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イケメン狼獣人がぽっちゃり少年を娶るはなし。【38】

  今日は、珍しくリジットさんがひとりでお出かけをするそうだ。

  「じゃあ、行ってくる」

  「うん、気を付けてね」

  エントランスで。いつものように、腕にだっこしたロバストと一緒に、出掛ける彼をお見送りする。…ひとつ違うのは、今日の彼は王城に出勤するのではなく、お休みの日の外出だということだ。

  だから、格好もお仕事着である軍服じゃなくて、セーターとテーパードパンツ。それから手には手袋と、…それからマフラー。俺が初めて彼に編んだそのマフラーを、彼はお仕事にも休日にも、愛用してくれている。勿論、市販品に比べたら、足元にも及ばない出来なんだけど。それでも、…リジットさんは、それを身に着けるとき、とても嬉しそうな顔をしてくれるから。その顔を見るたびに、俺も、嬉しさと同時に幸せが込み上げてきて、堪らなくなる。もっと、彼に喜んで欲しい。俺がつくったものを、彼に身に着けて欲しい。…こう思うのは、もしかして、…独占欲の一つなんだろうか?そう考えるとなんだか恥ずかしくて、彼に申し訳なくなるような気持ちになるけど。…それでも、やっぱりそう想ってしまう気持ちは、本当だった。

  …でも、ここ最近は、まるで真冬みたいに寒い日が続いている。リジットさんは、寒さに強いけど、セーターにマフラーだけで大丈夫かな?そう思って、彼を見上げて声を掛ける。

  「リジットさん、コート着なくても平気?」

  「ああ、この程度なら問題ない。この獣毛である程度防寒は出来るし、…それに、俺にはこれがあるからな。お前の編んでくれたマフラーは、何にも比べられないほどに暖かい。これがあれば、コートなんて必要ないさ」

  少し硬質の、でも甘く響く低い声。その声で、まるで何でもないことのように、そう言いながら。慣れた手つきでそれを首に巻くと、優しく眼を細めて、俺を見つめる。…たったそれだけで、俺の身体は、一気に熱が上がって耳まで熱くなった。ああもう!ああもう、そんな照れるようなことを、そんなに優しい眼と格好良い声で言わないで欲しい!…嬉しくて、幸せで舞い上がってしまいそうになっちゃうから!

  きっと、まるで茹蛸のように赤くなってるだろう俺を。未だ優しく見遣っているリジットさんに、ますます照れてしまいながら。そこから話を変えるように、彼に再度問いかけた。

  「あ、えっと、今日は、何処に行くの?」

  俺の言葉に、優しく細められていたリジットさんの眼が、今度は楽しそうに笑んだ。俺の頬に彼の指が伸びて、そのまま沈む。彼の指の肉球が、俺の頬を擽るように撫ぜて、俺の目も自然にぎゅう、と細まった。

  「秘密だ。…帰ってきたら教えるからな。いい子に待っていてくれ」

  そう言って、リジットさんが触れるだけの優しいキスを、俺にくれる。ちゅ、と軽い音を立てて、唇が触れてから。額を合わせて、2人で笑う。ふかり、と少し硬い彼の獣毛の感触が、額に心地好く沈んであたたかい。

  それから、彼が手袋を手に填めた。やっぱりいつもの白手袋じゃなくて、彼が馬に乗るときに填める、黒色の皮手袋。…じゃあ、今日は馬に乗ってどこかに行くのかな?最近は、狩りに行くこともそうなかったから、本格的な冬になる前に何かを狩ってくるんだろうか。…でも、ここ最近はもう冬みたいに寒いから、山のふもとにはもう動物はいないかもしれない。でも、動物を探して山のなかにも入るだったら、ここよりももっと寒いんじゃないかな。もう日の暮れるのも早いし。…そう思うと、胸のなかに心配が広がってしまって、気づくと口を開いていた。

  「もしかして、山の方に行くの?そしたら、ここより寒いかもしれないし、日が暮れるのも早いから、あの…気を付けてね」

  「ああ、分かってる。日の暮れる前に帰ってこよう。だから、安心してくれ」

  再度口にしてしまった、『気を付けて』の言葉。そんな俺に、リジットさんがまた、優しい眼で俺を見て。言葉通り安心させるように、ロバストごと、俺を柔らかく抱き締めてくれる。それが嬉しくて、彼の胸のなかで、少しだけ目を閉じた。俺の背に、撫ぜるように彼の腕が回って。…それから、ゆっくりと、彼の身体が俺から、離れる。

  「寒いから、ここでいいぞ」

  屈むように、顔だけ俺に寄せたまま、彼が言う。…本当は、ドアの外まで出て、お見送りをしたかったけど。ロバストも一緒だし、彼に心配を掛けたくなかったから。うん、と頷いて、彼に笑った。

  そんな俺に、彼も笑い返してくれて。…それから、踵を返して、外へのドアに手を掛けた。その身体がドアの外に消えるまで、ロバストと一緒に手を振って、彼の背を見送る。出ていく直前、リジットさんが俺たちを振り向いて、また、眼を細めて笑ってくれた。

  そんなリジットさんに、俺も笑いながら手を振って。彼の姿が見えなくなるまで見送ってから、ロバストと一緒に部屋に戻る。…お休みの日に、リジットさんがいなくて寂しい、とか。そう想ってしまうのは、俺だけの秘密だ。リジットさんだって、一人になりたい時もあるだろうし、…お仕事じゃないときは、夜も、お休みの日も、いつも俺と一緒にいてくれるんだもの。俺だって、少しくらいは我慢しないと!

  「ロバスト、今日はおかあさんとお留守番だよー。2人で、いい子でおとうさんが帰ってくるのを待ってようね!」

  自分に言い聞かせるように、そう言いながら。ロバストをベッドに寝かせて、その顔を覗き込んだ。俺の顔が分かるのか、リジットさんとお揃いの眼を大きく細めて、少しだけ生え始めた前歯を見せながら、声を上げて笑う。みゅうみゅうと鳴く声は、産まれた時よりも遙かに大きく、力強くなっていた。時折喃語と、もう少しで言葉になりそうな声も上げるようになって、そのたびに、この子の成長を感じて、泣きたいくらいに幸せになる。

  

  今も、その小さな手に早速お気に入りのおもちゃを掴んで、難なく持ち上げては楽しそうに笑う。その手の、ぷにぷにの柔らかな肉球も、段々と綺麗なピンク色から黒色へと変化していた。つられるように、その肉球を指でちょん、と突くと、俺の指を反射のようにぎゅう、とロバストの手が掴んだ。…その、俺を掴む手の強さに、顔と一緒に涙腺も緩んでしまって、慌てて瞬きでごまかした。

  ロバストが掴んでいる木製のおもちゃは、先生とアステールが贈ってくれたものだ。ロバストが口に含んでも舐めても噛んでも大丈夫な、無塗装で木製のおもちゃ。シンプルな輪っかのものや、輪っかのなかで星やハートや鳥や丸型の木の玉がかたかたと鳴るものや、カスタネットのようになっていて、振ると音の鳴るものもある。ロバストが特にお気に入りなのが、鳥型の木の玉が輪っかのなかでくるくると回りながらかたかたと鳴るおもちゃで。今もそのおもちゃを小さい手にしっかりと握っては、ぱたぱたと振り回したり、輪っかの部分を齧ったりと愉しそうに遊んでいる。…やっぱり、本能で鳥や動物が好きなんだろうか。それとも、可愛いからかな?どちらにしても、ロバストがご機嫌で遊んでくれているのは、俺も見ていて楽しいし、すごく嬉しい。…今度、先生とアステールには、改めてお礼を言おう。あと、こんなに可愛く遊んでいるところも、見て欲しいなあ。

  そんなことを思いながら、ロバストの傍らに座り直して。この時間に進めようと用意していた編み棒と毛糸を取り出して、まだ途中の編み物の続きに取り掛かった。

  今、俺が編んでいるのは、リジットさんのセーターだ。俺の編んだマフラーに、あんなに喜んでくれて、いつも身に着けてくれているから。…もっと、彼に、俺のつくったものを身に着けて欲しい、って。そう思ってしまった気持ちを止められなくて、…この冬は、リジットさんにセーターを編むことを決意したんだ。

  マフラーが濃紺だったから、セーターの毛糸は黒色にしてみた。濃紺と黒は合わせるのが難しい、って聞いたことあるし、俺に服や色彩のセンスがあるかは正直怪しい。でも、リジットさんには黒がよく似合うし、何より世界一格好良いから!きっと、黒色のセーターは彼に似合うだろうと思って…というか、寧ろ彼に黒色のセーターを着て欲しいな、って俺が想って。彼が、このセーターを着てくれるところを、願うように想像しながら、編み棒と毛糸と格闘する。

  せめて、クリスマスには間に合わせたい。そう思って頑張ってはいるんだけど、…正直、俺にとって編み物は難易度が高い。繕い物や裁縫は、『花嫁修業』の一環として、昔から教わっていたし。だからこそ、自分でリジットさんの縫いぐるみやその衣装を作れるくらいには、得意だって思えるんだけど。編み物は、そう言えば教わったことがなくて、ほとんどが自己流と、編み物の本と首っ引きだ。

  マフラーこそ、凝ったものには出来なかったけど、なんとか編み目は揃って編めているし。両先のフリンジも、俺なりに好い感じにできたかな、と、それなりに自負しているけれど。…セーターの方は、模様編みや柄なんて、夢のまた夢だ。編み目すら揃わなくてがたがたになってしまって、手触りもぼこぼこだし。そのたびに、揃わなくなったところから解いて、もう一度編み直して。そんなことを繰り返していると、セーターは全然進まないのに時間はあっという間に経ってしまう。…マフラーで、自分の編み物の腕が分かったからこそ、セーターの方が難しいだろう、って、時間に余裕をもって始めたつもりだったのに!でも、やっぱりリジットさんには内緒にしたいから、リジットさんの居る前では編めないし。でも、…リジットさんと一緒に居られるときには、やっぱり傍にいたいから。リジットさんが帰ってきてからや、彼のお休みの日に、別の部屋で一人でこっそりと…っていうのは、出来ればしたくない。ああでも、本当に間に合わなくなったら、そうしなきゃいけないかな?いや、そうしなくていいように、やっぱり今頑張らないと!そんなことを思いながら、目を数えて編み棒を進める。

  そんな俺を応援するように、きゃっきゃっと可愛い声を上げて、ロバストが腕や足をぱたぱたと動かした。その声に思わず顔を緩ませながら、数を覚えて手を止める。そのまま、俺たちの息子を覗き込めば、ご機嫌そうに笑いながら、手に持っている木製のおもちゃを口に含んで、がじがじと噛んでいた。そろそろ、前歯以外の歯も生え始めているから、もしかしたら歯が痒いのかもしれない。

  おむつを履かせたお尻の下でも、身体の下敷きになりながらもぱたぱたと、可愛い尻尾が楽しそうに揺れていた。もう、尻尾もすっかりと獣毛が生えそろって、立派にふさふさだ。その尻尾が、こんな風にぱたぱたと揺れているのは、すごく可愛くて。見ているだけで、顔が緩んで崩れそうになってしまう。…リジットさんの尻尾も、こんな風に揺れたりしないかなあ。でも、リジットさんは、そんなに尻尾に感情が出ないひとだからなあ。リジットさんの尻尾も、もっと揺れたりしたら、絶対すごく可愛くて、格好良いのに!

  そんなことを思いながら、ご機嫌でおもちゃを齧っているロバストの頭を、そうっと撫ぜた。ロバストの、リジットさん譲りの眼が、きゅうっと嬉しそうに細められて、きゅう、と楽しそうな声を一つ、上げる。そんな俺たちの息子が可愛くて、編み物は少し休憩にして、ロバストの横に添い寝するように寝転がりながら、一緒に遊んだ。

  そんな風にロバストと遊ぶと、上手に気持ちも切り替えられたみたいで。遊び疲れたのか、ロバストが眠ってしまったのをきっかけに、また、編み棒との格闘を再開する。

  随分集中して、編み物に打ち込んでいたようで。こんこん、とドアをノックする音で、我に返って顔を上げた。いつの間にか、午後の日は夕暮れへと近づいていて。大分部屋が薄暗いことに、そこで気づく。

  俺の傍らでは、さっきと同じにロバストが、規則正しい寝息を立てて、気持ちよさそうに眠っていて。そんなロバストを起こさないように気を付けて起き上がりながら、足音を立てずにドアへと向かう。

  「はぁい」

  小声で返事をしながら、そうっとドアをゆっくり開けた。俺の様子で、ロバストが寝ていることを分かってくれたのか。俺に一礼をしたメイドさんも、潜めてくれた声で、耳打ちするように俺に告げる。

  「旦那様がお帰りになりました」

  

  その言葉に、ぱ、っと自分の顔が輝くのが、自分で分かった。勢いよく一歩を踏み出しかけて、…眠っているロバストに、足を踏み出したまま、その場で止まった。どうしよう、抱っこしたら起こしちゃうかな?逡巡するように、ロバストの眠るベッドを振り向く。…俺のそんな様子に、メイドさんが、また、小声で口を開いた。

  「坊ちゃまは、私が見させて頂きます。奥さまは、どうぞエントランスへ」

  そう言って笑ってくれるメイドさんに、甘えさせてもらって。ありがとう、って俺も頭を下げて、眠っているロバストをメイドさんにお願いする。メイドさんが、ロバストの眠るベッドへと向かってくれたのを確認してから、俺もエントランスへ足を急いだ。

  階段を勢いよく降りて、足音を立てながらエントランスへと駆ける。エントランスの、ドアにほど近い場所で、手袋を外しているリジットさんと、彼をお出迎えしているメイドさんたちの姿が見えて、更に足が逸った。そんな俺に気づいたように、リジットさんが顔をあげて、俺を見る。…ただそれだけで、俺の心臓が、爆ぜるように全身に鳴り響いた。

  たった一日、離れていただけなのに。…お休みの日に一緒に居られないことが、こんなに寂しいことだったなんて。それを噛み締めるように感じながら、彼のもとへと尚も駆け寄る。

  「今帰った。…少し遅くなってしまったな、すまない」

  エントランスに響く、少し硬質の、涼やかな声。それを聞きながら、首を振って彼へと駆ける。そんな俺に、彼の腕が、拡げられて。…俺も、その腕に、タックルするような勢いで飛び込んだ。そのまま、ぎゅう、と彼の背に腕を回して、思う様抱き着く。そんな俺を、軽々と抱き留めてくれる彼の腕も、俺が顔を埋めた広い胸も、抱き着いた彼の身体も、すっかりと冷えて冷たい。

  「おかえりなさいリジットさん!寒かったでしょう、お風呂に入る?それとも、部屋であたたまる?」

  もう、一時も離れたくなくて。彼に抱き着いたままで、顔だけ上げて、彼にそう問いかけた。そんな俺に、リジットさんが眼を細めて笑う。それから、俺の言葉に応えるように、小さく首を振りながら、リジットさんが俺の肩を優しい手つきで抱いた。俺を促すように、肩を抱いたまま、彼が外へのドアを開く。

  「…え?」

  そこにあったものに、思わず目を見開いた。ぽかん、と目を見開いたまま、それとリジットさんを交互に見遣ってしまう俺に。リジットさんが、まるで悪戯が成功した子どもみたいな顔で、愉しそうに笑った。

  

  「今日は、これを採りに行っていた」

  言いながら、その手が、それに置かれる。しっかりとした幹は、俺が全力で押したとしても、びくともしなさそうに太い。鮮やかな緑色の葉が冷えた風にしなやかに揺れた。

  

  今、俺たちの目の前に在るのは。…彼の背よりも大きな、もみの木だった。

  「もう、クリスマスまで一月も無いだろう?去年は、この時期に街で売っているもみの木を、一緒に買いに行ったが、…矢張り、街にはそんなに大きな木はなかったからな。お前は、それでもとても喜んでくれたし、お前の幸せそうに笑う顔を見られて、俺も嬉しかったが。…もっと大きなものを用意出来たなら、お前にもっと喜んでもらえたんじゃないかと、…それが心残りだったんだ」

  目も口も大きく開けて、もみの木を凝視するように見つめてしまう俺に。リジットさんが、もみの木に手を添えながら、俺に言う。…その言葉に、反射で今度は彼を見つめた。彼に抱かれている方から、あたたかな熱が全身へと巡って、俺の頬に火を灯す。目の奥までが、じぃん、と熱くなるようだった。…彼の顔が、薄く滲んで見えるほどに。そんな俺の視線に気づいたのか、リジットさんも、優しい眼で俺を見つめ返してくれる。

  「それに、今年は俺も『父親』だからな。ロバストの父親として、…お前の夫として、胸を張って誇れるようになりたい。そう思ったから、伝手を辿って生えているもみの木を譲ってもらったんだ」

  その言葉に、…俺はまた、彼に飛び込むように、勢いよく抱き着いて、その身体を抱きしめる。…リジットさんの身体は、さっきと変わらずに冷たかった。俺の為。俺と、俺たちの息子の為。その為に、こんなに冷たくなってまで。それを感じると、俺の顔も目も、どんどん熱くなってくる。嬉しいよりも、幸せよりも何よりも、…俺の旦那さまが、大好きで、愛おしくて仕方なかった。

  「そんなの、…リジットさんはずっと前から、俺の世界一の旦那さまで、世界一格好良いロバストのお父さんだよ!」

  大きな声で言った言葉は、目と同じに薄く滲んで、辺りに響いた。彼の身体をあたためたくて、ぎゅうぎゅうと、俺の身体を押し付けるように力いっぱい抱き着く。そんな俺に、リジットさんが笑う声が、上から降ってきて。俺の背にも、彼の腕が回って、優しく抱き締められた。そのまま頭を撫ぜられて、小さな子どもみたいに、彼の胸でしゃくりあげた。

  「フラフィー、俺は、…お前に喜んでもらえただろうか?」

  俺に回る腕と同じに、優しい声。静かに降ってくるその声に、勢いよく顔をあげて、彼を見上げる。水膜で滲む視界に、琥珀色の眼を細めて笑う彼の顔が映った。

  「もちろんだよ!すごく嬉しいよ、リジットさん、…ありがとう」

  …彼と出逢ってから。彼に恋をして、一緒に居られるようになってから。俺の涙腺は、すっかりと緩くなっている気がする。今も、すごく嬉しいのに、違う、…すごく嬉しくて、幸せだからこそ。目から零れてしまう涙を止められないまま。彼にそう言って、その気持ちが伝わるようにと、顔中で笑う。

  そんな俺に。リジットさんも、俺に笑い返してくれながら。…その顔が、俺へとゆっくり近づいた。間近の距離で、俺を見つめる、琥珀色の綺麗な眼と。…その中で、俺を絡めとるように見遣る、黒色の瞳。…その眼に、吸い込まれそうだと、頭の片隅で想いながら。重ねられる彼の口に、うっとりを身を委ねた。

  次の、彼のお休みの日には。この大きなもみの木いっぱいに、素敵できれいな飾りつけをしよう。

  去年、彼と揃えた飾りは全部飾って。それから、ジンジャーブレットマンもたくさんつくって。みんなで可愛くアイシングして、それもいっぱい飾りたい。

  そのてっぺんに飾る大きな星には、俺の大好きな旦那さまと、俺たちの大事な息子の眼の色と、お揃いの琥珀色のものがいいな。

  

  (…あと。ヤドリギのリースをこっそり飾って。そこで、リジットさんにキスしてもらえたら、嬉しいな)

  

  そんなことを。こころのなかで、こっそりと想いながら。これからのクリスマスシーズンに、思いを馳せた。

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