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イケメン狼獣人がぽっちゃり少年を娶るはなし。【30】
目が覚めたら、もう夕方だった。
いつもなら、寝すぎた!って勢いよく飛び起きるところなんだけど。…今は、おなかを撫ぜながら、ゆっくりと起き上がる。今までよりも、また少しだけ大きくなった気のする、俺の下腹部。起き上がってからも、おなかに手を当てて、ゆっくりと指を這わせた。…まだ全然小さいだろう赤ちゃんが、それでもとくん、とくんって鼓動を打ってる音が、聴こえる気がする。そこから溢れる幸福に、身体中で浸りながら、…もう一度、布団に潜り込んだ。
リジットさんの子を身籠ってから、眠くて眠くて堪らない。だから、最近はお昼寝ばかりしてしまって、お屋敷のみんなのお手伝いが出来てない。…というか、させてもらえない、というべきか。俺が、何か手伝おうとみんなのところに向かうたびに、『駄目です!安静にしてらしてください!』って寝室に戻されてしまう。もちろんご飯も作らせてもらえないし、食事やトイレに行くときには、誰かしらが付き添ってくれる。…なんだか、すごくみんなが過保護になってしまって、嬉しいけれど申し訳ない。ひとりでも大丈夫だよ、って言うと、それも、『駄目です!奥さまに何かあったら大変です!』って、時には手を引いてくれる勢いで、俺が寝室に戻ってベッドのなかに入るまで、ずっと傍にいてくれる。…病気じゃないから、そんな風に優しくしてもらうと、やっぱりすごく申し訳ないんだけど。…でも、本当は、やっぱりそれがすごく嬉しい。
リジットさんもそうだ。初めて逢ったときから、リジットさんは今までずっと、俺にすごく優しくして、甘やかしてくれてるのに。俺が妊娠してから、彼は、俺に更に優しく、甘くなった。寝るときも、まるで壊れ物でも扱うみたいに、俺をその身体の獣毛で包んでくれて、優しく抱き締めてくれる。
起きてからも、彼がいるときは、俺は、自分の足で歩かせてもらえない。俺が何処かに行こうとすると、彼が俺を抱っこして連れて行っていくれる。それがお屋敷のどの部屋でも、庭園でも、どこでも。…俺は、自分で歩けるから大丈夫だよ、って言ってるんだけど。
『お前が、俺たちの子をその身で育ててくれているのに、俺は何もしてやれない。だから、せめてこのくらいさせてくれ。俺に、お前たちを護らせてくれ』
優しくて真っ直ぐな眼と、少し硬質で真摯な声。…世界一格好良い、俺の大好きな旦那さまに。真っ直ぐに見つめられて、その低くて甘い声で、そんなことを言われてしまったら。…俺に、否なんて言えるわけもなくて。彼にされるがままに、甘えさせてもらってる。…病気でもないのに、甘えてる、って自分でも分かってるんだけど。それでも、やっぱりとても嬉しくって、…幸せだ、って想ってしまう。
そのまま、彼のことを考えながら。ベッドのなかで、おなかに手を添えて丸まっているうちに、またうとうととしてしまっていたらしい。こんこん、ってドアをノックされる音に、微睡んでいた意識が浮き上がった。寝ぼけた声で、反射的にはい、って声を上げると、一拍置いて、そのドアがゆっくりと開く。
「済まない、起こしたか?」
聞き慣れた、低くて涼やかな声と一緒に。俺の世界一大好きな旦那さまが、ドアから顔を覗かせた。もうお仕事用の軍服じゃなくて、ラフなシャツとトラウザーという格好だ。…こんなシンプルな格好でも、リジットさんは最高に格好良いなあ!なんて、彼に今日も見惚れながら、ベッドからゆっくりと身体を起こす。
「ううん、大丈夫だよ、おかえりなさい!」
ドアのところにいる彼に、そう声を掛けると。躊躇いなくその身体が部屋に入って、俺のところまで、まっすぐ歩いて来てくれる。そんな彼に、思わず身を乗り出すように、腕を伸ばしてしまえば。その手を優しく掴んで、そのまま柔らかく抱き締められる。
「ただいま」
優しい声が、耳に響いて。頭を、その大きな手で労わるように撫ぜられる。それを思う様享受しながら、彼の首元に腕を回して、ぎゅう、と抱き着いた。…これが、俺が妊娠してから、最高に幸せな瞬間のひとつだ。
…そんな、俺たちの向こうで。こほん、と咳払いの音がして。
「こんばんは、フラフィー。お加減は如何ですか?」
ドアの向こうから覗いた顔は、スティケート先生だった。彼の肩越しに目が合う俺に、先生が穏やかに、優雅ににっこりと笑ってくれる。
「先生!お久しぶりです、俺は全然元気です!」
思わず、ベッドから飛び降りそうに跳ねた身体を、リジットさんの腕に制される。彼が、先生を振り返って、促すように小さく頷いた。それを合図とするように、先生も俺の傍に歩いて来てくれる。
「元気なら、何よりです」
そう言いながら、先生が俺の傍らに跪く。…そうだ、この寝室には椅子がないんだ!今更ながら、それに気づいて。先生に、ベッドに座ってください、って言ったんだけど。先生は、優しく眼を細めただけで、そこから立とうとはしてくれない。
「スティケート、これに座れ」
リジットさんが、隣室からだろうか、先生に椅子を持ってきてくれた。それを受け取った先生が、彼にお礼を言いながら、その椅子に座る。それを見届けてから、リジットさんが、俺のいるベッドの傍らに腰かけた。そのまま、包まれるように、彼に肩を抱かれて。…そんな俺の手を、先生が、両の手で握る。
「…フラフィー、おめでとうございます。リジットから聞きました、2人の子を授かったと。本当に良かった、おめでとう」
いつも通りの、落ち着いて穏やかな声。でも、…先生の、俺の手を握る指は、痛いほど強くて。俺を覗き込むように見つめるモノクル越しの目が、…少しだけ水膜の張ったように潤んでいた。そんな先生に、…俺まで、目元が熱くなって、涙腺が緩んでしまう。
「ありがとうございます、先生」
ただお礼を言うだけで、喉奥で声が詰まった。本当は、もっとたくさん口にしたい言葉があったのに。先生が、俺にいろいろ、たくさん教えてくれたから。リジットさんの子を身籠れるなんて、何も知らなかった俺を、…先生が、親身になって教えて、助けてくれたから。
それ以上は、声にならずに。ただ、ぼたぼたと涙を零す俺に。先生も、その目元を薄く滲ませながら、ただ、俺の手を握ってくれた。先生の顔がゆっくりと俯いて、その少し垂れた耳の先端が柔らかく揺れる。…先生が、俺に頭を下げてるんだと、そのとき気づいた。
「…ありがとう。本当にありがとう、フラフィー…!」
穏やかな先生の声が、最後で少し上がって、震えた。噛み締めるようにそう言う、その広い肩も少しだけ震えていて。水膜越しに見た、その先生の様子に。…ただでさえぼたぼたと零れる涙が。更に止まらなくなってしまう。ただ、頭をぶんぶんと横に振って、幸せなのは俺の方だってことを、先生に伝えた。リジットさんが、肩に回していた腕で、俺の頭を優しく撫ぜてくれる。そのまま、また、ぎゅうって抱き締められて。…俺は、先生に握られた手に、俺も力を込めながら。先生と、額を合わせるようにして、…ただ、零れてくる涙に身を、任せた。
暫く、ぼろぼろと泣いた後で。先生が、取り出したハンカチで眼を拭うのを見遣りながら、俺もぐしぐしと手の甲で涙を拭う。…そんな俺に、リジットさんも、その指の肉球で、俺の目元を拭ってくれて。俺の涙で少し湿って、ざらりとした感触に、思わず頬が緩んだ。
モノクルまで綺麗に拭いた先生が、モノクルを片目に填め直して。そんな俺たちを見てか、その眼を細めて穏やかに笑う。それから。
「少し気が早いとは思うのですが、良かったらこれを」
先生が、椅子の下に置いていたらしい、大きな包みを俺に差し出す。シンプルな包装紙に、可愛らしいりぼん。受け取ると、俺には抱えきれないほどに大きくて、でもそれほど重くはなかった。有難う御座います!ってお礼を言ってから、早速膝の上で開けさせ貰う。
…そこに包まれていたのは、二体の可愛らしい縫いぐるみだった。琥珀色の釦の眼と、艶やかな黒色が綺麗な、ふかふかと触り心地の好い黒色の狼獣人。その狼獣人と腕を組むように、…丸くてやっぱりふかふかとした男の子の縫いぐるみが、にっこりと笑っている。…誰を模しているのかなんて、一目で分かった。
「これは、枕にもなる縫いぐるみです。今の貴方は、たくさん睡眠を欲するときですからね。これを、お昼寝のお供にしてあげてください。貴方たちの子が産まれたら、是非、この子たちもその遊び相手にしてあげてくださいね」
組んでいる腕は、外せるらしい。可愛らしく組んでいた腕を、先生が外して。言葉と一緒に、黒狼の…リジットさんの方を、俺に渡してくれた。先生の言葉に、俺のなかで、リジットさんにそっくりな俺たちの子が、この縫いぐるみで遊んでいる様子が鮮明に浮かぶ。…絶対可愛い!その勢いで、黒狼の縫いぐるみをぎゅう、って抱き締めると、ふかふかの胴体に腕が沈む。体温のない筈の縫いぐるみは、それでも抱き締めると仄かにあたたかかった。…これから産まれる俺たちの子も、抱っこしたらこんな感じなのかな。そんなことが不意に頭に浮かんで、更に幸せな気持ちが身体中に満ちる。
…その縫いぐるみが、勢いよく腕から抜かれた。空っぽになった俺の腕に、ふぁさり、と彼の尻尾が飛び込むように柔らかく揺れる。
「…心遣い感謝する、スティケート。これは、その言葉に甘えて俺たちの子の遊び相手にさせてもらおう。きっと、喜んで遊ぶだろう」
穏やかに笑いながら。リジットさんが、戴いたときのように、縫いぐるみの俺たちの腕を固く組ませる。そのまま、寄り添うようにその身体をくっつけて、ベッドの端へと置いた。…今は俺の枕にもなるよ、って戴いたはずなんだけど。もう、対になった二体の縫いぐるみは、俺の手には届かないところに置かれてしまった。
縫いぐるみの代わり、とでも言うように。俺の腕の中で揺れる、リジットさんのふわふわの尻尾に指を絡ませて遊びながら、小さく笑う。スティケート先生も、少しだけ眉を下げて、眼を細めた。指でモノクルを押し上げる様は、先生に似合っていてとても優雅だ。
「…貴方の縫いぐるみだけではなく、フラフィーの縫いぐるみも一緒ならば、貴方もやきもちを妬かないと思ったのですが。やっぱり駄目でしたか」
そのまま、笑みを含ませて先生が彼に言う。その言葉に、…リジットさんも、少しだけ眼を細めて、薄く笑った。
「…ああ、駄目だな。たとえ縫いぐるみが相手だろうが、この子の隣は譲らない。この子の傍にいるのは俺だけでいいからな。それに、例え縫いぐるみだろうが、これは『俺』なんだろう?それならば、この『俺』だって、対となる妻の傍にいたいに決まっている。『俺』をこの子から引き離してやるな」
語尾にも、薄く笑いを滲ませながら。俺の旦那さまが、縫いぐるみに手を伸ばしながらそう言った。優し気な手つきで、男の子の、…『俺』の縫いぐるみを撫ぜる様に、少しだけもやっとする。思わず手を伸ばして、『俺』を撫ぜる彼の腕を、奪うように取った。…そのまま、彼の手に、指を絡めれば。少しだけ驚いたように眼を見張ったリジットさんが、嬉しそうにその眼を細める。…それを見ながら、俺は、耳まで熱くなるのを感じて、緩む顔を隠すように顔を伏せた。俺の膝の上で、ふぁさふぁさと綺麗な毛並みの彼の尻尾が、やっぱり嬉しそうに揺れていた。
「貴方もですか、フラフィー」
少しだけ呆れたような、…けれどとても嬉しそうに、穏やかな声。その声と同じように、穏やかに、可笑しそうに笑う先生に、ますます頬が熱くなるのを感じながら。
「そうですっ!リジットさんは、…俺のだから!」
そう、言い切るように、声を張って先生に笑えば。ああ、そうだな、って嬉しそうな声と一緒に。俺の言葉に応ずるように、傍らに座るリジットさんが。…ぎゅう、と優しく、俺の身体を抱き包んでくれた。
それから。ここ最近の近況や、妊娠してからの身体の様子を、先生やリジットさんと、お話しした。そうすると、あっという間に時間は過ぎてしまって。…気づいたように、先生が時計を見遣る。寝室の時計は、もうすぐ午後9時を指そうとしていた。…あれ、もうそんな時間!?先生も、時間の経過にだろうか、少しだけ驚いたように眼を見張って。
「おや、もうこんな時間でしたか。そろそろお暇しなくてはですね。また、近々お邪魔させてください」
言いながら、先生が、椅子からゆっくりと立ち上がった。そんな先生に、リジットさんもベッドから腰を上げる。俺も、お見送りをしようとベッドから足を下ろした。それを見計らうかのように、…俺の身体が、ふわり、と抱き締められて、宙に浮く。
「リジットさん!今日は、大丈夫だよ!?」
まるで当たり前のように。リジットさんに抱きかかえられて、思わず慌ててしまった。最近、いつも彼にしてもらってること。甘えさせてもらってること。…でも、やっぱり、これは、彼に甘えすぎなんじゃないだろうか?先生も、呆れてしまうんじゃないだろうか?だって、…俺は病気じゃないのに。それに甘えて、こんなに大事にしてもらうなんて。
「何を言っている。お前は歩かなくていい、俺に任せてくれ。…スティケート、客を使って済まないが、この子の羽織るものを取ってもらえないだろうか」
「ああ、これですね?私が羽織らせましょう」
「済まない、有難う」
そんな不安を抱えながら、彼の腕に抱き上げられて、わたわたしてる俺に。当たり前のようにリジットさんと先生が会話をして、先生が俺にカーディガンを羽織らせてくれる。…その手が優しいことが、申し訳なくて。勝手に言葉が、俺の口を突いて出る。
「あ、有難う御座います先生!その、俺病気じゃないのに、こんな甘えちゃって、その」
「フラフィー」
ごめんなさい、と。謝ろうと知る俺の声を、遮るように…先生が、『教師』の声で、俺の名前を呼んだ。穏やかだけど、一本芯の通ったような、厳かで静かな声。この声で名前を呼ばれると、俺は、いつも自然にぴん、背筋が伸びてしまう。
今も、いつも優しい先生の、軍人だったという過去を思わせるような、荘厳な声に。俺は、反射で姿勢を正して先生を見遣った。
「妊娠は、確かに病気ではありません。ですが、だからこそ、労わらなければならない。病気ではないから、甘えては駄目だ、なんてことは全くありませんよ。寧ろ、病気ではないからこそ、今は、もっと自分を大事にして、みんなに甘えてくださいね」
荘厳な声が、言葉とともに、穏やかで優しい声へと響き変わる。最後は、いつもの先生の声で、優しく頭を撫ぜられた。はい、とまるで幼い子どものように、素直に頷く。…先生の言葉が、あったかくて、嬉しかった。はにかむように笑いながら、目線を落とせば。先生と同じように、優しく眼を細めて俺を見遣るリジットさんの顔が視界に映った。俺と目が合うと、その眼がますます優し気に細められて。
「俺も、スティケートもこの屋敷の者も、皆、そう思っているんだ。お前は、もっと俺たちに甘えてくれ。俺たちは、…俺は、何よりも、お前を大事と想っているんだからな」
眼と同じに優しい声が、そう、俺に告げてくれる。またも緩んでしまった涙腺を隠すように、うん!と大きな声で、笑いながら頷いて。彼の身体に、俺も腕を回して、ぎゅうっと抱き着く。
そのまま、リジットさんに抱っこしてもらいながら、廊下を歩いた。お屋敷のみんなが、先生を見送るためにエントランスに集まる。
「では、また。フラフィー、身体を大事にして、皆に甘えるんですよ。ちゃんと皆に頼って、無理をしないこと。…それが宿題です」
眼を細めて言う先生に、俺も笑う。はい!って大きな声で返事をすれば、いい返事です、って先生も満足そうに笑う。
本当は、先生を馬車までお見送りしたかったけど。夜風は身体に障りますから、って、ドアの前までで返された。閉まるドアの向こうで、手を振ってくれる先生に、俺も手を振り返して。…ドアが閉まるのを見届けてから、リジットさんがゆっくりと歩き出す。
「今日は、食事をとれそうか?それとも、寝室で横になったほうがいいだろうか。それなら、このまま寝室に向かおう。俺も、食事を終えたら直ぐに寝室に向かう」
彼の問いかけに、…それでも、俺の答えは決まっていた。正直、あんまり食欲はない。でも、…みんなに甘えていいって、先生も。リジットさんも、そう言ってくれたから。
「ご飯はあんまり食べられないかもしれないけど、でも、…俺、リジットさんと一緒にいたいです」
彼の肩に手を置いて。その綺麗な琥珀色の四白眼を、見つめながら彼に言う。…その眼が、少しだけ見張るように開かれて。それから、嬉しそうに細められた。
「それなら、このまま食堂へ向かおう。お前が少しでも食べやすいよう、皆が知恵を絞って夕食を作ったらしいぞ。お前が食堂に姿を見せれば、それだけで皆喜ぶだろう」
彼が、歩く足先を、食堂へと向けながら。少し硬質の、でもとても優しい声が、辺りに響く。彼に抱き着きながら、それを心地好く聞く、俺の。その頭を、彼が撫ぜた。それから。
「…安心しろ。お前が言わずとも、俺はずっとお前の傍にいる」
低い声が、耳元に甘く溶けた。彼の言葉に、少しだけ目が丸くなって。…それから、自然に笑み崩れる。その視界が、薄く滲んだことに、小さく笑った。どうやら、子どもを授かってから、俺の涙腺は、今まで以上に緩くなってしまったみたいだ。
目に張る水膜を隠すように。彼の、ふかふかの獣毛に、顔を埋めながら、その首元に回した腕に、さらに力をこめる。
「絶対だよ?ずうっと俺と、おなかのこの子の傍にいてね?」
「ああ、絶対だ。約束しよう」
そう言って。ふわり、と艶やかな獣毛が、俺の頬を擽った。それが心地好くて、でも擽ったくて、笑いながら少しだけ顔を上げれば。…それを見計らったみたいに、彼の顔が、間近にあった。
まるで。約束の証みたいに、…その口が、俺の唇に重なって。触れただけの優しいキスをしたあと、額を合わせて、2人で笑った。
俺の幸福が、おなかの子にも伝わってるかのように。俺のおなかが、あったかく脈打った気がして。
…まるで、この子も喜んでるみたいだ、なんて。そんなことを、…幸せを噛み締めながら、密かに想った。
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