十一月⑰_御トイレ行御一行案内付一人裸

  割れるような喝采に、リョウは我に返った。

  気づけば劇は終わり、喜びの声入り交じるざわめきの中、観客は次々と座席を後にし始めたところだ。

  「素晴らしいショーでした」

  隣の席のユウタは、伸び混じりに立ち上がる。

  周囲の生徒たちも、連なるように座席を立ち始める。

  グシュ……

  リョウは自分の下半身に視線を落とす。

  じっとりと濡れたズボンは、間違いなくその下のシートまで濡れている様子だ。

  立ち上がれば、全て見えてしまう。

  リョウの顔が瞬く間に真っ赤にして染まった。

  「あ、あの……えっと……」

  しどろもどろにユウタを呼び止める。

  「あれ? どうしました?」

  いつものニヤニヤ顔が、リョウに振り帰る。

  「う、うぅ……」

  周囲の視線もあって、言葉が出てこない。

  リョウは股間をぎゅっと握って、涙目になってユウタを見た。

  「どうしたんですかー?」

  ユウタは気を利かせてリョウの口元に耳を近づける。

  それでも、リョウの口から言葉を聞くまで、何も助けるつもりはない様子だ。

  一瞬唇を噛み、消えるような声でユウタの耳元に囁く。

  「お、お漏らし……し、しちゃった」

  クシャクシャ……

  ユウタが無言で頭を撫でてきた。

  「取り敢えず、先生に報告して対応を」

  「うぅ……」

  リョウは体を抱くようにうずくまった。

  どれくらい隠せているかは分からないが、ぱっと見は体調の悪い生徒くらいに見えるだろう。

  「僕が戻るまで、様子を見ててもらえますか」

  反対隣のノッポに指示を出すと

  「はーい」

  と軽い返事が返ってきた。

  他の生徒には予定通り動くように言い聞かせ、ユウタは足早に歩き去って行った。

  グシュ……クシュ……

  おしりからは恥ずかしく濡れた感触が伝わる。

  図体のでかいノッポが近くで立っていたせいか、幸い誰からも気に留められず、程なくして劇場は無人になった。

  「取り敢えず、僕たちはタクシーで帰ることになりました」

  パタパタと軽い足取りで、ユウタが戻ってきた。

  リョウたち以外誰も居ない劇場に、いつになく大きく響く。

  「とにかく、ズボン脱いでくださいねー」

  ユウタの手が何の躊躇もなく、リョウのズボンへと伸びる。

  「なっんっ……」

  ろれつの回らない口で言い返そうとするが、言葉にならない。

  体はとっくに抵抗することを忘れ、抗うことなくズボンに手がかけられる。

  ズルッ

  濡れて張り付いた生地を剥がすように、リョウのズボンを開きチャックを下ろす。

  ノッポの手で体が一瞬持ち上げられると、おしりの下からズボンが取り去られ、足先から脱がし取られた。

  ぷっくりと膨らむおむつが丸出しになる。

  「ずいぶん、やっちゃいましたねー」

  ユウタの一言に、リョウは目を背けて唇を噛む。

  普段より大きいタイプのおむつが、限界までたっぷりと膨らんでいる。

  ペンペン……

  ユウタに内腿を軽く叩かれる。

  「うっ……」

  渋々と両足を広げる。

  グシュ……

  膨らんだおむつが晒され、足がひんやりと涼しくなった。

  それを内股に抑え込んだこともあって、太ももから溢れてズボンを越え、座席のシートまで濡らしてしまっていた。

  「後始末しておきますので、リョウくんをトイレまで連れて行ってくれますか?」

  「はーい」

  ノッポの気の抜けた返事が帰る。

  「それじゃ、たっちしてくださいねー」

  「うっ……」

  「恥ずかしがらないのー」

  ノッポが手を回し、ぐいと持ち上げられる。

  「うあっ……」

  ぐずる子供のように、持ち上げ立たされた。

  ビリッ……ビリッ……

  躊躇もなく、おむつが取り払われる。

  「持ってきておいて良かったですねー」

  ユウタが小さな肩掛けカバンを広げると、中からウエットティッシュや厚手のタオルを取り出した。

  「リョウくんのおむつセットも、持ってきてますよ」

  「な……ん……」

  口をパクパクさせて、何か言い返そうとしたものの、結局助けられている現状では、何の言葉も出なかった。

  「真っ直ぐ、たっちしててねー」

  ぐいっ

  厚手のタオルが濡れたおしりから太ももまで拭い去っていく。

  リョウは言われるまでもなく、両手でシャツの裾を掴んでへその上まで持ち上げていた。

  スッ……スッ……

  すっぽんぽんの下半身に、乾いたタオルが当てられる。

  誰も居ない静まり返った劇場で、下半身丸裸になっていると思うと、なんだか背徳的な気分だった。

  キュ……

  おちんちんは摘み上げるように、拭い取られる。

  いつもながら少し恥ずかしくなって、思わず天井を見上げて目をそらす。

  「じゃ、このままトイレまで連れて行ってもらえますか?」

  「はあ? え?」

  このままじゃ、シャツをまくって下半身丸裸のままだ。

  「はーい」

  ぐいっ

  呑気な口調の返事とともに、ノッポに腕を引っ張られる。

  「またお漏らししたら大変ですから、急いでくださいね。僕は軽く片づけてから向かいます」

  「あ、ちょっと……」

  ぺんぺん……

  躊躇していると、ユウタが軽くお尻を叩いてくる。

  ぴくんと思わず体が強張り、おちんちんがぷるっと揺れた。

  「さー、一人で歩けるよねー」

  ノッポが人の良さそうな顔をこちらに向ける。

  口調はまるで子供に言い聞かせているようだ。

  「うう……」

  リョウは俯きながら、その背中に付き添う。

  ぐいっ……

  不意に背中からユウタの手が伸び、持ち上げたシャツを胸の前まで捲し上げられる。

  そして、ぺんぺん……と、またお尻を叩かれた。

  「まるで、幼稚園児がトイレに行くみたいな格好ですねー」

  「う……うっせ……」

  涙目になって言い返したが、下半身丸裸では情けないばかりだ。

  「じゃあ、トイレで待っててください」

  「はいはーい」

  ノッポがそんなリョウを気に止めることもない様子だ。

  リョウは俯いたまま黙って、劇場を後にする。

  まくり上げられたシャツと、すっぽんぽんの下半身。

  まるでぐずった子供のように、とぼとぼとついて歩いた。

  とふっ……とふっ……

  密度の高い高級そうな絨毯の上を、ノッポに連れられて俯き顔で歩く。

  劇場で漏らしてしまったせいで、トイレまでリョウはこの恰好のまま歩かされるらしい。

  まくり上げられたシャツのせいで、すっぽんぽんの下半身はおへそまで丸見えだ。

  いつものくせで、がに股歩きになってしまい、歩くごとにおちんちんがぷるぷると震える。

  「よそ見しないでついてきてねー」

  「……ん」

  ユウタだけでなく、同級生にさえ子ども扱いされ始めている。

  羞恥心に顔を真っ赤に染めながら、リョウは震える手でシャツの裾をぎゅっと握った。

  廊下はしんと静まり返っているものの、時折忙しそうな演者や劇場関係者とすれ違う。

  誰もリョウの様子を気に留める風でもなく、すれ違うたびに微笑ましい様子で笑いかけてくれる。それがリョウの羞恥心に更に拍車をかけた。

  ぷる……ぷる……

  視線の下で小さな股間が情けなく震える。

  「建物の中、あったかくて良かったねー」

  先導するノッポが振り向きながら話しかけてくる。

  「ふんっ……」

  リョウは顔を真っ赤にして、唇を噛みしめたままそっぽを向いた。

  確かに廊下内は心地よい空気に保たれ、ふんわりといい香りさえ漂う。

  それでも下半身丸裸で歩いていると、ひんやりと少し冷たい空気を感じてしまう。

  ブルル……

  リョウは時折寒さと羞恥心に身を震わせながら、がに股で歩いた。

  ぷるっ、ぷるっと小さなおちんちんも、一緒になって震えているのが見える。

  「たしかー、こっちだったかなー」

  ノッポは案内板を見ながら、右へ左へと廊下を進んでいく。

  「くっそ……まだかよ……」

  リョウは悪態をつきながら、その背中を追った。

  心臓が高鳴り、ほんのちょっとの距離でさえ、何mにも感じる。

  年頃の少年にもなれば、さすがにこんな姿を人前に晒すなんてできるはずがない。

  しかしそんなリョウの気持ちにはお構いなしとばかりに、能天気な声が背中越しにかかる。

  「トイレまで、しっこ我慢できそうー?」

  「……ふん」

  黙って睨み付けるが、両手は裾をまくり上げて、おちんちんを晒したままのポーズだ。

  情けなさにシャツを持った両手を、またぎゅっと握りしめた。

  「もうちょっとで、つくからねー」

  「……」

  能天気なノッポの声を聞きながら、リョウは廊下を歩いていった。

  行き届いた空調に、室内は快適な空間だった。

  それでもリョウは恥ずかしさも相まって、体がフルフルと震える。

  視線を落とすと、おちんちんも同じようにぷるぷると震えていた。