十一月⑤_おむつ替えには公衆トイレへ行け

  リョウは濡れおむつを換えてもらえないまま市内観光を続け、街中の商業施設でやっと一時解散となった。

  修学旅行の一行は、それぞれが思い思いの場所に散って行く。

  「さ、リョウくん。確かこっちです」

  「う、うん」

  「確かこのへんに……」

  すいすいと人混みの間を歩くユウタの後ろを、リョウはがに股歩きのままでなんとか付いていく。

  グシュ……グシュ……

  パンパンに膨らんだおむつがずしりと重たい。大きめのサイズでもギリギリの量まで吸収しているみたいだ。

  「うう……」

  足を大股に開いて、情けない姿勢で歩かされる。

  同級生の姿が遠ざかっても、やはり恥ずかしい。

  「ここですねー」

  ユウタは一つの公衆トイレに入っていった。

  「お、おう」

  見たところ、特に変哲のないトイレだった。リョウも後に続く。

  新設されたトイレのようで、内装は綺麗に整えられていた。壁にはいくつかの小便器が並べられ、奥には個室のドアが見える。

  カシュ……

  静かな音を立てて、ユウタが折り畳み式のベッドのような台を壁から引き出した。

  「さ、リョウくん」

  ユウタがニヤニヤ顔で手招きする。

  「え? こ、これ……」

  トイレの出入口付近。手洗いの蛇口近くに、大きな台が広げられている。

  「おむつ替えの台ですよ。最近は男性用トイレにもあるんですよねー」

  「こ、ここ……外から」

  取り付けられたおむつ台はトイレに入ったすぐ隣。出入りする人たちからは丸見えだった。

  「ちょいと」と、背中から声をかけられた。

  振り替えると見知らぬ男性が、ここを通りたいらしい。

  「リョウくん」

  「あ、ああ、悪い」

  ユウタの側に寄って、通路を空けると、男性は軽く会釈して小便器に向かっていった。

  「ほーら、他のお客さんの邪魔になっちゃうじゃないですか」

  「だ、だからって……」

  それからも、絶えずトイレには出入りする人影があった。

  個室を除いても常に2、3人はいるようだ。

  「ほーら、恥ずかしがらないの」

  クシュッ……

  ユウタに頭を撫でられる。

  「うぅ……」

  足掻こうとしても、ぼうっとして考えがまとまらなくなる。

  「ほーら。ちゃーんと素直になって、おむつ替えてってお願いしようねー」

  「あうっ……うぅ……」

  リョウが口ごもりながら睨み返す。

  周囲の大人たちも年頃の見た目からは想像もつかない言葉に一瞬だけ訝った。

  ユウタはスマホを取り出すと、手早く簡単な操作を繰り返す。

  みるみるうちに、大人たちはリョウへの関心を失っていったが、リョウは顔を真っ赤にしたままだ。

  「ほーら、ちゃんと言わないと、やってあげませんよー」

  「うう……お、おむつ。替えてください……」

  「よしよし、よく言えましたっ」

  クシュクシュ

  ユウタにまた頭を撫でられる。

  あからさまにおむつをするような年頃には見えないはずなのだが、先ほどのリョウの言葉もここではさも当然のように聞き流している。

  スーツ姿の男性が手を洗いながらリョウたちを一瞥していったが、特に気に掛けた様子も無い。

  「さ、ごろんして」

  「ん……」

  適度にクッションの入った台座に腰を掛ける。

  「おててはここ」

  ぐいと引っ張られて仰向けに寝かされた。

  背中にペタペタとしたナイロンの感触が、ほんのりと冷たい。

  「脱ぎ脱ぎするからねー」

  ズルリ

  ユウタが手を掛けると、さっとズボンが取り去られて、おむつ丸出しにされた。

  「あうっ……」

  トイレには相変わらず人の出入りが多く、恥ずかしさで思わず顔を覆ってしまう。

  カツカツ……タッタッ……

  目を閉じても靴音が室内に響く。何人もの人がリョウの姿が見える場所を行き来している。

  そんな往来の中で、おむつ丸出しで寝ているのだと思ったら、手で覆った顔がさらに熱くなる。

  「さすがの吸収力。ズボンは濡れてないですねー」

  ユウタは隣でやけにじっくりとズボンを眺めている。

  ニヤニヤ顔で時折こちらに目線を向けながら、リョウのおむつ姿を晒して楽しんでいるようにさえ見える。

  「うう……」

  覆った手で、顔をくしゃくしゃする。

  グジュグジュ……

  身じろぎすると湿ったおむつの感触がお尻に張り付いてきた。

  いっそう大きく膨らんで、普段よりも足を大きく広げられる。

  「うんうん、しっかり吸収してくれてるみたいですねー」

  ポンポンとおむつの前部を叩かれる。

  グジュ……

  「うう……」

  ふっくらと膨らんだ下半身に意識が向き、また顔が熱くなる。

  「さ、おててはここですよねー」

  ぐいと手を引かれて、両手を腕の横に挙げられる。

  「うう……」

  衆目に晒されたリョウ顔は真っ赤に染まり切っていた。

  視線の下には、濡れおむつ一丁の下半身。それに筋肉質な自分の足が伸びている。

  「あんよはー?」

  「……んんっ」

  渋々と両足を広げて股間を晒す。

  いつものおむつ替えポーズだ。

  「よしよし、良い子ですねー」

  周囲はガヤガヤと人通りが多く、何人もの人がリョウの顔を覗き込んできた。

  それは特に気に止まった様子でもなく、リョウの子供扱いが当然かのように受け流している。

  それでもリョウは、恥ずかしさと情けなさで、涙が滲んできた。

  「随分たっぷりおしっこしたみたいですねー?」

  グシュ……くしゅくしゅ……

  ユウタがニヤニヤ顔で、軽くおむつを触ってくる。

  「ふうっ……ぐっ……」

  周囲にはいまだに往来が絶えず、何人もの顔と目が合ってしまっては、恥ずかしくなって顔をそらして俯いた。

  そんな衆目の中で、おむつ丸出しで大股開きにさせられている。

  「たっぷり吸収して、おむつパンパンになっちゃいましたねー」

  「あっ……あう……」

  ユウタが羞恥心をあおるように、開いた股間部をぐしゅぐしゅと揉んでくる。

  恥ずかしくても足を閉じることができず、リョウはおむつ替えポーズのまま、唇を噛んでじっと動かずにいた。

  「さ、おむつ替えの前にもう一回しーしーしておきましょうか」

  「うえっ……」

  ユウタの言葉に何か言い返そうとした矢先、瞬く間に尿意が高まった。

  「しーしーですよ、さっきお漏らししてから、結構時間が経ってますよねー」

  「あ……う……」

  言葉に誘われて、じわじわと尿意が高まってくる。

  しかしトイレの中とはいえ、リョウのおむつは人目にさらされたまま。

  大勢の人に見守られながら、大股開きのおむつが嫌でも目に入る。

  「しーしー、しーしー」

  「あうっ……ああ……」

  耳元でささやく言葉に、思わず体が弛緩していく。

  リョウは口をパクパクさせながら、よだれがつっと垂れる。

  チョロ……チョロロ……

  おむつの中に温かい感触が広がっていく。

  「しーしー、しましょうね」

  「ううっ……うああ……」

  リョウは降伏を示すようなおむつ替えポーズのまま、おむつのなかにお漏らししてしまう。

  シュウ……

  静かなトイレに恥ずかしい水音が響く。

  大した量のおしっこでは無かったが、ほんの少しでもリョウの顔をさらに赤くさせるには十分だった。

  「しーしー出し切ってから、おむつ替えましょうねー」

  「ううっ……やっ……見るなよお……」

  ユウタの手が容赦なくおむつ越しにおちんちんを揉み込んでくる。

  「ふふっ、赤ちゃんがおむつ使うのは当たり前なんですから」

  「そんなのっ……いやっ……おれえ……」

  次第に呂律が怪しくなってくる。

  おしっこを吸ったおむつは、また一段とぷっくりと膨らみ、これ以上は吸収しきれない様子で太ももからつーっと垂れた。

  しかも大きく股を開いたポーズで、その姿を人前に晒されつづけた。

  過行く人々がちょっと覗き込んでは、ほほえましい顔をして去っていく。中には、スマホで撮影してくる人までいた。

  恥ずかしさで頭の中は真っ白になった。

  トイレの換気扇の音と、絶え間なく往来する靴音が、ずっと頭の中で聞こえていた。

  「しーしーできましたか?」

  「うぅ……うん」

  日中散々お漏らしをさせられたこともあって、おしっこ事態はほんの少しの量だった。

  視線を落とすと、おむつがパンパンに膨らみ、ずっしりと垂れている。

  「あーあ、ちょっと漏れ出しちゃいましたねー」

  「あっ……」

  ぐいっ

  ユウタが太ももから指を入れて、垂れたおしっこを確認している。

  チョロ……

  リョウのお漏らしがほんの少し、おむつに吸収されきれず、おむつ替え台を汚してしまった。

  「早く次のおむつを着けないと、大変ですね」

  ユウタがニヤニヤ顔のままその場を離れると、テキパキとおむつやベビーパウダーをリュックから取り出し始める。

  「あれ? お尻ふきが無いですね」

  リュックに視線を落としながら、独り言を言う。

  「は、早くぅ……」

  往来の視線が刺さるように痛い。

  台の上で大股を開き、丸出しのおむつはおしっこでパンパンに膨れ、溢れている。

  出入りする子供が指をさして「おにーちゃん、おむつ」などといって笑って去っていく。

  「うーん。新幹線で使いきったんでしたっけ?」

  相変わらずユウタは悠々とリュックを漁っている。

  その隣のリョウは真っ赤な顔で、おむつ丸出し、おむつ替えポーズのままだ。

  グシュ……

  軽く身動ぎすると、たぷたぷのおむつが衣擦れ音と返す。

  「ふぐぅ……」

  唇を噛んで天井を見つめる。

  白い蛍光灯が涙で滲み、視界の端で子供たちに笑われている様子が見える。

  呼吸が荒くなり、上向いたおなかが上下に膨らむ。

  「うう……」

  顔を赤く染めたまま、リョウは小さく喉を鳴らした。

  ユウタの探し物が終わるまで、大股開きのおむつ姿を衆目に晒され続けた。