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イケメン狼獣人がぽっちゃり少年を娶るはなし。【62-ハンデットとシイスの話】
よく晴れた、春も半ばの、ハンデットのお休みの日に。珍しく、ハンデットから、街の外の森林公園へと誘われた。
「ほら、手貸せ」
「う、うん!」
俺へと差し出されるハンデットの手を、ちょっとだけ赤くなりながら握り返す。…いつも、ハンデットのお休みの日は、うちの店や俺の部屋で一緒に過ごすか、街へ買い出しや買い物に行くかが多くて。…こんな風に、2人へ何処かへ行くのは、未だに数えるほどしか、ない。
とは言っても俺は、数少ない休日に、ハンデットが俺と一緒にいてくれること自体がすごく幸せだったし。その場所がうちの店で店番だろうが、俺の部屋で遊ぶのだろうが、ハンデットと一緒だったら何処だって嬉しいし楽しい。から、そんな休日の過ごし方でも全然好かったんだけど。改まって、2人で出かけるってなると、それはそれですごく嬉しくって、どきどきして、…少しだけ緊張、する。
今日行くのは、街からは、少し距離のある森林公園。でも、少し遠くてもその公園は、街の人たちからも人気の場所で。そこへ行く為の乗合馬車も、街から定期的に出ているほどだ。
だから、俺たちもてっきり、それに乗っていくのかと思いきや。…ハンデットが用意してきてくれたのは、一頭の立派な馬だった。ハンデットと同じ黒色が綺麗な、大きな馬。聞けば、軍の馬とかじゃなくて、今日の為にハンデットが借りて来てくれたらしい。
「まあ、走ったら俺のほうが速いんだけどな」
なんて。そう笑いながら、初めてのことに戸惑う俺を、ハンデットがゆっくりと馬に乗せてくれる。…ぐう、普段はぶっきらぼうなくせに、そういうところが格好良いんだよ、もう!いや、ぶっきらぼうなところも好きだけどね!?
見ただけでも、大きいと思った馬の背は、乗ってみると見た目以上に目線が高い。あと、俺の背が低い所為か、…身体が丸い所為か、足が短い所為か。跨った足は、馬のおなかの半分もいかないところでぶらぶらと揺れる。馬の立派な体躯のおかげで、座っていて安定感こそあるけど、やっぱり結構怖い。きっと、今は乗せてくれている馬がおとなしいから大丈夫なだけで、少しでも俺が身動ぎしたら、落っこちてしまいそうだ。…今からこんな調子で、馬が駆けだしたらどうなるんだろうか。
そんな、あわあわとしている俺の後ろで、颯爽とハンデットが馬に跨る。俺と違って、軽く足で弾みをつけただけで、軽々と馬に乗ったその身体は。…そのまま、俺を後ろから抱き締めるように、俺の身体に回った。思わず、わあ、と声が漏れる。
「何だよ」
「あ、いや、ううん!なんでも!」
きっと、見るからに不安がっている俺を安心させるために、後ろから抱きかかえてくれたんだ。ハンデットは、一見素っ気なくて、ぶっきらぼうに見えるけど、…だけど、本当はすごく優しいひとだから。
現に、落っこちたらどうしようと心配していた俺の身体は、ハンデットに包まれるみたいに後ろから支えてもらってるおかげで、もうぐらぐらしない。これなら、馬が駆け始めても、俺が落ちたりしないだろう。ただ、…ただ、近い!滅茶苦茶近い!ハンデットの息遣いすら、後ろから感じる気がするくらいに。
背の高いハンデットと、背の低い俺は、座った体勢でも目線がかなり違う。俺の頭は、ハンデットの首元辺りにあるくらいだ。その体勢で、後ろから抱き締められてるみたいになってるものだから。…いつも以上に、俺の身体は、ハンデットの腕のなかにすっぽりと収まっている。その分身体の密着も激しくて、体温どころか心臓の音まで、身体のなかに響いて聴こえそうだ。
割と照れやなハンデットと、言葉でも態度でも、好きだと言うことを伝えたい俺だと、…俺のほうから、ハンデットにくっついていくことが多くて。おれから抱き着いたり、手を繋いだり腕にしがみついたりして、それにハンデットが赤くなって、お前馬鹿やめろ、とか言いながらも、抱き締め返したりしてくれる。そんなのが当たり前だったから、…こんな風に、あっちのほうから抱き締めてくれるような体勢は、未だに慣れない。今も、心臓がばくばく鳴って、顔に熱がぎゅんぎゅん上がっていくのが分かる。…こ、こんなんじゃ、俺の心臓の音なんてハンデットに聴こえまくりだよ!
「…なんか、今日は大人しいな。怖いのか?」
「う、ううん!えっと、あの、いつもよりも目線が高くて、すごいな、って!」
後ろから、…というよりも耳元で聞こえてそうなくらいに近くで聞こえる、ハンデットの声。それに返した俺の声は、語頭からひっくり返る。本当のことだって恥ずかしくて言えないから、慌てて口に出した言葉は、我ながら適当だ。でも、そんな不審な俺の言葉にも、ハンデットは『ふうん』、て頷いただけで済ませてくれた。よ、良かった…!
「お前も手綱持っとけよ」
「う、うん」
ハンデットが、そのまま俺の前にある手綱を握りながら、俺にもそう声を掛けてくれる。いつもよりも近い、近すぎる距離から聞こえる声に。ただ頷くだけの俺の声は、それでも上ずってしまった。…ますます不審だ。でも、だって!この距離での声って、まるで囁かれてるみたいなんだよ!きっと、俺に聴こえるように、ハンデットも後ろから少し背を屈めて言ってくれてるんだろうし!そしたら、耳に直接吹き込まれてるみたいになるんだよ!どきどきするなって方が無理だよ!こんなの!
内心で大騒ぎしながらも、表面上は何でもなく見えるように、頑張って平静を装う。…装えてないけど。それでも、ハンデットは俺の様子に何か突っ込むこともなく。とん、と馬のおなかを足で軽く圧した。それが合図だったように、馬がゆっくりと歩き出す。…そのゆっくりした速度と、ハンデットに後ろから支え抱いてもらってるおかげで、馬が歩いていても全然怖くない。心臓は、それ以上にどきどきと高鳴っては跳ねてるけど。
「…そういえばさ」
「うん」
春の、ふんわりとあったかい空気が心地好い。そんな春の日の道を、馬でゆっくりと歩きながら、ハンデットが後ろから俺に話しかけてくれる。…こうやって、ハンデットが後ろにいて会話するのって初めてだなあ。ハンデットのほうを向こうと振り返りながら、不意にそんなことに気づく。
いつも、歩いてる時はハンデットと隣り合って歩くか、ハンデットが俺の一歩前を歩くかで。うちにいるときは、大体店の椅子に向かい合うか、木で作ったベンチや、俺の部屋だったらベッドに隣り合って座るかで。こうやって、後ろからハンデットの声が聞こえることなんて、そういえば今までなかった。…こんな風に、ハンデットに後ろから抱き締められてるみたいな体勢になるのも。なんて、また思考がそこに戻ってしまって、自分で赤面してしまう。あー、あーもう!そこから離れよう、俺!
「俺が訓練兵だった頃に、兵科の教官だった先生がさ、婚姻が決まったんだと」
「えぇ!すごい、おめでとう!」
俺が一人赤面してる間にも、ハンデットは言葉を続けていて。続けられたその話に、俺も思わず歓声のように声を上げた。婚姻!結婚!すごいなあ!俺は、その先生と言うひとには逢ったことないけど。それでも、こうやってハンデットが俺に話してくれるくらいだ、きっとハンデットにとって、大事な先生なんだろう。そんなひとのおめでたい話に、俺まで頬が緩んだ。
でも、ハンデットが訓練兵の頃の先生、と言うからには、そのひとも獣人だろう。この国の軍人さんは、大半が獣人だから。でもそうかあ、結婚かあ。あ、婚姻って言い方をするんだったら、地位が高いひとなのかな?この国で結婚を婚姻、って言うのは、貴族とか、地位のあるひとたちだから。そんなことを考えながら、逢ったことのないその獣人だろう先生を、それでも脳内で想像する。
その先生の結婚相手はやっぱり獣人の軍人さんだろうか、それとも、…人間だろうか。そんなことが無意識に頭に浮かんで、少しだけ頬が熱くなった。いつかに逢った、黒狼の軍人さんが頭を過ぎる。俺に似ていて、でも俺より、きっと誰よりもダントツに可愛い奥さんがいるって惚気ていた、あの軍人さん。俺に似ている、というからには、その奥さんはきっと人間だろう。
獣人と、人間。そんな組み合わせは、この国でもきっと少数だって分かってる。でも、…絶対にいない、なんて訳じゃない。少なくとも、一組だけは絶対に存在するし、もしかしたらその教官の先生だって、相手は人間かもしれない。だから、…だから。
考える、というよりもまるで祈るようになってしまった俺に。ハンデットが、まるで深呼吸のように、深く息を吐く音が聴こえた。それから。
「お前、絶対に後ろを向くなよ」
「?うん」
俺の後ろから回る、ハンデットの手が。見るからに、緊張するように俺の前で手綱を握った。ぎゅ、と、皮の擦れる音が聞こえるほどに強く握られる手綱に、俺も背筋を伸ばして、同じように手綱を握る。どうしたんだろう、ここから先は、そんなに危険な場所を走るんだろうか?不思議に思って前を見遣っても、続くのは平坦で安全そうな並木の道だ。春も半ばの今の時期は、花の咲く木は綺麗に色づいて、森林公園に行く道中も色鮮やかで、見ていて楽しい。そんな平和な道。
「…お前、その」
「うん」
ハンデットが何か合図をしたのか、馬の歩調がますますゆっくりになった。それでも、俺の身体を支えてくれるみたいに、ハンデットの身体に包まれている上半身が、あったかくて心地好い。密着した身体から、ハンデットの心臓の鼓動が速く響いて、俺の心臓まで何故だか跳ねるように高鳴っていく。
「…お前、け、結婚ってどう、思う?」
何故だか掠れて響くハンデットの声。それに、…心臓がどきん、って一際大きく跳ね鳴った。予想していたみたいな、危険な場所とか、そういう方向性じゃない。けど、…俺にとっては、同じくらいに意識する話題。
きっとハンデットからしたら、この話題に深い意味なんてないんだろう。教官の先生が結婚する、っていう話から、なんとなく話を振ってみたってだけかもしれない。でも、タイミング的に、まるで俺の頭の中を読まれたみたいだ。
…後ろを向くな、って言われてて良かった。今、顔を見られていたら、俺の動揺具合がばれてしまってたに違いない。ほ、っと内心で安堵の息を吐きながら、俺も何でもないみたいな振りをして、前だけを見て口を開いた。それでも、速まる心臓の鼓動までは押し隠せなくて、緊張で語頭から躓く。
「け、結婚?いいなあって思うよ」
「そ、そうか」
「うん。うちの父ちゃんと母ちゃんとか見てると、喧嘩もするけどやっぱり仲良くて、言わなくても通じ合ってるって感じるし。何より俺から見ても幸せそうだし!だから、俺も、あんな風になりたいなあって」
ハンデットと。って、ついそこまで口が滑りそうになって、慌てて口を噤む。一気に顔から身体まで熱くなって、じわりと汗が滲む。わあああ!ま、まずい!まずい!そんなこと行ったら、俺がハンデットと結婚したいって想ってるって、ばれちゃうじゃないか!いや、俺はそりゃ、ハンデットのこと大好きだし、いつか、その、…結婚とか出来たらいいなあ、って想うけど!でも、ハンデットも俺と同じ風に考えてくれてるとは限らないし!そもそもハンデットだってまだ全然若いし、これだけ格好良いんだから、結婚するのなんてまだ早いって思ってても仕方ないし!それに、…獣人と人間、だし!…だし。
ハンデットとの、結婚に対する期待と。…それに対しての、隠しきれない不安。俺一人が望んで浮かれてるだけで、…ハンデットはどうなのかって。それが今も浮き出て来て、またも脳内で密かに大騒ぎしてしまう俺に。
…俺の後ろの彼が、掠れた声で、『じゃあ』、って言った。それからまた、一呼吸置いて。ハンデットが、切れそうなほどにきつく、手綱を握る。革製の手綱とハンデットの肉球が擦れて、ぎりぎりと言う音まで聞こえるくらいに。
「…じゃあ、俺と、け、け結婚するってのは、どうだ?」
後ろから。聴こえた言葉は、ところどころ掠れていた。いつも、はっきりと物を言うハンデットからしたら、珍しいくらいに途切れる言葉。囁く、と言うよりも、緊張で小声になってしまったようなその声は。けれど静かな並木道に、はっきりと響く。
ぽかん、と。俺の目が、言われた言葉を理解する前に、勝手に見開いた。ハンデットの言葉を反芻したいのに、頭が真っ白になって、動いてくれない。呼吸すらも止まってしまったみたいで、うまく息が吸えなかった。心臓が、高く跳ね上がりすぎて、戻ってこない。どくん、て高鳴るど、の部分で、驚いて止まってしまったみたいだ。それなのに、顔だけはどんどんと熱くなって、身体まで熱を帯びていく。
瞬きなんて、どうやるか忘れてしまった。ただ、ぎゅって無意識に握りしめてた手綱の感触だけが、妙にリアルで。ひゅ、っておかしな感じに喉が動くのを、まるで他人事みたいに感じる。完全に止まったままの思考で、身体が勝手に動いた。
「だぁ、っからこっち向くな!」
声も出てこないままで、頭だけが、風を切る音さえ聞こえる勢いで、彼へと振り向く。そんな俺の頭が、慌てたようなハンデットの声と大きな手で遮られた。そのまま前を向かされて、…上半身を押さえるみたいに、更に強く後ろから抱き包まれる。ハンデットの心臓の鼓動が、更に速く脈打ってるのが俺にまで響いて、全身が燃えるみたいに、更に熱くなった。…漸く、思考が今に追いつく。え、え、えぇ!?
「け、っけっこっ!?んん、っ結婚ってなに、な、なにが!?」
声がひっくり返るわ掠れるわで、一回咳払いをして仕切り直す。それでも、頓狂に抜けた声になってしまうのは押さえられなくて、またも声が裏返った。知らずに、尚もぎゅうぎゅうと握りしめてしまった手綱が、手汗の所為か手のひらで擦れる。大声を出さないと、遅れを取り戻すみたいにどっくんどっくん高鳴っている心臓の音で、何も聴こえない。
「何がも何も、その、言葉通りだよ!」
「や、言葉通りって、だから、なにが!」
多分、がっちがちに緊張してるみたいなハンデットの声も、俺と同じように語尾がひっくり返った。傍から見たら、まるで怒鳴り合ってるくらいに、お互い大声だ。…もしかして、ハンデットの大声も、俺と同じ理由だろうか?だって、身体に感じるハンデットの心臓の音も、…俺と同じくらいに大きく、早く響いてる。目が眩むほどに、顔が、熱い。
「だから、…その」
言いかけて。ハンデットが、ぐい、と上半身を少し後ろに倒すようにして、手綱を引いた。そうすると、歩いていた馬がゆっくりと足を止める。ハンデットの腕の中に収まっていた俺の身体も、その馬の動きに合わせりみたいに少しだけ後ろに傾いだ。少しだけ、上を向くような体勢。…ふわり、と柔らかなピンクの花弁が、俺たちの上に降ってくる。
止まった場所は、…丁度、桜の木の下だった。いろんな木が植えられている中でも一際目を惹く、一本の大きな桜の木。桜の中でもグラデーションのような色づき方をしたピンクのアーコレードが、まるで舞うように花弁を降らす。綺麗、と、思わず上を仰いで、声が漏れた。
ハンデットの手が手綱から離れて、…未だ手綱を握りっぱなしの俺の手に、重なる。少し汗ばんだ肉球が、ざらりと俺の手を包んだ。後ろから響くハンデットの心臓の鼓動は、…更に大きく鳴っていた。俺の心臓の音と混ざり合うみたいに、同じ早さで、同じ高さで。高鳴る心臓は痛いくらいだったのに、…混ざって響く心臓の鼓動は、泣きたいくらいに心地好い。
躊躇うみたいな緊張と、深呼吸のような息遣い。俺を支えてくれるために密着していたハンデットの身体は、…今こそ、俺を後ろからきつく抱き締めていた。彼の片手が、俺の身体に回って、その腕に力がこもる。これから言われる、言ってもらえる言葉に、…期待をしても、いいんだろうか?これから、彼の言う言葉は、…そう、なんだろうか?跳ねまわる俺の心臓の音が煩すぎて、ハンデットの言葉が聴こえないんじゃないかと懸命に耳を澄ませた。ハンデットが、一際大きく息を吸う音が、俺の耳に届く。
「お、俺と、…け、結婚してくれないか」
今度こそ。俺の耳に、正しく囁かれた、彼の言葉が耳に溶けた。視界が滲んで、桜の優しいピンク色だけが、ぐしゃぐしゃに潤んだ目に映る。…嬉しすぎて、幸せで泣くなんて、本当にあると思ってなかった。
俺の返事なんて、答えなんて、ひとつしかないって。そんなこと、ハンデットだって分かってるだろうに。俺の後ろから、彼の不安そうな気配を感じて、思わず笑ってしまう。その拍子に、目から零れた涙がぼたぼたと頬を伝った。それを拭う時間すら惜しくて、涙を零しっぱなしのまま、勢いよく後ろを向いた。そのまま、間近にある俺の彼の顔へと、…その勢いに任せて、キスをする。
ハンデットから、一瞬狼狽えた気配がして。けれどそのまま、また俺をきつく抱き締めてくれる、強い腕。馬の背に乗っているから、思い切り抱き着けないのがもどかしい。押し付けるみたいに、彼の唇に自分の口を重ねて、数秒…いや、数十秒?そんな、キスのあとで。
「っ喜んで!不束者ですが、末永くよろしくお願いします!」
勢い込んで口に出した言葉は、…いつかの時にハンデットが、俺の両親に言ってくれた言葉と何処か、似ていた。そんなことに気づきながら、満面の笑顔で、俺の彼を見上げれば。零しっぱなしだった俺の涙を、その肉球で拭ってくれながら。…照れ屋の彼が、それでも珍しく、…同じように、満面の笑顔を俺に、くれた。
空からは、ピンク色の花弁が、あとから、あとから舞い降ってきて。まるで、…祝福されてるみたいだ、なんて。そんな乙女めいたことを想ってしまって、あとで盛大に照れた。
本当は、森林公園に行くはずだったけど。今日は、予定を変えて、これから俺の親と、ハンデットのお母さんに、このことを報告しよう。
きっと、皆、驚いて。それから、『やっと決まったのかい!』なんて笑いながら。…それでも喜んで、一緒に泣いてくれるに違いない。
その光景を頭に思い描きながら。また、ハンデットに後ろから、包み込むみたいに抱き締めてもらって。街までの家路を、馬に乗って、…この幸せをかみしめるみたいに、ゆっくりと帰った。
今日のこと。この幸せな日のことを、俺、一生忘れないよ。
『だから一緒に、世界一幸せになろうね!』
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