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血繋実父親孕Ω♂人間話

  俺が何とか、はっきりとしない記憶の片隅に覚えている父さんとの記憶は、いい思い出と、悪い思い出、その両方だった。

  最も幼い頃、なんとなく覚えている父の記憶は、とても優しくて、ただ傍に居るだけで凄く心地よくて……。

  父に抱き締められた時の手の大きさや、頼りがいのある大きな大きな身体。それに、香ってくるいい匂いや、どこまでも優しい笑顔。

  白虎の獣人だから体毛があるのだけど、しっかり整えられたそれは、触るととてもふわふわとしていて、すごく暖かかったような気がする。頭を撫でてくれる肉球付きの柔らかい掌も、ただただとっても心地よかったな。

  それに、極めつけは、いつも俺の名を呼ぶ、低くて優しい声……。

  ーーー…昴

  そう言って笑う父の顔が、たまに記憶の中を過ぎっていく。

  ………全部全部大好きだった。

  いつまでだって、父が家族を守ってくれるんだと信じていた。

  幼い頃の俺は、家族三人で暮らすこの日常が、これから先もずっとずっと続いていくんだと、変わらずに幸せであり続けるんだと、そう思っていて…。

  だけど……

  「あの子………俺……っ…〜〜…!!」

  「貴方……正気……っ!?…そんな……〜〜!!」

  俺が10歳になる頃の話だっただろうか…?なんだか突然、父と母の喧嘩が後を絶たなくなった。

  あんなにも仲が良かった筈の両親が、ある日を境にして毎日のように、そんな激しい喧嘩ばかりをし始めたのだ。

  俺は夜中になると決まって二人の大きな大きな怒鳴り声に目を覚ますと、目を擦りながらこっそりと部屋を出て、居間の扉の隙間から、そんな二人の様子を眺めた。

  いつもあんなに柔和だった筈の父と母の顔が、恐ろしいほどの剣幕に染まっていて……。

  会話の内容は正直、幼かった…というだけではなく、俺は何故か幼少期の記憶が酷く曖昧…という理由もあって、今思い出そうとしても全く思い出せない。

  それよりも、とにかく二人の様子が恐ろしくて、これから家族は一体どうなってしまうのかと、戦々恐々としていた。

  枕を頭に被って耳に押し付け、何とかその怒声が聞こえてこないように、眠れない夜を過ごしていた気がする。

  そして確か、その時期からだっただろうか。

  母が異様に、父と俺の接触を警戒し始めたのは。

  「昴!お父さんに近付いちゃ駄目!!」

  「え……なんで…?」

  「いいから!!お父さんに身体を触られたり、物陰に連れていかれようとしても、絶対抵抗するのよ!?分かった!!?」

  母はそう凄い剣幕で捲し立てて、俺の両肩に爪先が食い込むほどの強さで身体を揺さぶると、とにかく俺と父との接触をできるだけ辞めさせようとした。

  父も父で、仕事から帰ってくると、何やら悲しそうな、複雑そうな、そんな何とも言えない表情で俺を見下ろして…母は、そんな父から俺を守るように前に立つ。

  どうしてそんな風に俺を見るのか、どうして両親はこんなにも変わってしまったのか、幼い時分にはそれがとにかく分からなくて、ずっと不安駆られていた気がする。

  そして、最終的に両親は別居するという事になり、俺は母に手を引かれて、母方の祖母の家に連れていかれる事になった。

  後で聞いた話だけれど、別居に関しては完全に母の独断で、父には置き手紙だけを残してさっさと出てきてしまったらしい。

  連日祖母の家の電話が鳴り響いて、その度に祖母や母が冷たくあしらうような声が聞こえ、多分それが父相手だった事は、その会話の内容から子供の俺でも、なんとなく察する事が出来た。

  ーーそして、とある日…またしても電話が鳴り響き…。

  その日は、祖母も母も出掛けて居なかった。

  俺は一人で家に留守番をしていて、母からは絶対に、電話に出たり、誰か来ても玄関の扉を開けるような事をしてはいけないと、口を酸っぱくして言われた。

  でも俺は、電話に備え付けられたディスプレイの番号に見覚えがあり、それが離れてしまった父の、見慣れたスマホの電話番号だと分かると、あれ程母に厳しく止められていた言いつけを破って、久しぶりに父の声を聞ける、そんな事を思いながら、ただ嬉しさにあまりにその電話へと出てしまったのだ。

  「もしもし…お父さん?」

  「…昴?」

  父は最初、非常に驚いて、唖然としたように俺の名を呼んだ。「そうだよ!久しぶり!」と俺が嬉しそうに言うと、父は数秒の沈黙の後「お母さん…や、おばあちゃんは居るか?」と聞いてきて、俺は素直に、二人とも出かけていて今家には誰もいないと答えた。

  すると、父はどこか安心しきったように息を吐いて、久しぶりに聞けた俺の声にどこか、感動でもしているかのような、そんな優しい声をまた聞かせてくれる。

  「元気だったか?」

  「うん!元気!」

  「ご飯はちゃんと食べてるか?転校して、不安になったりしてないか?」

  「うん!おばあちゃんのね、お料理がとっても美味しいの!それにね!最初はちょっと変な感じだったけど、今は友達も出来て楽しいよ!」

  「……そうか。」

  「うん!お父さんは元気だった?」

  そう聞くと、父は少し言葉に詰まったように電話口で黙ってしまって、俺がもう一度「お父さん?」と聞くと、少し疲れ果てたように「あまり…元気じゃないな…」と苦笑いしながら教えてくれた。

  「お父さん…元気じゃないの?」

  俺がそう心配して聞くと、父は俺や母が居なくなってから、心配で心配で夜も眠れなくなったと言った。

  母が勝手に置き手紙だけして出ていったという話は、この時聞いた話だ。

  俺はそんな父の様子が気になって、どうしてこんな風に母と喧嘩しているのか、そう聞いてみた。

  「それは……」

  父が言葉に詰まったようにそう呟く。

  それまで、彼が俺に隠し事をしたり、何かを言いにくそうにした事は一度も無かったので、その時点で、何か複雑な事情が絡んでいるだろう事は、何となく子供ながらに察する事が出来ていた。

  父の話だけじゃなく、母に聞いても、同じように言葉を[[rb:噤 > つぐ]]んで、俺に理由を話してはくれなかったという事もある。

  ただ一言「お父さんが悪いのよ」そう言って……。

  「お母さん、お父さんが悪いことしたからもう一緒になれないんだって言ってたよ?」

  「………」

  「お父さん…悪いことしたの?…もうお父さんと一緒になれないの?」

  「……昴」

  「嫌だよ……俺……お父さんと離れたくない。…だからお父さん、お母さんにちゃんと謝って…!また一緒に暮らそう!」

  俺が涙ながらにそう語ると、受話器の向こうから息を飲んだような声だけが聞こえた。

  俺はグズグズと涙を流して、しばらく無言のまま、静かに時が流れる。

  そして、意を決したように受話器の向こうから、父の声が聞こえてきて…。

  「今から…そっちに行くから…」

  「ぐす…本当?」

  「ああ、もちろんだとも。泣いてる昴を、放ってはおけないからね。」

  俺は父の言葉に嬉しくなって、すぐ笑顔になり「うん!」と大きく返事を返した。

  都心から離れた、少し田舎の方とは言え、父の車を使えば、だいたい二時間程度で来れるくらいの距離だ。

  俺は父にさよならの挨拶を返すと、久しぶりに彼に会えると思って、機嫌が良くなった。

  そして、きっと父が母に言って、今の状況を何とかしてくれる。また三人で一緒に暮らせる。

  そう無邪気に信じて、父が来るのを待った。

  そして……

  ピンポーン…

  「お父さん!!」

  「昴!!」

  家のチャイムが鳴り響き、俺は母の言いつけなど全く忘れて、玄関の扉を勢いよく開けた。

  そこには、相変わらず、優しい笑顔をした、柔和な父の姿があって、飛び出すように抱きつけば、当たり前のように父もそれに返してくれる。

  虎獣人の大きな毛深い腕と身体に全身を包まれて、懐かしい父の匂いが、鼻腔を刺激した。

  陽だまりみたいに暖かくて、ヒーローみたいに逞しくて、いつもと変わらない、あの頃のままの父。

  父は一度抱き上げた俺をその場に下ろすと、頭をワシャワシャと撫でてくれて、嬉しそうに向き直った。

  「元気そうだな。昴。」

  「うん!お父さんも、元気になった?」

  「もちろんだ。昴に会えたから、お父さんも元気になったよ。」

  良かった…そう笑いながら父を見上げると、彼は優しく微笑む反面、眉は八の字になり、俺を見つめるその瞳にはどこか、申し訳なさのような、悲しみのような感情が見え隠れしているようにも見えた。

  父は何も言わず、優しく俺の手を引くと、そのまま車に乗せて走り出す。

  「どこに行くの?」と聞けば「昴の大好きなお家に帰ろう」と微笑み、きっと父は、元の家に母も呼んで、そのまま一緒に前の生活に戻るつもりなのだと、俺はそう確信して笑った。

  車の中では色々な話をした。新しい学校の事や、おばあちゃんの料理の事。最近やってるゲームだとか、学校で行われた大規模な血液検査の事。

  「それでね。俺、Ωだって!!Ωってすごく珍しいから、先生も驚いてたんだよ!!でも、皆に聞いても珍し過ぎて誰もΩが何なのか知らないの。お父さんは知ってる?」

  「………」

  父は、そんな俺の言葉を聞くと、一瞬強ばった顔をして……。

  「あぁ、お家に帰ったら、教えてあげるよ。」

  「ほんと!?やったぁ!!」

  そう、どこか複雑そうな、真剣そうな瞳で、呟いたのだった。

  ◆◆◆◆

  元々住んでいた家に着くなり、父は俺に向かってこう言った。

  「昴、久しぶりにお父さんとお風呂に入ろう。いいか?」

  「うん!分かった!」

  俺は父の言葉に何の疑いもなくそう言って、部屋に残っている自分の服を持ってこようと走り出す。

  この家から出ていく前、母が父に誘われても絶対に着いていってはいけないと酷い剣幕で言っていたけれど…。

  幼い記憶力でそのような注意など覚えているわけもなく、ただ久しぶりに父と一緒に居られる高揚感で思い出すことさえ出来ずに、俺はその言葉に従った。

  俺の部屋は何故か少し変な感じがして、なんて言えば良いのだろうか、まるでごく最近まで誰かが使っていたかのような、そんななんとも言えない生活感があった。

  父から良く香ってくる大人の匂いと、形容し難い、雄の匂い。それがおそらく精子の匂いだったと気付くのは、もっと大人になってからの話。

  服が収められていたクローゼットも少し荒れていて、幾つかの下着や服装は、ベットの上に散乱していた。

  けれど俺は、特に不審に思うわけでもなく、まだ誰の手にも触れていないだろう着替えを持って部屋を出ていく。

  「着替え持ってきた!」

  「よし、行こうか。」

  「うん!」

  父に連れられ脱衣所に入った俺は、慣れた手つきで手早く服を脱ぎ去った。

  父はそんな俺を、食い入るような瞳で見つめ、そしてゴクリと、大きく喉仏を上下させて、額から大粒の汗を垂らす。

  「お父さん?」

  聞くと、彼はハッとしたように目を見開いて、その後笑ってその様子を誤魔化すと「先に入ってなさい」と自身もいそいそ服を脱ぎ始めた。

  相変わらず、その柔和で優しげな風貌からは想像できない程の、逞しい筋肉だ。

  シャツをパンパンに膨らませる程の筋肉は、それを脱ぎ去ると、彫刻よりも洗練された肉体を顕にさせ、俺は密かに憧れを持っていた。

  父は警官で、刑事だ。日頃から定期的に職場でも柔道などの訓練を受けていて、身体を鍛える事に余念が無く、休日などもジムでトレーニングをしているのは知っていた。

  そうやってストイックに自身を鍛え上げる父は、漫画やアニメで出てくる、悪い怪物を懲らしめるヒーローなんだと、俺はそんな風に思っていて…。

  そんな父を尻目に、俺は浴室に入ると、シャワーの蛇口を回して、身体を洗う準備を始めた。

  それと同時に、程なくして父も浴室に入ってくる。そんな父は、当たり前であるが、俺が見上げてしまうほどの体格で、彼の太腿の太さが、俺の胴体と一緒というくらいの、本当に凄まじい体格差があった。

  その上、男らしく鍛えられた胸には、わさわさとした胸毛。それが割れた腹筋の中央を通るようにして、股間の逸物へと伸びている。

  俺の腕ほどもあるのではないかという、太長いペニスが揺れていて、白い包皮に包まれたそれは、ムンムンとした雄のフェロモンを周囲に撒き散らすようだった。

  父は、そんな俺を後ろから抱きしめるようにして、その場に膝を着くと、シャワーを手に取り、身体を洗ってくれる。

  そして、俺を胡座を掻いた股座の間に座らせると、暖かいシャワーで身体を濡らしながら、ゆっくりと優しく、まるで語りかけるように声を出して……。

  「……昴、お父さんの事…好きか?」

  「うん!大好き!」

  「そうか…。お父さんも、昴の事大好きだぞ。」

  「うふふ…知ってるよ!だってお父さんだもん!」

  「あぁ…ハハハ…そうだな。」

  父はそう言って、なんだか乾いたような笑い声を出すと、シャワーヘッドを壁に戻して、自らの手にボディーソープを何度か垂らした。

  掌の毛でそれを泡立て、柔らかい肉球で俺の身体を揉むように滑らせる。

  そんな肉球と、泡立ちのよい体毛で全身を洗われる心地良さに、俺は目をつぶり、安心しきったように身を預けた。

  「そうだ。Ωについて知りたいんだよな?」

  「うん!お父さん知ってるの?」

  「もちろん知ってるぞ。お父さんは物知りなんだ。」

  そう言って父が話してくれたのは、Ωという性を持って産まれた子の特徴と、運命の番と呼ばれるαの存在についてだった。

  曰く、Ωの身体には、男性なら股の間、陰嚢の下に割れ目があって、そこで将来的には子供を産むことが出来るという事。

  Ωにはたった一人、運命の番と呼ばれる、αが存在していて、それらの性が成熟してしまえさえすれば、出会った瞬間互いに直感で理解し合い、惹かれ合うという事。

  言いながら、父の指先が、彼の目の前で立たされ、下半身を洗われる、俺の股の間にスッとさりげなく滑り込んだ。

  「ほら、分かるだろう?ここがその、Ωにしかない割れ目だ。こうして弄られると…なんだか気持ちよくなっちゃうんじゃないか?」

  「っ…!?…は…へっ…???♥あ…っ♥お…父さ…♥そ、そこ…っ♥あぇ…?…???…」

  クチュクチュと音が鳴って、父のささくれだった毛深い指先が、何度も割れ目の表面を上下に擦りたてる。

  その感覚は今まで感じた事のない、得も言われぬような、激しい快楽であり。そんな突然の快楽に思考が整うわけもなく、俺の口からはただ困惑と共に、惚けたような声が小刻みに出た。

  俺はただ、父にされるがまま、ガクガクと膝を派手に震わせて、股の間に滑り込む父の太い腕を両手で掴んで痙攣する。顎をしゃくりあげ、力無く開いた口からは掠れた声がリズム良く溢れ、上を向く瞳孔が、ガクガクと瞳の中で揺れ動き、視界さえも定まらなかった。

  次第に全身の力が抜けていき、上半身を前のめりに倒して、思わずガニ股になっていくのを、父の力強い腕で支えられる。

  そしておもむろに、こちらの頭を掴み、逸らした父が、俺のうなじに優しくカプリと噛み付くと、瞬間、全身を電撃のような、激しい快楽と熱が襲いかかってきて…。

  「〜〜〜〜ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っっっ??????♥♥♥」

  それは、運命の番だけが行う事の出来ると言われる、Ωへの強制発情であった。

  父は、俺のうなじに噛みつき、俺の身体の発情を操作して、幼く未成熟な全身を敏感にしてしまったのだ。

  本来ならば、初めての発情はもっと後、思春期になる頃に、自然と訪れる筈のものだったのに、まだ未熟な、準備の出来上がっていない俺の身体に、彼は容赦なく発情を仕掛けてしまって……。

  顎をしゃくり上げ、舌を突き出しながら、俺は強烈的な発情と快楽に、ブチブチと脳神経を焼きちぎって絶頂した。

  父に支えられている為、何とかその場へと倒れずに済んだだけであって、ピンとそそり立った小さな包茎チンポからジョロジョロと小便を吹き出し、指を挿入された女性器から、潮をプシュプシュとスプレーのように噴き出す。全身は硬直して、恐ろしい程ガクガクと震えた。

  父の指先がそのまま、まだ誰の手も入っていなかった、俺の肉壺の中へと侵入してくると、そこを拡げるように、様々な角度で刺激し始めて…。

  「?…♥?…っ♥…???♥♥♥」

  「昴のおまんこは、まだまだ硬いな。お父さんがしっかり解してやるから、沢山気持ちよくなるんだぞ。」

  「お゛…どおざ…っ♥♥んい゛…っ♥♥ぞれ゛っだめっ♥♥」

  父の指先が、膣の上側をなぞり、下側を圧迫し、子宮口の入口を擦って、戯れに勢いよく、収縮する肉壁を引っ掻きながら引き抜かれる。

  瞬間、それに釣られるように、まんことちんこからブシュッ!と潮が吹き出して、俺の膝がピンと気を付けの状態で跳ね上がる。

  そうして、声も出せず「ッ!?♥ッ!?♥」と、痙攣する度、喉の奥から掠れた音だけを出す俺を尻目に、父はまたすぐ俺のオマンコに指を挿入すると、クチュクチュと音を鳴らしてそこを掻きむしった。

  唇を突き出し、目を細めて、"く"の字に身体を曲げる俺の顎を引き寄せて、噛み付くようなキスをする。

  まるで大きな蛇が、口の中で暴れるように、父の舌は俺の口内を蹂躙して、唾液を大量に交換し合った。

  それを何度か、まるで楽しむかのように繰り返すと、一本だけだった指がいつの間にか二本に増えて…。

  「ん…っお゛お゛お゛♥♥お゛お゛お゛っっ♥♥」

  「そうら、これ気持ちいいなぁ。昴の良い所、お父さんもう分かっちゃったぞ?」

  「ひぎぃぃぃああああ♥♥♥」

  ゴチュゴチュゴチュゴチュ…と高速手マンされて、俺は口を突き出しながら目を上向きにして叫んでいた。口から漏れる声は、およそ子供が出して良いような、そんな声とも言えず、まるで獣の[[rb:嘶 > いなな]]きのようでもあった。

  ブシィ!ブシャッ!と派手にオマンコから潮が吹き出し、掌を濡らすのを無視して、父の太い指が確実に中を拡げ、上側の肉を引っ掻いてくる。

  いつの間にか風呂椅子の上に座った父の、少し開いた股の間に、跨るよう足を大きく開いた俺は、自身の恥ずかしい部分を閉じれなくされて…。

  人生で初めて与えられた快楽が、これだった。

  頭がおかしくなるんじゃないかと思うくらい、恐ろしいほど気持ち良い経験だった。

  けれど、真っ白になっていた思考回路じゃ、そんな事考えている余裕はなくて……。

  「昴…っ…昴…っ…俺の運命…っ♥♥」

  「あ゛…??…♥ひあ…っ♥♥…」

  向かい合わせにされて、父が俺をこれまで見た事もない程の熱っぽい瞳で見つめながら、そう言っていた。

  耳や頬を、そのざらついた舌で舐められて、おまんこをグチュグチュ掻き回されながら、開いた口に情熱的な口付けを交わされた。

  俺は喉と鼻から、掠れたような、声とは言えない音のようなものを何度も小刻みに出して、全身を危なげにガクガクと震わせる。

  ただ与えられる快楽が強大すぎて、俺の幼い脳ではその全てを受け入れる事が出来なくて…。

  「ん゛…っふぅぅ♥♥♥♥…♥…♥…っ」

  父の唾液を大量に飲まされ、舌を吸われる間に、俺はこれ以上無いって程の絶頂を経験した。

  徐々に途切れていく思考と視界の中で、俺はそのまま、フッと意識を失ってしまい……。

  [newpage]

  目を覚ますと、パジャマを着せられた俺は、父の腕の中で、頭を撫でられながら抱きしめられていた。

  「目を覚ましたか?」と少し心配そうに覗き込まれると、そこには夢の中で見た、どこかいつもと違う父の姿はなく…。

  やっぱりあれは夢だったんだと、そう思った。

  そして、そこから記憶が非常に曖昧になって、なんで自分が今ここにいるのか、なんで父がそばに居たのか。

  そもそも何故眠っていたのか、それすら分からなくなってしまっていて…。

  「アイス食べるか?」

  「……ううん…なんか…具合悪いの…」

  「そうか……」

  「凄く怖い夢見た気がする…男の人になんかされる夢…」

  「………」

  「ごめんな…」父はそう言って悲しげに眉をひそめ謝ったけれど、俺は何故父がそんな顔をするのか、そして何故父が謝っているのか、理解出来ず、ただ頭が痛くてそれ以上考える事を辞めた。

  父の腕の中でもう一度目を閉じると、彼の優しい大きな手が、頭をゆっくりと撫でてくれて…。

  ガチャン!!!

  そんな大きな音と共に、玄関の扉が勢いよく開く気配がして、ドタドタと誰かが床を走ってくるような音がした。

  なんだろう…と、少し恐ろしくなって顔を上げると、そこには、髪を乱し、荒く息を吐いた母の姿があって、俺と父を見つめると、じわり…涙を流しながら、恐ろしい形相で叫んだ。

  「あんた!!何してんのよ!!!!!????」

  「……お母…さん…?」

  「昴!!昴!!何か変な事されてないわよね!!!??こっちに来て!!今すぐ!!」

  「う、うん…わ、分かった…」

  母は、本当に今まで見たこと無いほどの怒声を父に浴びせ、そのあまりの剣幕に、俺も思わず戸惑って、言われた通り母の元に行こうとする。

  けれど、父がそんな俺の身体を抱きしめ、母を睨みつけると、俺は動けなくなって「お父さん?」と不安そうに顔を見上げた。

  父も父で、母程では無いにしろ、その顔を厳しく顰めており、俺を抱きしめる腕に尚更力を込めると、母に向かって毅然と言い放った。

  「昴は俺の運命だ。何度もそう言っただろ。お前にそれを止める権利はない。」

  「……っ…!…あなた…本当に…っ」

  母は、ギョッと目を見開いて、信じられないという風に瞳孔を小さくし、僅かに震えながら父を見た。

  運命…。それはなんだか、夢の中で誰かが言っていたような、そんな気がする言葉。

  俺はあまりの快楽に、どうやら記憶が無くなってしまったようで…。

  聞き覚えがある言葉だとは思いつつも、恐ろしく険悪な空気を漂わせる、二人のやり取りをただ黙って見る事しか出来なかった。

  どちらにせよ、父は最初から謝るつもりも、どうにか家族三人に戻るつもりも、無いんだと何となく分かって、がっかりした記憶だけは残っている。

  そこからまた、母と父の口論が始まったのだ。

  「実の息子が運命の番!?そんな馬鹿な話聞いた事ないわよ!!」

  「それでもこの子は俺の運命だ!!お前には分からないかも知れないが、これは変えようのない事実だ!!」

  「馬鹿な事言わないで!!血が繋がってる自分の子なのよ!?例えそうだとしても、認められる筈ないじゃない!!」

  「関係ない!!この子だって、いつかは俺と共になる事を選ぶ!!それが運命の番の宿命だ!!」

  「ふざけないで!!!」

  その言い争いは、今まで行われてきたどんな喧嘩よりも激しいものとなり、母は手身近にあるものをとにかく父に向けて投げつけていた。

  母が自慢にしていた、代々受け継がれているという食器。趣味の良い筒型の、職人が丹精込めて作った硝子の花瓶。棚に置かれた電話機から、ペンやえんぴつの入った小物入れまで。

  叫んで、泣いて、刃物まで取り出そうとする始末。

  俺は母のそんな、あまりにも恐ろしい様相に恐ろしくなって、息を荒く、ガタガタと部屋の隅で震えることしか出来なかった。

  騒ぎを聞き付けた誰かが警察に通報して、何とかその場は収まったけれど、母は、父に俺を誘拐されたという話を号泣しながら警察に語り、結果的に二人はそのまま事情聴取の為連れていかれ、俺はおばあちゃんの家にまた戻る事になった。

  数時間後、帰ってきた母は、おばあちゃんの胸の中で泣きじゃくり、とてもやつれた様子で、見ていて痛々しかったのを覚えている。

  父の行動は、結果的に親が子供を家に連れて帰っただけ…という事になり、特にお咎めはなかったようだけど。

  けれどその後、両親が離婚するという話が出ると、母は父に対して、俺への接近禁止令を裁判所に提出し、どういう裁判が行われたかは分からないけれど、それは受理されたらしい。

  ただし、それは俺が成人するまでの一時的な処理という事に落ち着き、父と俺はそれから、電話で話す事も、手紙でやり取りすることも、何もかも禁じられ、もうずっと、関わり合うことなく今まで過ごしてきた。

  ーーそうして、いつしか俺にとって父は遠い遠い過去の人物になり……。

  母の執拗な憎悪の言葉によって、いつしか記憶の中の父は、俺にとってもあまり良い人物には思えなくなってしまっていた。

  母の心を、強い憎しみによって壊してしまった父。

  家族を引き裂く事を選び、崩壊させてしまった父。

  俺を攫い、記憶が曖昧になるほどのトラウマを植え付けた父。

  結局、俺が覚えている父の姿は、本当に幼い頃の、優しくて暖かかった、穏やかで、柔和な笑顔の父の姿と…。

  けれど、母を狂気に陥らせてしまった、自分勝手で、家族の事を何とも思っていない。

  心の奥底に潜む、トラウマから構成された、恐ろしい悪夢の中で出会う父の姿。

  

  今でも頻繁に夢に見る、トラウマになったと思しき記憶の断片。

  その中に現れる、父らしき白虎獣人の男は、酷く熱の篭った、ギラギラと恐ろしい瞳で俺を見つめ…。

  優しく、頼りがいがあった筈のあの声。

  あの大好きだった柔和な声で、俺の名前を不気味に呼ぶのだ。

  …昴  すばる スバル …昴 昴 スバル すばる

  スバル 昴  すばる …昴  昴  …すばる  昴

  昴 すばる …昴 スバル すばる …昴 昴 すばる

  スバル 昴  すばる …昴  昴  …すばる  昴

  …昴  すばる スバル …昴 昴 スバル すばる

  ーーー俺の運命…ーーー

  「…んあぁっ!?♥」

  夜中に、そんな艶っぽい声を上げながら、俺は全身を痙攣させて目を覚ます。

  汗がじっとりと身体中から噴出していて、息も荒く、言い様のない感覚が、身体の奥でグルグルと渦巻いているような気がした。

  「……また…」

  おそらく、幼少期のトラウマを夢に見ているのだろうと医者には診断された。

  夢の内容は覚えていないけれど、決まってそこには、ギラついた目をする、そんな虎の男の姿が見えるような気がして…。

  「……濡れてる…」

  違和感を感じて股の間に手をやると、汗だけとは決して言えない粘液のようなものが、べっとりと下着を濡らしていた。

  「……風呂入ろう。」

  これが起きた時は決まって、発情の周期に入る。

  俺は憂鬱な気分で布団から立ち上がると、どこか疼くような下腹を押さえて、部屋を後にしたのだった。

  そうして、10年の時が経った。

  [newpage]

  20歳になる少し前に、母が病気で亡くなった。

  色々な心労が祟って衰弱しきっていた母は、病院に入院してずっと療養生活を送っていたのだのだけれど、その結果も虚しく、呆気なく逝ってしまった。

  理由は祖母の病気による急死と、仕事によるストレス、疲労、そして、1番の原因は多分ーー接近禁止命令が解かれた後の、父の事。

  母はずっと、父の影に怯えていた。いつか絶対父が目の前に現れて、俺を攫うと信じきっていた。

  酷い時には監視カメラで監視されてるだの、家中に盗聴器が仕掛けられているだの、そんな被害妄想に襲われて、医者からは統合失調症と診断され、薬の量も多くなっていった。

  結果的に、それらの心労が祟って心臓を悪くし、心臓発作で呆気なく亡くなってしまった時は、俺も流石に動揺してしまって……。

  母には感謝してもし足りない。

  彼女はいくつもの仕事を掛け持ちし、俺を高校までしっかり育て上げてくれた。

  言った通り、18歳の成人と共に、父の接近禁止令が解かれると、母は被害妄想に囚われ、まともに働けなくなってしまい、俺はその後進学する事はなく、母の世話や家事、アルバイトをして家計に貢献してきた。

  そして、そんな風に忙しなく過ごす日々の中、アルバイトをしている時、突然緊急の連絡が来たかと思えば、母が入院先で亡くなってしまったと聞くと、俺の世界は一瞬にして、灰色になってしまったのだ。

  母の葬儀は、使えるお金が殆ど無かった事もあって、とても質素に行われた。

  親しい家族はもう俺一人しか居なかったし、残っているのはおばあちゃんの家くらいで、…そりゃ家があれば生活するには困らなかったけれど、入院や薬代など、貯金を行える程の余裕も無かった。

  俺はΩで定期的な発情期があり、そう言った理由から毎日働く事は出来なくて、ある程度融通の効く、時給の安い低賃金な仕事に就くのが精一杯だったという事もある。

  母が仕事を止めて2年も経っていたし、殆ど入院生活で、関わるのが俺くらいしかいなかった事もあって、式に参列したのは俺だけ。

  ……の筈だったのだけど。

  墓の前で喪服に身を包み、ただぼんやりと立ち尽くす俺を、遠くから観察するように見つめる大きな影があった。

  まるで周りから見られるのを避けるみたいに、黒いサングラスで目元を隠し、パツパツの喪服に身を包んだ一人の大柄な白虎獣人の男。

  そんな彼に気付く事もなく、家族の墓標に花を添えた俺が、くるりと踵を返せば、ふと、視界の端に虎の姿が目に入り、俺も一瞬、歩みを止めて…。

  最初は誰だか分からなかった。身体の大きさと、虎特有の縞模様が不意に目に入って、思わずそれを見つめてしまっただけ。

  勿論、墓参りなんて俺以外にしてる人は幾らでもいるだろうし。

  けれどそれがまさか、母と俺に会いに来た……父の姿だったとは、すぐに直感出来るわけもない。

  白虎獣人は珍しいけれど、全く居ないわけじゃないし、俺はもう父の顔を殆ど覚えていなかった。

  2年前、18歳になると同時に、父が現れると警戒していた母の言葉はいつだって聞いていたけれど、結局彼はずっと会いに来ることも無く、俺はすっかり、彼ももう会うことをやめたのだろうと、そう決めつけていた節があった。

  とても警戒していた母には悪いけれど、その気になればアルバイト先にだって現れる事は出来ただろうし、母が言う程酷い人なら、とっくに俺は手を出されていてもおかしくないと思っていたから。

  でも結局彼が現れる事はなく、俺は一応警戒しながら日々を過ごしていたけれど、それももう、なんと言うか、疲れてしまって…。

  だから、母の墓の前で、まさか父に会うなど思ってもいなかった。

  父は幸せだった家族を崩壊させた張本人だ。何があったにせよ、父がキッカケで事件が起こってしまった事実は変わりなく、そんな人が、まさか墓参りに訪れるなんて、どんな心情の変化だろうか。

  それに、母は、俺を遠ざけた事によって、父が自分を酷く恨んでいるはずだと常日頃から気を張っていて、母いわく、彼女を嫌っているはずの父がまさかこの場に現れるなんて、と、すっかり俺は気を抜いていた。

  その人は俺と視線が会うと、あからさまに少し慌てた様子を見せて、キョロキョロと周りを見渡し、長いしましまの尻尾を忙しなく動かして身嗜みを整え始めた。

  一瞬口元に手を当てて咳をし、喉の調子を整えたかと思えば、背筋を伸ばして近付いてきたその人が、スっと、そのサングラスを外し始めて…

  「?」

  「……ひ、久しぶりだな。昴。」

  その目を見た瞬間、俺の記憶がどっと押し寄せるように思考を埋めつくした。

  子供の頃大好きだった優しい声。柔和な笑顔。

  ほんの少し老けて、黒い髭を蓄え、目尻には皺も増えたけれど、その面影は、記憶の中のある人物を彷彿とさせて…。

  そして、それだけじゃない。

  いつも夢に現れる、あの悪夢の中で俺を見つめている、蒼く煌めくサファイアのような瞳。

  「父…さん?」

  「あ、あぁ…」

  そう言って、照れたように微笑む、父の姿を見ると、俺は思わずゴクリと唾を飲み、逃げるように後ずさってしまって…。

  「ま、待ってくれ…っ」

  「……っ!?」

  父が手を伸ばすと、俺は身体をビクリと震わせて、あからさまに警戒心を顕にした。彼の顔を見た瞬間から、胸の動悸が収まらず、冷たい汗が止まらない。

  そんな俺の姿を見た父の顔は、とても絶望したような、酷く悲しんでいるような、そんな、聞いていた話とは違う。とても頼りない様子を見せてきて…。

  母には散々、父の危険性を教えこまれてきた筈だ。

  本当ならば俺はこの時点で、一目散に逃げ出してしまわないといけない所だったのに、何故か足が動かず、俺の視線は父に釘付けになってしまっていた。

  「きょ、今日はその…母さんの墓参りに来ただけなんだ。」

  「……」

  「だから…お前に手を出そうとか…そう思っていた訳じゃなく……。…参ったな…。時間も空けてきたつもりだったんだが。」

  父はそう言って、困ったようにぎこちない笑みを浮かべ、後頭部をポリポリと爪で掻く。

  そこに居る父の姿はどう見ても、母が言っていたような、凶暴で、変態で、子供に手を出してしまうような……。そんな欲望に弱い犯罪者のようには見えず、俺はなんだか反応に少々、困ってしまう。

  「い、良いか?」

  父はそう言って、墓に視線を送り、おそらく、線香をあげて良いか尋ねたつもりなのだろう。俺は少し顔を強ばらせ警戒しながらも、静かに頷いて、それを了承した。

  どうやら俺に配慮してくれているらしい。少し距離を取りながら、慎重に墓の前まで向かった父は、線香をあげ、ゆっくりと手を合わせると、眉間に皺を寄せながら、真剣に冥福を祈っているようだった。

  母は常々、父にはもう、家族を愛するような気持ちは無いと言っていた。

  俺も母の言葉には同意見で、父の当時の思惑など知るよしもないが、結果的に自身の身勝手で家族を引き裂いた人が、俺はともかく、母を大事に思ってるとは全く考えていなかった。

  それなのに父は、突然母の墓参りに来たかと思えば、酷く悲しそうな表情で、母の眠る場所を見つめている。

  そんな父の、今の心情など、俺には到底分からないけれど、あれだけ父を憎んでいた母。その母に対して、こんな優しい表情が出来るのかと、俺は素直に目を見開いて驚いていた。

  父は手を下ろすと、ゆっくりと立ち上がってこちらに振り返り、その大きな身体には似つかわしくない、そんな優しい笑顔で、柔和に微笑む。

  「……辛かっただろう?…よく一人で頑張ったな。」

  「……っ」

  何を言われるのかと身構えれば、しかしそれは、今まで会った誰よりも優しく、そして慈しみの篭った素敵な言葉で…。

  俺が今までどれだけ苦労したのか、本当に分かって言ってくれているような、そんな心地がした。

  幼い頃の記憶同様、あの頃と変わらず落ち着く、父の優しい低い声が、なんだか心に染みていく気がする。

  母が入院してから、誰一人味方もおらず、孤独に問題を抱えて生きていく日々は、本当に、本当に大変なものだった。

  いつだって存在しない影に怯え、取り乱す母と、それを世話しなくてはいけない俺。

  普通の身体とは違う、外見は男なのに、生理や発情にも悩まされる、思い通りにならない身体。

  仕事は低賃金の割に重労働だし、それでも、育ててくれた母に報いるため、精一杯頑張ったけれど…。

  母が亡くなったと知った時、動揺と共に…ーー嗚呼…これで少しは楽になる…なんて、そんな事を思ってしまった自分に、絶望したのを覚えている。

  実の母親を亡くしてそんな事考えるなんて、全く頭がどうかしてるし、許される事では無いのに、けれど、俺の心はそんな常識とは裏腹に、ストレスの種がひとつ無くなってくれる、そんな事を心底嬉しいと思っていて、それが尚更、俺をどん底に落とす引き金となってしまった。

  母が亡くなっても、俺は涙一つ出なかった。

  それなのに…。

  「う…ぅ…っ」

  「ど、どうした?大丈夫か!?」

  どうして、こんなにも父の言葉が身に染みてくるのだろう。

  どうして、こんなにも俺は最低な奴なんだろう。

  そう考えると自然とポロポロ涙が溢れ出てきて、止まらなくなった。

  父が慌てて駆け寄ってきて、ギュッと優しく抱き締めてくれる。

  本当なら、その手を跳ね除けて、施しなんて要らないと、抵抗しなければいけなかったのだけれど。

  俺は思わず、そんな父の、その大きな身体を、躊躇いがちに抱き返してしまって。

  まるで縋り付くように、その優しさに甘えてしまったのだった。

  そんな父からは、幼い頃の記憶同様、相変わらずとても落ち着く優しい匂いがした。

  その匂いに包まれると、俺は家族三人で暮らしていた、あの幸せな日々が呼び起こされて…。

  いつまで経っても泣き止まない俺を見かねた父が、近くの喫茶店に俺を連れ込み、肩を支えてくれながら席に座らせてくれた。暖かいココアを注文してくれた父の気遣いに一応は感謝しつつ、それをゆっくりと飲んで、心を落ち着ける。

  母が入院してからずっと、誰に頼る事も出来ず、辛い日々を送っていた俺は、ただこんな風に、ゆっくりと落ち着いて自分の時間を持つ暇も無くて…。

  久しぶりに、やっと息が出来たような、そんな感じだった。

  食べ物だって、食べれれば何でもいいと思って、コンビニのおにぎりだけで済ます事も少なくなく、まともに食べてない日々だったし。

  「落ち着いたか?」

  父の低い声がそう俺に問い掛けると、俺は彼に目を合わす事は無く、ゆっくりと頷いた。

  冷静になってくれば、何故、俺は今更この人に縋っているのだろうかと、そんな気分になってしまって。

  よくよく考えれば、こんな辛い日々を送っているのは、元はと言えばこの父が家族を引き裂いたからだ。

  最初から彼が家族の為に行動していれば、今の俺の不幸もなく、母だって元気に暮らしていたかもしれないのに…。

  「そうか…良かった。」

  「………」

  「その……」

  父はどうにか話題を探すように、気まずげな様子で言葉を紡ぐ。

  確かに10年ぶりではあるけれど、この10年、俺にとっては本当に、本当に辛い日々が続いていて…。

  「……今更、何の用ですか?」

  「…あ…」

  俺はコトリと、持っていたカップをテーブルに置くと、まるで他人行儀のように、敬語でそのように呟いた。

  実際、もう殆ど他人のようなものだ。

  連絡は取り合ってないどころか、俺は子供の頃の記憶が何らかのトラウマによって曖昧になってしまっていて、10歳という、意思がしっかりしている年齢にも関わらず、父の事は殆ど覚えていない。

  勿論、10歳まで一緒に暮らしていた事はあるので、その面影くらいは覚えているけれど。

  特に、悪夢に出てくる、あの日…。

  父に祖母の家から連れ去られた、あの運命の日の記憶は、とにかく曖昧で、ただ、強い恐怖だけが夢として現れる。

  

  「特に用が無いなら、これで…」

  「ま、待ってくれ…!」

  そう言って立ち上がろうとする俺を、父は必死の剣幕で止めた。

  向かい合っていた席から慌てて立ち上がり、机に置いていた腕を掴まれる。

  「っ…さ、触らないでください!」

  「…あ……す、すまない…」

  俺がその手を振り払うようにして声を荒らげると、父はその声に驚いたように手を離した。

  俺は、触れられた手をすぐに引いて胸に抱え、額から汗を垂らし少しばかり俯く。

  先程は気が動転して泣いてしまったばかりか、駆け寄ってきた父に抱き着いてしまったけれど、冷静になった今、自分がどれだけ愚かな事をしたのかと後悔している。

  狭い喫茶店だ、少し声を荒らげただけで、周囲の視線が刺さるようにこちらを見ていた。

  俺はその視線に居心地が悪い気分になって、財布から飲み物の代金を取り出すと、テーブルにそれを置き、そのまま踵を返して歩き出した。

  この人には、ほんの少しの施しも受けたくないと思ったのだ。

  「ま、待ってくれ昴…!」

  父はそんな俺を見ると、また慌てたように両手をテーブルに突いて立ち上がりそう言った。

  けれど、そんな言葉に従うはずもない俺は、父の言葉を無視して足早にそこから去ろうとする。

  父は同様に財布から紙幣を出すとテーブルに置き、俺の後を追うようにして駆け出してきた。

  その気配を察した俺は、逃げるように歩くスピードを速くして、父から離れるように店を出る。

  「待ってくれ!話を聞いてくれ!」

  「話す事なんか無いです。……これからバイトだし、忙しいので失礼します。」

  「ほんの少しでいい!…昴!」

  「今更何のつもりですか!?話す事なんか無いって言ってるじゃないですか!着いてこないでください!」

  「昴!!」

  店を出た後も、父は小走りで駆け寄ってきて俺の後ろを歩く。

  触れられるのを嫌がっていると理解したのか、手は出してこないものの、俺の後ろをピッタリと着いてきて離れようとしない。

  どうにか話をしようと声を掛けてくる父に向かって、振り返る事もなくそう言い放った俺は、構わず歩き続け…。

  父が悲鳴じみた、懇願するような声で俺の名を呼んだ。

  そしてとうとう、またしても伸ばされた腕が、俺の手首を掴んで。

  「っ…!?…離せよ!?警察呼ぶぞ!」

  「何故聞いてくれないんだ!少し話をしたいだけなんだ!」

  「あんたの話なんて俺には興味無いんだよ!!今更現れて父親面してさ!!アンタが…アンタが家族を壊した癖に!!どの面下げて会いに来たんだよ!!」

  「…っ」

  父が、俺の言葉に絶句したように固まった。

  目を見開き、その言葉の突き刺す痛みで動けなくなったかのようにこちらを見下ろす。

  俺の手首を握り締める力が弱くなって、それを振り払った。

  俺は目尻にまた涙を溜めながら、そんな父を睨みつけて、叫ぶように言葉を続ける。

  「アンタが家族を壊さなきゃ…!母さんだって今頃生きてたかもしれない。俺だってもっと良い人生を送れたかもしれない!……母さんが働き詰めでストレスを抱えることもなかったし!アンタの影に怯えて頭がおかしくなる事もなかった!!全部全部アンタのせいだ!!分かってんのかよ!」

  「………」

  「アンタが俺を連れ出してトラウマを植え付けたせいで、俺は子供の頃の記憶が曖昧になった。……今でもそのトラウマが悪夢になって、夜中に目を覚ますんだ!…そんな状況でバイトして、母さんの世話もして、こんな大変な人生送ってきたのは、何もかも全部、アンタが原因なのに、よく母さんの墓参りになんて来れたな…!」

  「……俺は…」

  俺のそんな叫びに、父は言葉が出ないようで、その場に項垂れるよう立ち尽くしていた。

  「もう金輪際関わってほしくない…!アンタのせいで、俺と母さんは人生滅茶苦茶にされたんだ!…今更現れたって、もう全部手遅れなのに、アンタと話す事なんて、これ以上何も無い…!」

  「……昴」

  父が絶望したように、俺の名を静かに呼んだ。

  そんな顔されたって、そんな風に名前を呼ばれたって、俺の心にあるのは、人生を無茶苦茶にされたという、強い憎しみばかり。

  ここで父を許す事なんて到底出来ないし、そんな選択肢は初めから存在しない。

  俺はそれだけ言って、父を振り切るように踵を返すと、そこから足早に歩き出した。

  父は何も言わず、もう後を追ってくることも無い。その事に内心、ホッと胸を撫で下ろしながらも、徐々に離れていく、その背後で…。

  「…俺達は…運命だ。」

  父のそんな小さな言葉が、聞こえたような気がした。

  [newpage]

  俺が今行っている清掃員の仕事は、日給制のアルバイトで、ひと月にどれだけ休んでも、個人の給料が減るだけで自己責任という、そんな体制のアルバイトだった。

  俺は基本的に発情期間になると、大体一週間くらい出勤出来なくなってしまうので、普通の仕事に就くことは出来ない。なぜなら、一週間もの間、頻繁に休みを取るような人物が居たら、職場のメンバーにも迷惑をかけてしまうし、仕事の負担がただ増えるだけ。なので、そう言った問題を抱えていると分かると、Ωである俺は面接もなく書類審査で落とされてしまう事が殆どだ。

  だからこうして、緊急で金を得たいような、そんなその日暮らしをしている人が行き着く仕事にしか雇って貰えず、安定した稼ぎは望めない。

  その上この仕事は日当が低く、その代わりというように、無断欠勤などがし放題で、いつ発情期が訪れるか分からない俺にとって、ある程度給料が低くても、そうしたしがらみの無いこの仕事は、文字通り自分の性に合っていた。

  「お疲れ様です。」

  「よぉお疲れ!今日も来れたみたいだな!」

  「今月はまだ、先みたいで…。」

  「お前も大変だな。…Ωだっけ?…ほんと、病気みたいなもんだもんなぁ。」

  「…あはは…そう、ですね。」

  職場のロッカールームで、作業着に着替える。

  既にそこには熊獣人と犬獣人の先輩が居て、煙草を吹かしながら、出発の時間までを適当に過ごしている最中であった。

  何度か一緒に仕事をした事ある人達で、どこから知ったのか、俺がΩだという事は職場にいつの間にか広がり、こうして誰もが俺を見ると、その話題で持ち切りになる。

  話を振られる方にしたら溜まったものじゃないが、出来るだけ波風立たせる事無く、俺は無難にそう苦笑いして返した。

  「Ωってよ、金玉の下にマンコ付いてるらしいぜ?」

  「マジで!?…なぁ!?マンコ付いてんのか!?」

  「……そ、それは…」

  こういう仕事に就いている輩は、大抵学もなく、ろくでもない性格の者ばかりか、俺のように訳ありかのどちらかだ。

  この二人は学の無いタイプの方で、人前で平気で下ネタを話し、ゲラゲラと笑っているし、こうやって人の気持ちも考えずに馬鹿みたいな質問をしてくる。

  俺はなんと答えればいいか分からず、言葉に詰まった。

  「馬鹿、そんなん恥ずかしくて言えるはずねぇだろ。ゴメンな昴ちゃん。こいつデリカシーねぇからさ!」

  「あ〜?てめぇだって俺と変わんねぇだろうが!ったくよぉ!」

  「あ、あはは…」

  熊の先輩がそう言って、犬の先輩の脇腹を軽く肘で小突き助け舟を出してくれる。元はと言えばこの人が余計な事を言わなければ、犬の先輩もそんな事を聞いてくる事はなかっただろうに。

  俺は曖昧に笑ってそう流しつつ、上着を脱ぎさってロッカーのツナギに手をかけた。

  ふと、そんな折、先程まで騒がしかった後ろ側が妙に静かになり、何やら視線を感じるような気がした。

  チラリと横目でこっそり後ろを見れば、件の二人がニヤニヤと笑いながら、俺の身体をいやらしく見つめているのが見える。

  こういう時は黙っていた方がロクな事にならないので、俺は思い切って振り返ると、そんな二人に声を掛けた。

  「あの…なんですか?」

  「へへ…いや、なんでもねぇよ。…昴ちゃんよく見たらさぁ、小柄だし、細いし、結構可愛い顔してるよな。」

  「そうそう。人間てさ、俺ら獣人と相性良いよな。知ってるか?」

  「……知りません。…興味も無いです。」

  「馬鹿、怒っちまっただろ! ……ま、それだけさ。気にすんなよ。な!」

  「………」

  俺はそんな二人の目付きや言動に、何か嫌な予感がしつつも、手早く着替えてロッカーを閉めた。

  今日の仕事は、この二人と一緒に、三人で行わなければいけないという事で、本当に気が滅入る。

  熊の先輩が運転する会社のバンに乗って、今日の担当するビルへと向かうことになった。

  昼間、父に会ったことも踏まえて、今日は非常に憂鬱な気分で、とにかく早く仕事を終わらせて家に帰りたいと、そんな事を思いながら俺はただ時間が過ぎるのを待ち続けていた。

  そうして、暫くの後、仕事終わり……

  「よーし、今日はこれで終わりだ!帰んぞー」

  「ふー!疲れたなー!」

  「………」

  夜の早い時間から始まって、仕事が終わるのは朝方、日が昇るか昇らないかという、まだ表も暗い程の時間になる。

  大きなビルの、担当したフロアを、少人数で清掃しなければいけないのだ。時間は掛かるし、だからといって手を抜く訳にもいかない。

  やっと家に帰れる。そう思ってバンに乗り、会社までの道中を走行する中で、俺は窓から外を眺めるウチに気が付いた、ほんの僅かな違和感に、顔を顰めて運転席を見た。

  「…あの…こっち、会社方面じゃないですよ?」

  「あー?そうだったかぁ?まぁいいじゃねぇか、たまにはちょっと遠回りでもさ!」

  「そーそー!ちょっと道間違えただけだって!」

  「………」

  二人の言葉に、俺は額から汗を垂らして、不安に胸が駆られる。

  その間にも、窓の外を眺めれば、車はますます、明らかに会社のある地域から遠ざかっていき…。

  「あの…どんどん遠ざかってますよね?」

  「………」

  「あのっ!」

  「チッ…うっせぇなぁ。おい、ちょっと黙らせろ。逃げられたり叫ばれたりしたら面倒だ。」

  「おっけー!」

  「な、なに…っんっ!!」

  運転する熊の男が、バックミラー越しにこちらを睨みつけて舌打ちをした。

  犬の男が熊の言葉を聞いて、助手席から無理やり後部座席にやってきたかと思うと、俺の口をその大きな手で押さえてしまって…。

  ガチャガチャと慌てて扉を開けようとしたけれど、いつの間にか鍵が掛かっていて反応が遅れた。

  次は窓に手をかけようとしたが、先回りするように犬の男の手が伸びてきて、俺の身体は後部座席の真ん中に引き寄せられる。

  抵抗するように暴れてみるけれど、獣人と人間では、体格にも筋力にも大きな差があり、大した抵抗にはならない。

  俺は口元を押さえられながら、出来るだけ威圧の篭った瞳で、二人を睨みつける。

  「おーおー怖い目ぇしちゃって!でも残念、人間じゃあ俺ら獣人には勝てねぇよ。」

  「そうだぞ。無駄な抵抗すんなよな。…いいじゃねぇか、ちょっと楽しむだけだって!……昴ちゃん、オマンコ付いてんだろ?気持ちよくしてやるからさ!それに俺ら男同士だからレイプになんないなんない!」

  「ん゛ー!!!」

  犬の男の、そんな謎理論に、異を唱えるようくぐもった声をあげるけれど、身体に力を込めれば込める程、ただこちらが消耗するだけで、相手には何の負担にもなっていない事がすぐに分かった。

  俺は鼻息荒く呼吸するけれど、拘束する犬の男は全く息も乱さず、片手で口を、片手で手首を、そして、足を使い、俺の下半身を絡めとるようにして、体重を掛ける。

  俺は情けなくて、自然と目尻から涙を流した。

  踏んだり蹴ったりな人生。踏んだり蹴ったりな日常。

  もう、何を希望にこれから生きていけば良いのか、俺は絶望から徐々に全身の力を抜いていってしまう。

  「お?大人しくなったか?……へへ、そうそう、そうやって従順にしてくれれば悪いようにはしねぇからさ。むしろ気持ちよくしてやるって♪へへへ」

  そう言って犬の男が口から手を離すけれど、俺はもう、何もかもどうでも良くなって、ただ虚ろに虚空を眺めるだけだった。

  男の空いた手が、ゆっくりとツナギのチャックを下ろしていき、薄い肌着に包まれた部分が露出する。

  そして、その筋張った手が、無防備な俺のシャツの中にそっと侵入してきて…

  「うっひょー!すっべすべで触り心地最高だな!今から楽しみだぜ!」

  「おい!先走んなよ!先に手ぇ出したらてめぇにゃあ触らせねぇからな!」

  「チッ!分かってるって!……へへ、昴ちゃん。これ終わったら本格的に俺の彼女になれよ♪優しくしてやるからさ!」

  「………」

  犬の男がそう言って、ニヤケながら俺の頬をベロリと舐める。

  その舌から滴る唾液は、煙草臭くて、ねっとりとしていて、一体いつから歯を磨いていないのかと、そんな風に感じる程不潔なものだった。

  これから、こんな奴らに俺は犯されるのだ。

  Ωというだけで、女性器があるというだけで、男であるという事実は無視され、こいつらの性欲の捌け口となる。俺の心は真っ黒な汚泥の中へと、容赦なく沈んでいくばかりだった。

  

  ……そうだ……死んでしまおう。

  これが終わったら、首でも吊って…

  祖母も、母も亡くなり、そもそもこれから生きる目的もなかった。

  仕事も無い、学も無い、そして、最終的にこうして、クズ共の性欲の捌け口として消費されるくらいなら。

  自ら命を絶って、こんな人生、終わらせてしまえばいいんだ。

  俺はそんな事をぼんやりと考えながら、仕事中一心に考えていた時のように、また時間が経過するのを、ただひたすら待つばかりだった。

  「着いた。ここら辺でいいだろ。おい、席倒せ!」

  「おっしゃあ!待ってました!」

  キィィ!とブレーキの音が鳴り響いて、どうやら目的地に到着したらしい。

  窓の外を見る気力も無くて、自分がどこにいるのかも分からないまま、男たちはせっせと、俺を犯す為の場を整えていく。

  「へへへ…久しぶりの人間だ!」

  「おい!てめぇは散々触ってただろうが!俺が先だ!」

  「あ〜?そんなの関係ねぇだろうが!だったら二人同時に使えばいいだろ!」

  「ちっ!しゃあねぇなぁ!」

  男達がそう言って、こちらのツナギを剥ぎ取って、俺を下着姿にする。

  男達も着用していたツナギのチャックを下ろし始め、熊は腹の突き出した固太りの身体を、犬は、筋張った筋肉質な身体を露わにし、どちらも下品な瞳で俺を見下ろす。俺はただ天井を眺めて、早くこの悪夢から醒めることだけを考えていた。

  「はぁ…はぁ…♥たまんねぇ…!♥妙に色っぽく感じるなこいつ!」

  「へへへ♥♥男の癖にマンコ付いてるなんて、都合のいい身体だな!♥男同士なんだからこれは犯罪じゃねぇ!抜きあいみたいなもんだ!♥」

  「そら、まずは俺のちんぽ舐めろ!♥」

  「こ、こっちは扱いてくれよ!♥へへへ♥」

  「うっ…」

  熊がトランクスから、野太い包茎の逸物を取り出し、犬がボクサーからズルムケの逸物を取り出して、俺の顔面に突き出しながらブルブルと目の前で振るった。

  どちらも仕事終わりで、蒸れに蒸れた非常に雄臭い、ツンとした刺激臭を漂わせており、俺は思わず表情を顰めて、顔を逸らす。

  それが気に食わなかったのか、熊の男は顔を顰めると、俺の髪を乱暴に掴みかかり…。

  「おい!何顔逸らしてんだ!舐めろって言ってんだよ!」

  「そうだぞ!俺のチンポしっかり扱けよ!おら!」

  「…う…う…」

  熊はそう言うと、髪から手を離し、かと思えば俺の顎を掴んで、自身のペニスを口元に持ってきた。犬は俺の腕を引き寄せて、自らのチンポに宛てがおうとする。俺はただ、情けなくて、怖くて、今にも死んでしまいたいと思いながらも、男達の言葉に逆らう事が出来ずに、観念したよう涙を流して口をゆっくりと開けていく…。

  ーーーそんな時だった。

  バリンッ!!

  意を決して、口を熊の男のペニスへと近付けた瞬間、そんな何かが派手に割れる音がして、俺の近くに硝子の破片が飛び散ってきた。

  あまりにも突然の大きな音に、反射的に振り向いた男達が、何事かと目を見開く。

  すると、後部座席の砕けた窓から飛び出すのは、見ず知らずの誰かの巨大な腕。

  その太く、鍛え上げられた腕は、砕いた窓から扉の鍵をガチャリと外すと、バンの扉を勢いよく開けて。

  俺からは、街灯の逆光で見えずらかったけれど、確かにその姿には、見覚えがあったような気がした。

  「だ、誰だてめぇ!俺達は今お楽しみ中だ!!どっか行けや!!」

  「昴!大丈夫か!?」

  「……父…さん?」

  「お、親父だと!?な、なんでこんな所にっ!?」

  名前を呼ばれて、やっとその声の主が記憶から呼び起こされ、俺は、外に立っているのが、実の父親である事を理解した。

  影が僅かに動いて、背後にある街灯の明かりを少し遮るようにすると、逆光が途切れてその顔が見え始める。そこに居たのは確かに父で、俺はただ、その状況が信じられず、呆然とし続けていた。

  父は、男達によって下着姿にされ、涙を流して寝そべっている俺を見つけると、明らかにレイプしようとしている半裸の獣人達を、今まで見たことも無いような恐ろしい形相で睨みつけ、腕を伸ばした。

  男達も男達で、突然現れた虎の大男に驚き、そして、その形相を見ると顔を真っ青にして、ヘビに睨まれた蛙のように固まってしまう。

  伸ばされた腕が男達の脱げ掛けの服を掴みあげ、しかも片手で軽々とそれらの巨体を引き寄せたかと思えば、派手に車の外へと放り出し…。

  反動のまま、その場に顔面を打ち付け、尻餅をついた男達は、怯えた表情で全身から負のオーラを放つ、鬼神のような父の姿を見上げる。

  「貴様ら…よくも…よくも俺の息子に手を出しやがったな…!」

  「ま、待ってくれよ!こ、これは…その……そ、そうだ!!同意の上だったんだ!!あ、アンタの息子の方から誘ってきたんだよ!俺達はその話に乗ってやっただけで!」

  「そ、そうッス!俺達悪くねぇよ!あ、アンタの息子がどうしてもって言うからーー!!」

  「下らねぇ嘘ついてんじゃねぇ!!白々しいんだよ!!そんな嘘に騙される奴がどこにいる!!」

  「ーーっひ、ひぃぃ!!」

  「ま、待て!お、俺もっ!」

  父のそんな怒声に、ビリビリと空気が震えて、犬の男が恐怖あまり、そこから慌てて立ち上がり逃げようと走り出した。

  熊がその姿を見て、助けを求めるように手を伸ばし、四つん這いになるが、中途半端に脱いだツナギが膝に引っかかって、上手く動けない。

  父は地面から手頃な石を一つ、掴みあげると、綺麗なフォームで大きく振りかぶり、逃げ出した犬の男に向かってそれを投げた。

  投げられた石は非常に高速で、高度を落とすこともなく、犬の男の後頭部に当たると、男は「がひっ!」と声をあげ、その場にズサリと顔面から倒れ、そして動かなくなってしまう。

  それを見ていた熊の男は「ひっ!」と怯えた声をあげて、父を振り返ると、尻餅をつきながら無様な泣き顔で後ずさり…。

  父はそんな男の側まで近寄ると、非常に冷徹な、まるでゴミでも見るかのような、そんな目で男を見下ろし、容赦なくその腹に蹴りをお見舞いした。

  「がっ!」「ぎっ!」「がふっ!」「あがっ!」車の外からそんな男の悲鳴じみた声が聞こえてきて、想像するのも容易いくらいに、熊の男がひたすら殴られているのは分かった。

  「ま゛っで」「あ゛や゛っ」「あ゛や゛ま゛る゛っ」「も゛っ」「じぬ゛っ」「だれ゛がっ!」「がひっ!」男のそんな言葉は留まることを知らず、父は容赦なく男達をボコボコにして、拳が血に染まるのも厭わずにそれを続けて…。

  結果、見るも無惨な様相ばかりが、誰もいない廃墟の駐車場に広がっていった。

  [uploadedimage:15747841]

  しばらくして…。

  犬の男も含めて、顔が腫れ上がり、元の造形が分からなくなるくらいに、それらを殴り続けた父は、ゆっくりと立ち上がると、懐からスマホを取り出し、どこかに電話を掛ける。

  しばらくのコール音の後に、スピーカーからは、少し若めの男の声が聞こえてきて…。

  「大神……俺だ。久しぶりだな。………いや、悪いが今回はその件じゃない。…実は訳あって二人ほど連行してもらいたくてな…。……………いや、レイプ犯だ。それも現行犯で捕まえた。…場所は…」

  「…………よし。頼んだ。」そう言って手早く電話を切った父が、こちらに近付いてくる気配がして、俺はただ茫然自失したままその場に寝そべるだけだった。

  父はそんな俺を見ると、先程とは打って変わって、こちらを酷く気遣うような、そんな非常に悲しげな表情で俺を見下ろし、その筋肉質で、頼りがいのある腕を伸ばすと、優しく俺を抱き寄せて、安心させるように小さく笑う。

  「怖かったな…もう大丈夫だ。」

  「………」

  父が何故、俺の場所を知っていたのかも、すぐに助けにこられたのかも、そんな事は今の俺にとってはどうでもよかった。

  ただ、俺は助かった…父に助けられたんだと、そう理解すると、自然と虚空を見つめる瞳から、ポロポロと涙が溢れて、止まらなくなる。

  父の腕に横抱きにされて車から降ろされ、やっと外の景色が見えると、傍には、もう元の面影が分からない程に顔を腫らしたボロボロの男達の姿。

  どうやらどこかの駐車場らしい。人気のない廃墟のショッピングモールらしい建物が見えて、俺は父に連れられ、彼の車へと連れていかれる。

  「怖かったな昴。…だけど、父さんがついてるからもう安心だ。」

  「……う…うぅ…」

  助手席に俺を座らせ、開け放たれた扉越しに少し屈み、俺と視線を合わせるようにしながら優しく微笑む父。

  俺は無意識に、そんな父のロングコートの胸元を握りしめていて、その手は酷く震えていた。

  父は、そうして怯える俺の手を握りしめると、寄り添うように俺を抱き締め、ポンポンと落ち着かせるように背中を叩いてくれる。

  程なくして、遠くからサイレンの音が聞こえ始め、いくつかのパトカーが付近に止まるような音がすると「来たな…」と呟いた父が、また視線を合わせてニッコリと微笑んでくれた。

  「少し…落ち着いたか?」

  「………」

  俺が父のその言葉に躊躇いがちに頷くと、彼はこちらの頭を温もり溢れる掌でワシャワシャと撫でて立ち上がる。

  「父さん、警察に事情を説明してくるから、少しだけ待っててくれるか?」

  「………」

  「よし、いい子だ。すぐ終わるからな。」

  そう言って父はゆっくりと立ち上がり、先程こちらに見せていた柔和な笑顔を一変させ、キリッとした真剣な表情に切り替えると、そのまま警察の集う少し離れたバンの元へと歩いていく。

  何人かの警察官が、そんな父の姿に気が付くと、ビシッと敬礼して姿勢を正した。逆に、若い捜査員らしき者の中には、何故突然そんな風に敬礼なんかするのかと、少し訝しげにそれを見て、年配の捜査員に叱責され、慌てて敬礼し始めるという、そんな様子も見て取れた。

  そして、それら警官達の中から、一人、中でも位の高そうな狼獣人の若い男が一歩前に出ると、父に向かって何かを話し、父もそれを聞きながら相槌を打つようにして倒れた男達に指を差した。

  父が刑事である事は何となく知っていた気がするけれど、彼が職場でどのように振舞っているのかというのは、そもそも俺の記憶にない。

  それもそうだ。子供連れで職場に行けるわけもなし。だから俺は、父が家で見せる優しい笑顔ばかりしか元々記憶にないのだけれど。

  (……あんなに…カッコイイんだ。)

  父の真剣で男らしい顔を見ると、俺は自然と、そんな事を思っていた。 子供の頃から、父の優しげな表情ばかり印象に残っていたから、このように部下を指示する仕事上の顔に全く馴染みがない。

  程なくして、男達はパトカーに引き摺られるよう連行され、父が件の狼獣人を伴ってこちらにやってきた。

  こちらに警戒させないように配慮してくれているのだろう。狼はニコニコとした人懐っこい笑みを浮かべており、近くに寄ってくると、未だ僅かに震えて身を縮ませる、そんな俺を見て、興味深そうに目を丸くした。

  「どうもこんばんは。…君が大我さんの息子さんかぁ!お父さんの言う通り、とっても可愛らしい子だねぇ。実はずっと会いたかったと思ってたんだよ!大我さん、ずっと職場で君の話ばっかりして…てっ!?」

  「おい…!さっさと終わらせろ!」

  「い、イテテ…もぉ〜、緊張を解す為の簡単な社交術じゃないですかぁ〜」

  狼が目を輝かせてそう捲し立てるのを、父が容赦のない肘打ちで中断させ、ギロリと睨んだ。

  そんな父に睨まれた狼は、うっ、と言葉を詰まらせるように額から大粒の汗を垂らすと、ド突かれた脇腹を擦りながら、そんな事を言って苦い顔をする。

  父は、狼のそうした言葉を鼻を鳴らして一蹴すると、今度は腕を組んで、威圧的に胸を反らし…。

  狼は、そんな父の態度を見ると、もう一度ニッコリと、痩せ我慢の笑みを浮かべてこちらを見た。

  「えへへ…ごめんね。……辛いと思うんだけど、これも仕事だからさ。…事件が起きた状況とかを、簡潔で良いから聞きたいんだ。………話せそうかな?」

  「……」

  「そっか…無理をさせて申し訳ない。じゃあまず、事件の起こりから…話せるかい?」

  俺は狼の言葉に、男達が仕事終わり、職場とは全く反対方向に車を走らせていた事に気がついたこと。

  そして、それを指摘したら、声を出せないように押さえつけられた事。

  男同士だから犯罪にならない等と言っていた事や、自分がΩである事がバレており、女性器を持っている事から狙っているような発言があった事を話した。

  そして襲われる直前、父が助けに来てくれた事を話すと、狼はその言葉を聞いた瞬間、ん?と首を傾げて後ろを振り向き、凄く複雑そうな表情で父を見る。しかし父は、それを全く気にする様子もなく、澄ました表情で、さっさと終わらせろというように、閉じていた片目を開いて狼を一睨みし、彼の言いたいことを黙殺して、続きを催促した。

  「あ、ごめんごめん。えぇと…じゃあ…その後は…」

  「………」

  そうやってその後も、先程起こっていたことだ。状況を鮮明に思い出しながら話していると、俺はあの犬の男に押さえつけられ、抵抗しても全く通用しなかった事が頭から離れずに、その恐怖にまた涙が出てきた。

  父が、そんな俺を見ると、徐々に全身から不機嫌さを全く隠さない、怒気のようなものを放出し、男達の捕らえられたパトカーに向かおうとするが、しかしそれは[[rb:既 > すんで]]の所で狼に止められる。

  狼は、真剣な表情のまま、ある程度そうして話を聞くと、相槌を打つようにその場から立ち上がり、そして、俺を安心させるように微笑んで言った。

  「そうかそうか。……事情は大体分かった。辛かっただろう?頑張って話してくれてありがとうね。………勿論あの男達は強姦罪で逮捕だから安心して。 それに今回は現行犯だし、ちゃんと君に手の出せない場所まで連れていくからね。」

  「………」

  「…君のお父さんが、そろそろ我慢の限界っぽいし、今にもパトカーに突撃してしまいそうだから、ボクはここでお暇するけど………何か今回みたいに困った事があったら、これ、直通の番号だ。名前はそこに書いてある通り。……まぁ、君の場合はお父さんが全部どうにかしてくれそうだけど…。」

  「当たり前だ。そんなもんは必要ない。あとで破り捨てる。」

  「勘弁してくださいよ大我さん!……とにかく、今日は家に帰って、ゆっくり休んで。…それじゃあね。」

  渡された名刺のようなものには、刑事部…殺人捜査第一課…大神司…と言う名前と、携帯電話の電話番号らしきものが掲載されていた。

  どうやら相当なエリートのようだ。若く見えるのに、殺人捜査などを担当する部署の刑事をしている事は、その名称から簡単に察する事が出来る。

  踵を返し、去っていく大神さんに「あの…」と声を掛けると、彼は少し意外そうにこちらへと振り返って…。

  「あの…ありがとう…ございます。」

  何とかそうして言葉を出すと、彼はまたニッコリと笑って、刑事とは思えないような気軽さで手を振って返してくれた。

  父は何が気に食わないのか、そんな大神さんに、シッシッ!と激しくジェスチャーをすると、扉を閉めて、運転席の方へと回る。

  車に乗り込んだ父は、先程の厳つい顔から一変、またしても心配した様子で俺へと視線を向けた。

  「大丈夫か…?」

  もう何度目か分からない心配の言葉。普通ならば[[rb:執拗 > しつこ]]いと嫌がる所だけれど、俺は全くそんな気分にはなれなくて、ただ静かに頷きを返すだけだった。

  「……そうか。」

  父はそれだけ言うと、そんな俺の様子を見てまた男達のことを思い出したのか、少しばかり眉間に皺を寄せながら、ハンドルを強く握りしめる。

  車が走り出した後も、父が横目で心配そうにこちらを見る、そんな視線を感じながら、俺達は帰路について…。

  [newpage]

  「ここは…」

  「あ〜………昴にとっては、あまり良い思い出が無いかもしれないな…」

  「………」

  父の運転する車に乗って帰路につく。俯いて、ただ車の揺れに身を任せていた俺達が到着したのは、酷く懐かしい、幼少期を過ごしていた元の一軒家だった。

  「一人は辛いだろう。今日は泊まっていくといい。」

  「……俺は…っ」

  「駄目だ。昴。……そんな状況のお前を一人にはしておけない。」

  祖母の家に帰る。そう言おうとした俺の腕を掴んだ父が、そう、真剣な表情で俺の言葉を遮った。

  俺はそんな父の言い分に、どうも返す言葉が思い浮かばず、今にも泣きそうな顔になりながら父を見上げて、そして、ゆっくりと観念したように項垂れた。

  父がそんな俺を悲しそうに見下ろしながら、優しく頭を撫でて、車から降りると、助手席のドアを外から開けてくれる。

  父に肩を抱かれながら連れられた懐かしの家の中は、もう、すっかり記憶の中にある家の姿とは違っていて……。

  基本的に整頓はされているけれど、ゴミ袋が玄関に一つ置かれていたり、居間のテーブルには、空になったビールの缶とコンビニ弁当の殻が放置されていたり、ほんの少し荒れているような印象を受ける。そんな有様に見えた。

  父が慌てたようにそれらを掬い上げ、片付け始める。あまり家に帰ってきていないのか、使われていなそうな場所には、ほんの少し埃が溜まっていて、整頓されていて綺麗に維持されているというよりかは、あまり使われず放置されていると言った方が、正しい印象に思えた。

  「……仕事」

  「ん?!」

  俺の言葉に、父がビクリと大きく身体を震わせて振り返った。そんなに俺から話しかけた事に驚いたのか、目を見開いて固まり、足でペダルを踏んだ開閉式のゴミ箱の前で動かなくなる。

  そんな様子に俺も、なんだか少しだけ居心地が悪くなって、視線が合うと気恥しげにそれを逸らしながらポリポリと頬を掻き呟く。

  「…いや…し、仕事…忙しいのかなと…思って。」

  「あ〜〜、い、いや、まぁ……なんと言うか、そ、それしかやる事が無いからな、父さんは!…は、ははは……は…」

  父も父で、突然俺から振られた会話にぎこちない様子で、緊張しているのか、しかし妙にテンション高く、そう言って苦笑いした。

  こちらと視線を合わせることが出来ないのか、既にゴミは捨て去った後だと言うのに、再度ゴミ箱の底を見つめるようにして、今度は振り向かない。

  俺は意を決して、そんな父の背中に向かって話しかける。

  「あの…今日は……、今日は助けてくれてありがとう。……父さんが居なかったら俺…」

  そう言って少し気恥しげに視線を斜め下に逸らすと、父はほんの少し驚いたようにこちらを向いて、そして嬉しそうに顔を綻ばせると、その大きく鍛えられた胸を張り、突き出しながらニッと笑う。

  「は、ははは!そ、そんなのは当たり前だ!昴に手を出す奴は、俺がとっちめてやるからな!いつだって父さんを頼ってくれていいんだぞ!」

  「………うん」

  俺がそう言って頷くと、父は尚更上機嫌になって、鼻歌でも歌いそうな様子で冷蔵庫の中を物色し始めた。「ずっと立ってないで、座っていいぞ。」そう言われて、俺は少し迷ったように椅子へと手を伸ばすと、そこにゆっくりと座って、父の後ろ姿へと視線を向ける。

  「…あの、狼の人は、父さんの同僚?」

  「ん?…あぁ、昔世話してた奴でな。今じゃすっかり差をつけられた。」

  「…え?…でも、父さんの方が偉そうにしてたけど、同じ部署とかじゃないの?……父さん、警察官なんでしょ?」

  「ん?あ、あぁ……。はは…まぁ、そりゃ昔はな。覚えててくれてたんだな。」

  「正直それくらいしか…覚えてないけど…」

  父は少し曖昧に笑って、なんだか遠い目をするようにそう言った。おそらくロクな飲み物も買ってないのだろう。出てきたのは珈琲で、この時間に飲むのは少し憚られた。

  父はゆっくりと俺の目の前に腰を下ろすと、テーブルの上で両手を合わせ、言いづらそうに言葉を出す。

  「……父さん実は、もう随分前に警官はやめたんだ。……家族の事で色々あったし、署内の居心地もなんだか悪かったからな。」

  「そう…なんだ。…じゃあ今は。」

  「無職じゃないぞ?……ははは。…今は探偵をしてるんだ。色々依頼を受けて、調査する。まぁ、刑事やってたしな。対象が変わっただけで、ほとんど同じようなもんだ。……これでも結構繁盛してるんだぞ?」

  父はおどけたようにそう言ってニカッと笑う。

  まぁ、確かに母さんとは法廷で何度か争ったと聞いていたし、こちらと同様に、父もそれなりに苦労しているだろう事は想像に容易くない話だ。

  それでもやっぱりまだ、心から彼を許す気持ちにもなれず、恨む気持ちが無いわけでは無いけれど。

  でも、ほんの少し溜飲は下がった。そんな気がした。

  「本当は、お前の養育費なんかも払う予定だったんだ。……けど母さんが頑固でな。絶対に父さんの手は借りないと言って、何もさせてもらえなかった。……せめて金銭的な援助くらいと思っていたのに、本当にすまないな。」

  「………」

  そんな話が出ていたのか。

  母が何故父さんをそんなに嫌ってしまったのか、俺は実際のところ、ちゃんと話を聞いた事が無かったけれど、そう聞くと、父も父で少しはこちらに手助けをしてくれようとしていたんだと、そう思えて、ちょっとだけ怒りが霧散する。

  父が助けてくれれば良かったのに…なんて、何度思ったか分からないことだけれど、そもそも母がそれを拒否していたとなれば、父を責めることは出来ない。

  俺は意を決して、父に真剣な表情を向け、言葉を出す。

  「……ねぇ、なんで母さんは父さんの事、そんなに嫌ってたの?」

  「…?…か、母さんから話は聞いてないのか?」

  父の驚いた表情に、俺は小さく頷いて俯く。

  「母さんは、父さんが悪い。父さんが原因だって、ずっと言ってたけど、実の所、俺はなんで二人がそんな風になっちゃったのか、全然覚えてない。……勿論、俺が何かの原因になったってことは、何となく分かる。母さんは、俺が父さんに攫われるって、ずっと言ってたし…。」

  「そ、それは……」

  「俺、子供の頃の記憶が殆ど無くて、父さんの事は少しくらい覚えてたけど、他はもう全然思い出せないんだ。……特に、父さんが俺を、おばあちゃん家から連れ出した日の事は、全く覚えてない。……母さんに内緒で心理分析してみたんだけど、何か酷いトラウマがあって、それで忘れちゃった可能性があるって。……それが原因か分からないけど、悪夢もよく見るし…」

  「………」

  父さんは俺のそんな言葉に目を見開いて、テーブルの上の拳を強く握りしめていた。

  俺は、悪夢を見る度に疼く下腹に手を添えながら、そんな父の様子に気が付かず言葉を続ける。

  「夢の中で、父さんらしき人が、凄い怖い顔で俺を睨みつけてるんだ。………その度に目を覚まして、上手く眠れなくなる。………父さんは一体俺に何をしたの?俺の記憶が曖昧になるくらい酷いこと……本当にしたの?」

  「……っ」

  俺のそんな問いかけに、父はスッと顔を逸らして、気まずげに眉間へと皺を寄せた。

  その顔を見れば、どうやらやはり記憶を失ったトラウマの原因は父にあるようで、俺はそれを察すると、少し失望したようにまた視線を俯かせる。

  「そっか……やっぱり…」

  「ま、待ってくれ…違うんだ昴!……俺は……俺達は…」

  「?………俺達は…何?」

  「………」

  父はそこまで言いかけて、どこか言葉を絞り出そうとするように、ゴクリと大きく唾を飲んだ。

  その視線は明らかに苦悩に塗れたような、酷く悩ましげな視線に見えて、そして、どこか俺に縋り付くような、そんな懇願する様子にも見えた。

  「な、何なの…?」

  「…俺…俺達は………」

  「………」

  父が俯き、グッと目を閉じてから、意を決したように言った。

  「俺達は…運命だ。昴。………運命の番なんだ。」

  「………うん…めい?」

  その言葉を聞くと、脳裏に浮かぶ、あの夢の台詞がフラッシュバックする。

  ーー運命

  ーー運命

  ーー運命

  ーー運命

  父の声で、何度も何度も呟かれる言葉。なんとなくその言葉を聞くと、頭の奥の方で、何かチカチカと瞬くような、そんな奇妙な感覚がして…。

  でも、それ以上は何も無い。結果的にその言葉を俺は理解する事が出来ず、父が何故そのワードをそれだけ言いづらそうに言うのか分からなくて、眉を顰めた。

  「それ…なんなの?……俺がよく見る悪夢でも、決まってその言葉が脳裏に浮かんできて…」

  「…っ!?…わ、分からないのか?!」

  「…な、何…突然…」

  父は俺の言葉を聞くと、今度は驚いたように椅子から立ち上がって、テーブルに腕をついた。

  そんな父の突然の豹変ぶりに、思わず俺はガタリと椅子を引いて、何をされるか分からない恐怖から、額に汗を垂らして父を見上げる。

  「い、いや…すまない…。その…運命と言われたら、お前もその言葉の意味に気付くと思っていたから…」

  「……わ、分からないよ。…それはどういう意味なの?」

  「………運命は…」

  父がそう言って、一呼吸置いてから話した内容、それは俺にとって非常に重要で、驚愕的な事実であった。

  極々稀に産まれるΩの性、つまり俺には、この地球上でたった一人、運命で結ばれた"番"と呼ばれるαの性を持った者が存在するとされていて…。

  そのαとΩは、お互いがお互い強い感情で繋がりあい、最終的には結ばれる。結ばれなくてはいけない。そういった伝承が古くから伝えられてきているらしい……。

  それら運命と呼ばれる‪α‬とΩには、いくつか特徴的な習性があって……。

  まずは、互いに互いを求め合う、強い衝動のようなものがあるという事。特に‪α‬に至っては、運命のΩを相手にすると、非常に強烈な庇護欲、独占欲、愛情が発現し、運命だと自覚したΩを認識した瞬間から、それを護り、傍に居たいと思ってしまう事が挙げられる。

  ‪α‬は、基本的に感情より理性の方が強い。だからこそ常に優秀な判断が出来るし、合理的、客観的に物事を考える力に優れている。表面上は感情豊かに振る舞えても、頭の中では冷静に物事を判断しており、殆どサイコパスに近い思考回路をしている。けれど、そんな‪α‬が唯一感情を優先するのが、運命の番である、Ωと関わりあった時だけなのだそうだ。

  言うなれば、それは真実の愛とでも言えるのだろうか。心が浮つき、理性的な思考が乱される。ただ相手の事を考えるだけで刻々と時間が過ぎていき、何よりも優先して、常にその傍に居たいと思ってしまう。魂の片割れ。ソウルメイト。そして、前世、来世でさえ、巡り巡って共に在る。それが‪α‬にとってのΩという存在らしい。

  一方Ωは、運命の‪α‬に対して、そこまで強い衝動を得る事は無い。もちろん、その相手と出会った瞬間、直感的に運命を理解し、自身が目の前の‪α‬と精神的に繋がって居ることは理解出来るだろう。けれど、それまで感じえなかった程の強い感情に心を揺さぶられる事はなく、あくまでもこれらの関係は、‪α‬主体で行われると言われている。

  というのも、Ωがそれほど強く‪α‬を求めなくても、‪α‬の方が積極的に関わろうとする為、それ以上は必要が無いのだろう。

  ただし、Ωは運命の‪α‬によって発情を管理されなければ、最終的にそれは歳を経る毎にどんどんと酷くなり、結果、最後にはその衝動に堪えられず、30年も経たずに発狂死してしまうという。

  しかも、年々‪α‬を求める衝動が強くなっていき、発情は周囲のβにも影響を及ぼし始める。けれど、いくらβを‪α‬の代わりにした所で、発情が治まることはなく、むしろ強くなっていく為、最終的に、Ωは大量のβを自らのフェロモンの虜にして死に至る。

  βはその時点でΩのフェロモンに当てられ、使い物にならなくなり、そして最後には禁断症状を起こして、Ω同様発狂死する。

  ‪運命の番が亡くなった‪α‬は、どこに居ようとも直感的にそれを理解し、以後絶望に苛まれる事になる。ΩはΩで、そうした理由から運命の番が必ず必要になるだろう。

  一見そのように面倒な存在である二つの性であるが、しかし、α‬とΩの番から産まれる子供は、殆ど‪の場合α‬になるという記録がある。これは、人口の少ない過去の時代では非常に重要な事実であり、そして今でも、‪α‬の数は国にとって大切な要素だ。軽視されているわけではない。

  だからこそ、その関係は、運命の番などと呼ばれ、様々な地域で神聖視されており、非常に古くから伝えられてきた、今でも一部地方にとっては常識のようなものなのだそうだ。

  特にΩに関して言えば、全てのαに宛てがわれるわけではなく、αは居ても、Ωがいないというのは当たり前に存在する話らしい。

  そして、人口が増え、何をしなくても‪α‬が自然と増え、産まれてくる現代では、それはより顕著になってきている。

  本来、あらゆる行為において、βと呼ばれる一般人よりも、かなり高度な技術や能力を手に入れる事が出来るα。

  その数こそ少ないが、これまでの歴史上、αがこの世界を統治し、民衆を率いて時代を牽引してきた事はどんな歴史書を紐解いても明らかだった。

  そして、そんなαが、唯一感情を揺らし、心の底から手に入れたいと思ってしまうもの。

  それがΩという、ただでさえ数の少ないαよりも、更に数が少ないと言われる、希少な性の存在であり、そして彼らは、それを巡って戦争を起こした事もあったくらいだった。

  争いが起こるくらいなら、初めから互いに結ばせて、円滑に事を運べば良い。その方が結果的に誰にも迷惑が掛からず、運命で結ばれた二人も幸せになれるのだから。

  そうした理由もあって本来、日本では古くから、運命の番と分かった時点で、二人は強制的に婚姻させられ、子を産ませるのが仕来りである。

  何故ならば、言った通り、Ωを狙って争いが生まれる事を防ぐ為と、運命の番であるαとΩが子を成し、より優秀な‪α‬を大量に産み育てる必要があったからだ。

  当事者ではない人々も、積極的に‪α‬とΩの位置を共有し合い、互いに結ばれることを望んだ。結局、その方が自分達にも迷惑が掛からないし、‪α‬が増えれば増えただけ地域としても得が多いからだ。

  ただし、時代が進むに連れてαの数が増え、その数が増えるにつれて、逆に、Ωの出生数が減ってくると、そう言った慣習もまた薄れていき…。

  最終的に、その時代の全世界の人口から、たった一人、産まれるか産まれないかというくらい、Ωが非常に希少な性である一方、百万人に一人という割合のαの数は、人口増加に伴い増えていき、わざわざ運命の番に頼らずとも、αの数は増えていくようになった。

  その結果、αとΩに関する常識も失われていき、それらは大学等の高等教育の場で、歴史書に学ぶくらいの、そんな知識になっていってしまって。

  しかし、まだ法律という部分に、その古い慣習は残ってしまっている。

  古くから続いているものであり、必要が無いからと簡単に変えることが出来ないそれには、運命の番となる者達の関係について、それを如何なる理由であっても妨げる事は出来ないと、そう記載されている。

  だからこそ、父の接近禁止命令は、俺が成人となる18歳までという期間に限定されたし、それ以上の罪も罰も、何一つ与えられずに裁判は幕を閉じた。

  本来であれば、自分の身体のことくらい、自主的に調べるのが当たり前だ。けれど、俺は家庭の事情もあり、自分には女性器が付いてるくらいの、単純な事実のようにしか考えていなかった。

  調べるも何も、そんな余裕はなく、だからこそ、父の言った運命という言葉も理解出来なくて…。

  「な、なんだよ…それ…」

  「………」

  「つ、つまり俺は父さんとその……結ばれないと駄目って事?…じゃないと法律違反になって、しかも俺は30歳にもならないうちに…発狂死…? で、でも俺は父さんを見ても、直観的に運命なんて思えないのに!」

  俺の言葉に、クッ…と目を閉じ、眉間に皺を寄せた父は、何かまたしても言いづらそうに、思い当たる事について語る。

  それはつまり、俺のトラウマが生まれたとされる、10年前のあの日の事…。

  「……おそらくその原因は、10年前、俺がお前にしてしまった事にあるだろう。」

  「え?…」

  父は一呼吸おいて、どこか悲しげに、そして申し訳なさそうに俺を見つめると、あの日何が起こったのか、何が行われたのか、自分が何をしてしまったのかを語った。

  それはおよそ常識で語られるものとは程遠い、モラルの欠片もない、非常に罪深い行為であり…。

  自然と発情する前に、‪α‬の父によって発情させられた俺の身体は、既に運命と出会っていると認識しており、直感が働かなくなっていた。

  それだけでなく、父は幼い俺の身体に快楽を教えこみ、そして、あわよくばそのまま、俺が自分の元から離れられないようにと、そんな風に考えた。

  それを聞いた瞬間、俺は全身を震わせ、自らのうなじを抑えて一歩下がった。

  何度も何度も悪夢に出てくる父の顔。その睨みつけるような青い瞳は、確かに俺の記憶に根付いた、身の毛もよだつような行為の幻影で。

  「うっ!!!」

  「っ…す、昴!?」

  瞬間、幼い日の記憶がどっと押し寄せるように俺の脳を揺らした。

  あの日、あの時、この場所で……。父に連れられた俺は、何の疑いもなく彼の言葉を聞き入れて、一緒に風呂へと入る事にした。

  そして、その場で、信頼していた筈の父から与えられた絶大な快楽。

  脳の細胞が焼け切れ、全身がまるで空に浮かぶような、そんな感覚に襲われて、ひたすら父に縋り付く事しか出来なかった。

  その強すぎる快楽は、場合によっては俺の心を壊してしまうような、そんな非常に強烈なもので。

  だからこそ俺は、俺の心は、その記憶を厳重にしまい込み、そして思い出せないよう鍵を掛けた。

  けれど、それとは別に、俺の身体は父にされた事、その全て覚えていて…。

  どんなに記憶が封じられようと、どんなにそれを忘れようと思っていても…。

  直接父に触れられた身体。その身体には確かに、父につけられた痕跡が深々と残ってしまっていて…。

  「んあああっ♥♥」

  「昴っ!?だ、大丈夫か?! 一体何が…っ…、っこの、……匂いは…っ」

  俺は、突然身体中を襲った予想だにしない感覚に、ビクンと身体を跳ねさせて、その場に倒れるよう項垂れてしまう。その身体を咄嗟に抱き寄せ、抱え込んだ父は、俺の身体に起きた異常を瞬時に理解出来なかったようで、困惑に目を見開き驚いた。

  けれど、すぐにその鼻を刺激する、甘ったるい匂い。俗に言う、フェロモンとでも言うのだろうか。俺の全身から絶え間なく溢れるその匂いに、父の表情もまた、甘く蕩けるように変化していって。

  「はぁ♥はぁ♥…こ、これは…発情か…♥」

  「う…あ…っ…ぁ…♥」

  「クソ…っ…こんな時に…っ♥」

  一瞬にして、部屋全体へと充満するよう放出された甘い甘い誘惑の香り。

  父は何とか、理性を振り絞ってその色香に抗おうとするが、10年以上耐え忍び、しかし、心の中で常に求め続けていた、そんな運命のΩのフェロモンに叶うわけもなく、次第にその欲望が、スラックスの下で鎌首をもたげ始めていった。

  俺も俺で、混濁する記憶と、思い出される快楽、強い発情により、身体が思うように動かせず、父の胸に縋り付く事しか出来ない。

  まるで風邪を引いてしまったみたいに、身体の表面は暑いのに、芯の方は震えるほど寒く、今にも誰かの温もりがなければ、死んでしまうのではないかと錯覚してしまうくらいの、強い発情に駆られている。

  こんな発情に襲われたのは、これまでに一度も無かったのに…。

  …同時に、父から香る、一日中働いて蒸れた、獣人特有の強い汗の臭いにもまた、無意識に下腹部が疼いて仕方なかった。

  キュンキュンと、奥の方で臓器が弾けるような、そんな感覚に襲われて、思わずそこに手を触れ、ただひたすらに荒く息を吐く。

  「クッ…♥このままでは…っ♥」

  父がそう言って俺を横抱きに抱き上げると、足早に部屋を出て、2階の寝室へと向かっていった。

  扉が壊れる事などお構い無しに、乱暴な様子で扉を蹴り破り、広いベットの上に俺を寝かせると、そのままワイシャツのネクタイに指を掛け、荒々しく胸元をはだける。

  瞬間、そこから溢れる雄のフェロモンに、思わず俺は身を捩って、涙で濡れる視線を父の方へと向けて。

  「父…さん…♥」

  「す…すまない…♥すまない昴…♥も、もう父さんは、これ以上堪えられんっ♥む、無理なんだ!♥」

  「うぁ…♥」

  長い間ずっと、運命の番である昴の事を認識していながら、手を出すことが出来ずにいた。

  エリート捜査官と呼ばれ、順当に行けば警察庁長官も夢ではないとまで言われた職を辞めてまで、探偵になったのは、本当のところ、職場で居心地が悪くなったからでも、家族との裁判が原因になったからでもない。

  ただ単に自由な時間が増えれば、その間昴の事を遠目からでも見守る事が出来る。それだけの理由に過ぎなかった。

  今日だって、仕事終わりの昴を尾行し、家まで見送るつもりだっただけれど、幸か不幸か、馬鹿な男達が手を出そうとしたお陰で、こうして今、大我は昴をその手に抱き締める事が出来ている。

  いつだって、遠目から見る運命のΩの姿に興奮しては、車の中で己の欲望を発散する日々。

  思い出すのはいつも、10年前のあの日…あの何もかもが変わってしまった日に見せた、昴の淫らな姿であり…。

  そして、家に残されていった、彼の衣服に残る僅かな匂いばかりだった。

  「あぁ♥…昴…昴…♥俺の運命…♥この日をどんなに夢見ていたか…っ♥」

  「あぅ♥…や…め…♥こ、こんなの…っ♥ひぁ♥」

  父は辛抱堪らないという風に、甘えた声で俺の名を呼ぶと、頬、首筋、鎖骨、肩と、徐々に下がるよう、俺の身体を舐め上げていった。

  俺の身を包む薄い布地に爪を立て、限界まで引き伸ばすように両手でそれを割いてしまうと、俺の誰にも見せたことがない身体は、やすやすと父の手によって開示され、無防備を晒してしまう。

  父は、欲望に塗れた、悩ましげな視線で、俺の肉体を舐めるように見下ろすとペロリと唇を舐め…。

  興奮に鼻息を荒くし、今にも鼻血を出しそうな程顔を真っ赤に充血させて、まるで初めて行為に及ぶ中学生のように、慌てて自らの上着を脱ぎ去ってしまった。

  「はぁぁ♥…昴…♥昴♥」

  「や…ぁ…っ♥やだ…♥やめ…♥」

  父はどこか変態じみた様子で俺の名を呼び、そしてこちらの身体に抱き着いて、至る所へと舌を伸ばす。

  柔らかい棘のついた舌の腹で、ザリザリと、マーキングでもするかのように、舐めるだけじゃなく、匂いを嗅いだり、擦り付けたりして、俺の身体を貪った。

  そして、スラックスを押し上げる父の怒張もまた、俺の足に擦り付けられている。その熱を確かに感じる。

  「そんな事言っても、ここから助平な汁が沢山溢れてるじゃないか♥父さん匂いで分かるんだぞ♥」

  「ひぁっ♥や、やめっ…♥」

  父がそう言って、俺の履いているトランクスの前まで顔を持っていき、そこに鼻先を埋めてクンクンと匂いを嗅ぐ。すでにじっとりと濡れるパンツは、父のその行為に連動するように、更に水気を増やして、もはや下着としての役割を全く果たせていない。

  なけなしの力を振り絞って足を閉じようとするけれど、しかし父はそんな俺の太腿を掴み、大きく開くと、フガフガと鼻を鳴らして、俺の股の間に顔を埋め続けた。

  「あぁ♥なんて匂いだ♥こんな…すん…いやらしい匂いを…すんすん…漂わせてっ♥父さんを誘ってるんだろう♥」

  「ちが…っ♥違うからぁ♥もうやめ…っ♥ひぃぃんっ♥♥」

  「ジュルルルル…ジュル…ジュルルル♥♥」

  父の鼻先がトランクスに押し込まれ、その先端をグリグリと動かすと、俺のチンポと、その下にある割れ目から、刺激によってトロリとした粘性の高い汁が溢れ出る。

  父の大きな頭に両手を添えて、どうにか引き離そうと抵抗しても、圧倒的な力の差から全く歯が立たなくて、俺はされるがままだ。

  けれど、それと同時に、口では嫌がりつつも、発情した身体が、父から与えられる快楽を欲していることに気付いてしまう。

  そんな事を考えているうちに、トランクスをいつの間にか破り去った父は、そんな俺の股にある割れ目に、そのざらついた舌をベットリと付けて上下させ…。

  「あ゛っ♥ぞれだめっ♥♥やっ♥あ゛っ♥あ゛っ♥あ゛っ♥あ゛っ♥」

  「ジュルル…♥ジュルルルル♥…ジュル♥…あぁ…♥幾らでもスケベ汁出てくるぞ♥これが気持ちいいのか?♥そら!♥もっと奥まで舐めてやるからな♥」

  「ひぃぃぃ♥♥挿入ってくるぅぅ♥♥」

  割れ目の表面をなぞるようにして、父の舌が溢れ出る汁を啜り舐めていく。陰核を舌の腹で削り、皮を後退させてチロチロと舐る。すると、どんどんと溢れ出る我慢汁を、父は一滴も逃すまいと、舌で掬い上げるようにして啜った。

  俺の小さな逸物がぴょこんと勃起し、そちらからもタラタラと腹に向かってカウパーが溢れ出て、止まることを知らない。

  そして、父の長く太い舌がゆっくりと割れ目の中に侵入してくると、俺は目を見開き、顎をしゃくりあげ、舌を突き出しながら、足先をピンと伸ばし…。

  「ひぃあ゛〜っ♥♥それりゃめぇぇっ♥♥」

  ゾリゾリと膣壁の浅い所を、父の舌が容赦なく削り、行き来する。まだ一度も使われたことの無いそこには、女性器同様に膜が存在しており、それをゆっくりゆっくり押し広げるように、父の舌がその周囲を何度もほじくっていく。

  俺は思わず、舌の回らない口で叫び、父の頭の毛をギュッと握りしめた。

  いつしか太腿を掴む腕は離され、舐めやすいよう腰を下から持ち上げた父は、ずっと飽きる事もなく俺のマンコを舌でほじくり続けたのだ。

  「やぁぁっ!♥♥なんが…っ♥なんが来ちゃうぅう!!♥♥」

  「ジュルルルルッ♥チュルッ♥ヂュルルルル♥チュ♥♥」

  すると次第に、下半身の奥の方から、ゾクゾクとした感覚が、背筋を通ってせり上がり、全身がブルブルと小刻みに痙攣し始める。

  嫌だ嫌だと頭を横に振り、涙を流して懇願するように足をバタバタと動かすけれど、その重たい感覚が脳にまで達しようとすれば、次第に俺の身体も、きたるべき絶頂に硬直してしまって。

  「ひ、ひぃぃぃっ!!??♥♥♥」

  「んっ♥んっ♥…ん…じゅるる…じゅる♥」

  そんな非常に情けない声をあげながら、俺は父の肩に乗せた足をピンと伸ばして、腰を持ち上げながら、全身をビクビクと派手に痙攣させる。

  ペニスを弄っただけでは、到底得られない、深い深い快楽は、俺の視界をバチバチと弾けさせて、思考を犯し…。

  「ひうっ♥…あ゛っ♥ふ♥…あ゛っ♥」

  脳細胞が、ブチブチとちぎれているような感覚がする。ずっと身体の芯の方からジンジンと痺れるような感覚があって、全身から自然と力が抜けていく。

  俺は視線を朦朧とさせ、涙と鼻水、それに唾液で顔をぐちゃぐちゃに濡らし、定期的にビクッ…ビクッ…と派手に痙攣し…。

  父は、そんな俺の股座から、一度口を離すと、我慢汁で濡れた唇をペロリと舐め上げて、俺を見下ろしながら淫猥に微笑んだ。

  「ヂュルッ♥……はぁっ♥…まだまだここがしっかり、父さんを受け入れる事が出来るようになるまで、拡げてやるからな♥」

  「あ゛…♥ひっ…♥」

  「昴…♥俺の運命…♥」

  父のそんな言葉を、俺はただ朦朧とする頭で聞き流す事しかできなかったのだった。

  「はひゅ♥…ひゅ♥…う♥」

  「はぁぁぁ♥♥」

  それからしばらくの間、父は俺の股の間に顔を埋め続け、何度も何度も俺を絶頂へと導いた。

  ただマンコを舐めるだけでなく、ケツ穴に指を挿入し、ペニスをクチュクチュと戯れに扱いたりして、それまで味わったことの無いような快楽を、俺の身体に叩き込む。

  俺は全身を汗でジットリと濡らし、殆ど白目を剥くようにして、ビクビクとベットの上で痙攣していた。その様子は足をガニ股に開き、まるでひっくり返ったカエルのような、そんな有様で、父はそれを見下ろすようにすると、粘液で濡れた唇をまた舐め、腕で拭う。

  「はぁ♥はぁ♥そろそろ良いだろう♥」

  既にスラックスを脱ぎさり、ケツ割れの先端を、我慢汁だけでグチャグチャに濡らした父が、そう言って俺の身体に覆いかぶさってきた。

  まるで何者かに洗脳されているかのような、そんな正気とは思えない惚けた瞳で俺を見下ろし、自らの逸物の根元を掴んで、未だ男を知らない俺の割れ目に、先端を擦り付ける。

  ぐったりとする頭を持ち上げられて、自らの下半身が見えるように視線を固定された。

  涙で濡れ、ただ開く事さえ難しくなった力の入らない瞳でそれを見れば、快楽に飛んでしまった頭でも、湧き上がる恐怖にまた、意識は徐々に覚醒してきて…。

  「や、やだ♥そ、そんらの挿入らな…っ♥」

  「ははは…大丈夫だ♥さっきからしっかりたっぷり解してやったのをもう忘れたのか?♥それに俺達は運命の番なんだ♥上手くいくように出来てる♥」

  そうは言っても、父のペニスは非常に巨大で…。

  俺のペニスと比較すると、1口サイズのウィンナーと500mlのペットボトルくらいの差がある。

  しかも、その表面を蔦が這うように取り巻く太い血管、張り詰めた赤黒い亀頭、まるで熱された鉄の塊のような存在感。思わず、力の入らなかった瞳を見開いて、ガタガタと歯を鳴らしてしまうのは仕方の無い事だろう。

  「[[rb:挿入 > いれ]]るぞ♥」

  「ひっ♥やぁぁ!♥♥」

  父が、低く優しい声でそう言って、自らの腰をゆっくりと突き出してくる。

  どうしようもない重みが股の間に押し付けられる感覚がして、どんどん突き進もうとしてくるその様子に、俺は思わず小さく震えて、父の分厚い胸元の毛を、押しのけるようギュッと掴んだ。

  亀頭の先端がグニュリと襞を押し広げ、クリトリスを擦る。

  それだけ巨大な逸物だというのに、確かに襲ってくるのは僅かな痛みだけで、そのほとんどは期待と不安、そして確かな快楽であった。

  「あ゛……あ゛……あ゛ぁ゛………あ゛〜〜っ♥♥」

  「ふ♥ふ♥…いいぞ♥…もっと奥までいくからな♥♥クッ…それにしても…っなんて締めつけだ♥」

  ペニスの進行に合わせて、自然と俺の股も徐々に拡がっていく。父の図太い筋肉質な身体が、足を押し広げて、それを脇に退けていく。

  初めて他人のチンポを受け入れた性器からは、つぅ…と静かに血が流れたけれど、破瓜の痛みなど全くなく、むしろ、剛直が進行するにつれて、そこから湧き上がる快楽もどんどんと強くなっていき…。

  「ひぃいいいっ!?♥♥」

  「よしっ!♥♥はぁ♥はぁ♥奥まで挿入ったぞ?♥わかるか昴?♥」

  父の腰が、俺の股の間に密着し、ごちゅり…と最奥を叩けば、俺はその感覚に目を細め、歯を噛み締めて顎をしゃくりあげた。

  父がベットに突いた逞しい腕を、弱々しく掴んで震える。しばらくして、恐る恐る自らの腹を見れば、そこには、下腹部を盛り上げる小さな丘が出来ていて、父のペニスがどこまで侵入してしまっているのか、傍目から見ても分かるほどだった。

  「動くぞ…?♥」

  「っだめっ!♥だめぇぇ!♥ 待っれっ…まって!♥怖いよ父さ…っ♥ …こ…こんなのむりぃ…ぃ♥むりだよぉ…っ♥ひっぐ…うぐ♥」

  「っ…ご、ごめんな♥父さんちょっと焦り過ぎたな…♥な、泣かないでくれ昴♥」

  父の低い声に、俺は慌ててそう声を出すと、思わずその恐怖に涙を流して父へと懇願した。

  痛みなんて感じない。でも、こんな巨大な物体が、腹を掻き回す恐怖や、これから与えられるであろう快楽の強さを思えば、まだ俺の心の準備が出来ているはずもなく、とにかく恐ろしかった。

  父は、そんな風に泣き出した俺を見ると、途端に焦ったように眉を八の字にして、ヨシヨシと慌てたように頭を撫でてくれる。

  それでも、今にも腰を動かしたい衝動で一杯なのだろう。挿入された接合部にチラチラと視線を向けると、困ったように顔を曇らせ、苦笑いしながら俺を見下ろす。

  そして…

  「す、少しくらいなら…♥」

  「ん゛い゛ィっ!?♥」

  「ほ、ほら、腰を揺らして、ちょっと奥を刺激するくらい、な?♥」

  「あ゛っ♥あ゛っ♥あ゛っ♥それ[[rb:嫌 > や]]っ♥♥だっあっめっあ゛っ♥♥」

  父は、そんな風に決まり悪げに苦笑いすると、こちらの制止の言葉も聞かずに腰を左右に動かし、俺の子宮口…所謂ポルチオと呼ばれる性感帯を、その膨れ上がった亀頭で、グネグネと捏ね始めた。

  俺は思わず首を横に振って、やめてほしいと態度で示すも、しかし、そんな風に与えられる快楽に思わず媚びたような声を出してしまって、次第にそれを受け入れるよう、甘い嬌声で父を楽しませてしまう。

  「あ゛っっ!?♥♥」

  「ん?♥声が大きくなったな♥昴はここが気持ちいいのか?♥よーしよし♥」

  「やっ!♥やぁあ!♥そごグリグリしないでぇっ♥♥」

  父の大きな尻が、文字を描くようコミカルに動く。そこから伸びる野太い縞々の尻尾も上機嫌で揺れ、股の間から僅かに見える彼の巨大な陰嚢もまた、踊るように跳ねていた。

  俺は腹筋にグッと力を入れ、背筋を丸くしながらブルブルと震える。接合部に伸びる腕は、父の鍛え上げられ、割れた腹筋を弱々しく押すが、それはまるで彼の腹をワシャワシャと撫でているようにしか見えなかった。

  父は、そんな俺の片腕を掴み、自らの顔まで持ってくると、手首にキスをし、その頬に擦り付けるようにしながら、夢中になって俺の名を呼ぶ。

  次第に、奥をただ捏ねくり回すだけの動きだったのが、緩く前後にピストンするような動きに変わり、父はそのまま、俺の中を穿つように腰を動かし始めた。

  「あぁ♥凄いぞ昴♥…狭くて、柔らかくて、父さんのチンポにこんなにも吸い付いてくるなんて♥ ………はぁぁ♥流石俺の運命…♥ 気を抜いたら…っ!?すぐイッちまいそうだっ♥」

  「んい゛っ♥あ゛っあ゛っあ゛っ♥う゛っう……う……うあぁぁっ♥♥」

  様々な角度をつけて、腟内を馴染ませるように刺激するペニス。最初は小刻みに奥をズンズンと重たく押し潰すだけだったのが、次第にストロークは大きくなり、チンポが抜ける寸前まで引き抜かれたかと思えば、すぐさま最奥を強く穿った。

  まるでモグラが土を盛り上げながら移動するかのように、俺の腹は内側からペニスの動きに合わせて盛り上がり、父のチンポが、一体どれだけ俺の身体の大きさから見たら規格外なのか、その様子を確認するだけですぐ理解出来るだろう。

  「あん♥あっ♥あっ♥あっ♥いっ…♥ィあ゛っ♥」

  「昴のイイ所はここか?♥声が甘くなってきてるぞ♥……それに、イイところを突く度中が痙攣して…っうっ♥」

  「んっァぁぁっ!?♥♥なんかクルっ♥きちゃうぅぅ♥♥」

  揺れる身体のリズムに合わせて、思わず喉の奥からは父が言った通りの甘い声が溢れ出る。

  接合部からは、大量の我慢汁によって、バチュバチュとそれらが弾ける音が響き、それと同時に重たく響くような快楽もまた、下半身から徐々に背筋を通って全身に巡っていった。

  父に突かれる度、反射的に膣を収縮させ、気持ち良いと感じてしまうと、自然と締まりも強くなって、まるで弱点を自ら教えてしまうかのように、その癖が止まらない。

  そうして父が、上から覆い被さるように、こちらの全身に身体を倒すと、俺はその男らしく胸毛の生え揃った、程よく脂肪のつく胸の毛をギュッと掴み、頭をブルブルと横に振って、全身を痙攣させたのだった。

  「イケ!♥イケ!♥父さんのチンポでメスイキしろ!♥そんでしっかりチンポの形も覚えるんだ!♥そら!♥そら!♥」

  「やぁぁぁぁっっ!?♥♥らめぇぇぇっ!?♥♥♥」

  こちらのそんな懇願など、初めから聞くつもりも無いように、父は快楽に叫ぶ俺を上機嫌に見下ろし、上から種付けプレスで力強くこちらを押し潰す。

  まるでバスケットボールのように、父のピストンに合わせてベットの上を跳ねる俺の尻には、彼のゴムボール程もある金玉がパチュパチュと打ち付けられて、溢れ出る我慢汁にネットリと大量の糸を引いていた。

  父の鍛え上げられた野太い太腿に、引っ掛けるよう飛び出した俺の足先が、ギュッと力強く丸まって、彼の腰に縋り付く。

  全身の筋肉が強ばり、時間が一瞬止まったかのような錯覚に陥ったと思ったら、次の瞬間には、溜まりに溜まった性感が、花火のように弾けてしまって、俺は尚更父に縋り付くよう全身を預けた。

  「〜〜〜〜〜…っぎぁっ〜ッッ…!!??♥♥♥」

  「お゛〜〜♥♥凄い…ッ締めつけだ…っ!!♥♥父さんのちんぽから…ッ…!!ザーメン搾り尽くすつもりか…?♥♥気を抜いたら…はぁ……♥射精してる所だったぞ…っ♥♥」

  バチバチと視界に火花が散って、貧血を起こした時のように頭が真っ白になる。

  既に父の言葉など耳に入る事もなく、呼吸が自然と止まって、瞳孔がガクガクと瞳の中を乱反射していた。

  あまりにも強すぎる絶頂によって、声を上げることも出来なければ、喉奥からほんの少し、掠れた音が出ただけだ。

  父は、ギュッギュッと強くペニスを締め付ける、そんな食らいつくさんばかりの膣の脈動に、思わず唇を蛸のように突き出して、おそらくこれまで誰にも見せた事の無いような、間抜けな顔で俺の締めつけを堪能している。

  普段は男らしくて、ハンサムで、スター顔負けの渋い中年白虎獣人の男が、まさか自身の息子との許されないSEXで、これほどまでに恍惚とした表情を浮かべるだなんて、一体誰が想像できようか。

  俺は、やっとの事、絶頂から降り、全身の力を抜いてグッタリと脱力した。

  父は、そんな俺の顔を優しく正面に向けると、顔を近付けて小さく笑う。

  「どうだ…?♥父さんのチンポ……気持ちいいだろう?♥ 父さんに掛かれば、昴の弱点なんて……全部お見通しなんだぞ?♥はぁ♥」

  「は………は…ぁ……♥も…やめ…♥」

  「なんだ、まだそんな事言ってるのか?♥ 本当は気持ちよかったんだろう?♥ 嘘をつくとお仕置きだぞ?♥」

  「や…ぁ…っ♥も…おちんち…勘弁……してぇ♥」

  「そうかそうか♥ あくまでもまたそうやって嘘をつくのか♥ 昴はどうやらよっぽどお仕置きされたいみたいだな!♥……ほら、口を開けなさい! 嘘をつく悪い舌には、父さんのベロチューでお仕置きするんだ!♥」

  「やぁっ♥らめな…んむ♥ん…♥ぢゅるる♥…んんっ♥ん…♥ぢゅ…ぢゅるる♥」

  そんな俺の幼児のような拒絶を無視して、父はこちらの唇に噛み付くようなキスをすると、そのネットリと糸の絡む、中年特有の粘っこい唾液をたっぷりと舌に纏わせて、俺の口内を激しく掻き回した。

  無理やり粘液を喉の奥に押し込まれ、思わずそれをゴクゴクと飲み干していく。

  本来であればそんなこと、嫌悪感を抱き、吐き気すら催すような行為であるはずなのに、俺は……俺の身体は、父の唾液をもっともっとと強請るように舌を絡ませ、それを美味そうに飲み干していってしまう。

  実際、その粘液を飲み込む度に、俺の脳は歓喜に震え、媚薬を摂取して、尚更快楽を分泌しているように思えた。

  そんないやらしいディープキスは、その後も数十分続いて……。

  「んはぁぁぁ♥♥♥」

  「ぢゅるるる……はぁぁ♥♥へへへ♥」

  口から舌を引きずり出されるようにして、唇を離された。ねっとりと糸を引く粘性の強い唾液が繋がり合い、互いの口元にいくつもの橋を作る。

  一度開かれた唇は二度と閉じることもなく、長い間弄ばれた舌はジンジンと痺れていて、口内に収まろうとする力も無かった。

  しかも、そんなキスする間にも父は、そのふとましい腰を悩ましげに動かし、最奥のポルチオをグリグリと亀頭で圧迫するものだから、その度に俺は何度も何度も絶頂し、彼の口内で叫び声を上げるばかり。

  結果、口を離される頃には、もう俺の意識は尚更朦朧として、父の身体の下でビクビクと震える、死にかけの動物のような有様だった。

  父は、そろそろ限界が近いのだろう、口元を拭ってそんな俺を見下ろすと、ふーふーと息も荒く、額からは大粒の汗を垂らして、それでも強気に、ぎこちない笑みを浮かべながら呟く。

  「ふー♥ふー♥ははは…♥どうだ昴…♥そろそろ素直になったか?♥」

  「……も…っ…ゃ……め…っ♥」

  それでも俺は、朦朧とする意識の中で、父のそんな言葉に返すことなく、ただ惚けた顔を様々な汁で汚し、掠れた声で呟いた。

  認めるも何も無い。父から与えられる快楽は全て極上で、確かに狂おしいほどの心地良さだけれど、発情で敏感になった初心な身体を、突然そのような快楽に浸してしまえば、当たり前に返答を返すことなど出来ず、このような有様になるのは当然の事だ。

  しかし父はそれを理解出来ずに、少し焦ったような、焦れったいような、そんな顔で俺を睨み付けると、ぐったりとするこちらの身体を不意に持ち上げ、尻と腰を支えるように対面座位の姿勢になって……。

  「クッ…!なんでだ!?♥父さんのちんぽ気持ちいいだろ?♥そら、そら!♥言いなさい!♥♥言え!!♥♥父さんのちんぽ気持ちいいって!っ言うんだそら!♥♥」

  「…っひッあァァァっ♥♥あ゛ッ!♥あ゛ッ!♥ア゛ッ!♥あ゛ッ!♥♥これらめッこれらめぇっ!♥♥まだイ゛ッぢゃうのぉぉ!!♥♥」

  「ぐっ…おっ!締まるっ♥♥」

  下から突き上げる、重たい質量に、自重が加わって子宮の形が変わってしまうくらい、腹の中を圧迫される。

  その状態のまま、胡座を掻いた父が、ズンズンと下から揺れるように腰を突き出すと、俺はそんな父の胸元にギュッと身を寄せるようにして、顎をしゃくりあげながら悲鳴のような嬌声を上げた。

  瞬間、ギュルギュルと腟内が、これまで以上に強く父のペニスを締め付けて……。

  「父さんもイクぞ!!♥♥中に[[rb:射精 > だ]]すからな!!♥♥しっかり餓鬼孕めよ!?♥♥」

  「やっ♥やっ!♥やぁぁ!!♥♥中ダメっ中駄目ぇぇ!♥赤ちゃん[[rb:妊娠 > でき]]ちゃうからぁ!♥本当に妊娠しちゃうの!!♥やぁぁ!♥♥」

  「ダメだ!!♥お前が…っ…お前が悪いんだからな!!♥♥こんな風にチンポねっとり締め付けて!!♥♥父さんの餓鬼種欲しがるからっ!♥♥ ぐっ!♥♥そんな悪い子には当然お仕置きするんだ!!♥♥イク!♥イクッ!♥[[rb:射精 > だ]]すぞ!♥♥っッぐおおおおおおお!!!♥♥」

  「あ゛〜〜〜〜〜ッッッッ!!??!?!?♥♥♥♥」

  ビュルッ!ビュルルルルル!ビュルルルル!♥♥

  父がそう叫んで、腰をパン!と力強く突き上げると、瞬間、中で膨れ上がり、倍の大きさになったペニスから、勢いよく、溶けたチーズのようなザーメンが排出され、俺の子宮の中に容赦なく侵入してきた。

  俺の拳より一回りも大きいだろうかと言うほどの巨大な陰嚢がギュッと縮みあがり、熱く膨張するチンポが、腟内で何度も何度もしゃくりあげ、俺の中は負けず劣らずそれに吸い付き締め上げる。

  そのあまりの射精の強さと量の多さに、俺の腹の中はあっという間に父の種汁に埋め尽くされ、運命の番のザーメンを、やっと飲み込む事が出来た子宮が、ゴクゴクと子宮口を生き物のように動かし、父の亀頭に吸い付いて離さなかった。

  本来であれば、これだけ射精されたのだ。ほんの少しでも漏れたザーメンが、接合部から溢れだしそうなものだが、そんな事もなく、その代わりに俺の腹がみるみる膨れて、一滴も逃さず精子を受け入れる。

  ーーあ…これ…駄目だ……♥

  そう、弾ける思考の片隅で、ぼんやりと思ってしまったのは、俺は今、父の仔を孕んでしまったのだと、身体で本能的に理解してしまったからであり……。

  俺の肉体は、父に完全に征服されてしまった。

  もはや父に奉仕し、その子種を得て孕む為の、専用の肉袋になってしまった。

  自分の意思がどうだとか、恨みやら憎しみやらがどうだとかは関係ない。

  俺は一生、この人に寄り添い、護られ続けなければいけないのだと、そう、身体が父に媚びてしまって…。

  「ふー♥ふー♥[[rb:射精 > で]]る!?♥まだ[[rb:射精 > で]]るっ!?♥お゛〜〜っ♥♥お゛っお゛っお゛っ♥…うォッ!♥♥」

  「はぎっ…♥あ…♥あ…♥お腹…♥膨れて…っ♥」

  父はひょっとこのように口を突き出し、天井を向いて、目を細め頬を真っ赤に染めながら、絶えず俺の中へとその濃厚な精子を注ぎ込み続けた。

  彼もまた、何十年と我慢し続けた、Ωを孕ます快感に脳が灼かれ、俺を強く抱きしめて、決して離そうとはしない。

  何度か小突くように腰を動かされ、尿道の中に残るザーメンも余さず腟内に擦り付けられ、俺は自らの膨れた腹を見ると、一瞬冷静になった頭で、湧き上がる絶望に震える。

  それなのに、室内に広がっていく父の濃厚な汗と精子の臭いに、身体は未だ疼くよう熱を持っていて、自然と身体も父の胸に寄り添ってしまっていた。

  ーーΩの本能が叫んでいる。

  この力強く鍛え抜かれ、雄臭く優秀な遺伝子を持つ‪α‬の赤ん坊をその身に孕め……と。

  父とか子だとかそんなのは関係ない。運命の番である‪α‬の子種を、もっともっと貪欲に飲み込み、強請って、そしてそのままその腹に宿せ…と。

  ……そう願ってしまっている。

  「はぁ♥はぁ♥…は、ははは…♥」

  「ん…あ…?♥……お、俺…妊娠…して…っ♥」

  「分かったか昴♥…お前は…っ♥父さんの…っ♥運命で…っ♥」

  「は…♥ひ…♥」

  「はぁぁ………っははは♥……これからは、俺の女房になるんだ♥餓鬼孕んでな♥」

  「お、俺……俺は…んむ♥」

  父がそう言って、息も絶え絶えに、ニカッと牙を見せて笑い…。

  戸惑う俺の顎を持ち上げ、そしてそのままキスをした。

  いつの間にか、俺の腰に回された腕は、こちらの膨れ上がった腹を優しく撫でていて…。

  「まだまだ終わらんぞ♥ 昴が父さんのチンポ大好きになって、これ無しじゃあ居られなくなるまで♥ じっくり"ココ"に、チンポの形覚え込ませてやるからな♥」

  「んはぁ…は♥……父…しゃ…♥」

  そう言って父はいやらしく微笑むと、未だ困惑に戸惑う俺を他所に、その身体をベットへと押し倒し、そのままこちらが見えなくなるよう、二回り、三回りもある屈強な肉体で、俺の身を隠し、包み込んだのだった。

  それからも、10年以上我慢し続けた父の欲望は、結局まだまだ衰える事を知らずに……。

  

  「ん…あ…」

  気だるい身体を引き摺って、ゆっくりと目を覚ます。頭がガンガンと内側から鳴り響くように痛んでいて、目を開けることすら億劫に感じた。

  ただひたすら身体に力が入らずに、意識もどこかぼんやりとし続けている。

  カーテンの隙間から差し込む陽光に、それを嫌うよう顔を逸らすと、同時に、昨日早朝から夜まで続いた激しい情事が頭を過ぎって、俺は思わず自らの身体を見た。

  「こ…れ…」

  身体の汚れは綺麗に片付けられており、散々汁を撒き散らしたベットのシーツも、いつの間にか変えられ、寝心地の良い空間が広がっていた。

  最後に覚えているのは、大量の[[rb:包 > くる]]まったティッシュと、水分補給の為の飲水さえ零れ濡れたベット。引き裂かれた服の残骸と、様々な体位でこちらを加虐的に見下ろす父の色に狂った瞳。

  着せる服が無かったのであろう、パジャマの代わりというように、ダボダボで薄手の半袖が身を包み、まるでそれがワンピースのようになっていて、下着は着けていない。その上、全身から香るのは、まるでマーキングするかのような濃い父の体臭。それは大人の男特有の、キツいコロンのような不思議と心地の良い匂い。

  しかし、最も目を引き、目立つ部分は、俺の下腹部、つまりは腹だろう。

  早朝から夜に掛けてまで行われた野獣のようなSEXの最中、父は俺の中に全ての精子を吐き出し、その証拠として俺の腹はこのように膨れて、既に妊婦のようになっている有様だった。

  10年間も運命の番として互いを認識していながら、やっと子種を注ぎ込んだかと、Ωの身体がそれを求めて仕方ないとでも言うのだろうか。普通ならこれほど腹に何かを詰め込まれたら少しは漏れだしたって仕方ない話なのに、一切その気配がなく、今も子宮の中を父の精子が元気に泳ぎ回っている気がする。

  昨日の出来事が何かの間違いであれば良かったのに、こうして自らの身体にその痕跡がありありと残っているのを見てしまうと、嫌でもあれが事実だったのだと認識してしまった。

  俺は確かに、血の繋がった実の父親と身体を求め合い…

  そして、どうしようもないほど確実に、彼の仔を孕まされてしまったのだ。

  いくら検査するまで分からないと言っても、俺には確かな実感がある。

  俺は絶対に父の仔を孕んでいて、それはこの腹を見る限りでも明らかだろう。これほど大量のザーメンが、未だに子宮内に蓄えられているというのに、妊娠していないと考える方が無理な話だ。

  俺は自らの腹を擦りながら、ゆっくりとベットから壁伝いに、部屋を後にした。

  ギッ…ギッ…ギッ…

  軋む年季の入った階段をゆっくりと降りていけば、既に部屋前から漂ってきたいい匂いが、尚更濃くなったような気がする。寝起きであり、腹が膨れて膀胱が圧迫されているという事もあって、道中トイレに寄ったけれど、いくら気張った所で、やっぱり父の精子が腹から降りてくることは一滴も無かった。

  ジュージューと何かが焼ける香ばしい匂いと音がして、1階に足を着くと、開かれた居間の扉から、中の様子が見え始めて、上機嫌そうに鼻歌を歌い、フライパンを返す、タンクトップと腰にエプロン姿の父が、ここからでも目に入り……。

  そして同時に、父もこちらを認識すると、慌てたように火を止めて、俺の方へと足早にやってくる。

  その姿は、昨日夜に見せた野獣のような父の姿ではなく、いつもの優しい父の姿で…。

  「だ、大丈夫か!?……部屋で待っててくれたら、父さん上まで飯を運んだのに…!」

  「…大丈夫…」

  「ほら、父さんに捕まれ。お前に何かあったら大変だ。……腹が減っただろ? さっさと飯作っちゃうからな!」

  父はそう言って、その厳しい髭面の虎顔をニカッと無邪気に緩ませると、ふとましい腕をエスコートするように差し出して、一緒に隣を歩いてくれた。

  テーブルまで来て、ゆっくりと椅子に座らせてくれると、何が嬉しいのか、とにかく俺の顔を見てニコニコと微笑み、何度も何度も振り返って俺の方を見ながら、キッチンに戻って作りかけの料理を再開する。

  その姿はさながら、映画のワンシーンのように絵になっていた。

  [uploadedimage:15746451]

  [newpage]

  一方、俺は俺でもちろん、父に対する複雑な気持ちは未だに健在で、むしろ、昨夜の事も踏まえれば、もっともっとややこしい事になってしまったなと、そんな事を考えていた。

  父が幼少期、俺に行った行為によって、俺は記憶を失ってしまったけれど、結局彼の告白によって記憶はフラッシュバックし、あの日何をされ、何をしたのか、その日だけじゃなく、10歳まで一緒にいた父の記憶が全て蘇り、何だか心情はどうあれ、一旦心のモヤが晴れたような心地がしていた。

  とはいえ、父も父だろう。

  運命の番に対する衝動が、普通人々の持つ欲求よりも遥かに強いとは言え、幼い俺に手を出して快楽漬けにしようだなんて。

  昨夜の行為で自分でも理解出来たが、確かに運命の番の求め合う欲求は非常に強く、抗えないものだと分かったけれど、それにしたって、ほんの少し無理矢理離されただけで、あんな風に快楽を教え込んで取り込もうとするとは反則だと思う。

  とはいえ、俺よりもっと早くその欲望に気付き、堪えていた父だ。ただでさえ‪α‬の方がΩを求める衝動が強いらしいのに、運命の番を失うかもしれないと考えて、結果その行動が爆発してしまっても仕方の無い話なのかもしれない。

  むしろ、よくこの10年間、あのように強い衝動に襲われてよく堪える事が出来たなと、今は少しそんな事も思う。

  「出来たぞ!」

  そう言って父が持ってきたのは、真っ赤なミートソースの美味しそうなパスタ。

  父は、俺の傍に寄り添うよう隣に座ると、わざわざ俺の肩に腕を回して、こちらを見下ろしてくる。

  その目はなんだか、どことなく期待ありげで…。

  「な、何?」

  「ふふふ、いやな、ようやくお前と一緒に暮らせると思うと…」

  「え?」

  「……ん??」

  父の言葉に、俺がわざとらしく疑問符を浮かべて見上げると、彼は一拍置いたあと、固まったように俺と同じよう返した。

  父にとっては、もう俺が一緒に暮らす事は確定していたのだろう。 正直、なんでそんな事を思えるのか不思議なくらいだが、分かっていないようなので、しっかりと俺は断言する。

  「俺、父さんの事まだ許してないし。」

  「……す、昴?」

  「昨日の事もそうだけど、記憶だって全部元に戻った。……母さんが父さんを俺から遠ざけようとしたのも納得だよ。 …それに、見てよこのお腹。ずっと膨らんだままで一体どうなってるんだか。 もう殆ど確定みたいなもんだから言うけど、父さん俺の事無許可で孕ませたんだよ??そんな人と一緒に居れると思う?」

  「うっ……そ、それは…。 でもお前だって楽しんでただろ? 発情してたし、明らかに俺の子種を欲しがって…」

  「それとこれとは話が別だから。」

  俺がそう言って掌を正面にかざすと、父は目を丸くし、口をあんぐりと開いて固まってしまった。

  確かに俺も昨日は結局、Ωの本能か何かで父に欲情してしまい、嫌だ嫌だと言っても身体は彼を求めて仕方がなかった部分もある。それに伴って、父との情事は確かに気持ちよかったし、あれほど強い発情を終わらすのにも手っ取り早く、ある意味では助かったとも言えるだろう。

  とはいえ、だからと言って本心からそれを求めていたと言えば、そういう訳ではなく、実際昨日はもう、明らかにお互い正気の様子では無かった。

  俺の発情によって溢れ出したフェロモンのせいもあっただろうし、長年溜め続けた我慢の限界もあっただろうしで、結局のところ、身体が勝手にそれらを求めてしまっただけで、少なくとも俺自身は本心からの行為だったなんて到底言えたものではない。

  「父さんがやった事は、俺をバンでレイプしようとした男達と全く同じで……、てか、よくよく考えたら、なんであの場所に父さんが居たのかもまだ説明してもらってないよね?」

  「っ…い、いや、それはその、俺は…」

  父がギクリと丸い耳を尖らせて、しまったというように目を見開いた。

  いちいち質問してみたけれど、その反応や、そもそもあの時の状況を考えるに、父が俺をこっそりと尾行していたのは、少し考えればすぐに理解できる事だ。

  俺がジト目でそんな父を見上げると、彼は気まずげに視線を逸らして、言葉を出せないでいる。

  俺は、しばらくそうしてジッと父を睨みつけるけれど、仕方ないとばかりに大きく溜息を吐いて、ひとまず、その事は不問にしてやろうと、寛大に受け止めることにした。

  「運命の番を相手にする欲望が、めちゃくちゃ強い事は昨日散々理解出来たから、ストーカーに関してはこれ以上何も言わないよ。……実際、父さんが居なかったら俺は大変な目にあってただろうし。」

  「す、昴……!」

  そう言った瞬間、父は感激したように目を輝かせ、こちらに抱き着いて来ようとする。俺はそれを既の所で阻止すると、しかし、その希望を打ち砕くように続けて言葉を出した。

  「でも、一緒に暮らすとか、赤ん坊を産むかどうかとかは、完全に話が変わってくる。 父さんはノリノリみたいだけど、そもそも近親相姦だし、俺は未だに、発情時以外で父さん相手に特別な衝動とか持ってないし。」

  「ま、まさかお前、堕ろすつもりなのか!?」

  「………。 冷めるよ。食べよう。」

  父が驚いたようにそう言うと、俺はそれを肯定も否定もせずに、ただ俯いてフォークを取った。

  俺だって迷っているのは同じだ。無理矢理孕まされたと言っても、宿った命をそう簡単に切り捨てる事は性格上出来ないし、そうは言っても、行為の最中は結局、身体が父の子を求めていた事は確かだったし。

  父はそんな事を考えながら、黙々とパスタを食べる俺を、横でハラハラした様子で見下ろしていて、どうやら次の言葉を待っているようだった。

  そんな顔されても、今は何も言えることはない。言った通り、俺だって現状に戸惑ってる中の一人だし、結局、父はそうやって気が気がないという表情でずっと俺を見つめており、俺はそれを無視して、父の作ったパスタを食べ続けた。

  「ごちそうさま。」

  「堕ろしたりしないよな昴!お、俺達の子供なんだぞ!?」

  「……はぁ」

  飯を食い終わり、口元を拭いて、相変わらず視線も合わせないようにする俺へと、父はいても立っても居られないという風に身を乗り出して言ってきた。

  俺は思わず溜息を吐いて、そんな言葉を無視し、食器を片付けようと立ち上がる。

  すると父は、オロオロと戸惑った様子で俺の後ろをついて歩き、俺は食器を流しに片付けると、そんな父を見上げて、腰に両手を当てた。

  「そんな風にされても無理!てか着いてこないでよ!鬱陶しいな。」

  「昴〜〜!」

  父がそんな情けない声を出して、目尻に涙を溜めながら俺の名を呼ぶ。構っていられない…とその横を通って戻ろうとすると、父は突然俺の身体を横抱きにして持ち上げた。

  「うわ!な、何すんだよ父さん!」

  「駄目だ駄目だ!どこにも行かせないし、お前は俺の子を産むんだ!堕ろすなんて絶対駄目だ!!そんな事をするつもりなら俺は……父さんはお前を監禁する!」

  「な、何言ってるんだよ!? ちょっと飛躍しすぎ! 落ち着いてよ!!」

  「これが落ち着いてられるか!?俺とお前の子を堕ろすなんて絶対駄目だ!!駄目だったら駄目だ!!」

  父はそう言って俺の膨れた腹に顔を埋めて、ゴシゴシとそこに顔面を擦り付けた。

  子供の頃はあんなに格好よく見えていたハズの人が、実の所こんなにも子供っぽい性格で、息子の前にも関わらず駄々を捏ねるだなんて、一体誰が予想出来た事だろうか。

  父は俺の言葉を聞けば聞くほど意固地になって、俺の身体を強く抱き締め、絶対に離さないとばかりに力を込める。

  そして、そのまま顔を上げ、歩き出したかと思えば、また2階の寝室に向かって行き、俺をベットへと押し倒して。

  「な、何を…っ!?」

  「お前が心変わりするまで、父さん、身体に教えこんでやる! 俺達は運命の番だ! 発情しないと番の衝動が発動しないなら、無理矢理それを思い出させるだけだ!」

  「ま、待って待って!! わ、分かった!分かったから! 堕ろしたりしない! 絶対しないから!落ち着いて!!」

  「本当か!?」

  今にもこちらの服を剥ぎ取り、SEXしようとする父に、俺は慌ててそれを阻止して、そんな風に言葉を紡いだ。

  意味ありげに明言を避けたとはいえ、元々堕ろすつもりはなく、ただ当たり前に産むと考えている父の考えが癪で、俺はそれを認めたくなかっただけだ。

  だけど、こうも力技で解決しようとされると、流石の俺も、それを止めるために自分の思惑を言わざるを得ない。

  父は、そんな俺の言葉を聞くと、ズイと顔を近付けてきて目を輝かせた。

  視界の端に見える彼の尻尾は、ゆらゆらと上機嫌そうに揺れており、何だかこんなに分かりやすい人だっただろうかと、ちょっと疑問に思う。

  あまりにも長い間堪えていた鬱憤を解放できて、少し気分がハイになってしまっているのかもしれない。

  俺はそんな父の顎に手を当て、遠ざけるようにしながら、仕方ないのでその言葉を肯定した。

  「……しないってば。最初から子供は産むつもりだったよ。…でも、父さんと一緒に暮らしたり、援助をもらうのはなんか…」

  「何故だ!俺達の子なんだぞ!?…確かに母さんとはあんな別れ方をしてしまって、お前の中で俺は家族を捨てた悪い父親だと印象付けられてるかもしれないが…。 だが、お前は俺の運命の番だ。あんな風にはならないし、なりたくもない! 昴…俺はお前と、ちゃんと家族になりたいんだ。…息子としても、妻としても、お前と、産まれた子と、残りの人生、穏やかに暮らしたい。」

  父がそう言って俺の手をギュッと握り、腹に手を添えながら、恥ずかしげもなくそんな事を宣言した。

  話してる内容はハッキリ言って碌でもない事ではあるが、どうやら父は本気でそんな事を考えているようで、その青い瞳にはどことなくグラグラ煮えたぎる執念のような熱を感じる。

  その瞳を見ていると、なんと言うか俺は、妙な気分に陥って、思わず視線を逸らしながら、ぶっきらぼうに呟いた。

  「……は、恥ずかしくないの…?そんなクサイ台詞言って。」

  「恥ずかしいわけあるか! 俺は10年間、ずっとお前の事だけを見てきたんだぞ。」

  「………」

  父はそう言って、尚更俺の手を強く握り締める。父にとっては、まさに今この瞬間、10年間待ち侘びていた悲願の時だったらしい。

  「それにな…お前には到底理解出来ない感情かもしれない。理解したくもないかもしれない。 尚更複雑な気持ちになって、お前をまた傷付けてしまうかもしれない、そんな話を今からするがーー…」

  父がそう前置きを言って一度目を伏せ、もう一度困ったようにこちらを見た。

  「俺がお前を運命の番として認識した時から、父さんの中で昴は、俺の運命の番であり、この世で最も愛する存在になったんだ。…そして、その時点で近親相姦だとか、自分の息子だとか、そんな事はもう、関係の無い事実になっていた。」

  「………」

  父がそう言ってまた目を伏せる。

  彼は程なくしてそのまま言葉を続け、そういった感情を抱えていた上で、しかし、今でも母さんを愛していた事実は変わらないと言った。

  「彼女に恋をし、結婚した。……お前の身体が少し成熟してきて、父さんの運命の番だと分かる直前まで、俺は母さんを愛していたし、それがこの後もずっと続くと思っていた。」

  ‪α‬が運命の番に出会える確率は、今では相当低い。父だって勿論、自身の運命の番に会えるだなんて考えても居なかったし、それがまさか実の息子であるとは、露ほども考えていなかった。

  最初はそんな‪α‬の衝動にも負けず、色々な言い訳をして、家族との関係をどうにか続けていこうと努力したけれど、日々成長する俺の姿を間近で見ていると、どうしても運命の衝動には抗えず、結果的に父は、その事実を母に打ち明けた。

  「今思えば、母さんにその話を告白する事で、父さんは…父さん自身から、母さんにお前を守ってもらいたかったのかもしれないな。」

  母は結果的に父から俺を遠ざけて、手の届かない場所に移動させた。 母親なら当然のことだ。自身の息子が父親に狙われていると分かって、遠ざけない方がおかしい。

  それで結果的に、Ωへの衝動が収まればよかったものの、結局その欲望は、日に日に大きくなるばかりで…。

  「まだお前と一緒に暮らしていた方がマシだったかもしれない。それほどの衝動が父さんを襲った。その結果、俺はその欲望に駆られるままお前を求めてしまい。 ……お前が俺の与えた快楽で気絶した姿を見ると、そこでやっとハッと気が付いて、自分がした事の重大さを理解出来た。」

  少しの間頭は冷えて、結局その後は、それ以上手を出さずに堪える事が出来たけれど、母が来た時には、また俺を失う恐怖に衝動が復活し、自然と母を拒絶するような言葉を吐いてしまっていた。

  「けれど、裁判になってお前に対する接近禁止命令が出た時には、何度も何度も自分のした事を思い返して、欲望を押さえ込んでいた。言った通り父さんは、母さんの事を愛していたし、その記憶は無くならない。……そういう色々な記憶を頼りに、この10年間は必死に衝動を抑えていたんだ。…まぁ、たまにお前を遠目から尾けて見ていた事もあるが…。」

  父が欲望を抑え込めたのは、罪悪感、家族への愛情、母への義理、自己嫌悪。そうした感情でそれを無理矢理押さえ込んでいたからだ。たまにどうしても我慢出来ない時は、遠目から俺を観察し、どうにか欲求を押さえ込んでいた。

  母の墓参りで偶然俺と出会った時も、本当は手を出すつもりなど無かった筈なのに、そこからどんどんと距離が近くなると、結局また、どうしようもない庇護欲に突き動かされ、俺を求めてしまっていた。

  そして、その感情を鎮めるため、尾行をしていた所に、あの男達の愚行が目に入り…。

  涙を流す俺の姿を見ると、もう感情は抑えられそうにもなかった。

  運命の番は、特に‪α‬にとって、守るべき対象、人生を捧げて支えてやらねばならない相手。唯一‪α‬の感情を突き動かせる、愛という概念そのもので…。

  「もう、お前を失いたくないと思った。……もう、お前と離れ離れになりたくなかった。……お前を守るためなら父さんは…悪魔にだって魂を売ってやる。」

  父のその決意は非常に堅く、堅牢に思えた。

  その上、青いサファイアの目には強い輝きが宿っていて、もう俺を決して離さないと、態度そのものがそれを物語っているようだった。

  俺は迷うように視線を逸らして、額から大粒の汗を流す。

  本当はもう、生きていく希望なんて、何も無い人生だと思っていたけれど。

  まさか、実の父親にこんな熱烈な愛を捧げられて、自分がその言葉に迷いを見出すだなんて、思ってもみなかった。

  「お、俺は……」

  困ったように視線を逸らす俺に、父は脈アリとでも思ったのだろうか。ここで一気に押し通すとでも言うように、言葉を捲し立てる。

  「どちらにせよ、お前は父さんと暮らさなきゃ、いつ死ぬとも分からない状態になるんだぞ!?」

  「……そ、それは例えば、定期的に会うとか…ずっと一緒じゃないと駄目なわけじゃ」

  「いや!駄目だ!発情を常に操作できる状態じゃないと、自然に発情すればするだけ、お前の寿命は縮むようなものなんだ! 日を跨げば、跨ぐだけお前の命の危険が高まる。それは父さん、認められん!」

  父は尚も続ける。

  「それに、発情を操作出来れば、今みたいな危険なアルバイトもしなくて済むぞ!…改めて学校にだって行かせてやれる!父さんが居るんだから、全力でこれからの人生、昴をサポートしてやれる! 父さんだって、刑事の仕事に復帰できるかもしれない。 探偵は悪くない仕事だが、お前が家に居てくれると分かれば、お前を守る為に、定期的に後をつけて監視する必要もなくなる。」

  そう聞くと、なんと言うか、確かに父と暮らす利点は多いかもしれないと、僅かに心が動いた。

  母と一緒に居た時は、殆ど自分の人生は諦めていた。 別に、自分で選択した結果なのだから、それを今更どうこう言うつもりは無いし、母を恨んでいる訳でもないけれど、でも、やっぱり、心のどこかでは、進学したかったとか、別の仕事に就いてみたかったとか、そんな人並みの願望があったりもして…。

  まぁ、父の尾行はこれまで気付いていなかったけれど、意識してしまうと、いつ、どこで監視されているか分からない気持ちになって落ち着かなくなるだろう。知ってしまったら常に気になるし、同棲する事でそれが無くなるだけでも精神的に余裕が出そうではある。

  「それに、婆さんの家は何かと不便だろう?もうかなり古い家だし、駅やスーパーなんかも遠い場所じゃないか。父さんと一緒にここで暮らせば、俺が居る時は車も出せるし、色々便利になるぞ。……Ωの身体は弱いんだ。毎日無理してたんじゃないか?」

  「………」

  父の言う通りだ。祖母の家は都心からかなり離れた、田舎の方にあって、バスや電車でわざわざこちらにやってくるのも結構大変だった。

  何か予定などがあると、それよりもかなり早い時間から起きて電車に乗らなければいけなかったりもしたし、バスが無くなると駅まで遠くなるので、非常に不便な思いをした。

  その分、発情して他人に迷惑を掛けることは無かったけど、普段の生活をしようと思うと、祖母の家が不便であったことは否めない。

  ただでさえ他人と違う弱い身体で、何かしようとすると大変な思いをする。

  それならいっそ、父に頼ってこの家で暮らし、色々サポートしてもらった方が、この際良いのではないだろうか。

  俺は思わずそんな事を考えてしまい、何だか父の思い通りになってる気がして、ハッとしながら少し膨れ顔で父を見る。

  「………」

  「どうだ?」

  けれど、そう言ってこちらを見つめる父の表情は、何か良からぬ事を考えている…というよりかは、とにかく俺と一緒に暮らしたい、そんな気持ちが焦りとして出ているようにしか見えなくて、なんとなく、仕方ないな…なんて、自然とそんな気持ちになってしまう。

  なんと言うか、これほど俺の事を想ってくれているのだ。俺がほんの少し、その期待に応えて、そして、父から与えられる利点を享受する事が出来るのならば、それもお互いにとってwin-winだし、良いのではないだろうか。

  そう考えると、俺は父の言い分に根負けしたように大きく溜息を吐いて、あくまでも不服そうに、その言葉へと返答を返した。

  「……分かったよ。……父さんと一緒に暮らす。」

  「よし!!そうだろうそうだろう!父さんと暮らす方が良いだろう?!……それで良いんだ!」

  父がそう言ってパァッと笑顔になり、俺を抱き締めるようにすると、俺は俺で、やっぱりなんだか、結局父の思い通りになっている気がしてちょっと面白くなかった。

  別に、心のどこかでは、正直、父に対する憎しみを維持し続ける意味もないなと、そんな事を考えている自分もいる。

  その反面、やっぱりこの10年間、家族の問題に振り回されてきた俺は、釈然としないとか、納得出来ないとか、そんな事も考えている感じで…。

  「よしよし!父さんが絶対、昴を幸せにしてやるからな! お腹の子も含めて、しっかり面倒見てやる!」

  「………」

  でも、そうやって無邪気に笑う父を見ていると、なんだか俺も自然と笑みが零れて、小さく笑った。

  やっぱりまだまだ、複雑な感情は色々あるけれど。

  「愛してるぞ昴!」

  「……へっ!?」

  突然の父のそんな言葉に、俺は思わず目を見開き、顔を真っ赤にして…

  「っあ、い、いやその…!は、ははは!…ちょ、ちょっと勢い余ったか?」

  そう言ってハニかむ父を見て、俺は気恥しげに顔をツンと逸らす。

  この胸の高鳴りは、一体なんなんだろう、……そんなことを頭の片隅で思いながら……。

  [newpage]

  おまけエッチ編

  「やぁっ♥父さ…っ♥もうやだぁ♥」

  「ははは…そうは言っても、昴のここは父さんの指を離してくれそうもないぞ?♥…気持ちいいんだろ?素直に言いなさい♥」

  「あっ♥あっ♥あっ♥だめ…だめ…♥イッちゃ…うぅっ♥♥」

  ベットにお互い寝そべって、父のふとましい足が、俺の足を挟んで無理矢理股を開くようにする。

  金玉の下にある割れ目に、父の指先が当たり前のように埋没し、優しく優しく、その肉壁を撫で続けて、離してくれる事はない。

  もう一時間もの間、このような優しい責めが続いている。 父は、自らの腕を枕にして俺の頭を支え、ハニかむような笑顔で俺の上気した顔を見下ろし、そんな風にいやらしく呟いていた。

  「おっと!♥勿体ない勿体ない!♥」

  「あ゛っ♥〜〜〜〜〜ッッッ!♥♥ひぎゅっ♥」

  「ぢゅるるるる♥ぢゅるる♥ぢゅる♥」

  焦れったいような、マッサージするような、そんな刺激によって絶頂に達する、俺の様子を見ていた父は、おもむろにこちらの下半身へと素早く移動すると、足をM字に開いて持ち上げ、股の間に顔を埋めて、噴き出す潮を飲み込みながら、そこを刺激し始める。

  その大きなマズルを開けて、平べったい舌をベロリと突き出し、喉奥に噴出される潮を美味そうに飲んでから、そのまま割れ目を上下に舐め上げ、溢れ出る汁全てを、残さずどんどん飲み干していった。

  俺は、宙に浮き上がった足をピンと伸ばし、顎をしゃくりあげて、相変わらず与えられる絶頂から、まだまだ降りてくる事も出来ない。

  「ぢゅるっ♥」

  「んひぃっ♥」

  父がそんな大袈裟な音を立てて、股から顔を上げると、上機嫌に微笑みながら、また俺の横に寝そべってこちらを見下ろす。

  彼は俺をとにかく気持ちよく出来ることが嬉しいらしく、自分の快楽は二の次で、いつもこうして俺を弄ぶように快楽漬けにするのが常だ。

  そんなしてやったりの顔が嫌いで、俺は父から顔を逸らすように、ぐったりと寝そべっていた。

  「昴は本当に敏感だなぁ♥……父さんの舌、気持ちいいだろ?♥昴は父さんの舌大好きになっちゃったもんな?♥」

  「っ…そ…んな事…ない…っ!♥」

  「またまた♥素直じゃないな♥このゾリゾリしてる所が好きなんだろ?ほら♥」

  そう言って父が長い舌をベロリと口から垂らし、こちらにその腹を見せつけるようにすると、俺は思わずそれをチラリと薄目で盗み見て、そのまま顔を真っ赤にした。

  父の舌の腹には、いくつもの細かい、棘のような突起が大量についていて、それでいつも飽きること無く俺の性器を責め立てるものだからタチが悪かった。こんなザラザラで人間とは違うグロテスクな舌が、俺のアソコを何度も何度も舐め上げて………そう思うとまた、女性器の方がジュンと濡れる気がして、俺は思わず膝同士を擦り上げモジモジとしてしまう。

  それもこれも、普段から父がその舌で俺を悪戯に弄ぶから、なんだか意識してしまうだけだ。だから、決して俺はその舌に夢中になってる訳では無い。ないったらない。

  「昴はキスも大好きだろ?♥ほら、こっち向きなさい♥」

  「や…ッん゛…♥んん〜っ♥じゅるるる♥んっ♥んっ…む♥ん♥」

  父がそう言って俺の顎を掴み、そのまま正面に向けさせて、唇を覆うようなキスをする。長い舌は、限界まで伸ばせば俺の喉奥にまで容易に到達してしまうくらいには長く、それひとつで口の中が一杯になってしまうくらいには質量があった。

  そんな舌を口内で器用に掻き回し、唾液を大量に交換し合う。父の唾液は無理矢理流し込まれ、俺の唾液は吸い尽くされて、俺の口だと言うのに、主導権は明らかに父が握っていた。

  「……っんはぁ♥」

  「んぁぁ…♥」

  「……ふふふ、そら、やっぱり大好きなんじゃないか♥」

  父は、惚けた表情で、舌をデロリとだらしなく口から出す俺を見ながらそう言った。

  毎日毎日、父が仕事を終わらせて帰ってきた後や、料理中、食事を食べ終わった後、風呂に入ってる最中にまで、その舌でじっくりと身体を開発されてしまった俺は、確かに与えられる快楽に敏感になり過ぎて、それをされると骨抜きになってしまうけれど、それは父が、毎回毎回俺をぐったりとするくらいまで責め立ててしまうから、殆ど身体に癖として染み付いてしまっただけで、俺が本心からそれを好きになるはずなんてない。

  なにしろ、父のそうした悪戯は本当に唐突で、帰ってきた時はおかえりのキスと言って数十分もの間、それを行われるのは当たり前だし、ほんの少し気を抜いてゆっくりしている最中にも、突然手を出してきては、抵抗もむなしく毎回激しい絶頂に追い込まれるのは日常の如くだった。

  料理している俺の足元に座り込んで、下からマンコを舐め回す父。

  飯を食べ終わった後、ダイニングチェアに座る俺の足をM字に無理矢理開脚させて、股の間に顔を埋め、ケツ穴とマンコを同時に、指と舌で責め上げる父。

  風呂場でも、浴槽に縁に座らせた俺の股に顔を埋める父は、絶頂に達すると必ずと言っていい程、噴き出す潮を顔面で受け止めたり、口で飲み干してそれを楽しむ。そんな変態行為ばかりするのだ。

  その上で、夜は夜で、必ずこうしたSEXも毎晩行われ、俺がギブアップしても、彼が飽きるまでそれは終わらない。

  父の責めはどちらかと言うとねちっこく、ゆっくりしたものばかりで、疲労の溜まり方も遅いので長い間快楽に囚われ続けてしまうし、その分意識が朦朧としてしまう為、されればされるだけ、抵抗も出来なくなっていってしまう。父はそんな俺の惚けた顔が大好きだと、毎回毎回優しい声色で、いちいち言ってくるから恥ずかしくなるのだ。

  「毎日ここにたっぷり、俺の唾液を擦り付けてやったもんな♥へへへ♥」

  「あっ♥あっ♥あっ♥あっ♥」

  そう言って父の指先がまた、俺の股の間の筋を優しく撫でる。

  その感覚に身を震わせた俺は、父の首元に縋り付くよう顔を埋めて、ギュッとその胸の毛を掴んだ。

  快楽に溺れる恥ずかしい顔を、これ以上見られたくなくて……これ以上嬌声も聞かせたくなくて、俺は必死に声を我慢しながら、与えられる快楽に屈しないようにと堪えに堪え……。

  「〜〜っ〜〜〜っ〜〜〜っほお゛っ♥んほお゛っ…お゛っ!!?♥♥」

  「うおっ!♥おいおい、勿体ないな♥」

  しかし、結局、そんな無様な声を上げ、両足をだらしなく がに股に開きながら、俺は腰を突き出して絶頂に潮を吹いた。

  いつもいつも、そうして潮を吹く時には、父が俺の股の間に顔を埋めてしまうので、足をM字に開き、自然と持ち上げて、マンコを見せびらかす癖が出来てしまっているのが恥ずかしい。

  どんなに堪えようとしたって、生理的な現象である絶頂を、完全に抑える事など出来るはずもないのに、堪えば堪えるだけ、イッた時の反動が強くなると分かっていても、どうしても悔しくて堪えようとしてしまう。父は、そんな俺の様子も楽しんでいるようだった。

  勢いよく抜かれた指に合わせて、ビュッビュビューッ!と派手に吹き出したそれは、天井近くまで力強く浮き上がると、その後は重力に従ってバツバツと、そんな音を立てながら、ベッドのシーツにシミを滲ませる。

  俺は荒く息を吐いて、父の首元に顔を埋め続けるが、父はそんなこちらの顔を無理矢理離すと、少し膨れた顔付きで、俺を叱責するように呟く。

  「こら昴!イクときはイクって言わないとダメだろ?そうたっぷり、毎日のように教えてやったじゃないか?もう忘れたのか!? ほら、こんなに潮吹き出して……全く勿体ない。 今日はもうちょっと優しくしてやろうと思ったが、こうなったら仕方ないからな、お仕置きだ!」

  「ぁ…♥ゃ…♥ごめんらさ…っ♥」

  父のそんな言葉に、俺は無意識に涙を流して[[rb:囀 > さえず]]るように謝罪の言葉を呟くが、しかし彼はそんな事関係ないとばかりに、俺の股の間に身体を挿入し、こちらの足をグイと引いて腰を密着させる。

  勃起したペニスが、俺の小さなペニスと金玉を押しのけて腹の上に重たくのしかかり、それがこちらの臍よりも上まで伸びているのを見ると、息を飲んで目がそこに釘付けになった。

  「ちゃんとイク時はそれを言葉に出せるよう、今日こそしっかり教えてやらないとな!それと、父さんのチンポ気持ちいいって言うまで終わらせないぞ!♥」

  「ぁ…ゃ…♥ゃめ…♥」

  父がそう言って、自らの逸物の根元を掴み、ゆっくりと俺のマンコに亀頭を近付ける。

  グッと腰に力が入れられ、襞が亀頭によって捲られると、初めての時はあれほどキツくしまっていた筈のそこは、もはや慣れたように父のペニスを飲み込んでいってしまって…。

  それでもやはり、みっちりと吸い付く腟内が拡がる感覚に、俺は歯を食いしばりながら、その圧迫感に苦しげな声を出した。

  「う゛〜〜っ…♥ぐっ♥ぅ♥」

  「ハッハッハ♥最初はあんなに狭くてキツキツだったのになぁ♥今じゃあ、すんなり父さんのチンポ呑み込むようになったな!♥その癖、中はキュウキュウに締め付けてきて…っ♥お゛っ…う゛…!♥ …ふふ…もっと奥いくぞ!♥堪えろよ?♥」

  「あ゛っ!?♥〜〜〜ぎっ…ぁっ♥」

  「すっかり父さんのチンポの形覚えてるな?♥まぁ、これだけ毎日馴染ませてやってるんだ♥そうでなくちゃ困る♥」

  父の巨大な逸物が、ミチミチと中を拡げて奥まで到着する。一度身体全体でグッと前屈みに勢いをつけられ、腹の奥が押し潰されると、その反動に息が止まった。

  父は、そんな俺の身体に覆い被さるようベットに肘を突くと、そのまま三回りも違う大きな肉球付きの掌で、俺の掌を握り隠し…。

  「このまま子宮押し潰したままで、どこまで堪えられるか、父さんずっと昴の顔見ててやるからな♥」

  「は…ぁ♥…うぅ♥」

  そう、まるで囁くように、低い声で小さく言う。

  息が掛かるほどの近さで、不敵に微笑む父に、俺はただ微睡んだような瞳を向けて……。

  「あ゛〜〜〜〜〜〜っっ!!♥♥」

  「お゛っ♥お゛〜っ…♥凄い締め付けだ…っ♥」

  それから約一時間もの間、父は俺の身体に全体重を乗せ、動けないようにして、ただひたすらポルチオを圧迫し続けた。

  派手に動く事もなければ、上下にピストンされている訳でもない。ただひたすら奥をグッグッと圧迫されるだけで、俺の背筋から寒気のようなものが這い上がり、何時しか絶頂に叫んでしまう。

  その繰り返しだった。

  「もうやら!♥これやらっ!♥お、おかしく…っおかしくなっちゃうっ♥♥」

  「言っただろう?ちゃんとイク時はイクって言うんだ。そして、父さんのチンポ気持ちって認めない限り、ず〜っとこうやって………ほら!ひたすらここを押しつぶしてやるぞ♥」

  「あ゛ぁっ!!♥いうっ!♥いうからぁっ♥もうや……〜ッッ!?♥」

  そうして、また父が奥をじっくりと捏ねくり回すように圧迫すると、俺は言いかけた言葉を中断して、ヒッと息を飲んだ。

  また背筋から、ゾクゾクと何かが這い上がってくる感覚がする。

  息を止め、父の掌をギュッと握れば、彼もそれに反応するように手を握り返してきて、俺は伸ばした足をガクガクと震わせると、父の背中にそれを回し……。

  「イ゛ッッッぐっ…っ!♥♥イグッ!♥イグゥッ!!♥♥」

  「お゛〜〜っ♥♥へへへ♥父さんもそろそろ一発…っ♥上澄み中に[[rb:射精 > だ]]すぞっ!♥」

  キュンキュンと父の巨根を締め付けて、また絶頂に達する。まるで自分の意志とは無関係に腟内が蠢き、父のペニスから精子を搾り取ろうとし始める。

  その結果、俺の意志とは関係ない、Ωの身体の思惑は成功したようで、父もまた、グッと全身の筋肉を強ばらせると、毎日射精しているというのに、一行に大きさの変わらない、野球ボール大のふぐりをキュッと縮小させて、俺の中へと派手に射精し始めた。

  俺は、子宮の中に入ってきて、奥を小突くように満たしていくそれを身体全体で味わい、震える。そして子宮口はまるで咀嚼するようにクチュクチュと亀頭に吸い付き、溶けた濃厚なチーズをねっとりと呑み込むように取り込んで、逃がさない。

  「あ゛…あ゛…♥[[rb:射精 > で]]てるぅ…♥…赤ちゃんの元…♥俺の中にまた…♥沢山…っ♥」

  「ははは♥嬉しいだろ?♥もしかしたら、産まれてくる子は双子…いや、六つ子とかになるかもな♥」

  父がそんな事を言いながら、やっと身体を起こしてニッと笑いながらこちらを見下ろした。

  俺は、ぽっこりと膨れる腹を見ながら、相変わらず微睡んだような瞳で、荒く息を吐き、父の掌から解放されたばかりを手を、ガクガクと震わせる。

  「父さんのちんぽ、気持ちいいだろ?♥」

  「ぁ゛…♥ひゅ…♥」

  「そら、言うって言っただろ?♥あれは嘘だったのか?♥だったらまたお仕置きが必要だな?♥」

  「ま、まっれ…っ♥いう…♥いうから…っ♥」

  「……ようし、だったらこう言うんだ♥」

  父がそう言って、また身体を倒すと、俺の耳元で誰にも聞こえないくらいの小さな声で囁いた。

  俺は、言われた言葉にビクリと震えて、怯えたように眉を顰めるけれど、もはや、彼の言葉を聞いている時点で、父の命令に逆らうという選択肢は存在しない。

  俺に言わせる言葉を言い終えた父が顔を上げて、人懐っこい笑みを浮かべると、期待の篭った目で俺を見下ろす。

  こんなにも人の良さそうな笑顔なのに、こんなにも優しそうな父なのに、やっている事も、言っていることもまるで淫欲の悪魔のようで、俺は涙で目尻を潤ませながら、彼を見上げた。

  俺は言われた言葉を思い出し、それを言わねばならいという恥ずかしさに、今にもどこかへ顔を埋めたい気分になりながらも、父の言った言葉を、一言一句間違えないよう、小さく囁いた。

  「ぉ…ぉ父さんの…♥ぉ…ち…んぽ♥だぃ…好き…です…♥」

  まるで幼児に戻ったかのような、幼い言葉遣いで、俺は尚も続ける。

  「…もっと…もっと…ぃっぱい…♥昴の中に……ぉ…ぉち…んぽ…して♥…下さぃ…♥…ぉ父さんの…立派な…ぉ、大人…ちんぽ…で…昴の…中…掻き回して…っ…むちゃくちゃに…して…ほしぃ…♥」

  父は、そんな俺の言葉を聞いて、うんうんと頷きながら腕を組む。

  そして…

  「ふふふ…♥それと?♥」

  俺は先を促されると、また気恥しさに顔を逸らして、モジモジと父の腰に足を擦り付けながら、沸騰しそうな頭で、残りの言葉も呟いた。

  「ぉ…ぉ父さん…の事も♥だ…だぃ…好き♥です♥…世界で一人だけ…の…運命の人…です…♥」

  俺がやっとそんな恥ずかしい言葉の羅列を言い終わると、父はワシャワシャと俺の頭を撫でてくれて…

  「へへへ♥よーしよし♥よく言えたな?♥そんな素直でいい子にはしっかり、ご褒美あげないとな?♥」

  「ひゃっ♥」

  そう言うと、父は俺の身体を持ち上げて、四つん這いの状態にした。

  俺は力が入らず、上半身をべったりとベットに付けて、先程言った言葉の恥ずかしさに、顔を枕に埋めてしまう。

  尻を高く持ち上げ、突き出したような状態になった俺のマンコに、亀頭を押し付けた父は、震える柔らかい俺の双丘を優しく撫で回し、肉を掴むようにすると、そのまま一気に、その怒張を突き出して…。

  「ん゛ほおおおおおっ♥♥♥」

  「ハッハッハ!♥さてさて!今度は激しくいくからな!!♥ちゃんと言われた通り、イク時は言葉に出すんだぞ!!♥♥」

  「い゛っ♥い゛っ♥ぎっ♥あっ♥あ゛っ!♥あ゛〜〜〜〜〜〜っ!!!♥♥」

  まだまだ夜の営みは終わらない。

  結局父はその後も、俺が気絶するまで、様々な体位で、俺の事を犯し尽くし……。

  彼は10回以上、中に精子を吐き出したかと思えば、また俺を、当たり前に孕ませるのだ。

  

  おわり

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