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第16話 対話試練

  ナギの家のリビングで、クロベエは水槽の中の月島ミカを見つめながら、静かに語り始めた。

  「君たちが知るメイカの能力は、今、ミカの中に封じられている。

  彼女が本来持っている魔法少女としての力も、大魔王の呪いによって抑えられている状態だ」

  俺とナギ、ユキは、驚きながらもクロベエの言葉に耳を傾けた。

  「呪いを解くには、魔法少女協会のマスターの力が必要になる。

  そこに行けるのは、魔法少女とそのマスコットだけだ」

  クロベエはそう言うと、赤い瞳を強く光らせた。

  するとリビングの空間に、漆黒の渦がゆっくりと現れ、次第に巨大な扉の形を成していく。

  それは、異空間へと続く──魔法少女協会への扉だった。

  俺とナギ、ユキは、カエルになったミカとともにその扉をくぐった。

  目の前に広がったのは、荘厳な雰囲気の漂う大理石の広間だった。

  ──魔法少女協会。

  そこは、世界中の魔法少女たちの力の源が集まる、神秘と静寂に包まれた場所。

  巨大な扉が静かに開かれる。

  エリス、ナギ、ユキの三人と、それぞれのマスコットたちが、厳かな空間へと足を踏み入れる。

  エリスの腕の中には、小さな水色のカエル──顔は人間のまま、長いピンクの髪を持つそのカエルは、魔法の水色のリングと黒光りするスーツに包まれていた。

  暴れないよう、首・手首・足首には淡く輝く拘束リング。

  その姿はかすかに震えていた。

  広間の中心、円形の大理石の祭壇の奥に、ローブをまとった女性が立っていた。

  ──魔法少女協会のマスター。

  「ようこそ、スターライトの娘たち。……そして、試される者よ」

  その声に反応するかのように、祭壇が光を帯びる。

  ミカの体から水色の魔力の粒子が浮かび上がり、やがて紫のコアが姿を現す。

  「始めましょう。封じられた意思と、元の心を切り離すのです」

  マスターが右手を掲げると、空間がきらめく。

  エリスがそっとミカを祭壇の上に置くと、リングがひときわ強く輝き──

  次の瞬間、強い光とともに、2つの姿が現れた。

  ひとつは、制服姿の月島ミカ。

  カエルではなく、以前のままの人間の姿に戻っている。

  もうひとつは──黒く光るエナメルドレスに身を包み、角と紫の尾を持つ存在。

  土の四天王、メイカだった。

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  「ふふ……ようやく息ができたわ」

  メイカはゆっくりと立ち上がり、周囲を見渡す。

  「私が光堕ちした?……違うわ。ただ、役割が変わっただけよ」

  その言葉に、ミカは目を見開く。

  隣には立ち尽くしていた、かつての影のような存在──自分自身。

  「あなたは……私の……?」

  「そう。私の中の“力”の象徴。

  だけど、私が壊れたからこそ、あなたは生まれたのよ」

  ミカは立ちすくむ。

  だがすぐに、エリスとナギが一歩前へ出る。

  「ミカ。君がどんな過去を背負っていても、私たちはもう、仲間だよ」

  「だから、一緒に前に進もう」

  ミカはうつむきながらも、ぎゅっと拳を握る。

  「……私は、誰かを傷つけるためじゃなく、守るためにこの力を使いたい。

  たとえこの中に“メイカ”がいても」

  マスターが頷くと、花のような光が舞い上がる。

  その中央に、小さな妖精のようなマスコットが現れた。

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  「あなたの名は──スターライト・モラード」

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  妖精が告げた瞬間、ミカの制服がまばゆい光に包まれ、

  新たな魔法少女へと変身を遂げる。

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  ──スターライト・モラード、誕生。

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  そして、メイカは静かに──だが確かな意思を宿した瞳で、モラードを見つめる。

  「面白いわ。ならば証明してみなさい。あなたがその名前にふさわしいかどうか──」

  マスターが腕を掲げる。

  周囲の空間が暗転し、ふたりを囲むように光の円陣が浮かび上がる。

  「これより、月島ミカとメイカの──対話試練を開始する」

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  ふたりの少女──かつてひとつだった存在が、今、向き合う。

  (つづく)

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