ガチャ
またノックもなくリョウの部屋の扉が開く。
廊下からおむつを片手に持ったユウタが入り込んでくる。
「寝る前におむつつけてあげるから、ベッドにごろんしようねー」
リョウはユウタに促されるまま、座っていたおまるを離れた。
「おまるは使わなかったんですね。えらいですよー」
「うっせ……」
小声で悪態をつきながら、ベッドに寝転がる。
「さ、ごろんしたら……?」
ユウタにお尻をポンポンと叩かれる。
「……ん」
顔をそむけながら、仕方なく両足を大きく広げる。
両手は頭くらいまで挙げ、いつものおむつ替えポーズだ。
大きく開かれた股の間に、小さなおちんちんがふるふると揺れている。
「うんうん。いい子ですよ」
「ふん……」
ユウタが慣れた手付きでベビーパウダーを、おちんちんの周りに軽くはたく。
「よっと……」
両足を持ち上げられ、おしりにも軽くはたく。
眼の前にパウダーで薄白くなったおちんちんがプルンと持ち上がる。
「くっそ……」
お尻丸出しの格好で、弱々しく悪態をつく。
「じっとしててねー」
目を逸らすと、ベッド脇のおまるが目に入る。
途端に顔が焼けるように熱くなった。
「う……くっ……」
先程の失態が頭をよぎり、思わず両手で真っ赤になった顔を隠す。
「ああ、動かないの」
ユウタの手で再度、両足が高らかに持ち上げられる。
おしりがほとんど天井に向かっている。
「ふーっ……ふっ」
体を動かすが、まるで振りほどけない。
クネクネとよじる体に、かろうじておちんちんが揺れるだけだ。
あまりの羞恥に、また両手に顔を埋める。
「テープ止めたら終わりだからねー」
ユウタによって股ぐらにおむつがあてがわれる。
「ん……」
足を降ろされ、お尻にふっくらとした柔らかさが伝わる。
「あんよ開いてねー」
ユウタに促され、再度両足を大きく開かせられる。
恥ずかしさから顔は隠したままだり
バタバタッ
カーテンのはためく音が、静かな部屋に響く。
生ぬるい夏の夜の風が、ふわりと股間を撫でる。
「あ……う……か、カーテン」
外から覗かれるようなことは無いだろうが、何とも言えない不安感はあった。
「んー?開けてほしいの? 今日は風が涼しそうもんねー」
「は? いや、その」
リョウを尻目にユウタはスタスタと窓辺に立つ。
シャッ……
小気味良い音と共に、カーテンと窓が開け放たれる。
爽やかな夜風が部屋中に舞う。
「うーん。涼しくて気持ち良いですね」
「ち、ちょっと……」
「もう寝るだけですし、開けておきましょうか」
「あ、う……うん」
ユウタに押し負ける形で、仕方なく返事する。
蒸し暑い夜にはありがたい爽やかな風が通る。
フルルッ
普段は外気に触れない下半身が、風にあおられ少し肌寒い。
リョウのTシャツは胸までめくり上げられ、下半身はほぼ裸でおむつの上に乗せられているだけ格好なのだ。
「網戸は閉めておきますね」
「あ、ああ……」
「この最近、夜半でも暑いくらいでしたから、過ごしやすいですねー」
ユウタは目を細めて夜風に顔を当てている。
「な、なあ」
ベッドの上、ほぼすっぽんぽんの姿で、大股を開いたリョウがおずおずと声をかける。
「ん? ちょっと寒かったですか?」
「いや……その……」
両腕に顔を埋めたまま背ける。
それとなく軽く足を動かして、尻に敷かれたおむつを催促してみる。
夜風が静かにおちんちんを撫でる。
心臓はドキドキと耳障りに高鳴る。
「大丈夫。風邪ひくような気温にはならないはずです」
「あ、いや……」
ユウタは窓の外に視線を戻した。
サラサラとした髪が膨らみ、兎獣人の垂れた耳が風に翻る。
「……」
沈黙が流れる。
遠くから聞こえる蛙の声が、心地よく耳に伝わる。
冷たい風が優雅にユウタの頬を撫でる。
「お、おい……」
その隣ですっぽんぽんのリョウが口を開く。
「はい? どうしましたか?」
「カーテンは、いいからさ……その……そろそろ……」
「そろそろ……何ですか?」
「だから……こ、これだよ。つ、付けてくれよ」
視線を落とすと開かれたままのおむつに、心許なく揺れるおちんちんが目につく。
なにより股間がスースーして、なんとも落ち着かない。
「んー?」
ユウタはニヤニヤ顔でそっぽを向く。
焦らしているのが、見て取れる。
リョウは言いようの無い不安感に焦りを覚えた。
股間が何かに覆われていないと、どことなく不安が募る気がする。
「た、たのむから」
「はいはい? なんでしょう?」
「つ、つけてくれよ」
「何をー?」
ユウタがニヤニヤ顔で覗き込む。
「おっ、おむつ……つけてくれ」
真っ赤に染まった涙混じりの顔を、必死に隠しながら答える。
「んー? どうしてー?」
「そ、そのっ、な、なんか落ち着かなくてよ……」
足をもじもじとせわしなく動かす。
鼓動が早まり、手をギュッと握る。
「ちゃんとお願いしたら、つけてあげますよ」
「ふぁ……うう……」
唇が乾き、パクパクと空を切る。
ゴクリと一度だけ喉を鳴らす。
「どうして、おむつつけてほしいのー」
「おっおれっ……」
思いがけず大きな声が喉から出たが、顔を隠していたので、あまり気にとめなかった。
それより、下半身の心細さのほうがなんとかしてほしい。
「んんー?」
ユウタは相変わらずのニヤケ顔だ。
「おれ、お、おねしょ……しちゃうから、お、おむっ……つ、つけてっくれっ……」
真っ赤な顔を腕に埋めたまま、はーはーと荒く息を上げる。
夏の風が火照った顔を優しく冷やす。
「はーい、良いですよー」
ユウタがパタパタとやって来て、お尻に敷かれたおむつに手を伸ばす。
ふっくらとした吸水部を持ち上げ、おちんちんが包まれる。
「……ん」
心臓の高鳴りが少し収まり、ふーっと深く深呼吸する。
へその手前でおむつのテープが止められた。
そして、内股に指を添わせて、ギャザーが立てられる。
「はい、おしまい。ズレてるところ無い?」
いつもの大きなおむつが目に入る。
大きな布地に阻まれ、足はがに股になって閉じない。
クシュ……
しかし、このふんわりとした感触に、リョウは安心感を覚えてしまっていた。
「……ん」
おずおずと顔を隠していた両手を下ろす。
身をよじらせ、いつも通りの感触を確かめた。
動きづらいが、不快感はもはや無い。
「可愛くおねだり出来て、今日は良い子でしたねー」
「うっせ」
「今日はもう、おねんねしましょうか。窓は開けておきますね」
「お、おう……あ……」
リョウの顔からさっと血の気が引いた。
「電気は小さくします? 真っ暗がいいですか」
「あ、いや……ま、窓……」
「あー、窓から虫が来ないように、真っ暗のほうが良いですね」
「いやっ、ちがっ、あ、開いてた……よな?」
カラカラになった口を震わせ、乾いた吐息が漏れる。
「……はい? さっきからずっとそうですよ?」
「そ、その……じゃあ……俺の……」
「ああ、さっきの可愛いおねだりですか。もしかしたら近所に聞かれちゃってたかもしれませんねー。」
「あふっ……そ、そんなぁ……」
近所は? 学校は? おれのイメージ……色々なことが頭を駆け巡る。
「このおまるも、きれいにしておきますねー」
「あぅっ! こ、声が……でかっ……」
「ふふっ、そんなに心配しなくても大丈夫ですよー」
「いや、そ、そんなこと……」
「赤ちゃんは、そんなこと気にしなくて良いんです」
「いや、そんな……おれ……」
涙混じりに目を回したリョウを尻目に、ユウタ部屋を後にした。