リョウはまた落ち着きなく体を揺らしながら、ロッカーの前に立ちつくしていた。
ブルッ
途端に背筋に悪寒が走った。
「寒い……訳ねえよな」
脱衣所は浴場からの熱気に晒され、ほんのり温かい。外からの風もあって心地よい空間になっている。
そんな中、なんとも言えない不安感が下半身にまとわりつく。
「なんか……落ち着かねえ」
ふっと外気が流れ、リョウの小さな股間がそっと風を感じた。
普段大きなおむつに隠された場所が、さらけ出されている。その状況に一抹の不安を感じるくらいに、おむつ姿に慣れつつあったのだが、リョウはその思いをかたくなに払拭した。
「お待たせー」
少し待って、ユウタは濡れたタオルを片手にまとめて帰ってきた。
「おせー……よ……」
ぷいと不貞腐れながら言葉を返す。
「ごめん、ごめん。ちゃんと良い子にして待ってたんですねー。えらいですよ」
ニヤつきながら、ユウタが頭を撫でてくる。
それからこの状況を楽しむように、体をじろじろ見回してくる。
「いいから、風呂入りに来たんだろ」
「はいはい。ちょっと待っててね」
「ふんっ」
リョウは顔を赤くしてそっぽを向く。
リョウに背を向け、パンツに手をかける。
脱いだ服をロッカーに入れ、最後に手拭いを腰に巻いた。
一瞬だけユウタのあそこが見えたが、やっぱりリョウのそれと比べれば明らかに大きい。
「お、俺のは?」
ユウタが腰に巻いた手拭いを指した。
自分だけ股間を隠せず立ち尽くしていて、なんとなく恥ずかしい気がしてきた。
「何言ってるの? さっきおしっこで濡らしちゃったでしょ?」
リョウの顔が一気に赤くなる。
「やっ、そっそう……だけど……」
慌てて周囲を見回す。
周りからクスクス笑いが聞こえた気がする。
「当然、僕のぶんしかないですよ」
「そ、そっかあ………」
「それに、子供は必要ないんですよね?」
ユウタはニヤニヤ顔で隣に立った。
笑みを浮かべたまま、リョウの股間を凝視してくる
「う……」
「リョウくんはトイレトレーニング中の赤ちゃんだもんねー?」
「うう……そ、それは……」
「やっとおまるに間に合うようになったくらいだもんねー」
「い、言うなよ……」
唇を尖らせて顔を伏せる。
周囲を見回しても、誰もまるで気に留めない。まるで本物の子供を見るように扱われてしまっている。
「さあ、お風呂に入りますよ」
「くぅ……」
リョウは不貞腐れながらも自分の手拭いを諦め、あそこが丸見えの格好で風呂に入ることにした。
ユウタが手を差し伸べてきたので、思わずつかんでしまう。子ども扱いされているのは分かっているが、なぜか抵抗できない。
二人は浴室へと足を向けた。
ガララッ
浴室の扉をユウタは勢いよく開いた。
そして手を引かれながら、リョウがその後ろに続く。
「おおー、やっぱひろいねー」
「あ、ああ」
リョウがもじもじしながら後へ続く。
「今は他の人も少ないみたいだし、僕らでゆっくりできるね」
「そ……そうだな」
浴場に人影は少なく、親子連れや老人たちが数組見受けられるくらいだ
ユウタに手を引かれて、銭湯の中を連れ歩かされる。
プルプル……
股の間で大っぴらになった小さなあそこが揺れる。
その隣のユウタのそれは腰巻きに隠されているが、ブラブラといったほうがいい様子で薄手のタオルの下に主張している。
周囲からまた見下されたような子供の笑い声や、成長を見守るみたいな大人の朗らかな談笑が聞こえた気がする。
自分のそれがとても情けない大きさをしているんじゃないかと思い、涙が出そうになった。
「リョウくん、急ぐと転んじゃいますよー」
「あ、ああ」
「浴室は走っちゃだめなんですよね」
ユウタは周囲に見せつけるように、わざとゆっくりと歩いた。
空気は湯気をまとい、息を吸い込むと心地よい水の匂いがする。
うつむきながらペタペタとゆっくり歩くと、足の裏に固いタイルの感触が伝わる。
和やかな裸の往来の中に、場違いな子供が混じってしまったような居心地悪さを感じる。
ほとんどの大人は手ぬぐい片手に闊歩し、おちんちんをさらけ出して往来する姿は子供しか見受けられない。
「うう……」
リョウは思わず声に出して唸った。
「子供は腰巻しないんですね」
ユウタはニヤニヤしながら言った。
プルプル……
リョウの股間には、歩くたびに揺れる赤ちゃんちんちんがぶら下がっている。
「ひ、人による……けどな……」
リョウは顔を真っ赤にして黙ってしまった。
視線を落とすと洗い場の鏡が目に入った。子供のようなおちんちんを、見せつけるように歩く自分の姿が写っている。
「へー、露天風呂もあるんですねー」
ユウタに繋いだ手をぐいと引っ張られる。
「うわっ……」
手ぬぐいで隠すことなく、股間を露出したまま浴場を歩かされる。
見られて興奮するような趣味はないと思うが、なんとなく気恥ずかしさで顔が赤くなる。
「奥にサウナと水風呂ですかー」
「ち、小せえやつだけどな」
ペタペタ……
ユウタの手に引かれるまま、浴場を歩き回る
湯舟に浸かる中学生くらいの少年が、ちらと視線を投げかける。
リョウの半分くらいの年齢の子供が、じっと見つめている。
み……見るなよぉ……
股間のおちんちんは、歩くたびにぷるぷると揺れて主張する。しかし重みがなくぷるんと跳ねるように揺れて、まるで子供みたいで恥ずかしい。
「結構色々あるんですねー」
露天に出ると、2,3人入ればあふれるくらいの浴室が置かれている。
湯舟につかる大学生くらいの青年が、ふっとリョウを見て、また目を伏せた。
ユウタと同じくらいの背丈だったので、一瞬同級生にでも出くわしたかと、リョウの心臓がどきりと鳴った。
「そ、そうだな……」
ユウタにあいまいな返事を返す。
夕日に陰る露天風呂は少しひんやりとした秋の風をまとい、体がぶるっと震えた。
「ふーん。これで全部見て回りましたかねー?」
「お、おう……」
「じゃあ、まず体を洗わないと、湯舟に入れませんね」
「……ん」
露天風呂に背を向けながら、ニヤニヤ顔で来た道に踵を返す。
「おしっこ、きれいきれいしましょうねー」
ユウタにくしゃくしゃと頭を撫でられる。
俯いていた顔が、一瞬で真っ赤になった。
「うっせ、言うなっての」
唇を尖らせて抗議するが、またあやすように頭を撫でられる。
「さて、洗い場はこちらでしたっけ……」
「うう……」
わざとらしく時間をかけながら、ニヤニヤ顔のユウタに手を引かれて歩く。
リョウはおちんちんを晒したまま、また浴場をぐるりと一周させられた。