十一月①_修学旅行に新幹線。そうだよ。京都、行くよ
あれから数週間が過ぎた
リョウたちは新幹線に揺られ、矢のような景色を見送りながら故郷を離れた。
車内には学友同士の、和気あいあいとした談笑が響く。
今日から修学旅行だ。
「早いですし、全然揺れないんですね」
隣に座ったユウタが、興味深そうに窓の外を眺めている。
「そ、そーだな」
浮足立った同級生の手前、リョウは落ち着き払った態度をしてみせた。
とは言え内心のところは周囲の皆と大して変わらない。
「新幹線には乗ったことあるんですか?」
「いや、おれも始めて乗るよ」
「僕も高速鉄道は始めてですよ。ユーロスターも乗ったことないです」
「へえ」
「これから行くのは、京都、領? 州でしたっけ?」
「京都府。だな」
「あー、えっと、京都府州? あ、京都府県でしたね」
「京都府。そんだけ」
「県は?」
「付けなくていい。何でか知らんけど」
「なるほど……。こういう面倒くささは、どの国でも共通なんでしょうかね」
「知らねー。まあ、慣れだよ。慣れ」
ユウタが眉をかきながら、閉口した。
小学生の頃なら、リョウも同じことを思ったものだ。
コオオオ
亜音速に迫る鉄道旅でありながら、車内は驚くほど静かだ。
「二泊三日、お着替えは足りますかねー」
ユウタは隣でポンポンとリュックを叩いた。
「は?」
リョウは一瞬、言葉の意図を取り違えてしまった。
「一応、予備のおむつはちゃんと持ってますけど、最近のリョウくんは回数が多いですから……」
「わっ……! お、おい!」
真意が分かり、慌てて声を荒げてユウタの言葉を遮った。
「もしかしたら、足りなくなっちゃうかもしれないですねー」
「そ、そんなこと……」
無いと言いたいところだったが、リョウは唇を噛んでうつむいた。
「もしかして、もうやっちゃいました?」
「え? いやっ」
慌てて否定するが、心なしか額に冷や汗が流れる。
「しーしーしてない?」
「だ、大丈夫だっての」
「本当にー?」
「ほ、本当だから」
リョウは首を横に振って見せた。
「いつでもやっていいんですよー。リョウくんのおトイレはそこなんですから」
ユウタの顔に葉いつものニヤニヤ顔が浮かんでいる。
「……」
リョウは恥ずかしさのあまり、何も言えなかった。
「リョウくーん」
ガタッ
おもむろに、リョウは無言で立ち上がる
「……しょんべん」
ムスッとした顔をしながら、ずいずいと狭い通路に歩みを進める。
実のところ対して尿意は感じていなかったが、だからこそユウタにそそのかされる前に済ませてしまおうと考えついた。
「ふふっ。いってらっしゃい。上手にしーしーできるといいですねー」
ポンポン
ユウタに尻を叩かれる。
おむつで膨らんでいるためか、実際にはボスッといった音が鳴った。
「や、やめろって」
リョウは声を荒らげて、手を払った。
二人でふざけあっているようにしか見えないだろうが、狭い車内の周囲には同級生たちが並んでいるのだ。
この恥ずかしい下着だけは、なんとしても隠し通したい。
「しーしー頑張れ、しーしー」
「ふんっ!」
ユウタの軽口を一蹴すると、ずかずかと新幹線の狭い通路を進む。
クシュクシュ……
おむつのせいで、歩き方が強制的にがに股になる。しかも、いつもより膨らんでる気もする。
「……んと」
恐る恐る周囲を見回す。
幸い、車両連結部に人影は無く、トイレにも誰も居ないようだ。
カチャ……コンッ
狭いトイレの個室に体を滑り込ませ、ドアに鍵をかける。
新幹線の車両間にあるトイレは、見るから必要最低限といった雰囲気だ。
「せ、狭いな」
思わず独り言が漏れる。
個室には男性用小便器がひとつと、小さな手洗い場がひとつ。
それ以外は、膝を曲げるスペースも無い。
カチャ……カチャ……
周囲に目を配らせながら、ベルトに手をかける。
何せ背後のドアは薄く色が付いただけのガラス張りで、その気になれば後ろ姿くらいは見えてしまう。
「くっ……」
大きく膨らんだ下着に苦労しながら、ズボンを引きずり下ろす。
外からはおむつのお尻が見えてしまうが、今更もう戻れない。
グシュ……
視線を下げると、ぐっしょりと濡れてふくらんだおむつが目にとまる。
「うあ……あ、あれ? いつ……?」
漏らしてしまったことにさえ、気が付かなかったらしい。
今になってぐっしょりと濡れが感触が、下半身に伝わる。気づけば、おむつも重たくなっている気がする。
「こ、これ、着替えねーと。でも、おしっこも」
しーしー、しーしー
ブルルッ……
急にユウタの言葉が頭をよぎり、一気に尿意が催された。
「そ、そーだ。お、おれだって、トイレくらいできるってーの」
濡れたおむつのことはさておいて、まずは目先の尿意に取り掛かることにした。
ちゃんとおトイレできるってことを見せつけて、ユウタを見返してやる。
ズルッ……ストンッ
腰から下げたズボンを地面に落とす。
幼稚園児がやるみたいな仕草だが、リョウは無意識にやってしまった。
一瞬待って顔が、赤くなる。
振り向くとガラス窓にはおむつ丸出しの自分が写っている。
「あ、やっ……」
今更ズボンを上げようとしても、狭い個室では少し苦労しそうだ。
それまでに尿意が待ってくれるとは限らない。
ギュ……
思わず内股を閉じる。
恥ずかしいやら、情けないやら、とにかく口を尖らせて便器に向かう。
ズボンは足首に丸まったままだ。
「これ……どうやって……」
覚悟を決めたものの、へその前で止まるテープをつまんで呆然とする。
下半身をつつむ衣服は、いつものテープタイプのおむつだけだ。しかし、その着脱はいつもユウタに任せきりなのだ。
「どうやって脱ぐ……んっ!」
しどろもどろしていると、急にまた尿意が強まった。
慌てて足を閉じる。
グシュ……
すでに濡れたおむつが股の間で、その存在を主張した。
「うあ、うう……」
あっという間に我慢の限界に達し、足がガクガクと震える。
「ん……あぅっ」
必死に尿意を抑え込もうとするが、もう時間が無かった。
リョウはその場にしゃがみ込もうとするが、狭い室内では足をぶつけそうだ。
「あっ……ぁ……」
息が荒くなり、顔が真っ赤に染まる。
小便器を目の前にしながら、リョウはおむつ丸出しで、ただ立ち尽くすしか出来なかった。
ショロロ……
限界に達した股間からは、熱い液体が漏れ出す。
お尻の辺りに温かな感触が伝わる。
「はぁ……あ……」
リョウは恥ずかしさと安堵が入り混じった表情を浮かべ、立ち尽くしたまま放心した。
グシュ……
おむつの吸水体がさらに膨らみを増し、生温かく湿った感触が広がる。
「うあ……ああ……」
両手をへその前でぎゅつと握り込み、太ももを挟み込むようにして前かがみになる。
全身から力が抜け、足がガクガクと震える。
「あ、あ……」
声にならない悲鳴をあげ、その場で肩を丸める。
ショロ……ショロロ……
必死に尿意を抑えるが、その勢いはまるで止まらない。
股間を覆っていたおむつが、さらにもこもこと膨らみ、外部のビニール膜がパツンと張り出した。
クジュグジュ……
おむつは普段の倍以上にまで膨らみ、今にも溢れ出しそうだ。
「うう……くっそ」
ぐいっとおむつを持ち上げ、両足をがに股に広げる。
これ以上おむつが絞られないよう、精一杯太ももを広げた。
ショロ……ショロ……
おむつはさらに膨らみと重さを増し、へその前で止められたテープが、徐々にずり落ちてくる。
「あぅ……」
情けない声を上げる以外に、リョウには何も出来なかった。
いつもの位置よりずり下げられ、へその少し下あたりでテープに引っ張られて止まった。
カタン……カタン……
新幹線の静かな駆動音が遠くに聞こえる。
「あれ、トイレしかねーの?」「もっと向こうの車両行ってみよーぜ」
背中に男子学生の声が聞こえた。
「ンッ……」
押し殺した悲鳴を上げた。
新幹線の小さなトイレの個室は、薄い色付きガラス窓を覗き込んだら、外から後ろ姿が見えてしまうのだ。
グジュ……グジュ……
狭い室内では身じろぎくらいしか出来ない。
パンパンに張ったおむつは丸出しで、ズボンは足元で丸まったままだ。
リョウの心臓がバクバクと高鳴る。
パタパタ
背後にスニーカーの音が近づいてくる。
おむつ丸出しの姿で、リョウはトイレで立ち尽くしていた。
「自販機とかねーの?」「こっちは洗面台かー」
男子生徒らしい声が真後ろで聞こえる。
唇か震え、歯がカタカタと鳴る。
浅い呼吸を何度も繰り返し、いつものがに股のまま凍りついてしまう。
シュウウ……
こんな時だと言うのに、またおもらししてしまった。
膨らんだおむつが、さらに大きくなる。
「トイレ、誰か入ってる?」「えー、窓から中見えんじゃん」
ギュッ……
リョウは思わず目をつぶった。
はっはっと息を荒らげ、自分の吐息がうるさいくらいだ。
グジュ……
おむつがさらに重たく感じる
不覚にも膨らんだおむつに圧迫された、おちんちんの感触が少し気持ちいいなんて思ってしまった。
「うぅ……」
目尻にに涙が溜まってくる。
「入ってるけど、うちの制服じゃねーかも」「他の客に迷惑かけたらどやされるぞー」
パタパタ……
スニーカーの足音は足早に遠ざかって行った。
「なんか、赤ちゃんみてーだった」「嘘つけ。赤ちゃんが一人でトイレ来るかよ」
遠ざかる話し声の後、客車のドアの音がして、また静寂が戻った。
「はっはっ、はー……ふー……」
荒い呼吸をなんとか落ち着ける。
み、見られた。
どれくらいちゃんと見てたのかは分からない。入っていたのがおむつを着けた学生だと、バレてるのかも。
心臓の早鳴りが止まらない。
「ふー、ふー」
固まったポーズのまま、深呼吸を繰り返す。
とりあえず今はもう、通路には誰もいないはず。
チョロロロ……
落ち着いたら一緒に、おしっこも漏らしてしまった。
おむつはもうパンパンに膨らんでいるのに、安堵ともに溢れてしまい止まらなかった。
「あ、っうう……」
グジュ……グジュ……
両手でずり下がったおむつを持ち上げた。
ぎゅっと、へその下の辺りで握りこむ。
「うぅ……どうしよう……」
お尻がいつもの三倍くらいに見えるほど、おしっこを吸ったおむつは、ぷっくりと膨らんでいた。
気づかなかったが、いつものおむつとは違うものを穿かされていたらしい。
グジュ……
足元のズボンを取ろうとするが、腰をかがめると今にも漏れ出してしまいそうだ。
そのうえ、体よくズボンに手が届いても、膨らみきったおむつを中に入れることはできそうにない。
「あぅ……」
口から情けない声が漏れる。
ズボンは穿けない。
でもおむつ丸出しで、客車に戻るなんて絶対に無理だ。
コォー……
静かな駆動音が狭い個室に響く。
「ユ、ユウタ……」
口から出ないくらいの小さな音で、ぽつりと情けない声を上げた。