盛夏の日差しが、窓に照りつける。
「朝ですよー」
ユウタはノックもせずに、リョウの部屋に入り込んで来た。
「お、おう!」
ベッドに座ったリョウはおずおずと返事した。
「今日のおねしょは、どうですか?」
「へへっ、問題なし」
ユウタが布団をめくる。
おむつ一丁のリョウの下半身があらわになる。
ぷっくりと膨れた情けない外見だが、珍しくいつものようなぐっしょりと濡れた感触は無かった。
「おや、珍しいですね。今日は漏らさなかったんですか?」
「ああ」
リョウが自慢げに鼻息を荒くする。
「そうですか。では、今日はこのままトレーニングを始めちゃいましょうか」
ユウタがにっこりと微笑む。
「えっ……?」
「ほら、おねしょしなかったってことは、それだけおしっこしたくなってるってことですよね?」
「あ、ああ」
「これから僕の言った時間だけ我慢してもらいます」
「が、我慢って」
「簡単ですよ、ただトイレに行くのを我慢するだけです」
「それが、トレーニングだってのか?」
「そうです。尿意を覚えた時間から我慢出来る時間をこれから伸ばしていくんです」
「……なるほど」
リョウはむすっと押し黙った。
「おしっこはしたくないですか?」
「む……」
言われたらやりたい気がしてきたが、正直なところ自分の感覚がよく分からなくなっている。
「ま、まあまあ、やりたいかな」
「そうでしょうね」
ユウタはおもむろにスマホを取り出した。
「何してんだ?」
「タイマーですよ」
「ふーん」
「では、10分。良いですね?」
ユウタはスマホを見て、言った。
「そ、それだけ我慢すればオーケーなんだよな」
「そうですよ」
「楽勝。や、やってやるぜ」
実のところ、リョウは尿意などほとんど感じていなかった。
そこから10分我慢するなんて簡単だと、高を括ってる。
「では、スタート」
リョウはベッドの上に座り直して、あぐらをかいた。
なんとなく、我慢しやすそうな体勢を取っておく。
「……」
「……」
妙な沈黙が流れた。
「な、何してりゃいいんだ?」
「べつに、普通にしてたら良いですよ。漫画読んでもいいですし、おしゃべりでもしますか?」
「お、おしゃべりねえ……」
明るい夏の日差しに彩られ、カーテンがたっぷりと光を含んでいる。
窓の外には、遠くに蝉の声が聞こえるだろう。
互いに手持ち無沙汰になって、部屋の中を見渡した。
「いい天気ですねえ」
沈黙を見かねたユウタが、はにかんだ顔で話しかけてきた。
「お、オッサンかよ……」
「僕、まだ高校生ですけど」
「知ってるよ。俺と同い年だろ」
「1年の二学期から編入で、ややこしいですが……まあ、同じ歳のはずです」
ユウタは気恥ずかしそうに顔をポリポリとかいた
「なんか、あたりめーのように住んでやがるけど、親戚なんだよな?」
「一応、そうですよ。えーっと……第二のいとこです」
「なんだそりゃ? 」
「違いましたっけ? たしか、そう。またいとこ」
「こんがらがってきた。確か、俺の親父のいとこの子供……ってことであってんだよな」
「そうですよ」
「ほぼ他人じゃん」
「正しくは、父君のいとこの再婚相手の連れ子です」
「どころか、完全に他人じゃん」
「まあ。そんな感じですけど、一応ちゃんとした親戚です」
「なんとなくわかったが、なんでまた俺んちに?」
ユウタは珍しくバツの悪そうに目を伏せた。
「いやー、この年で連れ子ってなると……まあ、色々ありましてね」
「あー……その、新しい親父と?」
「そんなところです。母は幸せそうですから、言う事ないんてすけどね」
同居人の意外な一面が垣間見えて、リョウは即座に次の言葉を繋げられなかった。
部屋に緩やかな沈黙が流れる。
「そのー、なんだ。お前、結構苦労してんだな」
「そうでもないですよ。別に父とも仲は良いですし、このハウスシェアはタイミングと条件が良かっただけです」
「まあ、でも……なんだ。大変だったろ、色々と」
何か言おうと思ったが、リョウには言葉が出てこなかった。
「優しいんですねー、リョウくんは」
不意にユウタの手が伸びて、リョウの頭を撫でる。
リョウは思わず目を閉じ、身を固くした。
「何すんだよ……」
子供扱いは気に触るが、ユウタに撫でられるのはどうしても抵抗しづらい。
「んー、褒めてるんですよ」
「ふんっ。ま、まあ、こうやって親戚関係だってことは分かったから、良しとしてやる」
「ふふっありがとうございます」
「その……お前は、変なやつだけど。家の事やってくれるし、悪いやつじゃねーみてーだし」
クシャクシャッと、再度髪の毛を撫で付けられた。
「僕はこの家に来て、可愛い弟ができたみたいで嬉しかったですよ」
「だっ誰か弟だよ」
リョウがムスッとして睨み返す。
「えー? そんなこと言うなら、まずはお兄ちゃんパンツ穿かないとねー」
ユウタがニヤニヤ顔で覗き込んでくる。
「なっ、そ、それは……」
おしりの下からクショっと情けない音がする。
「しーしーは大丈夫? あと3分あるけど?」
「あっ……」
今まで忘れていた尿意が一気に迫り込んできた。
「ちょ、ちょっ……と、トイレ」
慌てて立ち上がろうとするが、ユウタに体を引っ張られる
「こーら! 駄目ですよ。まだ2分ありますからね」
「そ、そんな……」
ユウタに抱きとめられると、体に力が入らない。
ガクンと膝が崩れ、そのまま抱かれるように、ユウタの腕の中に転がり込んだ。
「ほーら、しーしー我慢できるかなぁー?」
「うぅ……」
「ほら、しーしーだいじょぶ。しーしーだいじょぶ」
ユウタはわざとらしく耳元で囁く。
「やめろぉ……」
リョウは必死に抵抗しようとするが、全く身動きが取れない。
決して強い力で抱きとめられているわけではないはずだが、リョウは腕の中で身をよじらせることしかてきなかった。
「ふふっ。可愛いなぁ、もう」
ユウタが優しく頭を撫でる。
「やっやめっ……!」
リョウははーはーと息を荒らげ、唇がパクパクと空を切る。
「ほら、しーしー。まだ1分ありますからね」
「だっ、だから、トイレぇっ……」
「あーこーら! 暴れちゃ駄目ですよ」
「んぐっ……」
ユウタはぎゅっと抱きしめるようにして、リョウの動きを抑え込む。
「ほら、しーしー我慢できるかなぁー?」
「あっ……ああ……」
「あと30秒したら、離してあげますからね」
「あっ……あっ、うぅ……」
リョウは体をよじりながら、何とか逃げようとするが、全く身動きが取れない。
「ふっ……ふっ……」
息が漏れる。体中の筋肉をすべて下腹部に集めるくらいに力を込める。
「あと10 秒9.8.7...」
「あうぅ……うっ……」
リョウが股間を抑えてもじもじする。限界がすぐそこまで迫っていることは想像に難くない。
「3..2..1..ゼロ!」
「ど、どーだ……!」
リョウは両手で股間を押さえつける、肩をプルプルと震わせながら向き直った。
「はい。よくできました」
ユウタはパッと手を離す。
「よ、よし。トイレ、トイレ……」
リョウは膝をガクガク言わせながら、なんとか立ち上がった。
「その前に、おむつ脱がないとトイレできないよ」
「そっ、そうだな」
「ほら、たっちしててねー」
「ん……」
ビリッビリッ
ユウタがおむつを破いて取り去る。
「はい、足開いて」
「うぅ……」
「おててどけないと、脱げないよー」
「んっ……」
リョウは目をギュッと閉じ、ほんの少し手を浮かせる。
「じゃあ、そのままね」
ユウタがさっとおむつを抜き取る。
一瞬だけ小さなおちんちんがあらわになったが、リョウすぐさま手で抑えつけた。
「ふぅーふー」
ちんちんの先っちょをギュッとつまんで、漏れ出さないように必死だった。
「さ、おトイレ行って良いよー」
「うぅ……お、おう」
両手はギュッと股間を握りしめ、内股にかがんだ姿勢ではほとんど脚が開けない。
なんとか急いでみせるが、赤ちゃんのハイハイよりも少し早いくらいのスピードしか出ない。
「あわてて、転ばないようにねー」
ベッドに座ったユウタが、ニヤニヤ顔で声をかけた。
「はぁ……はぁ……」
リョウは下半身丸裸で、なんとか前に進む
トイレトレーニングさせられる幼稚園児みたいな、情けない格好だ。
「んぐっ……」
歩けば数十歩程度の距離が、遅々として進まない。
真夏の日光に照らされた廊下が徐々に涙で滲む。
おちんちんはギュッと握られ、縮こまって隠れている。
その代わりお尻は丸出しだ。
リョウは顔を真っ赤にしながら、ずりずりと進む。
その姿を遠巻きにニヤニヤ眺めるユウタの姿があったが、リョウの視界には全く入っていない。
「うっ……くっ……」
遅い足取りをなんとか進め、リョウは必死な面持ちでトイレのドアの前に立った。
両手が塞がって、ドアノブが回せない。
「うぅ……くそっ」
顎を使ってなんとか回そうとしてみる。
取っ手の付いたノブは少し頑張れば回せそうだ。しかし、今のリョウには簡単なことではない。
「ほら、もうちょっとだよー」
背中からユウタの声が聞こえる。
「んっ……」
リョウは必死になってドアノブと格闘している。
開けてくれるようユウタに頼めば良いのに、その必死な姿はなんとも滑稽だった。
「もうちょっとで、しーしーできるよ」
「やっ……なっ……」
リョウの体から力が抜け、全身がガクガクと震え始めた。
そのままペタンと、床に尻もちをついてしまう。
「あぁ……くっ……」
「ほら、もうちょっとだよ」
必死に股間を握りしめるが、寄せる尿意が止まりそうもない。
「んっ……んっ……」
「頑張って、おトイレでしーしー、しようねー」
リョウの顔に涙がにじむ。
肩を丸めて、必死の形相で体を震わせている。
「あっ……あぅ……」
両手の間から、じわりと温かい感触が伝わってきた。
「トイレでしーしー、トイレでしーしーだよ?」
「やっ……だ、だめぇ……」
ショロロ……
お尻にあたる冷たい床の感触に相反するように、股間からは暖かなおしっこが溢れてきた。
必死に囲う両手の指の間をすり抜けて、じっとりとフローリングの床を濡らしていく。
「あらら? もしかしてー?」
「あぁ……うっ」
両手の間から黄色い液体が滴り落ち、太腿から足首までじっとりと温かい液体に包まれていく。
「あーあ、間に合わなかったねー」
「うっ……うぅ……」
リョウは顔を真っ赤にして、必死に泣き声を堪えていた。
ショアァァ……
眼下には恥ずかしいおもらしの水溜まりが、みるみる版図を広げていく。
「トレーニングだから仕方ないよ」
ユウタは優しくリョウの頭を撫でた。
「うっ……うぅ……」
「しーしー、全部出しちゃおうか。フローリングだから後で掃除すれば大丈夫だよ」
コットンのスリッパを股ぐらの中間に脱ぎ捨て、おしっこがこれ以上広がらないように堰き止めていく。
ピチャ……ピチャ……
程なくして、おしっこは勢いをなくして収まった。
「うぅ……」
「しーしー、全部でたー?」
ユウタはわざと子供に言い聞かせるような口調で聞いてきた。
「あ、う……うん」
「よしよし、タオル持ってくるからちょっと待っててね」
「ん……」
「ついでに、上着も洗濯機に入れちゃうから、ここで脱いじゃってよ」
「ん……」
リョウは真っ赤な顔して、なすがままにユウタの言いつけに従った。
「かぶれるから、お手々も横ね」
「うん……」
「ついでにお風呂もいれてくるから、少しの間そのまま待っててね」
「うん……」
ユウタはパジャマの上着とスリッパで、周りに広がらない程度に軽く周囲を拭き取った。
そして鼻歌交じりに、風呂場へと向かっていく。
リョウはユウタの言いつけ通りに、廊下にぺたんと座り込んだまま待った。
両手はだらんと下ろして、下腹部は丸見えのポーズ。
そしてそのおしりの下には、おもらしの水溜りだ。