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イケメン狼獣人がぽっちゃり少年を娶るはなし。【70】

  「わあ!素敵…!」

  街にある、仕立て屋さんの一室で。綺麗にハンガーに掛けられた、1着の衣装が目に入った瞬間、思わず声を上げてしまった。

  アステールと先生の婚姻の儀まで、あと1週間。6月末に執り行われるそのお式には、リジットさんは勿論、俺や子どもたちまでご招待頂いていて。その時に着る衣装の受け取りに、お願いしていた仕立て屋さんまで足を向けていた。

  お願いしていたのは、俺と子どもたちの衣装で。もう子どもたちの分は既に仕立てて頂けて、受け取りも済ませていた。ロバストは、もう学校にも通うようなお兄さんだから、子ども用のダークグレースをお願いした。ちゃんとネクタイにベストもつけてもらって、もう立派に一人前だ。リジットさんそっくりの黒色の獣毛に、格調高いダークグレーはよく映えて、我が子ながらとても格好良かった。

  アレクはまだ小さいから、蝶ネクタイにサスペンダー付きのトラウザーと、お揃いのジャケット。でも、やっぱりアレクはまだまだやんちゃだから、ジャケットは邪魔みたいで着たがらなくて。でも、アレクの、薄い茶と黒の混ざったような色合いの獣毛に、シャツやトラウザーのライトグリーンはよく似合った。トラウザーとお揃いの色の蝶ネクタイにサスペンダーもとても可愛くて、俺もお気に入りだ。

  ジーニャも、可愛らしいワンピースを仕立ててもらった。明るいフラミンゴピンクに、ジーニャの好きな大きなりぼんをあしらってもらって、スカートや袖の裾にはレースのフリル。髪にも結えるように、お揃いの色のりぼんもお願いした。ロバストとアレクの兄二人からは、『お姫さまみたい!』と大好評だった。勿論、俺もリジットさんも大満足だ!

  そんな風に、出来上がりの衣装も試着させてもらって、子どもたちの衣装は無事に仕立てて頂けて。その後で、俺の衣装も予定通りに出来た、と一報を戴いたのが、ついこの間のことだった。出来上がった衣装を、リジットさんにも一番に見てもらいたかったから、リジットさんがお休みの日に行こうね、って約束して、こうして一緒に訪れてる。最初は子どもたちも一緒に来るつもりだったんだけど、メイドさんが『宜しければお坊ちゃま方やお嬢さまは、見ておりますよ』って言ってくれたから、有難く受け取らせてもらった。

  久しぶりに、二人きりで出掛けられることになって。なんだかはしゃいだ気持ちになってしまって、『久々のデートだね』って茶化してリジットさんにそう言ったら。嬉しそうに笑って『そうだな』、って抱き締めてくれたことも、記憶に新しい。家族で一緒なのも、勿論すごく楽しくて、幸せだけど。…リジットさんと二人きりなのも、俺にはやっぱりすごく嬉しくって、幸せなひと時だから。

  「6月のご婚姻やご結婚は、矢張り皆の憧れですよね。旦那さまと奥さまのご婚姻も6月でいらっしゃいましたこと、よく覚えておりますとも」

  そう言って、衣装をハンガーから丁寧な手つきで下ろしながら、仕立て屋さんがそう言って目を細める。この優しそうな仕立て屋さんは、俺の実家が行き着けとしていた仕立て屋さんで。俺のウエディングドレスも仕立ててくださった方だ。だから、俺だけで言えばもう十数年のお付き合いになるし、その腕が素晴らしいってこともみんな知ってる。

  6月、と言う季節は雨が多くて、他の国では式典のようなものは避けられているらしいんだけど。この国では、獣人の起源とされている神話のなかで、狼であるアルバと人間の娘のジーニャが結ばれたのが6月、とされていた。だから、その二人にあやかって、6月に婚姻や結婚をする夫婦はとても多い。

  俺たちも、そのなかの一組で。その時のことが鮮明に思い出されて、照れ笑いのような笑顔が、自然と浮かんだ。…懐かしいな。今でもこんなに鮮やかに想い出せるあの幸せな時間が、もう何年の前のことだなんて。時間が経つのは本当に早い。その間にも、…リジットさんと俺の間に、3人も可愛い子どもを授かれて。皆、元気に成長してくれて。あっという間で、でもなによりも愛おしい時間を抱き締めるように想い返して

  、ひしひしと噛み締める。

  そんな想いに浸っているからか、なんだかリジットさんにぎゅう、って思い切りくっつきたくなって。でも、流石に仕立て屋さんの前でそんなことは出来ないから。そうっと、彼の手に自分の手を重ねた。そんな俺に気づいてくれたように、リジットさんがその綺麗な琥珀色の眼を、俺に向けて。そのまま優しく眼を細めて、重ねた手を力強く繋いでくれる。それだけで、心臓が甘く高鳴って、顔が蕩けるように緩んだ。

  貴族や軍人さんが関わるような婚姻の儀には、正装が絶対の決まりだ。一般招待客の男性はダークグレースーツ、女性はドレスが一般的で、リジットさんみたいな軍人さんたちは、正装と言えば軍服になるんだけど。貴族になると、それが俺の実家のような末席だとしても、その都度衣装を仕立ててもらうのが、暗黙の了解だった。

  だから、俺の実家の方には、たくさんの衣装がある。特に、俺の両親は、…なんというか、見栄っ張りなところがあったし。何より、…当時の俺の『婚約者』でもあった、あの年嵩の侯爵さまへの顔見せもあったんだろう。あの方が参加されるパーティーへは、俺も絶対に参加することが決められていて。幼いながらも仕立て屋さんに連れていかれて、何着も服を作ってもらった。だから、仕立て屋さんに来ることも、服を仕立ててもらうことも、慣れているまではいかなくても、そこまで珍しいことじゃない。

  でも。…こんなに胸を高鳴らせながら服を仕立ててもらったのは、きっと生まれて2回目だ。初めては勿論、リジットさんと俺の婚姻の儀のとき。

  …最初は、俺なんかがウエディングドレスなんて、って恥ずかしかった。婚姻の儀には、それまでも御招待頂いて、何度か参列したこともあるけど。どの方もすごくお綺麗で、白色のウエディングドレスが似合っていて、本当に花嫁って言葉の意味が分かるくらいに花のように美しくて。ドレス自体も見事で、ふんだんにあしらわれたレースや刺繍も、うつくしく床に広がるトレーンも、思わず見惚れてしまうほどで。そんな光景が頭に浮かぶたびに、…俺には絶対に似合わないって思ってたし。

  何より、リジットさんの軍服の礼装なんて、絶対に格好良いに決まってたから!リジットさんの普段の軍服は黒だけど、婚姻の儀の礼服となると、赤色になる。胸に着ける幾つもの勲章は金色で、帯刀するサーベルも金色。こういう時にしか被ることのない、耳を出せるようになっている軍帽は黒で、下に履く少し細身のトラウザーも黒だ。ほぼ黒一色の、リジットさんのいつもの軍服もとっても格好良いけど。…あの時の、赤に金に黒の色を身に着けたリジットさんも、もう最高に格好良かった!リジットんさんの獣毛も黒だから、赤や金がすごく映えて、軍帽ももっと被って欲しいって想うくらいに似合ってて。最初に、『俺はこのような格好になると思う』、ってその衣装を着て見せてくれた時には、その格好良さに倒れるかと思ったくらいだ。比喩でなく。

  だからこそ、…そんなリジットさんの隣に立つのが俺、って言うのが恥ずかしかったし、…怖かった。似合わない、って思われたらどうしよう。なんでリジットさんはあんな子を選んだの、って思われてしまったらどうしよう、って。俺の記憶のなかにあるような、あんなに綺麗なウエディングドレスを俺が着るっていうことすら、申し訳なくなってしまって。最初は、わざわざ仕立てるのなんていいよ、って口にしてしまっていた。『ウエディングドレスなんて、俺には似合わないから、着なくても大丈夫だよ』って。

  …あの頃の俺は、きっと自分に、欠片も自信がなかったんだと思う。自分を侯爵さまに捧げる道具くらいにしか思っていなかっただろう両親からの扱いや、気づいた時には決められていた所為玩具としての婚姻、それを諦めながらも受け入れていた幼少期。あの頃は、それが当たり前で。そんな自分を不幸だなんて感じたこともなかったけれど、…それでも、自尊心というか、自分を大事に想う気持ちは削げ落とされてしまっていたのかもしれない。

  

  そんな俺に、リジットさんは驚いたように眼を見張って。その長身を跪いてまで俺に視線を合わせてくれると、真っ直ぐにその眼が俺を見つめた。

  

  『何を言う?お前はこんなにも愛らしく、あどけなく幼気で、この世界の誰よりも可愛いじゃないか。お前ほど愛くるしく、誰の目も惹きこころを奪うような者など、他にいるわけがないのだからな』

  そう、俺に告げてくれる声には、何の嘘も誤魔化しもなかった。俺を慰める為の言葉でもなければ、思い遣りからくる偽りでもない。…リジットさんは、本当に、本気でそう思って、俺に言ってくれていた。それが分かるくらいに、真剣で、真っ直ぐな声。

  その言葉にこそ驚いて、思わずぽかんとリジットさんを見つめ返してしまえば。俺の反応にも不思議そうに、リジットさんが首を傾げて。

  

  『そもそも白色のウエディングドレスなど、正にお前の為の衣装だろう?お前に似合わないのならば、この世に似合うものなど誰もいなくなるぞ』

  

  そう言って、俺の頬を指先の肉球でゆっくりなぞって、…笑ってくれた。優しげに細めた涼やかな眼と、笑うと口の端から覗く、鋭くも可愛い犬歯。この牙のような犬歯…というか、牙なんだけど。それを可愛い、と彼に言うのは、どうやら俺だけらしい。俺は、リジットさんが笑うときに小さく覗く、この犬歯が凄く好きで、とっても可愛いと想うんだけど。それを彼に告げると、照れたように笑いながら、『俺の牙に、そんなことを言うのはお前だけだ』って言って抱き締めてくれる。その時のリジットさんは、照れながらもとても嬉しそうで。時には尻尾まで大きく揺らして、俺に喜びを表してくれた。

  そんな彼を想い出して、…ああ、そうか、って不意にすとん、と腑に落ちたんだ。そうか、きっとそうだ。俺が、リジットさんのあの犬歯を、誰が何と言おうが可愛くって大好きだ、って、そう想ってるのと同じように。…きっと、リジットさんも本当に、俺をそう想ってくれてるんだ、って。

  そう思うと、嬉しくて。誰の為でもない、リジットさんと俺の為に、ウエディングドレスを着よう、ってそう想えた。誰が、俺の格好を似合わないと思ったとしても。誰が、…俺はリジットさんに不釣り合いだと、そう感じだとしたって。リジットさんは俺を、…こんな俺を、誰よりも可愛いって想ってくれてるんだから。

  あの時のリジットさんの真剣な眼を。俺に告げてくれた言葉を、触れてくれた指を想い出して、また顔が崩れるように緩んだ。…あの時から。ううん、初めて逢った時からずっと、リジットさんは俺のことを、世界一可愛いって言ってくれる。そんなこと、俺に言ってくれるのはリジットさんだけだし、…俺が、そう言ってもらえて何より嬉しいのも、リジットさんだけだ。他の誰が、俺に何を思ったとしても、リジットさんさえ俺のこと可愛いって、好きだって想ってくれたら。俺は、それだけで誰よりも、何よりも幸せなんだよ。

  そんなことを想い返して、ふふふ、と思わず笑ってしまうと。リジットさんと仕立て屋さんが、同時に俺を見遣ってきて、思わず照れてしまう。

  「それほど、このドレスの出来栄えが気に入ったのか?そうだな、お前によく似合いそうな、可愛らしいドレスだ」

  「そう思って頂けたのなら、光栄です。旦那さまと奥さまにお気に召して頂くことが、何よりの喜びですから」

  リジットさんの言葉に、仕立て屋さんが嬉しそうに言葉を返した。それを聞きながら、俺も大きく頷く。今考えていたことこそ違うけど、このドレスがとっても可愛くて、俺が直ぐに気に入ったのは本当だもの。

  俺が頷いたところも、見ていてくれたんだろう。仕立て屋さんが更に嬉しそうな顔をして、ドレスをやっぱり丁寧な手つきで腕に掛けながら、俺を見遣った。

  「本当に有難う御座います。こちらのドレスも、奥さまにお似合いになるよう、精魂込めて仕立てさせて頂きました。さあ、こちらへどうぞ」

  そう言って、試着室に案内される。このお店では、仕立て屋さんに試着を全てお手伝いしてもらうのと、外から衣装を受け取って自分で着ていく試着方法を選べる。俺は、自分で試着するほうを選んで、試着室に入った。まずは服を脱いで、それから外で待っていてくれる仕立て屋さんに声を掛ける。

  今回仕立ててもらった衣装は、可愛らしいコーラルピンクの、前が開いたミモレ丈のドレスのような衣装の下に、お尻や足のラインまで分かるほどにぴったりとした細身のトラウザーを合わせたようなものだった。あんまりにもぴったりとしすぎていて、きっとこのトラウザーだけでは恥ずかしくて履けないくらいに、お尻や太腿のラインが丸わかりになってしまうだろう作りなんだけど。だからこそ、ドレスの下に履くと綺麗に映る。上も、首から肩までが繊細なレースで、隠れてはいるけど透けている。その代わりフリルとかレースとか、そう言った装飾は無くて、上品にシンプルな作りのドレス…いや、一応スーツ?になるのかな?

  俺はリジットさんのお嫁さんだし、身体もリジットさんの子どもが授かれるように造り替わってるけど、基本は男だから。ドレスやスカートは勿論可愛いと思うし、例えばメイドさんの着てる制服や、ハロウィンの仮装で着るような魔女の服とかは、…実はちょっと着たいな、とか思ったりもするけど。いつも着る服としては、昔から着慣れているパンツスタイルがやっぱり動きやすくて好きだし、普段の格好もトラウザーやブリーチズを履いている。幼い頃に作ってもらった衣装も、ほとんどが…侯爵さまの好む衣装だったから。可愛らしい感じに蝶ネクタイ…と言うよりも完全なりぼんや、サスペンダーのついた丈の短いショートパンツのようなものが多かった。だから本格的なドレスなんて、ウエディングドレスしか着たことない。

  婚姻の儀の時は、俺が花嫁だったから、純粋なウエディングドレスにしてもらったけれど。今回は招待客の一人だし、やっぱりスーツ的な礼装の方がいいのか、でも俺はリジットさんのお嫁さんだから、ドレスの方がいいのが。でもドレスなんてほとんど着たことないし、どうしようってリジットさんや仕立て屋さんと色々相談した。

  『お前は誰よりも可愛く、愛らしいのだから、何を着ても似合うに決まっている。だから、お前の着たいものにすればいい』

  …その時に、リジットさんが俺に言ってくれた言葉が、頭を掠める。少し低めの、涼やかに優しい声。その声で、俺を緩く抱き締めながら、頭を撫ぜてくれて。…その言葉に、ウエディングドレスで悩んでいた時にリジットさんが告げてくれた言葉も思い浮かんで、こころが弾むようにあたたかくなった。…いつだってリジットさんは、俺のこころをなによりも強く力づけてくれる。

  そうして俺を力づけてくれるリジットさんに、仕立て屋さんも、『ご不安でしたら、前開きのドレスにして、下に細めのトラウザーを合わせましょう。奥さまでしたら、タキシードよりも可愛らしいドレスの方がお似合いになりますよ』って、俺の背を押してくれて。そうして、俺の希望も聞いてくれた上で、いちから仕立ててもらったのが、この衣装だ。前に開いた部分は、同じコーラルピンクのオーガンジーで覆われていて、下は薄く見えるけどやっぱりスーツと言うよりはドレスみたい。やっぱり綺麗だし、凄く可愛くて、こころが躍った。

  「どうだ?」

  外からリジットさんの声が聴こえて、鏡の前で自分の格好を確認した。…うん、やっぱりとっても綺麗で、素敵なドレスだ。トラウザーは、予想通りにぴっちりとして、お尻の丸みや太腿の形まで丸わかりなくらいにぴちぴちなんだけど。その部分はドレスで隠れてるし、見えるのはほとんど脛から下だけだから、見苦しくないだろう。…でもやっぱり、このトラウザーだけじゃ恥ずかしくて履けないな。そんなことを思いながら、カーテンを開ける。

  「着られたよ!どうかな?」

  そう言って、カーテンを押さえながら目の前の旦那さまに向かって問いかける。少しだけ、綺麗なかたちの琥珀色の眼を見開いたリジットさんが、凝視するように俺を見つめた。彼の耳が、ぴん、と峙っているが目に入って、思わず口が緩む。リジットさんの耳が、そういう風にぴんって立っているときは、わくわくしてたり、興味を持ったり、何かに注目してるときだって知ってるから。今はきっと、それだけ俺の格好に真剣に注目してくれてるってことなんだろう。

  そんな風に、真剣に俺の格好を見てくれているリジットさんに、照れながら感想を待つ。暫くしてから、まるで感嘆するようにリジットさんが息を吐いた。その眼が嬉しそうに細められて、その口端から牙が覗く。

  「とても好いな。お前によく似合っている。矢張りお前はこの世の誰よりも愛らしく可愛いからな、そのようなドレスもよく似合う」

  そう、俺に向かって告げながら、…リジットさんが俺に手を伸ばした。衣装を汚さないようにだろうか、俺の後頭部に彼の手が回って、…その肩口に俺の頭が触れるようにして、抱き締められる。そのまま、俺の耳に、彼の顔が寄せられて、ふかふかの彼の獣毛が、俺の頬を優しく擽った。

  「…こんなに可愛らしいお前を、本当は人前など出したくはないが。…あの二人の婚姻とあらば、我慢しよう」

  その体勢のままで、…そんなことを、耳元で甘く囁くものだから。彼の腕のなかで、この衣装のコーラルピンクよりも、もっと赤くなりながら。俺の、誰よりも大好きな、世界一格好良い旦那さまに、…俺のなかで最高の笑顔を浮かべて、抱き着き返した。

  6月は、雨の月だけど。アステールと先生の婚姻の日には、どうか、綺麗に晴れますように。

  おまけ

  「…このトラウザーは、これだけでも履くものなのか?」

  「は、履かないよ!こんなにお尻や足のラインが丸見えだもの、恥ずかしくて無理だよ…!」

  「…そうなのか。いや、勿論お前にこのような、身体の線が出るものを人前でなど履いて欲しくは無いが。…俺の前では履いても好いのではないか?」

  「えっ」

  「お前は、俺の前でも身体の線があまり出ないような服装をしているからな。勿論、あのようなふんわりとした格好も、お前の雰囲気によく似合っていてとても可愛らしいのだが。…このような、愛らしくふくよかな尻の丸みや、柔らかそうな太腿の線が分かるような格好も、とても好いと思うぞ」

  「え、そ、そう…なの?見苦しくない?」

  「見苦しいなどあるものか!とても可愛らしい上に扇情的で、…堪らなくなる。出来るならば、俺の前でだけ履いて欲しいのだが、どうだろうか」

  「り、リジットさんが見たいって言ってくれるなら、俺、いつだって履くよ!」

  (こんな遣り取りを、リジットさんと交わして。これだけじゃ絶対履かないだろうなこのトラウザーは、…リジットさんと二人きりの時にたくさん履くようになった)

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