その日、ルパの様子は朝からおかしかった。
落ち着きがない。
ソワソワして、訓練中もずっと漂泊者のことばかり見てくる。
視線が熱っぽくて、頬もほんのり赤い。
「ルパ、大丈夫? 体調悪いなら休んで……」
「ちがっ……あの、ちが……でも、ちょっと……その……」
「?」
「……あたし、今、ちょっと……発情期...、みたいで……」
「……っ」
聞いた瞬間、漂泊者の喉がごくりと鳴る。
ルパは、しっぽをくるりと自分の腰に巻きつけて、顔を真っ赤にしていた。
「いつもなら、なんとか抑えられるんだけど……今日の相棒が、すごく、えっちに見えるっていうか……」
「え、えっちって……わ、私が?」
「だって……その無防備な首筋とか……髪かき上げるとことか……もう、反則なんだってば……っ」
ぶつぶつ言いながら近寄ってくるルパ。
その瞳は普段よりずっと潤んでいて、鼻先がぴくぴく動いている。
「匂いも……相棒の匂い……あぁ、なんか、クラクラする……」
「……ルパ……っ」
「お願い……今日は、甘えさせて。触れさせて。あたしのこと、落ち着かせてよ……」
ふらりと寄ってくる身体。
漂泊者の腕の中に倒れ込むように身を預けるルパ。
その耳が赤くなっていて、尻尾が揺れているのが、たまらなく可愛い。
「……しっぽ...触っても、いい?」
「……いいよ。いっぱい……触ってくれ...」
指先が首筋から背中へ、そして腰へとすべっていく。
漂泊者の手が、ルパの尻尾の付け根に触れると──
「っあ、そこ、だめ……ひゃぁ……!」
小さく跳ねる身体。
感じすぎて、腰が浮くほど。
「すごく……反応がいいね」
「い、いまのはっ……ちが.............ちがくなくて……っ、尻尾の根本、ほんとにやばいの……っ」
「ふふ……じゃあ、何度も触りたくなるね」
「っ、ばか……っ、やさしく、してよぉ……!」
甘えてくる声に、漂泊者の理性もきしむ。
――だけど、今日は特別。
発情期のルパは、甘くて、熱くて、我慢できないくらい可愛い。
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ベッドの上。
ルパは仰向けで、漂泊者の手をぎゅっと握りしめていた。
「あたし、相棒に触れられると……身体、勝手にびくってなっちゃう……っ」
「ふふっ、かわいい」
「……んっ、相棒の手、気持ちよすぎて、どこ触られても変になりそう……っ」
尻尾が揺れるたびに、シーツが波打つ。
何度も、優しく、じっくりと撫でられて──
「……っ、もう、無理っ……相棒……全部、あたしにちょうだい……!」
「全部って、どこまで?」
「……キスも、手も、声も、熱も……あたしだけに、注いで……っ」
欲しがるルパ。求めて、揺れて、潤んで。
発情期の彼女は、ウブで、でも本能的に“好き”をぶつけてきた。
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夜明け。
シーツの中で、ルパがぴくりと身体を伸ばす。
「……ん……夢じゃ、なかったんだ……」
「夢じゃない。ちゃんと抱きしめたよ、全部」
「……相棒のせいで、癖になりそう……」
「癖になっていい。……また、発情期来たら、いつでも甘えにおいで」
「……来なくても、甘えちゃうかも……♡」
笑って、唇が重なる。
それは、発情から始まった夜の終わり。
だけど──愛しさの始まりでもあった。