八月⑧_おまるでGO

  時刻は夕方を過ぎ晩に差し掛かる頃。

  ユウタの作った夕食を済ませ、リョウは自室でくつろいでいた。

  相変わらずTシャツにおむつ丸出しの恰好のまま、読み飽きた雑誌を無為にめくっている。

  ガチャ……

  「そろそろ、寝る準備しましょうかー?」

  ノックもせず、ユウタが部屋に入る。

  「あ、ああ……」

  「どうかしましたー? やけに聞き分けが良いですねー」

  「あ、いや、その……ちょっと、気になってんだけどさ」

  「はいはい、なんでしょう?」

  「近所の人とか、その、ばれたり……」

  「あー、リョウくんのおむつのことですか?」

  「そっ!……う、なんだけど……」

  「学校はどうか分からないですが、この辺だと噂くらいは立ってるんじゃないですかね」

  「え……それって……」

  「リョウくんのおもらしした布団や、おねしょパンツだって外に干してるんですから、多少は見られてるでしょう」

  「へぁ……そ、そんにゃ……」

  「まあ、そのあたりは僕がなんとかするんで大丈夫」

  そういって、ユウタは何かのアプリを操作した。

  「だ、大丈夫って……」

  「そんなことより、寝る前のおしっこトレーニングですね」

  顔を上げると、ユウタの手に持った見慣れない機材が目に留まった。

  白いアヒルのような、置物。

  「そんなことって……そ、それに……なんだよ、それ」

  「おまるですよ。お・ま・る」

  「は……?」

  一瞬遅れて理解して、呆然となった。

  「赤ちゃんはまずこれから慣らしていきましょうね」

  「そん……なっ……」

  口を開けたリョウを尻目に、ごとんとアヒルのおまるを部屋に置いた。

  子供じみたデザインのくせに、しっかりと大人が座れる大きさだった。

  「そろそろしーしーしたくなるころだと思いますし、まずはおまるにできるようになりましょうね」

  「でっ……できるわけねーだろ、そんな……子供みたいな」

  「ふふっ、本当に赤ちゃんみたいなのは、リョウくんのおちんちんですよ」

  「うあ……そ、それは……」

  「大丈夫。トレーニングなんですから、ちゃんと我慢してトイレに行ければいいんですよ」

  「そ、そう……」

  「しーしー、我慢できるかな……」

  「あっ……」

  言葉を聞くやと急に尿意が高まる。

  「しーしー、したくない?」

  「お、おしっこ」

  気づいたときにはすでに限界だった。

  リョウは必至に両手で股間を抑える。膝ががくがくと揺れ、あと数秒だって我慢できそうにない。

  こんな状態になるまで、なぜ気づかなかったのか。

  「しーしーしたいんだねー? トレーニングだけど、我慢できる」

  「我慢……できっ……」

  体中に力を込めて、なんとかおしっこを我慢するが、この状態では一歩だって歩けそうにない。

  「まずは1分くらいから、やってみましょうか」

  「やっ……ふっ……」

  「じゃあ、スタートです」

  言いながら、ユウタがスマートフォンをいじる。

  「あう……うう……」

  ふーふーと息を荒げながら、時が過ぎるのを待った。

  両手でぎゅっと抑え込み、体を縮こませるのが精一杯だ。

  「あと40秒、終わったらトイレに行っていいですよ」

  「ふーっ……ふーっ」

  「おトイレ、間に合いそうです?」

  「い、いや……その」

  コトン

  ユウタが目の前におまるを差し出してくる

  「あと20秒、終わったらここにダッシュですね」

  「そん……な……」

  頭の中で恥ずかしさと逡巡するが、そんな時間がないことだけは体が教えていた。

  トイレどころかおまるに間に合うかさえも怪しい。

  「あと10秒」

  「うう……」

  肩を丸めて、おむつをぎゅっと抑え込む

  数歩進んだだけで、漏らしてしまいことは明白だった。

  「おわり、よくできました」

  ユウタは言いながら、おまるに跨るよう促す。

  「うう……うあ……」

  リョウは口をバクバクさせたまま固まる。

  「どうしました? またおむつにおもらししちゃうんですか?」

  「い、いや……」

  「うんうん。まずはおまるから、トレーニングしましょうねー」

  「そ、それも……」

  内股に閉じてもじもじと動く。

  大きな吸水部が股間を圧迫する感触がする。

  「ほら、良い子ですから、こっちにおいで」

  ユウタがニヤニヤと手を差し出す。

  その顔には、いつもの有無を言わせない雰囲気がありありと漂っていた。

  「うう……」

  真っ赤な顔で、言われるままにアヒルを跨ぐ。

  あからさまに幼稚なデザインで、部屋に置かれているだけでも恥ずかしい。

  「ほら、ここに座るんですよー」

  「そ……そんな……」

  口では言い返そうとするものの、もう数秒だって我慢できない。

  このまま漏らしてしまうことも、時間の問題だった。

  「さあ、あんよ開いてねー」

  ペシペシ

  ユウタがニヤケ顔で太ももを叩く

  「ふぐぅ……」

  膝を震わせながら股を開き、プラスチックの台座に腰を下ろす。

  上部にはなめらかなカーブが施されており、自然とM字開脚のような大股開きにさせられる。

  「おむつ外せないでしょ。おててはここ」

  「うあっ……」

  握っていた両手を放され、アヒルの首元についたハンドルを握らされる。

  両足はM字に広げられ、周囲に見てくれと言わんばかりに股間を広げたポーズで座らされた。

  「よしよし、おむつ外してあげますからねー」

  ビリビリッ

  ユウタによっておむつが取り除かれる。

  「うっ……」

  腹筋に力を入れるが、一刻の猶予も無い。

  ビリッ

  「はい、しーしーしてもいいですよー」

  ピチョ……ショロロロ……

  おむつを取ったとほぼ同時、堰を切ったようにリョウのおちんちんからおしっこが流れ出る。

  「ふうっ……」

  「すごいすごい。間に合いましたね」

  「う……」

  リョウは顔を真っ赤にしてうつむいた。

  眼下にはM字に広げられた自分の股が目に入る。

  子供のようなおまるにおしっこをさせられる姿を、ユウタじっと見られている。

  ショロロロ……

  その下ではまだ小水が垂れ流しになっている。

  「しーしー、しーしー、寝る前に全部出しちゃいましょうね」

  こんな、おまるにするなんて……

  恥ずかしさで真っ赤に火照った頭では、もう何も考えられない。

  ショロ……

  数分もかかってないくらいの時間なのに、ずっと長く感じる。

  その間、とめどなくあふれるおしっこを、ただ眺めていることしかできなかった。

  「うう……」

  「しーしー、全部だそうね。しーしー」

  ユウタに頭を撫でられながら、跨ったおまるにおしっこを流し続ける。

  チョロ……チョロ……

  次第に勢いをを失いつつあるまで、何時間もかかった気分だ。

  「……ん」

  真っ赤な顔で唇を尖らせる。

  ピチョ……ピチョ……

  ゆっくりと勢いが収まり、おしっこをすべて出し切った。

  次第に頭が冷静を取り戻し、自分の恥ずかしさに目を見開いた。

  「しーしーでたら、おちんちんプルプルしておこうねー」

  「あ、やっ……こんな、とこで……」

  目尻に涙を溜めてハンドルをぎゅっと握る。

  慌てて足を内またに閉じる。

  「こらこら、おまるを使うとき、あんよは開くんだよ」

  ユウタがペシペシと内股を叩く

  「うう……こんな……子供みてーな……」

  「おしっこ我慢できない赤ちゃんなんだから、仕方ないでしょう」

  「うう……」

  渋々と再び股をM字に開いた。

  ぴょこんと、かわいいおちんちんが揺れた。

  「しーしー上手でしたねー。よしよし」

  ユウタに頭を撫でられる。

  「ふん……」

  リョウは唇を尖らせて押し黙った。

  「プルプルするからねー」

  ユウタの手が伸びて、おちんちんをキュッとつままれた。

  そして左右に振る。

  ピッ……ピッ……

  包皮の内側に残ったおしっこが振り払われる。

  「うぅ……」

  ギュッと目を閉じて羞恥に耐える。

  まるでのぼせたように顔は真っ赤で頭も真っ白だ。

  「はい、良くできました」

  おしまいにピンッと、おちんちんを指先で軽く弾かれる。

  「ふっ……」

  体が思わず反応する。

  開いた股間の間で、ひくひくと小さく揺れた。

  「よくできましたー。おまる片づけるから、じっとしててね」

  「……ん」

  そういって、先ほど剥がしたおむつを裏返して、おまるの中に投げ込んだ。

  「もうテープ破ったおむつですし、こうやって使っちゃいます」

  「そ、そっか……」

  破いたおむつの吸水部を使っておまるにたまったおしっこを綺麗に拭き取った。

  その後、除菌スプレーを吹き付ける。

  「はい。おしまい。ちょっと待ってて、替えのおむつ持ってきまから」

  「あ、ああ……」

  「もし待ってる間おもらししちゃっても、そこなら大丈夫だからね」

  そういって、リョウの足元を指す。

  「うう……は、早くしろよな……」

  Tシャツ一枚、M字開脚でおまるに跨った恰好のままだ。

  「はいはーい」

  パタン

  軽い足取りでユウタは部屋を出て行き、リョウは一人で取り残された。

  おむつを忘れて来たのもきっとわざとだ。この時間を楽しむかのように、また長い間放置されるのだろう。

  それでも、リョウのはおまるに跨ったまま、目を伏せて時間が過ぎるのを待った。

  リョウはつい数か月前まで、不良の威厳を身にまとって肩で風を切って歩く少年だった。しかし今のこの姿には、そんな面影など微塵も感じられなくなっていた。