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ヤクザが運命の番だった青年の幸福な日々

  獅子王×昴…退院後

  あの事故……という事になっている出来事から、三週間が経過し、まだちゃんと完治しているとは言えないものの、傷も塞がって、歩けるようにもなったので退院する運びとなった。

  獅子王は、結局あの後も、退院するまで病室に居座る気満々で、けれど、流石にベアさんに子供達をずっと任せておくのも悪いし、あくまでもベアさんは他人であるし…

  俺がなんとか頼みこんで獅子王を家に帰らせた。

  かなり渋々と言った感じで、なんとか…本当になんとか家に帰ってくれた獅子王だったけれど、結局毎日のように子供達と見舞いにくるのだから、殆どずっと一緒に居るのと代わりがなかった気がする。

  「お世話になりました。」

  「はい。ではお身体に気を付けてね。もうこんな事故が起こらないように祈ってますよ。」

  「あはは…」

  事故じゃなくて、故意の自殺未遂なんだけどね…。まぁ、それはもう黒歴史として処理しよう。

  目が覚めてから何だか、あれだけ重苦しかった胸のつっかえが取れたようで、妙に清々しい気分になっていた。

  確か、自分で自分を刺した前後の記憶では、俺はとにかく感情がぐちゃぐちゃになってしまっていて…。

  怒り、憎しみ、葛藤、悲しみ………そんな、いろんな感情の波に支配され、訳が分からなくなっていたように思うのだけれど…。

  目を覚ますまでの短い間…長い長い夢の中で、何だかとても、心が救われたような……

  ……そんな気がしていた。

  担当医に頭を下げてから家族と共に病室を出る。海はどうしても抱っこしてほしいと甘えてきて、数週間も留守にしていた訳だし、しょうがないからと思い通りにしてやった。

  まだまだ甘え盛りなので、俺が死ぬかもしれないと考えて、一層その甘えたい気持ちが強くなってしまっているようである。

  多分、数日すれば元に戻るだろうけど、今回ばかりは、俺が全面的に悪いので、その贖罪という意味でも、多少甘やかすのは仕方ない。

  「パピィ、俺も抱っこ…」

  「パピィ、俺も〜!」

  「え〜?」

  海を抱っこすると、それを見た太陽と大地が珍しく甘えたようにそんな事を言った。

  この三週間、俺が考えているよりも随分寂しい気持ちにさせてしまったのは、これを見る限り明らかだろう。

  その気持ちを察して全員抱っこ!……と言ってやりたい所だが、流石に病み上がり……というより、そうじゃなくても全員を持ち上げるのは、流石の俺でも無理である。

  獅子王の遺伝子の強さか、何せ太陽も大地も、まだ5歳と4歳という年齢に関わらず、身体が大きくて重たくなっているから、3歳の海を抱っこするのもギリギリって所なのに、3人まとめてなんて絶対無理だ。

  別に俺の身長は人間で言う所の平均的なものだし、腕力が極端にない訳では無いけど、5歳の太陽は既に120cmあるし、4歳の大地だって110cmある。

  3歳の海でも100cmだ。

  獅子王が210cmあって、俺は170というのを考えると、その大きさがわかるだろう。

  獅子王の子供にしてはむしろ丁度いいくらいの成長具合だが、太陽達は既に俺の腰を越えるくらいまで育っている。

  何とか上手く、彼等を傷付けないように誤魔化せないかと思っていると、獅子王が子供達をギロリと睨んで威圧した。

  「てめぇら、もうそうやって甘える程餓鬼じゃねぇだろうが。あんまり我儘言うと、拳骨食らわすぞコルァ。」

  「ひっ!」

  「きゃあ!」

  そんな事を言われた二人が耳を畳みながら頭を抑えて、ビクリと飛び跳ねる。パタパタとこちらに駆け込んできて、俺の後ろに隠れるようにすると、もしやこの三週間、家ではずっとこんな感じだったんじゃないか?と思えて、そりゃ甘えたくもなるな…と思った。

  やっぱり、あの時……自らの腹に刃物を突き立てた時、獅子王になら全てを任せられるかもしれないと考えた自分が馬鹿だったのかも…と今更ながらに後悔する。

  この様子だと、明らかに叱りすぎ&厳しすぎて、子供達がグレてしまうのも時間の問題である。

  逆に俺が獅子王を殺していたとしても、俺は子供達を甘やかしてしまう欠点があるから、皆我儘な子に育っていたかもしれないし。

  というのを考えると、意外と俺らは、しっかり揃って子育てしないと、どちらも駄目な親なのかもしれないなと思った。

  どちらか片方が欠けてしまうと、途端にバランスが崩れてしまう、思ったよりも絶妙な感覚で成り立っている気がする、

  「家に帰ったら皆でくっつきながら遊ぼう。それで我慢して。」

  「うん!」

  「やったー!」

  それだけ言うと、途端に上機嫌になった子供達がその場で奇妙な小踊りを披露する。

  かと思いきや、腕に抱いていた筈の海を獅子王がむんずと掴みあげ、代わりに抱いてくれた。

  「やぁぁ!!」と反抗する海をひと睨みで黙らせるところは、流石獅子王と言った所だが、別に海くらいなら抱いて歩けたのに。

  「病み上がりなんだからちっとは安静にしとけ!」

  そう言って獅子王は鼻を鳴らし、顔をツンと逸らす。

  俺が馬乗りになって刃物を突き立てようとしていた時は、素直に愛してる…なんて言ったくせに……。

  と、思い出した所で、何だか妙に身体が熱くなった。

  愛してる……、そう、俺は確かにあの時、獅子王にそんな愛の言葉を呟かれて…。

  途端に恥ずかしくなって、顔が真っ赤になった。

  あの時はそこまで深く考えなかったけれど、これまでの人生で唯一獅子王がデレた瞬間じゃなかろうか。

  ついでに言えば、病室で彼が眠ってしまっていたのも、結構レアで貴重でもある無防備な姿だったかもしれない。

  いつも毅然とした態度で、弱味なんか絶対に見せない…と、そんな雰囲気を醸し出しているプライドの高い獅子王の、あんな無邪気な寝顔を見たのはそれまでに一度でもあっただろうか。

  いや……無いな。せっかくだから、スマホで写真でも撮っておければ良かったけれど、生憎そんな事は咄嗟に思い浮かばなかった。

  撮っておけば、どこかで使えたかもしれないのに……。まぁ、そんなもの見せたら結局その後一体どんな報復が待っているのか、想像もつかないけれど…。

  そうして色々と考えながらも、皆揃って車に乗り、そのまま何の問題もなく家まで到着した。

  思ったりより普通だな……と、何故かそんな風に感じるのは、何となく病院で過ごす時間が長すぎて、外の世界というものを少し、遠く感じていたからだろうか。

  別に何か起こるんじゃないかと考えてはいなかったけれど、家に帰るまでの道中が、妙に現実味を持てなくて、本当に見える世界そのものが変わってしまったかのような、そんな違和感。

  しかし、もういつの間にか見慣れてしまった、この国での住み家の前に立つと、自分が意外と、こうして家族の待つ家に帰ってくる事を、待ち望んでいたことに驚いてしまう。

  わけも分からず、ただ攫われるように、日本から連れてこられた当初は、俺と獅子王だけの殺風景な家だと思ったものだけれど、今や、そんな整理前とした様子は無く、どこもかしこも家族の痕が残る家となっていて…。

  太陽が初めて家族を描いてくれた絵は、冷蔵庫から壁のメッセージボードに移され、その代わり、今やその冷蔵庫には、海の描いた汽車の絵が飾られている。

  大地が二歳の時に落書きした壁には、太陽と海もシールを貼ってみたり、更なる落書きを追加してみたり…。

  階段には、子供達が怪我をしないようにプラスチックの柵が設けられ、片付けられない玩具や、子供趣味の可愛らしい毛布、クッション、ぬいぐるみの数々。

  庭に一本生えている大きな木にはツリーハウス、その下にはブランコ、中央には簡易的な滑り台があり、俺はこれまで、こうした遊具を獅子王と一緒にうんうんと悩み、考えながら追加していった事を思い出した。

  いつの間にか、あれ程自分には不釣り合いだと思っていたこの立派な屋敷が、今じゃあ自分の帰る場所になっていたんだなぁ……。

  そう思うと、何だか感慨深いものがあって、少しだけ目頭が熱くなるような、そんな気がした。

  「パピィ〜!入らないの〜!」

  「さっさと来い!風邪引きてぇのか!?」

  「い、今行きま〜す!」

  俺は、子供達と獅子王の、そんな声に呼ばれるよう、いつしか第二の故郷となっていた、その場所へと、足早に駆けていくのであった。

  ◆◆◆◆

  「ふ〜…やっとまともにシャワーが浴びれる…。」

  入院していた間は、包帯やガーゼの問題もあって、まともにシャワーを浴びる事は出来ず、よくて身体を拭いてもらうか、着替えを用意して持ってきて貰うことくらいしか出来なかった。

  今もガーゼは貼ってあるけれど、表面的な傷は殆ど塞がっており、あとは内面的な傷が治るのを待つだけ。

  軽くシャワーを浴びる程度なら、ガーゼを取り替えれば問題無いと医者に言われたので、俺はさっそく1人でシャワーを浴びる事にしたのだ。

  ガラス製の扉を開けて、蛇口を捻れば、熱いお湯が全身に打ち付けられ、入院中ずっと我慢していた癒しの感覚が身体を包み込む。

  あまり長居して傷が開いたら元も子も無いので、俺はシャンプーを手に取ると、それを泡立てて頭を洗い始めた。

  その時……

  「……おい」

  「…ぇ!?…な、何?!…猛さん?!」

  キィ…と軽い音を立てて硝子戸が開き、そこから当たり前のように入ってきたのは、見上げるほどの巨大な図体をした、筋骨隆々な大男。

  まぁ、元より誰が来たかなんてちょっと考えれば簡単に分かる事だ。この家で突然このような行為に及ぶ者など、獅子王以外有り得ないのだから。……ただ、驚いて咄嗟に思考が回らなかっただけ。

  俺が慌てて泡を洗い流し、一度顔を拭って振り返れば、その瞬間、彼は腕を突き出し、俺を壁際に追い込んで、こちらへと覆い被さるよう見下ろしてきた。

  眉間に皺を寄せながら、険悪な顔でこちらを睨み、喉から少しばかり唸るような音が聞こえているのは気のせいだろうか。

  「…やっと一人になりやがったな。」

  「…あ…あの……」

  家に帰ってきてから、甘えたがる子供達の相手をしていて、そういえば獅子王には殆ど構っていなかった。

  だから俺が悪い……という訳では無いが、遠目にこちらを不機嫌そうに見つめる彼に気付いていながら、いつもの事だと放っておいたのは不味かったかもしれない。

  しかし獅子王はグイと顔を近付けてくると、牙をむき出すように、マズルへと皺を寄せて、たったそれだけでは説明がつかないような怒りを、俺に対してぶつけてきた。

  「……てめぇ、良くも俺様の前であんな真似できたもんだな?」

  「あ、あんな真似…?」

  「馬鹿が!つい三週間前の事だぞ!!」

  つい三週間前の出来事と言うと、思い当たるのは当然たった一つだけ。

  つまりは、俺の自殺未遂の件に関してだろうか。

  病院で2人きりになっても何も言われなかったから、てっきりもう許してくれているものだと勝手に思い込んでいたのだけれど、どうやら獅子王は全くそのつもりはなく、単にそれらを誰かに聞かれるのを嫌って言い出せなかっただけのようだ。

  確かに、はっきり言って俺は、到底許されないような事をしてしまったのは事実で……。

  今思えば、子供達を残して、この世を去ろうとするなんて、自分でも無責任な事をしたと思っている。

  あの時は、獅子王に一矢報いてやろうという気持ちばかりがあって、どうせ俺なんか居なくても…とか、なんだかそんな投げやりな事を考えていたような気がするし、とにかく自分でも自分を制御できなくなっていた。

  でも、そうは言っても、獅子王だってあの時、あの場所で、俺に殺される気満々だったのはどう説明するのだろうか。

  後始末はベアさんに任せているとか、まるでああなる事を知ってて俺を好きにさせてたみたいに振舞っていて、カッコつけて死のうとした癖に、それだって無かった事にはして欲しくない。

  「猛さんこそ…」

  「あぁ?」

  「猛さんこそ、俺に殺される気満々だった癖に…!俺、忘れて無いですからね!あの時の猛さんの言葉!」

  「…っな!」

  そう言った瞬間、獅子王はまるで面食らったかのように狼狽えて、何故か顔を真っ赤にした。

  厳つい、眉間に皺を寄せた、鬼のような形相は相変わらずだけれど、どこか虚をつかれたかのように、目に見えて狼狽えたかと思えば、頬を赤くして、僅かに顎を引きながら後ずさる。

  「?…ど、どうしたんですか?そんなに慌てて…」

  「…っ…う、うるせぇ!慌ててなんかいねぇ!!…忘れろ!!あの日言った事は忘れやがれ!!」

  「ちょっ!猛さ…っ!うわ!」

  彼がそこまで慌てている意味は全く分からないけれど、大方カッコつけて死ぬつもりが上手くいかなかった事に、少々プライドが傷付いているのかもしれない。

  それとも彼が忘れて欲しい言動なんて、他にあっただろうか??

  それはともかくとして、獅子王らしからぬ動揺で、肩を勢いよく揺さぶられると、その余りの乱暴さに思わず体勢が崩れて転びそうになってしまう。

  俺がまだ完治していない怪我人であり、妊娠中の身だとハッと思い出した獅子王は、無理な体勢から俺を守ろうと腕を伸ばし、その結果俺は獅子王の胸にすっぽりと抱き締められる形で巻き込まれ、結果的には、二人ともその場にまとめて転んでしまった。

  俺は獅子王の大きな身体に包まれていたから問題なかったけれど、彼の方はもしかしたら頭を打ったかもしれない。

  自分の無事に気付いてから、一拍遅れてハッと身体を起こした俺は、俺の下敷きになる獅子王さんを見下ろして、慌てたように問いかけた。

  「だ、大丈夫ですか!?猛さん!?」

  「ちっ……うるせぇ…っ」

  「頭とか打ったりしてないですか?」

  「俺様の事は良い。それよりてめぇは……」

  「俺は全然大丈夫です。こうして猛さんが守ってくれたから…」

  「…っ」

  ホッとして少しだけ目元を緩ませ、安心しきった俺がそう小さく笑うと、獅子王はまたしても、どこか言葉に詰まったように、顔を真っ赤にして固まってしまった。

  「……猛さん?」と心配になって問いかければ、彼はやっと思考が戻ったようで、いつもの様に顔を逸らし、ふんと鼻を鳴らしてぶっきらぼうに接してくる。

  「たく…要らん心配掛けやがって…!」

  「い、今のは猛さんが……!」

  そう言いかけた所で、俺は瞬間、グッと喉まで出かかった言葉を飲み込み、眉をひそめながら小さく俯いた。

  拳を獅子王の、逞しく毛深い胸の上でギュッと握りしめると、もう一度ゆっくり、彼の顔を見つめる。

  「あの……本当に…すいませんでした……」

  「あぁ?」

  「……あんな事して、凄く身勝手だったと思います…」

  「………」

  シャワーの温水が、二人の身体を雨のように打ち付けている。

  獅子王は一転して、俺の言葉に聞き入るような真顔になると、次の言葉を聞く準備でもするかのように、ゆっくりと俺諸共起き上がり…。

  改めて浴室の床へと座り直す。…そして、そのままこちらの背中に優しく手を添え、抱き締めるようにして俺を抱え込むと、準備は整ったとばかりにこちらを見下ろした。

  「……何故俺様を殺さなかった?」

  獅子王の言葉に、俺は俯きながらビクリと肩を震わせる。

  ここに来て、獅子王になんと説明すればよいか……というより、なんと言って誤魔化せばよいか、どうしても言葉が浮かんでこない。

  ーー貴方のことを…好きになってしまった…

  ……なんて。今更そんなこと。…彼の前では死んでも言えないだろう。

  「正直、てめぇは迷うこと無く俺様を殺すと思ってたぜ。」

  「……その気が……その気が無かったと言ったら…嘘になります。」

  父を殺し、俺の身柄を地下に拘束して、絶え間ない苦痛と快楽により、俺の身体を調教した張本人。

  俺を自らの運命の番だとのたまって、散々身体を思い通り犯し尽くした挙句に、子供まで孕まされ…。

  そんな、あまりにも理不尽な事をされたのだから、最初は勿論、悪感情以外の気持ちなんて持ち合わせていなかった。

  けれど…。

  「無理やり貴方に孕まされ…その結果子供達が産まれて……。でも結局、憎いはずの貴方の……俺の子供達を放っておくことも出来なくて……。そうやってズルズル、貴方とも家族として接していくうちに、俺の復讐心は、いつの間にか消えてなくなっていたのかもしれません。」

  最初はただ、この嘘で塗り固められた生活も、本当に本当に苦痛でしかなく、俺にとってそれら全ては、ただの酷いおままごとにしか思えなかった。

  けれど、子供が育つにつれ、そして増えていくにつれて、どこか歪ながらも、どんどんと作り上げられていく家族という関係に、いつの間にか俺は、なんだかこんな生活も悪くないな、なんて思ってしまい……。

  「……俺ァてめぇの親父を拷問して殺した男だぞ?…あの時殺さなかった事を、てめぇは後悔するかも知れねぇ。」

  「………」

  確かに、何度も頭を過ぎるのは、彼が父の仇だという、紛れもない事実。

  それは簡単に振り切ってしまえるような、そんな軽い出来事ではなく、きっと一生、この生活を続けるうちはずっと、俺の心を蝕み続ける、そんな大きな心の傷の一つである事は間違いないだろうけれど…。

  「……だからこそ、俺はもう、考える事が億劫になって……」

  恨み続けるのも、このまま何かを隠しながら子供達と過ごしていくのも……

  獅子王が親の仇だと葛藤したり、それに何の関わりもない子供達を巻き込んだり……。

  それ以上に、獅子王の事を、いつしか本気で好きになってしまった。

  そんな相反する様々な感情に蝕まれてしまった俺は……。

  「死んだら…楽になるのかなって………ほんのちょっとだけ、そんな風に思ってしまったんです。」

  獅子王に刃を突き立てた時の、彼の直前の言葉。

  俺の心にジクジクと疼き出す、彼への気持ち。

  恨み、悲しみ、苦しみが混ざり混ざって混沌と化し…。

  あらゆる感情に埋め尽くされた俺の心は、その瞬間、最も楽な逃げ道を探して、溢れ出した。

  それがあの時の、俺の行動の、その全て…。

  「……ふん…馬鹿が。てめぇの人生で唯一、自由になれるチャンスを、棒に振りやがって……」

  「……はは、そうかもしれませんね。」

  けれど……。

  「…でも……もう……いいんです。」

  「あぁ?」

  俺の言葉に、獅子王が怪訝な顔でこちらを睨んだ。

  俺はそんな彼の、分厚く、毛深い胸元に、ただ俯くよう全身を預け……

  「俺……一生貴方に囚われ続けても……」

  そう………、もう良いんだ。

  俺は彼を……獅子王を、心の底から愛してしまったのだから。

  「……いいんです。」

  これから先の人生ずっと……

  彼に囚われ、繋がれるならむしろ……。

  俺はそれでも構わない。もう自分の心を騙して、復讐に身をやつすのは……疲れたから。

  「貴方に…俺の残りの人生…全部あげます。」

  「……てめぇ…」

  獅子王がまるで何か、こちらの真意を探るような声色で呟いた。

  実の父の仇である相手に対して、そんな事を言うなんて、獅子王にとってそれは到底信じられるものではなかったのだろう。

  けれどどちらにせよ、そんな事、もうどうでもよかった。

  獅子王にとっても、昴は何者にも変えられぬ、たった一人の運命の番。

  彼にとって昴は、もはや自分の命を天秤に賭けても釣り合わぬ程…大切なヒト。

  だからこそ、昴が今本心ではなく、まだ何かを隠していて、そんな事を[[rb:宣 > のたま]]い、その結果いつしか自分をまた殺す気であったとしても。

  獅子王はそれを受け入れる。

  騙されてやるつもりでいる。

  だからこそ、その言葉の意味を追求する事はなく……。

  それがいつか終わる、悲しい結末の物語だったとしても……。

  「……そうかよ。」

  「……はい」

  「…ふん…後悔してもしらねぇぞ。」

  「…………」

  あの日、あの時、あの場所で…

  あの刃物を自らの腹に突き立てた時、昴は…。

  確かに一度死んだのだ。

  溢れ出した感情ごと、虚無に消えたのだ。

  もう、ただ復讐の為だけに生きていける程、昴の命は安いものでは無くなっていて……。

  大事なものが増えすぎた。その全てを犠牲にした所で、それを行った昴の心は晴れないだろうし…。

  むしろ更なる地獄へ、ただ突き進んでいくだけだろう。

  復讐、憎しみ、悲しみ。

  もう実はずっと前から、それら全て、とっくに愛という太陽に焼かれて消えかかってしまっていて…。

  無理やりそれらの負の感情を奮い立たせようとしても無理だった。

  歪な感情に支配された昴の心は、もうずっと崩壊寸前だった。

  疲弊し、ひたすら心を摩耗するような生き方をして、自ら死を選んだのならいっそ……。

  それらの感情を受け入れて、大切な者達と共に生きていくのを選んだ方が………、どうせ生きてしまったのだ、またもう一度死を選ぶより、それはよっぽど良いのでは無いか。

  だから昴は、獅子王を素直な気持ちに従って愛す事にした。

  子供達はとっくに愛しているけれど、彼と、彼と共に家族として生きていく事を心に決めた。

  それがこの先、どんな結果になろうとも…。

  「顔上げろ…」

  「……あ」

  獅子王に顎先を持ち上げられて、ゆっくりと上を向く。

  少し猫背になって、背中を丸めた獅子王の、大きな大きな顔が間近に迫ってくる。

  俺の顔面を一口で喰らい尽くしてしまいそうなマズルが僅かに開いて……。

  「ん……む…♥」

  長い長いキスをする。

  そしてこの日からやっと、二人の愛の物語は、当たり前を紡ぎだすのだ…。

  [newpage]

  「どうモー!旦那サン。Japanから旦那サン宛に、荷物届いてマスよー!」

  「あぁ?」

  それは子供達が寝静まった、23時頃の出来事だった。

  チャイムを鳴らすと、今頃寝ているだろう子供達が起きてしまう事を配慮してくれたベアから、獅子王宛に連絡があった。

  そうして、何事かと思いながら家の鍵を開けて出迎えると、彼の胸元から頭の先まであるような、大きな荷物を持ったベアが、いつもの様に陽気な満面の笑みを浮かべて立っており、そう言って家の中へと入る許可を求めてくる。

  遅い時間なので帰れという訳にも行かず、獅子王の知人らしき者からの贈り物とあっては、仕方ないので受け取る事にして居間まで招待すると、彼はその荷物をテーブルの上に置いて「龍司サンからデス」と呟いた。

  宛名は全く龍司とは違う名前であるけれど、それが彼の使う偽名である事を当然知っていた獅子王は、一体突然何を送ってきたのかと、懐疑的な目でその荷物を見下ろしている。

  「こんな時間に荷物ですか?」

  「Hello、姐サン。夫婦水入らずの所悪いデスね。物が物だけに、子供達が寝静まった今が、丁度良いタイミングかと思いまシて。」

  「中身はなんだ?」

  「drinkデス!お酒!ニホンシュらしいデスよ!」

  「酒か。」

  酒…と聞いて露骨に獅子王の丸い耳がピクリと動き、いつも険悪さを隠そうともしない表情に、僅かな変化が訪れる。

  昴が妊娠中に酒は飲まない……という、謎の気遣いとプライドを持っている獅子王にとって、この一年、昴が雪を身篭っていた為に、毎日断酒の日々だった。

  けれど、ついこの間、やっとの事、元気な人間の男の子である雪が産まれ、飲酒も解禁。

  とはいえ、どうせ一年ぶりに飲むのなら、と、飲む酒を決めあぐねている所に、まさかこのタイミングで日本から酒が届くとは。なんて僥倖だろう。

  特に獅子王の大好物は日本酒なのだ。これならば断酒後、一番に口にするのにふさわしい酒だと思える。

  獅子王は思わず、まるで悪事を企んでいるどこかの悪組織の幹部のように凶悪な顔で、ペロリと自らの唇を舐め上げた。

  早速、木の箱に詰められたそれを開けば、中からは見た事も無いような大きさの一升瓶。

  “獅子殺し!”と如何にもなラベルが貼られたそれは、獅子王の知己でもある龍司の選んだ酒ともあって、あちらでも獅子王自身が愛飲していた日本酒の一つだ。

  滅多に感情を表情に出さない獅子王も、こればっかりは、眉間に皺を寄せながらも笑みを浮かべて、いそいそとグラスを用意し始める。

  「デハ、私はここで!」

  「おう!手間かけさせたな!」

  ベアがそう言って片腕を上げ、家から出ていくのを見送り、昴は今までに無いほど上機嫌な獅子王を見て、ほんの少しだけ興味が沸いた。

  産まれてこの方、昴は酒を飲んだ事が無い。

  家には借金などの問題もあってそんな余裕は無かったし、それから解放された今となっても、度重なる妊娠の影響から飲む機会には恵まれず、まぁどのみち興味も無かったものだ。

  「猛さん、俺も一口良いですか?」

  「ん?……お前、飲めるのか?」

  「飲んだ事は無いですけど……。でも、雪も産まれたし、たまにはお祝いも兼ねて、飲んでみてもいいかなって。」

  「…まぁ、構わねぇが。」

  獅子王は少し怪訝な顔で昴を見たが、これが妊娠中ならいざ知らず、出産も終わったし、その祝いとして飲みたいというなら、別に止める程のことでも無いと思い了承した。

  もうひとつグラスを持って、昴と共にソファーへと並んで座ると、ほんの少し、[[rb:揶揄 > からか]]うつもりで、なんにも薄めずストレートのまま注いでやる。

  勿論獅子王にとってそれはいつも通りだが、酒を飲んだ事のない昴にとってストレートはキツいはずだし、何よりこの獅子殺しという酒はかなり度数が高い。

  そのまま飲めば喉が焼けるような感覚に陥って、一瞬で咳き込んでしまうのを予想して、あえてそれを手渡した獅子王は、少し意地の悪い笑みを浮かべながら、昴がそれを飲むのを見守ってやった。

  「乾杯」

  「……おう」

  カランとグラスを軽く打ち合わせて、獅子王はジッと昴の方を横目で見る。

  彼がグラスに口を付け、それを煽った所で、笑いが込み上げてくるが、しかし、そんな獅子王の予想とは裏腹に、昴はゴクゴクと喉を鳴らして、グラスの半分程もあったそれを、一気に飲み干してしまったではないか。

  「お…おい!」

  「んぐ…んぐ…んぐ…ぷはっ!」

  流石の獅子王も、それにはドン引きで、少しばかり目を見開きながら昴の肩を掴んだ。

  しかし昴は途中止めにかかった獅子王の事などお構いなく、尚もそれをゴクゴクと飲み干してしまい、気付いた時にはあっという間に、グラスに入っていた酒を空にしてしまっていて……。

  ヒクリッ…と獅子王の口角が僅かに痙攣する。

  あの度数の高い酒を一気に飲み干す馬鹿がいるのだろうか。

  昴はタン!と子気味の良い音を立ててグラスをテーブルに置くと、服の袖で口元を拭い、すっかりと出来上がった状態で、ユラユラと頭を僅かに揺らし始める。

  「おい…っ…大丈夫か、昴。」

  「はふ〜」

  流石に心配になって声を掛け、抱き寄せると、案の定昴は顔を茹でダコのように真っ赤にしていて、一瞬で酔っ払ってしまったようだ。

  あれほどの度数の酒を一気に飲み干してしまったのだから仕方はないが、この酔いの速さを見ると、明らかに昴は酒に強い訳でもないようで、ちょっとした[[rb:揶揄 > からか]]いのつもりが、不味い事態になったかもしれないと、獅子王は珍しく自分の行いを後悔することになった。

  昴は訳もなく、にへらと表情筋を無くしてしまったかのように笑い、獅子王に抱き着く。

  「たけるしゃ〜…ん」

  「おい…ったく…。あんなもん一気に飲み干す奴があるか!普通吐き出すだろうが、馬鹿野郎!」

  「へへ…おいしかったんらもん…」

  「ちっ…水持ってくっから、ちょっとここで待ってろ。」

  「らめ!…らめれす!…ここにいらさい!おすわり!」

  「くっ…何言ってやがんだてめぇは。」

  獅子王が立ち上がろうとすると、昴はギュッと彼の腕にまとわりついて、思い切り、腕まくりしたワイシャツが裂けそうな程の力強さでそれを引き止める。

  酔っているから当然なのだろうけれども、いつもとは違う子供のような昴の様子に、面食らった獅子王は、額から大粒の汗を垂らし……。

  とはいえ彼に言われるがまま、ソファーへともう一度、ドサリと腰を下ろして、どうしたもんかと溜息を吐きながら、昴の好きなようにさせることにした。

  あまり乱暴に扱っては、この状態だと具合が悪くなって吐き出したり、変な気絶の仕方をしてしまったりするかもしれない。

  どちらも産後の昴には少々身体の負担が心配である為、どうにも手が出せず困ってしまう。暴れられると厄介なので、少し落ち着くまで様子を見た方がいいだろう。そう結論づけた結果の行動だったのだが…。

  「んふふ…」

  「……なんだよ。」

  諦めたようにソファーへと座る獅子王の身体へと、よじ登るように動いた昴は、獅子王と真っ直ぐ見つめ合うような姿勢になって、気の抜けた笑みを浮かべる。

  そんな昴をジト目で見つめる獅子王は、もはや彼らしからぬ程、昴に翻弄されており、昔の獅子王であったなら、おそらくこんな昴でも容赦なく折檻した事だろう。

  しかし、今はもう違った。

  目の前のこの無邪気で、未熟にも見える人間を、心の底から愛してしまっていた。

  それこそ、こんな無礼だって許して、むしろ受け入れてしまうくらいには……。

  彼を愛し、敬っていた。

  もう立派な夫婦…もとい、家族なのだ。

  昴は、そんな獅子王を知ってか知らずか、彼の前で好き勝手をし始める。

  「たけるさぁん…」

  「……たく」

  表面上は呆れているが、獅子王にとっては、上機嫌な昴と接するのはまんざらでもない。

  少し気恥ずかしくなって顔を逸らし、好きにしろと言わんばかりにシカトしようとするが、しかしそれも、この後昴が突然言い出した言葉によって、あっという間に余裕のないものへと変化してしまう。

  「たけるさん…すき♥」

  「……っ!?」

  何を言い出すかと思いきや………。突然そんな事を言ってデレ始めた昴に、獅子王は思わず顎を引き、グッと怯んだように片眉を上げて彼を見下ろした。

  これまで、直接昴が獅子王に対して、そのような親愛の言葉を口にした事は一度たりとも無い。

  それは二人の関係の始まりや、昴の両親に関する確執の事もあって、どうにも仕方ない事だと諦めていたものだが、突然そんな事を言われてしまえば、流石の獅子王も面食らってしまう。

  しかし昴は、そんな獅子王の表情の変化にも気が付かず、更に続ける。

  「たけるさん…カッコイイ…」

  「ぐっ…!」

  「いつも思っれたけど…ハリウッドスターみらい…」

  「ぐぁ…っ」

  「このからだ…しゅき…♥…きんにく…しゅごい…♥おとこらしくて…だいしゅき…♥」

  「ぬぅ…っ!」

  「おれ…ほんろは…貴方のこと…あいし…っむ」

  しかしそれも、獅子王が突然、その大きな手で昴の口元を軽く押さえつけながら、軽く不機嫌そうに俯いてしまったことで終わりを迎える。

  「……やめろ…っ」

  「……?」

  「それ以上…言うな…っ」

  獅子王にとって、今昴が言おうとした言葉は、とてもとても特別で、柄にもなく、彼が心の底から待ち望んでいる言葉でもあった。

  いつか……、どれだけ時間が経ってもいい。

  どれだけ時間が掛かっても良いから、二人の関係がより良いものとなって……。

  そして、そうして初めて、心の籠ったその言葉を聞く事が出来たのなら……。

  愛に飢えていた獅子王にとって、唯一、それを与えてくれるかもしれない可能性。

  例えそれが、絶対に叶わない、分不相応な夢だとしても……。

  せめて、ほんの僅かでも希望があるというのなら、獅子王はその希望にただ縋るしかなかった。

  だからこそ、このように酒に酔った状態の昴に、その言葉言われた所で、それが本心かどうかは分からずに……。

  それに、たとえその言葉が、仮に彼の本心であったとしても、このような酒に酔った状況では、それを利用しているように思えて、とても素直には喜べなかった。

  勿論、それが嘘の言葉であったとしても、限りなく嬉しい言葉には間違いないけれど……。

  それでも、せめて[[rb:素面 > シラフ]]の状態の昴の口から、その言葉を言って欲しかった。

  嘘でもなんでもいい、とにかく、このように無防備な状況の昴にその言葉を言われても、心の底から喜べなくなってしまう。せっかく待ち望んでいた言葉に、くだらないケチがついてしまう。

  それだけはなんとしても防ぎたかった。だからなんとか、昴の口を抑えることで、すんでのところでそれを止めた。

  しかし、しばらくして口を押さえる掌から逃れた昴は、そんな獅子王の気持ちなど露知らず、更に彼を悩ませるような行動に出てしまう。

  「あちゅい…っ」

  「う…っ…」

  「これジャマぁ…!」

  突然獅子王の膝元から立ち上がった昴は、彼の目の前で服を脱ぎ始めたのだ。

  まるで癇癪を起こす子供のように、じたばたと暴れて服を脱ぐ。

  ともすればそれは、今の獅子王にとって、まるで高級ストリップショーにも匹敵するような状況にも思えていた。傍から見ればただ酔っぱらいが暴れているだけに見えても、長く禁欲している最中だし、つい先程、見たことも無いくらいに可愛らしく甘えてきた昴の様子が目に焼き付いて、まだ離れていないからだ。

  「やめろ…っ」

  「うぅ〜っ…!」

  獅子王は慌てて立ち上がると、昴の手を引いて暴れるのを抑えようとする。けれど、既に上着を脱ぎさり、上半身裸になってしまった昴を直視すれば、自分の衝動を抑えることが出来ないのは目に見えていた。

  獅子王らしからぬが、僅かに目を逸らして、応急処置として自ら脱ぎ去ったワイシャツを昴に無理矢理被せるようにする。自分が裸になってしまっても、今昴の裸を見て衝動のまま襲いかかってしまうよりかは、随分マシに思えた。

  普段の獅子王の行動から見れば、酔った相手であっても容赦なく犯してしまいそうなものだが、言った通り、このような昴を犯したとして、それで後からこの時の事を思い出した昴に嫌われるのは避けたい。

  昔の獅子王にとって、昴にした事を考えれば、自分は嫌われて当然という自虐じみた考えがあったのは事実だが、最近はその考えも、少しづつ変化してきていて、出来ればもっと昴に好かれたいと、そんな事を思うようになっていた。

  「たけるしゃんのにおい…」

  被されたダボダボのワイシャツに顔を埋めた昴が、やっと静かになる。一日履き潰した、獅子王の匂いがこびり付くその服に顔を埋めると、くんくんと匂いを嗅いでその場にゆっくり座り込んだ。

  昴が体育座りをすれば、足先まですっぽりと覆い隠してしまうほどの大きなシャツ。全身を獅子王の匂いに包まれると、彼の運命の番であり、Ωである昴は、本能的に安心しきってしまうのも無理はない。

  やっと静まり返った昴に、呆れたようなため息を吐きながら、この隙にと手早く水を持ってくる獅子王。

  昴の傍に膝をつき、コップを口元まで運んでいってやれば、今度ばかりは素直にそれを飲み干し、一息ついた彼は、にへらと無邪気に笑う。

  「たけるしゃん…すき…♥」

  「そうかよ…分かったから大人しくしとけ。たく…」

  「いい匂い…♥だいしゅき…♥」

  「………」

  まだ少し抵抗はあるものの、言葉だけなら慣れてきた獅子王。しかし、それと同時に擦り寄られると、獅子王の股間がピクリと反応してしまうのは仕方の無い事で…。

  「この腕…おとこらしい…♥」

  「む…」

  「すごいムキムキぃ…♥」

  そして、昴がそう言って獅子王の腕に縋り付くと、彼はまんざらでも無い様子で腕を持ち上げた。

  あくまでもさり気なく、肘を曲げて二の腕の筋肉をガチガチに盛り上げる。

  彫刻で表現される美しい筋肉というよりも、山で木を切る木こりのような野性的な筋肉は、毛皮越しにも分かるぐらいに太い血管が浮き出し、まるで鋼鉄のような硬さでありながら、熱を持ってとても熱かった。

  昴はその腕に全身で抱き着くと、満足そうにそのまま目を閉じる。

  「たけるしゃん…♥」

  「………」

  酒のせいか、どこまでも幸せそうに笑う昴に、獅子王は単純な奴だと呆れた様子で視線を向ける。

  そう言えば今彼は、自分が先程まで着ていたダボダボのシャツに身を包んでいるのだ。

  その姿はどことなく、獅子王の独占欲を刺激して、また1つ、股間の盛り上がりが大きくなる。

  鼻息が徐々に荒くなっていって、心の中では程なくして悪魔が囁き始めた。

  ここまで無防備な妻をいただかないのは、夫としてどうなんだ?

  添え膳食わぬは男の恥と言うが、今がまさにその時なのではないか?

  こんなにも可愛らしくアピールしている昴が居て、しかも獅子王自身は欲求不満ときている。

  これみよがしにすがりついて来て、こちらのシャツに身を包み、全身からフェロモンを醸し出す昴。

  そう考え始めると、獅子王の目はギラギラと輝き始め、その瞳の奥にはどこか、情欲に支配された炎が見え隠れし初めていた。

  けれどそんな事を思ったのも束の間、瞬間、カッと突然目を見開いた昴が、そうだ、と何か思い出したかのように唇を尖らせながら、顔を勢いよく近付けてきて、突然怒ったように不満を口に出す。

  「そうら!…たけゆしゃん!あんらねぇえ…!ベアしゃんとはどういう関係らの!?」

  「は、はぁ?」

  思いもよらない言葉に、流石の獅子王も面食らって、徐々に徐々に、メラメラと燃え上がっていた情欲の炎も、途端にシュンと、呆気なく萎え落ちる。

  ベアとの関係?…そんなもの、何かあっただろうか。…強いて言えばベアは龍司から遣わされた下っ端、世話役の一人、獅子王が仕事で稼がせてやっているので弱みもあるし、いつでも処分出来る都合の良い奴隷…ちょっと…というより大分イラついた時もあるが、概ね優秀でそこそこ使える部下…という感じである。

  正直どんなに考えた所で、それ以外の感想も、感情も、今の獅子王は持ち合わせていない。

  けれど、そんな獅子王の評価も、昴にとっては全く違ったようだ。

  「いっちゅもいっちゅも二人して…!じゅるい!!じゅるいじゅるい!!…本当は二人でエッチな事してるんでしょ!!妊娠中はえっちできないからって!」

  「はぁ!?なっ!何言ってやがる!!」

  昴の言葉に、獅子王はそれまでより明らかに驚いて、何故そんな事を思われているのか全く分からないと言った風に、思わず戸惑った声を出した。しかし昴からしてみれば、日頃の二人の行動を見ていると、十分嫉妬の対象となっていたようである。

  ともすれば、妊娠中、昴の身体を気遣って、SEXをしないよう我慢し続けていた獅子王。

  だが、まぁ隠すつもりもないし、誰もが知っての通り、獅子王はかなりの性豪であって……。

  それは毎日朝までシても満足出来ないぞとでも言うような、そんなレベルである。当然、それを知り尽くしているのは他の誰でもない、相手をしている昴本人だ。

  と、すると……?昴は日頃から不審に思っていた。

  そんな性欲お化けの獅子王が、一体どうやってその持て余した欲望を発散しているのか。

  まさか、ど根性の精神で無理矢理それらを押さえ込んでいるのだ。などとは言うまい。

  ともすれは、誰か相手が居るのではないだろうか。そんな風に勘繰っては、獅子王の外見を見て、昴は毎回のように不安に駆られていた。

  何せ獅子王は本当に…本当にハンサムなのだ。

  憎しみを持って接していたハズの時期でさえ、ちょっとした事で少しときめいてしまった事が頻繁にあるくらいには、獅子王の外見はかなり整っている。

  目鼻顔立ちが均等に設置された、バランスの良いパーツ。彫りが深く、ルビーのように美しい、吸い込まれるような深い緋の眼。

  雄々しく悠然と揺れる男らしい鬣に、まるでスーパーヒーローのように鍛え上げられた巨躯、人体。

  昴は知っている。

  小学校に通う、子供の親達でさえも、獅子王を見て黄色い声援をあげ、ことある事に関わろうとしてきては、彼をつけ狙って居ることを。

  太陽や大地は、いつも迎えに来てくれる父親が、クラス生徒の両親達に人気で周りを囲まれる事に優越感を持っているし、それをスマホで撮影して見せてくれた。

  昴からしてみれば、学校は人が多くて他人の目に触れ過ぎるからと、獅子王から直接、子供達の迎えを許可されず、1人寂しく家で待っているというのに、しかし、そんな事を言った獅子王本人が、こうやって彼女らに群がられていては全く説得力がないというものだ。

  けれど百歩譲って、それはまだ良いとしよう。流石の獅子王も、子供の友達の親に手を出したりすれば、噂なりなんなり広まって、色々面倒になるという事は理解しているだろうし、そもそも彼が女性に手を出している所を想像出来ない。

  まぁ、それは実際の所、相手をしているのが昴というだけで、女性もいけるのかもしれないけれど、その可能性は一先ず排除しておく。

  となると、問題は獅子王とベアの関係だ。

  ベアは本当に色々と甲斐甲斐しく世話をしてくれる。とても有能な人物だ。少なくとも、昴の評価はそうである。

  何か困ったことがあれば、どこからともなく現れて助けてくれるし、結構色々な仕事をそつなくこなすのに、それを鼻にかけて自慢したりもしない。

  子供達の世話では毎回助かっているし、ちょっとした買い物の代行やお使いなども、面倒くさがらず率先してやってくれて、実際彼が居ないと、昴は馴れない子育てや突然の環境の変化、心情のストレス等によって、もうずっと前に精神が崩壊していたのではないだろうかと思う。

  けれど、それと同時にベアは、獅子王と二人きりで行動する事もかなり多いのだ。

  一体全体何を話したり、しているのかは全く想像出来ないが、大半の時間を、二人で車に乗って出掛け、過ごしている事も多々ある。

  そうなってくるとやはり、真っ先に思い浮かぶのは、獅子王がベアと浮気し、昴が妊娠中の性処理を彼が担っているのではないかと…つまりはそういう事で。

  「どうなんれすか!?」

  「………はぁ」

  昴が、酒に酔った真っ赤な顔で、目を据わらせながら睨みつけてくる。

  言いたいことはままあるが、実際の所、獅子王が昴を極力外に出していないのは事実だし。(他人の目に触れて昴にちょっかいをだされたり、惚れられると困る為)

  ベアと一日中家の外に出て帰ってこない日もそれなりにある。(商売敵に圧をかけ、見せしめのため拷問にかけたり、場合によっては殺して処理するのに時間が掛かったりする為)

  けれど、勿論獅子王は浮気などしておらず、どこまでいっても昴一筋である為、彼が妊娠中、手を出さないと決めてから獅子王は、泣く泣くシャワー中に自分でシゴいて処理するくらいの、そんな、昴が思うよりかなり単純で、酷く簡単な方法で、何とか日々を堪えているだけだった。

  そう考えると、そう言えば獅子王も、ふつふつと、心の奥底から湧き上がってくる黒い感情に気が付いて……。

  「てめぇこそ、ベアに色目使ってんじゃねぇぞ…!」

  「はへ…?」

  唸るような声で、そんな事を口走った。

  どうやら獅子王も獅子王で、かなりフラストレーションが溜まっていたようである。

  「アイツもアイツで…一体何度殺してやろうと思ったか、もう数え切れねぇ…!」

  ベアは龍司から遣わされた、この国での世話役。それは勿論その通り、獅子王にも分かっている事だし、実際それなりに助けられている自覚はある。

  だがしかし、昴がベアの作る飯を食べて、獅子王には見せた事もないような笑顔で「美味しい!」と笑ったり、それらを食べ終わった後の食器洗いを手伝うと申し出て、二人並びながら楽しく会話して作業したり、あまつさえ、何かある度、ベアを呼ぼう、ベアに助けて貰おう、ベアさんベアさん…とそんな風に彼に頼る姿を見せられれば、一体陰でどれだけ、獅子王がグラスや小物を拳で握り潰してしまった事か。もはや数え切れない。

  そもそも、極力ベアと一緒に行動させないよう、長時間彼を拘束しているのは、そういった意味もある。

  もし一瞬でも二人だけにしようものなら、一体全体何が起こるか、獅子王はそう考えただけでも、非常に腹立たしい気持ちになり、しかし、ベアという便利な駒をそう簡単に処理するのも問題があると考えて、手を出さずにいた。

  何せ、昴はベアを気に入っていたし、子供達の世話をする際にも彼は役に立った。付近は彼の地元でもある為何かと融通が効くし、イラつく事はあっても、ベアが居なくなった時の昴の負担なども考えると、面倒事ばかりが増えて、いちいち処理が大変な事になるのは目に見えていた。

  新しい人員が補充されるのも早いだろうが、ウチの家族と上手くやって行けるかはまた別問題である。

  人を取っかえ引っ変えして、子供や昴が何か勘づいたり、そうして毎日の生活に妙な緊張感が生まれるよりかは、多少の欠点は我慢した方が家族の為だと、獅子王という男にしては珍しく、かなり怒りを抑えている方だったのだ。

  「もう〜…なにいっれるんれすか!オレがベアしゃんを好きになるわけないれしょ〜!!」

  「てめぇこそ!俺様がベアなんぞに現を抜かすか!ちっとは考えろ!」

  二人の声がそうやってぶつかり合い、感情が弾けるように霧散した。思ったより大きな声が出てしまって、その後に訪れる静寂に妙な感覚が付きまとう。

  しかし、そこでふと、お互いがお互い、全く同じような気持ちで嫉妬していたのだと、そう分かって…。

  だとしたならばもう、何もこんな風に怒鳴り合う必要も、感情に任せて怒る必要も無いのだと、そこで何となく糸が切れた人形のように、心のモヤモヤとした気分がどこかに落ちて、消え去ったような気がした。

  すると、昴が獅子王の顔を見つめながらニンマリと笑い、唐突に彼の頭を抱き締めて、優しくその後頭部を撫で始める。

  突然の出来事に対応する事も出来ず、獅子王はされるがままに昴の抱擁を受け入れるしかない。

  「んふふ…たけるしゃんも…嫉妬してくれてたんれすね……うれしいれす…おんなじ気持ちれ…」

  「…う、うるせぇ…!……あたりめぇだろうが……。俺は……俺様は……お前の父親を殺した……憎い相手で……。」

  「も〜いいの…!そんらの気にしらくていいの!……俺は…たけるしゃんのこと…だいしゅき…!たけるしゃんだけ……しゅき…♥」

  「……っ!?」

  昴がそうやって獅子王の心に巣食う負い目に、溢れんばかりの癒しを与えると、それまでずっと彼の胸の内を侵食してきた、そんな黒くて粘ついた魔物が、徐々に溶けては消え去っていき…。

  なんというか、言葉に出来ない、何かとにかくポカポカと暖かいような、そんな温もりが、胸に広がっていったような気がした。

  それと同時に、これまで我慢してきた性欲という魔人もまた、ムクムクと奥底から鎌首をもたげ初めて…。

  密着すると、昴の匂いが獅子王の全身を包み込む。

  この1年間、ずっとずっと、手を出したくて我慢し続けた、極上の獲物が、目の前で無邪気に、その身を差し出してきている。

  酔っ払っていて、多分あまり正気ではない。そう思いつつも、こんな風に密着させられて、同時に愛も告げられて、その上で、いっそ清々しいくらいに自分を求められていると思うと、そこでまた改めて欲望を堪えられる程、獅子王の自制心は全く強くなく…。

  「……おい!」

  「……ん」

  「しっかり捕まれ…!」

  そして獅子王は意を決すると、昴の身体を腕に座らせるようにして持ち上げ、寝室へと向かった。

  もう相手の状態など考えている余裕はなく………というより、意図的に無視する事にして、欲望のままにその身体を貪る事に決める。

  あとで[[rb:素面 > シラフ]]になった昴にどれだけ責められようと構わない。

  酒を飲んでいるとは言え、煽ってきたのは昴の方なのだ。これで手を出さない方がどうかしているし、そんなのは雄ではない。そうだ、これは全て昴のせいであり、昴の自己責任だ。

  そうして、酒を飲んでしまった昴に全て押し付けようと考えながら移動している間も、獅子王の首に抱き着いた昴は、彼の鬣に顔を埋めて匂いを嗅ぎ、頬を擦り付けるようにする。

  その度に、獅子王の股間が、呼応するよう痙攣している事にも気が付かず、昴は、彼の欲望を刺激し続け、同時にその決意を確固たるものにしていったのだ。

  獅子王は寝室に辿り着くと、脇目も振らず昴を真っ直ぐベットへと仰向けに寝かせて、その勢いのまま彼に覆い被さる。

  そして、その手に、自身の大きく、無骨で、形の合わない手を重ねると……

  「たけるしゃ…んむ♥」

  昴の言葉を遮るように、獅子王はその唇をマズルで覆うようにキスをした。

  分厚い舌がねっとりと口内を満たし、強い酒気の混じった吐息を互いに交換し合う。

  片方の手と手が絡み合うと、昴の指は獅子王のあまりの手の大きさにいっぱいいっぱいになって、彼の小指の隙間にも指が届かないどころか、ギュッと握りしめても手の甲まで伸びることさえ無いほど、そこに圧倒的な大きさの違いがあった。

  そして、ゆっくりとワイシャツの前を開いて、その身体に手を這わせていけば、歳をとって、少し表面の固くなったザラザラの肉球が、柔らかい昴の肌を撫で上げて…。

  「んっ♥♥」

  太く、毛深い親指が、微かに昴の胸の突起を撫でると、その瞬間ビクリと震え上がった彼は、くぐもった音を獅子王のマズルの中に響かせた。

  弄ぶように何度も往復する指が乳首を弾く度に、すっかり開発されて性感帯となったそこの快楽に、次第に脳は蕩けていって、昴は簡単に絶頂へと追いやられてしまう。

  そして、そうやって一度ドライオーガズムに達すれば、まるでその瞬間スイッチでも入ってしまったみたいに、絶頂の波が押し寄せてきて、ビクビクとした身体の痙攣がずっと止まらずに、マズルの中に響く叫び声も大きくなっていき……。

  「ん゛〜〜〜っっ♥♥」

  一際大きくビクンと身体が跳ねると、昴の胸からビュッと白い液状の何かが溢れて、獅子王の指を濡らした。

  それもそのはず、出産して間もない身体なのだから、母乳が出るのも当然の事だ。

  ズロロ…と長い舌を引き摺るように口から取り出せば、すっかり出来上がった表情の昴は、涙目になりながら荒く息を吐き、大きく胸を上下させて、ぐったりと無防備な姿を晒しており…。

  下半身の奥、Ωの子宮もまた、獅子王の種を求めてキュンキュンと疼いているような気がした。

  長い間、連続で彼の子供を身ごもり、育ててきた子宮が、未だに獅子王の赤ん坊欲しさに疼いて仕方がない。

  いつもならこうした前戯も程々に、即挿入とする所だった。特に今は、甘えた昴の姿を事前に見ていた事もあって、獅子王側だとてその気持ちの余裕は全くない。

  その証拠に、スラックスの内側では、ビキビキと痛い程に勃起した逸物が、ズボンの前袋を大きく盛り上げていて、それを今すぐにでも解放して、昴へと挿入出来たならどんなに良いか。

  けれど獅子王は、そんな自分の欲望を律して、昴を抱き上げると、対面座位の姿勢で、その胸元に優しく吸い付く。

  「っァ゛〜〜っ♥♥」

  「ちゅる…じゅる……ぢゅ……ぢゅるる♥♥」

  ざらついた舌先で、ゼロリと削り上げるように乳首を舐める。

  漏れ出た母乳が舌腹に白い痕を残して、びゅるびゅると止まることなく溢れ出ては、獅子王がそれを余すことなく吸いとった。

  ブルブルと震え、力の籠らない腕は、自然と獅子王の大きな頭を抱きしめるようにし、それと同時に昴の背中に回された獅子王の腕が、次第に彼の下半身へと下がっていくと……。

  「ひぃっ♥♥」

  ゆっくり、そのアナルへと指先が埋没していった。コチュコチュと擽るように入口付近を掻き回して、自然と弓なりに身体がしなると、胸は更に突き出され、まるでもっと舐めてくれと懇願するような姿勢となってしまう。

  同時に獅子王の腹へとペニスが擦り付けられると、びゅるびゅると我慢汁が彼の腹を濡らし…。

  「ダメぇぇ♥♥まらイッちゃうからぁぁ♥♥」

  涙でドロドロに顔を濡らしながら、昴は耐えきれずに首をブンブンと横に振って叫んだ。

  大きく口を開けて、子供のような泣き顔を晒しながら、ブルリと大きく震える。

  獅子王が挿入した指が、小刻みに、ギュッギュッと心地よく締め付けられると、その瞬間昴が呆気なく絶頂に達した事は、彼の顔を直接見なくても分かって…。

  「あっ♥あ゛〜〜〜っ♥♥あ゛〜〜〜〜〜〜♥♥♥」

  濁音混じりの間延びした声で、白痴のように叫んだ。

  かと思えば、腰を素早く持ち上げられ、がに股で足を広げるような姿勢にさせられると、獅子王はその股の間に腕を差し込み、ゴチュゴチュと昴のアナルを激しく掻き回しはじめた。獅子王の首に抱き着いてなんとか縋り付き、ガクガクと開いた足を馬鹿みたいに痙攣させた昴は、目を見開いて口を大きく開き…。

  そして獅子王は、そんな彼を更なる絶頂へと無慈悲に追いやっていく。

  「〜〜〜〜〜〜っ♥♥♥♥」

  ビュルッ…ビュッビュッ!♥と勃起したペニスから潮と同時に、それによって薄まった精子が飛び出してきて、獅子王の肉体へと小さな汚れを落とした。

  声にならない声を上げ、口と目を大きく開き、ただブルブルとバイブレーションのように震える昴は、与えられる強い快楽に頭が追いついていないようである。

  戯れに、ゴチュッゴチュッ…と強く掻き回していた指を突然勢いよく引き抜けば、瞬間、ガクン…ガクガク…と腰を前に突き出した昴のペニスから、間髪入れずまた精子が吹き出してきて……。

  その余韻も味合わぬうちに、獅子王の野太い指がまたアナルへと容赦なく突き入れられる。

  腸液なのか、それとも愛液なのか、分からない液体がケツ穴から漏れ出て、ベットを濡らそうとも、獅子王は、徐々に遠ざかっていく昴の腰を、掻き回す腕に力を込めて乱暴に引き寄せては、気の済むまで刺激し続けるのだった。

  「イッ〜〜ッッッ♥♥♥お゛ぉ゛ォ゛っ♥♥♥ほおおお♥♥♥まらイッッ…グゥゥ!!!♥♥♥♥」

  「イケ……!メスイキしろ!!そら!!」

  「イ゛…ッ〜〜ギィィィ…っ!!!♥♥」

  そうしてしばらく昴は、絶頂の最中へと何度も追いやられると、ベットへとうつ伏せになって、まるでカエルのように無様な姿でビクビク震えることとなった。

  散々ほじくり回されたケツ穴は、パクパクと何度も開閉を繰り返し、赤い腸壁を覗かせながら、もわりとした熱を放っていて、それがどれだけ激しい手マンだったのか、想像に容易くない。

  そこまで責め立てると、流石の獅子王も、そろそろ限界が近かった。

  これまでに無いほどペニスを勃起させ、鼻息荒く、昴を見下ろしている。

  スラックスから取り出したその逸物は、血管がはち切れんばかりに膨張し、ダラダラと鈴口から我慢汁が小便の如く溢れていて……。

  根元を掴みながら、ニチャニチャと昴のケツの割れ目へとそれを擦り付ける。彼の体格と比べてみればわかる通り、挿入していなくても、ケツから背中まで伸びるその逸物は、もはや立派な凶器のようなものだった。

  正直、手の支えがなくたって、それは硬すぎて突き立てられそうなものだが、あまりにもビンビンに勃起している為、放っておけば臍まで直立してしまい、根元で角度をつけなければ挿入出来そうもないのである。

  昴の耳元へと顔を近づけた獅子王は、低く呟きながら、ゆっくりと腰を突き出していき……。

  「[[rb:挿入 > いれ]]るぞ…」

  「あ…っ…まっれ…♥らめ…♥今挿入れられたら…っ♥♥あっ!?♥あっ!…〜〜〜〜…あ゛っ〜〜♥♥」

  それだけ言うと、昴の懇願など無視して、獅子王はそのまま腰を突き出し、呆気なくそれを最奥まで挿入した。

  腹の中を突然満たした異物感に、昴は顎をしゃくり上げ、大きく口を開けながら、絶句したようにブルブルと震える。

  内側から盛り上がる腹が、ベットに擦れたかと思いきや、瞬間、じょろじょろと、昴のペニスから漏れだした液体が生暖かくシーツを濡らして……

  「ふん…!」

  「お゛…あ゛…がっ!?♥」

  獅子王が昴の膝に裏から腕を回し、彼を持ち上げるようにしながら立ち上がる。

  すると、圧倒的な体格差によって、股を大きく開かれ、膝裏から伸ばされた腕を首の後ろで組んだ獅子王によって、昴はあられもない姿を晒すことになってしまった。

  腹は相変わらず、獅子王の逸物によって内側から盛り上がり、股は膝を持たれてるため無様に開ききって、閉じることも許されない。ペニスが一体どこまで挿入されているのか、その腹の凹凸が蠢くのを見ればやすやすと想像でき、まるで何か別の巨大な生物が、昴の腹の中で暴れているようにも見えていた。

  その上、下から突き上げるように、獅子王がズン…と腰を揺らすと…

  「あ゛っっぎぃぃ!!♥♥♥」

  プシャーと、昴の小ぶりなペニスから潮が派手に吹き出して、同時に両の乳首からも、白濁としたサラサラの液体が迸る。一体全体、その衝撃がどれほど強烈なものだったのか、その様子をただ眺めているだけでも理解出来た。

  昴の腹も、一度驚くほどしぼんだかと思いきや、すぐにまた内側から突き上げられたせいで盛り上がり、そこから更に、しぼんでは膨らんでを繰り返していて……。

  「がっ…あ゛っ♥♥ ぎっ!あ゛っ!♥♥」

  「ふっ…ふっ…ふっ…ふっ…♥」

  一突きするごとに、昴のペニスと乳首から勢いよく潮とミルクとが吹き出す。

  その度昴の意識は、何度も鈍器で頭を殴られたかのような衝撃に見舞われ、視界全体に白くザラザラとした砂嵐が流れる程、強すぎる快楽に意識が朦朧としていく。

  獅子王はそんな昴の背後から、彼の首筋の至る所、様々な角度から甘く噛みついては、発情のスイッチを入れて…。

  何度も何度も激しく腰を突き出してはいるものの、これでも、精一杯加減しているつもりで行為に及んでいた。

  そしてそのまま、どんどんと体位は代わり……

  犬のように背後から腰を振り、髪を乱暴に掴んで持ち上げながら、まるで獣のように犯したり…

  二人で寝そべり、深い深いディープキスをしながら横向きに腹をグッと掌で押し込み、子宮を表からも中からも突き上げてみたり…

  昴の全身を覆い隠すようにしながら、上からその体格で押しつぶすように、もとい、自身の烙印を押し付けるように、種付プレスで突き降してみたり…。

  そうやって一晩中、二人は愛し合い、そうして獅子王は、どこまでも金玉から溢れ出るその大量の子種を、余すことなく昴の中へ注ぎ込んでいった。

  途中、意識を失いながらも、昴も昴で夢見心地だったようである。

  与えられる強い快楽によって脳が溶け、アルコールが及ぼす幻覚症状の中で、彼もまた何度も何度も絶頂を繰り返した。

  そして最後には…

  それまでの激しすぎるSEXから、少しばかり落ち着いて…。

  お互い自然と密着し合いながら、昴は素直になった言葉を囁いた。

  「すき♥すきれす♥っ猛さ…っ♥」

  「はっ…はっ…っ…そうかよ…!」

  「もっと…♥もっと下さっ♥」

  「言われなくとも…!離すわけねぇだろうが…♥っくそ♥」

  いつしか躊躇いもなく好意を口にする昴に、内心穏やかでは居られない獅子王。

  自分もまた、昴のその言葉に答えようと声を紡ごうとしても、上手く言葉に出来ず、悪態ばかりが口をついてしまう。

  そんな自分に対する苛立ちをぶつけるように、SEXのの熱はますます強くなっていく。

  「ぞご♥…ぞご♥…猛ざ…っ…ぞれやばっ…♥」

  「あぁ?…ここかぁ!…おら!おら!だったら!もっと!擦り立ててやるよ…!嬉しいっ!だろうが!あ゛!?♥」

  「あ゛っ!♥あ゛っ♥あ゛っ♥あ゛〜〜っ♥♥……ぞれ…!だめっ…!またイ゛…っ!イッちゃうっ!♥♥イぐっ!♥♥イ゛ッッッ!!♥♥」

  「俺もっ!また[[rb:射精 > だ]]すぞ!…しっかりっ!受け取れぇっ!……ぐっ…う……はっ♥」

  昴の足を持ち上げて、正常位の状態で、ごちゅごちゅと力強く前立腺と子宮を捏ねくり回す獅子王。

  昴は足先をピンと伸ばして、瞬間ブルブルと震えながら、またしても、何度目かのドライオーガズムへと達していく。

  それを見下ろしていた獅子王は、おもむろに態勢を変え、昴の体に覆いかぶさるよう前屈みになると、激しく上から押しつぶすようにピストンし、そのまま絶頂へと向かって……。

  「は…っ♥は…♥…ぐ…♥」

  荒く息を吐いて、射精の余韻に浸る。眉間に自然と皺が寄り、昴の中で何度もペニスがしゃくりあげ、またしても孕んでしまったのではないかと言う程の精子が、彼の中へと吐き出される。

  昴の膣は、そんな獅子王の全てを受け入れるよう、貪欲に蠢いては、キュンキュンと締め付け…。

  ゆっくりと目を開けて、少しばかり冷静になった頭で、昴を見つめる。

  自身と同様に荒く息を吐き、快感の余韻でぐったりとする、そのどうしようもなく愛おしい横顔を見つめると、獅子王は無意識のうちに、低く優しい声色で……。

  「……愛してるぞ…昴。」

  そう呟いていた。

  意識せずとも自然と口をついた。

  いつしか返答を期待するような、真剣な眼差しが昴を射抜き、それに対して、まどろむような瞳で返した昴も、獅子王の硬い鬣に腕を伸ばしながら呟くのだ。

  「俺も…俺も好きです…!♥…だから…だからもっと…♥」

  懇願するようにそう言う昴に、獅子王はどこか宛が外れたような…。しかし、それでもどこか納得してしまったような…。そんな複雑な表情で小さく口角をあげ、少し悲しげに微笑むと、仕方ないとばかりに、キスをしながらまた腰を突き出して……

  「これからずっと…死ぬまでてめぇを離さねぇからな…覚悟しとけよ…昴」

  「あっ♥あっ♥あっ♥はっ♥」

  「いつか絶対…どれだけ掛かっても…お前を…」

  そんな獅子王の囁きは、昴の絶頂の声にかき消された。

  最後、それら言葉がその当事者に聞こえていたかどうかは、定かではない。

  [newpage]

  「姐サン…ほら、こっちへ…Come…」

  「あ…べ、ベアさん…こんな事はもう…」

  「フフフ…大丈夫デス。…旦那サンは仕事でいまセンし、今日も沢山可愛がってあげますからね…」

  「あ……」

  とある日の昼下がり…

  突然家へとやってきた、ハワイでの世話係でもあるベアに、昴は困惑していた。

  度々獅子王が不在の時にやってきては、怪しい手付きで昴の肩を抱き、妙に馴れ馴れしく関わってきたベア。

  そんな彼に言い寄られるまま、こうして行為に及んでしまったのは、一体いつからだっただろうか。

  「旦那サンもGuilty…罪な人デスねぇ…貴方みたいなcuteな奥サンを放って、work…仕事に行ってしまうなんて…」

  ベアがソファーに腰掛け、その股の間に昴の頭が来るよう座らせて呟く。

  五人目を妊娠してから、体に配慮すると言ってSEXしなかった時間が長かったせいか、最近夫婦の営みというものはあまり行われておらず、いつしか獅子王と昴の間に、そういう甘い関係は無くなってしまった。

  それを知ってか知らずか、これ幸いにと目をつけたのは、随分昔から昴の事を虎視眈々と狙っていた、世話役であり、獅子王の部下のベアだったというわけだ。

  彼は、獅子王に散々開発されて、その癖放置された事によって体の疼きを持て余している、そんな昴を利用し、彼にちょくちょくと言い寄っては、まんまとその体を貪る事に成功。

  そして、その弱みを利用し、それから何度も何度も、断りきれない昴と行為を重ねてきた。正真正銘のクズだ。

  「ほら、コレが欲しかったんでしょ。しっかり奉仕してくだサイ。姐サン♥」

  「は…はい…」

  ポンポンと、自らの股の間を軽く叩いて、そうニヤけるベア。

  獅子王ほどではないが、縦にも横にも大きい熊獣人の体は、昴の欲求不満を解消するには十分すぎる精力と逸物の大きさを誇っていて、ずっと直接的な快楽を与えられていなかった昴には、それこそ喉から手が出るほど、待ち望んで手に入れたいモノで間違いなかった。

  昴は、言われた通りベアの股の間に手を伸ばすと、ズボンのフックへと手を掛けて、カチャカチャとチャックを下に下げる。

  瞬間、モワリと香ってくるのは、何日も風呂に入らず蒸れた雄の饐えた臭い。

  獅子王とはまた違ったその強烈な男の臭いに、昴は思わずごくりと喉を鳴らして、その部分へと目が釘付けになってしまっていた。

  顔を近づけて、スンスンと深く臭いを肺に取り込む。

  「ふふ…本当にこのsmellが大好きになってしまいマシたねぇ姐サン。最初は臭い臭いって涙を流して拒否してた癖に…♥…ホラ、臭いを嗅ぐだけじゃ、満足出来ナイんでしょ?♥さっさと咥えてキレイにしてくだサイよ。」

  「…ひゃ…ひゃい…♥」

  言われて、ゆっくりとベアのペニスに舌を這わせる昴。余りの臭いの強さに、呂律の回らない恍惚とした顔で返事を返し、ゆっくりと舌を伸ばしてそこに口を近づける。

  亀頭の中程まで包皮に覆われた逸物、それをメリュ…と捲れば、むわりとした濃い臭いと共に、チーズでもこびりついているような雁が視界に映る。

  その臭いを嗅いだ瞬間、トロリと目尻を溶かすように下げた昴は、何度も何度も鼻を鳴らして臭いを嗅いだかと思えば、そのまま大きく口を開けて、何の躊躇いもなく、ベアの逸物を咥え入れ、大量の唾液を絡ませると、ねっとりとそれにしゃぶりついた。

  舌先を使って、トロトロに溶け、固形化したカスを削ぎ落としてキレイにしゃぶりつくす。

  それは、さんざんベアに調教され、教え込まされた奉仕の成れの果てだった。

  「ほぉ~~♥…気持ちイイデスよ~♥……そこそこ♥もっと気合入れて擦ってくだサイ♥」

  「んじゅ…じゅる…じゅぽ♥…じゅるる…ん…ふ…じゅる♥」

  痒みを伴い、不清潔極まりない部分を、口でキレイにさせながら、気持ちよさそうに全身の力を抜くベア。

  その心地よさに伴って、大きく膨れ上がった2つの金玉が、呼吸するように蠢き、まるで別の生き物のように収縮を繰り返す。口の端から漏れた唾液が、そんな玉と棒の付け根のくぼみに水たまりを作り、次第に前後する口淫の音も、大きく派手なモノへと変わっていった。

  「ああ…♥良いデスよ♥そのまま続けて…うっ♥」

  「んっ♥…じゅるるるる…ん…♥」

  ベアが昴の髪を優しく撫でながら、心地よさにたまらず天井を向いて、ブルブルと太ましい足を僅かに震わせた。

  瞬間、グッと頭を股ぐらに押し付ける力が強くなり、ペニスの根本から脈打つように一回りそれが大きく膨らみ始める。

  そして、金玉から尿道を駆け上がる精子の脈動が口全体に伝わったかと思えば、間欠泉のように激しい吹き上がりが昴の喉をビュッビュッと叩いて、ねっとりとしたそれは食道に絡みつきながら、自我を持って動くように、胃の中へとどんどん進んで行ってしまった。

  「んヴぅ…っ♥♥」

  ベアが昴の頭を力強く押さえつけながら、ギュッと目を閉じて恍惚に眉を八の字にする。

  ガクンガクンと強く腰が跳ねる度に、太く逞しいペニスの中から、ヨーグルトのような精子が駆け上がって、昴の喉を犯していく。

  「フ〜〜…♥♥♥」

  苦しげにベアの太腿に手を付き、僅かに前のめりになる昴を尻目に、当の本人は全身から脱力して、ソファーへと腰を深く沈みこませる。

  やっとの事、ベアの腕から解放された昴は、ゴホゴホと咳き込みながら口元を拭って…。

  「美味しかったデスか?♥♥」

  「……はい…♥」

  独特な苦味を持つ、濃厚なタンパク質の流動食に顔を顰めながらも、昴はベアの言葉にそう返事を返した。

  未だ目の前にそそり立つ、唾液とザーメンにテカテカと照り返すペニスは、たった1回の射精では当然満足していないようで、むしろその強度を更に高め、ギンギンに勃起しているように感じる。

  鼻息荒く、下卑た笑みで昴を見下ろすベアは、そんなペニスを掴み、横に僅かに振り回して、それを物欲しそうに見つめる昴の視線に、目をギラギラとさせていた。

  「さて、まだまだ私は満足シテませんよ♥♥姐サン…どうして欲しいか、言ってみてくだサイ♥♥」

  「あ…♥」

  「ホラ、ちゃんと口にしてくれないと、気持ちよくナレませんよ♥♥」

  ベアがそう悪戯に笑って、昴の頬へと自らのペニスを何度も軽く打ち付け煽る。

  そうすれば、徐々に息を荒くする昴の瞳に、どうしようもない性欲の火照りが見え始めて、……そうなってくるともはや、彼がその欲望に負けて観念してしまうのも時間の問題に思えた。

  追い打ちとばかりに、ニッコリと微笑んだベアが、優しく彼の髪を撫でてやれば、昴は、自身が子持ちの妻であるという理性をポロリと捨て去って、欲望に口を開き…。

  「こ、このおチンチンで、お、俺のおまんこを…♥」

  「フフフ…」

  「俺のおまんこを気持ちよくして下さい…♥」

  「……勿論デスよ♥♥さぁ、こっちにキテ…♥私の上に跨って下サイ♥」

  「あぁ……♥♥」

  昴は、ベアに言われると同時に、彼の掌に、自らの掌を合わせて、俗に言う、恋人繋ぎをしながら、その股の間に跨った。

  ベアが昴の腰を支え、優しく撫でるだけで、その甘い刺激が全身に響き渡り、これからの行為に思いを馳せる。

  グッと力が込められて、ゆっくりと腰がその突き立った剛直へと沈みこんでいけぱ…。

  「あ…あ゛ぁぁ…♥♥」

  昴の全身が、小刻みにブルブルと震えた。

  顎をしゃくりあげ、天井を見上げながら、恍惚とした表情で吐息を吐いた。

  自らの中を抉っていく、凄まじい充実感に……。

  散々人生を狂わされてもなお、求めてしまうその快楽に……。

  …昴は、呆気なく迎合して、それを全身で味わうように息を吐く。

  ベアはそんな昴を抱き寄せて、彼が望む通り、グッとそのふとましい腰を突き出すのだ。

  「んあ゛あぁあぁあ♥♥♥」

  クスリをキメた薬物依存性患者のように、昴の瞳孔が開いて、ガクガクと震える。

  全身の自律神経が、与えられる快楽に悲鳴を上げて、尚もそれを受け入れようと躍起になる。

  暖かく、ぐっちょりと濡れた腟内は、ベアの巨大なペニスを当たり前のように飲み込み、そして優しく包み込んで。

  「ふっ…うぅ…っ♥♥何度味わっても飽きナイ…っ♥♥最高のオナホですネ!♥♥姐サンっ♥♥」

  「んひぃぃっ♥♥おまんこ…っおまんこ気持ちいいよぉぉ…っ♥♥」

  グチョン…グチョン…と激しい水音が接合部から聞こえ出す。

  長年のメス化調教によって、もはや男としての機能が完全に失われ、勃起する事すら忘れた小ぶりのペニスから、既にドロドロと何か白い液体が流れ出す。

  中をほじくり、抉り出すように、卑猥な腰付きでポルチオをゴリゴリと掻き毟るベアに、昴は白痴の声を上げながら、ただ犯され続けていて…。

  「旦那サンもっ!♥馬鹿なヒトだ!♥こんな最高の身体を使おうともしナイでっ!!♥♥放置してるなんてっ!?♥♥」

  「そこっ♥♥そこもっとっ♥もっと突いてぇ♥♥」

  「まぁ、そのお陰で、私がこうしてっ♥おこぼれに預かレル訳デスがっ♥♥」

  極上の容姿を持つ、極上のオナホ。

  ベアの中の昴は、初めて見た時から、そんな印象に包まれていた。

  獅子王によってメス化調教された肉体は、目に入る度にベアの性欲を刺激していて、毎回毎回、パンツの中の勃起を抑え込むのにどれほど苦労したことか。

  けれど、とうとう、そんな昴の肉体を味わえるタイミングがやってきて、結果、その肉体は想像以上に素晴らしく、ベアを魅力する。

  こんな極上の身体を、まさか放っておくような男がいるなんて。

  獅子王は不能なのか?それとも、ただただ愚かな奴なのか。

  どちらにせよ、自分の妻一人満足させる事が出来ない雄など、雄ではない。

  ベアは昴を犯しながら、快楽に恍惚とする頭の中でそんな事を考えていた。

  けれど……。

  「よお?」

  「………へ?」

  突然背後から頭が割れるほどの力強さで後頭部を鷲掴まれると、そんな絶頂感も一瞬にして霧散した。

  「随分舐めた真似してくれるじゃねぇか。……なぁ。ベアよ。」

  「だ、旦那…サン?…きょ、今日は確か帰ってこナイ筈じゃ??」

  「おう、そのつもりだったがな。…やめた。」

  ビキビキと、ベアの脂肪で形成された肉体とは正反対の、筋肉ばかりに包まれた腕から、血管が浮かび上がってくる。

  徐々に頭を掴む力は強くなっていって、頭蓋骨が割れてしまいそうになる、ギチギチとした酷い痛みに悲鳴を挙げそうになるも、そんな余裕すら無くなるほどの恐怖が、ベアの身体を襲っていく。

  凶暴な肉食獣の牙が。ギラりと光った。

  怒りに支配された獅子王の顔面には、はち切れんばかりの血管が浮かび上がっていて…。

  「最近、嫁から別の雄の臭いがしてたもんでな。…それが嗅ぎなれた臭いなら、尚更気になるってもんだ。」

  「は、はひ…?」

  「てめぇ…こんだけまぐわってて、俺様の鼻を誤魔化せると本気で思ってたのか?あぁ?」

  「だ、旦那サン…こ、これには深いワケがっ!?」

  ベアは必死に何か言い訳を言おうと口を開くが、もう遅かった。

  快楽によって頭がバグり、ぼんやりとして状況を飲み込めていない昴は、ただ2人のやり取り見つめるだけだ。

  獅子王の指先がベアの頭蓋骨にとうとう食い込むと、その余りの激痛に、ベアは「ぎゃああああ!!!」と身の毛もよだつような、恐ろしい悲鳴を上げ始めて…。

  「ひっ…」

  そこでやっと、初めて状況を飲み込み始めた昴が、顔面を蒼白させながらベアの肉体から離れた。

  ただただ冷徹な瞳で昴を見下ろしながらも、ベアを痛めつける獅子王は、一言。

  「てめぇは後でみっちりお仕置きしてやる。覚悟しろよ昴。もうてめぇに自由はねぇ。」

  そう言って、彼は、未だ叫び続ける全裸のベアを、片手で軽々と引きずるようにしながら部屋を出ていく。

  まぁ、その後彼がどうなったかは、想像に容易くない。

  ありとあらゆる苦痛を与えられながら、生かしも殺しもせず、拷問される。

  それが彼の、新たな人生となったのだ。

  「うぅ…」

  ーー……ぃ

  「…ぅぅ…も、もう…これ以上ハ…っ」

  ーー……ぉぃ

  「……ぐ…うぅっ…」

  ーーおいっ!

  「はっ!?」

  「…やっと起きたか。しっかりしろや…!」

  「……こ、ここハ…」

  意識が突然浮上するように、勢いよく身体が跳ねて、目が覚めた。

  全身冷たく気持ちの悪い汗だらけで、体毛がじっとりと濡れそぼり気分が悪い。

  隣を見れば獅子王が眉をひそめながらこちらを睨んでいて、彼が運転中であることは、その姿を見れば瞬時に理解出来る。

  「随分うなされてたぞ。……まぁ、その前ははしたなく勃起して涎垂らしてたがな。…欲求不満なんじゃねぇのか。」

  「え…あ…っ…す、すいまセン…い、今はどこに行こうと…」

  妙に生々しく、記憶に刻まれた恐ろしい夢。

  まだその恐怖がベアの心を引き裂き、獅子王を見るだけで全身の毛穴が開くほどの恐ろしさを感じる。

  思わず距離を取るように、座席の隅に肉体を限界まで押し込んで、ゴクリと唾液を飲み込みながら問いかけた。

  獅子王は、別段気にした様子もなく、普通に返してくる。

  「てめぇが餓鬼共へのプレゼント買うのに都合が良い店があるって言ったんだろうが。…のくせにヒトが運転し始めたらグースカ鼾かきやがって、舐めてんのか?あぁ?」

  「ひっ!す、すいまセン!すいまセン!い、今からでも私が運転をっ!!」

  「めんどくせぇからいいっつうの。そもそもてめぇにウチの車は運転させねぇっつってんだろうが。たく、ボケてんじゃねぇぞ。」

  どうやら、新たな拷問用の施設に搬送中という訳ではないようだ。

  自らの身体を確認すれば、股の間についてる自身の息子も健在だし、爪も剥がれてなければ、指だってちゃんと5本存在している。両目が見えていることにも気がついた。

  あれは正真正銘夢だったのだ。そう思って、ひとまず大きく胸を撫で下ろした。

  そもそも、確かに昴へ欲情している自身の感情は知っているが、とはいえ、獅子王を裏切るような形で手を出そうなどとは、これまで一度だって考えたことはない。

  いや、確かに妄想で昴に手を出すことはあっても、現実世界でそのような事をしようものなら、自分が一体どうなってしまうか、想像できないほど、ベアは頭の悪い男では無かった。

  この業界では、何よりも防衛本能が大事であり、危機察知能力が必要なのだと、ベアは知っている。

  命なんて割って捨てる卵の殻のように簡単に奪われ、誰にも知られることなく処理されてしまう世界なのだ。

  その中でも、手を出してはいけない候補No.1と言っても過言ではない男の、溺愛している妻に手を出すなんて、そんなのは知能の存在しない動物だって畏怖する事である。

  とはいえ……

  (姐サンの身体……気持ちよかった……)

  あれほどの恐怖を叩き込まれてもなお、夢で味わった快楽には、麻薬のようにヒトを引きつける魅力があるのも確かで、ベアは遠くを見つめながらゴクリと唾を飲み込んだ。

  そして、恐る恐る、獅子王にそれとなく話を振ってみる。

  「旦那サン。もし、姐サンに手を出す輩がいたら、どうしマスか?」

  「あぁ?……………手ぇ出してぇってのか?」

  獅子王が、そう低く恐ろしい声で静かに呟き、至極感情の篭っていない、無機質な瞳でベアを見た。

  ヒトを検分するかのような目だ。それは、命を命とも思っていない、モノとして考えているような、そんな全く感情の無い目。

  ギロリと眉を顰めて睨んできたりする方が、よっぽど安心出来る目である。

  彼にかかれば、ここまで密接に関わり、奉仕してきたベアでさえ、おそらく何の感情も抱かれずに“処理”されてしまうだろう。

  そう瞬時に確信できてしまう目。

  「ま、まさか、そんな馬鹿なコトしません…っ!ただ、ここは治安が日本よりワルイですから…っ」

  「………ふん」

  ベアはゾッと背筋を凍らせながら、唾を飲み込んで慌てたようにそう返した。

  それが嘘ではないと分かったのか、獅子王は真意を測るようなその目を逸らすと、ただ軽く鼻を鳴らして答えようとしない。

  それは暗に、言葉には出来ないような事をするという揶揄でもあるだろう。

  いちいち説明しなくても、この業界にいるものなら、獅子王の拷問がどれだけ悲惨なものなのか知らぬ者はいない。

  それにベア自身、夢の中で体験した出来事だ。それだって大分憶測が入っているだろうし、はっきり言ってあの夢ほど生易しいものではないだろう。たまに獅子王は商売敵や、市場を荒らそうとする物知らず相手に手を出すことがあるが、いつも拷問用に使っている廃墟の奥から、身の毛もよだつような絶叫、懇願、謝罪が聞こえてくるばかりで、見張り役のベアは実際に何が行われているかをこの目で見た事はない。

  けれど、あの地獄の亡者が助けを求めるような、あんな記憶にこびり付く声。

  あの声から察するに、きっと夢の中で味わった以上の、もっと人の心を抉り、徐々に砕いていくような…。

  そんな想像も出来ないほどの拷問が待っている。それだけは確信を持って言える。

  「………さっさと道案内しろ。言っとくが、くだらねぇモンしか置いてねぇ店だったらぶっ殺すからな。」

  「は、はい…!す、すいまセン!」

  獅子王の言葉に、今度こそベアは無駄口を叩かずにそう返事を返した。

  大丈夫。

  彼と、彼の家族に、間違っても手を出さなければ、ベアの人生は、むしろ安泰と言ってもいいものなのだから。

  ……大丈夫。

  東龍会が突然解散する訳でもない限り……、いや、例えそうなったとしても、もはや獅子王によって支配されたここらの地域で、彼に逆らう者など誰もいないだろうから。

  だから、ベアの未来は、獅子王について行く限り、安泰なのだ。

  [newpage]

  ハワイ……。

  1年を通して温暖で、住みやすい気候をしているこの地域では、クリスマスと言っても、肝心の雪は降らない。

  とはいえ、一応アメリカとして認知されるこの国においても、クリスマスというのは重大なイベントの一つに数えられ…。

  ショッピングモールや街の至る所では、ハワイ文化独自の薄着をしたサンタや、巨大なクリスマスツリー、赤と白と緑の象徴的な色がふんだんに使われた装飾など、日本にも負けず劣らずな、クリスマスを彷彿とさせる様々なデコレーションが街を彩り……。

  いつもとはまた一風違った、活気溢れるシーズンである事を表現するように、どこもかしこも、街中がざわめきたっていた。

  もちろん、それは獅子王家だとて例外ではない。

  「おい、これで荷物は全部か?」

  「はい、全部だと思います。」

  「旅行♪旅行♪」

  「たのしみ♪たのしみ♪」

  獅子王家の広い玄関先では、いくつものキャリーバッグやスーツケースが積まれ、何だか慌ただしい雰囲気がその場を支配していた。

  子供達は各々が、背中に小さなリュックサックを背負い、ウキウキと身体をくねらせ、満面の笑顔を浮かべながら小踊りしていて、家族のお手伝い係として認知されつつあるベアが、忙しなく荷物を車に詰め込む姿が見える。

  「ベア、のろのろすんな!」

  「す、すいまセン…っ」

  獅子王家において、クリスマスの旅行は、もはや恒例行事だった。

  ハワイに引越しをして四年目辺りのクリスマスから、獅子王が突然言い始めた事で、真意はよく分からないが、どうやらクリスマスに雪を見れないのが個人的に気に食わないらしい。

  それから、言葉には決して出さないけれども、彼は子供達に本当のクリスマスというものを体験させようと思ったのかもしれない。

  不器用な思いやりというヤツだ。

  実際子供達はクリスマスに雪を見て、プレゼントを貰って、楽しく過ごすこの日を毎年とても楽しみにしている。

  そういう点で言えば、獅子王のそんな不器用な優しさは、今のところ功を期していると言ってもよい。

  それに、獅子王は、とにかく昴を外に出したがらない……というより、正確に言えば、自分の目の届かない状況で家以外の場所に居ることを決して許さない為、旅行という家族行事そのものが、実の所、獅子王家にとってはかなり珍しい行事である。

  昴にとっても、この旅行は、1年のうちで楽しみにしていることだった。

  「手伝いますよ、ベアさん」

  「おい!てめぇは余計な事すんな!」

  「猛さんは雪を頼みます。」

  「むっ…!」

  昴がベアに声をかけて、荷物運びを手伝おうとすると、獅子王があからさまに顔を顰めて、不機嫌そうにそう言う。

  けれど、昔と違って、そんな獅子王の威圧にも慣れ始めた昴は、抱えていた、まだ赤ん坊の末っ子であり、唯一の人間の子である雪を手渡すと、ニッコリと微笑む。

  瞬間、獅子王の顔から剣呑な雰囲気が霧散したかと思えば、どちらかというと戸惑いの方が大きくなったような気がした。

  今までは獣人の、とりわけ頑丈な男の子しか扱ったことがない獅子王にとって、人間である雪は、まるで割れやすいガラスのような物体に思えて仕方ないのであろう。

  渡された瞬間口を噤んで、押し黙るように固まってしまう獅子王。

  眉間に皺を寄せて、小さな汗をこめかみに浮かべながら、自らの腕の中でパチクリと獅子王を見上げる雪を、怪訝そうに見下ろす。

  すると、その顔が恐ろしかったのか、徐々に雪の顔がくしゃりと歪み、目の中に涙が溢れ始めて……。

  「ひぅ…ひ…っ…うぁぁぁぁん!」

  「くっ…」

  とうとう、ダムが決壊するかの如く、雪は泣き出してしまった。

  未だに実の父親である獅子王の顔が怖いらしく、こうして抱いているだけでも泣き出してしまうのだ。

  獅子王は顔を顰めて、どうすれば良いのか分からなそうに昴を見るけれど、昴はそんな獅子王をほっといて荷物運びを手伝っている。

  もちろん泣いていることに気がついているけれど、あえて獅子王に任せていると言った方が正しい。

  昴なりのちょっとした悪戯だ。戸惑っている獅子王など普段ロクに見ることは出来ないので、実はそっと横目で見て笑っている。

  「もぉ〜〜、ダディ雪泣かせないで!貸して!」

  「ちっ…」

  そんな獅子王を見かねたように、長男の太陽が口を膨らませそんな事を言う。

  彼が腕を上げると、獅子王は少し残念そうに舌打ちをして、雪を太陽に預けた。

  太陽は手馴れたように雪を抱き上げると、身体をリズミカルに動かして、雪をあやし始め、そんな太陽の近くによってきた兄弟達も、雪を見下ろすようにしながら、一緒に雪をあやしつける。

  すると、さっきまで怖くて泣いていた雪も徐々に泣きやみ、それどころか、笑顔まで見せ始めると、獅子王がどれだけ子育てに向いていないかというのが、よく分かるというものだ。

  家事や仕事、あらゆる物事を完璧にこなしてしまう獅子王の唯一苦手な事ではなかろうか。

  結局、獅子王には、昴という存在が、人生において、精神的にも肉体的にも、必要不可欠であろう事は傍から見れば明らかであった。

  「よーしよし、ダディのお顔怖かったねぇ。雪はお兄ちゃんが守るから大丈夫だよ。」

  「兄ちゃんだけズルい!俺にも抱っこさせて!」

  「次は俺だよぉ!」

  「駄目!お前らじゃ雪落としちゃうだろ!兄ちゃんに任せとけ!大地は氷河のお世話して!」

  子供達は、よくこうして雪の世話を取り合うことも珍しくなかった。

  今までは同じ獅子獣人の兄弟だけだったのに、突然産まれた末っ子の子供が人間だったと知った時は、彼等も驚いていたものだ。

  結局、すぐに慣れた後は、人間の赤ん坊の可愛さに夢中になって、ちょっとだけ四男の氷河が可哀想な事になっているが、氷河も氷河で兄たちが楽しそうにしていると、その空気だけで楽しくなってしまうようで、本人はあまり気にしている様子はない。

  太陽が、大地と海の二人から、雪を遠ざけるようにして振り回すと、傍目から見ると今にも床に落としてしまいそうで恐ろしくなる。

  「コルァ!!!!!喧嘩すんじゃねぇ!!!!!!」

  「ひっ!」

  「ひゃ!」

  「うっ!」

  すると、それを見ていた、雪に拒絶されてちょっと不機嫌になっている獅子王が、そんな風に怒り出した。

  驚きのあまり、やっぱり雪を床に落としそうになるのを、獅子王は片手で支えながら、子供達へと、順番に拳骨を落としていく。

  何も喰らわなかったのは四男の氷河だけだ。彼は相変わらず、獅子王の怒号にも驚いた様子はなく、ケタケタと笑いながら、手を叩いて兄達を眺めている。

  「うぁぁぁぁん!」

  そして、せっかく泣き止んだ所なのに、すぐにまた獅子王の怒号に泣き始めた雪の声を聞いて、荷物を積み終わった昴が苦笑しながら帰ってくると、太陽の手から雪を流れるように抱き上げ、いつもの調子であやす。

  やはり昴の腕の中が一番安心するのか、雪はすぐに泣き止むと、今度は疲れてうつらうつらとし始めて、そんな息子の様子を確認すると、今度は昴が、眉間に皺を寄せ、ムッとしながら獅子王達へと視線を向けた。

  「猛さん。ほんの一分間預けただけで、こんなに騒がしくするなんてどういう事ですか?」

  と、言いつつも、そんな獅子王と、子供達のやり取りを見て、一番楽しんでいたは昴自身だ。

  「……ふん」

  「太陽達も、お兄ちゃんなんだから、雪をモノみたいに扱わない!…雪は赤ちゃんなんだから、落としでもしたらすぐに死んじゃうかもしれないんだよ!」

  「…ごめんなさい」

  「猛さんはとにかくすぐ怒る癖はやめないと。それに、いつも眉間に皺を寄せてるから、雪が怖がって泣いちゃうんですよ。」

  「…………」

  昴にそう言われると、腕を組んで子供のようにそっぽを向いていた獅子王が、視線を上向きにして、自らの眉間を見ようとでもするかのように瞳を中心に寄せる。

  本人も一応気にしてはいるようだが、こればっかりはもう、癖というより、生来の気質というのも相まってか、眉間の皺は常に浮かんでいるもののようで、どうしたって治すことは出来そうにない。

  とはいえ逆に、獅子王が上機嫌でニコニコと笑っていたのなら、それはそれで恐ろしく、何事かと思われてしまいそうではあるけれど……。

  「…ふん…準備が出来たんなら、さっさと行くぞ!」

  「さ、皆、車に乗って。」

  まだヨチヨチ歩きの氷河は獅子王が抱き上げ、他の子供達もワタワタと後を追うように二人へとついて行く。

  車に乗って向かうは空港。

  相変わらず、どこのツテを使ってか、自家用ジェット機に乗り込んだ一行が向かうのは、ハワイから約6000km程離れた自然の国、カナダ。

  この時期のカナダは、降雪によって不便を強いられることもあるが、それ以上に、素晴らしい景色と、自然の雄大さを感じることが出来る国であり…。

  大きなコテージを貸切にして、沢山のアクティビティを楽しむ。

  カナダでの獅子王家のクリスマスが、今、始まろうとしていた。

  ◆◆◆◆

  獅子王達が貸し切ったコテージがあるのは、カナダでも有数のレジャー施設だった。

  子供から熟練者まで、誰もが楽しめるコースを備えたスキー場。

  美しい景色を残した州立公園には、広大な湖や、幻想的な洞窟などもあり、車で移動できるコテージ周辺には、数々の観光客をもてなしてきた実績がある四つ星ホテル、水着着用だが、日本以外では比較的珍しい施設である温泉、雄大な自然の味覚を余すことなく使用した高級レストランなどなど。飽きない遊びを提供してくれる施設が沢山ある。

  コテージには天井まで届きそうな程大きなクリスマスツリーが置いてあり、既に飾り立てられていた。

  吹き抜けになった広い居間には、フカフカのソファーに趣味の良いカーペット。壁には動物の剥製が飾られており、暖炉には暖かな火が燃え上がっている。

  既に荷物は運び込まれており、獅子王達が持ってきたのは必要最低限の物だけ。

  とはいえ、初日は飛行機疲れや、既に時間が遅いこともあり、遊びに行く気力もなく、せっかくの旅行であるが、これから一週間、年末直前まで宿泊するのだしと、テイクアウトの食事を摂って休む事にした。

  既に末っ子の雪と四男の氷河は疲れ果てて眠ってしまっており、他の子達もうつらうつらと目を細めて眠たげにしている。

  自家用機でやってきた直後は昴達がうんざりする程騒いでいたにも関わらず、やはり疲れ自体は蓄積していたらしい。

  氷河と雪はまだ小さいので昴達の寝室にあるベビーベッドへと寝かせ、太陽達は三人とも、用意された子供部屋へと向かわせる。それが済めば、獅子王と昴は子供達を起こさないよう静かに持ってきたぶんの荷物の荷を解き、終わったあとは居間のソファーで一息ついた。

  ガラス張りになっており、雄大な外の景色を眺められるよう設計されたこの部屋からは、暗闇にさんさんと降りしきる雪景色が見える。

  昼間はそこまで降っていなかった雪も、勢いはそれほど無いが、ゆっくりと絶え間なく降り続く降雪になっており、まるで時間がとても遅く流れているような、そんな錯覚さえ覚えるほどになっていた。

  暖かいお茶を飲んで一息つく昴の横で、獅子王が、そんな彼の肩を抱き足を組む。

  その手は少し悪戯をするように、昴の首元から服の中へと侵入していた。いつもの流れなら、このまま二人で情熱の夜を過ごすところだが、獅子王は兎も角としても、昴は疲れていてそれどころでは無い。

  やんわりと獅子王の手に力を入れて抵抗しながら、困ったように微笑んで彼を見上げる。

  「猛さん、流石に今日は疲れたのでちょっと…」

  「………」

  昴の言葉に、獅子王は僅かに口を尖らせるだけで何も答えない。静かに目を瞑って、どこか興味なさげにとぼけた様子を見せているが、しかしここでしっかり牽制しておかないとこのまま流れで結局……という事になりかねないので、昴は獅子王の手を取ると、出来るだけ穏便な態度で彼を見上げて「また明日にしましょう。……ね?」と微笑み……。

  「………」

  獅子王が少し拗ねたように昴をチラリと見下ろした。

  「あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っ〜〜っ♥♥♥♥♥」

  ドビュルルル…ビュルッ…ビュグググ……♥

  昴は今、ガラス張りの浴室の中、獅子王の巨大で屈強な身体と、肌触りの良い壁との間に挟まれ、まるで潰れた蛙のような態勢で、獅子王に犯されていた。

  俗に言う駅弁という体位で、背中を壁に這わせ、獅子王の豊満で筋肉質な胸に押しつぶされながら、派手に腰を押し付けられて、大量の精液を中出しされる。

  グッ…グッ……と何度か獅子王が腰をじっくりと突き上げ、臀部にエクボを作りながら、余韻に浸るよう中を穿たれれば、昴はただ、静かに震えるばかりとなり……。

  「……ふっ…」

  「…っ!?っんお…ほっ♥♥♥」

  獅子王が浅く息を吐いて、勢いよく腰を引きペニスを抜き取ると、ブビュルルル…と、半ば固形化したようなザーメンが、昴のケツから吹き出すように浴室の床へと流れ出した。

  腹の中にあった大量の精子がひり出される感覚に、また絶頂し、そして朦朧とする昴。

  結局、あの後、やんわりと断ったはずのSEX。

  しかしそれは無駄に終わり、昴がシャワーに入ったタイミングで乱入してきた獅子王に、彼は当たり前のように犯された。

  どんなに気持ちでは嫌と言おうと、これまで長く調教されてきた昴にとって、獅子王のそれに抗う術はない。

  わけも分からないうちに、身体ごと持ち上げられた昴は、情熱的で熱烈なディープキスと、僅かな愛撫だけで発情し、それまでの疲れ[[rb:等 > など]]どこへ行ったのか、獅子王から与えられる快楽によって瞬く間に淫乱な姿を晒した。

  ズルズルと壁を這うようにゆっくり床へと落ちる昴。

  その顔はもはや知的生命体であるという尊厳すら忘れ去られた、白痴にも似た表情と化しており、M字に開いた股の間からは、獅子王に出されたザーメンを垂れ流す。

  獅子王は、そんな昴の頭を掴むと、力強く持ち上げて、その喉へと自らのペニスを突き刺した。

  「ん゛ん゛〜〜〜っ!!!♥♥」

  じゅぽじゅぽと、シャワーに負けない激しい水音が、狭い浴室に響き渡る。

  獅子王のふとましい太ももに手を添えて、ギュッと力無く毛皮を掴んだ。

  食道まで無慈悲に侵入する獅子王のペニスによって、息も満足に出来ない昴。

  目からはダラダラと涙を流し、巨大な逸物を挿入された口の端からは唾液を漏らして、苦しげな表情を見せる。

  しかし、それでも昴の背筋には、ゾクゾクとした感覚が電気のように走り、決して苦しみだけではない悦楽が、そこにはあった。

  そして、獅子王のペニスが最奥を何度か穿った瞬間……。

  「ン゛〜〜…っ♥♥」

  じょろじょろと、萎えたペニスから小便を漏らし、乳首からもミルクを吹き出してドライオーガズムに達する昴。

  ビクン、ビクンと大きく身体が痙攣し、ぶぴゅ…とケツ穴から獅子王のザーメンをひり出す。

  何度か獅子王の尻の筋肉が力強く脈動したかと思えば、当たり前のように喉奥へとザーメンを流し込まれて……。

  そうしてやっと昴はディープスロートから解放されたのだった。

  「んばっ……っ…はぁ♥はぁ♥」

  口元を拭い、荒く息を吐く昴の側へとしゃがみこむ獅子王。

  「もうやめ…やめて下さ…♥」

  獅子王は、怯えたようにそう言う昴の肩を抱き寄せるようにすると、その柔らかい腹に掌を添えた。

  「やぁぁ♥やだぁぁ♥」

  グッ…グッ…と獅子王が腹を優しく、しかし力強く押すと、昴は涙を流しながら、そんな獅子王に縋り付くよう叫んで…。

  Ωである昴の腹には勿論、本来男性にはありえない、子宮という器官が存在しており、長年獅子王によってその子宮を開発されてきた昴にとっては、外側からでも、そのように刺激されるだけで強い快感となってしまう。所謂ポルチオ性感というものだ。

  「んあぁっ♥♥あ゛ぁ〜〜っ♥♥んむっ♥♥ふぅ

  ♥♥」

  昴の全身がガクガクと震え、腹を押される事で、中出しされた精子がどんどんとひり出されて排水溝に流れていく。

  その感覚に泣き声を上げる昴の口を、獅子王は自らのマズルで覆い……。

  それは、昴が腹の中のザーメンを粗方出し終わるまで続いた。

  何度か絶頂に絶頂を重ねて、ぐったりと疲れきった昴。

  獅子王はそんな昴を介抱するように抱き上げると、そのまま寝室へと戻っていったのだった。

  ◆◆◆◆

  キッチンへと備え付けられた巨大な冷蔵庫に、予め用意された食材で朝食を作る。車で少し行けば、いくらでも外食出来る場所はあるけれど、これだけの子供を連れてわざわざ外食を選択するのは、簡単であって、簡単じゃない。

  育ち盛りの子供達を考えれば、栄養面でも不安が残るし、赤ん坊や1歳児もいるので、いちいち別で離乳食などを用意しなければいけない手間もある。

  観光地なのだから子供連れでも利用出来るレストランはおそらくあるだろうが、五人連れともなると他の観光客にも目立ってしょうがない。

  獅子王はこういう性格だから、自身や、昴以外の家族に対する人目は言うほど気にしないにしても、その他もろもろの面倒臭さを考えれば、食事は基本的に手作りで済ませた方がいいと考えていた。

  それに、上記の通り、獅子王は極力昴を他人の目に触れさせたくないという歪んだ独占欲を持っている為、外食なんて以ての外だ。獅子王は顔には出さないけれど、昴を表に出せば、彼を狙って近付いてくる他の雄が絶えず現れるだろうと当たり前に思っている。

  あの地下室から昴を解放したとしても、いつだって獅子王は昴を自らの囲いという檻の中から連れ出したりしたくない。

  朝食だけでなく、昼飯として弁当の用意をしながら、獅子王は子供達の起床時間を待っていた。

  「…おい!そろそろ起きねぇか!飯の準備出来たぞ!!」

  午前10時を過ぎた頃。

  既に朝食を作り終えた獅子王が子供部屋へと赴き、未だ寝ている子供達へと喝を入れる。

  昴と違って一人一人優しく声を掛けるわけではなく、カーテンを無理矢理開いて日光を取り入れながら、大声で部屋全体に響き渡る声量で起こしにかかる。そんな獅子王の強引な目覚ましは、勿論子供達に随分不評だ。

  更に言えば、獅子王の場合、少しでも駄々を捏ねると手が出て酷い目に合わされるので、子供達も嫌々ながら起きなくてはいけない。

  眠たげに目を擦りながら、のそりのそりと起きる子供達は、トイレに行ったり、壁にもたれかかって意識を飛ばしてみたり、その反応は様々だった。

  「プレゼントら〜…!」

  居間に降りてきて、寝ぼけ眼を擦りながらも、そう指差しながら叫んだのは、長男の太陽であった。

  吹き抜けを2階まで突き上げる巨大なクリスマスツリーの下には、積み上げられたプレゼントの山。1つ1つのプレゼントには、それと分かるように名前の書かれたカードが差し込まれており、好奇心旺盛な子供達は、太陽のその一言に反応すると、ドタドタと階段を降りながら、そのプレゼントの山を見て目を輝かせる。

  「コルァ!まず飯食ってからだ!言われた通りにしねぇと、全部ぶっ壊しちまうからな!!」

  獅子王の言葉に、子供達は素直に従った。何故なら、彼がそう言って本当にプレゼントを箱ごと踏み潰し、そのまま粉々になるまで蹴り倒した光景を実際に見た事があるからだ。

  それは地獄のクリスマスとして、今でも彼等のトラウマに根強くこびり付いている。獅子王家では、父の命令に絶対逆らってはいけない風潮が、しっかり定着していた。

  「パピ〜はぁ?」

  「今見てくっから、黙って飯食ってろよ。」

  「は〜い!」

  子供達が朝食を取ってる間、獅子王は寝室へと向かうと、そこに眠る妻と末っ子の様子を確認する為、静かに扉を開けた。

  昴は昨夜、あれでもいつもより随分緩いとはいえ、獅子王にしっぽりハメられてしまった為、それまでの疲労もあってか、未だぐっすり眠っており……。

  末っ子の雪は、どうやら既に目を覚ましているようで、しかし泣き喚くようなことも無く、そばにある人形や音の鳴る玩具を振り回し、一人で暇を潰しているようだ。

  同じベットで寝ている氷河の方は、隣で騒いでいる雪の事など気にした様子もなく、未だに指を咥えて眠りこけている。

  「………」

  獅子王が、一瞬躊躇いがちに、雪へと手を伸ばす。

  相変わらず、兄弟で唯一獣人ではない赤ん坊の扱いに戸惑いが強く、毎回強く泣かれる事も相まって、正直不安材料しかない。

  片手で持っても、掌にすっぽりと収まってしまう程小さな子供。

  そんな雪を両手で甲斐甲斐しく持ち上げると、極力顔を見せないように抱き締める。

  顔を見せると十中八九泣き始めるのだ。だから、自らの肩に抱えるように雪と氷河を抱くと、獅子王は昴を起こさないように部屋を後にしようとした。

  そのとき……。

  「う…う…」

  「く…っ」

  「うぁぁぁぁぁぁぁ!!!うぁぁぁぁぁぁ!!」

  それでも雪が泣き始めた。顔は見せてなくても、単純にベットから出たくなかったのかもしれない。

  理由は定かじゃないが、とにかく大声で泣き始めた雪の声に、ベットの方ではモゾモゾと、昴が小さな声を出して反応する姿が見える。

  「ん…」

  「ちっ…」

  舌打ちをしながらも、獅子王は大きな身体を揺らして、少しでも雪が泣き止むように努めた。同時に、氷河も目を覚ますと、クワッと大きく口を開けて欠伸をしながら、ウトウトと獅子王の肩にもたれ掛かる。

  のそりと起き上がった昴は、泣き声の主を探すように周囲を気だるげに見回すと、獅子王の姿を見て、何かを察したようだ。

  「猛さん…雪…」

  「……寝てろ。コイツは俺様がどうかする。」

  「………」

  そんな事を言いつつも、獅子王の顔に自信がなさそうに見えるのは気のせいだろうか。

  最悪兄弟達が居れば、まだ雪の面倒を見れるだろうけれど、昴はのそりとベットから起き上がると、無言のまま獅子王の傍に寄って、その手から雪を優しく抱き寄せた。

  「大丈夫です。雪におっぱいあげないとだし…」

  粉ミルクでも問題は無いが、医者にはできるだけ直接母乳を与えた方が良いと言われている。

  昴は雪をあやしながらそう言って笑うと、寝起きで覚束無い身体を獅子王に支えてもらいながら、子供達の待つ居間の方へと降りていくことにした。

  ◆◆◆◆

  それからと言うもの、朝食を食べ終えた子供達が、皆一斉に外に出て、雪遊びを始めた。

  それぞれがクリスマスプレゼントを手にしたけれど、それらは後で使う事にして、とりあえず外で遊ぶ事を優先したらしい。

  子供達にとって、雪はとても珍しいものだ。だから、クリスマスプレゼントに負けないくらいの魅力が、そこにはあった。

  その反面、昴の仕事はハワイに居た時と殆ど変わらない。

  末っ子の雪の世話は勿論として、氷河もまだ1歳になった所で、殆ど赤ん坊と変わらない為、彼等の世話をするのが昴の役目だ。

  とは言っても、氷河はマイペースで、基本的に大人しい子だし、雪も獅子王さえ関わらなければ泣かない子なので、そこまで手はかからない。

  獅子王の方は、子供達が食べ終わった食器をさっさと片付けて、ガラス張りの居間から、険しい顔で外の子供達を監視している。

  いつもならベアが子守りとして、こういう時には子供達と一緒に行動しているが、彼が居ないと誰かが子供達を見張っていないといけない。

  どちらかというと常に昴の傍に居たい獅子王にとって、今の状況は少し窮屈な感覚だった。

  「猛さん、外に出て子供達を見て貰えますか?」

  「ここから見てるだろうが…」

  「そうですけど…それだけじゃあ、何かあった時にすぐ助けられないじゃないですか。お願いします。」

  「……チッ」

  何だかんだ言って、獅子王は昴のそういう言葉に弱い。本当のところ、休日くらいは、昴と一日中一緒に居たいし、腕の中に閉じ込めて離れたくないと本気で思っている獅子王にとって、子供達の世話は優先度で言うと二の次だ。だからこそいつもはベアに世話を任せて、獅子王自身は昴のすぐ側にいる事に拘っているのだが、今回はそのベアが居ない。

  警戒心の強い獅子王は勿論のこと、旅行先に来てまで子供達の世話を赤の他人に任せるだなんて、昴は抵抗するだろうし、結局、獅子王は舌打ちしながらも、手早く服を着替えて、子供達の見張りをしに外へと出ていった。

  「おい、おめぇら!目の届く範囲に居ねぇと、ぶっ殺すぞ!」

  「「「はーい!」」」

  獅子王のそんな言葉に、一斉に返す子供達。

  太陽と大地はお互いに雪玉を投げて遊んでおり、海は隅っこの方で大人しくかまくらを作っている。こういう所にも、子供達の性格はかなり出ているようで、比較的騒がしい組と、大人しい組で、兄弟達の中にも派閥が出来上がっているようだった。

  そして、そうなってくると、兄弟間で起こりうるのは派閥争いだ。

  「海も雪合戦しよう!かまくらなんか作ってないでさ!」

  「えー、かまくら作る方がいいもん。」

  「何ー!兄ちゃんに逆らうのかー?大地!行くぞ!」

  「そらー!!」

  「あーー!!!」

  長男の太陽は、成長度合いもあるだろうが、最も獅子王の血を色濃く引き継いでおり、兄弟の中でも長男であるという立場を利用して、弟達に威圧的に当たることがよくあった。

  よく言えば世話好き、悪く言えばおせっかいと言った感じで、末っ子である雪などの世話を自分から買って出るのも太陽ではあるが、要らぬ世話を焼くのもまた太陽なのである。

  その癖、それを拒否されるとムッとなって意地悪をし始める。大地はどちらかというと太陽に近い性格なので、自分から着いて回っているが、海だけは違った。

  海が一生懸命作っていたかまくらを、太陽達が派手に壊してしまう。

  「う〜…!」

  海が太陽達を睨みつける。体格的にも年齢的にも、海が兄である二人に対して勝てるわけはないし、何か不条理な事をされても基本、彼は泣く泣くそれを受け入れるしかない。獅子王はどちらかというと、兄弟喧嘩に関して、自分に害が無い限りは放任主義である為、こういう時には全く当てにならないし。

  「うわ〜ん!!パピィィ!!」

  「あっ!!」

  けれど、そんな海にも奥の手があった。

  あの恐ろしい獅子王ですら反論出来ない、獅子王家において最強の兵器が。

  海は泣きながら駆け込むように家へと入っていく。それを見た瞬間、太陽と大地はしまった!というように目を見開き、獅子王もクッと眉を顰めた。

  家の中にいるのは勿論、兄弟の他には、1人しかおらず。

  出てきたのは、分厚いジャンバーに身を包んだ昴だった。

  片手には氷河を抱き、背中には雪を背負っているのか、服の部分が盛り上がっていて、ちょっとだけ昴の首元から頭の先っぽが見てている。もう片方の手には泣きじゃくる海を連れていた。

  「猛さん?」

  「…む」

  「ちゃんと見張っておいてって言ったのに、どうしてこんな事になるんですか?」

  「…この程度で泣くやつが悪いんだろうが。」

  「それは猛さんの価値観でしょ?!海には海の性格があるんですから、虐められてたらちゃんと叱ってくれないと!」

  「……ちっ…」

  そう言われると、獅子王は舌打ちをしながら、クルリと踵を返して太陽達を見た。瞬間、ビクリと跳ねる子供達の身体。顔を青ざめさせ、借りてきた猫のようになってしまう。

  ノシノシとゆっくり近付いてくる獅子王の姿に、固まって動けなくなった二人は、結局拳骨一発、頭に食らって、弟を虐めた報いを受ける羽目になったのだった。

  「二人とも、虐めたんだから海に謝りなさい。」

  「……ごめんなさ〜い」

  「よし」

  昴の言葉に、太陽と大地は耳を畳みながら俯いてそう言った。そんな二人の頭を撫でて謝れた事を褒める昴は、そんな兄弟達の代わりに、海とのかまくら作りに精を出してあげたのだった。

  そして、そんな鉄拳制裁事件の少し後、今度は珍しく、獅子王が家族奉仕に精を出していた。

  スノーモービルの後ろに子供達を乗せて、広い雪原を派手に滑走する。

  「きゃーーー!」と子供達の甲高い、楽しそうな悲鳴が遠くで見守っている昴の所まで聞こえ、昴はそんな彼らを微笑ましそうに見ている。

  獅子王も子供達も、大きなゴーグルまで付けて、とても楽しそうだった。

  昴の目の前で、盛大に雪の飛沫を上げながら止まるモービル。

  子供達がぴょんぴょんと座席の上でジャンプしながら、その勢いのままに降りてくる。

  「楽しかったー!」

  「かったー!」

  太陽はゴーグルを持ち上げて、大地は付けたままでそう笑う。海は少し怖かったのか、やっと止まってくれてホッとした表情だった。

  「良かったねぇ。」

  昴がニコニコと笑いながら子供達の頭を撫でると、そんな彼を引き寄せるようにして、突然獅子王が腕を伸ばしてくる。

  「ひゃっ!」

  思わず驚いた声を出す昴を無視して、獅子王はモービルのエンジンを吹かし始めた。

  「ちょ、ちょっと、猛さん!お、俺は良いですから!」

  「口を閉じてろ。」

  背には雪を、腕には氷河を抱いた状態だというのに、獅子王はそんな子供達と、昴を纏めて自らの身体で守るようにしながら、モービルを出発させた。

  「わぁぁぁ!!」

  昴の驚きと困惑、そして少しの恐怖が混じった声が、どんどんと離れていく。そんな声を聞いているといのに、腕に抱かれた氷河はいつもの様にケラケラと笑っているし、雪は何が起こっているのかわかっていない様子で、目をぱちくりさせていた。

  ザサァ、ザサァと降雪をモービルの足で弾きながら、卓越した運転技術で、スキーで言うところのウェーデルン走法を行う獅子王。

  左右交互に、キュキュッと波間を縫うような走り方をする。

  かと思えば、突然大きくターンしてはもう一度同じ走り方で元の場所に戻ったりと、凄まじい動きだ。

  一方で、意外とその胸の中にうずくまっている昴達の安全はしっかり考慮されていた。

  そもそも獅子王が彼等を危険に晒すわけがない。太い腕はハンドルに回されているが、その腕が前に伸びているため、彼等を左右に飛び出さないように安全装置のような役割を担っているし、その上、その太腿を、モービルのステップに伸ばしながら、昴の身体を力強く挟んでいるから、間違っても落ちることなど無いだろう。

  とはいえ、それを理解しているのは獅子王だけだ。昴はいつ振り回されて落ちるとも分からないモービルの動きに戦々恐々とし、必死に獅子王へと縋りついていた。そんな状況であっても、獅子王は昴の様子を上機嫌で楽しんでいる。

  「猛さん!もう止めて下さい!………っ止めてぇ!」

  そんな風に過ごした午前。

  お昼を食べると、昴達は近場にあるショッピングモールで散策していた。

  ハワイに戻っても、ロクな知り合いすら居ないが、そんな交友関係でも、たった一人お世話になっているという意味でベアにお土産は必須だろう。

  それに、わざわざこんな観光地まで来ているにも関わらず、ずっと家に居るだけというのもつまらない。獅子王はそうは思っていないようだが、子供達も街の様子を楽しみにしていたし、たまに遠出した時くらい、外を出歩いてもいいと思う。

  昴は、眉間に皺を寄せ、厳しく首を横に振る獅子王を何とか説得して、こうして観光に漕ぎ着ける事が出来たのだった。

  「ベアさんのお土産何にしましょうね。」

  「知らん。テキトーで良いだろうがそんなもん。」

  「駄目ですよ。普段お世話になってるんですから、こういう時くらいお礼しないと。」

  「ふん。」

  獅子王にそう相談しても、彼はただただ辺りを警戒するように見回していて、こちらの話など殆ど聞いていない有様だった。

  昴の肩をギュッと抱き締め、離してくれないものだから移動もしづらい。剣呑な顔で周囲を睨みつけるように警戒する獅子王の視線を感じ取った人々は、どこか逃げるようにその場をそそくさと去っていくのが見えた。

  「猛さん。そんなに睨み付けると何かあると疑われちゃいますよ。」

  「…あぁ?なんか言ったか!?」

  「……はぁ」

  獅子王が裏の世界でかなり名のあるヤクザであった事は事実だが、だからと言って全世界にその名が轟いているという訳でもない。

  ハワイでは一応東龍会の権威が警察にまで広がっていたかもしれないが、ここはカナダで、殆ど見知らぬ観光地だ。

  流石にそんな場所の警官まで買収しているとは思えず、昴は小さく息を吐く。

  「パピィ!これならベアさんも喜ぶよ!」

  「ううん!こっちの方がいいよ!」

  「パピィ、これはー?」

  そんな昴の苦労を知ってか知らずか、子供達が意気揚々と昴の前に持ってきたのは、明らかに彼等自身が欲しいと言わんばかりの玩具であった。

  ちゃっかりしていると言うかなんと言うか、ベアへのお土産にかこつけて、自分達の欲しい物を強請るなんて、どこで覚えてきた強かさだろう。

  「うーん、ベアさんは本当に欲しがるかなぁ?」

  昴がクスクスと笑って子供達に言うと、彼等は思い思いに、持っている玩具の凄さやカッコ良さについて目を輝かせながら語る。変形するロボットだとか、派手な音の鳴る光線銃なんだとか、もふもふで抱き心地のよいぬいぐるみなんだと、買ってもらう為にプレゼンテーションには余念が無い。

  とはいえ、家の財布事情を握っているのは獅子王だ。子供達はどちらかというと、甘やかしてくれる昴の方に意見する事が多いけれど、最終的に獅子王が良いと言えば良いし、彼が駄目だと言えば駄目である。昴は相変わらず周囲を睨みつけて、こちらに全く気付いていない獅子王を見上げ、少しだけ彼の服を引っ張った。

  「……あぁ!?…プレゼントはもう貰ったろうが。まだ満足してねぇのか!コルァ!」

  獅子王がそう言って、舌を巻きながら威圧的に子供達を見下ろすと、彼等はシュンと耳と尻尾を力無く下げて、あからさまにガッカリしたよう目を伏せた。

  ただでさえピリピリとしている今の獅子王には、少々無茶な要望だったかもしれない。

  子供達のそんな顔を見ると、昴としても買ってあげたくなる気持ちになるが、流石に今の獅子王に何か言おうものならば、昴もどうなるか分からないし、実際プレゼントは1人四つもあったのだ。これ以上は獅子王の言う通り甘やかしすぎになる。

  決してお金に余裕が無いとか、そんな事は微塵も無いだろうけれど、躾の厳しい獅子王なら、こんな警戒している時でなく、普通の様子だったとしても、彼らに改めて何か玩具を買ってくれる事は無かったであろう。

  昴は、肩を落とす子供達を迎え入れるように抱き締めると、話題を切り替えるように他の店へ行こうと苦笑いし、手を繋いで歩き始めた。

  その後ベアへのお土産を選ぶのに、この地で作られた特産のワインや、メープルシロップのようなスイーツなど、色々見て回って、その日は買い物を終えることにしたのだった。

  ◆◆◆◆

  それは、昴達が買い物を終えて、帰ろうとした時、少々吹雪が強くなってきた為に、急いで車へと向かっていた間に起きた出来事だった。

  「チッ…荒れそうだな…さっさと帰るぞ。」

  「そうですね…皆手を繋いで!はぐれないようにね!」

  「わーい!俺がいっちばーん!」

  「あ、太陽!待ちなさい!」

  「おい!……っ!?」

  天気予報では吹雪になるという話では無かったけれど、この地方は山と海に近い分、どうやら天候は変わりやすいようで、あまり当てにならないらしい。

  獅子王は、降っている雪の質や匂い、湿度や温度を、その恐ろしく鋭敏な野生の嗅覚で嗅ぎとると、急いで車に戻るように家族へ促した。

  吹雪になりすぎると、この地方では1m先すら見えない白銀の世界になってしまう。そうなったら、流石の獅子王であっても道を探すのは難しくなるだろうし、何より振り積もった雪の中を走行出来なくなるのが一番困るだろう。

  そのふとましい腕で、雪を遮るようにしながら、既に降り積もりつつある降雪の中を歩き始めた所で、長男の太陽がそんな吹雪に興奮しながら、一人だけ走って突出し始めた。

  あっとしたのも束の間、一瞬の気の緩みから、昴の肩に回す力を抜いてしまったのが原因だろう。思わず危険だと思って駆け出した昴が、太陽の手を取るようにして、軽く叱っている所に、突然吹雪の中から、大きな影が、二人に向かっている様子が、少し離れた位置にいる獅子王からは、しっかりと見えた。

  瞬間、大きく目を見開いた獅子王は、その影に触れるか触れないかの所で、驚いてそれを見上げた昴の姿を目視し……。

  「え?」

  大きな激突音がした。何か重いものがひしゃげるような、そんな鈍い音が……。

  咄嗟に危険を判断したのだろう、昴は、浮かれて気付いていない様子の太陽を覆い隠すように抱き締め、その存在を守るようにギュッと力を込める。

  そして迫り来るであろう衝撃を予想し、自身も強く目を閉じた。見えた影は、恐らくこの吹雪で道を見失ったであろう車か何かの影。

  昴は、自分の命はどうなってもよいから、太陽だけでも、守るように、瞬時に判断したのである。

  そして……。

  「………」

  「………」

  「……?」

  いつまでも襲ってこない衝撃に困惑して、ゆっくりと目を開けた。

  確かに鈍い音が聞こえて、何か巨大な物体がひしゃげたような、そんな嫌な音が聞こえた筈なのに、自分の身体に異常はない。

  勿論、未だ胸の中で困惑したがらも、目をギュッと瞑って抱き着いてくる太陽も同じだ。

  ふと、昴は、自身が何か大きな影に覆われている事に気が付き、ハッと顔を上げた。

  「っ…!?…猛さ…っ!?」

  「大丈夫か!?」

  「え?」

  「怪我してねぇかって聞いてんだ!!」

  「あ…え…?…お、俺…」

  けれど、その心配を他所に、顔を上げた瞬間、いつも余裕を崩さないハズの獅子王の顔が迫ってきていて、慌てたようにそう怒鳴るものだから、昴は逆に拍子抜けして唖然としてしまう。

  そんな昴に業を煮やしたのか、獅子王は、昴や、昴の背中と胸におんぶ紐で抱かれている二人の赤ん坊、そして太陽を慌てて検分するように確認すると、一つ安心したように息を吐いて、瞬間、キッと目尻を持ち上げる。

  「…たく…何考えてんだ!!てめぇら!!!」

  「ひあ…!す、すいません!!」

  「きゃ!ご、ごめんらひゃい!!」

  そして続く怒号の言葉。

  鼓膜が破けてしまうのではないかと思うくらいの大きな獅子王の言葉に、昴も、状況を未だ分かっていなかった太陽も、同じように反射的に身を竦ませて、謝罪の言葉を口にする。赤ん坊達は長い買い物に飽きて眠ってしまっていたが、それも獅子王の声に驚いて目を開け、途端に泣き出してしまう始末。

  とたとたと近寄ってきた大地と海が、目を輝かせて「すごーい!」と口々に言いながら獅子王を見上げれば、昴はやっと、自分が今置かれている状況と様子に気がつき、目を丸くした。

  あの鈍い音は、獅子王や昴自身からでなく、突っ込んできた車からしていた音だったのだ…。

  「ちっ!!何してくれてんだてめぇ!!俺様の家族轢き殺すつもりかぁ!?お゛ぉ゛!!」

  獅子王がそう言いながら、今までにないくらい、コメカミにブチ切れそうな血管を浮き立たせて立ち上がった。

  車はフロントバンパーとボンネットの部分がひしゃげており、白い煙を吐いて停車している。中に乗っていた犬獣人の若い男も、何があったのかと困惑するように目を見開いて焦っていて、瞬きの数があからさまに多い。

  そんな彼だが、瞬間、窓ガラスを当然のように叩き割って腕を差し込んできた獅子王に、その胸ぐらを掴まれながら、身体を軽々と引きずりだされて怒鳴られると、尚更状況を把握できていないようだ。

  周囲でその様子を見ていた人々もガヤガヤと騒ぎ出し、結果昴達は、救急車と警察がくるまで、そこで待機する羽目になってしまったのだった。

  「おい!俺様の事は良いから、嫁と子供の方を先に確認してくれ!」

  「で、ですが、車の衝突を受けたのは貴方で…」

  「俺様は良いから、家族を優先しろっつってんだよ!ぶっ殺すぞ!?」

  「ひっ!」

  獅子王がそう言って、寄ってたかってくる救急隊員に恐ろしい形相を見せ、不機嫌そうに眉間へと皺を寄せた。

  驚く事に車の衝突を直に受けたハズの獅子王は全くの無傷であり、勿論、それに守られた昴達にも外傷は見当たらない。

  車を運転していた犬の男も、取り乱しているものの怪我自体はなく、警察の取り調べを受けていて、現場は騒然となっていた。

  「おい!ウチの家族はもう長いこと外にいるんだ。先に帰らす事は出来ねぇのか?ここは俺様が居りゃあ十分だろうが!」

  「猛さん、そんな事…」

  「おめぇは黙ってろ。」

  「んむ…」

  確かに、警察や救急車を待っている間に随分と待たされていた。子供達は今毛布に包まれている分マシだが、かといって寒くない訳ではなく、昴も赤ん坊二人を毛布と共にギュッと抱き締めていて、少し震えている。

  異常が無いので、警察の取り調べを受けてくれるなら片親と子供達は先に帰らせてもよいという事で、獅子王は自分が残ると宣言し、昴の口に軽く口付けをする。

  「帰ったら説教だ。」

  「………」

  突然のそんな行動に、顔を真っ赤にする昴。獅子王は昴や子供達が無事で安心したのか、ポンと軽く頭を撫でて警察の元へ戻っていく。

  獅子王に言われた警察達は、パトカーに昴達を乗せると発車した。子供達はそんなパトカーに乗れる事を喜んで、シートの上で騒ぎ始めるが、昴はもう叱る余裕もなく、疲れた表情で溜息を吐く。

  「太陽、大丈夫?」

  「……うん」

  そんな中、いつも率先して騒ぎ立てる太陽の元気が無い。一人だけちょこんと昴の横に腰を下ろし、俯いて悲しげな顔をしている。

  「よしよし、怖かったね。」

  その表情が恐怖によるものなのか、それとも飛び出してしまった自責の念なのか分からないが、昴はそんな太陽を抱きしめると、彼が落ち着くまでポンポンと背中を叩いて上げるのだった。

  そして、コテージに戻って数時間後、この吹雪だ、もうきっと、獅子王は外で泊まって今日は帰って来ないだろうと思っていたのだが、しかしそんな獅子王が当たり前のように吹雪の中から帰ってきた。

  かなり大降りの吹雪だ。帰ってこないだろうと思いつつも、何となく手持ち無沙汰で窓から心配そうに外を眺めていた昴だったのだが、玄関の扉が突然開く音を聞くと、驚いたようにそちらを見る。

  すると、見間違うはずもない、大きな大きな獅子王が全身に雪を張り付かせながら、のっそりと入ってくるのが見えて、昴は慌てて駆け寄った。

  どうやら雪のせいで見逃してしまったらしい。全身を真っ白に染めた獅子王のコートを、一生懸命叩いて雪を落とすと、心配したように声をかける。

  「猛さん!こ、こんな吹雪の中、どうやって!」

  獅子王は、そんな風に驚く昴に対し「歩いてきた」と当たり前のようにそう呟く。街から近いとは言え、それは車を使ったらという話だ。しかも、こんな吹雪の中を歩いて帰ってくるなんて、どれだけ無茶な事をしたのであろう。どうやら車は吹雪で使い物にならない為置いてきたらしく、本当に驚く事を平然とやってのけると、昴は心配そうに眉をひそめる。

  昴は相変わらず、獅子王の肩や背中にへばりつく雪を叩くように落とすと、その手を引いて、暖かい暖炉の前へと急いで案内した。

  「無茶しないでくださいよ…!」

  車の時もそうだけれど、こんな吹雪の中をさ迷って帰ってくるなんて、どれだけ心配してもしたりないと、昴は獅子王の冷たくなった大きな手を両手で温めるよう握りしめた。

  獅子王からすれば、どうしても帰ってきたかったというのがその行動から見て取れる。駆け付けた救急隊員は怪我が無いと言ったけれど、そうは分かっていても、家族を心配してその顔を見たかったというのは獅子王の素直な気持ちだ。

  本当に、昔の獅子王の性格からは考えられないような変化で、誰もこんなのは予想だにしていなかっただろう。獅子王はあえてそんな様子を昴に見せることもなく、すました態度で呟いた。

  「餓鬼共は…」

  「もう寝ちゃいました…今日は疲れてたみたいだし…」

  「太陽はどうだ?」

  「ちょっと落ち込んでる様子でしたけど、なんとか慰めて、今はぐっすりです。」

  「……そうか」

  大地と海は獅子王が車すらものともせず、逆に跳ね返して潰してしまった様子に目を輝かせて、ダディはスーパーヒーローだ!と興奮していた様子だったれど、太陽だけは終始元気の無い様子で落ち込んでいた。

  それを説明すると、獅子王は眉間に皺を寄せて、厳しい顔をするが、昴はそれを見て、彼が怒っている訳でなく、ただ心配しているだけなのだとすぐに分かる。

  「そっちの心配もそうですけど…」

  「む…」

  そう言いながら、昴はそっと獅子王の傍に寄ると、心配そうに彼の背中を擦り、何かを確かめるように優しく撫でる。

  あれだけ大きな事故だったのだ。雪で前が見づらくなっていた為か、速度を落としていたとは言え、車の直撃をモロに受けた獅子王の身体に外傷が無いか、昴は彼の大きな背中を触って確かめようとする。

  「あんな無茶をしたのに、本当に骨の一本も折れてないんですか?」

  「ふん…あたりめぇだろうが。俺様がデカい金属の塊程度で怪我する訳あるか。」

  「……普通はするんですよ。怪我…。」

  特に得意気に語る訳でもなく、当たり前のようにそう言った獅子王に対して、昴は一瞬言葉を失いながら

  、呆れたようにそう呟いた。

  確かに獅子王は元々人並外れた所は幾つかあるけれど、まさかここまで規格外だったとは、素直に驚きである。

  けれど、獅子王の無事が分かってホッとしたのか「よかった…」と呟いて昴が小さく涙ぐみながら微笑むと、それを横目で見ていた獅子王は、胸に多少の違和感を感じて、無意識のうちに、そんな昴の細い腰を掴み引き寄せる。

  「わっ……た、猛さん?」

  「………」

  獅子王は何がそんなに面白くないのか、少し拗ねたように口を尖らせ、突然の事に驚く昴をジト目で見つめた。

  昴にはまだ理解出来ていないかもしれないが、これは獅子王が昴の涙と笑顔を見ただけでキュンとなり、照れてしまった証拠でもあった。

  昴に出会うまで、そんな気持ちにさせられたこともない獅子王にとって、そのような女々しい感覚など男らしく無いため認められるものでもないのだろう。

  昴は、一瞬どこか迷ったような表情をしたかと思いきや、顔を近付けた獅子王の前でギュッと目を閉じ、そしてそのまま恥ずかしそうに、獅子王へと、震える軽いキスをした。

  「……っ!?」

  突然の出来事に驚いて、目を見開く獅子王。

  昴が顔を離し、少し照れた様子で瞳を開けると、上目遣いでモジモジと獅子王を見た。

  一体どういった心境の変化だろうか。

  これまでは一方的に獅子王が求めるばかりで、酒に酔った時以外、こんな風に昴からキスをしてきたことなどないと言うのに。

  「あ、あの……」

  「………」

  「た、助けてくれて…ありがとう…ございました。……えと…正直なところ……、猛さん、かっこよかったですよ。…へへ」

  そして、そんな風にハニカム昴の笑顔と言葉を聞くと、獅子王の中で欲望の糸がプツリと切れたような音がした。

  獅子王は堪らず、噛み付くように昴へとキスをすると、その勢いのままに、彼をソファーの上へと押し倒す。

  「ん…あっ…♥…た、猛さ…っ…ここじゃあ声が…♥…せ、せめてお風呂で…♥」

  「うるせぇ…待てねぇ…」

  「あ…っう…♥やっ…ダメ……っん♥」

  昴の腹など、掌一つで握り潰せそうな、巨大な指先が、撫でるように、しかし荒々しく、乱暴に服の中へと侵入してくる。

  両の手首は頭の上で一纏めに握り締められ、獅子王の巨大なマズルから漏れ出す熱い吐息が、昴の耳元に吹きかけられてゾクゾクと背筋に興奮を走らせてくる。

  クリッ…と指先が乳首の先端を撫でれば、ビクンと大袈裟なくらい昴の身体が震えて…。

  「俺様を心配させた罰だ。……今日は朝まで寝かせねぇぞ。」

  「ひっ…♥あっ!?♥…そこっ♥」

  獅子王のそんな死刑宣告にも似た言葉に、昴はゾッと顔を青くするが、しかし同時に、与えられる快楽によって、すぐさまそれは熱っぽい声へと変わっていく。

  そして……

  「ふぅぅぅ゛っ……♥♥」

  ビク、ビクン…と昴の身体が震えて、くぐもった小さな声が、その口から漏れ出すように聞こえてくる。

  顔にはラバーの目隠しをされ、腕も後ろ手に、前腕をグルグル巻きに拘束された昴は、ソファーに座る獅子王の上で、その身をただひたすら、くゆらせていた。

  両足首にも、鎖で繋がった錠が付けられている。口元からは唾液が漏れだし、顎に一筋の軌跡を作り出していて、獅子王はそんな昴の姿を、頬杖をつきながらリラックスした状態で見つめている。

  「そら、まだイクなよ。もしイッたら、餓鬼が起きてきてからもずっとこのまんまだ。」

  「やぁぁぁ…っ♥それだけは…っ♥それだけは…っ♥」

  「だったらしっかり我慢するんだな。淫乱が♥」

  「ひぃぃぃ♥♥だめぇぇぇ♥♥」

  獅子王が片方の手で、弄ぶように昴の乳首をコリコリと押しつぶす。ぴゅるぴゅると、その圧迫に押し出されるよう父乳が吹き出して、獅子王の指先を白く濡らした。

  そうやって、指の関節と親指で、優しくすり潰すよう、乳首を弄り回すだけで、昴の身体は逃げるように"く"の字になり、そして獅子王は、ゆったりと腰をグラインドさせながら、彼の中を抉り倒した。

  「い゛っ…ギィィィ♥♥」

  食いしばった口元から、また唾液が顎を伝う。

  ラバーの目隠しは涙を吸収する事なく、僅かな隙間から絶え間なく漏れだした水分が、赤く腫れ上がった昴の頬をテカテカに濡らしていた。

  獅子王の、いつもとは違う恐ろしくゆったりとした責め。

  まるで波にでも乗るように、艶めかしく動く彼の腰は、昴の中に存在するΩの子宮口を粘土のようにグニャリと押し潰して、所謂ポルチオと呼ばれる部分を下から圧迫するように刺激し、背筋から湧き上がるような、脳から下ってくるような、そんな強烈な快楽を昴に与え続けていた。

  「あ゛っ!?♥♥」

  そして、戯れに、獅子王のざらついたネコ科特有の舌の腹が、ドロドロに白く濡れた胸元の突起を舐め上げて、昴は思わず背筋を逸らしながら天井を向いた。

  獅子王は、昴のこのエロく張り詰めた母体特有の乳首が好きで、暇があればあるだけ、常々咥えて虐めたくなると、そう考えている節がある。

  なにせ、本来であれば表面を刺激し、舐め上げるくらいの方法でしか責めれない部位にも関わらず、父乳が出ている間は、その液体が噴出する度内側からもその圧力が乳首を刺激し、快感が倍になるからだ。

  それにそもそも、胸からミルクが吹き出すという状況が、獅子王の興奮を酷く増長させてくれる。

  なので、子供がいる前であっても、こっそりと舐めて刺激してやったり、吸い付いてその乳を飲み干したり、得に、赤ん坊に直接飲ませている所を見ると、獅子王はどうしても手を出したくなってしまって…。

  そのうち、今まで以上に、昴の乳首は敏感になってしまっていた。

  こうして、ただゾリゾリと舌で舐め上げるだけで……。

  

  「ほお゛うっっっ♥♥」

  絶頂する。絶頂させられる。

  この胸についた小さな突起を、ほんの少し弄り倒すだけで、こんなにも簡単に絶頂へと追い込むことが出来るのだ。

  それが獅子王にとって楽しくないわけなかった。

  「んほぉぉっ♥♥」

  昴が、突然そんな無様な声を上げて、ビクンと大きく痙攣し、顎をしゃくりあげて唇を突き出す。膨らんだ鼻穴からドロリと鼻水が漏れ、何かに耐えるよう、ブルブルと体全体が静かに震え、もはや姿勢を維持するのも難しそうだ。

  獅子王が、頬杖をついていた腕を伸ばし、それまで片方だけを舐め上げていた昴の両乳首を、勢いよく抓りあげたのが原因だろう。

  父乳がまたしても吹き出し、獅子王の顔に掛かる。

  しかも、彼は腰だけで軽々と昴の身体を上下に揺すり、最奥を捏ねくり回すように刺激するものだから、昴は悲鳴のような声を上げて叫んだ。

  「や…っ、やぁ゛ぁ゛!!♥♥ごっ…ごれダメごれダメっ!!♥♥も…っ無理!!♥無理だがらっ!!♥♥おがじぐなっちゃうぅ!!♥♥」

  ブンブンと激しく首を左右に振り、子供のように泣きじゃくりながらどんどんと力無く前に倒れ込む昴。

  獅子王は、そんな昴の姿に加虐心を擽られるのか、極悪な顔で笑い、一切手を緩めようとせずに、責めを続ける。昴の全身の震えがどんどんと強まっていき、彼一人だけ巨大な地震の最中にいるような、そんな震えになってきた。

  「だったらさっさと楽になっちまえよ。まぁ、少しでもイッたらお仕置きだけどな。」

  「やぁぁぁ!!♥♥ごめんらざっ!ごめんらざぃっ!!♥♥謝るがら…も…っ許じでっ…♥♥死んぢゃうっ♥♥死んぢゃうぅっ♥♥」

  「ククク…しゃあねぇなぁ…♥」

  獅子王がそう言って、乳首に伸ばしていた腕を、昴の頬に向けた。大きな肉球付きの掌が、昴の充血した頬を優しく撫で、そっと引き寄せる。

  巨大なマズルが開き、そこから見えた獰猛な牙に、顔からガブリと噛みつかれるかと思いきや、昴の唇を覆うようにディープキスをし、瞬間、昴は、ギュッと獅子王の胸元の体毛を握り締めるようにして、全身に力を入れた。

  「ん゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛〜〜〜っっ♥♥♥」

  ギュッと目を瞑り、力が入り過ぎて全身がブルブルと震え始める。

  強い快楽に意識が飛んでしまいそうになり、眼球がぐるりと上を向いたかと思えば、瞬間、ガクンガクンと、何やら溜まっていた力が弾け飛ぶかのように、昴の全身が強く跳ね上がった。

  獅子王のマズルに覆われた口から、くぐもった悲鳴が聞こえる。

  不規則に痙攣し、獅子王のペニスを何度も緩急付けて締め上げた腟内の動きを見れば、昴が絶頂に達してしまった事は、言うまでもなく獅子王に伝わった。

  そしてそのまま、昴のモチモチとした張りのある柔らかい尻を掴みながら、何度か腰を淫らにグラインドさせる。

  その動きはまるで、ペニスの位置をもっとしっかり昴の膣の中に嵌め込むような…

  それとも、なおさら彼を快楽の頂へと追い詰めるような…

  そんな動きで、獅子王自身も、心地よく締め上げてくる昴の膣の感触を楽しんだのだ。

  そして、その後も、そのような激しいSEXは終わりを迎えるはずもなく…。

  「イ゛ッッ…グッ…♥♥イグ…っ♥イグ…っ♥まだイ゛ィ……グゥゥっ〜〜〜♥♥♥」

  「イケおら!!イッてイッてイキ続けろ!!休む暇なんかねぇぞコラ!!」

  「ギッ…ィィイ゛〜〜〜ッッ♥♥♥」

  正常位で、ひっくり返ったカエルのように、足を開きながら、パンパンとリズム良く子気味の良い音でピストンされる。

  柔らかいケツ肉が、スプーンで乱暴に叩かれたゼリーのように波紋を揺らしながら震え、長大な逸物が先端ギリギリまで抜かれたかと思いきや、次の瞬間には、その全てが全く見えなくなるまで挿入される。

  グッポリと、腰と尻が隙間なく密着していて、腹の内側から盛り上がってくるペニスが、どれほど奥までそれを咥えこんでいるのか、傍から見れば一目瞭然だった。

  そんな腹に昴の掌を誘導し、押し付ける事で、どこまで挿入されているのか、外からも内からも昴に自覚させる。

  そうすれば、腟内が不規則にビクビクと小さく痙攣し始めて……。

  「あ゛…っひぎぁぁ〜〜っ…っ♥♥♥」

  「ククク…♥」

  上から押しつぶすようにしながら、獅子王は汗だくの顔をニッと歪ませる。

  自身の身体の下に埋もれる昴は、もはや数え切れない程の絶頂に、足先をガクガクと派手に揺らし、潮を撒き散らしながら震え続けて…。

  朦朧とし、瞼を痙攣させながら、ぐったりとする昴を抱き上げ、獅子王は小さく呟く。

  「勝手に死ぬなんざ絶対に許さねぇ。…てめぇはこれからも永遠に、俺様の傍にいるんだ。」

  全て言い終わるか終わらないかという所で、昴の意識は途絶え、獅子王の分厚く毛深い胸の中へと寄りかかっていく。

  そもそも、最初から彼の言葉が聞こえていたかどうかも定かではないが、どちらにせよ、殆ど独り言のように呟いた言葉だ。例え昴にそれが聞こえていなかったとしても、獅子王は全く気にしないだろう。

  そして、夜はさらに更けていき……

  朝になると、昨日夜遅くまで、あれだけハードにSEXしていたはずの獅子王が、相変わらずケロリとした態度で朝食を作っている。

  いつもなら、昴の体調も考えて、あまり無茶なSEXは連日行わないように、これでも実はそれなりに配慮している獅子王であったが、とはいえ昨日ばかりは、危うく昴が命を落とすところであったと考えると、あまり感情を抑えられず、結果的に二日連続で無茶をさせてしまうという事になった。

  獅子王にとって、昴は無くてはならない存在だ。だから本当ならこんな風に無理をさせるべきではないし、もう少し身体に配慮してやるのは当然の事である。

  けれど、そう言った考えとは裏腹に、獅子王という男が、これまで培ってきた人生での、価値観、性格、そして、‪α‬が持つ本能的な闇。

  そうした、自分ではどうしようもない感情や欲望が、昴を求めて止まず……。

  結果的に、いつも昴へ無理をさせてしまう。

  

  その身体を貪ってしまう。

  獅子王自身、ここまで昴に依存してしまうとは、予想だにしていなかっただろう。

  

  ………けれど実際の所は、そんなまどろっこしい言い訳なんかよりも。

  ただ、獅子王という男が、昴という相手に対して、自分が思った以上に、心底惚れている。

  その一言に尽きるだけであり……。

  午後になると、獅子王は未だ部屋にいる昴の元に赴き、トレイに乗せた食事を運んだ。

  寝室の扉を開けると、昴はベットの上に上体を起こして座っており、窓から外の景色を眺めている所だった。

  側まで近寄ると、ふと、目に入るのは、何故か昴の隣で甘えるようにして眠っている長男の姿。

  どうやら、いつの間にか昴を心配してやってきていようで、そのまま眠ってしまったらしい。

  昴が体調を崩しているように見えて、昨日の事故が原因ではないかと恐ろしかったのだろう。

  ただ、そうでないということが分かると、安心したのか、側に甘えるようにしていつの間にか寝てしまっていたと、昴は語る。

  「猛さんも、あとで慰めてやってもらっていいですか?……思ったより気にしてるみたいで…」

  「ふん。これくらい自分でなんとかさせろ。迷惑掛けたのは事実なんだ。二度とあんな事しねぇように、甘やかしたりすんな。」

  どちらかというと子供に甘い昴に対して、獅子王はどこまでも自己責任という事を主張し、基本的に子供達を子供扱いしない。

  早くから自立を促していると言えば聞こえはいいが、獅子王はどことなく、俺の子供なのだから…という謎の自負もあって、よく言えば期待、悪く言えば無頓着。そんな感じである。

  全く、冷たい父親もいるものだと、昴は眠っている太陽の頬を撫でて、ふっと溜息を吐いたのだった。

  「ほら、食え。」

  「………そこまで弱ってないですよ。」

  「俺様に二度同じ事言わせるつもりか?」

  「………」

  獅子王が、箸で掴んだ食材を、昴の口に運ぶ。

  別に、自分で飯を食えないほど体調が悪い訳では無いのだが、有無を言わさぬ獅子王の態度に、昴は渋々と口を開け、まるで産まれたばかりの赤ん坊のように甲斐甲斐しく世話をされた。

  少し恥ずかしいが、まぁ、そこまで悪い気分ではない。

  ふと、そこで昴は唐突に、そういえば、獅子王に対してサプライズがあった事を思い出し、あっと顔を上げた。

  この旅行に来てからと言うもの、獅子王が普段以上に身体を求めてくる為、上手く時間が合うか不安だったが、丁度今のタイミングが良いでは無いかと思い立ち、ゴソゴソとベットの下から小さな箱を取り出す。

  「わーい!」

  「待ってー!」

  と、それと同時に、一階で大人しくさせていたハズの子供達がやってきて、ベットに駆け上がってきた。どこかで太陽が昴と一緒に寝ていることを知り、さらに獅子王まで部屋に向かったとなれば我慢できなくなったのだろうか。

  その肝心の太陽も、兄弟達の声に起こされ、目をゴシゴシの擦りながらぼんやりと起き上がった。

  「おい!静かにしろっつったろ!」

  「これなーにー?」

  「プレゼントだプレゼントだ!」

  「ふふ、そう、プレゼントだよ。ダディにね。」

  獅子王の怒鳴り声にも怯むことなく、駆け上がった子供達が、昴の手元にある包装された小箱を見て呟く。

  そこで自分の名を呼ばれると思っていたなかったのだろう。獅子王が、ほんの少しばかり目を見開いたようにして、昴と、昴の手元にある箱を見つめ固まった。

  これまでのクリスマスでも、昴から獅子王にプレゼントを贈った事はなく、こういう事は今回が初めてだ。

  何しろ、昴に使えるお金というのはかなり制限されているし、獅子王を伴わない外出も禁止されている。

  これは、ベアに頼み、家でもできる事務系の仕事を幾つか回してもらって、そうして稼いだお金を使い、こっそりとネットショッピングして買った、正真正銘サプライズプレゼントだった。

  「どうぞ。開けてみて下さい。」

  「………」

  心無しか、獅子王の顔が少し強ばっているように見える。

  厳しい顔付きでそれを受け取った獅子王は、片手で解けるリボンを外すと、中身を取り出して、またほんの少し目を見開いた。

  「ベアさんに頼んで、一生懸命家で事務仕事して貯めたお金で買った腕時計です。……ブランド物でもない、安物なんですけど……。オーダーメイドで作ってくれたんですよ。まぁ、ネットで要望記入しただけなんですけど。」

  それはオーダーメイドで作られたこの世にたった一つしか存在しない特注品の腕時計だった。

  シンプルな銀の装飾に、重厚で分厚い、衝撃にも強そうな時計。

  深夜寝静まった獅子王の腕にメジャーを巻いてサイズを確認したので、付けられないなんて事は無いだろう。

  裏返すと、Dear…TAKERUと優雅な文体で浅く掘られており、それが特注品であることを物語っている。

  獅子王は、暫く固まって、それを見つめる事しか出来なかった。

  「わぁー!カッコイイー!いいなー!」

  「ダディ見せて見せてー!」

  「…っ…コラ!触るな!こいつぁ俺様のだ!」

  「……付けてみて下さいよ。」

  「……お、おう。」

  子供達の声にハッと顔を上げた獅子王が、大人気なく彼らの手の届かない位置まで時計を持ち上げ、それに触ることすら当たり前に拒否する。

  そんな様子を微笑ましく見ていた昴が言葉を発すると、獅子王は、彼にしては珍しく、少しばかり挙動不審になって、そうやすやすと壊れるはずもないそれを、とても慎重な手つきで腕に取り付けた。

  元々付けていた有名ブランドの時計なんて、子供達の方に向かってポイと投げ捨てる始末だ。新しい腕時計にばかり興味がいって、元々愛用していた筈の時計への興味は一切なくなってしまったらしい。

  子供達が一斉にそれに群がったのを尻目に、獅子王は、自らの腕にしっくりとフィットする。その腕時計を付けて、様々な角度から確認するよう腕を回した。

  常日頃から使えるよう、シンプルなデザインになっているそれは、どんな服装であっても強く個性を主張する事はないだろう。

  それはまさしく昴が、獅子王の趣味を的確に把握している証拠でもあった。

  できるだけ感情を表に出さないように振る舞う獅子王だが、しかし動揺を隠しきれずにムスッと口をへの字にしてみたり、かと思いきや何かを言いかけてすぐ閉じる。

  どこか困ったように眉をひそめて、焦りを隠す事も出来ず、腕の時計をしげしげと見つめる獅子王は、最終的に何か躊躇いがちな視線を昴へと向けると、彼を睨みつけるよう見下ろして押し黙った。

  「……あのぉ…」

  「………」

  「…どうです?…気に入ってくれましたか?」

  「………」

  こちらを見下ろす獅子王の表情を見ると、彼を知らぬ者ならそれは、明らかに不機嫌な表情だと答えるだろう。それも、かなり頭にきている部類の顔だと言うに決まっている。なにせ、もはや目元には暗い影が落ち、どこを睨みつけているのか分からないくらいだ。

  けれど、そもそも彼が普段笑っているところなんて、SEX中にこちらを弄んで楽しんでいる時くらいしか見た事が無い。ともすれば、昴にとって常日頃から、不機嫌そうに眉間へと皺を寄せる彼の姿を見て、些細な感情を読み取らなければいけないのは当たり前の事である。

  今回もそう思って何とかその表情から、獅子王の考えていることを読み解こうと思ったが、何となくいつもとは違う…くらいの変化しか分からなかった。

  少しばかり昴も動揺して言葉を失い、オロオロと見上げるばかりになっていると、そこで意外にも言葉を放ったのは子供達で…。

  「え〜…!ダディがてれてる〜!?」

  「ダディ顔まっかっか〜!!」

  「ダディのこんな顔…はじめて見たかも……!」

  「え?」

  渡された腕時計を十分堪能したのだろう。顔を上げて獅子王を見上げた子供達は、各々口を揃えてそんな事を言い始める。

  太陽は心底驚いたように叫び、大地は面白そうに笑って、海はゴクリと唾を飲み込みながら……。昴も、そんな子供達の言葉に驚いて、もう一度獅子王を見上げて見るが、とはいえ、そこに居るのは先程同様押し黙った彼の姿のみ。

  自分より、子供達の方が獅子王の表情を読み解く力が高いのだろうか。それもそのはず、常日頃から短気な父の顔色を伺っている彼らからしたら、今回の獅子王の顔は、これまで見た事が無いくらいに照れた顔らしい。

  獣人の体毛と、複雑な表情から、昴にはあまり伝わってこないが、いつもの彼なら、こんな事言おうものならすぐ拳か怒声が飛んでくるのに、今日ばかりは押し黙っているのも、その言葉に現実味を帯びさせていた。

  「猛さん…?」

  「……てめぇら…ちょっとどっか行け…」

  獅子王がやっと捻り出した声は低く、唸るような声に聞こえた。

  怒っているというより、何かを堪えるような、そんな静かな声だ。

  「え〜…」

  「まだここにいたい〜」

  「パピィといっしょに寝る…」

  けれど、子供達はそんな獅子王の言葉を否定して、あくまでここに残りたいと言う。普段なら、そんな事言おうものなら否応なしに拳が飛んできて大変な事態になるはずが、しかし、その日だけは違った。

  「いいか。太陽。昨日の事故は確かにてめぇのせいだ。だが、雄ならそういつまでもウジウジしてねぇで、さっさと前向いて歩きやがれ!……二度と同じような事が起きねぇように、身体鍛えて、今度はてめぇが家族を守れるようにしろ。」

  「……え?」

  「その腕時計はお前にくれてやる。それに見合う雄になれ。……万が一俺様が居なくなったら、家族を守るのはてめぇの役目だ。……だろ?」

  「………う、うん」

  「なら、いつまでもママに甘えてんじゃねぇ!行け!」

  「わーい!!」

  あれほど頑なに太陽を慰めないと言っていた筈の獅子王が、事もあろうに、どういう訳か突然、太陽の前で膝を付くと、そんな事を真剣な顔で言い始めた。

  彼の持っていたブランド時計をゆっくりと取り返し、それを慣れた手つきで太陽の腕へとつけ直して、言葉巧みに彼の気持ちを上向きにしたのである。

  「えー!お兄ちゃんだけずるいー!」

  「いいなーー」

  腕時計を着けた手を振り上げて、部屋を元気いっぱいに駆け出していった太陽の姿を見れば、先程までウジウジと悩んでベッドの中に蹲っていたとは思えない様子だった。

  逆に、他の二人は不平不満を口にする。

  それも当たり前だろう。長男だけ特別扱いされたとなれば、拗ねて尚更言うことを聞かなくなるのは当然の話だ。

  普段の獅子王なら、そんな状態になれば案の定怒声、または[[rb:拳 > こぶし]]が……だったのだが。

  「てめぇらはあとで何でも好きなもん買ってやる。」

  「「ホント!?」」

  「本当だ。だからさっさと部屋から出てけ。」

  「やったーーー!!」

  「わーい!」

  獅子王がそう言うと、二人は互いに目を合わせて見つめ合い、信じられないというように驚いた顔をした。思わず口について出てきた言葉に、獅子王がしっかりと返事を返すと、それがその場限りの嘘ではないと察したのだろう、目を輝かせて部屋から出ていく。

  まさか、獅子王ともあろうものが、そんな風に物で子供達を釣るような事をするなんて、今まで見たこともないし、性格上考えられない事だったので驚いた。

  大地と海が、去り際に、閉まる扉の向こう側からこちらを振り返って、シシシ…とリスのように笑い、ガチャりと音を立ててその場から見えなくなる。

  残された昴と言えば、一体どういう風の吹き回しだと、獅子王を見上げていて……。

  「猛さ……っ…んっ…」

  そんな獅子王は、昴が言葉を発するか発さないかという所で、無言のまま擦り寄ってきて、啄むようなキスの嵐を落とした。

  大きな身体が昴の身体を覆い隠すようにしてベットに膝を付き、首元や頬にチュッチュッと唇をつけて、そのまま押し倒そうとしてくる。

  何を言わずとも、渡したプレゼントに満足してくれたというのは分かったが、しかし、だからと言ってお返しにSEXしようだなんていうのは、今の昴の体調的には非常に厳しい。

  「ちょ…ちょっと猛さん…!昨日だって殆ど朝までシたのに…っ!」

  「……別に良いだろうが。」

  「良くないですよもう!……猛さんのエッチは激しすぎて、短時間で何回もするのは本当に大変なんですから…。」

  「………ちっ」

  昴がそう言って、なんとか獅子王を引き剥がすように力を込めると、そうされた当の本人は、小さく舌打ちをして、不機嫌そうに顔を離す。

  昴はホッとして、獅子王の腕に着けられた時計を見ると、その手をとって、小さく笑った。

  「サイズもちゃんと合ってるようで安心しました。……でも、いつも使ってる時計、太陽にあげちゃって良かったんですか?」

  「ふん、あんなもん、これに比べたらゴミみてぇなもんだ。」

  「…そ、そう言って貰えて嬉しいですけど、あの時計だって何百万ってするやつでしたよね?……子供達に壊されちゃうと勿体ないと思いますけど…。」

  「良いんだよ。……もう必要ねぇんだから。壊れたら壊れたで。」

  「だ、だけど……」

  オーダーメイドとはいえ、1万円かそこらの安い腕時計と、世界に名だたる高級ブランドの腕時計とでは、当然価格が釣り合わない。

  時計なんてその日の気分によって変えれるアクセサリーのようなものなのだから、子供達に渡して玩具のように使われ、壊されてしまうより、自分で持っておいた方が良かったのではないかと、どうしてもそんな事を思ってしまう。

  しかし、獅子王はそんな昴の言葉を受け流すようにして隣に腰を落とし、彼の肩を抱いて、ベットに伸ばした足を組んだ。

  いつもの獅子王とは違って大人しい雰囲気に、言葉を待つ昴が視線を向ければ、彼は時計のついた腕を掲げて、その腕をジッと見つめ始める。

  「……」

  「何考えてるんですか?」

  「………」

  獅子王は何も答えない。ただその視線は、どこか深い思考の海に沈んでいるかのような、そんな様子で……。

  何も言わないなら言わないで良い。

  昴は獅子王から漂ってくる空気を読んで会話を切り上げると、少しばかり身動ぎするように姿勢を変えて、彼の腕を枕にし、その場へと横向きに寝そべった。

  うずくまるよう、獅子王の大きく筋肉質な身体に寄り添って、そのまま盗み見するようチラリとその横顔を見上げてみる。

  どこまでも絵になる姿だ。そして、心無しか、あんなにも笑わないと思われていた獅子王の口角が、少しばかり吊り上がっているように見えるのは気のせいだろうか。

  そんな事をぼんやりと思いながら、獅子王からふんわりと香る、彼の心地よい匂いに包まれると……。

  自然と睡魔が襲いかかり、ゆっくりと目を閉じる。

  ……気に入ってもらえてよかった。

  

  昴はそのまま、静かに眠りへと落ちていくのであった。

  ◆◆◆◆

  ふと、カーテンから差し込む光に瞼の裏が照らされて目を覚ます。

  身動ぎをして、斜光から身を守るように掌を広げると、昴はゆっくりと身を起こして、目を擦った。

  サイドテーブルに置かれた時計を見れば、時刻は大体18時頃。

  丁度日も沈む時間。窓の外では、地平線の向こうに太陽が消えていこうとする時間であり、思ったよりも熟睡してしまったなと、少し反省する。

  いつの間にか側に居たはずの獅子王の姿は無く、少し気だるい身体を引きずって起き上がると、居間へと向かった。

  階段を降りる途中から見下ろせる部屋の中に獅子王の姿はなく、大きめのソファーでは子供達が身を寄せあって眠っていて…。

  クリスマスから元旦直前までを過ごしたカナダの休日。

  永くもあり、短くも感じた旅行がいつの間にか終わりを迎えて、昴達は住み慣れたハワイの実家へと帰ってきた。

  子供達は時差と、思ったよりも疲れていたのか、帰宅して二日経っても、こうして夕方には電池が切れたように眠ってしまうことが多くなり…。

  昴も昴で、まだ時差ボケが治りきっておらず、こんな時間まで眠ってしまう始末。

  ちゃんと身体を戻していかなきゃ…

  そんな事を考えながら、やっと1階に足がつくと、向こう側のキッチンに人影が見えて目を凝らした。

  影もこちらに気付いたのか、振り返ると、それは獅子王ではなくベアの姿で、どうやら昴の代わりに子守りをしていてくれたらしい。

  カウンター越しに近付いてニッコリと笑った彼は、何を言わずともコーヒーを出してくれる。よく出来たベビーシッターに、昴は感謝しながらそれを両手で受け取って小さく頭を下げ、礼をした。

  「ベアさん……。いつもありがとうございます。」

  「イエイエ…これくらいお易い御用デス。……よく眠れまシタか?」

  「はい。お陰様で、体調は大方元に戻りました。」

  「ソレは良かっタ。赤チャン達には、milk飲ませておきまシタヨ。」

  「ありがとうございます。」

  程よく覚めたコーヒーを一口飲んでから、1拍置いてゆっくりと辺りを見渡す。

  この時間なら獅子王は大抵家にいて、テレビを見ていたり、今ベアのいる場所に立っていたりするものだが、一体どこに言ったのだろうと考える、そんな昴の心を読んだかのように、ベアが小さく呟いた。

  「旦那サンなら、裏のbeachにいマスよ。」

  「……ビーチに?…何かしてるんですか?」

  「さぁ…どうもナニか、いつもの考え事デスかね。」

  「……帰ってきてからどことなく大人しいですよね。何か心当たりありますか?」

  「いいえ…検討もつきまセン…デスが、そろそろdinner timeデスし、姐サン、旦那サン呼んできてもらえまセンか?」

  そう言われて、おもむろに立ち上がった昴が、庭に繋がる大きな窓から外を眺めると、確かに、一人、地平線の夕焼けに向かって背中を向ける大きな影が、ここからでも良く見えた。

  ガラリとそこを開けて、外に出る。ほんの少しの石畳を越えて、すぐさま砂のビーチに踏み込むと、見計らったように風が吹いて、昴の髪をパタパタと靡かせた。

  遠くを見つめる獅子王の後ろ姿も同様に、立派で男らしい鬣が風に揺れているのが見える。

  ふと、その表情を盗み見ようとすれば、どうやら腕に着けた時計を見て、また微笑んでいるような、そんな風にも見えてきて、昴は小さく笑った。

  あのプレゼント以降、気のせいかと思っていたが、大人しいと思ってふと視線を向ける度、いつも腕に目をやる獅子王の姿があって…。

  子供達も同様に、そうして微かに微笑む獅子王の姿を見たと口を揃えて驚いていた。

  パピィのプレゼントで、ダディが笑うようになった!と、子供達が嬉しそうに語ったのは、未だ記憶に新しい。

  「猛さん…!」

  「………?…」

  名前を呼べば、獅子王はゆっくりとこちらを振り向いて、2人の視線が交差する。

  薄いワイシャツの裾が風に揺れ、短めのチノパンから伸びる太ましい素足が、ビーチの砂を直に踏みしめていた。

  鍛え上げられた逞しい筋肉質な腕がゆるりと伸びてきて、その手に掴まるよう前に進めば、逆光に照らされた獅子王の全身が目に入り……。

  それはまるで、どこか非現実的な映画のワンシーンのようであった……

  それとも、時を固定した、美しい一枚の写真のようでもある…。

  ともすれば、完成された1つの芸術作品のようにも見えて、思わず微かに息を飲んだ昴は、獅子王に腕を引かれるまま、流れるような仕草で隣に抱き寄せられて…。

  強くありつつ心地よい風が全身を包む。獅子王の隣に立った昴は、彼と同様、今度は地平線に沈んでいくオレンジ色の太陽に目を奪われて、ほう…と小さく息を吐いた。

  ほんの少し上を見上げれば、既に星の瞬きと夜の闇が迫っている様子が見て取れる。この、白と黒が混じり合う不思議な景色を見ると、ずっとそれを見ていたいような、または、このまま時が止まって欲しいような、そんな気持ちになり、何だかとても奇妙な感覚だ。

  「綺麗ですねぇ…」

  「……そうだな。」

  ここに訪れた当初は、この空も故郷と全く違う、異郷の空としか思えなかった。

  言葉も通じぬ異国の島に来て、獅子王と暮らし続けるなんて、信じられないし、信じたくもない。不安と恐怖がいっぱいで、正直これからどうなるんだと、ただひたすらそんな事を思っていたけれど。

  慣れない慣れないと思っていた……というより、当時は慣れたくなかったのかもしれない。そんな常夏の空なのに、今ではもう、まるで自分のホームのようにも思えてしまう。

  それもそのはず、ここに来てもう5年以上経っているのだ。

  感慨深いと思いながら、自らの手を握る、熱くて大きな手を見つめ、そのまま獅子王を見上げた。

  その顔はどことなく物憂げで、一体今彼は何を考え、何を思っているのか。分からないけれど、どうかその悩みが、すぐ解決してくれるようにと、昴は自然と、そんな事を思う。

  そうやって、無意識のうちに気を使えるような間柄にはなったけれど、しかし彼に対しても、最初は色々思うところがあった。

  父を殺され、復讐を誓って、けれどいつしかそんな感情も、彼と作り上げた家族の姿に溶かされて、消え去ってしまい…。

  しかし、それでは駄目なのだと本気で思っていたあの頃…。

  彼を愛する感情、それを認められなかったあの頃…。

  憎い相手との子供を持つ事に対する葛藤や、日に日に決意していく、彼を殺す為の計画。そして自殺未遂。和解。

  何だかんだ、様々な事があったけれど、結局今のところは、大した後悔もなく、なんとか生きて来ている。

  豊かで、穏やかな日々に、これ以上の幸せも、もう殆ど無いだろう。そんな事を思いながら、遠く、海の向こう側を見つめる獅子王を見つめれば、ふと、カナダのコテージで、プレゼントした腕時計に目が止まり…。

  「プレゼント、気に入ってくれたようで良かったです。」

  「…ん?…あ…、あぁ…」

  「いつも、その時計見て笑ってますよね…子供達も気付いてますよ…ふふ」

  「ん……む……」

  指摘すると、口ごもったようにぶっきらぼうな言葉が聞こえてくる。

  互いを結んだ掌が離れて、照れ隠しするように彼は腕を前で組んだ。

  少し顔を逸らしながら、不機嫌そうに目元へと影を落とす。そんな傍から見たら怒っているような顔が、ただ照れているだけなのだと気付かされたのは、カナダに居た時の子供達の言葉のお陰だ。

  今はそれが理解できるので、昴はただクスクスと笑って、懸命に声が出るのを我慢した。

  「おい、何笑ってやがる。」

  「ふふふ…いえ、別に、ただ、そんな風に照れる猛さんを初めて見たから。」

  「照れてねぇ。俺様を誰だと思ってやがる…!」

  「まさか、冷酷無比な猛さんがねぇ…」

  「黙れこいつ…!」

  「あはは…!」

  無敵の怪物に、思わぬ弱点を見つけたような気持ちになってそう[[rb:揶揄 > からか]]うと、獅子王は牙を剥き出してこちらを見下ろしながら睨みつけてきた。

  それすら無視して構わず揶揄い続けると、とうとう我慢できなくなったのか、獅子王は昴の身体に手を伸ばして、その勢いのまま軽々と彼を持ち上げる。

  器用に空中で態勢を横にすると、所謂姫抱きのような状態になり、昴は堪らず声を上げて笑って、おどけたようにその身を縮こませた。

  「ふ、ふふふ……」

  「………」

  「…ふ…ふ…、……?」

  「………」

  「...…あ、あの…どうかしました?」

  「………いや」

  笑い声が徐々に徐々にと小さくなり、笑顔に閉じていた瞳がゆっくりと開かれると、そのまま自然と、二人の視線が交差し合う。

  目元を緩ませて彼を見つめた昴とは裏腹に、獅子王の表情は、見たことないほど酷く真剣で、まるで何かを決意するかのような、そんな顔でじっと、昴の顔を見ていた。

  少し揶揄い過ぎたかもしれない。

  そう思って、少し焦りながら声を掛ければ、獅子王は少しの沈黙の後、ふっ…と瞳を微かに斜め下へと逸らし、何かを振り切るよう、緩慢に首を横に振って…。

  「……俺様も男だ。」

  「……え?」

  誰にともなく呟いた言葉。

  獅子王は、膝を折るようにして昴をその場にゆっくりと下ろし立たせると、突然、おもむろに、その流れのまま柔らかい砂浜へと片膝をついて、視線を上げ、彼と瞳と瞳とをかち合わせるように見つめた。

  「猛さ…」

  何事かと声を出せば、その音は彼の…

  猛の低く、響き渡るような心地の良い声に遮られてしまって……

  「…結婚してくれ。」

  そんな突拍子もない、そして酷く唐突な言葉に、昴は目を見開いて押し黙る事しか出来なかった。

  砂浜に押し寄せる波の音が、なんだか酷く騒がしく聞こえる。

  いつの間にか両の掌が、獅子王の大きく無骨で筋張った手に優しく持ち上げられており、開いたその場には、ちょこん…と一つの箱。

  高級感漂わせるその小さな箱と、こちらを見つめ、真剣で、少しだけ強ばった、何だか緊張感すら漂わせる。そんな顔をした猛に、昴はそれが嘘でもなんでもない、夢でもなんでもない、そんな現実の出来事なのだと、ありあり察せられて……。

  「で、でも…俺達はその…もう結婚して……」

  乾いて、カラカラになった喉を何とか唾液で潤して、そんな言葉が初めに口をついた。

  信じられないという気持ちと、ドキドキと太鼓のように高鳴る心臓の音に、自分が今何を考えているのか、思考すらも邪魔される。

  顔が熱くて、猛の顔を真正面から見ることが出来なかった。

  少しばかり俯き、震える唇でなんとか声を出す。僅かに痙攣した手の振動と、これだけ大きな心臓の音が相手に伝わっていたらどうしようなんて、そんな見当違いな思考ばかりが頭を過ぎっては消えていった。

  「書類上はな…。」

  猛がそう言って、ゆっくりと手を伸ばし、震える昴の腰を引き寄せ呟く。

  熱い熱い熱い……熱くて熱くて溶けてしまいそうだ。

  そんな事を考えながら、昴は近付いてくる更なる熱に身体を強ばらせる。

  沈む太陽は、もう既に地上を熱する力なんて無いはずなのに、今はその光さえも疎ましい。

  普段は心地良いはずの波の音も、今は妙に耳障りに感じて、心臓の鼓動に合わせ、耳の奥の鼓膜も激しく震える。

  抱き寄せられ、身体が少しばかり斜めになって、俗に言うハリウッドキスとでも言うのだろうか、そんな、まるで相手側から熱烈に愛を乞われるような、そんな態勢になると、顔と顔とが近過ぎて、昴は思わず呼吸止め、そこから改めて息をするのを忘れる羽目になった。

  「考えたんだが……やはり俺には、お前が必要だ。」

  「……そ、それはその…」

  「書類上だけの簡素な関係じゃない。名実ともに、お前を俺の女房にする。……正真正銘、俺だけのもんに…。」

  これまで見たことも無い程真剣な表情で見つめられ、息もかかる程の距離で、そんな言葉を突きつけられる。

  ゴクリと大きく唾を飲み込み、昴は自分の脳みそがまるで沸騰でもしてしまっているような、そんな[[rb:得 > え]]も言えぬ感覚に襲われて、何も言うことが出来なかった。

  「……愛してる。昴。」

  「………っ」

  「……結婚してくれ。」

  愛の言葉と同時に、改めてそう問われ、思わずその威圧感に、昴は震える頭でコクコクと何度も頷く。

  というよりも、ともかく言葉が出なくて、ただただ頷く事しか出来なかったという方が正しいだろうか。

  顔がこれまでに無いくらい真っ赤になって、まるで林檎か蛸のようでもあった。

  逃がせない熱がとうとう頭のてっぺんから吹き出すように溢れて、ギュッと目を閉じた後、思い切ったようにゆっくりと視線を上に上げれば、そこにはまるで吸い込まれるような、夕陽よりも赫い赫い深紅の瞳。

  それを了承と受け取った猛は、口角を釣り上げ、小さくニッと悪魔的に微笑むと……

  「よし…良い子だ。」

  「…んっ…♥」

  そう言って、優しく噛み付くようなキスをし、丁度唇と唇が重なる瞬間、美しい夕日が二人を照らす。それはまるで互いを祝福するかのように、いつまでもいつまでも、遠く地平線で煌めいていたのだった。

  ◆◆◆◆

  「汝、獅子王猛は、コノman、え〜…青海昴を妻トシ、良き時モ悪い時モ共に歩み、死がフタリを分かつまで、pledge Love…あ〜…Loveを誓い、妻ノミに添うことヲ誓いマスか?」

  「誓う。」

  「汝、青海昴は、コノ男、獅子王猛をhusband…夫トシ、良き時モ悪い時モ共に歩み、死がフタリを分かつまで、Loveを誓い、夫ノミに添うことヲ誓いマスか?」

  「…ち、誓いま…っんむっ♥♥」

  昴が誓いの言葉を言い終わるか終わらないかのうちに、猛が彼を抱き上げて、その唇へと乱暴なキスをする。

  「あ〜…では、誓いのKissを……もうシテますね…」

  何故か神父の資格を持っていたベアの協力を得て行われた、どこにも派手さの無い質素な浜辺での結婚式。風に靡く白い白鳥のようなアーチの下で、そこに招待されたお客は、彼ら自身の子供達のみ。

  昴と猛は、白い上等なスーツに身を包み、この日家の裏手で、小さな小さな結婚式を挙げた。

  お互いの左薬指には、それまで付けていなかった鈍色の指輪。

  これで名実ともに、二人は正真正銘、夫婦になることを誓ったのだ。

  「愛してる。」

  「……っ」

  口を離して見つめられ、唐突に呟かれたそんな愛の言葉に、またしても昴は、不意打ちを食らったように言葉を失って顔を真っ赤にする。

  今までそんな言葉、何度も何度もこう短期間に面と向かって言われた事などなかったというのに。

  熱く盛り上がっているSEXの最中ならいざ知らず、まさか、時計をプレゼントしただけで、こんな大事に発展するとは、思いもよらなかっただろう。

  度重なる愛の言葉に、昴は心地よくもあり、なんだか気恥ずかしくもあり……。

  「お、俺も…」

  「……ん?」

  「……俺も…愛して…ます…。」

  頭から、蒸気が噴出しているかのような、そんな気持ちになりつつ、面と向かっては恥ずかしくてまだ言えないので、少し俯き加減にそう呟く。

  表情は見えないけれど、今の猛の顔はきっと、悪戯が成功した子供のように、意地悪く笑っているに違いない。

  猛は、酒で酔った昴が言いかけた言葉を、あの時人知れず願った通りに、[[rb:素面 > しらふ]]の彼から導き出す事に成功して、思わずその頬を柔らかく弛緩させた。

  「きゃあああーー!!」

  「あははははーー!!」

  「わーーーい!!」

  子供達も、二人の仲睦まじい姿を見て笑い合い、立ち上がって駆け出していく。

  自分達も混ぜて欲しいとでも言うように寄り添うと、そんな子供達を見下ろして笑った二人は、彼等を抱き上げ、幸せそうに視線を交わし…。

  「お二方…この子達も抱いて下サイ。記念写真、撮りマスよ!」

  そう言って、いつの間にか氷河と雪を抱いて来ていたベアが、赤ん坊をそっと手渡す。

  アーチを中央にした正面、そこにあるのは、三脚に固定された大きなカメラで。

  「ハイ!チェッキー!!……あれ?これはえ〜…っも、もう時間が…!」

  時間を測って、慌ててベアが駆け出した。手招きする昴に、少し呆れたように鼻を鳴らす猛。それを見てキャッキャと笑う子供達全員が、ニッコリと牙を見せて微笑み…。

  人生で最も幸せな瞬間が、その日形となって残った。

  写真には、直前で砂に躓き、前のめりになったベアと、それに驚いて身体を逸らす子供達、そして、咄嗟に昴を守るように抱き寄せ、余裕綽々の真顔を見せる猛。驚きながらも、そんな猛に抱き寄せられて、彼の身体に密着する昴が写り……。

  幸せな日常が繰り返される。

  もうこの二人の愛の前に、障害などありえないのだから。

  Fin……

  [newpage]

  おまけ

  成長した子供達

  「[[rb:Paa > パー]]ーー?帰ったぞー!居るかー?」

  玄関から低くも爽やかな声が家の中に響き渡り、彼方よりの来訪者を告げる。

  ドタドタと2階から激しい物音がしたと思ったら、勢いをつけて階段を降り、やってきたのは今年15になったばかりの末っ子、雪。

  昴によく似た、黒檀の艶のある髪と、あどけない顔は、獅子獣人ばかりの兄弟の中では珍しく唯一の人間で、その為両親のみならず兄弟皆からも溺愛され、そのまま元気で無邪気に育った、誰から見ても可愛らしい末っ子だ。

  そんな彼が、玄関先でキャリーバックを持つ長男、太陽の姿を見て、顔を輝かせる。

  「パピィ!ダディ!あにぃが帰ってきたー!!!…久しぶりあにぃ!入って入って!」

  「久しぶりだな雪。相変わらずウチの末っ子は一番可愛らしい。」

  「えへへ。ありがと。お土産は!?何買ってきたの!気になる気になる!」

  「勿論買ってきたぞ。……それはそうと……はぁ、相変わらず[[rb:Dad > ダァ]]はPaaを独り占めして顔も出せないようにしてんのか?」

  「ダディだもん。当たり前じゃん!」

  「全く…自分の息子にまで嫉妬する親がどこにいるんだ。」

  「ここに!」

  そんなやり取りをしつつ、呼んでも一向に現れない両親に痺れを切らし、太陽は雪を伴って居間へと進んだ。

  ちなみに、Paaとはパピィが短くなった言葉だ。末っ子の雪や一部を除いて、兄弟連中はパピィという言葉を使うのが恥ずかしくなったのか、いつしかPaaと短縮して呼ぶのが当たり前になっていた。

  ダディも、パピィよりは呼びやすい呼称だが、何となく幼い頃から使っている言葉を使うのが気恥しい感じになって、太陽なんかはDadと呼んでいる。

  ガタガタとキャリーバックのタイヤを鳴らしながら大きな扉を開けば、そこに広がっていたのは案の定、大体予想通りの光景で。

  「ダディ!もっとPaaから離れろよ!!たまに帰ってきた時くらい甘えたっていいじゃねぇか!!」

  「うるせぇ!もう立派な大人になった癖していつまでもパピィに甘えてんじゃねぇ!!そんなデカい図体で!!てめぇが場所占領したら俺様の居場所が無くなるだろうが!!」

  「いつもイチャイチャイチャイチャくっ付いてんだから別にいいだろぉ!!DadこそPaaに甘えすぎ!!!息子の前でこそこそコソコソさぁぁ!!見せられる方の身にもなれよ!!」

  「黙れ!!夫の俺様が女房に甘えて何が悪ぃんだ!!いいからさっさとどっか行け!!シッシッ!!」

  「あ゛ーーーもーーー!!このわからず屋の変態ジジイ!!」

  繰り広げられていたのは、太陽の1つ下、次男である大地と、父親である猛のそんな言い争いであった。

  ソファーの上で昴を抱き締め、その腕の中に抱え込みながら大地を睨みつける、鬣に白髪混じりの厳つい親父と、身体の大きさ…というより、太さだけで言えば、兄弟中最も恵まれた大地による、男同士の醜い争い。

  太陽はラグビーによって鍛え上げられた、太ましいくも均衡の取れた体付きをしているが、大地は柔道で叩き上げられた、重厚で鈍重な、鉛のような図体をしていて、猛に負けず劣らずデカい。

  その癖、ちょっと抜けてる所もあって、今でも両親を呼ぶ時の略称はどっちつかずだ。その場のノリと勢いで、パピィとPaa、ダディとdadその二つを無意識に使っている。どちらかというと、こういう素の出る怒鳴り合いの時なんかは、結構幼い頃の略称を使っている印象があった。

  「あ!!アニキ!!見ろよ!!Dadがまたパピィを独占してんだよ!!」

  「そんなの今に始まった事じゃないだろ。どうせそのうち嫌でも離れる時が来るんだから、それまで我慢してればいいんだよ。」

  「太陽!俺様が昴を嫌ってるって言いてぇのか!?」

  「……なんでそういう思考になるんだ。」

  幼い頃の記憶はもう既に曖昧だが、長男である太陽は、二人が幼い頃ギスギスとしていて、距離があった時期を今でも覚えている。

  互いに目を合わせる事はなく、どこか他人行儀に振る舞いつつも、けれど、やっぱり気にはなるのだろう。焦れったい交流を続けていて、子供ながらにその違和感を敏感に感じ取っていた時期があった。

  けれど、それから何年も経ち……

  あれはそう、昴が病院に運び込まれてからだっただろうか。

  それまでのどこか気まずい関係は終わりをつげ、二人の仲は急速に縮まっていき、そして結婚という絶頂を皮切りに、人前でも容赦なく関わり合うようになった。

  あの頃は、両親がとにかく幸せそうで、楽しそうで、そして、仲良さそうで良かった良かった…という至極単純な気持ちでしかなかったが、歳を経るごとに、その関係は衰えるどころかどんどんと強まっていき、それが原因で、太陽達が反抗期になった時期には色々と、家の中が大変な事になったもんだ。

  「た、猛さん…子供達の顔が見えないから…は、離して…」

  「あ゛ぁ゛!?」

  「もう…大人気ないですよ…二人きりになりたかったらいつでもなれるんですから、息子達が帰ってきた時くらい、もう少し落ち着きましょう。ね?」

  「……ちっ!」

  猛の胸の中で、繭のように包まれていた昴が、やっと顔を出せたとでも言うように頭を上げて、そんな事を呟いた。

  すると、一度不機嫌そうに大きく舌打ちした猛が、名残惜しそうに昴への抱擁を解除して、ソファーに腕を組みムスッと顔を逸らす。

  昔なら、猛にこんな子供っぽい一面があるなど考えられなかった事だが、どちらかというと、心を許した相手にとことん執着する癖は、元々素質として備わっていたものだと思う。

  その片鱗は当然のように存在していたし。

  「ふう…二人とも、久しぶり。……よく顔を見せて。また大きくなったような気がするなぁ。……そのうちダディを越えるのも早いかもねぇ。」

  「ふん…!俺様が息子共に劣るわけねぇだろうが。」

  そういうつもりで言った訳では無いが、自ら離れたいと申し出た昴が機嫌を取らないうちは、ずっとこの調子なので今は放っておく。

  大地は待ち焦がれたようにニコニコと笑って、チャームポイントの牙が下唇から少し顔を見せているし、太陽も微笑んでそれに応える。

  今の時代、スマホがあれば毎日顔を合わせて連絡を取り合うことくらい何時だって可能だが、やっぱり、画面越しに顔だけ見るのとは違って、直接会うのはまたそれ相応の面持ちを感じられる。

  太陽や大地からしてみたら、昴はこんなに小さかっただろうかと、毎度の事ながら、そんな感覚に陥ってしまうのも仕方なかった。

  太陽と大地は今や21歳と20歳になり、それぞれがそれぞれの興味のある分野を学習する為、遠く離れたアメリカの大学へと進学していた。

  勿論ハワイの実家から通う事など普通に無理なので、基本的には大学の近くに家を借りて普段はそこに生活しており、夏休みなどの長期休暇の際には、こうしてハワイに戻ってくるという、そんな生活を続けている。

  「海と氷河は?」

  「二人とも部屋じゃないかな?」

  「来る時部屋の扉ノックしたけど出てこなかったー。」

  「アイツらも相変わらずだな。」

  一方、19歳と16歳になり、海は上二人の兄弟同様、海外……日本の大学へ進学、しかしどうやら、帰ってきて早々部屋に引きこもり…。

  思春期の真っ只中で反抗期の氷河は、実家に部屋を持ち、普段は昴達と生活を共にしているのだが…。

  昴相手にはまだしも、こういう父親の猛の事をあまり好ましく思っておらず、もう子供という歳でもないので、兄弟が帰ってきたからと言って、いちいち顔を見せに降りてきたりもしない。

  海は頭こそ良いが、基本的に奥手で大人しい性格であり、日本の漫画やアニメに傾倒する、所謂オタク系の性格に育ち…。

  氷河は、非常に個性的。マイペースと言えば聞こえは良いが、金持ちの家に産まれた弊害か、自堕落でのんびりとした性格になってしまった。

  二人とも、猛には顔を合わす度に軟弱者だとか、だらしないだとか言われて怒鳴り散らされており、海はともかくとしても、氷河は反抗期も相まって、顔を合わす度に猛を激怒させるような、そんなひねくれた性格になってしまった。

  唯一、昴の生き写しのように育った雪は、猛にも兄弟にも甘やかされ、ただ、傲慢に育つわけでもなく、無邪気で笑顔の多い子になってくれたのは救いだろうか。

  ただ、両親の悪い所に影響を受けて、天然タラシの才能を開花させており、甘く囁きあったり、チュッと頬っぺにキスをしてみたり、あどけない笑顔で人の心を無意識に陥れる、そんな評判があるとか無いとか。これも少し、心配ではある。

  「そっか。飛行機でそんな事がね。」

  「あぁ、隣に座った豹獣人の女子が、滅茶苦茶話しかけてくるもんだからほんと、参っちゃったよ。」

  「だからさぁ、運転出来るし、dad、俺達に自家用機一台買ってよ。そしたら時間が合わなくて別々の飛行機に乗ってくる必要とかもなくなるんだからさぁ。」

  「自分らで稼いで買え!」

  太陽の苦労話を聞いて、似たような状況に何度も遭遇したことがある大地が、ダメで元々そんな提案をする。

  しかし当然猛からの返事はNOであり、正直、家には幾らでも金があるというのに、それを使わせてくれないケチな父親には、大地も軽く顰めっ面だ。

  「ダディが何も買ってくれないよー!パピィー!慰めてーー!!」

  「あはは、はいはい。」

  わざとらしく、そんな猫なで声を出しながら大地が昴の小さな胸元に顔面をグリグリ押し付けて甘える。

  勿論これは猛に対しての当てつけのような行為なのだが、昴はそんな事も分からず、冗談の一つと受け取って苦笑いしながらそれを受け入れた。

  横目で猛がそれを見つめ、フン…と不機嫌そうに鼻を鳴らすのを太陽は見逃さないが、昴に至っては、そういう感情に疎いので、気付いているかどうかは微妙な所だ。

  「雪も俺を慰めてくれーー!!」

  「あーー!!キスは恥ずかしいからやめてーー!」

  ひとしきり昴に甘えた後は、ニヤついた笑顔の大地が、オッサンのように唇を突き出して、ムチュムチュと雪の頬に軽いキスをする。

  この歳になってもそんな子供じみた行動が出来るなんて、と、太陽は呆れて物も言えないが、大地は昔っからテンションが高いタイプなので今更何も思うまい。

  「兄ちゃんと一緒に風呂入るか?な?な?」

  「もう俺15歳だよー?一緒にお風呂なんか入らないよー。」

  「何言ってんだ。家族なんだから別に恥ずかしい事じゃないだろ?dadとpaaだっていつも一緒に風呂入ってるじゃねぇか。それと同じ同じ!」

  「おい。無邪気な末っ子を変な道に連れ込もうとするな。変態。」

  「あ、アニキひでぇぇ!!」

  そんなやり取りをする兄弟達、その一方で、昴は未だ不機嫌そうに腕を組み、貧乏ゆすりしながらソファーに深く腰を落とす猛の傍に近寄ると、その肩に手を置いて小さく話しかける。

  「ほら、猛さん。そう怒らないで。」

  「……ふん」

  さっき息子に甘えられてそれに応じていたのが気に食わないのか、話しかけられる事はヨシとするも、猛はわざとらしく顔を逸らして、まるで子供のように拗ねた態度を取る。

  自分の息子達にまで嫉妬を発現しなくたって良いだろうに。

  言った通り、猛と昴は今もお互いラブラブで、風呂は勿論、食事の時も向かい合って座り、テレビや映画を見るときでさえ、寄り添っている。

  二人きりになりたい時は、幾らでも行ける場所はあるのだし、本当に彼が不機嫌そのものだというのなら、早々に席でも立てば、昴が心配して追いかけてきてくれる事くらい分かりきっている。

  とどのつまりこれは、[[rb:所謂 > いわゆる]]猛なりの、ちょっとした駆け引きの一つなのだ。わざと不機嫌さや嫉妬を演出して、昴に構ってもらうための策略。

  昴も昴で、それに気付いていないのか、毎度の如く、予想通りの反応をしてくれる。それが猛にとっては嬉しい事この上ないのだ。

  「じゃあほら、仲直りのキスしましょ。」

  「………」

  「……はい。これで機嫌直してくれますか?」

  「………もっとしろ。…あといつもの…あれも言え…」

  「……ふふ…仕方ない人ですね。…いつまでもずっと…俺は貴方を愛してますよ、猛さん…」

  「ふん…」

  囀るような、頬のキス。

  猛の膝の上にゆるりと腰を落として、首に腕を回しながら彼に寄り添う。

  慣れた手つきで猛の腕が昴の腰と太腿に伸び、ゆっくりと顔を合わせれば、未だ不機嫌そうな目付きはしつつも、案外悪くないとばかりに視線で訴える猛が、そう言って口を開いた。

  昴は、その言葉が来ることをまるで初めから知っていたかのように小さく笑うと、彼ご所望の愛の言葉を囁きながら、今度はその大きなマズルに優しく唇を近付けて。

  子供達の前だと言うのに、猛は容赦なく長く太い舌を口内に挿入してくる。

  グチョグチョと唾液の混じり合う音がして「ん♥…む♥」という微かな声が響き渡り、それを目にしていた子供達は、また始まったとばかりに大きく溜息を吐き…。

  こうなったらもう[[rb:梃子 > テコ]]でも動きはしない。

  イチャイチャを見せられるのも嫌だし、今にも猛は昴を押し倒してSEXしそうだし。

  太陽達は立ち上がると「ソファー汚さないでよ」とだけ言って部屋を出た。

  せっかく帰ってきたのだ、他の兄弟二人にも会っておきたい。

  そうして二階に上がり、まずは海の部屋をノックする。

  当然返事は無いけれど、だからといって配慮して部屋に入らないなんて事は、気安い関係の兄弟達の間にはなく、ガチャりと扉を開ければ、大きなヘッドセットを被り込んだ、少しぽちゃめの、太った獅子獣人の後ろ姿が見えて…。

  部屋にはアニメや漫画のポスターが所狭しと貼り付けられていた。造形に拘ったフィギュアに等身大のパネルなど、どうやら壊れるのを嫌って引越し先には持っていかなかったらしい。ハードなオタクならではの、七色に光り輝くゲーミングライトが照らす室内で、何やらグチョグチョと水音のようなものも聞こえる気がする。

  その音を不審に思って、ふと視線を海に向けてみれば、彼はまさかのオナニー真っ最中。荒く、浅い息の音が聞こえていて、オカズに使用していると思われるPCの画面には何か、ヒトの写真。

  きゃー!と小声で驚き、顔を両手で覆いながら、指の隙間を開き、チラチラとその様相を眺める雪と、咄嗟に顰めっ面で、そんな雪の両耳と目を手で隠した太陽。

  大地だけは、実の弟が今まさにオナニーの真っ最中だと知ると、ニヤニヤと悪い笑みを浮かべてソッと背後から近付き、PCの画像を見れば、そこにはアジア系の青年が、ピースして写りこんでいる、何の変哲もない写真だけがあって。

  「つ、翼…翼…!…そろそろ…[[rb:射精 > で]]る…っ!?」

  「へー?お前こういう奴が好みなんだなぁ。」

  「イッッ!?……に、兄さんっ!?な、なんで…って!ゆ、雪!!こ、これは違う!!み、見ちゃダメ…っダメだ!ほうっ!♥♥♥」

  「心配するな。隠してるだろ。……まぁ、そんなの関係なさそうだが。」

  大地が唐突にヘッドホンを取り外して、そんな事を言った。突然の出来事にも関わらず、咄嗟に反応した海は、顔を真っ赤にして横にある顔を見上げ、それと同時に後ろでこちらを見つめている太陽と雪の姿に気が付き、立ち上がる。

  瞬間、大地が戯れに海の陥没乳首を後ろから手馴れたように引っ掻くと、顔をしゃくりあげ、唇を天井に突き出した海の、短太い包茎ペニスから、ビュルッ!ビュルルルル!と勢いよく、ザーメンがPCのディスプレイ、引いては、オナネタの青年の写真へと、派手に吹き出してしまって…。

  「おーおー!出る出る。相変わらず乳首よえーなぁーお前なぁ〜。ほれ、陥没乳首爪でほじって、中の乳頭しっかり引っ掻いてやるからな〜♪」

  「に、兄さっ!ち、乳首やめっ!♥あっ!それだめっ!♥だめだめっ!♥また[[rb:射精 > で]]る!!と、止まらなっ!んほう…っっ〜♥♥」

  「ほ〜ら、勃起乳首もコリコリ〜♪」

  「んお゛ん゛っ♥お゛っ♥[[rb:射精 > で]]っ♥[[rb:射精 > で]]っ♥[[rb:射精 > で]]りゅうぅ〜♥♥」

  大地が、海の背後から腕を差し伸べ、爪先で器用に海の肉に埋まった乳首をほじくりながら、興味深そうに弟の射精を肩越しに見下ろす。

  そして、そうしてしばらく弄っていると、自然と快感に勃ちたがり、硬くなってきた乳首。それをキュッとつまみ上げ、コリコリと二つの指の腹で優しく転がしてやるだけで、その度にビクンビクンと大きくしゃくり上げるペニスからは派手に精子が吹き出し、デスクの上は大変な有様になっていた。

  「おいおい、乳首だけでどんだけ出んだよ。やっぱ精子量だけで言うならdad並だな、海は♪」

  「もっ!やめ!♥…やめろ!!♥この変態兄貴!!」

  ゴッ!!そんな鈍い音がして、ようやく大地が海から手を離した。腹を肘で勢いよくどつかれて、流石の大地も、そんな突然の鳩尾に、目ん玉飛び出す勢いのまま蹲る。

  顔を真っ赤にして、ハァハァと荒く息を吐く海は、眼鏡を曇らせ豊満な肉体を柔らかく揺らし……。

  「いいから、さっさと片付けろよ。雪がお前のオナニーに影響されたらどうするつもりだ。」

  「え、影響ってなんだよ!!もーー!!」

  海は、そう言って、眼鏡の奥の顔を真っ赤にさせながら、半ばヤケになったように、タオルで大量の精子をぬぐい去る。

  こういう事態も考慮してか、PC周りは防水がしっかりされていて、まぁ、彼自身、自分の射精量というものを把握しているのもあるだろう。思ったよりも手早く、それらを片付けると「どけ!!馬鹿兄貴!」と蹲る大地を足蹴にして、ノシノシとタオルをクローゼットの洗濯カゴに放り込んだ。

  「グッ…て、てめ…あ、兄貴をなんだと思って…」

  「うるさい変態野郎!!趣味の悪いことしやがって!!てか、勝手に部屋に入ってくるか普通!!」

  「こんな真昼間からオナニーしてるお前も悪い。」

  「う、うるさいよ!!」

  海は顔を真っ赤にして、またそうやって怒鳴った。

  「で、写真の相手は誰だったんだよ。なぁ?」

  「……誰だって良いだろ、別に。」

  「おいおい、兄貴に隠し立てするつもりかぁ?……言えよ、寝てる間に片っ端からデータ漁られたくなかったらな。」

  「こ、この悪魔!!」

  「ふふふ、俺はそういう事に敏感なタイプなのだ。」

  「趣味が悪すぎる。」

  「兄ちゃんエグー」

  大地がベットの上に腰を下ろし、ニヤニヤとしながらそんな風に問いかける。

  勿論、海としては、オナニー姿まで見られた上に、これ以上弱みになるようなことを、実の兄貴に言いたいはずもなく、口をつぐもうとした。

  けれど、大地の脅し文句を聞けば、顔を真っ青にしてほんの少し身を強ばらせる。なにせ、大地の異名は家族探偵。家族に関する事ならば、どこをどうやってか分からないが確実に調べあげられる。そんな特殊能力を持っている為、見つけられた秘密は数知れずだ。

  隠していたお菓子の場所。こっそり手に入れたエロ本の位置。果ては、兄弟でも知らないはずの無くした道具の数々など。

  怪しげな占いや、謎の祈り、そんなオカルトちっくで、現実的ではない方法さえも駆使して見つけ出すため、もはやそれは、あの頑固な父親である猛公認の特殊技能であり、実の所とてつもなく恐れられているのだ。

  大地に掛かれば、どんなに暗証番号を付けてスマホやパソコンをロックしても、たちまちそれを看破されてしまうだろう。

  それを知っているからこそ、海は焦り、その結果、写真の青年についてポツポツと話す事になってしまったのだった。

  「つ、翼とは、日本の漫画に関するネットのコミュニティで意気投合して……」

  海は勿論、獅子王家の兄弟全員、英語は当然の如く、両親の母国語である日本語に関しても精通していて、会話や読み書きが普通にできるくらいには堪能である。

  ともすれば、やはりオタクである海にしてみると、ほぼ全てのアニメ、漫画、ゲームの聖地である日本は、当然最も興味のある国の1つであり…。

  また、大学に進学する際には、日本の大学を目指していたという事もあって、以前からネットで日本のコミュニティに属していたのも、何ら不思議な話でなかった。

  「通話を繋げて話してみたり、オススメの漫画やアニメを紹介し合ったりしてるうちにその……ちょっと良いなと思うようになって……」

  そうこうしてるうちに、日本の大学へ入学する為、引越しをする日になった。その前にも一度、下見を兼ねて日本旅行には行っており、そこで出会った写真の相手に、海は対面で会った時から惹かれていった。

  そうして、日本に暮らす今、彼とは頻繁に遊んだり、語り合ったりする仲らしい。

  そして尚更、交流を深めていくうちに、彼の良さを実感した海は、現在進行形で一方的に片想いしている。という訳である。

  「へー……。なんて言うか………普通だな。」

  「普通で何が悪いんだよ!!」

  「おい。何言ってるんだ大地。ウチは親があれだから全く違和感ないが、世間じゃ男同士の恋愛は少数派なんだぞ。全然普通じゃないだろ。」

  「あ、それもそうか?……でも大抵の奴は意外と男同士でも全然イイってのが多いけどなー!この前だって…」

  「兄さんの話はどうでもいい!…それに太陽兄さんだって男と付き合ってるだろ!しかも俺と同じ日本人相手だし!!!………とにかく!そういう事だから、もう良いだろ。さっさと出てってくれ!」

  海がそう言って椅子に座り直し、シッシッと手でジェスチャーしながら、ヘッドホンを被り直した。

  まぁ、そこまで拒否されたら長居するのもあれなので、太陽達はさっさと立ち上がって出ていく。

  まさか海に想い人が出来るだなんて、一番奥手だと思っていた三男の恋愛話に、そこそこ面白い話が出来たと思いつつ、部屋を後にした三人が次に向かうのは、四男、氷河の部屋。

  「ちょっと待て」

  「どうした?アニキ」

  「嫌な予感がする。雪をここから先に連れていくのは危険だ。」

  「え?ま、まさか。」

  「えーー!なんでぇーー!」

  太陽の言葉に、大地が目配せして頷きあう。言った通り、四男の氷河はとにかく自由奔放で、自分のペースを崩さない、非常に独特な感性を持つ男だ。

  良くも悪くも、父親である猛の悪い所を受け継いだような感じでもある。

  その上で、金持ちならではの堕落した性格になってしまった為に、場合によっては雪には見せられない状況が部屋の中で起きている可能性も捨てきれなかった。

  「じゃ、じゃあ雪は先に部屋に戻ってようなー」

  「えーー!あにぃと兄ちゃんだけズルい!別ににぃにの部屋なんて見慣れてるもん!」

  「クッ…み、見慣れてるだと…?アイツ…後でシメる!」

  「我儘言うな雪。良いからお前はちょっと部屋に戻ってろ。事が終わったら呼びに行くから。」

  「ぶーーー」

  太陽の言葉に、雪は頬を膨らませながら不満を顕にすると、しかし特に反抗するわけでもなく、言われた通りに部屋へと戻っていった。

  それをしっかりと見送ると、二人は互いに頷きあって、氷河の部屋の前へと向かい。

  そこから既に嫌な予感がしている。何せ、部屋の前に居るだけでも、マタタビの独特な臭気が獣人の鼻を

  犯し、ウッと顔を顰めてしまいそうになるからだ。

  マタタビとは、特にネコ科獣人に効果が強いと言われる娯楽用大麻の一種であり、強い陶酔感と快楽が得られるという、まぁ、国によっては禁止される薬品の一つだった。

  ハワイでは特に、依存性もなく、ストレス発散などに効果があると認められていることから医療用と銘打たれた娯楽マタタビが流通しており、氷河は恐らく、未成年の癖にそれを当たり前のように使用して部屋に篭っている。これだけで碌でもないのは言うまでもないだろう。

  「開けるぞ。」

  大地がそう言って、意を決し扉を開けると、案の定漂ってくるのは強力なマタタビの匂い。

  勿論、獅子獣人である太陽と大地にも効果覿面なその匂いを嗅げば、今にも湧き上がる陶酔感にその場へゴロリと寝そべりたくなるが、それをなんとか意志の力でグッと堪えて、部屋に入った。

  すると、巨大なキングサイズのベットに、パンツ一丁で寝そべる、巨大な獅子の影。

  そしてその隣にはぐったりと疲れたように全裸で眠る若い女と男。彼等のケツにも生殖器にも、乾いたザーメンの痕が残っており、一体ここで何が行われていたのか、それはもはや想像に容易くない。

  「うわ…ひっでぇ〜」

  「臭すぎる…っ」

  床には散らばったコンドームの袋、ティッシュ、脱ぎ捨てられた服の山。

  窓は完全に遮光カーテンで遮られており、部屋はウォーターランプの怪しげなピンクが照らす、まるでラブホテルのような様相さえ呈していた。

  太陽が床にあるティッシュやエロ本、香水の瓶や飲み物の殻など、それらの汚物を避けて窓に近寄る。

  シャッとカーテンを開ければ、部屋の中はたちまち陽光が降り注いで、その余りの眩しさに、気絶するよう眠っていた三人の男女も、何事かと目を覚まし始めた。

  ついでに、窓を開けて換気する事も忘れない。

  スポーツマンとしての側面も持つ太陽と大地は、薬物が嫌いという事もあって、このマタタビの臭いには嫌悪感しか湧かないのだ。

  身動ぎをした氷河が、手のひらで陽の光を遮りながら、少しばかりラリッた緩慢な瞳で辺りを見回せば、兄達の姿が目に入って、少し驚いたように「アニキィ…?」と声を出す。

  「もう昼過ぎだぞ。いつまで寝てんだ、馬鹿弟。」

  「なんだよぉ…朝方やっと寝たばっかだっつうのに……夕方まで寝さしてぇ…」

  「寝さしてぇ…じゃねぇよ!ちったぁ部屋片付けたりしろや!そんな図体で甘えたところで可愛げなんざねぇぞ!」

  「お前が言うか。」

  兄弟の中で一番デカい図体をしている大地が、昴や雪に甘えているのは家族なら誰でも見ている事である。そんな大地が、最も体格の似ている氷河に対して言えたことではないと思いつつも、氷河はそんな事気にした様子もなく窓に背を向けていた。

  これが雪とたった一歳違いでしかない16歳の姿だと思うと身震いする。

  たしかに体格は獅子王家の遺伝もあって、16歳には見えるべくも無いが、この歳でこんな遊びを覚え、夜な夜な相手を取っかえ引っ変えし、マタタビを巻いた煙草まで吸っているなんて、いくら放任主義の家でも、少し限度があるだろう。

  勿論、流石にこれだけの事態だ、猛がブチ切れて何度も説教をした事はある。

  けれど、そのどれもが、対して氷河の心には響かなかっただけ。

  彼からしてみたら、金もあるし、自分はモテるし、勉強やスポーツなんかしなくても、人生楽勝に生きていけるのに、どうしてわざわざ自分から率先して苦労しなければならないのか。意味がわからないといった所なのだろう。

  だから、大半の説教は聞き流して、結局今に至る。猛はあんな性格だから、会う度会う度怒鳴り散らすだろうけれど、昴の方はもはや、本人にその気がないので仕方ないと、そんな風に諦めている節もあって、氷河も氷河で変わるつもりもなく、これから先のプランも考えておらず、その日その日を享楽的に過ごす、そんな性格になってしまった。

  『えー…ヒョウガのお兄ちゃんカッコイイー…ねぇねぇ、紹介してよ、お兄さん達、一発やってかなーい?』

  『残念だかタイプじゃない』

  『そこまで飢えてねぇよ。』

  『そう、ざーんねーん』

  『ハニー、オレの前で他の男口説くとか、いい度胸してんな』

  『えー?ヒョウガも勿論大好きよ。SEX最高に上手いし。』

  『なら、心変わりしないよう、もっと満足させてやんねぇとな』

  『キャー♥』

  英語で話す少女に合わせて、英語で返した二人の言葉に、いつの間にか顔を上げた氷河が、これまた英語で女を口説く。

  まぁ、とどのつまり、父親の悪い所とは、こういう所。

  卓越したテクニックで相手を口説き落とし、服従させて虜にする。

  今にもおっぱじめそうな御三方を前に、やれやれと首を横に振った太陽と大地は、足早に部屋を後にするのだった。

  「全く、ますます酷くなってくな。」

  「アイツの場合は手が付けられない。そういうもんだと思って受け入れるしかないさ。」

  「はぁ、餓鬼だった頃は雪の次に可愛かったのになぁ。今じゃ俺よりちょっと小さいくらいのデカさになっちまって。」

  「遺伝だな。完全に。」

  部屋の扉を閉めた二人が、そう言って呆れたように言葉を交わした。

  昔からマイペースな性格であるということは察していたが、まさかここまで悪い事ばかり覚えて堕落してしまうなんて、誰が予想しただろうか。

  ともすれば、何か決定的に、氷河の心を変えるような出来事が起これば良いとは思うのだが。

  本人のInstagram、YouTubeにupした動画なども好調であり、実際のところ現時点で、両親を除く兄弟の稼ぎ頭は、あんなもんでも氷河が一番かもしれない。

  世の中は本当に、不条理に出来ていると兄弟ながらにそう思う。

  「そろそろdad達の熱冷めたかな?」

  「どうかな。………まさかお前」

  「へへへ、久しぶりに覗きしようぜ?」

  「全く…お前と来たら…」

  二人がSEXというものの存在を知ったのは、幼少時、それなりに早い段階からだったかもしれない。

  まぁ、広いと言っても所詮は家の中だ、あれだけイチャイチャラブラブの両親が、毎日のようにSEXしていたら、どんなに上手く隠そうとも、その場面に遭遇する事はそう難しい事ではない。

  初めはただ二人が何かをしているというくらいの感想でしかなかった。

  しかしそのうち、猛が昴を、まるで虐めているようにも見えるようになってきて…。

  ただ、それが快楽の伴う行為だと知ったのは、昴がわんわんと泣きじゃくりながらも、猛の身体に抱き着き、更なる行為を懇願して、快楽に染まった顔を見せた時だろうか。

  興味が湧けば、調べる事も容易い。

  今の時代、スマホでもPCでも、インターネットに情報は溢れていて…。

  二人はそっと階段を降りていく。二階に繋がる階段は、居間と廊下に二つあるのだけれど、そのうちの居間の方、隠れながらも、下を見下ろせる位置にある階段に近付いて、ヘリの部分からゆっくりと階下を見下ろした。

  廊下の方から覗き込んでも、曇りガラスの扉と、高い防音性でロクに音も聞こえやしない。

  一方、居間から二階に続く階段は、二階部分に扉があって、それさえバレずに開けることが出来れば、音も聞こえるし姿も見やすい。

  兄弟達はこうして、子供の頃から頻繁に、両親の激しいSEXを、この目に焼き付けてきたのだ。

  「猛さっ♥…スキッ♥…好きですっ♥大好きっだからぁ…っ♥」

  「あぁ?♥違ぇだろ?♥なんて言えばいいか、散々身体に教えこんでやってんだろうが♥♥それともわざと間違えてんのか?♥なら、その期待に応えて、しっかりお仕置きしてやんねぇとなぁ?♥」

  「あ゛ぁ゛っ♥ご、ごめんなざっ♥っあ゛っ♥ダメ!♥それだめそれだめっ♥ひぃぃぃぃ♥♥」

  「言え!♥教えた言葉しっかり言わねぇとやめねぇぞ!♥」

  「あ、愛じてましゅっ♥貴方を愛じてっ♥♥中っ♥潰れるぅぅっ♥♥」

  「よーしよし♥今度こそ間違えねぇように、ちゃんと身体に教えこんでやんねぇとなぁ♥♥」

  「ひっぎぃぃぃ♥♥」

  年齢を重ねても変わらない、とても激しい愛の営み。

  大地と太陽は、階下で繰り広げられる、臨場感溢れる非常に淫靡な光景を前に、思わずズボンの前袋を突き上げて、夢中になってしまっていた。

  「ひゃ〜…すっげぇ…dadもpaaも、相変わらず滅茶苦茶なSEXしてんなぁ〜…」

  「dadはもう60代前半の筈だが…全く衰えてないな…」

  「paaだって、よくダディのあんなデカいもん受け入れて壊れねぇよな。…見た感じ全然ガバガバじゃ無ぇし、てか、ダディが姿勢変えたせいで、背中に隠れてもう足の先っぽだけしか見えねぇ…」

  二人は、食い入るように両親のSEXを見下ろしながら、顔を真っ赤にしてそんな事を言う。

  「イグッ♥イッッッ…グゥゥ…♥…く……ぅ♥♥」

  猛の身体に隠れていると言っても、見える足先と悲鳴にも似た嬌声のお陰で、昴が絶頂に達したことは直ぐに分かる。

  伸びた膝の先が、最初はピンと強ばって限界まで突っ張りあげるのに、次第に力が保てずガクガクと震えて、心配になるほどの痙攣を見せていた。

  その間も、猛の大きく獰猛な背中は前後に揺れ動き、揺蕩う煙のように心地良さげに揺れた尻尾が、その根元、彼の筋肉質な臀部に視線を誘導して、そこに見える淫靡な動きには感嘆せざるを得ない。

  そう、まさしく、ああすれば相手は満足するのかと、子供心に興奮しながら、二人は実の父親から性技を教示されたようなものだった。

  「ああもう…っ!我慢出来ね!」

  「お、おい!バレたらどうする!」

  「バレねぇよ!アニキだって抜きたくってしょうがねぇんだろ!こっちこいよ!しゃぶってやるから!」

  「なっ!だ、大地!」

  大地がそう言ってズボンを脱ぎさり、太くも長い、素晴らしい魔羅を取り出しては、自らの手で扱き始めた。

  それを見て焦った太陽のズボンは、丁度よく階段の段差によって大地の顔の前にあり、彼はそれを剥ぎ取るようにむしると、既に先走りが滲む、テントを作ったピチピチのボクサーを見て、ベロリと自らの唇を舐め上げ。

  「アニキのちんぽ、いっただきぃ!」

  「大地、お、おま…っ♥うっ…おっ…♥…くっ…くそ…♥」

  「うお、くっせ〜♥ちゃんと皮ん中まで洗ってんのかぁ?♥ま、俺はこれくらいくっせ〜方が好みだけどよ♥」

  「う、うるさい…っ♥洗っても洗ってもすぐ垢が溜まるんだよ!♥新陳代謝が良すぎて…んおっ…お…おっ…う♥♥」

  ズルリとズリ下げられたパンツ。中から現れたのは、勃起しても亀頭の半分まで皮を被った、仮性包茎の巨砲。

  臍まで力強く跳ね上がるそんなペニスの、その根元を掴んで、先端を鼻先まで持ってきた大地は、クンクンと臭いを嗅ぐと、それを堪能するかのように、様々な角度から深く深く臭いを嗅ぎ続けて…。

  恥ずかしい事実に赤面する太陽が、言葉を言い終わる前に、大地のザラザラと、柔らかい突起物がついた舌先が、皮の中へとゾリゾリ侵入する。

  敏感な亀頭、それをネコ科特有のざらついた舌で舐め上げられ、皮の中を円を描くように動かされれば、そのあまりの快楽に低い声を出した太陽が、僅かに腰を引いて。

  「すっげ♥見ろよ、ちょっと舐めただけで舌先が真っ白だぜ?♥こんなんじゃモテねぇぞアニキ♥」

  「い、今の相手は、そんな所も好きだって言ってくれんだよ!♥いいからもう…っ♥♥んおぅっ♥そ、そこっ♥♥」

  「ん〜〜♥♥ここかぁ♥♥」

  ムキになって言葉を放とうとすれば、その隙を狙って大地の舌が皮の中に侵入してくる。

  裏筋の、最も敏感な気持ち良い位置をゾリゾリと舌先で削り取られると、思わず口をついた言葉に、大地はしっかりと反応して…。

  逃げるように遠ざかる腰を、大地の腕がガッツリと引き寄せる。舌で裏筋をなぞる度に、ガクガクと震える膝が、階段のヘリに体重を掛けることによって、やっと支えられ、しかし襲い来る快感は逃がせなかった。

  弱点が分かったとなれば、大地はそれを虐め尽くすように刺激し続けて、完全に剥けきらない皮の中で、まるで別の生物が蠢くように、ゾリゾリと亀頭を弄り回し、そして、先端からドロドロと絶え間なく舌の上に垂れ落ちるカウパーは止まることを知らずに、大地の舌を塩辛く染めていく。

  「あ゛っ♥[[rb:射精 > で]]るっ♥♥[[rb:射精 > で]]ちまうっ♥♥」

  「おっと…へへへ♥…[[rb:射精 > だ]]せ[[rb:射精 > だ]]せ♥全部飲み込んでやるからよ♥♥」

  「んおっ♥イくっ♥[[rb:射精 > で]]るっ♥」

  そして、そう時間も経たずに、それはさっさと訪れた。

  マズルを大きく開け、舌を突き出した大地の前で、ビュルビュルと、濃くて粘っこい精子が喉の奥へと吐き出されていく。

  何度も何度も力強くしゃくりあげ、その度に射精する太陽のザーメン量は、先程見た海の射精と同等で、大地はそれを驚きもせず飲み込んでいく。

  「おいおい♥早すぎだぜアニキ♥一体何日溜めてきたんだよ…♥」

  「く…♥最近は忙しくてロクに抜けてなかったんだよ…♥」

  「たく、仕方ねぇなぁ♥ほら、まだまだ[[rb:射精 > で]]んだろ?♥俺もチンカスにしろザーメンにしろ、全然味わい足りねぇんだ。さっさと金玉空にしちまいな♥」

  「ぐおっ♥お、お前っ♥♥」

  そう言って、大地は太陽のデカい金玉を揉みこみ、マズルの中に含んで優しく転がすと、鈴口から垂れる残ったザーメンを根元からねっとりと舐め上げて、勝気に微笑んだ。

  改めて舌先でグルリと皮の中をほじり尽くした後、今度は先端だけでなく、竿全体をぱっくりと根元まで咥えこんでしまい…。

  「ふお♥…おっ♥おっ♥おっ♥てめ…♥いい加減にっ♥♥」

  「んじゅっ♥じゅる♥んぼっ♥ん〜…♥…じゅるっじゅるっじゅるっ♥♥じゅっ♥」

  「くあっ♥も…[[rb:射精 > で]]ちまう…♥」

  「ん?…もうはよ♥っんじゅ♥じゅる♥」

  「あっ…がっ…あ゛ぁ゛ぁ゛〜〜っ♥♥♥」

  今度は、激しい口淫で、根元と先端を素早く行き来する。ブルブルと震える腰は、大地の怪力によって固定され、逃げる事を許されず、傍目から見れば荒々しく粗雑なフェラに見えても、その実、口の中では、しっかり舌までもが、裏筋をなぞって刺激し続けていた。

  そんな快楽に、興奮した身体は耐えられるはずもなく、二度目の射精も続けてきて……。

  (まだまだ[[rb:射精 > で]]そうだな…♥)

  「あ゛っ♥いまイッてっ♥やめっ♥またイグ…♥[[rb:射精 > で]]る[[rb:射精 > で]]る[[rb:射精 > で]]るっ♥♥」

  (さっすが♥ダディのチンポから全部引き継いだ男♥射精量も射精回数も伊達じゃねぇな♥)

  大地は、口に含んだペニスから溢れる兄の精子を、ゴクゴクと当たり前のように全て飲み干しながら、そんなことを考えていた。

  兄弟の情事も、両親の情事も、結局そのまま終わりが見えることはなく……。

  「[[rb:射精 > で]]…っ…っ♥ぐっ…〜〜〜…っ♥♥まだ[[rb:射精 > で]]…っるぅ…っ♥♥」

  「ん♥ん〜♥じゅるる…じゅる…ん…♥ごく…ごく…ごく…ん♥♥(あ゛〜…俺も[[rb:射精 > で]]る…っ!♥)」

  それから太陽は、大地の口淫によって搾り取られ、20数回にも及ぶ射精を繰り返していた。

  階段のヘリに腕をつき、そのヘリに背中を合わせて太陽のちんぽを咥え込む大地は、片手で自分のペニスを扱き、片手で太陽のケツ穴を弄り回しながら、口だけでの奉仕を疲れも知らずに続けている。階段にはドロドロの精子が垂れ落ちていて、一体誰がこれを片付けると言うのか、そんな事を今は考えることもなく、ただただ欲望のままに発散した。

  太陽のケツ穴に挿入した指先を、クイクイ…と曲げて前立腺を刺激すれば、その動きに連動したように、ビクビクと口の中でペニスがしゃくりあげ、それは何かの玩具のスイッチみたいで少しばかり愉快な気持ちになる。

  階下でSEXを繰り広げる両親の声も、息子達が帰って来ないと分かると尚更激しくなっていて、ある意味では、つまり、その、SEXの持久力に関して…、もはや尊敬さえできてしまう親だと、大地は頭の片隅でそんな事を思いつつ、太陽のちんぽをしゃぶる事を辞めようとはしない。

  「はぁ…はぁ…♥くそ…っ♥だ、大地…っ♥もういい加減に…!♥」

  「ん〜〜?…じゅるるる♥んっ♥んっ♥んっ♥んっ♥うめっ…♥じゅるる…♥ん♥」

  「んおっ♥ほっ♥くあっ♥ち、ちんぽ馬鹿になるっ♥また[[rb:射精 > で]]…っ♥♥」

  「ん〜…♥」

  「ほお゛お゛お゛〜♥♥」

  太陽が腰を突き出しながら、長い舌をダラリと垂らして背中を逸らす。

  グチュグチュという水音が股の間から絶え間なく響き渡り、ケツに挿入された指が、射精によってチンポをしゃくり上げる度にキュッキュッと締め付けられ、その絶頂の強さを露わにする。

  大地は目を閉じながら、疲れも知らずに余裕綽々とした態度で、顔を前後させ、太陽のペニスを喉奥までやすやすと咥え込みながら、奉仕を続けていた。

  射精に合わせて動きを止め、野太い喉仏が何度も何度も上下にゴク…ゴク…と大きく動くのを見れば、その射精量が未だにどれだけ凄まじいか、吐き出す部分を見れずとも想像に容易い。

  「す〜…♥」

  鼻を鳴らして、実の兄の陰毛にマズルを埋めながら臭いを深く嗅ぎ込む。

  そうすると、何度射精したところですぐさままた興奮が脳を満たし、大地のペニスをビンビンに勃起させてくれる。

  特に太陽は、見た目が清潔に気を使って見えるのに、股の間に関しては兄弟で一番雄らしい臭いを出すので、大地の大好物であった。

  SEXを覚えた幼き日のあの時から、親には内緒で定期的に兄の寝床に潜り込んでは、一晩中ちんぽを責め立てて自分好みに開発していた事を思い出す。特に、太陽は射精量、持久力、味、臭い、大地手ずから育てたという事もあって、全てにおいて兄弟の誰より100点満点。

  海は量こそ多いものの10数回で金玉が枯れてしまうし、氷河は持久力が高すぎて満足出来るほどの射精回数に満たない。

  その為、こうしてせっかく会った時には、昔のように隙を見て太陽の股間にしゃぶりつき、そのザーメンを堪能するのが、大地にとってのお約束となっていた。

  まだまだ満足しきれない大地は、続けて搾精を行おうと口を動かすが、それを太陽の力強い腕が停止させた。

  「はぁ…♥はぁ…♥大地…♥もう…っ♥」

  「んだよアニキ、だらしねぇなぁ。ダディなんか見てみろよ。もう余裕で40回以上は射精してんぞ!」

  「あ、あの性欲お化けと一緒にするな!…くそ…アイツと約束してたのに…っ」

  太陽が言うには、アメリカに居る恋人に絶対浮気はしないと誓っていたらしい。それと同時に、どうせならオナ禁でもして、戻った後はSEX三昧という三段だったらしいが、それもこれも大地のせいで全ておじゃんになってしまった。

  「いやいや、兄弟なんだから浮気のウチに入んねーって!恋愛感情なんか一切ないんだからさ!!それに、帰る直前くらいから溜めたら十分十分!」

  大地がそう言って、ぺろぺろと太陽のちんぽの先端を舐め、金玉を優しく揉みこみながらにこやかに笑って言った。

  その刺激に、未だ勃起し続ける太陽の逸物がビクンビクンとしゃくり上げるも、太陽はグッとその誘惑を押しのけて、お預けをするように大地の顔からそれを遠ざけて言う。

  「く…このド変態が!お前は良いかもしれんが、世間一般じゃあ恋愛感情抜きに行為に及んでも、大抵浮気って事にされちまうんだよ…!…たく…お前も氷河と殆ど変わらんぞ大地…!むしろ兄弟に手を出す分悪質だ!」

  「まぁ次男として?アニキがそういう事しない分、しっかり教育してやんねぇとさ。」

  「雪だけには絶対手を出すなよ…?あの父親が黙って無いからな。」

  「流石に可愛い可愛い末っ子にそんな事しねぇーって!……まぁ、雪の方から迫ってきたら、兄として手取り足取り腰取り……」

  「いつかdadに、次男なんて居なかったと言われる日もそう遠くなさそうだな……」

  呆れて溜息を吐く太陽とは裏腹に、ニシシと悪戯っぽく笑う大地が胸を張る。

  階下の催しも、そろそろ昴の方が限界を迎えそうだし、そうして猛にバレてしまう前に、さっさとズラかろうと、太陽は踵を返した。

  それに着いてこようとする大地を無言で制すれば、指を差して階段の精液に視線を誘導した。

  このままにしておけば確実に、誰かがここに居たことがバレてしまう。

  そう指摘すると、何を思ったのか大地は自らのシャツを脱ぎ始め、それを使って階段を拭いて。

  「……キモすぎる」

  「洗っちまえばヘーキヘーキ!」

  そして二人は、その場をゆっくり、バレないよう後にするのだった。

  夕食の時間になると、せっかく家族が揃ったのだからと、庭のビーチでバーベキューをする事になった。

  勿論企画、提案は全て昴の一声で、協力は懐かしのベアだ。

  「「「カンパーイ!」」」

  「…お前とお前はこっちだ。」

  「えー…」

  「ちっ…バレた。てへ☆」

  各々が、各々、好きな飲み物を取ってグラスを掲げる。昴の酒癖の悪さは言わずもがなである為、ヒョイとそれを別の炭酸飲料と入れ替えた猛は、どさくさに紛れて酒を注いでいた氷河のグラスも奪いさり、別の飲み物へとすげ替える。

  昴は少し拗ねた顔、氷河は舌を出して、お茶目を装っているが、目を離すとすぐにモラルを反するような行動を取るので、猛にとっては目の上のたんこぶである。

  その監視がまた、氷河にとって父親を嫌う1つの要因でもあるのだけれど。

  「さぁさ!お肉タクサン食べてくだサイね〜!」

  「ベアのおっちゃんサイコー!!ヒューー!!」

  すっかり歳をとって、茶色の毛皮に、猛同様白髪を蓄え始めたベアは、身体の方も数年前よりまた大きくなっているように感じた。

  猛に随分と稼がせてもらっているのであろう。今では妻と子供にも恵まれており、獅子王家の子供達に手がかからなくなった分、自分の家族の世話に奮闘する事が多くなっていた。

  特に幼少期からベアを慕っていたのは大地だ。

  性格上陽キャな大地にとって、ハワイという熱い土地で暮らしてきたベアとの相性もこれまた良かったのであろう。

  勿論、他の子供達も全員ベアを慕ってはいるが、それでもやはり、大地ほど友達のような距離感で接するような、そんな気安い仲では無い。高校時代なんて、一日中二人部屋に篭って、ゲームをしたり、勉強教えてもらったり、頻繁にベアが大地の部屋に通いつめて仲良くしていた。ベアが部屋に泊まる事すらあったくらいだ。

  あまりにも仲が良いので、いつだったか昴がそれを指摘したら、少し動揺したように言葉を濁すベアとは裏腹に、大地はそんなベアの肩を抱いて「だろ〜♪」と気前よく笑っていた。

  まぁ、ベアからしたら上司の息子である。あまり仲良くし過ぎて図々しい奴に思われたかと、ちょっと悩んでしまったんだろうな。

  勿論昴は、歳がどんなに離れていようと、こうして仲良くする分には構わないとベアに言い、ベアは昴のその言葉を聞くとホッとしたように胸を撫で下ろして、小さく笑った。

  今だって、意味もなく謎のオリジナル腰振りダンスを踊る大地と、そのリズムに合わせて肉を焼くベアの二人が視界に入り、雪はそれを見てひたすら笑っているし、太陽と海は呆れ顔だ。

  本当に、歳は離れているけれど親友のような二人になれて良かった…と昴は思った。

  「おいコラ!そんなもんココで吸うんじゃねぇ。」

  「あっ…!たくもう……。マミー…ダディが俺の事虐めるんだよぉ〜…慰めて〜」

  「コラコラ、もう、仕方ない子だなぁ。」

  かたや、テーブルの反対側では、マタタビを吸おうとした氷河の口からそれを奪いさり、注意する猛の姿が目に入った。

  そうすれば、あからさまに作った態度で、猫なで声を出し、昴の肩にちょこんと額を乗せて、ヒンヒンと嘘泣きをする氷河を、昴も仕方なさそうに撫でてあやす。

  「クッ…テメェがそうやって甘やかすからそんな甘ったれになるんだよ!」

  「ダディの嫉妬、女々しー…そんなんじゃいつかマミーに愛想尽かされるよー」

  「ぶっ飛ばされてぇのか氷河!」

  傍目から見れば、昴よりも一回り、いや三回り程もある二人の男が、彼を挟んで火花を散らす。

  氷河は自分の持つ巨大な身体にどこか愛嬌のある童顔で、そうしたギャップ萌えの相性を上手く使い、世渡りする事に長けている性格だ。

  それが自分の理になると思えば、こうやって親であっても他人に媚びを売ることに抵抗が無いし、嫌味を言って相手をイラつかせるのだってお手の物。

  小悪魔もとい、その巨体を見れば、単なる悪魔とでも表現出来るだろうか。

  猛とはどうしても相性の悪い性格であるが、そんな二人の緩衝材になるのはいつも、母親役である昴の役目であった。

  「ほら二人とも、せっかく家族皆集まってるんだから喧嘩しないで仲良くしなさい。…猛さん、今日くらいは少し羽目を外しても目こぼししてあげてください。……氷河も、どうせ怒られるって分かってて悪い事してるんでしょ?…そんな事しなくても、俺達はちゃんとお前の事見てるよ。」

  「……う〜…♥」

  「……ふん」

  昴がそう言って、擦り寄る氷河の頭を抱き寄せ、優しく撫でてやると、少しばかり目を見開いて驚いた氷河は、そのまま恥ずかしそうに顔を真っ赤にし、耳を畳むようにして昴の胸元に顔を埋めた。

  本当のところ別に、気を引きたくて悪い事をしているわけじゃない。ただただ自分の欲望のまま行動しているだけで、そこに深い意味なんてひとつも無いのに。

  けれど、昴のそんな、恥ずかしげもない台詞を聞くと、どうも氷河は弱くなってしまって、なんというか、やはりこの人にはいつまで経っても勝てる気がしないと、そんな事をぼんやりと思った。

  「くっつき過ぎだ。離れろ。」

  「あら…」

  「……っ!?…むっきぃぃぃ!!!親父嫌い!!大っ嫌い!!」

  けど、そんな感傷も何もかも、全て台無しにするのが、もう1人の父親のいつものパターンで……。

  昴の暖かく落ち着く匂い、温もりを堪能していた所で、頭を掴まれた氷河は力任せに遠ざけられ、昴をあっという間に奪われてしまう。

  そういう、情緒も無ければ、自分の息子にさえ嫉妬してしまう、そんな猛の事を氷河は大っ嫌いで、今もこうして、素が出てしまったのか、親父などと叫びながら牙を見せて、威嚇するようにそう怒鳴ると、さっさと遠い席に移っていった。

  結局のところ、こういう猛の行動が嫌いで嫌いで、あえてわざわざ彼をイラつかせるような事をしているのかもしれない。

  大好きな母親を遠ざける大嫌いな父親。

  氷河の中では、そういう関係図がもう完璧に出来上がってしまっているのだ。

  「もう、貴方ってヒトは…」

  「お前の身体を好きにして良いのは俺様だけだ。」

  昴の苦言にも、猛はそんなすまし顔で返す。

  そのまま息子達にも見えるように、昴の肩を抱き寄せて、手を出そうものなら鉄拳制裁が飛んでくるだろう。そんな圧を確かに感じた。

  「ふん…代わりに雪に慰めてもらっちゃお」

  「にぃに重たいー」

  「おいおい、雪が嫌がってるだろ!俺の胸にしておけ!」

  「兄ちゃん汗臭いからやだ」

  それを見ていた氷河が、今度は本当に拗ねたように鼻を鳴らして、隣にいた雪の胸の中に頭を埋める。

  雪は昴の生き写しのような存在だ。流石に性格は全く違うけれど、それがまた、ある意味彼の長所とも言える。そして、あの猛が唯一強く叱れない息子、というだけで、その存在がどれだけ特別なのかは理解できるだろうか。

  雪が氷河の頭を抱え込むようにして、少しばかり苦しそうな声を出した。昴は慣れてるから良いものの、ヒトというのは頭だけでもかなりの重量がある。人間の成人男性くらいの頭でも、雪の体格からしたらキツいだろうに、それより何倍も身体が大きくて頭もデカい獅子獣人の頭など、巨大な鉄の塊を抱え込んでいるようなものだ。

  見かねた大地が助け舟を出すが、氷河が雪の胸元に顔を埋め、その匂いを堪能しながら、振り向きもせずにそう冷たく言い放つ。

  「あぁ〜ん!?俺の汗が臭いだとぉ!?この臭いを嗅がせてくれと懇願してくる奴らだっているんだぞ!!」

  「ぐえぇぇ…趣味悪いね、そいつら。」

  「てめぇ……!…おら!俺の臭いが無いと生きていけないくらいに調教してやる!!」

  「うえぇっ!くっさ!!!誰か助けて〜!!」

  大地が、雪の身体に顔を埋める氷河の首根っこを掴んで、自らの鍛え上げられた豊満な胸の中に抱き締めた。

  柔道で鍛えている事もあって、単純な腕力だけで言えば、兄弟の中でもトップに入る大地の抱擁は、基本的に必要最低限、他人に見せびらかす為だけに鍛え上げられた氷河の筋肉とは比べ物にならず、彼は何の抵抗も出来ぬまま抱き寄せられる。

  どんなに逃れようと力を込めても、大地の腕の血管が膨張し、筋肉が膨れ上がってる所からもわかる通り、相当な腕力で抱きしめられているらしく、それは全て無駄な抵抗だ。

  無論、傍に助けてくれる者など居るはずもなく、暫くの間、氷河はそうして大地の汗の臭いを堪能する羽目となった。

  そんな喧騒から離れるように、太陽と海が、自然と両親の席の近くへと移動していく。

  「太陽と海も、学校はどう?」

  「え?…あぁ…まぁ、勉強は難しいけど、今のところは何の問題も無いよ。」

  「別に…普通…」

  「アメリカで弁護士になりたいって言った時は、まさかあの太陽が…と思ったけど…順調にやってるならよかった。………海はちょっと人付き合い悪いから、一緒に授業受けてる子達と上手くやれてるか心配だよ。今もぶっきらぼうだし、電話も全然してくれないしねぇ。」

  「俺に対するpaaのイメージってなんだよ…」

  「う…、べ、別にいいじゃん!てか週に一回はしてるんだからそれで我慢してよ!毎日は流石にしすぎ!」

  太陽は少し困ったようにそんな事を言うが、幼少期から彼を育ててきた昴にとって、今でもやはり真っ先に思い浮かべるのは、少しやんちゃで、兄弟達を取りまとめる、リーダー気質の太陽だった。

  どちらかと言うと活発で、大地に近い性格だったのが、いつの間にか真面目で思慮深い性格になっており、それでも相変わらず、兄弟達のまとめ役、という最初の印象は変わらないままである。

  そして海の方は、大人しくて自分の趣味ばかりに没頭してしまう癖があるので、そういったものの邪魔になる人間関係を嫌い、人付き合いに難がある事はずっと前から知っていた。

  太陽と大地は暇さえあれば電話じゃなくてもメッセージの1つくらい送ってくれるけれど、海はこちらから何度も連絡したり、メッセージを送らないと反応してくれない上に、短くて淡白な返答ばかりだ。

  なので正直、親としての心配は尽きない。

  「恋人も居るんだっけ?……ええと、[[rb:空 > ソラ]]君だっけ?日本から留学してきたとかいう。」

  「あ、あぁ……そうだよ。」

  「海もそうだけど、ウチの兄弟は日本人に恋する縁があるのかな。俺達のせいじゃないと良いんだけど。」

  「ぶっ!げほっ!げほっ…!な、何で知って…っ!」

  「日本に行った時、翼君と初めて会った時の海の顔を見れば分かるよ。親なんだから当たり前でしょ。」

  昴の突然のそんな言葉に、海は飲んでいた炭酸飲料を盛大に吹き出して、派手に噎せていた。

  以前下見に向かった日本旅行だが、勿論息子一人を向かわせるなんていう事もなく、両親である猛と昴も同行していて、その際、空港に迎えにきた翼という青年の事も一緒に確認している。

  ネットでそれなりの間会話してきたので、思ったよりも長い付き合いだと言っていたけれど、やってきたのが海だとしっかり確認すると、突然彼の身体にハグし始めて、海が顔を真っ赤にし、オロオロとしていたのは今でも印象深い。

  どうも海とは違い、どちらかというと活発なタイプの青年のようだ…それから簡単に挨拶をし、彼に連れ回されながらも、どこか満更でも無い様子の海を見ていたら、まぁ、親としては当然、そこに秘められた気持ちに気がつくわけで。

  「俺達と違って、運命の番って訳じゃないだろうから、大切に扱うんだよ?……ダディはとっても強引だったから。」

  「おい。」

  そんな昴の言葉に、猛が肩を抱き寄せて低く唸る。

  「俺達の関係を、運命って単純な言葉で片付けるな。」

  「えー?…そんな事言っても、猛さんが俺を見つけたのは運命だったからだし、それからだって、運命じゃなかったらあんな迫られ方……されたら普通に破綻しますよ。」

  「ぐ…」

  「今の関係も、やっぱり運命ってだけで上手くいってるんですかねぇ。」

  「それは違うだろうが。」

  「ふふ、からかっただけですよ。」

  太陽達兄弟も、幼い頃はあまりよく分かって居なかったけれど、小学校も高学年になり始めると、僅かな違和感が、いつしか巨大な疑問となって押し寄せてきた時があった。

  とどのつまり、ウチの家族は他の家族と何か違う。

  その何かというのが、まぁ、言ってしまえば、両親二人が男同士という、そんな事であり…。

  同級生にも揶揄われた事がある。普通男同士で結婚なんかしない。したところで子供が産まれるはずも無い。だからお前達は血の繋がった家族じゃないんだと、当時、兄弟の人気に嫉妬したクラスの誰かが、そう言った。

  すると、確かに、常識で考えればそれは当たり前の事で。表立ってそんな事を言う輩はあまり居なかったものの、周囲に同様の噂がどんどんと広まっていった事は、何となく肌で感じていた。

  本当の家族じゃない。

  その言葉を聞いて、徐々に不安を募らせていた兄弟達はついに、両親に対して今にも泣きそうな顔を見せながら、その問いを投げかけた。

  家族じゃなかったらどうしよう。

  幼い子供達の中で、それが事実だったとしたら、そう考えると、それほど怖いものは他にはなかったのではないかと、それくらいの恐怖心が伝わってきた事を覚えている。

  そして、心底丁寧に教えられた、‪α‬とΩの話。

  それから、それに伴う、運命について。

  猛という‪α‬と、昴というΩ、確かに男性同士だけれど、運命の番である二人の間には、男女同様子供を作る事が出来て、兄弟達は紛れもなく二人の愛が産んだ、奇跡そのものだった。

  そしてこうも告げられた。

  雪以外の兄弟全員、‪α‬である。

  そして雪だけはΩの性を持って産まれており、おそらく運命の番がいつか必ず現れる。

  その言葉の重さは、その時理解する事が出来なかったけれど、やはりふとした瞬間に、たまに思い出す時があった。

  「……俺達にも、運命の番っているんだろうか…」

  「………」

  太陽のそんなポツリとした言葉に、何となく耳を傾けていた雪以外の兄弟全員が、ピクリと僅かに反応した。

  海は眼鏡をクイと持ち上げて、悩ましげに目を閉じる。多分それが今の想い人であったら良いのにとか、そんな事を思っているに違いない。

  太陽も同様だ。例え運命の番で無くても、この愛が嘘であるという事は決してないので、今の恋人を愛し続ける気持ちはあるが、同時に、もし運命の番だったら、運命の番が突然目の前に現れたら…と、少し気が気でない気持ちだった。

  大地はどちらかというと性に奔放な方なので、居てもいなくても、まぁ、満足出来ればそれでいい。氷河程ではないが、それなりに気を許し、気に入った相手には手を出すタイプで、今通っているアメリカの大学でも、彼の口の虜になってしまう者は多いので、相手には困っていなかった。

  しかし、そんな感情とは裏腹に、どこか遠くを見つめるよう顔を反らし、話題そのものを振られる事に身構えているような、そんな様子さえ見せる。何だかそれは、そもそも最初から運命など考えたくないとでもいうような、そんな態度。

  そして、実の所、一番それを欲しているのは、氷河かもしれない。

  何かと問題視される彼だけれど、運命の番に出会えたら、彼は、彼のどうしようもない性格や人生を、その‪Ωが変えてくれるのではないか、そんな事をたまにぼんやりと考えては、心の奥底では夢見ていた。

  「さぁ……でも、現れる時は本当に突然らしいよ。ダディも俺を探して全国探し回った後、それだけ苦労したのに突然、何の変哲もないところから俺と出会ったらしいし。」

  「おい。」

  「dadみたいに歳食ってから会いたくないな。俺は。」

  「「「同意」」」

  「てめぇらぶっ飛ばすぞ。」

  そんな話をしながら笑い、夜は更け、楽しい時間も終わりが近付き……

  「じゃあね。毎日電話してよ。」

  「paaめんどくさい彼女みたい。」

  「ちゃんとするよ。」

  帰郷最終日、玄関に集った兄弟二人を見送りに、昴と雪はやってきていた。

  海だけは二人が帰る前にさっさと日本へと戻ってしまい…。まぁ、彼にしてみたら、今は日本の全てに夢中なのだろう。仕方の無いことでもあった。

  「もう行っちゃうの…?」

  「またすぐ会えるって!な!」

  「……うん」

  大地がそう言って、唇を尖らせ、名残惜しそうに俯く雪の頭をワシャワシャと撫でる。

  大地の笑顔もどこかぎこちなく、家族との別れを惜しんでいるのがその表情からよく見て取れた。

  「何か困ったことがあったら、すぐ相談するんだよ。」

  「分かってるよpaa」

  「ちょっと待って!」

  そう言いつつ、玄関の扉を開ける兄弟に駆け寄った昴は、ちょいちょいと手招きをし、二人の頭を下げさせると…。

  「俺達の息子、ずっとずっと愛してるよ。」

  「……俺も」

  「Love you paa」

  そんな二人の頭を抱き締めて、囁いた。

  少し照れた二人も、しかし、ちゃんとその言葉に答えるように返答を返す。

  そして、振り向き、手を振りながら、扉の向こうに消えていく子供達を見送って…。

  時の流れはこんなにも早かっただろうかと、感慨深く思う。

  海も今年から日本へ留学、氷河は体格で言うと、もう立派な大人のようなものだし。

  そして雪だって、いつかは…

  「戻ろうか。」

  「うん」

  雪の肩を抱きながら思う。

  彼もいつかは大人になって、そして自分と同じように、Ωの宿命を背負うことになる。

  その運命が彼をどう扱うのか…

  期待と不安が入り交じりつつも、昴はただ、息子達の未来に幸せを祈るのだった。

  おわり

  [newpage]

  おまけ

  オレはインキュバス♥だいちきゅん★

  太陽と大地が帰郷したその日の夜

  ごそ…ごそごそごそ…

  「ん…んん……なんだ?…」

  酒をたらふく飲み干して、未だ外では談笑の声が聞こえる時間帯。

  そんな騒がしい夜の闇の中、軽い時差もあって部屋で皆より一足先に寝台へと入り、寝静まっていた長男、太陽の元に、何者かの影が忍び寄っていた。

  その影は大胆にも太陽の眠るベットの中に入り込むと、パンツ一枚で眠っていた彼の股間に顔を埋めて、当然のように深く深く深呼吸する。

  そんな違和感に、思わず目を覚ました太陽は、寝ぼけ眼のまま身動ぎをし、傍にあったテーブルランプの明かりを付けると、シーツの中で蠢く巨大な影を確認し、慌てて布を持ち上げ驚いた。

  「だ、大地…!お、お前また!」

  「えへへ…♥…アニキさっきぶりぃ♥」

  そこに居たのは紛れもなく、1つ歳下の弟である大地であった。

  酒臭い息を振りまき、明らかに酔いつぶれた様子で、太陽のパンツに手をかけ、既にそれをずり下げる態勢に入っている。

  子供の頃からたびたび…というより、結構な頻度で出会ってきた状況に、太陽はすぐさま、何が行われるかを察して、顔を真っ青にした。

  「や、やめっ…!」

  ズリッ!

  太陽の言葉が言い終わらないうちに、大地は手際よくボクサーパンツをずり下げて、恍惚とした表情をした。

  太陽の股ぐらに、躊躇いもせず顔を埋めたかと思いきや、彼はすーーーーと深く深呼吸をして、体毛に蒸れた雄の堪らない臭気を、肺に取り込んでいく。

  「こ、コラ!いい加減に…っ!おあっ♥」

  「んちゅる…♥♥…んっふっふ♥…ん〜…ちゅるる…ん♥」

  太陽がそれを止めに入ろうとすると、大地はそれよりも早く、手馴れた様子で萎えた逸物をちゅるりと、麺でも啜るように吸い込んだ。

  そうすれば、嫌よ嫌よと言っていても、口の中で徐々に徐々に大きくなるチンポの感覚を感じて、笑いが込み上げ、そのまま舌先でチロチロと、皮に隠れる亀頭の先端を[[rb:擽 > くすぐ]]りあげ、勃起の膨張に合わせて皮をムリュりと剥いていく。

  「んへへ…♥でっかくなったぁ♥」

  「ば、馬鹿…っ♥何考えてる…!♥」

  そして、最大まで勃起した逸物、じゅぼぼぼぼと勢いよく口から引き抜くと、大地はそのペニスに頬擦りしながら、そんな風に言う。

  太陽も太陽で、大地の頭を掴み、なんとかそれを引き離そうと試みるが、妙に力強い抵抗力に対抗出来ず、顔を真っ赤にして大地を叱った。

  「やっぱアニキのちんぽが一番うめぇなぁ♥」

  「そんなの…っ♥実の弟に言われても…っ♥うれしくねんだよ!♥」

  「恥ずかしがるなって♥いいじゃねぇか♥酒飲んだあとはやっぱ、ザーメンで〆るのが一番最高なんだよぉ♥」

  「知るか!いい加減に…っ♥んほぅ♥♥」

  改めて、勃起したちんぽを、大地は何の躊躇いもなく喉奥まで取り込む。

  そうすると、突然の快楽に顎をしゃくりあげた太陽が、唇を突き出しながら無様な声を出し。…すると、もう後はただされるがまま、腰が浮く程のバキュームフェラに抵抗できなくなる。

  「んおっ♥おっ♥おっ♥おっ♥おっ♥」

  「んじゅっ♥んっ♥じゅっ♥ん♥ふ♥」

  ペニスを咥え込んだ口の下から、舌先が見え隠れする。

  太く逞しい掌が、激しさのあまりベットの上で跳ね上がる太陽の大きな大きな陰嚢を優しく揉みこみ、分厚い皮の中でゴロゴロと転がる鶏卵程もあるそれを、やわやわとマッサージしていた。

  「あがっ♥も、もう[[rb:射精 > で]]っっっ♥♥」

  「ん♥…ん〜〜♥じゅるる…じゅる…じゅ♥♥」

  太陽の全身がブルリと震え、筋肉が強ばって硬直したかと思うと、昼間あれほど大地に搾精され、飲み干されたと言うのに、ゼリーのように濃く、ぶりっぶりな精子が、太い尿道を駆け上がって大地の口の中へと派手にぶちまけられた。

  大地はそんな突然の射精にも臆する事なく、一滴も逃さないとばかりに太陽の浮いた臀部を抱き込んで、ゴク…ゴク…と周囲にも音が聞こえる程、力強くそれを飲み干していった。

  勿論、その際しっかりとちんぽを喉奥まで取り込んで、ついでに密着した鼻先で陰毛から香る芳ばしい臭いを肺に目いっぱい吸い込む事も忘れない。

  そんな折、ブルブルと震えて快楽を享受する太陽は昼間同様、あまりにも早く射精して、大地へと好物の餌を大量に振舞ってしまうが、ともすれば、彼がこんなに早く射精してしまうのも、実の所は、大地のフェラがそれ程巧みであるという他ならない。

  その上で、太陽は大地の大好物の餌として、幼少期からじっくりと開発…もとい調教されてしまっている為、彼にしゃぶられると、こうして否応にもザーメンを提供してしまうという訳だった。

  それはもはや、直接身体に刻み込まれてしまった、大地による、大地のみに適応された射精癖である。

  (うんめぇ〜♥…やっぱアニキのザーメンはかなり質が良いな〜♥)

  「あっ…あっ…♥ぐっ…♥」

  喉いっぱいに、実の兄貴のペニスを咥え込みながら、ニコニコと柔和に目元を緩ませて、そんな風に太陽の精子を味わう大地。

  ぶりっぶりで、大量の片栗粉を混ぜ、固まらせたかのような弾力。

  そして食道に絡みつくような喉越し。

  その上で、十数秒にも及ぶ大量の射精。

  太陽の陰嚢がキュンキュンと大地の掌で脈動し、彼の為に一生懸命精子を作り続ける。

  それは無意識のうちに、大地と出会い、認識するだけで、自然と太陽の金玉で行われている、調教の賜物であった。

  この家に帰ってきて、二人が顔を合わせた時点で、太陽の金玉の中では、既に大地に喰われる為だけの餌が急速に製造されていた……それはまるで、太陽の精子が大地に喰われたがっているとでも表現するのが正しいくらいだ。

  十数年、毎日とは言わずとも、家では勿論、学校で、偶然出会った街の店先で、友達の誕生日会で……ことある事に、太陽の股座に顔を埋め、その種を喰い散らかしてきた大地の、その調教の賜物。

  「んじゅっ♥ん…はぁ♥…えへへぇ…♥ま〜だまだ[[rb:射精 > だ]]せるよな、アニキ♥……昼間は全然喰えなかったから、ちょっと不完全燃焼だったんだ♥♥今日はじっくり朝まで喰わせてもらうぜ♥」

  「ぐっ…♥お、お前…っ♥」

  大地が長く分厚い舌を、直立したペニスに這わせて、妖艶に呟いた。

  抵抗したくとも、太陽の身体には、大地に対する餌の供給を拒否するなという認識が、無意識に刻み込まれている。

  「えっへへ…♥じゃ…二発目いっただきま〜っす♥♥」

  「こ、このやろ…っん゛お゛っ♥♥ぞ、ぞれ♥♥やめっ♥♥」

  「んふふ〜♥じゅるるる…♥ん♥…んもっ♥ぅん♥」

  皮を被った亀頭の先端を、チロチロとざらついた舌先で擽るように刺激する。

  もっともっと沢山、美味いセーシ造ってくれよ!…そんな期待を込めて、優しく陰嚢を揉みしだく。

  二発目…

  三発目…

  四発目…

  順調な勢いで太陽のザーメンを搾り取る大地は、さながらそれらを栄養に活動する夢魔。インキュバスそのものであり。

  「[[rb:射精 > で]]る!!♥♥またイクっ♥♥あ゛っ♥♥あ゛〜〜〜〜♥♥」

  五発目、チングリ返しした太陽のケツ穴に指を突っ込み、前立腺をグリッ…と刺激しながら、正面から咥えこんだちんぽの射精を受け入れる。

  ピンと伸びた、ラグビーで鍛えられた太く屈強な足。それは指先がグワリと大きく開いて、射精による快楽の強さを如実に表している。

  指を[[rb:挿入 > い]]れたケツ穴の襞も、キュンキュンと、ちんぽがしゃくり上げる度に指を締め付けて、長くしなやかな尻尾が、ベットと平行にピンと張り詰めていた。

  「俺も[[rb:射精 > で]]るっ!!♥♥」

  跨った太陽の顔面に、大地もまた射精した。

  鍛え上げられた屈強な雄の肉体に、白く濁った大量の粘液が彩りを飾る。

  大地は、そんな太陽を見て、ベロリと自らのマズルを舐め、いやらしい、あの性豪の父親に似た、緋い緋い瞳を細めて笑う。

  その顔は心底楽しそうな、そして、まるで獲物を見定めるような、そんな…瞳。

  「まだまだ[[rb:射精 > で]]るだろ♥アニキッ♥」

  「はぁはぁ…♥も、やめっ…♥やめろ!♥」

  「おっと暴れんなよ!♥あぶねぇなあー♥へへ、そんなアニキにゃ、コイツを使うっきゃねぇか!♥」

  そう言って大地が取り出したのは、どこから持ってきたのか、ラバータイプの拘束具。

  おそらく、この部屋に来た時にはもう用意していたのだろう。

  太陽はそれを見て、いっそう強く顔を青ざめさせ…。

  パン…とラバーのしなやかな張り詰める音が部屋に響いた。

  「んお゛ぉぉおお〜〜〜〜♥♥[[rb:射精 > で]]るっ![[rb:射精 > で]]るっ!まだ[[rb:射精 > で]]る〜〜!!!♥♥♥♥♥」

  「んじゅ…♥ん…♥ん〜♥じゅるる…ん♥」

  後ろ手に腕を拘束され、目隠しされた太陽が、身体を"く"の字にして、ベットの縁で空中に伸ばした足をブルブルと震えさせる。

  股を開かせ、咥えやすいよう、ベットに座らせられた太陽。その股座で頭を前後させ、飽きもせず10数回目の射精の味を味わうのは、勿論大地だった。

  「まだまだ[[rb:射精 > で]]そうだなぁ♥♥」

  上機嫌でそんな事を言う大地は、太陽のチンポから口を離すと、唾液で濡れ、テカテカに光を照らすそのチンポの根元を掴み、プルプルと横に揺らしながら笑った。

  太陽のチンポは、相も変わらず勃起を維持したままであり、あれだけ射精した金玉の方も、縮むどころか、もっともっと造らなければというように、その大きさを膨張させているようにも見える。

  一瞬精子の量が少ない時もあるが、そういう時は丸々とした陰嚢に舌を這わせ、口に含んで舌でクチュクチュと優しくマッサージするだけで、それもすぐに回復した。

  優秀な金玉だ。もっともっと俺の為に沢山餌造れよ!…と、そんな風に労って、掌で優しく揉み込めば、それに呼応するかのように、金玉がゆっくり膨れ上がる。

  そして、それを確認すると、大地はまたすぐさま、太陽の逸物を口に含むのだった。

  「じゅるっ♥じゅるるるる…♥じゅるっ♥」

  「あ゛…がっ♥そ、そこっ♥♥」

  「ん〜?♥へへ♥アニキはほ〜んと、裏筋が大っ好きだよなぁ♥」

  太腿を下から掬い上げるようにして持ち上げ、その股座に何度も顔を上下させる。

  窄めた唇から、大量の唾液と我慢汁が飛び出して、太陽の陰毛や玉を覆う短い毛に幾つもの雫を作った。

  皮に覆われた敏感な亀頭。その左右のせり出した雁首に、ゾリゾリと舌をこ削ぐようにして動かし、最後にはベットリと、裏筋に味蕾を付ける。

  レロレロと蛇の胴が蠢くように、器用な動きでそこを刺激すれば、よっぽどそれが気持ち良いのか、太陽は掴まれた太腿を酷く強ばらせ、浮いた足先をギュッと握りしめながら、唇をタコのように突き出し、思わず懇願するように声を出した。

  「そら!♥んえれれれ…〜〜っ♥♥」

  「あ゛っ♥♥あ゛がぁぁ〜〜〜ッッッ!!!♥♥」

  勿論、そんな太陽の言葉を聞き逃さない大地は、舌の腹を左右に何度も往復させて、裏筋をゾリゾリと刺激する。

  瞬間、ビクンと派手にその巨体を跳ねさせた太陽が、口を大きく開けて間延びした声を出し、腰をガクンガクンと強く揺らしたかと思いきや、ビュルッビュルルル…♥と、行為を始めた時から全く勢いの変わらない射精を、大地の口の中にお見舞いした。

  「おっと♥♥じゅるるるるるる♥♥」

  「んおっ♥お゛っ♥お゛っ♥〜〜〜〜っ♥♥[[rb:射精 > で]]るっ!!♥♥まだ[[rb:射精 > で]]るっ!!♥♥」

  大地はすかさず、そのザーメンが飛び散る前にペニスを口に含み、ニンマリとした笑顔で、喉を鳴らしながらそれを飲み干していった。

  ビクンッ!ビクンッ!と射精する度、勢いよく上下にしゃくり上げるチンポのリズムに合わせて全身も派手に痙攣させる太陽。

  後ろ手に腕を拘束するラバーがギチギチと音を立てて、血管の浮き出る汗だくの前腕が、それを今にも引き裂いてしまいそうに見えた。

  「ん〜?…ちょ〜っと量が少なくなってきたかぁ?♥♥」

  「はぁ♥はぁ♥はぁ♥はぁ♥」

  ペロリと自らの唇を舐めた大地が、そう言って顎に手を当て、怪訝な顔をして目の前のチンポを見た。

  連続でそろそろ20回にも届くという程の射精だ。しかもその量は毎回、缶ジュース一本分くらいはある。

  流石に昼間も20数回抜いて、今もこうして、それに迫る勢いで搾精されたのだ。そろそろ限界が近いと言われても不思議ではない。

  だがしかし、まだまだ満足していない大地は、太陽の身体を倒し、足を持ち上げると、ヒクヒクとひくつく卑猥な蕾に狙いをつけ、そこを舌でべろりと舐めあげた。

  「い゛っ♥け、ケツはやめ……っ!!♥」

  「またまたぁ〜、アニキ好きな癖に〜♥」

  そうは言ったものの、事実、太陽は基本的にポジションがタチであり、ケツ穴を責められるのは苦手としていた。

  指で前立腺を圧迫されるくらいの責めはまだ堪えられるが、それ以上となると快楽や心地良さより、不快感と嫌悪、痛みの方が遥かに勝る。

  実際、大地も太陽のケツを開発したことはこれまでに一度たりとも無い。してやって指くらいであり、今もそこに狙いを付けてはいるが、単なる余興であり、本格的に開発するつもりは毛頭なかった。

  「物は試しって事で♥」

  「ぎっ♥」

  そう言って大地は、太陽のアナルに口を付けると、そのまま長く太い舌をニュルニュルと中に侵入させていく。

  太陽は指より太いその異物感に、やはり多少なりとも嫌悪感を示すものの、それも最終的には舌の柔らかさがなんとかそれを緩和させ、次第にペニスの方にも影響が出始めてきた。

  そのまま舌を抜き去った大地は、先程よりも膨れ上がってどっしりと垂れ下がる金玉を口に含むと、優しく優しく飴のように舌先で玉を転がす。

  口の中で陰嚢が呼吸するように膨張と収縮を繰り返し、そろそろ溜まったかな…?というタイミングを見計らって、また太陽の太ましいチンポを口に含んだのだった。

  「んっ♥んっ〜〜♥」

  「あ゛っ…!♥…〜〜〜〜っ♥♥」

  指をアナルに挿入し、優しく前立腺をノックしながら、ジュポジュポとわざとらしく音を立ててチンポを責め立てる。

  もはや太陽は声も出なくなってしまったようで、全身の筋肉を小刻みに震わせて、ブルブルと震え、口は大きく開いているものの、掠れた咳のような音を立てるだけで、そのまま射精した。

  そして、どうやら先程の余興はしっかりと効果があったらしい。

  吹き出すザーメンの量は回復し、大地はそれにご満悦の表情で、余すことなく餌を啜り続けるのだった。

  それからも、大地の搾精は文字通り朝まで続き……。

  天井に括り付けられた縄から、吊るされた太陽が、股を開き、片足だけで立つように強要される。

  相変わらず目隠しをされ、腕を後ろ手に拘束され て、猿轡まで噛まされる。

  尚更餌を喰いやすくなった悪魔は、そんな兄のペニスを飽きずに貪り尽くし、射精を促した。

  「ん゛っ♥んぐっ♥ん゛〜〜っっ!!!!♥♥」

  「うめっ♥じゅるる…♥ん♥」

  そして、何十回目かの射精でそれが終わると、今度は太腿と足首をガッツリと拘束し、股を無防備に開いた状態で天井に吊るされ、宙に浮かされて……。

  「んお゛っ♥おっ♥お゛〜〜♥♥また[[rb:射精 > で]]るぅぅぅ〜!!♥♥♥♥」

  「ん〜〜〜〜♥♥んふふ♥♥」

  臀部を掴み、空中で持ち上げるようにしながら、頭ではなく太陽の身体の方を動かしピストンした。

  縄で縛られていても、足の指はグッと丸まり、ただされるがままに、太陽は大地のミルクサーバーとして、餌を提供し続けたのだ。

  「い゛っっっぐぅぅぅ!!!♥♥[[rb:射精 > で]]ちまうぅぅぅ〜〜っっっ!!♥♥あ゛〜〜〜!!!♥♥」

  「ん♥ん♥ん♥……じゅるる♥ん♥」

  

  そうして窓から陽光が差し込み…。

  外からは海鳥の鳴く声が聞こえ始める。

  最後には拘束を解かれ、ベットへと寝そべさせられて、シンプルに搾精されていた太陽は、結果、全身を派手に痙攣させ、陸に上がった魚のように大きく跳ねると、そのまま気絶するように意識を失った。

  「ん♥ん♥ん♥ぢゅ〜〜〜♥……ぷはぁ♥♥かーーーーっ!!美味かったぁーーー!!♥♥」

  尿道に残った最後の一滴までも残さないとばかりに、大地の強烈な吸引だけで、太陽の腰がベットから軽く宙に浮く。

  最後の最後は、流石に量は少なかったが、大地はベットへと足を大きく開いて座り、自らの膨れた腹をポンと叩いて、ゲプリとザーメンくさい息を吐く。

  ペロリと唇についた僅かな精子も舐め取り、感謝するように太陽の縮こまった金玉を揉んでやって、チュッと萎えた包茎にキスをした。

  しっかりと全部飲み干したので、あれほど激しい情事があったにも関わらず思ったよりも部屋は綺麗で、汚れと言えば、最初に太陽の顔面へと出した大地の精子痕くらいだった。

  「は〜〜、喰った喰った♪」

  大地は、気絶した太陽の身体へと適当にシーツを掛けてやると、朝までしゃぶり続けたとは思えないくらいの元気の良さで部屋を出る。

  風呂でも入ってさっさと寝るか!そう思い立った大地は、自分の部屋の風呂場に向かおうとするが、そこでふと、何かを思い出したかのように立ち止まり、そう言えば長く使われていなかったせいか、水がちゃんと出ないと昴が言っていたのを思い出した。

  他の兄弟に借りるか、一階の風呂を使ってと言われたが、一階の方は正直、基本的に両親が使用していて、場合によってはSEX現場に遭遇する、なんて事も、結構高頻度である為論外だし、氷河の部屋はマタタビに侵食されていて入りたくない。

  雪の部屋の風呂は小さすぎるし、太陽はしっかり話を通せば使わせてくれるだろうが、今は気絶中。勝手に使ってもいいが、事前報告ならともかく、事後報告すると何故か酷く不機嫌になるので、機嫌を損ねないようにする為にも(朝まで無理矢理搾精もしたのでキレられたら半端ない)ここは海の部屋の風呂場を貸してもらうかと、大地はそう決断した。

  そう思ったら即行動。部屋に戻り、さっさと着替えの下着を持って海の部屋に入ると、しかしなぜだか、部屋の主の姿が見えない。

  まだ早朝とも言える時間だし、あのインドアタイプである海が、まさかジョギングなどしている筈もないので、どこに行ったのかと首を傾げると、ふと、脱ぎ捨てられた下着を発見し、大地はポンと手を叩いた。

  「クンクン…脱ぎたてだな。」

  ベットに乱雑に吐き捨てられた、何のこだわりもありそうにない、よれたトランクスをむんずと掴み、当たり前のように臭いを嗅いで、そう確信する大地。

  ともすれば、おそらく海も風呂に入っているのだろう。

  そうと決まれば、兄弟水入らず、どうせ見慣れていて恥ずかしがる必要もないので、大地は海の意見など全く考慮せず、風呂場の扉を開けた。

  「〜〜〜♪」

  案の定、海が、シャワールームの方で鼻歌を歌いながらシャワーを浴びている姿が、曇りガラス越しに見える。

  大地は、そんな海の様子を気にも止めず、ペタペタと防水加工されたツルツルの床を裸足で歩いていくと、ガチャリと扉を開けて中に侵入していった。

  「よぉ!邪魔するぜぇ〜!」

  「へっ!?に、兄さん!?」

  シャワーを浴びていた海が、突然の来訪者に、その豊満な肉体をビクリと震わせて振り向いた。

  何の心構えもしていなかったので、あまりにも唐突な出来事に頭が回っておらず、大地が浴室に入ってきて当たり前のように鼻歌を歌っていても、何も言う事が出来ない。

  「部屋の風呂の水、出が悪いらしくてな〜。悪いけど一緒に使わしてもらうぜ!」

  「………ハッ!!?い、いやいや!意味わかんないし!!ここ以外にも風呂場なんて何個もあるじゃん!」

  「今都合が良いのはここしかねぇんだよ。別に良いだろ、減るもんじゃねぇしさー」

  「そ、そういう問題じゃない!!」

  大地がそう言って海からシャワーのホースを奪い取り、全身を濡らしていく。相変わらず人の話など全く聞かない兄の存在に、海はコメカミをビキビキと浮き立たせるが、何を言ったところで一度そうと決めたらそうするのが次男の大地だ。

  海は深いため息を吐いて、肩をガクリと落とすと、奪われたシャワーヘッドを取り返して自分にかける。

  「あ゛!?今浴びてんだろ!」

  「うるさい!こっちが先に浴びてたんだ!文句があるなら他の兄弟に頼め!」

  「ぐぬぬ…!」

  あくまでも部屋の主は海であり、そしてこの風呂場も便宜上海の風呂場だ。

  ともすれば、部屋の主が、そこにある物品をどう扱おうと、それが責められる道理は全く無い。

  ふん!と鼻を鳴らして、シャンプーを肉球に取った海は、短めの鬣を丁寧に揉みこみ、頭を洗い始めた。

  牙を噛んでそれを見ていた大地は、生意気な弟に何か報復は出来ないかと、少し考えるように目を細めて、あっ!と何かを思いついたかのように顔をあげると、凶悪な笑みを浮かべて、ワキワキとその両手を動かし始める。

  「スキあり!!」

  「はひんっ!♥♥」

  ガバリと後ろから腕を差し込んで、大地は海の柔らかい胸を揉みしだいた。

  丁度頭を洗う為に、両手を上げていたのが運の尽きだ。大地の腕は何の抵抗もなく、真っ直ぐに背後から海の胸を鷲掴むと、その指先がクリクリと乳輪をなぞるように円を描いて、敏感なそれを卑猥に愛撫する。

  「んあっ♥あっ♥あっ♥」

  「へっへっへ!お前の弱点はお見通しなんだよ!一体誰が開発してやったと思ってるんだ!?馬鹿め!」

  「う、うるさ!♥このっ♥へ、へんた♥♥あっ♥」

  海がそう言って抵抗しようとするが、頭の洗剤を流そうとしたところで、大地がお湯を止めた。

  すると、洗剤によって目を開けることが出来ず、焦れば焦るほど、シャワーの蛇口から身体を遠ざけられて、何も見えない中では、思ったほど抵抗も容易ではない。

  万が一滑って転びでもしたら、どこかに頭をぶつけて大変な事になるかもしれないと考えると、派手に暴れる事も出来ず、海は大地にされるがまま、胸の突起を弄り回される羽目になった。

  「あっ♥ひっ♥や、やめっ!!♥♥」

  「ヒヒヒ…どうだ?相変わらず敏感な乳首弄り回されて気持ちいいんだろ?♥隠したって無駄だぜ!♥なんたって勃起したチンポ見えてんだからな!♥」

  「こ、このっ♥変態…っ♥兄貴っ♥お、覚えて…っ♥んおっ♥」

  幼少期、ことある事に行われた対決と罰ゲーム。

  大地は、海を巧みに何らかのゲームや対決に巻き込むと、負けた場合にこうして海の乳首を弄り回し、[[rb:弄> もてあそ]]んでいた。

  その対決というのも、絶妙に大地が勝てそうな勝負ばかりであり、その癖、勝った場合の景品は、大抵海がその時欲しがっていたものばかり。

  交友関係の広い大地は、自身の友人達から、海の欲しがっている限定物のフィギュアやアニメグッズなどをどこからとも無く仕入れてきては、そうやってバレない程度に理不尽な勝負を仕掛け、そして、勝った暁には罰ゲームと称して乳首を開発する。そんなイタズラを長年続けてきていた。

  何回か勝負に負けると、欲しがっていたそれらの景品を譲ってくれるのもタチが悪い。

  逆に、一度も勝負を受けなければ、絶対に譲ってくれる事もないので、海は毎回、勝てぬと分かっていても大地の勝負を受ける選択肢しか無かったのだった。

  その結果生まれたのが、この敏感乳首である。

  元々他人より感じやすかったという事もあって、海の乳首はすっかり大地の手によって開発され、一時期は、服に擦れるだけで勃起してしまうほど、酷い有様になった時もある。

  今では、体重の増加によって乳首が陥没し、肉に隠れるようになったのである程度平気になったが、そんな陥没乳首であっても、流石に直接弄られたとなれば、はしたなく勃起して肉のガードも意味をなさない。

  海の全身から徐々に力が抜けていき、大地はその重みを感じると、浴室の床に二人で座り込んで、海を後ろから抱きしめるよう、壁に背を預けた。

  そうすると、天井に向かってビクビクとしゃくりあげ、いやらしく揺れ動く海の太短い包茎が肩越しにバッチリと目に入って、大地はそんなペニスに足先を近付けると、器用にそこを使って、海のチンポを足コキし始めたのだった。

  「んほぉおぉおお!!♥♥♥」

  「へっへ〜!これくらいお手のもんだぜ!♥」

  瞬間、海が全身をビクンと大きく震わせて、顎をしゃくりあげながら天井を向き、唇を突き出すようにして叫んだ。

  大地は自らのマズルをペロリと舌で舐めると、助平さを隠すつもりもない表情でニヤケ、グチョグチョと我慢汁で濡れた滑りの良いペニスを足裏で挟むように刺激しながら、同時に乳首を責め立てる事も忘れない。

  勃起しても亀頭の中程まで皮を被った包茎。そこに差し向けられた足先は、まるで猿のように五つ全ての指が器用に動いていて…。

  ヌルヌルと我慢汁と温水で滑りやすくなっているにも関わらず、大地はそれをムリュ…といやらしく剥いてしまうと、その亀頭の先端、雁首の部分を、親指と人差し指の間でグチュグチュに扱き倒した。

  「んひぃぃっ♥♥ぞれダメぇぇえっ♥♥♥」

  「俺の足コキ気持ちいいだろうが!♥そらそら、チンポだけじゃなく、スケベな敏感乳首もしっかり弄り倒してやるからな!♥」

  「ほっ…ほおぉぉ〜〜っ♥♥イグッ♥イグッ♥♥乳首イッグゥゥゥ!!♥♥」

  ビュルッビュルルルル!ビュルッ!!♥♥

  海が全身の筋肉を強ばらせて、そそり立つチンポから勢いよく大量の精子を吹きあがらせた。

  その噴出は凄まじいもので、間欠泉のように真上に、天井まで届く勢いで吹き出ると、ビチャ!ビチャチャチャチャ…!と一拍遅れて床に撒き散らされる派手な音が響いた。

  「うおっ♥スッゲ!♥」

  それを爛々とした表情で見上げていた大地は、今にも涎を垂らす勢いで目を輝かせている。

  ともすれば、朝まで太陽のチンポからザーメンを搾り取っていなかったら、今ここで海のチンポへとむしゃぶりついていた事だろう。

  「まだまだ[[rb:射精 > で]]んだろ♥どうせなら金玉空になるまで搾り取ってやるよ♥」

  「ひ、ひっ…♥や、やめっ♥」

  「えーんりょすんなって!♥ほれ、お前が大好きな爪カリカリ攻撃〜♥」

  「んひぃぃぃっ♥♥ぞ、ぞれりゃめぇぇぇっ♥♥♥」

  大地の少し尖った爪の先で、海の乳首の先端を小刻みにカリカリカリカリ…と高速で引っ掻く。

  射精したばかりで敏感な身体は、普段でさえそうされると非常に弱いのに、快感が倍になったようで堪らない。

  乳首を引っ掻かれる度に、ビリビリとした静電気のような気持ちよさが下半身へと響くように伝わって、海は限界まで、開いた足先をピンと伸ばした。

  「[[rb:射精 > で]]るっ![[rb:射精 > で]]るっ!?♥♥まだイ゛ッッぐぅぅぅっっ〜〜!!♥♥」

  「おうおう!♥[[rb:射精 > だ]]せ[[rb:射精 > だ]]せ!!♥♥ちんぽ汁ぶっぱなしちまえ!!♥♥」

  「ひぃぃぃぃ〜〜!!♥♥」

  ビュルッ!ビュルルッ!ビュッル!ビュルッ!♥

  天井を向いて、牙を食いしばるように背筋を浮かす海。

  思わず射精と同時に腰を床から持ち上げて、ビュルッ!♥とザーメンを勢いよく吹き出し、そのまま腰が床にまた着いたかと思いきや、すぐさま新たなる射精と同時に天井へと腰を突き出す。その繰り返しだった。

  その痙攣によるピストンに合わせて、大地の指に挟まれた包茎も根元まで皮を捲られて、真っ赤に充血した亀頭が、歓喜するように何度も何度もしゃくり上げる。

  口先を無様に尖らせ、ひょっとこのように突き出す海は、実の兄からもたらされる快楽に、もはや抵抗する事も出来ないようだ。

  他の兄弟達とは違って、柔らかく脂肪のついた豊満な肉体をこれでもかと揺らし、モサモサの胸毛が生えた女のような雄っぱいに、大地の五本指がむっちりと埋没していた。

  定期的にビクン…ビクン…と痙攣しながら、全身を脱力させ、ぐったりと大地に身体を預ける海。

  大地はそんな海を見下ろして、ペロリとまた淫猥に自らの唇を舐めると、どこまでも底がない嫌らしい目つきで、海の豊満な肉体を眺めるのだった。

  「あ゛っ!?♥ん゛ん゛ん゛っ〜〜〜!!♥♥」

  「そうら、もっともっと乳首虐めてやるからな♥覚悟しろよ♥♥」

  「ら゛〜〜〜〜〜っっ♥♥♥」

  場所は変わって海の部屋。

  ぐったりと脱力する海の濡れた身体を処理し、それを引きずって部屋まで戻った大地は、これまたどこからか取り出した荒縄で海の柔らかい身体を縛り上げ、ベットへと転がした。

  目隠しと、マズルの根元に噛ませるよう猿轡をされ、胡座を掻くような姿勢で、後ろ手に腕を縛られて全身を雁字搦めにされた海。

  胸の肉は、縄によって突き出されるように、更に豊満に盛り上がり、股座からは相変わらず、包茎ちんぽがピョコンと顔を出して、海の丸い腹、臍の部分まで力強く勃起していた。

  鼻と、僅かに開いた口の猿轡の隙間からしか呼吸が出来なくなった海は、ふー♥ふー♥と荒く息を吐いて、噛まされた棒の間から飛び出す唾液まみれの舌をダラりと垂らす。

  その様子はまるで、これからされる行為に期待しているようにも、怒っているようにも見え、しかし、その勃起を見れば、どちらにせよ興奮している事は明白だった。

  大地は、そんな海の乳首を引っ張り、コリコリと指先で転がしながら笑う。

  これだけ開発されているというのに、海の乳首は薄いピンク色で、ただし、乳輪はデカく、乳頭は勃起して肥大化した、非常に卑猥な乳首だ。

  試しに、あえて触らず放置していると、勃起が収まっていくにつれ先端が肉の中に埋没していく。

  どうせならこのどエロい陥没乳首の状態も堪能しなければ損だ。

  大地は、乳首が完全に埋没するまで待機すると、タイミングを見計らって、肉球から爪を目いっぱい出し、その先端で埋没した乳頭をほじくり始めた。

  「んあ゛っ!?♥♥♥」

  ビクンッ!…瞬間、海の全身が大きく震え、それと同時に頭をグンと弾くように上へと向けた。

  目隠しをされている為、いつ手を出されるか分からない状態で、突然そんな風に乳首をほじくられたのだ。驚きと、強い快感に激しく動揺し、海は大きく拡がった鼻穴から無様に鼻水を垂らした。

  「は〜っ…♥さっすが俺が丹精込めて育て上げた乳首♥デカくて敏感な癖に肉に埋もれて普段は見えないなんて、昔よりもかなりエロくなったな〜♥せっかくこんだけ開発してやったんだから、これから先もしっかり弄り続けるんだぞ?♥」

  「あ゛っ♥ら゛っ♥ん゛がぁぁ゛〜っ♥♥」

  「そうかそうか、乳首気持ちいいか♥️兄貴がじっくり弄り回してやるからな♥」

  「あ゛〜〜〜っ♥♥♥♥」

  クチュクチュクチュクチュ…埋没した乳首が、肉の中で爪の先端に高速でほじくり回され、海は動かない、縛られた身体をこれでもかと跳ねさせる。

  そして、股の間からそそり立つ、太短いペニスをしゃくりあげたかと思いきや、ビュルリッ!♥と縄のように繋がり合う、粘っこい精子を大地に向かって吹き出したのだった。

  「おっと♥もったいね♥」

  「んう゛〜〜〜っ♥♥」

  勿論、自分に向かってザーメンが排出されたとなれば、大地の喰い気が黙っちゃいない。

  乳首に手を掛けながら、頭だけを前かがみに突き出し、口を大きく開けた大地が、舌をベロリと広げながら、喉奥に勢いよく叩きつけられるそれを飲み込んでいく。

  そして、しばらくの後、やっと大量の放出が終わったかと思えば、尿道から垂れた精子さえ逃さないと言わんばかりに、未だ元気よく勃起する海のペニスを根元から咥えこんで、ジュルルルルッ…ジュポッ!♥としっかりそれらを舐め尽くした。

  「ん゛ふぅ゛っ♥♥」

  子気味良い音と共に口が離されると、それに合わせて海の全身が震え、贅肉が揺れ動く。

  相変わらずニンマリとした笑顔で、自らのマズルをペロリと舐めた大地は、しかし、たったそれだけでは満足するわけもなく、鼻歌を奏でながらコリコリと海の乳首弄りを楽しんでいた。

  「そ〜ら♥これ気持ちいいな、これな♥♥」

  「んう゛ぅっ♥♥ん゛っ♥ん゛っ♥ん゛っ♥ん゛っ♥」

  大地の言葉を否定するように、ブルブルと頭を横に振って抵抗の意志を示すものの、その態度とは裏腹に乳首が気持ちよくて、喉奥からはリズム良く、くぐもった唸り声が響く。

  口に咥えた猿轡に、牙の跡が残る程強くそれを噛み込んで、何とか快感に堪えようと力を込めるものの、全身の震えは止まらずに、開いた口からはダラダラと唾液が零れ続けていた。

  「おいおい、そんな風に否定したって無意味だぞ♥俺を誰だと思ってんだ♥お前の実の兄貴なんだぞ♥隠し事したって全部お見通しだっつぅの♥」

  「ん゛あ゛〜〜〜っ♥♥♥」

  大地がそう言って、嘘を咎めるように乳首を強く引き上げる。

  そうすると、伸縮よく伸びあがった乳頭が、ぐいいと持ち上がって、またその強い快楽に海は絶頂へと導かれた。

  それでも、大地の言葉に従うのが酷く癪なのだろう。自分は絶頂してないと、頑なに認めず、海は強気に全身の震えを我慢した。

  「…ククク…そうかそうか♥…なら、まぁちょっと趣向でも変えるかな♥」

  「ん゛っ…?」

  大地がそう言ってニヤリと笑うと、海の胸元に顔が来るよう態勢を整えて、ゼロリ…ゼロリ…と優しく乳頭の周りを舐め始めた。

  勿論、もう片方の乳首の方も、直接その先端に触れる事はせずに、ただひたすら、触れるか触れないかというタッチで、焦らすように刺激する。

  指が近付き、触れる…!と思った瞬間には遠のき、舌の粘液が、飛び散って乳頭に触れるだけでも、次第に期待して、しかしそれは叶わない。

  ペニスもそうだ。

  焦らしに焦らされて、ドクドクと小便を垂らすかのように漏れ出す我慢汁を指先に掬って、さわさわと指の毛先を使いながら、焦れったい刺激で尿道の先を弄ぶ。

  次第に海の鼻息は荒くなっていき、先程まで抵抗してどうにか暴れ回ろうと必死になっていたのが、今はただ大人しく俯くばかりとなっていた。

  「触るぞ?触るぞ?……なんてな♥」

  「ん゛っ…う゛ぅ゛〜っ!!♥♥」

  「素直になるまで直に触るのはお預けだぜ♥…触って欲しかったら乳首気持ちいいですって認めるんだな♥」

  そんな大地の言葉に、どうにか堪えてやると、心の中ではそんな風に息巻く海であったが、こうして縛られ、自由の効かない状態で好き勝手に責められている以上、彼がこの勝負に勝てる道理など全くなく……。

  「んふぅ〜〜♥♥んふぅ〜〜♥♥」

  「ククク…そろそろか?♥」

  一時間以上もそうして焦らされ続けたら、そそり立つペニスは、はち切れんばかりに膨張し、丸々と揺蕩う陰嚢は射精はまだかと膨れ上がって、乳首そのものも、今までに見た事が無いくらい勃起し、硬くなってしまっていた。

  「素直になれよ♥イキたいんだろ?♥」

  そんな悪魔のような囁きに、海はただ沈黙を返した。

  イキたい…イキたい…イキたい…イキたい…♥

  頭の中はそれ一色。

  今乳首を刺激され、チンポから勢いよく精子を吹き出せたなら、どんなに気持ちいいか。

  そんな考えばかりが頭を巡り、そしてとうとう、海は小さく、大地の言葉に頷きを返してしまったのだ。

  「ようし♥なら、お楽しみの時間といくか♥」

  「ッッッッ!?♥♥♥♥♥」

  大地の言葉に期待が膨らむ。

  射精したくてチンポも乳首もウズウズとしている。

  大地は、途端に期待で息が荒くなった海の胸元に近付いて、ゆっくり、じっくり、その舌先を伸ばしたのだった。

  「ッッッッん゛っ♥♥ん゛う゛ぅぅぅぅっ!!♥♥♥」

  ゾリ……♥

  口に含んだ乳首全体を、ネコ科特有の短い棘がついた、ざらついた舌で削りあげ、その瞬間、海は全身を強ばらせながら、喉の奥で叫んだ。

  同時に、堪えに堪えていたペニスの先端から、待ってましたと言わんばかりに精子が一本の縄のように吹き出し、それを大地が片手の掌で受け止める。

  両の乳首と亀頭の3点責め。

  それは、一時間以上快楽を管理されていた身体には非常に強烈で、堪えられるわけもない絶頂に昇華されたのだった。

  「んちゅ♥んらららら…♥ん♥」

  「あ゛っ♥あ゛がぁぁぁぁあ!!!♥♥♥」

  顎をしゃくりあげ、天井に向かって口を大きく開けた海が絶叫する。

  グチュグチュグチュグチュ!♥と、射精中にも関わらず亀頭全体を掌で擦り上げ、ビクンッ!ビクンッ!と強い痙攣が定期的に海の身体を震え上がらせる。

  片方の乳首は舌の腹で削りあげ、片方の乳首は爪でカリカリと引っ掻き、残ったペニスは、ザーメンだらけの亀頭をぐっちゃぐちゃに擦りあげられて、もはや精子なのか小便なのか、何が吹き出しているのか分からない状態になってしまっていた。

  大地は、そんな海を尻目に、鼻歌でも歌いそうな程の気安さで彼を責め立て続けたのだった。

  ◆◆◆◆

  次の日……。

  「あ゛〜〜、腹減ったな〜…」

  たった二日の間に、兄弟二人のザーメンを搾り取った男、大地は、そう言って自らの腹を押さえ、ゲッソリとした表情で部屋から出た。

  勿論それは、ただ単に普通の飯を食いたいという、そんな欲求とは別のもの。

  アメリカで一人暮らししている時には、そこまでザーメンを摂取したいと思わないし、仮にそう思っても、グローリホールという、フリーフェラスペースの存在や、大地の口淫の虜になってしまった哀れなセフレ達、自身の所属する柔道チームなどなど、餌を補給できる場所は腐るほどある。

  でも何故か家に帰ってくると、妙にそういった欲求が高まってしまうというかなんというか。

  特に、キッカケとなったのは、階段で太陽のザーメンを大量に喰ったからだと思う。

  濃厚で、質の良い精子を、大量に摂取した事で、普段満足出来ていなかった身体が、それを求め始めたのではないだろうか。

  とはいえ、あんな事をした後だ。太陽と海からは当然のように避けられる羽目になり、結託した二人は朝から、逃げるようにどこかへと出掛けて居なくなってしまった。

  氷河は相変わらず、マタタビの臭いが充満した部屋の中に居て、その臭いを嫌っている大地は、彼が部屋にいる間は手を出せない。

  雪は獅子王家の兄弟の中では、手出しする事を禁忌とされている清らかな存在であり……、まぁ、そんな理由なんか無くても、一番可愛がっている彼に手を出そうとは大地も思っていなかった。

  「dadに手を出せるわきゃないしな〜…あ〜ぁ…どっかに都合の良いミルクサーバー居ねぇかな〜」

  と、そんなとんでもない事を呟きながら居間に向かう階段を降りていくと、こちらに向かって、すれ違うように歩いてくる、一つの大きな影と目が合った。

  「ベア叔父じゃ〜ん、何してんだ、そんな格好で」

  「オヤ…大地坊ちゃん…聞いてマセんか?部屋の風呂場が使えナイんデスよね?」

  「あ〜、そう言えばそうだった。」

  「姐サンに頼まれマシてね、コレから修理に向かいマス。」

  大地が出会ったのは、分厚い作業着を腰に巻き、薄汚れた汗だくのタンクトップ姿で、どこかへと工具箱を運んでいるベアの姿だった。

  随分使い古されたツナギは所々に油汚れのようなものが目立ち、ヨレヨレで解れが目立つ。

  外はかなり暑かったのだろう、タンクトップ姿の上半身は尚も汗だくであり、特に首元と腋の下は黄色く黄ばんでいて、年季が入っていることを思わせる。

  どうやら、大地の部屋の風呂場を修理に来たらしい。その割には、既になんだか作業がひと段落したかのような、そんな様子にも見えて…。

  「へぇ、マジ何でも出来るなぁ、ベアのおっちゃんは。……てか、それより汗凄くね…!」

  「アッハッハ…!実は氷河坊ちゃんカラ、車の修理モ頼まれテテね。ガレージで作業してたんデスよ!」

  どうやらベアは実際、ガレージで氷河の持っている車の修理を終わらせてきた後らしい。

  道理で、風呂場修理と言いつつ、それに似つかわしくない分厚いツナギを腰に巻いているわけだ。それに、長い間そんなツナギ姿で熱の籠るガレージに居たのなら、既に汗だくになってしまうのも頷ける。

  ムンムンと香ってくる中年の雄の汗の臭いに、大地はクンクンと無意識に鼻を鳴らしていた。

  そして、それと同時にちょうど良い獲物を見つけたと、先程までのゲッソリとした元気のない顔から一変、ニコニコと微笑みを浮かべて、ベアの傍に近づいた。

  「そっかそっか!そりゃお疲れ様だなぁベア叔父!氷河も人使いが荒い奴だ!けど、汗に塗れた姿は男の勲章!いやぁ〜!流石ベアのおっちゃん!男らしい!!」

  「へ?そ、そうデスか?……ま、まぁ、旦那サンの無茶振りに比べタラ…こ、これくらいは…」

  「うんうん!俺も暇だし、見学していいか?…にしても、ほ〜んとおっちゃんの臭いキッツいなぁ!♥」

  「ぼ、坊ちゃん…アノ…」

  大地は、ベアのふとましい腕をグイと掴むと、元来た道を戻るように歩き出して、ニコニコと笑う。

  どこか戸惑った様子のベアは、彼が自分の腋の辺りに鼻を近づけて臭いを嗅ぎ始めると、少しばかり赤面して困ったような顔をする。

  「ところで最近奥さんとはどうなん?全然SEXとかしてくんないだろぉ〜♥子供産んだら女なんてそんなもんだよな♥…つ〜ことは、かなり溜まってんじゃないの?♥」

  「…っ…そ、それは…マァ…」

  「へへへ♥そっかそっか♥じゃ、早く部屋行こうぜ、ベアのおっちゃん♥」

  「………」

  ベアは、大地の様子に何か察したような顔をすると、ゴクリと喉を鳴らして、ぎこちなく答えた。

  引っ張られるがままに階段を登っていき、ニンマリと怪しく微笑む大地の表情を見ると、またしても顔を真っ赤にして押し黙る。

  そんな二人の姿は、階段の向こう側へと消えていってしまって……。

  「ンお゛♥オ゛うっ♥それっ♥それっ♥♥」

  「んへへ…♥これだろ?♥舌で皮ん中ほじくるやつ。……おっちゃんこれ大好きだもんな♥」

  「んお゛オぉ゛うっ♥♥好きデス!♥スキッ♥」

  壁に背を預け、足を大きく肩幅に開く。

  若干ガニ股気味に股が開くのは、余りの快楽に膝がガクガクと震えて、ただ立つのもやっとという有様だからだった。

  腰に巻いた作業着の帯を緩め、開け放たれた股の間。ムワリと熱気と汗が篭った空気が空間を犯し、たったそれだけで周囲の温度が2度も3度も上がってしまったように感じてしまう。

  ベアは、腰を突き出しながら、押し寄せる快楽に舌を出し、大地からもたらされる久しぶりの快感を、全身で味わっていた。

  数分前…

  「すっげ〜臭い♥サイッコ〜!♥」

  「あ、あまり嗅ぐノハ…っ♥」

  「なーに言ってんだよベア叔父!♥ここがクッサイのは雄なら当然!♥立派に働いた証だろ!♥それに、ずっと前からこうやって、自分のクッサイ臭い嗅がれると興奮するの、俺知ってんだぜ!♥す〜〜〜っ♥♥はぁぁぁ♥♥脳にキックぅ〜♥♥」

  大地は、壁を背にして仁王立ちさせたベアの前に座り込み、しゅるしゅると、腰に巻かれたツナギの帯を手早く解いていく。

  ジジジ…とチャックを開けた股間の前袋に、躊躇いもなく鼻先を突っ込んでは、大きく大きく肺に空気を取り込んで…。

  大地は、それまでに無いほど恍惚とした表情を見せ、ベアの羞恥心を煽っていく。

  恥ずかしがって顔を赤くし、それを止めさせようとするベアを、勝手な持論で論破すると、ゴソゴソと、尚更鼻先を突っ込んで臭いを堪能した。

  汗特有の刺激的なツンとした臭いと、チンポの饐えたモワリとした臭いが織り交ざり、それら特有の、雄臭い香りへと占領された酸素は、大地の理想とする極上の芳香だったらしい。

  使い古されてヨレヨレになったトランクスもいい味を出していて、余さず全ての臭いを取り込もうと鼻先を動かすウチに、ベアの逸物がムクムクと反応していく。

  「うっひょー♥これこれぇ〜♥やっぱおっちゃんのちんぽはサイッコーだな♥」

  「うう…♥」

  そして遂に顔を出したそのチンポは、どす黒く使い古された、完全に皮を被るダルダルのちんぽであり…。

  「へへへ…淡白な奥さんの代わりに、俺がいっぱい絞りとってやるからな♥♥」

  「あ゛うっ♥♥お゛うっ♥♥」

  トランクスの前開きから、どっしりとして湿っている巨大な金玉を取り出すと、それにベロベロと舌を這わせながら呟いた。

  舌の上に広がる、ビリビリとした塩辛い味を堪能し、そこからゆっくりゆっくりと、笛を吹くように横から舌を伸ばして、徐々に先端へと向かっていく。

  「す〜♥はぁぁ♥♥」

  勃起しても完全に皮に隠れた亀頭。その臭いを嗅ぐと、濃厚なツンとした臭いがして、期待が膨らむ。

  チロチロと、舌先で擽るように皮を弄ぶと、大地はそのざらついた舌をベアの包皮の中に挿入し、グルグルと円を描くように舐めまわした。

  「ンお゛♥オ゛うっ♥それっ♥それっ♥♥」

  「んへへ…♥これだろ?♥舌で皮ん中ほじくるやつ。……おっちゃんこれ大好きだもんな♥」

  「んお゛オぉ゛うっ♥♥好きデス!♥スキッ♥」

  すると、途端に声を荒らげて、野太い悲鳴を上げたベアが、膝をガクガクとさせて髭に隠れる唇を尖らせた。

  大地の舌の円運動に合わせて、重く垂れ下がる下反りのペニスも同様にグルグルと動き、舌先にはベットリとした白い滓がへばりつく。

  「堪んねぇよなぁ♥猫のざらついた舌♥学生ん時もこうやって一日中皮の中ほじくってあげたっけ?♥」

  「ん゛お゛あ゛ぁぁ゛っ♥♥ソコっ!♥ソコもっと削っテ!♥♥」

  「へへへ♥お安い御用だって♥……一度こいつ味わっちまったら、もう他じゃあ満足できねぇだろ?♥」

  「んぎぃぃぃぃ♥♥♥」

  初めて大地がベアに手を出したのは、高校に入学して間もなくの頃だっただろうか。

  正直、それまで手を出していなかったのが不思議なくらい、ベアは大地にとって良質な餌候補だった。

  その時も確か、太陽が大地から逃げて、空腹に苛まれている時だったと思う。

  ふと、家に来て昴の代わりに力仕事を手伝う、そんなベアの姿に惹かれて、いつの間にか大地は、帰ろうとする彼を引き止めると、連れ込んだ部屋の中でこうやって一日中、その包茎を舌でほじってやったのだ。

  両親には、勉強を教えてもらってたとか、ゲームしてたとか、適当な理由で説明し、そうやって大義名分を得た後は、2、3日置きにベアを部屋に呼び込む。

  そこからはひたすらに彼の臭い中年チンポを味わい尽くし、大地の舌でしか満足出来ないよう開発、ひいては調教してやった記憶を思い出す。

  最初は、こんな事出来ないと頭を横に振っていたベアだったけれど、欲求不満の既婚者を言葉巧みに上手く丸め込んで、一度行為に及んでしまったら、もう手遅れ。

  何だかんだと理由をつけて言い訳を探すベアだったが、その度に大地が自慢の舌技でその包茎をゾリゾリとほじってやれば、次第に欲望へと忠実になり、最終的には従順な餌の一人と成り果てた。

  大地の言葉に、返答を返す事も出来ず、ベアは全身を震わせて、掴んだ壁に小さな引っ掻き傷を作る。

  大地のネコ科特有のざらついた舌は、ベアの亀頭を痛い程刺激してしまうけれど、しかしまさにそれが、彼の性癖を狂わせた一つの要因でもあった。

  「ん〜♥ちゅる…♥ぢゅるる…ちゅ♥」

  「あ゛〜〜っ♥ソレッ♥ソコッ♥[[rb:射精 > で]]るぅ!♥♥あ゛〜〜〜っ!!!♥♥」

  大地がベアのちんぽの先端、伸びた皮の揺れる亀頭を軽く咥えこんで、ちゅるちゅると溢れ出る我慢汁を吸った。

  同時に、差し込んだ舌で裏筋をゾリゾリと削りあげ、金玉を優しく揉みこんでやれば、ベアは野太い雄叫びを上げながら、ビュルリと重たい精子を大地の口の中へと吐き出してしまう。

  「ん〜〜♥」

  それはまるで濃厚なクリームチーズのような濃さだった。

  長く金玉の中で熟成され、吐き出されなかった極上のヨーグルトだ。

  先端を軽く咥えこんでいるだけなので、横から見ると尿道がこれでもかと脈動しているのがよく分かる。

  しゃくりあげても先端を咥えられているので、その太いペニスは上下に軽く揺れ動くだけで、全て余すことなく大地の喉の奥へと吸い込まれていった。

  「ぷはぁ〜♥♥うっめぇ〜♥♥」

  「はぁ♥はぁ♥」

  久方振りの激しい快楽による心地よい射精に、ベアは荒く息を吐きながら、未だ余韻で足をブルブルと震わせていた。

  大地はチュポンッと子気味良い音を立てて、ベアのちんぽから口を離すと、ペロンと舌で唇を舐めて、ニンマリと笑う。

  もみもみと金玉をマッサージし、剥こうと思えば簡単に剥けるはずのベアのちんぽを、あえてチュクチュクと、剥かずに扱いたと思えば、彼を上目遣いに見つめて…。

  「まだまだ[[rb:射精 > で]]るよな?♥おっちゃん♥」

  「はぁ♥はぁ♥……ハイ♥」

  「へへ…そうこなくっちゃ♥♥」

  大地の瞳に、淫靡な光が強く灯った。

  「イ゛ィ゛ぐっ!♥イ゛グッ♥[[rb:射精 > で]]るっ!♥♥♥」

  ビュルルルルルルッ!!♥♥ビュルルッ♥♥♥

  ギシギシとベットが悲鳴を上げて、まるで部屋全体が揺れたように感じた。

  今ベアは、ベットの四隅に付けられた拘束具で手足を縛られ、非常に無防備な姿で大地の餌としての使命を全うしている。

  目隠しをされ、白髪の混じる茶色い体毛が、汗でじっとりと濡れていた。

  胸には乳首を挟むようにローターが付けられ、ブブブブブ…と空気を振動させるような音を響かせており、開いた股の間には勿論、大地がここは自分の指定席だと言わんばかりに居座っている。

  鎖を鳴らして、ベアの身体がグイと持ち上がった。

  全身の筋肉が硬直し、腕や足には血管が浮き出ている。

  わさわさと生やした胸毛と髭がその反動に揺れて、吹き出る汗の雫を、いくつも空中に飛ばしては、脱力したようにまた、ベットへと深く埋没した。

  「ぢゅるるる…ぢゅる♥ぢゅ♥ぢゅ♥ぢゅるる♥♥」

  「あ゛ぁっ♥アっ♥アっ♥アっ♥アっ♥」

  天井へと向かってそそり立つペニス。その先端に浅く口を付けた大地が、射精中にも関わらずそれを刺激し続けて、ベアを弄ぶ。

  相変わらず、大地はベアのチンポをあえて深く飲み込む事はせずに、ただひたすら先端を舌でほじくり回し、たまにぢゅくぢゅくと雁首までを口に含むくらいで、竿全体ではなく、亀頭ばかりを重点的に責め立てていた。

  そうすると次第に、亀頭が赤く充血し、ジンジンとした痺れを帯びてくる。

  高校時代もこうやって、じっくりと一日中ベアの亀頭をざらついた舌で責め立てた結果、彼はその心地良さの虜になり、いつしかもう普通の快楽では物足りなくなってしまっていた。

  その為、オナニーでもイケなくなってしまったベアは、大地の帰郷を心待ちにしており、普段は妻に内緒で街のグローリーホール…特に、大地同様、ネコ科の舌を持つ獣人の穴へと、通いつめていた。

  しかしそれもやはり、この快楽を植え付けた張本人。大地の亀頭責めフェラには、到底及ばない。

  「ま、またっ…♥♥また[[rb:射精 > で]]るっ!!♥♥[[rb:射精 > で]]マスッ!!♥♥」

  「うんうん、たっぷり[[rb:射精 > だ]]してくれよ!おっちゃん♥いくらでも俺が飲んでやるからな♥♥」

  「ン゛ォあ゛ぁ゛〜〜〜っ♥♥アッ♥アッ♥アッ♥アッ♥♥」

  ベアがまたしても、全身の筋肉を強ばらせて、拘束された足先をピンと伸ばし、絶頂に達した。

  腰が軽くベットから浮いて、だらしなかった臀部の筋肉が、キュッと力強く引き締まる。

  ビュッ!…ビューーー!♥と、射精のタイミングに合わせて腰を突き出すように持ち上げ、そして脱力しては、またすぐに行われる第二波の射精と共に浮かした。

  この時ばかりは大地も、僅かに顔を前後させ、ベアの包皮を雁首までムリュリと後退させると、そのまま射精中の裏筋をゼロゼロと舌腹で撫でてやりながら、溢れ出すザーメンを飲み干していくのだ。

  「やっぱ中年のセーシもなかなか…♥…ほら、休んでる暇はねぇぞおっちゃん♥まだまだ俺は満足してねぇんだから、今日は金玉スッカラカンになるまで帰らせねぇぞ?♥」

  「はぁ♥はぁ♥は、ハイィ…っ♥♥」

  そう言って笑いながら、まだまだ重たい重厚な陰嚢を持ち上げて、優しくマッサージをし続ける。

  大地の言葉に、ベア本人は頼りなさげな声で返事を返すも、掌の金玉はそれに呼応するよう膨れ上がって、まるで呼吸しているかのようにも見えた。

  再度、チュクチュク…という細かい水音が聞こえて、大地の亀頭責めフェラが再開される。

  ベアはその瞬間、グッと足の指を丸め、拳を握りしめて、顎をしゃくりあげると、牙を強く噛み締めて唸ったのだった。

  「アッ♥アッ♥アッ♥すご…っ♥スゴイィ…っ♥き、気持ち良すぎテっ♥♥ま、マタッ♥」

  「へへへ♥ベア叔父は素直だからこっちもやり甲斐あるぜ♥♥まだまだ、た〜っぷり皮ん中虐めてやるからな♥♥」

  「ん゛お゛おう゛っ♥♥」

  ベアへの奉仕は、まだ始まったばかりだ……。

  「す〜〜〜♥♥は〜〜♥♥キっくぅ〜♥♥」

  「はぁ♥はぁ♥はぁ♥」

  ベットの脇に脱ぎ捨てられたベアの衣服。特に、汗に塗れたタンクトップと、一体何日洗わずに穿き続けたのだろう、黄ばんだトランクスの臭いを嗅いで、大地は歓喜にわなないた。

  「おっちゃん♥俺が帰ってくるって知って、俺の為に洗わずに居てくれたんだろ?♥よくやるなぁ♥」

  「はぁ♥はぁ♥…へ、へへへ♥」

  大地がそう言って笑うと、腋を見せるようにベットへと縛られて仰向けになったベアも、白痴のような笑い声をあげて、にへら…と口元を歪めた。

  未だその股の間でそそり立つ黒魔羅は、ビクンビンクと上下に揺れていて、奉仕される事を今か今かと待ち望んでいる。

  ベアはこう見えても一応既婚者なのだ。汚い衣服を着用し続けるのは、それなりにリスクがあったことだろう。

  「じゃ、しっかり俺が綺麗にしてやんねぇとな♥」

  「あっ♥」

  そう言って、トランクスの正面、社会の窓のある、もっとも雄臭い部分から顔をあげた大地。

  そして、そんな彼が向かった先は、縛られて無様に晒される、ベアの腋の下であり…。

  「は〜っ♥すっげ〜♥"ここ"もめちゃくちゃ汗くせ〜なぁ♥洗っても洗っても臭い落ちないだろ?♥」

  「そ、そンナ...♥♥」

  「隠したってバレバレだぜ?♥こりゃ奥さんにも嫌がられるわ♥♥俺は大好物だけど♥」

  「はぎぃッ♥♥」

  そう言いながら、そのザラザラとした棘だらけの舌を這わせて、ベアの腋を下から上へと舐め上げる。

  そこは、獣人の中でも特に毛が濃く臭いも濃い、フェロモンの爆心地とも言える場所だった。

  獣人の身体にはこうして、短い毛の生える短毛の部分と、長い毛の生える、腋や陰毛、胸毛、そして腕や尻毛があるが、特に普段からムンムンと色気を纏うフェロモンという観点では、人間同様、この腋部分が最も強いのではないかと思われる。

  汗に塗れ、何日も風呂に入っていない、そんな不衛生な場所を、大地は美味そうに舐め上げて笑った。

  「すっげ〜!♥しょっぺ〜!♥舌がビリッて麻痺して来たぜおっちゃん♥♥」

  「あっ♥あっ♥あう…♥」

  「へへへ♥気持ちいいか?♥チンポも一緒に弄ってやろうな?♥♥」

  「はお゛んっ♥♥ぼ、坊ちゃっ♥♥す、スゴイぃ…っ♥♥」

  大地がそう言って、ザリザリとベアの腋の下を味わいながら、腕を伸ばして、そそり立つチンポの皮を、優しくゆっくり、むりゅ…と剥いた。

  真っ黒い包皮とは違って、常に守られているため、ピンク色で初々しい亀頭が顔を出し、その先端からは、もう堪えられないとばかりに、ドクドクと小便のようなカウパーが流れ落ちる。

  それを自らの手にたっぷりと掬って、肉球を濡らした大地は、グッリッと大きく、力を入れて円を描くように、掌でベアの亀頭を包み込んだ。

  「ん゛ほうっ♥♥そ、ソレっ♥坊ちゃっ♥♥あ゛ぁ゛ぁ゛あっ!!♥♥」

  瞬間、ビクン!と大きく、ベアの固太りな全身が面白い程に跳ね上がり、首を持ち上げてブルブルと顎を震わせた。

  目隠しをされている為、視界を遮断された分、快楽に意識が割かれ、感度は非常に向上する。

  特に、ベアは亀頭が弱点であった。

  それは言わずもがな、学生時代に大地がせっせとその舌で開発してやったのだから、分かりきった事である。

  「ぐ゛っ♥あがぁあアぁあ!!♥♥ごわレるっ♥チンポごわレるぅぅぅ!!♥♥」

  「ははは♥すっげぇ声♥」

  ガクガクガクガク…と限界まで力の入ったベアの全身が異常な程震え、空間を震わせる程の大きく低い声で、部屋中に叫び声が響く。

  防音機能がしっかり備わった部屋の中では、そんなベアの悲鳴のような叫びも、一切外に漏れる事はなく、仮にあったとしても、少し遠くに、ちょっと振動してるかも…くらいの微かな変化だろう。

  「そういえば、舌でほじってやる事はあっても、こうやって直接皮剥いて扱いてやった事無かったっけ?♥……良かったなベア叔父、その歳でまだまだ気持ちよくなれてさ♥…せっかくだし、このまま亀頭開発しきっちゃうか!な!♥」

  「あ゛ッ!♥あ゛ぁ゛ア゛あァ゛あ゛!!!♥♥ひいいいいい♥♥♥」

  「そっかそっか♥嬉しいな♥うんうん♥」

  大地がニヘラと笑ってそう言う。傍で絶叫するベアとの対比に脳がバグってしまう程、それは常軌を逸した光景にも見えた。

  「[[rb:射精 > で]]るっ!!♥♥[[rb:射精 > で]]るぅうあ゛あ゛あ゛!!♥♥♥」

  「おー♥すっげ♥まだまだ勢い落ちねぇなぁ〜♥って、勿体ね勿体ね!♥」

  掌に感じる、射精の圧を感じた大地は、ボタボタと重たく垂れ落ちるそれを見ると、ペロリと唇を舐めて、慌てて下半身まで移動した。

  「ん゛がぁあ!?♥♥」

  「ぢゅるるるる♥」

  射精中のベアのペニスを容赦なく口に含み、溢れ出るそれを飲み干して…。

  「ぷっはぁ〜!♥よしよし、潮吹くまでやるぞ!♥♥」

  「ひっ♥ひぃぃぃぃ!!!♥♥」

  結局、ベアはその後も、大地に文字通り金玉が空っぽになるまで搾精され続け……。

  「ぎッギィィィ!!♥♥なんが出ル!!♥♥なんが出ルぅゥぅ!!!♥♥」

  「ひゃ〜♥強烈〜♥♥おっと!♥ん…ぢゅるるる♥♥」

  最後にはとうとう、溢れ出したザーメン以外の潮までも飲み干され、あまりの快楽に気を失ってしまうまで終わりなく責められ続けたのだった。

  ◆◆◆◆

  

  「という訳で…!」

  「何がという訳なんだよ!!解けよ兄貴!!」

  「うるせぇ!!……てめぇ…一番一番可愛らしい、ウチの末っ子に、どうやら悪いもん覚えさせようとしてんだってなぁ〜????」

  「はぁ?な、なんの事だか…!」

  「ネタは割れてんだよ!!こんな汚部屋に純粋無垢な雪を連れ込みやがって!!dadに変わってお仕置だ!!」

  「ふ、ふざけんな〜!離せ〜!!」

  深夜、氷河の部屋。

  どうやら今日は、誰かを部屋に連れ込んでいる訳でもなく、ついでに、珍しくマタタビを吸ってる訳でもなく、氷河の部屋の空気は澄んでいた。

  それを見計らった大地は、この隙にと言わんばかりに部屋へと侵入し、無防備な姿で眠っていた氷河を、ご自慢の捕縛術で縛り上げる。

  気付いた時にはもう遅く、氷河は亀甲縛りで上半身を縛り上げられ、ベッドの上に正座させられ、今に至るという訳だ。

  どうやら、コンドームやらエロ本やらが散乱しているこの部屋に、雪を連れ込んでいたのがバレたらしい。

  兄弟達の中で、唯一手出し禁止と言われている純粋無垢な雪に、このような娼館にも匹敵する部屋など似つかわしくない。見せたくもない。

  その禁を破った氷河を、大地は懲らしめに来たと言う訳だ。

  「おら!ケツ突き出せ!!」

  「あっ!や、やめろよ〜!」

  大地がそう言って、氷河の背中を強く押し、ベッドへと頭を押し付ける。

  そうすれば、自然と尻を突き出すような、そんな格好になって、キュッと引き締まった臀部が、無防備にさらけ出された。

  ズリ…とボクサーパンツを膝までずり下げて、ケツを露出する。

  大地はそこに向かって、掌を大きく振りかぶったのだった。

  「成敗!!」

  「んぎゃっ!!」

  パーンッ!!非常に子気味良い、何かが弾けるような音がして、氷河の尻たぶが揺れる。

  同時に、緊張に強ばっていた尻尾が、ピンと背中に向かって伸び、その余りの痛さに、氷河は牙を噛んだ。

  「成敗!」

  「ぎゃっ!!」

  「もういっちょ!!」

  「んぎっ!!」

  「あ、も一本!!」

  「んが!!!」

  「そーれ!!」

  「ぎぃっ!!」

  何度も何度も、リズム良くケツが叩かれて、幾ら毛皮に守られていると言っても、今頃地肌は真っ赤に腫れ上がっている事だろう。

  正確無比に、同じ箇所を、同じ馬鹿力で、的確に叩き続けられれば、次第に氷河の全身に脂汗がじんわりと出てきて、目尻にも雫が光った。

  「まだまだぁ!!」

  「もうやめっ!!っっ!」

  「せい!!」

  「やめでっ!!え゛っ!!」

  「思い知れ!」

  「あにぎっ!!やべっ!!」

  「反省しろ!反省しろおら!!」

  「いだい!!いだいぃぃ!!はんぜいじだがらぁ!!」

  柔道部で鍛えられた筋力で、容赦なく平手打ちされるケツヒダ。

  そうやって何度も何度も叩かれるうちに、次第に氷河の声にも嗚咽が混じるようになってきて、みっともなく大地へと懇願するような言葉に変わった。

  「反省するか!?」

  「じまず!!…じまずがら!…もうやべでよぉ…っ!ううう…!」

  あれだけ飄々としていた氷河が、まさかこんな風に本気で泣き出してしまうなんて、普段叱りはするものの、昴の影響から無意識に手加減している猛では、どうもできなかった事である。

  けれど、兄弟となれば話は別だ。それにここ最近調子に乗っている氷河には良い薬になるだろう。

  所詮はまだ16歳の子供。身体はデカくても、精神面では兄に叶うはずもなく、大人ぶった所で、それはただ子供の我儘でしかない。

  そして、雪という存在が、どれだけ家族の中で丁寧に扱われているか、それを氷河は思い知った事だろう。

  大地はふん、と鼻を鳴らすと、シクシクと泣きじゃくる氷河の背中から降りて、ベッドの上に仁王立ちした。

  「どうやら相当効いたようだな。だが、まだまだこれじゃあ、真に反省したとは思えない!」

  「へ?…ひっ!な、何を!」

  「他人を誑かす悪いチンポにもお仕置きが必要だ!!未成年の癖して、もうこんなにどす黒い色させやがって!!」

  大地はそう言って氷河の身体を裏返し、仰向けにすると、無理矢理その股の間を開いて、すっかり痛みに縮こまった、しかしそれでも十分な大きさを持つ逸物に目をつけた。

  ペッ!と自らの手に唾を付けてから、ズルムケのそれを持ち上げ、優しく亀頭全体を包み込む。

  「あふっ♥あっ♥あっ♥」

  「どうだ、兄ちゃんの手は気持ちいいだろうが♥」

  「あっ♥あっ♥あっ♥き、気持ちっ♥」

  鋭い痛みから一変して与えられる極上の快楽。

  自然とムクムクそのチンポは膨張し、あっという間に臍まで届くいやらしい様相を見せてくれた。

  氷河は、縛られた身体を脱力させて、実の兄にされるがまま、ペニスを弄られる。

  まだ高校生の癖に、すっかり淫水焼けして、赤黒く変色したそのチンポを、大地は亀頭を中心に、グチュグチュと捏ねくり回した。

  「すげっ♥き、気持ちっ♥兄貴ぃっ♥♥」

  「甘えた声出しやがって…!♥ほら、これが良いんだろ!♥♥」

  「あ゛ぁ゛!!♥♥ぞれ!♥ぞれ!♥亀頭気持ちいっ♥♥」

  もはや、足を開くよう腕に力を込めなくても、氷河は自ら股を差し出すようにして、兄に全てを委ねる。

  ドロドロと絶え間なく吹き出す我慢汁を大量に塗りたくって、部屋全体に響き渡るような、そんな激しい音で、亀頭を重点的に責め上げる。

  まるでドアノブを回すように、グチュグチュと亀頭全体を回転で回し、水晶を撫で回す占い師のように円を描いて磨き上げる。

  大きく開いた股の間、重く垂れ下がる陰嚢の下では、ヒクヒクとアナルがひくついて、それはまるで、今にも射精を待ちわびるように昂っていた。

  「あっ!イクイクイクイク!!♥…[[rb:射精 > で]]る!!♥兄ちゃん[[rb:射精 > で]]る!!♥♥」

  「………」

  氷河がそう言って、腰を突き出すようにしながら、全身を強ばらせた。

  デカい金玉がグググ…と持ち上がり、収縮して、今にも射精しようと準備し出す。

  極上の亀頭責めによって、牙を食いしばりながら、グッと腹筋に力を入れた氷河だったが……。

  「馬鹿が…!普通にイカせると思ってんのか?これはお仕置きだっつってんだろ!」

  「んはぁぁあ!!♥♥はっ♥はっ♥はっ♥…な、なんで…!」

  今にも射精する。[[rb:射精 > で]]る!!……というタイミングを見計らって、大地が呆気なく、氷河のペニスから手を離した。

  瞬間、強ばっていた全身の筋肉が、来ると思っていた射精の時を取り逃して脱力し、突然無くなった強烈な快楽に、それを求めるよう氷河のペニスがビクンビクンとしゃくりあげて…。

  「なんでじゃねぇよ!普通にイケると思ったら大間違いだ。」

  「クッ!な、なんだよ!別にいいだろ!!イカせてくれよぉぉ!!」

  「この節操無しのチンポに、我慢をしっかり覚えさせてやるって言ってんだよ!感謝しろ!」

  「そ、そんなのいいから!さっさとイカせてくれよ!!兄貴の意地悪!!」

  「うるせぇ!おら、続き始めんぞ!今日は限界まで堪えてもらうからな!」

  「ひっ!や、やだぁ!!」

  精子の代わりに、我慢汁ばかりをドプドプと垂れ流すチンポ。少し萎えて、萎び始めたそれに、再度手を伸ばした大地は、先程と同様、氷河のズルムケの亀頭を重点的に刺激し、またしても勃起させた。

  あれほど抵抗しようと声を荒らげていたのに、大地がそれに触れた瞬間、唐突に甘い声をあげ、すぐさま快楽を享受し始める氷河。

  「んおっ♥そこそこそこそこ♥♥」

  「ん、ここだろ♥雁首んとこ、気持ちいいだろうが♥」

  「あっ♥すげっ♥気持ちっ♥気持ちよすぎて♥♥」

  「できるだけ我慢しねぇと、さっさと手が離れてくだけだぞ♥気持ちいいの続けたいなら、しっかり我慢しろ♥」

  「無理っ♥あっ♥イクイクイクイク♥」

  「たく、まだまだ掛かりそうだな♥」

  「ん゛うぅぅ♥♥」

  氷河の言葉に合わせて、大地が手を離す。

  そうして、またしても絶頂を押さえ込んだと思ったら、しばらくしてから手を伸ばす。

  これまで培ってきた観察眼によって、氷河の射精タイミングをしっかりと見極める大地は、仮に氷河がそれを言葉に出さずとも、適切に射精管理を続けるのだ。

  「あ゛〜〜〜っ!!♥♥イクッ!!♥イクッ!!♥♥今度こそ…っ[[rb:射精 > で]]るっ!!♥♥」

  「[[rb:射精 > だ]]せねぇよ…!」

  「んあああ!!♥♥う゛〜〜っ!!♥♥」

  氷河の地獄はまだまだ終わらない。

  「んひぃぃぃ♥♥♥ザーメン[[rb:射精 > だ]]してぇぇ!!♥♥[[rb:射精 > だ]]させてぇ!!♥♥兄貴ぃぃぃ!!♥♥」

  「まだだまだまだ!しっかり堪えろ!!」

  「もう無理ぃぃ!!♥♥[[rb:射精 > だ]]してぇよぉぉ!!♥♥これ外してくれぇぇ!!♥♥」

  四つん這いにした氷河を、後ろから乳搾りでもするかのように責め立てる。

  いつの間にか、氷河のペニスの根元には紐が縛り付けられ、これまで射精を[[rb:既 > すんで]]の所で止められ続けたそこは、赤く、爆発しそうな程に膨張しており、金玉もまた倍ほどの大きさになっているように見えた。

  竿の根元を押さえて、真下に向くよう誘導して、先端を掌でクルクルと擦り立てる大地。

  その舌先は、氷河のケツの穴へと侵入し、長くざらついたそれが、彼のアナルを奥までジュルジュルと溶かし尽くしていた。

  「ひっ♥ひっ♥ぎぃぃぃ♥♥」

  「だめだ。まだまだ♥」

  「があああああ!!♥♥♥」

  僅かな射精の空気を敏感に感じ取ると、瞬間、全ての刺激が無くなって、氷河はその場にガクリッと突然脱力する。

  荒く息を吐き、痛い程勃起するペニスを、自らの手で扱きたくて扱きたくて堪らない。

  既にもう数時間もの間、チンポからの射精は許して貰えず、氷河の全身には、張り詰めたような太い血管が浮き出し始めていた。

  「さて、そろそろもっとキツくなるぞ?♥」

  「はっ…♥はっ…♥ま、まだ…♥」

  そう言って大地が取り出したのは、いつか大地が、階段でぶっぱなした、自分の精子を拭くのに使ったタンクトップだった。

  あれからもう何日も経過している。その間洗われることも無く、熟成させられたそれを、彼は氷河の顔面に押し付けた。

  「んがぁぁぁ!!!♥♥くっせぇぇぇ!!♥♥」

  「だろ?♥お前のお仕置きに使うために取っといたんだよ♥感謝しろな♥」

  「す〜〜〜っ♥♥ん゛っ!!♥」

  氷河の顔面とベッドの間にそのタンクトップを挟み込めば、自然と顔を押し付ける形になって逃げられなくなる。

  そして、その臭いを嗅いだ瞬間、一層氷河のペニスは膨らみを膨張させて、否応にも興奮してしまって居ることはその反応からして分かった。

  これもまた大地の調教の賜物。

  子供の頃から、汗を吸った衣服等を、何かにつけては氷河に嗅がせて、いつしか彼は、重度の臭いフェチになってしまった。

  例えば、直接布を押し当てなくても、汗だくの身体で抱き着いてやったりして、臭い臭いと嫌がる氷河に、それでも絶えず臭いを擦り付けてやったのだ。

  そうすればもう、立派な臭いフェチの出来上がり。

  本人曰く、昴や雪のような良い匂いの方が好きらしいが、とにかく、フェロモンが濃厚な臭いを嗅ぐと、氷河の興奮は最高潮に達して…。

  「んぐぅぅぅ〜♥♥♥っっっは♥は♥は♥」

  「まだまだ、このお仕置きは始まったばっかだぜ♥」

  またしても絶頂に達する瞬間、手が離される。

  その反動に荒く息を吐けば、同時にタンクトップから香る、饐えたザーメンの臭いが、肺と脳みそに充満して、氷河は僅かに白目を剥いた。

  「さぁ、もっともっと我慢しろよ!♥」

  「ん゛っ!!ん゛〜〜〜っ!!♥♥」

  そして、もう一度、ケツ穴に舌を挿入しながら、グチュグチュとペニスを垂直に扱き上げて…。

  大地のお仕置きは続く…。

  「ん゛〜〜〜っ!!♥♥♥♥♥」

  「はっはっは!♥ベア叔父のトランクス堪んねぇ臭いだろ!♥俺のオススメだぜ♥」

  仰向けになった氷河、その顔面に、前回ベアからくすねた、熟成トランクスを押し当てながら、亀頭責めを続ける。

  がに股で足を開き、それをベッドから浮かせて、ガクガクと膝を激しく痙攣させる氷河は、ひょっとしたらもう、射精なんてせずに絶頂しているかも知れない。

  グチョグチョグチョ!と、高速で根元から先端を激しく扱きあげ、かと思いきや、グリリ…と亀頭全体を円を描くよう、強く押し込みながら磨き上げる。

  そろそろもう、本当に我慢の限界が近付いているようで、しばらく待っても絶頂直前のまま、反応が変わらなくなってきたように感じた。

  「イキてぇか?♥」

  「ん゛っ!♥ん゛〜!♥ん゛っん゛っ!♥」

  「まぁ、だよな♥はぁ…そろそろ流石に限界か♥お前もしっかり反省したよな?」

  「ん゛ん゛!♥」

  顔面に押し付けられるトランクスの臭いを深く嗅ぎながら、氷河は大地のそんな言葉に、コクコクと激しく頭を縦に振った。

  そろそろ朝になるというくらいの長い時間、射精を禁じられ、虐められたペニスは、最初、普通に勃起した時よりも、遥かに膨張し、また、血液が鈍く流れているのだろう。パンパンに膨らんで、どす黒く照り返していた。

  特に散々責め立てられた亀頭は大変な張り方で、根元の紐を解いたら、本当に爆発してしまうのでは無いかと思うほど膨れ上がっている。

  ビッキビキに血管が浮き出し、痛いくらいに勃起したそこを、大地は優しく撫でて、微笑んだ。

  「じゃ、そろそろショータイムと行くか♥」

  「ん゛っ♥♥」

  大地のその声を聞いただけで、氷河はもはや射精しそうな程に興奮していた。

  持っていたトランクスを氷河の顔面に押し付けたまま、どこからか取り出したベアのタンクトップを噛ませて、後は例のザーメンタンクトップで顔面を縛る。

  そして、ゆっくりと下半身、開いた足の間に移動した大地が、その両太ももに手をかけ、前傾姿勢を取ると、ねっとりとした唾液の纏う舌を、デロリと口から取り出して、トロリとその粘液を、氷河のペニスへと垂らした。

  「朝まで熟成させた濃厚セーシ♥いっただきまぁ〜っす!♥♥」

  射精を待ちわびていた者、それは何も氷河だけではない。

  大地もまた、この限界まで膨れ上がった金玉の中で、ギュルギュルと蠢き、今か今かと放出を待つ、熟成されたザーメンを楽しみにしていたのだ。

  ドキ…ドキ…ドキ…♥

  トランクスで目隠しをされ、口の中にはベアの汗だくのタンクトップを詰められて、その後、顔全体を大地のタンクトップでグルグル巻にされた氷河は、いつ咥えられるか分からない期待感に、胸を高鳴らせる。

  早く、早く、早く!!そんな風に頭の中では、もはや射精の事しか考えられず、自然と荒くなった呼吸のせいで、臭気がまたしても肺を浸食し、いつしか恍惚が彼を支配していた。

  「あ〜〜〜………♥んぢゅるっ!♥ぢゅるるるるるる♥♥」

  「ん゛む゛ぅぅぅぅぅぅ〜〜〜〜!!!!!♥♥♥♥♥」

  そんな卑猥で激しい音を立てられて、氷河のペニスら大地の口の中へと取り込まれていった。

  たっぷりの唾液で包まれた口の中、変幻自在に動く舌が、螺旋を描くようにチンポ全体を包み、氷河は瞬間、顎をしゃくりあげ、腰を激しく持ち上げて、キュッとケツ穴を強く窄める。

  びゅるるるるるるる♥♥びゅる〜〜〜!!♥♥びゅるるるるる♥♥

  そんな音が傍目から聞こえて来るほど、激しい射精が大地の喉を打ち付ける。

  あまりにも敏感になりすぎて、ザーメンが尿道を通っていく感覚が、氷河にも分かるほどだった。

  「ふ〜〜〜〜!!!♥♥♥ふ〜〜〜〜〜!!!♥♥♥」

  巻かれた布の奥底から、熱い鼻息が吹き出していた。

  腰を何度も何度も、まるで大地の口をオナホのように見立てて突き上げ、カクカクと膝を交尾する犬のように無様に動かす。

  吐き出される息と同じ長さでザーメンが吹き出し、止まることもなく次々と吹き出した。まるで出した瞬間から、また次の精子が造られているかのように、何度も、何度も、それが止まることは無かった。

  敏感になりすぎて、尿道を通るザーメンの感覚だけでイク。そして、それによってまたザーメンが吹き出し、またその感覚でイク。

  まるで永久機関のようだ。

  「ぢゅるるるるるるる♥♥♥(うっめ〜!!♥)」

  膝を持ち上げ、ベットの上で爪先立ちになりながら、腰が勝手に大地の口へと打ち付けられる。

  所謂、ブリッチのような態勢で、一つの射精の波が終わると腰を落とし、またすぐ訪れるそれに合わせて、再度下半身を突き上げた。

  「ん゛っ♥ん゛〜〜〜〜!!!♥♥」

  これほど長い射精は初めてだ。イッてもイッても、[[rb:射精 > だ]]しても[[rb:射精 > だ]]しても、それが止まることは無く…。

  大地も大地で、それらを何の負担もなく受け入れている。その姿は正真正銘、インキュバスであった。

  そして、脳みそが焼き切れるかと思うような、強烈な快楽に、氷河は糸が切れた人形の如く、その場にバタリと気絶した。

  気絶しても尚、ビクンッ…ビクンッ…と身体は不定期に痙攣し、まるで電気での拷問を受けた直後のように、それは止まることが無かった。

  唾液塗れのチンポが、大地の口の中から、ずろろろろ…とゆっくり抜き出されて…。

  最後の仕上げと言わんばかりに、金玉から、ペニスの先端までを舐め上げる。

  やはり、あれだけ射精を我慢させたのだ。大地の満足の行く餌が得られて、彼はご満悦だった。

  「さ〜て♥喰った喰った!♥部屋に戻って寝るか!!♥」

  大地がそう言って腹をポンと叩くと、ペロリと自らの唇を舐めて、ニンマリと笑った。

  顔にベアのトランクスとタンクトップ、そして大地のタンクトップも巻き付けられたまま放置された氷河は、萎えたチンポを痙攣させながら、しばらく目を覚ますことは無かったのであった。

  ◆◆◆◆

  「ふんふふ〜ん♪」

  部屋の風呂場が修理され、早速シャワーを浴びる。

  ここ最近の行いの悪さのせいか、兄弟の誰もが風呂場を貸してくれることも無く、部屋の前で門前払いを食らった為、これが久しぶりの入浴となった。

  流石に臭いがきつくなって来て、大地は平気だが、両親にも疎まれはじめて、ボリボリと身体中を掻きむしる大地は、流石にそろそろ風呂に入るかと、やってきたベアのちんぽを味合わず、風呂の修理を優先させた。

  ガチャ…

  「兄ちゃ〜ん!」

  「ん゛っ!?こ、この声は!?」

  そんな折、ガチャリと扉が開いて、聞きなれた可愛らしい声がする。

  シャワーを浴びていた大地が、慌てて顔をあげ、浴室の扉を開けると、そこに居たのは、今にも服を脱ぎかかっている雪の姿。

  というより、既に下半身は裸で、上はタンクトップを脱ぐだけという状況であり、そんな彼を、大地は慌てて止めた。

  「ゆ、雪!何してんだ!どうしてここに!?」

  「え〜?だって、兄ちゃんこうでもしないと俺と一緒に居てくれないし。」

  「だ、だからってこんな!ひ、非常識だろうが!」

  「そんな事ないよ!先に誘ったのはそっちだし、パピィとダディが一緒に入ってるとか言ってたじゃん!」

  「あ、あれはお前に久しぶりに会えたから…その、その場のノリでな?まさか本気にするとは…」

  「本気にするよ。俺達運命の番なんだから…!」

  「………う…」

  雪の突然のカミングアウト。

  大地が運命の番?

  血の繋がった兄弟なのに??

  しかし、両者の間に流れる空気は、雪のその言葉を笑って否定するものではなく…。

  どこか、緊張感漂う、複雑な空気だった。

  「他の兄弟とはエッチするのに、俺とはしてくれないなんてズルい!」

  「そ、それはだな…お、お前を相手にすると、兄ちゃんちょっと、自分を抑えられないっつーかなんつーか…」

  「なら、兄ちゃんの好きにして?……俺、兄ちゃんになら…」

  ゴクリ…

  あれほど活発で、人を食ったかのように振る舞う大地が、雪の前だとどこか殊勝な態度になり、困ったように眉を八の字にした。

  顔を赤らめ、大地を上目遣いで見つめる雪。その裸体も、その瞳も、大地の理性を吹っ飛ばすには十分な破壊力であり、ピクリとペニスが反応してしまう。

  けれど、大地はそんな自分の強い欲望を振り切るように目を逸らすと、ポリポリと頬を掻いて、言葉に詰まるように「あ゛〜〜……」と間延びした声を出す。

  「そ、そんな事言われてもなぁ…お前…」

  雪が産まれた時から、少し違和感はあった。

  それは最初、ただ皆が雪を可愛がるのと同様の感情であり、別段何か変わったものだとは、大地も気付かなかった。

  けれど、雪が成長するにつれて、そして、大地もまた成長するにつれて、次第に、‪α‬とΩの特性がで始めると、二人は、お互いがお互い、兄弟にして運命の番である事を自然と悟ってしまったのだ。

  けれど、大地はそれを喜ぶどころか、今でも家族には内緒にし、雪もそれに倣って、二人の関係を言えずに居る。

  確かに自分達は運命の番であり、結ばれるべき相手なのだろうけれど、しかしそれが実の兄弟となると話は変わって…。

  「兄ちゃんは…俺の事…やっぱり嫌いなんだ…」

  「ばっ!そ、そんなわけあるか!世界で一番大切に決まってるだろ!」

  「ならなんで…」

  「そ、それは…」

  大地が困ったように目を伏せる。

  確かに二人は運命の番であるが、しかし、だからといって、血の繋がった兄弟、特に雪と番になるのは、大地にとって非常に悩むところであった。

  運命の番なら、何も考えずに結ばれてもよいという訳では無い。

  もし自分が雪と番になってしまったら、それは近親相姦。孕まない‪α‬の兄弟達に戯れでちょっかいを出すのとは違って、実際に二人の間には、兄と弟の子供が産まれてきてしまう。それが問題であった。

  雪はそれでも良いという。

  運命の番なのだから、元から繋がる宿命にあるし、抗ったとしてもどうしようもない。

  自分たちの両親達のように、幸せに暮らせるなら、それで良いと、大地に積極的に関わろうとした。

  しかし大地の方はと言うと、家族全員に可愛がられている雪に手を出すことが憚られたし、近親相姦という禁忌を犯す度胸が無かった。

  たとえ大地がそれを認めたとしても、きっと家族が認めないだろう。

  昴はもしかしたら…とも思うが、猛は勿論、太陽や海、氷河にだってなんと言われるか。場合によっては、いや、十中八九家族から絶縁される可能性が高い。

  どちらかというと、一人で生きても問題なさそうな大地の方が、きっと家族に見捨てられて、その後の人生を憂鬱のまま過ごす事になるだろう。

  考えすぎかもしれないが、それほど家族は皆、雪の事を酷く可愛がっているし、少しでもそんな可能性があるなら、大地はそれを家族にカミングアウトなんかしたくない。

  家族に絶縁され一人になる。ひいては、雪とも会えなくなり、運命の番が誰かを知りつつも、手の出せない状況になる。そんな孤独が嫌だった。

  「雪…分かってくれよ…俺とお前は血の繋がった家族なんだぞ。…本能に従って俺達がまぐわったら、産まれてくる子供がどうなるか分かんねぇんだ。……それに、家族になんて言われるか…。」

  「………」

  雪の悲痛な顔が大地の心を曇らせる。

  本当は、兄弟達にしている事なんかよりも、もっと凄いことを雪にしてやりたい。この運命の番である弟を、どこまでも続く快楽の坩堝に落としてやりたい。

  Ωの子宮を自らの怒張で突き刺し、こね回し、純粋無垢なその穴に、自らの烙印を押し付ける。

  両親のように子供を孕ませ、孕ませ、孕ませて……。

  と、そこまで考えたところで、ハッと顔をあげた。

  ‪α‬の本能が、大地の心を蝕んで、自分が自分じゃなくなるような感覚がする。

  実の所、アメリカに大学を決めたのも、こうした欲求を抑えるため、雪と物理的に離れるのが目的だった。

  葛藤はあったが、ずっと雪のフェロモンに晒されて、我慢できずに手を出してしまうよりかは随分良いだろうと思えて、適当に、太陽と同じアメリカに行く事に決めた。

  多分、家に帰ってくると、いつも以上に、夜な夜な男のザーメンを喰いたくなってしまうのは、‪Ω特有のフェロモンを、運命の番である自分が自然と嗅ぎ取って、興奮を抑えきれないからかもしれない。

  「じゃあ…せめて一緒にお風呂に入ろ…?それなら良いよね?」

  「………分かった。」

  大地は、そんな風に拗ねた様子で提案する雪を、これ以上傷付けたくなくて、その言葉を了承した。

  風呂くらいならば、理性を総動員すれば何とか堪えられるだろう。

  甘い考えかもしれないが、とにかく肌が触れないように気をつけて、触れたとしても気にしないようにして、雪を見ず、深呼吸し続ければ絶えられるはず。

  大地は静かに雪を浴室に招き入れると、風呂の続きを再開しようとした。

  けれどそれが駄目だった。

  「……っ!?雪!」

  「なーに?」

  「な、何やってる!抱き着くな!」

  「抱き着くくらいイイじゃん!ケチ!」

  「そ、そういう問題じゃ…」

  浴室に入った瞬間、背を向けた大地の広い背中に、雪が素肌で抱きついた。

  すると、その柔らかい感触に思わず股間が反応し、大地は顔を真っ赤にして振り返る。

  獅子の兄弟達とは違って、雪は小柄で、まだ170cmにも満たない身体だ。

  一方、大地の身長は190cmを超えていて、猛よりは小さいものの、その体格差は歴然である。

  「い、今すぐ離れろ!な!」

  「ぶー」

  そう言ってなんとか雪の身体を剥がすと、大地は自分の胸を抑えて肩で荒く息をする。

  やはり、雪の口車に乗せられて、一緒に風呂に入るのは危険だったかもしれない。

  今更後悔しても遅く、雪はボディーソープで全身を泡立てると、そんな大地の背後からまた近付いて、その身体に抱きついた。

  「ゆ、雪!?」

  「へへへ、兄ちゃんの身体、俺が洗ってあげるね!」

  「こ、こら!あっ♥そ、そんな所!♥」

  雪の細い腕が、大地のふとましい太ももを包み込んだ。身体全体を使ってソープ嬢のように大地の身体を泡立てる。

  どこで覚えた技術なのか分からないが、そっと伸ばされた腕が、大地の金玉を撫で、尻尾の根元を掴むと、思わず力が抜けて、壁に手を付き尻を突き出すような形になってしまう。

  「兄ちゃんの金玉でっかいなー」

  「こ、こら♥雪っ♥…はぁ♥はぁ♥ふ、ふざけるのも大概に…♥あふ♥あう♥」

  「んふふ♥兄ちゃん気持ちいい?♥」

  「あっ♥き、気持ち…♥そこっ♥」

  雪がそう言って、大地の股の間から腕を差し込むと、その間にある巨大な逸物に泡をまぶして、ローションのように竿全体を扱いた。

  大地は荒い息を吐き、ピンと掴まれた尻尾を張り詰めて、いつしか雪からもたらされる快楽に夢中になる。

  雪の手が、大地の亀頭の先を掴み撫であげると、そのあまりの気持ちよさに、舌をダラリとマズルから垂らし、荒く息を吐いて。

  「ぐるるるぁぁ!!♥♥[[rb:射精 > で]]る!!♥[[rb:射精 > で]]ちまう!!♥♥」

  「うわ!!」

  そう叫びながら、絶頂は程なくして訪れた。

  力強い脈動と、ホースから水が勢いよく吹き出すように壁に向かってびゅるるる!♥とザーメンが打ち付けられ、そのあまりの量の多さに雪も思わず驚いて手を離す。

  本来であれば、この程度の手コキで、こんなに早く射精する事など無いはずなのに、これがΩのフェロモンのせいなのか分からないが、大地は荒く息を吐いて、雪を見下ろした。

  「兄ちゃん…」

  「……どうなっても知らないぞ♥」

  そう呟いた大地の目には、どこまでも鋭い、加虐的な光が灯っていたのだった。

  「ん〜っ♥♥ん〜〜〜!!♥♥」

  「ん…♥ちゅ…♥…ん♥…気持ちいいか雪?♥」

  「んはぁ…っ♥気持ぢ…っ♥気持ぢぃよ♥兄ちゃぁん♥♥」

  後ろから雪の身体を抱き締めて、その顔を持ち上げ、深い深いディープキスをする。

  そして、空いた掌で、クチュクチュと優しく雪のちんぽを擦り上げ、その無垢な身体に快楽を教え込んでいた。

  雪は、涙に濡れた熱っぽい目で大地を見上げ、舌を出しながらもっともっとと強請るように、口と口との間に垂れる唾液を飲み込む。

  そんな姿を見てしまえば、興奮しないわけもない大地が、またしても噛み付くようなキスをし、雪の全身を尚更強く抱きしめるようにしながら、奉仕を続けた。

  「やぁぁぁ〜♥♥イッちゃうぅぅう!!♥♥」

  「よしよし、[[rb:射精 > だ]]せ[[rb:射精 > だ]]せ!♥実の兄貴を誘惑するなんざ、この助平が!♥♥」

  びゅるっ!びゅるる!

  人間にしては非常に量の多い精子を大量に吐き出す。猛の射精量が、雪にも影響しているのか分からないが、大地は思わず、そんな風に吐き出されたザーメンを指に掬い取り、ペロリと舐めて口に運んだ。

  瞬間、それまで感じたことの無い、非常に美味な味が口全体に広がって、目を見開く。

  ムラムラと全身に熱が灯ったような気がして、雪の白い肌を見ると、その身体を今にも組み伏せて、食らいつきたくなる。

  「はぁ♥はぁ♥…兄ちゃん…?♥」

  「………」

  雪の言葉に大地はハッとして視線を合わせる。一瞬、雪の全身…特にうなじに、どうしようもなく噛み付きたい気分になったのは一体なんだったのだろうか。

  とにかく、雪の精子の美味さを知ってしまった大地は、雪の足を強引に開き、その股の間に顔を埋めて……。

  「んああああ!!♥♥ひぃぃぃい♥♥♥」

  一口で、口の半分にも満たない小ぶりなペニスと、陰嚢を咥え込む。

  大地の舌技に掛かれば、この程度のチンポなどあらゆるテクニックで責め立てる事が可能だ。

  雪の腕が、大地の頭を抵抗するように抑えるが、勿論そんなもので動くはずもなく、無垢なペニスに悪魔の口淫が容赦なく襲いかかった。

  「やぁぁあ♥[[rb:射精 > で]]る〜!♥[[rb:射精 > で]]ちゃう〜!!♥♥」

  「ぢゅるるるるる♥ぢゅる♥ぢゅっ♥」

  大地の肩に掛けられた雪の足先がピンと伸びて、顎をしゃくりあげながら叫んだ。

  派手な音を立てて、パックリと雪の股座を咥えこんだ大地は、フェラの味など知りもしない、無垢なチンポへと、無慈悲に快楽を叩き込み、吐き出されるザーメンを飲み込んでいく。

  これは雪が誘惑してきたから…だからこんな事になっちまったんだ…!

  大地は、そんな言い訳を頭の中で何度も何度も唱えながら、太陽よりも、ベアよりも、これまで味わってきたどんなものよりも美味いと感じる、雪の精子に夢中になっていた。

  そうしてどんどんと歯止めは効かなくなり…。

  「ジュルルルルル♥ジュルル♥♥」

  「んおおおおおおお♥♥♥♥♥」

  尻を突き出すように、前屈の姿勢になった雪のアナルに、大地のマズルが隙間なく密着する。

  激しい交接の音を響かせて、長くざらついた舌が、まるでドリルのように腸壁を穿っていた。

  雪は、産まれたての子鹿のように、伸ばした足をガクガクと震わせて、誰にも触られたことの無かった秘部を、大地に好き勝手荒らされていた。

  雪の中には、腸壁と膣壁の二つがあり、まだ膣壁の方には膜があって、誰にも触れられたことはない。

  大地もそこに舌を挿入することはなく、アナルの方ばかりを重点的に舌でほじくり回し、股の間に手を入れて、ぶら下がる小ぶりなペニスをクチュクチュと扱いていた。

  「またイク〜〜!!♥♥イッちゃう〜〜!!♥♥んほおっ♥♥」

  アナルに密着するマズル部分から、ポタポタと唾液が落ち、大地の口元を濡らす。

  既に口淫によって、すっからかんになるまで搾精されてしまった雪は、ビクビクとペニスをしゃくり上げるものの、そこから出るのは我慢汁ばかり。

  口を突き出し、瞳孔をガクガクと揺らして、ブルブルと震える雪は、ジュポポポポッ!と勢いよく舌を引き抜かれると、ビクンと大きく身体を揺らして、そのままそこへ崩れ落ちるように倒れた。

  「はぁ♥はぁ♥」

  「ひ…っ♥も、もうやぁぁ♥♥」

  雪のそんな言葉を無視して、大地は色に狂った瞳で彼を見下ろした。

  横倒れになった雪の片足を持ち上げ、自らの肩に引っ掛けると、今度はアナルへと指を2本突っ込み、同時に、もう空イキしかしないチンポも扱き始める。

  「ひぎぃぃぃ♥♥お尻っ♥お尻おかしくなるぅぅ!!♥♥それやぁぁ!♥♥」

  「はぁ♥はぁ♥お前がっ♥お前が悪いんだぞ!♥このっ…このっ…♥♥悪ガキが!♥♥」

  「ひぃぃぃい!♥♥なんか来る!!♥♥お尻からなんか来ちゃうよぉぉ!!♥♥」

  「イケ!♥イケ!♥ケツ穴でイケ!♥メスイキしてみろ!!♥そら!♥♥」

  「あ゛っ♥あ゛っ♥あ゛〜〜〜〜〜!!!♥♥♥」

  雪が、大地の腕をギュッと掴んで、全身に力を入れた。

  散々いじくり回されたケツの穴。激しくも丁寧に刺激されたそこは、いつしかメスイキ出来るくらいに快感を享受していて…。

  持ち上げられた足が、ガクガクと震えて脱力する。

  とうとう一線を越えてしまった運命の歯車。

  それは刻一刻と、重なり合う宿命の時に向かって進み続けていくのだ。

  ◆◆◆◆

  「もう行っちゃうの…?」

  「またすぐ会えるって!な!」

  「……うん」

  大地がそう言って、唇を尖らせ、名残惜しそうに俯く雪の頭をワシャワシャと撫でる。

  本当は離れたくない。もっともっと雪の存在を感じていたい。

  けれど、どうしてもそれは、兄弟という理性の壁によって防がれ、阻止され続けた。

  「俺達の息子、ずっとずっと愛してるよ。」

  「……俺も」

  「Love you paa」

  昴に抱きしめられながらも、視線はその奥、こちらを見つめ、悲しそうに眉を顰める雪の姿に注がれていて…。

  何度も振り返るように家を後にした。

  家の玄関が閉まるにつれて、雪の姿も見えなくなっていって…。

  どうしようもなく恋焦がれてしまう。

  ただひたすら求めてしまう。

  そんな自分の欲望に、その扉と同様、大地は鍵を掛け、またゆっくりと、何も無かった振りをする。…そんな日常へ向かって歩き出すのだ。

  Fin

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