AdAd
  
第6話 囚われのエリスと、かすかな希望

  目を覚ますと、俺は冷たい床の上に横たわっていた。

  体は元のエリスの姿に戻っている。だが、両手には金属の手錠がはめられ、身動きが取れなかった。

  首・手首・足首には、淡く輝く紫色のテープ――「魔法の拘束テープ」が巻かれている。

  着ているのは、白黒の縞模様の服。まるで囚人のような格好だった。

  「目が覚めたようね、魔法少女」

  冷たい声に顔を向けると、ザ・ケロとメイカが並んで立っていた。

  「さあ、連れて行くケロ」

  ザ・ケロが私の腕を掴み、無理やり立たせる。

  連れていかれたのは、無機質な壁とカメラが設置された部屋。

  足元には目盛り、目の前にはレンズ。まるで監視と記録のための場所のようだった。

  「はい、こっちを向いて。笑って、なんて言わないけど」

  メイカは無感情な口調で指示する。

  俺は言われるがままに立たされ、黒いボードを手渡された。

  そこには自然と名前が浮かび上がる――《星宮エリス》。

  (まるで……囚人の記録撮影みたい……)

  [uploadedimage:21501363]

  撮影が終わると、次は透明な壁で囲まれた、実験室のような部屋へ移された。

  紫のテープが淡く光を放つと、黒く艶のあるボディスーツのようなもの――「魔法刻印スーツ」が、身体に自動で装着されていく。

  左胸には魔法陣を模した紋章と、謎のQRコードが浮かんでいた。

  [uploadedimage:21501620]

  「なっ……これは……!?」

  ザ・ケロが説明を始める。

  「これは“魔法少女拘束スーツ”ケロ。魔力が一定まで溜まると、オレンジ色に輝き、君のエナジーを吸収するケロ。

  吸収されたエナジーは遠隔装置で送信されて、君は――カエルになるケロ」

  彼の言葉が終わると同時に、スーツが淡くオレンジ色に発光し始めた。

  全身から力が吸い取られていく――!

  「やめてっ……!」

  そう叫んだ瞬間、私の体は光に包まれ、急激に縮んでいった。

  次の瞬間、俺は再びカエルの姿にされていた。

  顔と髪型はそのまま。でも肌は鮮やかな緑色に変わり、手足も吸盤のような形に。

  ラバー製のスーツには、しっかりと紋章とQRコードが刻まれている。

  首・手首・足首の五箇所には、紫の拘束テープがそのまま残っていた。

  [uploadedimage:21501587]

  そのまま、俺は人が入れるほどの大きな水槽の中へ。

  メイカが外から覗き込み、にやりと笑う。

  「ふふ……カエルになっても“星宮エリス”ってわかる顔。完璧なサンプルね」

  メイカの瞳に、哀れみも迷いもなかった。

  「君のような魔法少女は珍しいケロ。普通は三日間カエルのままだけど、君は三十分で人型に戻る。

  そして一時間後には、また吸収が始まる……。効率のいいサイクルケロ」

  ザ・ケロの口ぶりは、まるで冷酷な研究員のようだった。

  「この部屋には“次元バリア”が張ってある。逃げようとしても、無駄よ」

  メイカの言葉を最後に、二人はその場を去った。

  部屋には静けさだけが残る。俺は水槽の底で、ひとり目を閉じた。

  (でも……三十分で戻れて、一時間後にまた変えられる……。その間の“二十九分間”だけは、自由ってことよね)

  希望とは言えない。けれど、確かに存在する“隙間”。

  私は小さな胸を震わせながら、かすかに息を吐いた。

  (……このチャンス、絶対に逃さない)

  ──つづく。

AdAd