カチャ…….
背中で個室のドアを開ける音が聞こえる。
「ちゃーんと一番手前のおトイレでやるんですよ」
目に涙を貯めながら、リョウは振り返った。
晩夏の日差しが窓から照り付け、タイル張りの男子トイレをピカピカと光らせる。
遠くから昼食の談笑が聞こえる。
誰もが弁当を食べている時間だ。今が一番人通りが少ない。
「くぅ……」
意を決して個室から出る。
裾を持ち上げた両手をさらにぐっと握る。背中をクリップで止められているせいで、叩かれて真っ赤になったお尻は、丸出しのままだ。
「ちょっとストップ」
個室から数歩のところで、ユウタに呼び止められる。
「歩きづらいでしょうから、脱がしておきますね」
そういって、足元に丸まったズボンに手をかける。
「わ、わざわざここで……」
「気づかなくてすみません。脱がしてあげますから、あんよあげてくださいね」
個室の中で脱がせてくれれば良かったのに、と心の片隅で思ったりもしたが、この恰好で言い返せる言葉なんてない。
「……ん」
渋々と片足を軽く持ち上げる。
履いていたスリッパがぽとんと落ちた。
「良い子ですね」
するりと片足からズボンが抜き取られる。
「んと……」
探りながら再度スリッパに足を戻す。
「はい、あんよがじょーず」
ユウタに促されながら、もう片方の足からズボンが抜き取られた。
トイレの真ん中、外からでも顔を出せば覗けるような場所で、下半身の衣服をすべて脱ぎ捨てられてしまった。
「うぅ……」
「さ、トレーニング頑張りましょうねー」
リョウが下半身に身に着けた衣服は、赤いスポーティーなスニーカー靴下と、トイレのスリッパだけになった。
誰が通り過ぎるかも分からないこの環境では、言いようのないくらい心もとない。
出入口前の便器までの距離が、何百メートルにも感じる。
「くそぉ……」
シャツの裾を握りながら、おずおずと前へ出る。
ペタペタ
情けない足音を立てて、トイレの中を歩かされている。
尿意のせいで下半身をもじもじとこすらせて、ゆっくりとじりじりとしか進まない。
「ふふっ、可愛いですよ」
「見んなよぉ」
後ろから、時折追い越しながら、ユウタにじろじろとその様子を見られた。
恥ずかしいがそのくらいはまだ我慢できた。
そんなことより、こんな姿を学校の誰かに見られでもしたら、リョウの不良としての威厳は地に落ちることだろう。
「こ……ここですりゃ、いいんだろ……」
真っ赤な顔でリョウは小便器の前に向かった。
廊下からでも見えてしまいそうな場所に、下半身丸出しになって立たされている。
背中を止めるクリップが余計に重たく感じる。
「ひとりでおしっこできるー?」
「うっせ……とっとと、終わらせる」
キュッと口を結んで、すっぽんぽんの下半身に力を込める。
両手はシャツをまくり上げたままだ。
「どうー?」
「や、やってるよ……」
尿意はあるが、排尿がこみあげる気配がない。
どうやっておしっこしていたんだっけ?
何かを体が忘れかけているみたいだった。
「はやくするんじゃないのー?」
「や、やってるけどぉ……」
リョウは半分パニックに陥っていた。
「うーん、まずはおちんちんをちゃんと持って、便器のほうを向けないとね」
ギュッ
ユウタにおちんちんを掴まれ、便器に向けられる。
「あぅ……」
反射的に腰を引いてしまったが、振り払うことは出来なかった。
大した力で押さえつけられているわけではないが、ユウタの行動にどうしても対抗できない。
思わずシャツの裾をぎゅっと握りこむ。
「おちんちん前に出して、しーしー、しーしー」
「あ……あぁ……」
ユウタに引かれながら、腰を前に突き出す。
下半身は丸出しで、小さなおちんちんを握られたまま棒立ちしている。
なんとも情けない姿だ。
顔がまた耳まで真っ赤に染まる。それでも徐々に尿意がほこみあげてくる。
「しーしー、しーしー」
「……ん」
声に促されるように、おちんちんの先端がぷっくりと膨らむ。
チョロロロ……
静かに、少しずつ、おしっこが流れて来た。
「しーしー、良い子良い子」
「うぅ……」
ユウタにおちんちんをつかまれながら、用を足した。
廊下の遠くから、朗らかな笑い声が飛び交う
ポタ……ポタ……
「出し切ったらプルプルするよ」
「うあぅっ……」
ピッ……ピッ……
ユウタにつままれて、おちんちんが左右に振られる。
包皮に残った水滴が便器の中に振り落とされた。
「はいおしまい」
最後に皮を摘まみ上げて、キュッと引っ張った。
「うあっ……」
「よくできましたー」
ユウタに頭を撫でられる。
腰を引きながらも、リョウは最後までシャツを胸までまくったポーズのままだった。
「は……はやくぅ……」
こんな姿、クラスメイトに見られたら……
もう、居ても立っても居られない。
「んー?」
ユウタはじらすような笑みを返す。
おしっこは終わったのに、楽しそうにちんちんを摘まんで遊んでいる。
「は、はやくしてくれよ……人が……」
「何をー」
ユウタがとぼけた表情をのぞかせる。
くにくに
先端の余った皮を摘み合わせて弄ばれている。
リョウは唇を噛む。何か強く言って返したいが、頭に色々なことがよぎって考えがまとまらない。
震える膝で直立し、なされるがままに立ち尽くしている。
キュッ……
先端を摘まんで引っ張られる。包皮に残ったおしっこが便器に絞り出された。
「ユウタ……お、おしっこ終わったから」
リョウはしばし考えた後、口を開いた。
「うん。よくできました」
「だ、だから……」
「うん」
「お、おむつ……は、穿かせて、く……ください」
「いいよー。よく言えましたー」
ピンッ
引っ張られた皮を弾くように、おちんちんが手放された。
「うう……」
「足開いて、たっちしててねー」
トイレの中とは言え廊下から見えそうな場所にもかかわらず、ユウタはおむつを広げた。
何も言わないということは、ここでおむつを穿かされる。という意味なのだろう。
涙で滲んだ風景に、人の笑い声がいつもより近くに感じる。
「……ん」
一瞬色々考えたが、素直に足を広げて立った。
ガサガサ……
股間にいつもの感触が戻ってきた。
「あんよ広げてー」
「……」
無言でさらに股を開く。
クシュッ……
おちんちんが柔らかな吸水部に押し付けられる。
「テープ止めるから、前抑えてねー」
「……うん」
促されるまま、おむつの前部をつかんで持つ。
クシャッ……クシャ……
ユウタの腕がおしりに伸びて、ふっくらとしたやわらかい感触に下半身が包まれた。
もこもこして、おしりが一回り大きく見えてしまう。
「テープ止めるからピンと立ってねー」
「……おう」
ピッピッ
おへその前でおむつのテープが止められた。
「はい。おしまい。ズボンもはきはきしようねー」
ユウタに着替えさせられて、いつものYシャツとボンタン姿に戻った。
「ふう……」
やっと外に出られる姿になって一息つく。
見た目だけなら、少し昔の不良の雰囲気だ。
「じゃあ、またおもらししたら、連絡してくださいね」
「そんな何度も……」
やらないと即答できない自分が恥ずかしい。
「そういえば、今日は用事がありますから、早めに帰ってくださいね」
トイレの別れ際、ユウタが急に口火を切った。
「あ? なんか言ってたっけ?」
「銭湯に行きたいって、以前に言ったじゃないですか」
「あ? 今日だっけ? 確かに言ったけど……」
「今日です。伝えておきましたよね」
「行ってくればいいじゃん」
「リョウくんも一緒にですよ」
「え! なんで!?」
「大勢でお風呂に入るのに憧れてたんですって」
「だ、だからって、おれが……?」
「ホストファミリーなんですから、当然でしょ」
「いや、だって……それじゃあ……」
「じゃ、放課後帰宅したら行きましょうね」
「あ、その……」
リョウの返事を待たず、ユウタは足取り軽く去っていった。
別に銭湯が嫌いなわけではない。
ただ、この下着をつけて行くことを考えると……