと藻掻く昴だが、縛りられていてはろくな抵抗も出来ずに、されるがままになるしかない。

  絶頂のせいで真っ白に染まった思考の中に、獅子王の臭いがダイレクトに染み込んでしまったせいか、もう呂律も回らず……。

  「ククク…まるで林檎だな。」

  「あっ♥あっ♥あっ?♥」

  挿入されたあと、赤くなった尻を、優しく指の先で撫でられると、ビクビクと震えながらまた尻が自然と持ち上がった。

  痛みと発情で敏感になった尻は、たったそれだけの愛撫で簡単に快楽を生み出し、いっそ絶頂してしまえるくらいかもしれない。

  そこで更に、獅子王はまたしてもビーズを勢いよく抜き去るのだ。

  「んほおおおおおおお♥♥♥♥♥」

  「油断してんじゃねぇよ!雌豚ぁ!」

  獣の雄叫びのようなものを上げて、昴はまた絶頂に達した。機嫌が良さそうに獅子王の声が上がり、まんまと昴はケツで昇天させられてしまっているのである。

  その後も、またしてもビーズを奥まで挿れられ、今度は尻を強く叩かれた。

  それが終わって再度一気に引き抜かれ、挿入されると、触れるか触れないかの優しいタッチで赤くなった尻を撫でられ、そのような飴と鞭が何度も続く。

  ビーズに飽きたら、張形を使われ、ちんぐり返しの状態で、上からゴチュゴチュと何度も荒々しくピストンされた。

  それが終わると、指先で高速指マンされ、最終的には潮を吹きながら絶頂したところで、意識を失い調教が終わる。

  その日から、発情していなくても、獅子王によるケツ穴の開発は続きいて行き……。

  乳首同様、昴はアナルまでも、完全な性感帯として調教され尽くしてしまったのだった。

  [newpage]

  幼少の頃から獅子王は、周りからあまり良く思われていない、所謂不良少年という立ち位置で生きてきた。

  父親が居らず、病弱な母だけが家に居たのだが、その母がΩであり、それだけでなく病弱な事も相まって仕事が無いから、生活保護を貰って生きている。とても貧しい少年時代を過ごした。

  父親はどこかの企業の社長だと聞いたが、それが本当かどうかは知らない。子供の頃、母が眠っている時にこっそりと見てしまった日記に書いてあった事で、それによると父は、当時清掃員の仕事をしていたΩである母の、突発的な発情に当てられて、不本意ながら手を出してしまったらしい。つまりは、強姦されたという事である。

  Ωの社会的地位は低い。普通ならそんな事、警察に通報すれば逮捕されるだろう案件だが、‪α‬であり、地位のある父親は、それを退けるだけの権力を持っていた。

  母親の主張は真っ向から否定され、結果的に何の責任もとって貰えず、母親は実家に帰り、そして獅子王が生まれたのだった。

  Ωであり、病弱な為働けず、いつもベットにいた母は、どこから噂が漏れたのか、近所でも有名な存在だった。その息子であり、生活保護を受け取っている獅子王は、いつも周りの少年達から馬鹿にされ、それが悔しくて喧嘩をする事が多かった。

  幸運にも体格的に他の同年代と頭一つ分違った獅子王は、喧嘩では負け無しになり、それが今の獅子王の歪んだ性癖の元にもなっているのだろう。

  痛みを与えれば、相手は恐怖して自分に従うようになる。周囲から馬鹿にされて育った獅子王は、人の上に立ちたいという歪なプライドを育んでいき、結果暴力で従えた相手を、奴隷のように扱う暴君になっていったのだ。

  母親も母親だった。

  彼女は獅子王の顔を見ると、自分を孕ませ責任逃れをした男の顔が思い出されると言って、獅子王に冷たく当たった。母親はいつも運命の番が現れる事を夢見ていたようだったが、片田舎でロクに外に出る事もなく、いつもぼんやり過ごしている母に、そんな都合よく運命の番など現れるわけも無かった。

  運命の番さえ現れてくれれば、その人がこんな惨めな生活から私を救ってくれる。愛情を一身に受けて、幸せな日々を過ごす。そうなったらこんな田舎から出ていって、楽しく生きていくのだ。……母親はいつもブツブツと、そんな事を呟きながら、窓から外を眺めているばかりだった。

  そんな母親をいつも見ていた獅子王は、彼女から与えられなかった愛情に自然と飢えていたのかもしれない。

  母親がいつも口癖のように呟く、運命の番という言葉、それが現れれば、もしかしたら自分も、こんな生活など捨てて幸せに生きていけるだろうか。いつしかそんな事を考えるようになっていった。

  もちろんそれは、母親の相手ではなく、自分の相手としてだ。……獅子王はずっとそのようにして現実逃避している母親を見て心底呆れていたし、もはや彼女の事などどうでもいいと思っていた。

  成人したらこんな家など出ていってしまおう。酷い話だが、彼にとって母親はただの足枷でしかなく、周りに馬鹿にされた原因も母だ。だからこそ、そんな母親に対して期待していることは無く、殆ど赤の他人のようだと、そう思っていたのだった。

  そんな獅子王は、例に漏れず‪α‬である為か、成長していくにつれて、どんどんと周りから羨望の目で見られるような人物に変化していった。

  眉目秀麗、文武両道…目鼻立ちが良く、彫りが深い、キリリとした端正な顔付きで、豪快であり、唯一の欠点は乱暴な事であったが、青年時代というのは、誰もが悪い男に憧れを抱くのは常である。

  むしろその欠点は同世代の者たちにひっそりと好意的に取られ、不良でありながらも、頭が良く成績優秀で、ついでに部活動の助っ人等にも気まぐれに参加していた獅子王は、そのギャップがまた周囲の者達の心を擽ったのだろう。男子女子問わず、一部の者達には人気を得ていた。

  放課後には下駄箱にラブレターが頻繁に入れられ、机の中にはバレンタインのチョコ等がこっそり忍ばされている事も多く、後輩に先輩、年齢問わず人を魅力した獅子王は、しかし、誰一人として本気で相手にした事は無かった。

  男子は単なる舎弟でしか無かったし、女子に至ってはSEXまで漕ぎ着けると飽きてスグに捨て去った。

  たとえ舎弟という不遇な扱いであっても、頼りがいのある獅子王のカリスマによって美化されたイメージは、男子達には好意的に受け入れられたが、女子の扱いに至っては紛れもない下衆のそれであり、写真などを撮って脅しては、金を貰って舎弟へと使わせてやったりもしたので、その売春紛いの行為がSEXに興味津々な年頃の不良男子達の信仰を強化する一因にもなったのだろう。

  そのうち獅子王は、他県にも名を馳せるほどの悪名を轟かせ、学生時代には魔王という通り名がつく程には、界隈で有名な存在になっていった。

  それに目をつけたのが、当時から東龍会の若旦那として知られていた、龍獣人の男、東根龍司だったのである。

  獅子王は相変わらず、自身の運命の番である存在をずっと探していた。むしろ、それ以外に興味のない獅子王が、周りの者達を奴隷のように扱うのは至極当たり前の事だっただろう。そのような容赦のない割り切った邪悪な心が、東根龍司にとって理想的なものに見え、東龍会が自身の探す物の為に利用出来ると考えた獅子王もまた、それに参加する事を渋る事は無かった。

  東龍会は、当時からずっと、関東全域に名を轟かせていた指定暴力団の筆頭である。それだけの力があれば、自身の探し求める運命の番、それを探すのにそこまで苦労はしないだろう。獅子王はそう考えて、母親を捨て、自身の目的の為に東龍会へと所属する事にした。

  獅子王に与えられた主な役目は、その歪んだ性癖を使って、借金のカタに攫った債務者の家族を調教し、従順な奴隷にする事。その奴隷を欲しがる存在は龍司が見つけ、そうして協力し合った二人は、いつしか誰も手を出す事の出来ない、最凶の組織を作りあげた。

  財界や政界の金持ちに働き掛け、彼等に奴隷を売る。そうすると彼等は東龍会に借りが出来、万が一裏切ろうとしても、奴隷を買ったという弱味を握られている彼等は表立って行動することが出来ない。

  尚且つ、武闘派の組員を使っていつでも彼等の大切な人物を誘拐出来るという圧力も掛けれれば十分だ。あとは勝手に、秘密が漏れると自身らの権力が危ないだろう著名人達や、家族を人質に取られた者が、裏で東龍会を守るべく動いてくれる。

  二人の活躍によって、東龍会は磐石な地位を手に入れたのだった。

  とはいえ、獅子王だけは満足していなかった。

  何故なら、東龍会の権力を全て使って全国くまなく運命の番であるΩを捜したのに、とうとうそれを見つける事が出来なかったからである。

  Ωはそもそもその数がとても少ないので、捜す事自体は簡単に出来るはずなのに、しかしそれでも結局、運命の番となる人物を見つける事は結局出来なかった。

  それもそのはず、その時点では運命の番である昴が生まれていないのだから、どれだけ探そうが見つかるわけもない。

  しかしそんな事を知らない獅子王は、海外にまで手を出し、ひっそりと運命の番を探し続ける。けれど結局東龍会の権力を持ってしても海外のΩを探る事はかなり難しく、その捜索は難航を極め、芳しい成果を得られる事は、ついに無かったのだった。

  そしていつしか獅子王は30代後半に差し掛かり、東龍会での地位も、実質龍司に次ぐNo.2となった。

  表のシノギとしてSMクラブを幾つか経営し、権力だけは手に入れたのだけれど、結局自身の最も求めてやまない者。運命の番だけが見つからず、次第に諦念の気持ちが募っていく。

  20代から30代前半の頃は、それこそ未だ見つからない運命の番に痺れを切らして、毎日のように溜まった鬱憤を調教で晴らしていたが、そんな八つ当たりも最早也を潜め、退屈な日常ばかりがそこにあった。

  運命の番は、実際の所‪α‬が生きている間に生まれない可能性も高い。それは‪α‬の数に対して、Ωが少ない事からも明らかであり、獅子王は自身もその例に漏れないのだろうと結論づける事にした。

  結果的に、運命の番を見つけるために放っていた少数の部下も手元に戻し、獅子王はそれを見つける事を断念する事になる。

  ここまで長い人生を掛けて探してきた存在であったが、歳を取るにつれて、運命の番という者自体が御伽噺のような存在では無いかと考えるようになり、いつまでも母親と同じように幻想に囚われる自分がとても滑稽に思えた。自身も結局あの女の血を引いていて、現実主義のように振舞ってはいても、理想の存在を追い求める子供のような馬鹿らしい愚かさがあり、いつまでも叶わない夢を追い求めているのだと、そんな事を考えて自嘲する。獅子王は結局、愛など必要の無いものであり、そもそも冷酷な殺人鬼である自身には似合わないものだと、そう思って、その存在を否定し、言い訳しては上手く自分を誤魔化した。それが最善だと、その時はそう本気で思っていたのだ。

  そして更に4年ほど経って、40代、つまり現在に差し掛かった所で、偶然にも獅子王は昴を見つける事となる。

  Ωの性を診断されるのが12〜3歳辺りであり、それなりに時期が遅い事、ここ十年ほど前から、海外ばかりを重点的に探していた上に、その捜査も結果全面的に中止してしまった事、……それらの数奇な状況が相まって、運良く獅子王の捜査網から外れていた昴は、しかし父親が東龍会に金を借りた事でその存在が露呈し、そして獅子王の耳にもその話が舞い込んだのである。

  ……もちろん最初は期待などしていなかった。組の意向通り、もし借金を返せなかったら、その珍しい発情をするΩを調教して売りに出せるようにする。獅子王はそう考えており、昴が運命の番などと思いもよらなかった。

  だったのだが……。

  「分かってんだろ?あんたは組に金を借りて、それを期限内に返す事は出来なかったんだ。…つぅことは、契約に乗っ取って息子は頂いていく。初めから決めてた事だろうが。」

  「し、しかしそれだけは…っ」

  東龍会の下っ端組員が、腕を組み退屈そうにソファーへと座る獅子王の代わりに、そう凄みながら父親に詰め寄った。

  もう何年も同じ事の繰り返しであり、飽き飽きしている行為だ。大抵の者達はこんな取引は違法だと言って警察に通報するなどと叫び、最終的には何とかなるだろうと思っているようだが、残念ながら東龍会はそのように甘い組織ではない。

  獅子王と龍司が取り仕切る前の東龍会ならばそれも通用した可能性があるが、既に代を切り替えて30年以上経過している。二人で積み上げた東龍会の影響力は凄まじいものになっており、警察組織の中には内通者も居て、通報した所で揉み消されるのが関の山だ。

  さっさと仕事を終わらせて帰る為に、少し部下に代わって父親を脅そうか…そう思った時、ガチャリ…と居間の扉が開く音が聞こえる。

  「…っ昴!部屋に篭ってろと言っただろう?!」

  「と、父さん…こ、これはその…」

  誰だ…と思って、立ち上がる父親を傍目に、数秒遅れて気だるげに扉を見た。最初は父親の背中に隠れて見る事は叶わなかったが、しかしその言動からこの場所へ現れたのは、奴の息子だろうとすぐに想像出来てしまう。

  くだらないので、このまま息子を無理矢理攫って出ていってしまおうか、そう思いつつも、父親の陰から、青年の顔がチラリと僅かにこちらを覗けば……。

  「…っ…!?」

  その顔を一目見た瞬間から、獅子王の胸の奥に、ドクンと強く何かが灯った気がした。

  今まで火をつけられたことの無い燭台の先端へと、どこかの誰かがおもむろに種火を撒いてくれた。そのような得も言えぬ感覚が、じんわりと心の臓を包み込む。

  初めはただただ、気のせいとも言えるくらいの小さな火だったが、ふとその青年が父親の肩越しにこちらを見、しっかり自身と目が合えば、途端にその火が熱く激しく、高らかに燃え上がって。

  40年間、感じたことのない胸の躍動。

  人生に欠けていただろう愛の鼓動が、その瞬間、獅子王の心を強く穿ったのだ。

  「さぁ、部屋に戻りなさい…」

  「……父さん…」

  待て!行くな!もっとその顔を見せてくれ…!

  扉の奥に消えていく昴を思って、獅子王はそのような事を無意識に考えてしまう。

  父親が余計な事を言わなければ、もっとあの顔を拝めていただろうに。そんな事も思って、しかしふと、自分が一体何を考えているのか、冷静になってハッと目を見開いた。

  思わず見とれてしまって、身体が咄嗟に動かなかった。

  まるで自分の感情ではないような、今まで感じたことのない強い欲望が沸き起こり、自分を抑えることが出来なかった。

  そんな体験は今まで感じたことの無いことであり、それは本能的に、そしてずっとそれを追い求めていたからこそ、獅子王は確信を持って理解したのである。

  (間違いねぇ…アイツが…)

  俺様のΩだ………。運命の番だ………。

  獅子王は呆然と、そんな事を考えて……。

  自らの胸に手を添えた。

  この燃え広がる、美しくも儚い炎が、このまま黒闇に消えてしまわないよう、優しく包みこもうとして。

  [newpage]

  

  調教も八ヶ月を過ぎる頃になると、昴は従順になり始め、表立って抵抗もしないし、その目からは内心に秘めたる反抗も見えなくなっていた。

  獅子王の調教までやる事が一切なく、そんな暇な時間は昴の精神を刻々と削り、やってはいけないと思いつつも、他にやる事もないので、自慰行為に手を出してしまう事も多々ある。

  一度そのような行為に及ぶと、そのうち癖になって、それをするのが当たり前になってしまい、自分で乳首を刺激したり、ペニスを擦るだけじゃ飽き足らず、壁に置いてある張形を使ってアナルを刺激する事さえあった。

  しかしそれこそ、獅子王にとっては僥倖とも言える状況だったのである。

  「これが分かるか?」

  「……っ」

  獅子王がそう言って差し出したスマホの画面には、昴が1人の時行っている自慰行為の様子が鮮明に映し出されていた。

  それは様々な角度からこの部屋を監視する監視カメラの映像で撮られたものであり、小型カメラの為、昴はその存在に気が付かず、しっかりと撮られてしまっていたのである。バレないと思っていたようだが、その全ては、カメラ越しにLIVEでも獅子王に見られており、そうした事実を知った昴は恥ずかしくなって、ただ顔を俯かせる事しか出来なかった。

  『乳首気持ちいいよぉ…♥』

  『お、お尻…お尻でイグゥ…っ♥』

  そんな恥ずかしい声までも録音されていて、獅子王はそれをニヤニヤとした意地の悪い笑みで見せつけてくる。それはもはや、ある意味昴が調教に屈した。そう証明しているような映像なのだから、機嫌が良くなるのも当たり前だろう。

  そもそも、潤滑油の減りや、ベットに痕跡が残ったり、臭いで気付かれる事だ。カメラが無くても、昴はもはや取り返しのつかない所まで堕ちていたのである。

  獅子王はスマホの電源を切ると、昴の視界に目線を合わせながら、ニッコリと呟いた。

  「そうかそうか。そんなに気持ちいいなら俺様が直々に刺激してやる。」

  「…ぇ…」

  獅子王の言葉に、少しの期待と、不安を持った昴が顔を上げるが、しかしそれはただの罠だったのだとスグに知る事になる。

  「……なんて言うと思ったか?昴。おめぇはいつまで経ってもこの場所がどんな場所か、理解してねぇようだな。」

  「…っ…な、何を…!?」

  「決まってんだろ?ご主人様に内緒で自分を慰めるなんざ、許されていいハズねぇよなぁ?……ここ最近ちょっとたるんで来てるようだから、少しお灸を据えてやんねぇとよ。」

  「や…やめて下さ…」

  「うるせぇよ。また俺様に逆らうのか?あ゛?」

  「ひっ…」

  獅子王がそう言って昴の髪を乱暴に掴みあげ、酷く凶悪な表情で睨みを効かせると、またしても1本鞭を手にして、ピシャリと地面を叩いた。

  最近は、痛みと言っても何とか耐えられる程度の痛みに抑えられており、それ以外は快楽の成分が強かったように思う。

  それは昴が従順だったので、あえて説教する必要も無かったという理由もあるが、こうしてもう一度鞭による調教を行う際に、恐怖が倍になるだろうと考えて、獅子王があえて昴の行為を知りつつも焦らしていたというのが本当のところだ。

  最初、この場所に連れてこられた時、身体にうんざりする程教えこまれた鞭による痛み。その時のように、またしても今回は手加減が無いと分かれば、それは昴のトラウマを著しく刺激した。

  「や、やあぁぁあ!!やめてください!やめてください!…な、何でもします…何でもしますから!鞭だけは…!」

  「あ゛ぁ?」

  昴がそう言ってその場に土下座し、無様に懇願するのを、獅子王は少し面白そうに見下ろしていた。

  それほど鞭による調教が昴のトラウマになっているのだろう。快楽ならば苦痛と言ってもまだ堪えられる範囲であるが、鞭による痛みは、数日間火傷のように身体を襲う、拷問のような側面を持っている。

  その時の事を思い出したのだろう。昴の身体は少し震えていて、しかし、それが獅子王の加虐心を更に煽るとは知らず、昴かまだ、彼の事を本当の意味で理解出来ていないのだろう事はすぐに分かった。

  「そうか。鞭は嫌か?」

  「…っは、はい…お願いします…っ」

  「ククク…どうすっかなぁ…」

  獅子王はおもむろにその場で片膝を付くと、昴の頭を掴んで、皮の手袋で口や鼻を戯れに弄った。

  豚のように鼻先を上げてみたり、口の端を引っ張ったり、まるで子供のように弄り回すが、ここで反抗すると鞭で叩かれると思っている昴は、必死にその屈辱に堪えている。

  獅子王は暫くそうやってラバーの臭いを嗅がせ、昴を弄ぶと、いい事を思いついたと言わんばかりに、突然昴の腕を掴みあげた。

  「ひっ!やぁぁ!!」

  「大人しくしろ!」

  「うっ…うぅ…」

  腕を掴まれた瞬間、鞭で打たれる事を想像したのだろう。昴は少しばかり抵抗したが、獅子王の叱責が聞こえると、涙を流しながらそれを堪えるようにして呻いた。

  獅子王は昴の腕を、天井から下げられた鎖に拘束すると、彼の身体を吊り下げるようにして、抵抗出来ないようにする。

  昴は相変わらずグズグズと涙を流しており、獅子王はその泣き顔を見ると、自身の欲望が鎌首を上げて持ち上がるのを感じていた。

  「鞭で打つ。だが今回は特別だ。少し手を加えてやるよ。」

  「うぅ…」

  「てめぇを発情させる。感覚が極まってる所に、鞭で打ったらどうなるか、試してみようじゃねぇか。」

  「やだぁぁ…っ」

  昴の言葉など聞くわけもなく、獅子王はガチャガチャと身体を揺らして鎖を鳴らす昴の背後に回ると、そのうなじに噛み付き、そして発情のスイッチを切り替えたのだった。

  「ぁぁぁ…っ♥♥」

  「相変わらず、すげぇフェロモンだな。」

  瞬間、昴はガクガクと膝を震わせて、顔を紅潮させた。

  犬のように舌を出して、目元はトロンと垂れ始めて、全身を覆い始める熱の感覚に、ぐったりと項垂れるよう脱力する。

  獅子王もまた、昴のフェロモンに当てられて、自身の欲望が更にゾクゾクと沸き立つのを感じた。鞭を握る手に力を込め、ギチギチとラバーが突っ張るような音が聞こえ始める。

  獅子王はニヤリと不敵に口角を釣り上げると、鞭を横に振りかぶって、早速勢いよくそれを振り下げたのだった。

  ピシャッッッッ!!

  「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ♥♥♥」

  瞬間、昴の絶叫が部屋の中へと響き渡る。

  その声には明らかな快感の波が混ざっており、痛みも勿論あるだろうが、今までと違って、それだけでは無いことが獅子王にはしっかりと理解出来た。

  「おいおい?まさか鞭で叩かれて気持ちいいなんて事はねぇよ…っな!!!」

  ピシャンッッッッ!!!ピシャ!!!!ピシィィッッッ!!

  「ひぃぃぃいいいい♥♥♥」

  連続で鞭を振りかぶる度、昴の喉から快楽の混じった声が漏れる。決して手加減している訳ではなく、それは鞭で打った痕が真っ赤な筋を作ってる事からも明らかだろう。

  昴は確かに、鞭で打たれて快感を得ているのだ。ムクムクとその下半身に生える小さな逸物が、鎌首をもたげ始めていく。

  「おいおい?こんなんじゃあお仕置きなんねぇだろ?…っなぁっ!!!!」

  「んあ゛ぁぁんっ♥♥やめっ…やめでっ♥おがじぐなるっ♥おがじぐなるぅ♥♥」

  「うるせぇ!!!発情してりゃあ鞭でも勃起する淫乱がぁ!!てめぇのチンコが証明してんだよ!!打たれて嬉しいんだろうが!!なぁ!!!」

  「ひゃあああああんっっ♥♥♥」

  何度も何度も鞭で叩かれているというのに、昴はそれが肌に触れる度、ビクンと震えて顎をしゃくりあげながら甘い声を出した。

  それは当に最初の鞭打ちなどおままごとだったレベルの痛みを与えている筈だが、その痛みが、鞭の感触が、昴の性感を高めて堪らない。

  ビシャアッッ!!ビシッ!!ビシャッッッ!!!

  無慈悲な鞭の音が部屋に響き渡る。それと同時に昴の口から上がる声が、これまでに無いほど獅子王の興奮を高めていて、やはり自分にはこの方法が一番合っているのだと、そう確信するばかりだ。

  獅子王は鞭を振るいながらも、自身のラバーパンツの前を開け、既に痛い程勃起した逸物を取り出した。

  何の性感も与えられず、鞭を振るって痛みを与えてるだけに過ぎないハズの獅子王のペニスからは、我慢汁が糸を引いて垂れ、それが彼のラバーパンツにツゥ…と痕を残していくのだ。

  「そら!!!」

  「ぎゃあああ!♥♥」

  「鞭で打たれて嬉しいか!?あ゛ぁ!?」

  「はぎぃぃぃっ♥♥うれじっ…うれじいでずっ♥♥だがらも゛お゛っ♥♥」

  「だったらもっと強く打ってやるよ!!気張れやメスガキィ!!!」

  「ひぃぃぃい!!♥♥出るっ♥♥イッぢゃううううう♥♥♥」

  そうして何度も鞭を振るっていると、突如昴がそう叫んで、大きく身体を震わせた。

  獅子王の懇親の一撃を受けたその途端に、昴は僅かに腰を突き出して、丁度その先に獅子王の身体がある、そちらに向かってビュルリとペニスから何か噴射させた。

  それは獅子王のラバーのベストやパンツ、それだけじゃなく、露出した腹筋や胸にも付着してしまい。

  見ればそれは、昴の精子だった。なんと昴は、明らかに痛みを伴う行為にも関わらず、鞭打ちだけで射精してしまい、その上、獅子王にそれをぶちまけてしまったのである。

  獅子王は自らの服に付いたそれを指で掬うと、一旦手を止めて、それを指先でニチャリとこねくり回した。

  意外にも激怒するかと思った獅子王は、ニヤリと不敵な笑みを浮かべると、それを何の躊躇いもなくペロリと口に含んで。

  ガッと乱暴に昴の髪を掴むと、自身の方へと引き寄せた。

  射精の余韻で脱力していた昴、突然の出来事にやっと冷静さを取り戻し、自分が取り返しのつかない事をしてしまったのだと思い知ることになる。

  「俺様の許可なしに射精したなぁ?昴ぅ」

  「ぁ…ぁ…ごめんなさ…」

  「申し訳ありませんだろ?あ゛ぁ?」

  「はぃぃっ…もうじわげございませんっ…」

  「…仕置き中に命令違反、今回ばかりは俺様も頭に来たぜ。なぁ。」

  「ひぃぃっ…許して…っゆるじでぐだざいっ…」

  「何ふざけたこと言ってんだ?」

  獅子王はそう言って昴の拘束を解くと、そのまま髪を掴んで彼をベットへと乱暴に押し倒した。

  何の抵抗も出来ず、横倒しになった昴は、怯えた表情で獅子王を見上げ、一体これから何をされるのかと、戦々恐々とする。

  獅子王はそんな昴の前に膝を付くと、その股を無理矢理開き始めて……。

  「あっ♥♥」

  手袋を付けた方の手で、唐突に昴のアナルへと指を差し込んだ。

  ここ何ヶ月か道具と手だけで調教されてきたアナルは、元々Ωの特質もあってか柔らかく、すぐにでも受け入れ可能なように拡がっており、グチュグチュと掻き回されるとそれだけで快楽を得てしまう程には、開発され尽くしてしまっていた。

  四本の指を咥え込み、掻き回されると、昴は顎をしゃくりあげ、舌を出しながら喘ぎ声を上げる。

  ジュポンとその手が抜かれて、一際身体を震わせた昴は、息を荒くして、チラリと獅子王の方を見つめ始めて…。

  「……ぇ?♥」

  「本当ならもう少し焦らすつもりだったが、もう我慢出来ねぇ…っ」

  「ぁ…ぇ?…や…やだ…っ!な、何するんですかっ…!やだっ!離して!それだけはやだぁぁ!!♥♥」

  「うるせぇ!!もう辛抱ならねぇんだよ!!」

  獅子王がそう言って自らの逸物を握りしめると、何かを察した昴が、驚いたように声を上げて、少しばかり後ずさった。

  フーフー…と荒く息を吐く獅子王の紅い瞳は、まるで狂人のように血走っており、その表情を見るに、今まで堪えていた何かが堰を切ったように溢れ出した。そのようにも見えてしまう。

  実際、鞭を打つ行為と、昴の発情によって増長された感情は、あの獅子王の我慢強い精神さえも狂わせてしまったと言える。トドメは昴の精子だ。フェロモンの塊のようなそれを直接掛けられた獅子王は、もはやこれまで堪えていた感情を爆発させて、昴を犯したいと、そんな衝動に駆られている。

  抵抗する昴の太腿を掴み、引き寄せるようにした獅子王は、そのまま掴んだ自身の逸物を昴のアナルへと宛てがうと、ゆっくり腰を突き出していき……。

  「あ゛っ!?♥ぁ…ぁ…あ゛…あ゛っ!?!?!?♥」

  「ぐ…っ…お゛お゛…っっ♥」

  昴は顎をしゃくりあげ、目を見開きながら、口を突き出し呆然とした声を上げた。

  自身の腹の中を満たしていく、‪α‬の巨大なペニスの感覚を直に味わい、そのあまりの快楽に、脳の容量が尽きたのだろう。キュンキュンと‪獅子王のペニスを締め付けるように受け入れて、そこは貪欲に、‪α‬へ媚びを売ろうと脈動し始める。

  一方で獅子王もまた、牙を噛み締めながら、自らのペニスを取り込んでいく昴のアナルに、くぐもった声を上げることしか出来なかった。

  それは今まで性交してきた他の誰よりも、獅子王の逸物にフィットする穴であり、まさに欠けていたピースが埋まったかのような、それほど相性の良さを発揮してしまっている。

  百戦錬磨の獅子王にとってさえ、気を抜けばすぐにでも射精してしまいそうな名器。

  そこは獅子王のペニスを自ら飲み込むように受け入れると、全体で脈動し、熱く、優しく、ねっとりと獅子王の性器を締め付けた。

  お互いの腰と尻が密着する頃には、昴の腹を内側から盛り上げる、獅子王の逸物が傍目からも見えて…。

  「グルルルル…っ♥」

  「ぅ…ぁ……ぇ…ぁ…?」

  あまりの気持ちよさに、すぐには動く事も出来なかった。

  1ミリでも動いたら、その瞬間中に精子をぶちまけてしまいそうな、そんな予感すらあった。

  しかしそれでは昴の‪α‬として、彼の主人として、さらに言えば男としても情けない事この上ない。だからこそ、それだけはしたくないと、こんな時でも獅子王のプライドが無意識に働いていた。

  獅子王は薄らと目を開けて、チラリと自らの下にいる昴を見下ろす。

  彼もまた亡失状態であり、わけも分からないまま、ビクビクと時折思い出したかのように震えているだけだ。

  獅子王はそんな昴を見ると、身体を倒して、その唇にゆっくり、マズルを落としていった。

  「んっ…♥♥」

  「グルルルル…ジュルッ…ジュルル…♥」

  獅子王の分厚い舌を、昴は自分から受け入れるようにして口を開いた。大量の唾液が送り込まれ、生暖かいそれはゴクゴクと、喉を通って注がれていく。

  逆に獅子王の方からも、昴の唾液を求めるように余さず吸引しようと息を吸う。

  次第にお互いの身体が溶け合い、一体化するかのような感覚に囚われながら、獅子王はゆっくりと、腰を動かし始めたのだった。

  「ん゛〜〜っ♥♥」

  獅子王のマズルの中で、昴の叫び声が聞こえ始める。動きは決して激しいものではないのに、ズリズリと中を擦られる感覚に、言葉では言い表せれない程の快感が脳を襲う。

  圧倒的な体格差によって、包まれるように覆われた昴は、ギュッと獅子王の背中へと無意識に腕を回して、脇から漏れた足先がピンと伸びていた。

  ズッズッズッズッ…と何度もピストンが行われ、昴のアナルからは、大量の粘液が糸を引き始める。獅子王の鶏卵程もある巨大な陰嚢が、パンパンと乾いた音を立てながら尻に打ち付けられ、挿入する度昴の腹は内側から盛り上がっていた。

  「んっ♥んっ♥んっ♥んっ♥あっ♥あっ♥あっ♥あ゛ッッッ♥」

  「ふー…ふー…クソ…っ!♥」

  ピストンの途中で口を離されると、互いの唇からは銀色の橋が幾つか糸を引いていた。

  そんな事を気にした様子もなく、挿入される度リズム良く声を出す昴は、腕を掴まれ、それを獅子王の腰に無理矢理伸ばされながら、ガクンガクンと身体を揺らす。

  「ふー…おら…っ…ふー…っ分かるか!?……っく…ここまで…っ挿入っちまってんぞ!♥」

  「はぎっ♥イッ…ぎっ…ァッ…♥が…っ…う♥」

  獅子王がそう言って、みっちりと自らの腰が昴の股の間に密着してるのをアピールする。伸ばされた手が何度も獅子王の腰に触れているのを感じれば、しかし昴はただ言葉にならない声を出すことしか出来ない。

  「はっ…!…っどんだけ…!漏らしてんだよ!てめぇは!!♥」

  「イッ…あ゛っ♥…が…あ゛っ♥」

  昴のペニスからは、ジョロジョロと小便なのか潮なのか分からない透明な液体が漏れ出しており、それは獅子王が奥まで突くたび、リズム良く押し出されて出てきているかのような有様だ。

  断続的にドライオーガズムに達している事は傍目から見ても明らかであり、しかし獅子王はそれを咎める事もなく、むしろ率先して弱点をつくような腰付きをし始める。

  「あ゛っぎぃぃっ♥…っら…めっ…♥…やら…っ♥イッ…ぐ…♥ィぐィぐっ…♥」

  そうすると、昴は呆気なく、またしても顎をしゃくりあげながら、足先をピンと伸ばし、強烈な絶頂を味わってしまって…。

  キュンキュンと断続的に腸内が痙攣し、収縮を繰り返して獅子王のペニスを締め付けた。

  どうやら奥の方をゴリゴリと押し潰されるのが好きなようで、獅子王は腰を一気に押し付けると、尻で文字を書くようにしてそこを刺激する。

  押し潰した先の感触は特殊なもので、それもそのはず、薄い肉壁一枚を隔てたすぐ側に、昴がΩであるという証明…子宮が存在していて、そこをアナルの方から刺激されているのだ、気持ちよくない訳が無かった。

  快楽に慣れ始めたのか、少しずつ声が出てきた昴だったが、それが良いのか悪いのか…。

  「何余裕ぶっこいてんだ…よっ!!♥」

  「っ〜ぎぃぃぃぃ!?!?♥♥♥」

  獅子王がそう言って昴の足をグイと上から押さえつけるようにすると、所謂種付けプレスの体勢になって、一気にペニスを引き抜き、そして角度を変えてまた突き落とした。

  瞬間、弾かれたように顎をしゃくりあげた昴は、それが今度は腸でなく、腟内に挿入されたということを、瞬時に身体で分からせられる。

  文字通り、子宮に到達したペニスは、今にもそこに種を付けようとビクビクしゃくりあげており、昴の子宮口もまた、彼の思惑とは裏腹に、運命の番である‪α‬の、その精を余すことなく取り込もうと、チュウチュウ先端に吸い付いていた。

  限界の近い獅子王は、もはや昴を弄ぶ余裕などなく、のしかかるような重いピストンで、中を穿ち始め…。

  「ぎっ…♥あ゛っ♥やっ…♥らめっ♥らめぇっ♥そこはらめなのっ♥赤ちゃん出来ちゃうからぁぁ♥♥」

  「うるせぇ!罰として俺様の子を孕むんだよ!!観念しやがれ!!♥」

  「やぁぁ♥赤ちゃんやだぁぁ♥ひぃぃいっ♥イッッッぐぅぅぅう♥♥」

  「射精すぞ!!♥♥全部しっかり受け止めやがれっ!!♥♥があああああ!!!♥♥♥」

  ビュルルルルルルッッ!ビュルッ!ビュググググググ…♥♥

  獅子王が一際大きく腰を打ち付けて、上から潰されるように昴の身体がベットに沈んだ。

  接合部を見れば、ピッチリと隙間なく密着した部位がありありとその様子を見せ、尿道を通ってゼリーのように固形化したザーメンが、昴の子宮へとグイグイ注ぎ込まれていく。

  中でしゃくり上げる力強いペニスの脈動を感じながら、昴は自らの子宮が獅子王の精子に侵略される感覚を確かに感じていて…。

  確実に相手を孕ませる濃厚な精子だった。

  それは力強く、生命力に溢れ、卵子を求めて子宮の中をグングンと泳いでいく。

  最奥にて目標を見つけたそれらの精子は、我先にと卵子の膜を壊していき、そして……。

  着床した。

  卵子は獅子王の元気な生命力を分け与えられ、これから新たな生命を間もなく作り始めるだろう。

  呆然とした昴は、あまりの快楽に、涙と鼻水で顔を汚しながら、意識を失ってしまい……。

  [newpage]

  そして話は、冒頭の状況に戻る。

  今日も今日とて昴の元へ訪れた獅子王は、妊娠二ヶ月の昴の腹を撫でながら、彼にしては珍しく優しげな表情で、昴の肩を抱いていて……。

  「順調に育ってきてるみてぇだな…」

  「あっ…♥あっ…♥」

  昴は妊娠の成功率を引き上げるため、常に獅子王によって緩やかな発情状態を維持されていた。

  そのような状態で腹を毎日撫でられると、それだけでも昴は快感を得てしまい、もはや隠そうともせず、獅子王の前で甘い声を出していた。

  「ケツ上げろ。」

  「っ…はぃぃ…♥」

  パンと尻を叩かれて、弾かれるように尻を持ち上げる。昴は期待を秘めたような息遣いで、来る快感にドキドキと興奮してしまっていた。

  腹の子に良くないという理由から、痛みによる調教は控えられているが、快楽を伴うSEXは未だに健在である。

  むしろ、獅子王自身、昴とのSEXに夢中であり、妊娠二ヶ月という事もあって、アナルだけでなく、女性器の方も毎日のように責め立てられていた。

  「挿入れるぞ…」

  「ぁ゛…ぁ゛…ぁ゛ぁ゛…っ♥♥」

  そう言って獅子王がゆっくりと腰を突き出すと、それは腸内にある別れ道を通って、子宮の方へと侵入していった。

  ‪α‬としての本能か、子宮を犯すとゾクゾクとした得も言えぬ快感が獅子王の身体に走って、その顔はご満悦という風に歪む。

  ゴチュゴチュと子宮口の窄まりを亀頭の先で押し潰せば、それだけで多大な快楽が沸き起こり、昴の下腹部を下から押し上げる質量が主張していた。

  獅子王は昴の顔を横から鷲掴むようにすると、ズチュズチュッと、激しくも、腹の子に配慮した優しい腰使いで昴を責め立て始める。

  「あ゛っ♥あ゛っ♥あ゛っ♥ぎぃっ♥」

  「そら、乳首も弄ってやるからな。」

  「ひぃぃっ♥♥乳首だめれすぅぅぅ♥♥」

  獅子王は、昴の腕を引いて膝立ち状態にすると、そんな彼を抱きしめるようにして抱え、そして前に伸ばした手ですっかり開発された乳首もコリコリと刺激し始めた。

  妊娠のせいか、徐々に膨らみ始め、張りをもった胸は、そのうちミルクを出せるように変化していく事だろう。獅子王はそれを楽しみにしながら、昴の胸を揉みしだく。

  プシュッ…と昴のペニスから、潮が吹き出して、ベットに幾つもの染みを作り上げており、断続的に絶頂しているのは傍目から見ても明らかだ。

  獅子王は、そんな昴の下腹部に、片方の手を伸ばして、丁度自身のペニスによって内側から盛り上がる、その場所を上から強く押さえるようにしながら、尚更強く、ゴリゴリと子宮口を刺激するのだった。

  「あぎぃぃい♥♥ぞれっ♥ぞれだめぇぇ♥♥」

  「ここが…なんだって?」

  「ぞれだめれす…っ♥気持ちよすぎてぇ…っ♥」

  「ククク…そうかよ。ならもっと集中的にやってやんねぇとなぁ?」

  「あ゛っ!?♥ひぎぃぃぃぃ♥♥」

  ここ数ヶ月の間、獅子王によって毎日のように種付けされた子宮は、元から敏感であったにも関わらず、尚更その感覚を鋭くしていった。

  俗に言うポルチオ性感というもので、子宮口辺りには、開発すると大変深い絶頂を味わえる性感帯が存在している。

  獅子王はそれを分かっていて、昴のそこを重点的に責め立てた。発情の感度上昇も相まって、もはや訪れる絶頂のあまりの強烈さに、昴は脳細胞がブチブチとちぎれて行くような、そんな感覚さえ感じてしまっている。

  この快楽を与え続けられたら確実に馬鹿になる。もはや性感の事しか考えられない痴呆へと変貌し、それこそ、獅子王によって未来永劫その身を囚われてしまうだろう。そう頭の片隅で警鐘が鳴っていても、しかし、抵抗するにはもう遅すぎたのだ。

  獅子王も獅子王で、この数ヶ月、発情させ続けた昴のフェロモンを一身に受けることで、身体がそれに慣れ始めていた。

  最初は理性を抑えることも出来ず、暴走して、本来予定に無い子種を仕込んでしまった程だったが、結果的にそれは昴の心をほぼ完璧に堕とし、互いの子供が出来る事に関しては、獅子王も楽しみになってきている。

  今まで自身が誰かに夢中になるなど考えもしなかった獅子王だが、そのせいか、心内に芽生え始めた感情を未だしっかりと自覚出来ていなかった。

  熱く、優しく、穏やかなその熱は、あの冷たく凍った獅子王の胸の内をじんわりと溶かしていき、しかし彼がそれを愛情だと思い知るのは一体いつになるのだろうか。

  ずっと追い求めていたその感情は、いつしか獅子王の行動にも如実に現れてきて、その刻はおそらくきっと、すぐ側までやってきているだろう。

  「おるぁぁ!!また種仕込むぞ!!しっかり受け取りやがれ!!」

  「あ゛っ♥あ゛っ♥あ゛〜〜〜〜〜〜〜っっ♥♥」

  後ろから、勢いよく腰を突き出して、獅子王はザーメンを昴の子宮へとたっぷり流し込んでいく。

  昴もまた、その感覚を自らの下腹部に感じながら、惚けたように口を開け、絶頂に声を上げて。

  「あ゛…あ゛…♥」

  数分にも及ぶ射精が終わると、昴は涙を流しながら、バタリと前方に倒れるよう上半身をベットに埋めさせた。

  その反動でジュポッと抜きでたペニスと同時に、ビュルリとアナルから溢れ出た精子が吹き出す。

  荒く息を吐き、その鍛え上げられた豊満な胸を上下させる獅子王は、昴を見下ろして。

  仰向けにした昴に、再度覆い被さるようその身体を倒した。

  自身の胸の中にある熱、それの指示するままに、倒れた昴へと、濃厚なキスを落として。

  「……離さねぇ…」

  「…ぁ゛…ぁ゛…♥」

  「…てめぇはずっと、俺様のもんだ。昴…」

  呟きながら、またキスをした。

  ゆっくりと腰を突き出した獅子王が、またしても挿入を開始すれば、部屋の中には、囚われた人間の、哀れで悲しい、甘い声が響き渡ってゆくのだ。

  この後二人の姿を見たものは居ない。

  突然もぬけの殻になった獅子王の邸宅。まるで彼等が初めからそこに存在しなかったかのように、残されたものは一つもなく……。

  彼等がその後どうなったのか、それは皆さんのご想像にお任せするとしようか。

  終

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