五月①_キャッチャー・オン・ザ・トイレットスリッパ
数週間が過ぎた朝。街を吹く風には初夏の熱が帯びる。
コンコンコン
リョウの寝室に軽いノックの音が響く。
「……」
リョウはすでに目覚めているにも関わらず、その音を無視した。
下腹部には、ぐっしょりと濡れたおむつの感触が伝わる。おそらく、布団にも垂れている。
コンコンコン
「リョウくん、起きてますか?」
「……あ、ああ」
リョウは渋々と返事した。
「おはようございます。片付けるので、脱いでくださいね」
ユウタほズカズカと入り込んで、掛け布団を剥ぎ取った。
「あ、おい」
「あー、やっぱり。また漏れてますね」
リョウのおもらしはおむつから溢れ、ズボンとおねしょシーツを濡らしていた。
「ベッドは無事。掛け布団も大丈夫そうですが、一応洗っておきましょう」
ユウタは慣れた手つきで、濡れてしまった部分を取り去っていく。
「うぅ……」
「リョウ君、お漏らし癖ついちゃいましたね?」
「ちがっ、う……」
リョウは顔を赤らめながら否定する。
「でも、もうおむつなしでは眠れませんよね? 」
「そんなことねぇよ!」
返事の変わりに、ユウタはクスッと笑った。
「ほら、洗濯しますから立って下さい」
「あ、ああ」
リョウはすっくと立ち上がると、濡れたズボンをストンと落とされた。
パステルカラーに彩られた、子供用のおむつが晒される。当然ながらぐっしょりと濡れて、図柄の柔らかな色彩は失われている。
「ほら、足あげて」
しゃがみ込んだユウタが、リョウの足をペシペシと叩く。
「は? そ、そんな、赤ん坊じゃねえんたぞ!」
「何言ってるんですか。こんなおねしょズボンを毎朝洗濯させるような人が」
「うぐっ」
「ほら早く」
ユウタはリョウの足首を掴んで強引に上げさせた。
「うわっ!わ、分かったよ」
「よしよし、良い子ですね」
「うぅ……」
「はい、右足から」
「ん……」
「はい、次は左足。もうちょっとまっすぐ上げて」
「こ、こうか」
「そう、上手ですよ」
ユウタの視線を感じ、恥ずかしさに身悶えそうになる。
いい歳にもなっておむつを穿かされるどころか、その様子をまじまじと見られることになるとは思わなかった。
年頃になって伸びてきた手足に、濡れて膨らんだおむつがなんともアンバランスだ。
「次はおむつですね」
有無を言わさず、ユウタが紙おむつのサイドステッチをビリビリと破り始めた。
「ちょっ、やめろよ、自分でやるから」
「ダメです。これからおむつ替えに関することは、すべて僕がやります」
「な……そ、そんな……」
ビリッ
おむつは破かれ、その原型を失った。水分を含んで膨らんだ重みで、ペショッと地面に落ちる。
プルン
リョウの小さなおちんちんが、ユウタの眼前に晒された。
「ひゃっ……こら、み、見るな!」
慌てて股間を両手で隠す。
ペシッ
「かぶれるから、触らないようにねー」
ユウタはぴしりと言いつけ、その手をどけさせた。
「うぅ……」
「漏れて、太ももまで滴ってる。お尻の方は?」
そう言うと、ユウタはリョウのお尻を鷲づかみにした。
「ひゃぁ!?」
「暴れないでください、回れ右」
「う……」
リョウは抵抗を諦めて、言われるままユウタに背を向けた。
「うん。それほど濡れ広がってはいないみたいですね」
「お、おぅ」
「上着の裾が少し濡れていますね。一緒に洗濯してしまいましょうか」
「え、そ、そうか?」
そうだったろうかと思い起こしたが、自分からは見えていない場所がもしかすると濡れていたのかもしれない。
「ほら、バンザーイ」
「うわっ。ちょ、ちょっとまてよ」
ユウタは強引に上着の裾をつかんで持ち上げる。
「ほらほら、バンザイですよ」
「う、うあ……」
ユウタに背を向けて、体を縮こまらせる。
「ああ、そうか。背中を向けたら脱ぎにくかったですね。」
「あ、いや……」
「僕としたことが、すみません。ほら、こっちむいて」
おしりをつかまれて正面を向けられる。
上着の裾は持ち上げられ、おちんちん丸見えの状態だ。リョウは思わず脇をしめた。
「うあ……見んなよぉ……」
「いいから、またバンザイしてください。バンザーイ」
肩をすぼませて、おずおずと手を挙げる。
「ほら、もっとしっかり腕を上げて」
「くっ、う……」
「よいしょっと」
子供のように服を脱がされ、リョウは他人の前で全裸にさせられてしまった。
隠すものは何もなく、かわいらしいおちんちんがふるふると震えている。
「あ、あ……」
「触っちゃだめですよ。手は横にしておきましょうねー」
「うぅ……」
リョウはへその前あたりで両手をぎゅっと握った
「あーあー、まだ皮も剥けてないし、毛も薄いですねー」
「だ、黙れよ!」
「おねしょしちゃうような赤ちゃんには、ぴったりのおちんちんですねー」
「う……うっせぇ! こ、こんな……お、おねしょなんか、すぐに治るってーの!」
「はいはい。とにかく、まずはお風呂場に行きますよ」
リョウはユウタに促されて風呂場へと向かう。
スタスタ
ペタペタ
ユウタのスリッパの音に続いて、一糸まとわぬ姿リョウが足音が響く。
ばつの悪い表情で肩を丸めて歩く姿は、まるで本当に子どもになってしまったみたいだ。
「お、お前、どんどん態度がでかくなってねーか?」
ユウタはくるりと振り返って歩みを止めた。
コットンのゆったりとした上質なパジャマに身を包んで、片手に洗濯物をまとめて持っている。
相対する自分はすっ裸で、じろじろ見られると恥ずかしい。
「自覚はあまりないですが、打ち解けてきたということでしょうかね」
「居候のくせに……」
「題目上はハウスシェアという話だったと思いますが、たしかに居候は事実ですね」
「言っておくけど、ここは俺んちだからな」
「ふふっ、知ってますよ。でもそんな恰好ですごまれても……」
指先でリョウの股間をピンと弾く
プルン
小さなおちんちんは、小気味よく跳ねた
「あっ……やっ」
いきなりのことで、リョウは慌てて腰を引くが足を滑らせてしまう。
べちっ
へたれた音を立て、床に尻もちをついた。いわゆる女の子座りで、ユウタの前にへたり込む。
「まったく、権威が感じられませんよ」
「ふぐぅ……」
リョウは唇を尖らせてうつむいてしまう。
顔を真っ赤にして、目じりに涙が浮かぶ。
ジンジンとぶつけたおしりの痛みは徐々に治まり、代わりにフローリングの冷たい感触が伝わってくる。
「それと……」
ダンッ!!
ユウタが大きな音を立てて、足を踏み下ろした。
彼のスリッパが、リョウの太ももの間にいきなり飛び出してきた。
一瞬、おちんちんが踏みつぶされたかと思い、全身がきゅっと縮まった。
「ひ……ぃ、あ……そ、その」
リョウの尖った耳はペタンと座り、両手も力なく垂れ下がる。
「赤ちゃん相手なら、相応の態度だと思いますよ」
ユウタは片足を上げ、爪先をリョウのおちんちんの上にちょこんとのせた。
「うぁ……」
「ふふ、おちんちん隠したらだめだって、ちゃんと守ってて偉いですよー」
「ふうっ……」
顔は真っ赤になる。それでも、びっくりしたせいか腕がちっとも動かない。
まるで降参の意を示す獣のように、無防備におなかを差し出し下腹部も隠そうともしない。
リョウの目頭に涙が込みあがってきた。
「すみません。ちょっと態度が悪かったことは謝ります」
ユウタはすっと手を伸ばして、リョウの頭を子供のように撫でた。
「う……ん……」
リョウには抗議の言葉すら上がってこなかった。
柔らかい手つきが、徐々に気持ち良いとさえ思えてしまってくる。
「けど、おねしょが治らない限り、もっともっと子ども扱いしますからねー」
「あ……う……うあ……」
「そのつもりでいてくださいね」
「う……」
ユウタが顔を覗き込んでくる。
いつものにやけた顔だが、有無を言わせない雰囲気が前面に漂っている。
「お返事は?」
「……う、うん」
リョウの目に潤んだ涙は、今にも流れ落ちそうだった。
「大丈夫ですよ、リョウくんがちゃんと大人になったら、相応の態度に努めさせてもらいますから」
言いながら、スリッパに入った足を、おちんちんの下に潜り込ませた。
あそこの先端をくいくいと弄ばれている。
「ん……」
「さて、リョウくんは大人かな? それとも赤ちゃんかな?」
「そ、そんなの……お、大人に……決まって……」
「ふーん。そういえば。おねしょのしーしーは、全部出し切ったのかなー?」
「んっ……」
ユウタの放つしーしーという言葉に、なぜかリョウは反応してしまった。
「しーしー、やり残してない? しーしー、しーしー」
「あ、やっ……」
おちんちんの先端に薄っすら尿意を感じる。
さっきのユウタ行動におどろいて、ちょっぴりちびってしまったぶんが流れてきた感じだ。
大した量じゃなさそうだが、ここで漏らしてしまっては……
「ふーん。それで、リョウくんは大人なのかな?」
「ふっふうっ……」
ユウタがスリッパを、おちんちんの下に添わせる。
リョウは下腹部にギュッと力を入れて縮こまる。呼吸が浅くなって、何度もはーはーと息を漏らす。
窓からカーテン越しに差し込む光が、みるみる涙で滲み始める。
「大人はおしっこが我慢できるんだよねー?」
「お、俺は……」
ブルッ
まだ肌寒い晩春の風が吹き込み、身震いしてしまう。
「んー? どうかな?我慢できるって言えるかなー?」
ユウタはスリッパを揺らして、おちんちんを弄ぶ。
先端をつつかれている感触はあるが、そんなことは頭に入らない。
ぎゅっと内股を締めると、またフローリングの冷たい感触が伝わる
「俺は、お、おと……な……」
「じゃあ、しーしー我慢できるようになろうねー」
「あっ……」
ショロッ
ショロロロ……
ちょっとちびった量が、スリッパの上面を濡らす。
厚手のコットンに、薄黄色の染みを付けた。
「あーあ……」
「う……ご、ごめ……」
ポタタッ……
スリッパの表面をうっすら濡らすくらいの量で、おもらしは止まった。
「ふふっ、何よりも説得力のある返事だね」
「うあ……、そ、その。ご、ごめん」
ユウタはまたニッコリと、顔を覗き込んできた。
「謝らなくていいよー。大丈夫。床も濡れてないし」
「う……うう……」
ユウタが優しく頭をなでる。
「赤ちゃんの粗相なんて、誰も怒ったりしないからねー」
「そんな、あ、赤ちゃんじゃ……お、俺は……ぁ……」
「よしよし、良い子良い子。リョウはおしっこが我慢できない、赤ちゃんなんだもんねー」
「ち……ちがっ……俺は」
「んー?」
ユウタがいつものニヤケ顔で、じっと覗き込んでくる。
おちんちんの先端からまだ垂れていたおしっこの雫を、スリッパのつま先でぐいと拭き取られた。
「俺は……」
リョウは次の言葉をつなげることが出来なかった。