【リクエスト】~IF_Desire~「ダークヒーローの息子のヒーローが幼児退行させられて、父親と同じ世界に囚われるまで」

  月のない夜。こんな夜も光の絶えない世の中になっても、悪党が活発になる時間だ。

  「へっ、ここまで逃げれば……」

  路地裏から走り抜け、瓦礫町の手前まで辿り着き、安堵を浮かべるヴィラン。だが、その姿は確かに俺の目に映っている。何せ、正面から来ているのだから。

  「なっ……! なんでここに!」

  「俺から逃げられると思っていたのか」

  闇夜に紛れる黒豹獣人のヴィラン。罪状は強盗致傷。組織には所属していない、突発に近い覚醒と推定される。能力は瞬間移動にさえ見える高速移動。常人であればその勢いから来る打撃だけで十分脅威になるし、捕らえることなど不可能に近い。ディザイア能力者であっても、容易く追い付けるものではない。

  だが、同じ力があれば、追い付けるのは道理というものだ。

  「クソッ……!」

  逃げる、かと思えば、不意打ちに突っ込んで来た。不思議だ。普段なら目で追えていたかも分からないけど、今は違う。

  「なんだ?!」

  俺の足元から影が飛び出し、粘液のような影がヴィランを捕らえる。形は不定形だが、性質は固まったコンクリートだ。いくらディザイアを持っていても、攻撃に特化していなければそう簡単には振り解けない。

  「グヘッ!」

  ヴィランの腹部だけ影を薄くして、ヴィランのディザイアを使って掌底を当てる。この勢いで生身に直接攻撃すると、貫くまで行かずとも内臓を破壊しかねないため、勢いを殺しておくためだ。

  狙い通りヴィランは影に身体を捕らえられたまま気絶したようだ。単純な速度増加の力で素直で使い勝手がいい能力だった。願いが『辛い現実から逃げ出したい』というものでなければ、厄介な相手になっていたことだろう。

  「……こちらシャドウ・ウルフ。逃走中のヴィランを確保した」

  『よかった、ちゃんと追い付いたんだね』

  通信をしつつ、影を解いてヴィランにディザイア封じの手錠を掛ける。これで少なくとも、今すぐ目覚めたところでディザイアを使って逃亡するようなことは出来ない。

  『警察が向かってるから、そのまま待ってていいよ』

  「了解だ」

  言われた通り五分後にはパトカーが到着し、ヴィランは警察に連れられて行く。悪の組織絡みでもなければ、ヒーローがわざわざヴィランの聴取を行う事はない。

  「お疲れ様です、シャドウ・ウルフ」

  到着した警察官に敬礼される。シャドウ・ウルフ。それが俺のヒーローとしてのコードネーム。黒のボディスーツに赤いマフラー、肩からクナイの入ったベルトを掛け、腰にもクナイの入ったベルト、その腰ベルトに着いた黒い布。両手両足を黒いグローブで覆い、目元を覆う黒いマスクをしている。パッと見ならばダークヒーローのような風貌だが、生憎登録としては普通のヒーローだ。

  その場を警官に任せ、俺はバディの待つ自宅へと戻る。

  「お帰りシンちゃん!」

  帰ってすぐに、ガタイのいい真っ赤な鬣の獅子獣人、[[rb:獅子皇>ししおう]][[rb:太陽>たいよう]]が出迎えてくれる。同い年だから今年で44にもなるのだが、相変わらず筋肉は衰えず、しかも獅子獣人としての貫禄が顔に出ており、身長も2mあり傍目に見れば怖い人扱いされそうなものだけど、元来の朗らかさからむしろ俺より子供受けがいい。

  「ただいま、太陽」

  「もう一回お風呂入るよね?」

  「ああ」

  既に日付が変わっているので、一度風呂には入っていたけど、このまま寝るのも気持ち悪い。

  パパッと服を脱ぐ。姿見には、黄色い瞳の黒毛に体裏が白い狼獣人、俺、[[rb:大神>おおがみ]][[rb:新月>しんげつ]]の姿が映っている。元は白かったけど、ディザイアに覚醒して影を被ったように黒い毛となったのだ。体格は身近にあまりにも良過ぎる太陽がいるせいで若干みすぼらしく思うこともあったけど、今はむしろ44という年齢からすれば良い方だ。改めてマジマジと顔を見ると、少し老けたと感じる。威厳が出たと言えば聞こえもいいし恰好いいか。

  広い風呂に入ってシャワーを浴びる。相手が弱かったとはいえ、その影を纏ってヴィランの力で全力疾走したものだから、夜とはいえ夏場ではボディスーツの下は汗だくにもなるというものだ。

  シャワーのお湯で汗と共に不快感を洗い流す。とはいえ今日は既に風呂に入っているから、ささっとシャワーだけで終わらせる。

  「上がったぞー」

  もう普段は寝ている時間だというのに、律儀にリビングで待ってくれていた太陽に声を掛ける。こうして一緒に暮らし始めてもう二十年も経っているけど、嫌気が差すようなことはちっともなく、むしろ惹かれる事の方が多い。

  「おやすみ、シンちゃん」

  「おやすみ、太陽」

  そのまま二人で寝室に移り、二人同じベッドに入る。そこは今も変わらない。抱き合ってお互いを感じながら眠る。心安らぐ数少ない時間だ。

  翌日。いつものようにヒーロー協会N市支部である、『狗巻探偵事務所』へと向かう。現在は俺と太陽だけがこの支部でヒーローとして所属しているけど、同じ建物のままだし、名前は変えずに運用している。現在では俺が支部長だ。太陽の方が適任だと思うが、曲がりなりにも『獅子皇』の名前で探偵事務所の所長として登録するわけにはいかなかったのだ。

  元の支部長でありこの探偵事務所の名を冠する、[[rb:狗巻>いぬまき]][[rb:繋>つなぐ]]が、そして、俺の親父である[[rb:大神>おおがみ]][[rb:月影>げつえい]]が行方不明になって十五年が経過している。二人共、インフェンティル・リグレッショナーというヴィランに連れ去らて、そのままの可能性が高い、ということだ。

  狗巻のおっさんが行方不明になって十年経った頃、首都でヒーローが二人、インフェンティル・リグレッショナーの被害に遭い、そして解放、いや、放流された。以前より発見されていた被害者同様、二人共記憶がなく、ディザイアにより小学校低学年程の見た目にまで退行させられ、一向に治療が出来ていない状況だ。

  それを受けて、おっさんのバディの[[rb:雪平>ゆきひら]][[rb:氷空>そら]]は首都へと移り、調査を行っている。しかし、成果はない。リグレッショナーが最後に事件を起こしたのはもう三年前で、その被害者も一般人で結局情報源にはなっていない。

  「……一服してくる」

  「うん」

  おっさん達がいなくなって以来、俺は煙草を吸うようになっていた。それでも事務所では吸わないようにしている。太陽は気にしないとは言ってくれているものの、俺が一人になりたい口実に使っていることも察しているから、強くは引き止めないでいてくれる。

  事務所から出て、路地に入って反対側まで出てから、煙草を吸う。おっさんがいた頃はなんであんなに吸ってるんだって思っていたけど、落ち着くためには丁度いいんだな。太陽にハグして貰うのとは違う、一人の時間を過ごして心落ち着かせるためにはいい。あまり、太陽に暗い想いを見せたくないからな。

  インフェンティル・リグレッショナーについて分かっていることは、銀鬣の獅子獣人で、本名は[[rb:獅子代>ししよ]][[rb:明護>めいご]]という。K県の地方銀行の御曹司だったのだが、三十八年前にその行方を晦ましてしまった。まともな目撃情報を持っていた氷空によれば、とても二十年以上経過しているような見た目ではなかったという。

  太陽曰く、獅子獣人の数は少なく、N県であれば獅子皇家とその親類ばかりで、いずれも鬣は太陽程では無いにせよ赤系ばかりだ。K県ならば、獅子代系列の銀系になる。勿論外に出ている獅子獣人だっているから、それが全てとは言えないものの、少なくとも地元民かどうかは分かるということだ。

  だから、今、目の前を不意に通り過ぎた銀鬣の獅子獣人がいれば、それだけで追うに値する。

  「おい!」

  思わず俺は駆け出していた。煙草が落ちているのを気にする余裕もない。変身せずとも職質の権利はある。間違っていてもいい。僅かな可能性にも、縋りたい。

  「!!」

  呼び掛けた声に反応してこちらを見た獅子獣人は、キョトンとした表情から、驚いたような表情になる。ヒーローを見て驚いた、というような表情ではない。だとしたら、この表情はなんなんだ? いや、それより、全然変わってないせいかむしろ俺より若いくらいだが、獅子代明護では……?

  「まさか、こんなところで会うことになるなんて!」

  「お前、獅子代明護か……?!」

  返事が来ることはなく、代わりに手に持っていたアタッシュケースが開かれた。

  ---[newpage]

  一瞬だった。気付いたその瞬間には、通りではなく、不思議な空間に立っていた。人生で成人してからの方が、ヒーローの活動として縁のあるキッズコーナーのように、色んな動物のキャラクターの描かれたカラフルなタイルが敷き詰められた空間だ。床も壁も天井も、パステルカラーの一つ一つが大きなモザイクタイルに覆われている、明らかに異質な場所。

  「ここは……?」

  どう見てもディザイアによるものだ。冷静に観察して、脱出手段を確保しなくてはならない。キッズコーナーのような見た目かと思えば、公園のような様々遊具が設置されている。ジャングルジムやシーソー、滑り台やブランコといった定番のものから、バネの馬や登り棒、球体の回るジャングルジムみたいなやつがあった。どれもこれも床と同じくカラフルで目に痛いような配色をしている。

  「あれ、わるいひと?」

  滑り台の上に立っていた、灰毛の狼獣人の子供らしき子がそう言って来る。背格好からすれば子供ではあるが、赤ん坊というには大き過ぎる。なのに、赤ん坊の着てそうな、赤いロンパースを着ている。首元辺りに、ハンマーのアップリケが着いていた。

  見れば他にも遊具で遊んでいたのか、おしゃぶりをしている青いロンパースを着た犬獣人と、白い三日月模様のアップリケの付いた、黄色いロンパースを着た狼獣人、そして黄色く汚れたおむつを穿いているだけの犬獣人の子がいた。いずれも小さいとはいえ歳不相応の格好に見える。

  「ちゅかみゃえりゅ?」

  おしゃぶりをしたまま青いロンパースの子が聞き取りづらい言葉を喋る。黒毛に茶毛の混じった、模様としてはシェパードの子に見える。舌っ足らずというか、おしゃぶりのまま喋ればああなるのは当然だ。

  「やるー!」

  無邪気にそう言い、おむつだけを穿いた犬獣人、短い毛並みからしてドーベルマン獣人の子が、一足飛びでこちらに飛び掛かって来る。ここがヴィランの領域である以上、見た目が子供だろうと油断してはならないと、俺はすぐに飛び退く。

  ぶぅん

  「いっ……!」

  子供が振るったとは思えないような音がして、避けて正解だったと思い知らされる。向こうがやる気ならば、子供として手を出さないというわけにも行かなそうだ。

  「[[rb:変身>トランスフォーム]]、シャドウ・ウルフ!」

  変身アイテムの腕輪を掲げて変身コマンドを宣言する。身体が光に包まれ、私服からピッチリしたスーツに変わる……はずだった。

  「何!?」

  肌に触れる感覚が違い過ぎる。その違和感に思わず自らの身体を見れば、明らかに黒いごわごわした布製の服になっていた。これは、まさか、あの子達が着ているロンパースか? 首元には、ロンパースとは違う白い何かがあるが……もしや涎掛け?

  「おわっ!」

  なおも迫るドーベルマンの子の拳を躱そうとしたけど、足元が柔らかくロンパースが足先の余っている状態なせいで半ば踏んでいるような状態になってしまい、転びそうになる。なんとか躱せはしたが、あれを直撃するのはまずい。

  「なんだ?!」

  今度は何処からともなくカラフルな紙テープが飛んできて、明らかに俺の方に迫ってくる。この状況でただの紙テープなはずがない。ディザイアを使い、俺の影からいくつか巨大な刃を……?

  飛び出したのは、先の丸い棒だった。幸い紙テープが絡みその進行を阻み紙テープを防ぐ目的は果たせたけど、何かがおかしい。この空間自体が異常だからというので片付けられない。ヒーロースーツがこんなのになっているのも、この異常に関わるものなのか?

  「えい!」

  考えている僅かな間に、大きなピコピコハンマーを持った赤いロンパースの狼獣人がそのピコハンを振るい、紙テープの絡まる影の棒を叩く。当然のように影の棒は折れて砕けてしまった。あんなものでも突然現れた時点でディザイア産のものだと思い知らされる。

  「ちっ……!」

  再び紙テープが飛び、ドーベルマンの子も迫る。そのままの形で出ないのであれば、俺の身体ではなく紙テープの影から具現化して、迫るカラフルな紙テープに絡めて相殺した。

  「影を……!」

  「わっ!」

  ドーベルマンの影を踏み、そのまま具現化して壁にする。危険物には出来ないようだけど、柔らかい壁なら生成できるようだ。

  何処かに出口が無いかと探す。いくつか扉を見付けられたから、一か八かあそこに入り込むしか無いか。ロンパースのせいで走りにくいけど、やるしか無い。

  「あ! ダメだよ!」

  足元を影で補強してから走り出す。いくら歳を食ったとはいえ、子供の足に追い付かれるほど衰えていない。これなら二人も紙テープも振り切れるはず。

  ドスンッ

  「なっ……!」

  扉に辿り着く直前、目の前に黒い巨大な犬が下りて来て、道を塞いできた。ただの犬なら今更驚きはしなかったが、この犬が完全な黒で出来ていて、俺の影を具現化させた時と同じような見た目だった。

  ガラガラガラガラ

  ドーベルマンの子に追い付かれる。そう思い別の扉に駆けようとしたその時、耳障りなガラガラという音が聞えて来た。その音が聞こえた瞬間、猛烈な眠気に襲われる。しまった……これは……氷空の言っていた……。

  眠気に耐えきれず、俺は意識を手放した。

  ---[newpage]

  頭が重い……俺は、確か……。

  「おはよう、目が覚めたみたいだね」

  「その声は……!」

  横になっている状態から起き上がろうとしたが、手足の自由が利かなかった。寝台のようなものに拘束されている、かと思ったが、寝かされているのは白いシーツのベッドのようだ。視界端に病院のベッドの柵とは違う、高い木の柵らしきものが見える。

  声のする方を見れば、犬のキャラクターの描かれたエプロンがまず目に入り、その上に視線を移せば、銀鬣の獅子獣人の顔が見えた。今度はジャミングの眼鏡の無い、獅子代明護の顔だと分かる。報告通り、かつての資料よりも若干若くさえ見えるな。

  「獅子代明護、お前には聞きたいことが山ほど……!」

  食って掛かろうとしたその時、寝起きであればある種自然な生理現象でありながら、今来て欲しくはない、尿意が急速に込み上げて来た。今まで何ともなかったのに、急に漏れる寸前まで尿意が高まり、すぐに腹に力を入れる。こんなところで漏らして堪るか……!

  「おしっこを我慢してるんだね。我慢しなくていいんだよ、おむつにおしっこしようね~」

  「おむっ……!?」

  何を言っているんだと思い、頭を起こして自分の下腹部を見れば、明らかにパンツの膨らみではない、白いものが見える。服も着せられていたロンパースさえ脱がされていて、どうやらそのおむつしか身に着けていないようだ。なんか股間周りに変な感じはあったからもしかしたらと思ったけど……。

  ガラガラガラガラ

  また不快なガラガラな音がして、頭がボーッとする。身体から力が抜けて、力を入れて抑えていた腹からも力が抜けて、尿が零れる。一度漏れ始めてしまえば、尿を止められない。

  放尿の気持ち良さは一瞬のこと。すぐに生温く濡れた感触が股間全体に広がり猛烈な不快感に襲われる。ダメだ、ヴィランの前で、失禁なんて……こんな痴態を晒すわけには……。

  「いっぱい出せたね~」

  「うっ……クソッ……」

  まるで子供に話しかけるような口調でそう言って来る獅子代。だけど、馬鹿にするような態度ではなく、おむつで小便をすることを、初めてトイレを成功させたように褒めているような態度だ。

  「まずはおむつを替えようね~」

  さも当然のように、たっぷり尿を吸って汚れているだろうおむつのテープを剥がしてきた。重みのあるおむつが開かれ、ツンとする尿の臭いが横になっているにも関わらずこっちにまで立ち上ってくるように、鼻に突き刺さる。

  「なっ、やめえ……!?」

  止めろと言う前に、思わず目をかっぴらいて見てしまった。俺のチンポが、子供のものと言うにもあまりに小さいものになってしまった。

  「な、なんっ……!?」

  「ここが気になるのかな? 大丈夫、ちゃんと綺麗にして上げるからね~」

  「そういう問題じゃない!」

  俺の受けている恥辱などお構いなしに、獅子代は白いタオルを何処からか取り出し、俺の小さくなったチンポとその周囲を拭いてくる。温かい濡れタオルだったようで、冷たくなったチンポの先が温まって、不快感が幾分マシになっていく。とんだマッチポンプだ。

  「うん、綺麗になったね。それじゃ、新しいおむつしようね~」

  当然のように真新しいおむつを取り出して見せて来る獅子代。この状況で介護用ということはなく、犬のキャラクターの描かれた子供用のおむつだ。確か俺が子供の頃に放映されていた、子供向けアニメのキャラクターだったはず。とっくに終わっているものだから、今売っているはずもない、ディザイアで呼び出されたものだ。

  「クソッ、誰がそんなおむつ穿くか!」

  足をバタバタしようとしたものの、手足が拘束されて大して動かせなかった。どういうわけかディザイアも発動出来ないから、結局抵抗出来ないまま子供のおむつを穿かされてしまった。

  「良く似合ってるよ~。それじゃあ、ご飯にしようね~」

  こんな状況でご飯なんて言い出すなんて、ろくなものじゃないのは容易に想像が付く。そもそも食べ物なのかも分からないけど、なんであれまず口に入れるべきではない。

  「……は?」

  獅子代の手の中に現れたのは、白い液体の入った哺乳瓶だった。ご飯なんてものじゃないだろ、ミルクは。完全に赤ちゃん扱いだ。

  「さぁ、いっぱい飲もうね~」

  「誰が飲むかよ!」

  哺乳瓶の先を口元に押し付けられるが、当然断固拒否する。さすがに哺乳瓶なんてこちらの意志もないのに飲ませられるわけ……。

  ガラガラガラガラ

  また、あのガラガラの音が……クソッ……頭が、ボーっとして、力が抜ける……マズイ……不味い……?

  猛烈な甘みが味覚の全てを蹂躙する。最早不味さで吐きそうな甘さなのに、そんな感想に反してミルクが喉を通り、どんどん胃に落ちていく。美味しい……? そんなはずないのに……なんで、美味しいなんて感じて……。

  「んっ!」

  意識が覚醒して、なんとか哺乳瓶を吐き出せる。とはいえ中身は全部俺の腹に入ってしまった。ヴィランが飲ませてくるディザイア産の飲食物なんて、絶対口に入れちゃダメだというのに。

  「ちゃんと全部飲めてえらいね~」

  「お前が無理矢理飲ませたんだろうが!」

  怒鳴ったところで聞くとは思えないが、思わず声が出てしまう。ヴィランの奇行狂行にいちいち感情を揺さぶられていては持たないというのは分かっているけど、どうしてもツッコミたくもなる。

  「いっ……!」

  いきなり、また尿意が襲って来る。あのミルク、そんな効果かよ! おむつをしているからと大丈夫なわけがないし、そもそも俺のチンポが悲惨なことになったのが、漏らしたのが原因なら絶対に我慢しなくては……!

  「んあ……」

  けど、全く我慢出来ずに、僅かに零れた先から小便は止まらず、小さなチンポから溢れていく。チンポが小さくなってしまって出る量が少ないのか、やけに尿が長く感じる。放尿の気持ち良さも、不思議と長引く……。

  「……はっ!」

  ボーっと快感を享受していた頭が冴え、目を逸らしたくなる痴態である、汚れたおむつを見て顔から火が出るように熱くなる。ヴィランの前で二度もお漏らしをさせられて、尊厳も何もあったものじゃない状態だ。

  「さ、おむつは替えて上げるから、少しおねんねしようね~」

  ガラガラガラガラ

  また不快なガラガラの音がする。いくら目を開こうとしても、重く閉じていく瞼は上がらない。クソッ……こんな、ところで、眠ってる場合じゃ……。

  親父……おっさん……。

  ---[newpage]

  なんだ……? 妙に身体が軽いような気がする……俺は、何をしてたんだっけ……。

  「太陽……?」

  横になっているのに、近くに太陽がいない。横を向こうとすると、手足が拘束されている。そうだ……俺はヴィランに、長年探していたインフェンティル・リグレッショナー、獅子代明護に捕まって……。

  「おはよう。まずはおむつを替えようね~」

  その獅子代が声を掛けて来て、なんら躊躇なく俺のおむつのテープを剥ぎ、するりと容易くおむつを抜き取り、濡れタオルで汚れを拭き取る。前は軽く拭いて終わっていたが、寝小便だったのか丁寧に時間を掛けて拭き取っていた。

  何か、違和感がある。異常が多すぎて何が違和感か分からないけど……そんなことを考えている内に、新しいおむつを手際よくされてしまった。

  「それじゃあ、朝ご飯にしようね~」

  「ま、待て、お前には聞きんんっ!」

  言い切る前に口に哺乳瓶の口を捻じ込まれる。吸ってもないのに哺乳瓶からは甘過ぎるミルクが溢れ出て、マズルの口端から零れてはいるものの、嫌でも胃に落ちていく。自分の意志で飲んでいるわけではないのに、美味しいはずのない甘いミルクに、確かに旨味を感じてしまっている。

  「ぷはっ、クソッ……!」

  また、尿意が込み上げてくる。それを我慢する、という事を成そうとする時間もないまま、替えられたばかりのおむつに放尿してしまう。やばい……気持ちいい……こんな、こと……おしっこくらいで、こんな……。

  「ふぅ、ふぅ……なんだ?」

  なんだ? 息遣いが、そこから聞こえる声が、なんか変だ。この違和感は……。

  「順調だよ~」

  「んなっ!」

  真正面に大きな姿見を持って見せられ、今の俺の姿が映し出される。裸で、小便でこれでもかと黄色く汚れたおむつをさせられている、狼獣人の青年。そうだ、青年だ。良く鏡に向かっていた時期だから分かる。ディザイアに覚醒したての時の顔だし、良し悪しが微妙だった頃の体付きだ。

  インフェンティル・リグレッショナー。幼児退行させる者の名の通りというわけだ。まだ煙草を吸ってなかったし酒も飲んで無かった頃だから、声が今よりクリアに思う。

  「ああ、やっぱりそうだ。ツナくんもゲツくんもケイくんも、君を知っていた」

  「ツナくん……ゲツくん……!? なっ、チェイサーとトレイターは、親父達は何処だ!」

  「そうだね、呼んで来て上げようか」

  呼んで……?

  部屋に出口があったようで、普通に扉を開いて出て行く音がする。ベッドに拘束されてから周囲を気にしていなかったが、狭い部屋の中のようで、明らかに天井が低いし壁も近い。

  少しして、獅子代が部屋に戻ってくる。ベッドが低いおかげか、背の低い子達の姿も見えた。あの異空間で戦った子達の内、おしゃぶりのシェパードの子と狼の子だ。

  「……まさか、そいつらが……?」

  確かに、シェパードと、全身黒い毛に覆われた狼獣人だ。嫌な予感は多分何処かにあった。でも、二人はあまりにも、あまりにも違い過ぎる。

  「親父! おっさん! 俺だ、新月だ! シャドウ・ウルフだ!」

  顔を上げて二人に声を掛ける。二十年経った姿では分からなかっただろうが、今の姿であれば、親父とおっさんと接点のあった姿だ。呼び掛ける意味は十分あるはずだ。

  「誰?」

  「でゃりぇ?」

  二人共、なんの抵抗もなく首を傾げてそう言う。子供っぽい口調の親父も、おしゃぶりをしたまま喋り舌っ足らずなんてものではない喋りをするおっさんも、当人にはまるで見えない。けど、この状況ではあのヴィランがわざわざ嘘を吐いているとは思えないんだ。

  「目を覚ましてくれ、ダーク・トレイター! チェイン・チェイサー!」

  「パパ、あの人何言ってるの?」

  「う、嘘だろ……」

  パパ……あの親父が、ダーク・トレイターが、獅子代の事をパパって……あまりにも考えたくない事が目の前で起こって、頭がクラッとする。或いは親父であれば、ダーク・トレイターであれば、どんな目に遭っていたとしても死んでいなければ、ダーク・トレイターはダーク・トレイターであると思っていたかったんだ。

  「パパ、おみゅちゅ、みゃっきっき!」

  「そうだね~、おむつ替えて上げないとだね~」

  おしゃぶりを咥えたままのチェイサーが、俺のおむつを指さして聞き苦しい言葉でそう言って来る。変化で言えば親父よりも大きく、本当に無様になってしまっているのだ。未だ外で見付かっていなかった以上、生存していてもこういう状態になっていることはある程度想像出来ていたはずだが、その現状を目の当たりにして絶望してしまっている。

  「ぐっ……」

  またおむつを外され、汚れたばかりで湿り気を通り越して濡れている股間を拭いて、改めて真新しいおむつをされてしまう。いくらなんでも手際が良過ぎるだろ。

  「って、何やってんだ?!」

  あろうとことか、獅子代は俺から取ったおむつを捨てるために丸めたかと思えば、その臭いを嗅いでいるのか思いっ切り顔に触れていた。いや、本当に何やってんだ? あんまり今までの行為とは関係ないような……。

  「ふむ……前のヒーロー達とは違うみたいだね。とはいえ……」

  「あう……」

  何か考える素振りをしている獅子代の隣で、親父が声を上げた。ぼんやりとしたような、けど、気持ち良さそうな顔をして呆けている。これは……?

  「ゲツくん、おしっこしたんだね」

  「うん!」

  「じゃあ、おむつ替えようね~」

  漏らしたというのにそれが当然のように元気よく返事をして、おむつ替えを待つ親父。獅子代は親父のロンパースの前側を開き、手際よく汚れた黄色いおむつを取った。

  「……そうだ。ゲツくん、この子はリトルスペースの子になる……かも知れないんだ。だから、一足先に『歓迎』してあげようと思ってね。まずゲツくんにお願いしてもいいかな?」

  「いいよ!」

  親父におむつを着けるのかと思ったが、よく分からないけどいい予感のしない事を話している。この状況でただの歓迎とは思えない。

  「よっと」

  獅子代は小さな親父の胴体を持って持ち上げて、俺の顔の傍に下ろした。ロンパースに覆われた足と豆粒チンポが見えるけど、親父に何をさせるつもりだ……?!

  「おい、何やっんげっ!」

  あろうことか、親父は俺の顔面にそのまま跨って来たのだ。ご丁寧に尻が鼻に当たって臭いがダイレクトに飛び込んでくる。ツンとする尿の臭いがダイレクトに鼻へと入り込んできたけど、思ったようなケツからするクソの類の臭いはしない。だからといって、不快は不快だ。親父だろうと、親父だからこそ不快だ。

  「んおい、離れろ!」

  手は動かせず直接退けられないから、ブンブン首を振ろうにも上手くいかない。臭い。アンモニア臭で鼻が曲がりそうだ。でも、その中に、おおよそガキのケツからしてはいけない、薄いながら精液の臭いが混ざっている。

  「ふざっ、離れ……」

  ガラガラガラガラ

  クソッ、こんな時にあのガラガラかよ……。

  頭がボーッとして、拒絶したい臭いが鼻から入り込んで来る。臭いはずなのに……でも、これは、親父の臭いで……ずっと、十五年間、ずっと探していた臭いで……。

  臭いのには変わらないのに、臭いを嗅ぐのが止められない。親父の臭いは、こんな臭いだっただろうか。こういうとこの臭いまでは嗅いだ覚えがないから分からない。ああ、でも、この尿と僅かな精液の臭いが、どうしてか落ち着く……。

  「あっ……」

  臭いに意識が持って行かれている内に、また、おしっこが出て行く。身体から力が抜けてくような感じがする。あれ、俺、なんでここに来たんだっけ……?

  「ふふっ、良い『歓迎』になったね」

  「どうだった?」

  上から子供の声がする。あれ……誰だっけ? 誰かに似て……そうだ、親父だ。俺は、親父を助けに来たんだ。

  「くっ、俺、は……」

  「ふむ……もう少しってところかな。身体からは十分、汚れが落ちたね」

  小さな狼獣人の、親父の困った顔が見える。そんな目で見ないでくれ……決意が、どんどん揺らいでいく。親父のはずなのに親父じゃない。この子を救い出すことが、本当に救いになるのか。

  「さ、まずゲツくんキレイキレイしてから、おむつしようね~」

  「分かった!」

  ゲツくんと呼ばれた少年はそれを当然のように受け入れ、獅子代は丁寧に股間周りから尻まで拭いてから、おむつをしてからロンパースの前側を閉じる。見た目からすればおむつを嫌がる歳くらいのはずだけど、むしろそれを喜んで受け入れているように見える。

  「ツナくんもおしっこしてるね。おむつ替えようね~」

  「うん!」

  まだ隣にいたツナくんと呼ばれた少年も元気よく返事して、おむつを替える一連の流れを受け入れる。おしゃぶりこそしているものの、こちらもやっぱり少年と呼ぶべき背格好だ。おしゃぶりが煙草の名残であるならば、親父よりはまだ接点が見られる。

  「さ、君もおむつを替えようね~」

  そして、俺のおむつも替えて来る。その様子を見ようとすると、俺の身体は明らかにおかしかった。二十代のそれとは絶対に違う、平らかどころか赤ん坊のようなポッコリしたお腹が見える体型になっている。背格好さえ見なければ赤ん坊にされたかと思うような状態だ。

  いつの間にかお漏らしして、黄色く汚れたおむつを外してもらい、また丁寧におちんちんの周りを拭いてもらってから、また新しいおむつをしてもらった。おしっこで汚れてるよりも気持ち良くって、ちょっと幸せな気分……。

  って、ダメだダメだ。こんなのに絆されてたら、本当に屈してしまう。少しでも時間を稼いで、太陽に託さなくちゃならない。太陽だったら、きっと俺のところに来てくれるはずだ。太陽だったら……。

  「いっぱいおしっこ出したから、いっぱいミルク飲もうね~」

  獅子代の手に、またミルクの入った哺乳瓶が握られる。反射的に美味しそうと思ってしまって、危機感と場違いな幸福感が同時に沸き上がり、頭を振ろうとするも哺乳瓶から目を離せない。

  「あむ……」

  口元に哺乳瓶の口を当てられて、気付けばミルクを飲んでいた。甘いミルク。美味しいミルク。ごくごく飲んで、いる内に、段々眠くなってくる。

  ガラガラガラガラ

  温かい……眠たいや……もう、瞼が、上がらない……。

  夢を見ていた。心地よくって、甘くって、ふわふわした夢。

  カラフルな雲をかき分けて進むと、目の前に大きな滝が見えた。飛沫の代わりに大きな泡が浮かんでいる。俺の記憶。楽しかった日々。苦しかった日々。夢を願う日々。夢を叶え、ヒーローとして戦ってきた日々。太陽と一緒に過ごした日々。親父と過ごした僅かな時間。母さんと過ごした時間。

  全てが、泡になって弾けていき、滝に流れていく。記憶が、流れていく。

  無くなっていく。俺は……僕は……。

  ---[newpage]

  「んー……」

  なんだか、不思議な夢を見た気がする。どんな夢だったかも覚えてないけど、気持ち良かったような気がする。

  あれ、そもそもここは何処だろう。僕は……。

  「おはよう」

  ベッドの傍には、銀色の鬣の獅子獣人のお兄さんがいた。誰だっけ……。

  「誰?」

  「……君のパパだよ、シンくん」

  パパ……シンくん……? 僕は、シンくん? なんだか、聞き慣れてるような、でも違うような気がするような……だけど、何にも分からないから、そうなのかな。そんな気もしてきた。

  「パパ?」

  「そう、パパだよ~。まずはおむつを替えようね~」

  おむつ……おむつ、まっ黄っきになってる。寝てる間におねしょしたみたい。

  パパって人がおむつを開いた。おしっこの臭いがここまでする。なんだかそれとは違う臭いもして、不思議な気分になる。そんな気持ちになってる間に、おちんちんとお尻は綺麗になって、スッキリした。

  そのまま綺麗になったところに、新しいおむつをしてくれた。赤ちゃんみたいなおむつだけど、履き心地が良くって、気持ち良くさえ思う。

  「ありがとう、パパ……?」

  「そうだよ、僕がシンくんのパパだよ」

  そう言って、獅子獣人のお兄さんは僕の頭を撫でてくれる。温かい……何か、違和感はあるけど……僕は……パパを、探してたような……うん、この人が、パパなんだ。

  「それじゃあ、ミルク飲もうね~」

  「あむっ」

  パパの手に、ミルクの入った哺乳瓶があった。すっごく甘くって美味しいミルク。

  「いい子だね~」

  僕は口元に差し出されてすぐ、哺乳瓶の口を咥えて、ちゅぱちゅぱと哺乳瓶からミルクを飲んだ。とっても甘くて美味しい。ごくごく飲んでたら、すぐミルクは無くなっちゃった。もっと飲みたいけど、お腹もいっぱいになって満足もしたからいいや。

  「さてと、シンくんにプレゼントだよ~。お洋服着ようね~」

  パパが見せてくれたのは、緑色のロンパースだった。誰か着てたのの色違いだ。

  「じゃあ、足上げて、中に入って……そうそう。で、こっちも通して……うん、出来た」

  お洋服に足を入れて、両方入ったら、今度はおててを通してちゃんと着れた。全身がお洋服に包まれてると、なんだかヒーローになったみたい。

  「うん、よく似合ってるね。そうだなぁ……これも着けようね~」

  次に出て来たのは、赤い三角の涎掛けだった。なんだかヒーローのスカーフみたいで、イイかも。

  パパにその赤い涎掛けを着けてもらった。鏡も見せてもらって、なんだか気分はヒーローだ。

  「それじゃ、みんなに会いに行こうね~」

  「うん」

  そう言ってパパは僕を抱き上げてくれる。パパの鬣に鼻先が触れて、パパの臭いが鼻を満たす。大人の男の人の臭いって言えばいいのかな、甘い匂いとかじゃないんだけど、落ち着く臭いをしている。気付けばクンクン鼻を鳴らしていた。

  鬣……でも、赤くない? 赤……? パパの鬣は綺麗な銀色なのに、どうして赤いって思ったんだろう……。

  「みんな、新しいお友達だよ~」

  クンクンしている間に、お部屋から出て広いところに出た。パパに下ろされて、僕の前には四人の子がいた。赤いお洋服にハンマーのアップリケの、灰毛の狼獣人の子と、青いお洋服におしゃぶりをした、シェパード犬獣人の子、それから黄色いお洋服に白い三日月模様のアップリケの付いた、黒い狼獣人の子と、お洋服を着てない、おむつだけ穿いてるドーベルマン犬獣人の子がいる。

  「はい、それじゃあお返事してね。ハンくん」

  「はい! ボクハンくん!」

  そう言って赤いお洋服の子が手を上げる。

  「次、ツナくん」

  「あい! チュナくん!」

  次に青い服のおしゃぶりの子が手を上げる。

  「ゲツくん」

  「はい! 僕はゲツくんだよ!」

  その次は黄色いお洋服の子も手を上げる。

  「最後、ケイくん」

  「はい! ケイくん!」

  最後と言って手を上げた、おむつだけの子が手を上げた。ハンくんにツナくんにゲツくんにケイくん。うん、覚えた。

  「僕はシンくん……です!」

  シンくん……シンくん……まだほんのちょっと違和感があるけど、僕はシンくんだ。みんなに倣って手を上げてから言う。

  「よろしくね、シンくん!」

  「よりょしきゅね!」

  「「よろしくね!」」

  みんなすぐに受け入れてくれて、ハンくんがすぐハグしてくれて、他の皆もそれぞれハグしてくれる。なんだかすぐにでも仲良くなれちゃいそうだ。

  「じゃあ、なかよしのしるししよ!」

  「仲良しの印?」

  ハンくんが提案してくれるけど、仲良しの印ってなんだろ? 分かんないことばっかりだから、大人しく待ってみよう。

  お洋服の前のボタンを外して、ペロッとお股の布を開くと、そこにはおむつがあった。もうおしっこをしてるからか、黄色くなってるおむつ。

  「シンくんも!」

  「え、うん」

  言われた通りに僕もおっきなボタンを外しておむつを見せる。さっきしてもらったばっかりだから、僕のおむつはまだ白い。

  「あ……じゃあ、シンくん、ボクのおむつクンクンして!」

  「うん……うん?」

  おむつ、クンクンして? え? おむつの臭い、嗅いでってことだよね? これが、仲良しの印なの?

  「シンくん、嗅いで上げてね~」

  「うん、分かった……」

  そう、パパに後押しされる。うーん、パパが言うならやってみよう。ハンくんの前でしゃがんで、鼻先をハンくんのおむつに当てる。

  クンクン

  鼻を鳴らして臭いを嗅ぐ。おむつの紙の臭いと蒸れた汗っぽい臭い、おしっこの臭いにハンくんの臭い。基本的には臭いんだけど、別に離れたいとは思わない、不思議な気分。

  「んっ……みんなも!」

  「うん!」

  他の皆が、僕を取り囲むように立って、おむつを表に出す。ハンくんのおむつから少し離れてぐるりと周りを見ると、何処を見てもおむつがある。

  「あわわ」

  みんながギュッと僕に近付いて、僕は尻もちを突いて上を向いてる状態になって、そこにみんなのおむつが、僕のお口に、マズルに迫って来て、四方がおむつに囲まれちゃった。

  みんなの臭いが混ざって、臭い……臭いけど、癖になる臭いになってる。これが、『仲良しの印』……不思議とみんなと遊んでるような気持ちになって、おしっことおむつと汗の臭いから、みんなのことが少し分かったような気がする。

  しょわぁあ

  あ、おしっこが、出ちゃった。けど、おむつにしてるんだから、いいのかな。みんな、おしっこしてるし、これでいいみたい。

  「シンくんもおしっこしたみたいだよ、ハンくん」

  「ホントだ!」

  「ふぇ?」

  みんなが離れて、座って上を向いてた僕は柔らかい床に寝転んじゃう。

  「わっ!」

  そしたら、みんなが一斉に僕のおむつに向かって鼻を当てた。それぞれ四方から、ゲツくんなんて寝転がる僕の上から嗅いでるから、ゲツくんのおむつが僕の鼻に当たっちゃってる。

  みんなが僕のおむつをクンクン嗅いでる。目の前にあるから、ゲツくんのおむつの臭いを嗅ぐ。あれ? 他の子と混じってて分かんなかったけど、なんだか、落ち着く臭いだ。おしっことかの臭いなのには変わらないのに、なんか変だなぁ……。

  「うん、これでなかよし!」

  「にゃきゃよし!」

  これで仲良しになれたみたいだ。うん、確かにみんなのことを知れたような、そんな気がする。

  「じゃ、あそぼ!」

  「遊ぼう遊ぼう!」

  「うん!」

  みんな起き上がって、ハンくんを中心に遊びに誘ってくれる。ゲツくんが僕の手を引いてくれて、色んな遊具のあるとこに連れてってくれた。

  ここは『リトルスペース』で、いつも色んな遊具とか、僕達リトルスペースの子達が遊ぶためのものとか施設が毎日出て来るみたい。

  「わぁ!」

  今日は、遊園地みたいになってた。僕が初めてリトルスペースの子になった記念に、遊園地にしてくれたんだって。乗り物がみんなリトルスペースのようにカラフルで、可愛いデザインだ。

  メリーゴーランドにコーヒーカップ、ゴーカートにジェットコースター。色んなものにみんなで乗って遊んで、お昼になったらレストランでパパがおしっこでたぷんたぷんになったおむつを替えてくれてミルクを飲ませてくれた。

  お腹いっぱいで元気になった僕達は、アトラクションをもう一周楽しんでから、噴水広場の前でみんなで休憩することにした。

  「シンくん、楽しんでる?」

  「うん!」

  みんな優しいけど、ゲツくんは特に優しくって、率先して僕を連れて行ってくれる。なんだかお兄ちゃんみたいだ。みんなと仲良くしたいけど、なんとなくゲツくん一緒にいるのが一番安心する。

  「シンくん……?」

  「あ……」

  気付けば、僕はゲツくんに抱き着いて、その臭いを首の裏から嗅いでいた。やっぱり落ち着くけど、無意識だったからちょっと恥ずかしい。でも、あんまり離れたくもないのが不思議だ。

  「ゲツくんとシンくん、きょーだいみたいだね!」

  「確かに、模様は違うけど、狼だし似てるね」

  「うんうん」

  みんなからも、兄弟みたいだって言われた。兄弟……何か違うような気がして、違和感がある。でも、嬉しい。安全でも知らない場所で友達と兄弟が出来れば、このリトルスペースでもやっていけそう。

  「シンくん、どうだったかな~?」

  いっぱい遊んで、おむつがおしっこでいっぱいになってから、みんなでパパの元に帰ったら、パパがそう聞いて来た。

  「楽しかった!」

  振り返るまでもなく、楽しかった。これからもずっと、ずっとこのリトルスペースにいたいって思う。みんな優しいし面白いし、ゲツくんがいるなら、不安もないし。

  「それは良かった。じゃあ、みんなでお風呂行こうね~」

  『うん!』

  お風呂……このリトルスペースってお風呂もあるんだ。お風呂、どんなお風呂なんだろ。

  みんなと入ったお風呂は、タイルがパステルカラーの色んな色のツルツルなタイルが敷いてあって、洗うとこも湯船もすんごく大きい。なんだかそれをみるだけでもワクワクしてくる。

  脱ぎ場でみんなパパにお洋服を脱がせてもらって、おしっこで汚れたおむつをみんな取って、パパが丸めてくれる。おむつは、これからお風呂だから替えないみたい。

  みんなが一斉にお風呂場に入って、まずはシャワーを浴びることになった。パパに一人一人やって貰うのか、ハンくんがまずパパの前に座ってる。

  「シンくん、僕がやるよ!」

  「え?」

  かと思ったら、ゲツくんがシャワーを浴びせてくれるみたい。とりあえずゲツくんの前に丸椅子があったからそれに座って、シャワーを待つ。

  「ん……」

  ザーってお湯が頭から掛けられて、汗が流されていく。お湯が温かくって気持ちいい。すぐゲツくんがゴシゴシしてくれて、シャンプーの泡が頭から首、体と包まれていく。

  「んっ……」

  それから下腹部にもゲツくんの手が当たって、おちんちんをゴシゴシされる。なんだかおちんちんを触られると、不思議な気分になる。おしっこをしてる時の気持ち良さとはちょっと違う、背筋がソワソワする気持ち良さだ。

  「んひゃ!」

  また違うくすぐったさ感じがする。ゲツくんが尻尾を掴んでゴシゴシしてるみたい。尻尾って敏感だから、ギュッとされるとビクッてなっちゃう。でも、ゲツくんが頑張ってるから、我慢我慢。

  それから足まで泡に包まれてから、またお湯を浴びる。泡と一緒に色んなものが落ちて、気分スッキリ。ゾワゾワビクビクしちゃったけど、気持ち良かった。

  「ありがと、ゲツくん!」

  「うん!」

  ゲツくんは嬉しそうに満面の笑みを浮かべる。なんだか僕も嬉しくなってきちゃう。僕もゲツくんを洗おうかな?

  「ゲツくーん」

  「はーい!」

  って思ったけど、パパにゲツくんが呼ばれて、ゲツくんはパパの前に座る。パパはすぐにゲツくんをあわあわにして、綺麗にしちゃう。ゲツくんが僕をあわあわにするよりもずっと早くって、さすがパパだって思った。

  「みんな洗ったね~」

  『はーい!』

  「シンくん!」

  みんなが湯船に入っていくのに反応出来ず、一瞬止まってたのをゲツくんが気付いて手を引いてくれた。やっぱり、ゲツくんはお兄ちゃんみたい。

  バシャーン! と三人がお湯に入ったのに続いて、僕もゲツくんに引かれてお湯に入る。あー、ポカポカする。気持ちいい。

  「パパ、シンくんにとくせいミルク、あげない?」

  「ああ、それもそうだね~」

  特製ミルク? 哺乳瓶のミルクとは違うのかな。特製ってからには、美味しいのかな。パパはお風呂の縁に座る。

  「シンくん、パパの特製ミルクを飲ませて上げるから、パパのちんちん舐めてね~」

  「……え?」

  ちんちんを……舐める……? え? どういうこと?

  「パパの特製ミルクは、おちんちんから出るんだよ」

  「おちんちんペロペロして、パパを気持ち良くして上げてね~」

  ケイくんとゲツくんが説明してくれる。ええ……本当に、おちんちん舐めるの……? でも、みんなそれに何もおかしいような態度じゃないし、やらなきゃいけないかな……。

  「ほら、こうするんだよ」

  それでも躊躇ってた僕を見て、ゲツくんが率先してパパのおちんちんに顔を埋めて、パパの大きなおちんちんを舐める。ゲツくんがやるなら、僕もやってみよう。

  もうゲツくんがペロペロしてたからか、ゲツくんの涎の臭いが強いから、ちんちんの臭いはあんまりしない。でも、パパの鬣ほどじゃないけどパパの臭いがしてくる。

  意を決してパパのおちんちんを舐める。思ったより変な味はしなくって、舐めてて変な気持ちになってきた。ゲツくんに倣っておちんちんを舐め続けると、パパのおちんちんは硬くなって来て、なんだか鬣とは違う、男の人の濃い臭いがしてくる。

  「シンくん、こうやって、咥えてみて」

  ゲツくんがお手本に、パパのおちんちんの先を、おしっこの出るところをパクッと咥える。汚い……っていう気持ちは少し減ってる。ゲツくんが率先してやってくれるから、抵抗が無い。

  「はい、シンくんもやってみて!」

  お手本を見せたらパッと退いて、ゲツくんはまたおちんちんの根本の方に顔を埋める。僕はゲツくんがやっていたように、パパのおちんちんの先っぽを咥えた。男の人の濃い臭いがする液体が舌に当たって、なんだか頭がジンジンするような、でも、それが癖になる。

  ペロペログチュグチュおちんちんをしゃぶる。この出てるのが、パパの特製ミルクじゃないのかな? もっと、もっとすごいのが、あるの?

  「シンくん、パパの特製ミルク、飲ませて上げるよ……!」

  そう言って、パパの手が僕の後頭部に当てられる。そしたら、口の中にとびっきり濃い男の人の臭いがして、熱いものが口に広がった。熱い。パパの特製ミルクをゴクゴク飲んじゃう。なんだかねばねばしてて喉に引っ掛かるけど、美味しくて全部飲んじゃった。

  「あ……凄い……」

  「ふふっ、シンくんも、パパの特製ミルクを気に入ってくれたかな?」

  「うん……」

  なんだかお風呂に入ってるからとかじゃなくって、頭がぽやぽやしちゃう。凄い……みんな、こんなミルクも飲んでるんだ……。

  「それじゃ、みんな上がろうか」

  『うん!』

  まだぽやぽやしてる……でも、お風呂終わりだから、僕も上がって、体をゲツくんと拭き合いっこしてから、お風呂場を出た。

  ---[newpage]

  「みんな、ご飯にしようね~」

  『うん!』

  新しいおむつをしてからいつの間にか綺麗になったお洋服を着て、お風呂から上がってすぐにみんなにミルクが配られて、僕らはミルクを飲んだ。パパの特製ミルクを飲んだ後だけど、このミルクはこのミルクで甘くて美味しい。

  「さぁ、みんなで寝ようね~」

  『うん!』

  パパに着いて行って、更に別の部屋に入る。みんなで寝るんだ。一人でベッドって寂しいから、みんなで寝られる方が嬉しい。

  ベッドルームもホールみたいにカラフルで、部屋の真ん中にあるベッドはすごく大きくて、部屋のほとんどがそのベッドで埋まってるくらい大きかった。

  「今日は初日だし、シンくんがパパの横で寝る?」

  「う……」

  うんって答えようと思った。でも、隣にいて欲しいのは……。

  「ゲツくんの隣がいい」

  「……そうかい? ゲツくんはそれでいいかい?」

  「うん!」

  パパに我がまま言っちゃったけど、ゲツくんも一緒が良いって。なんだか嬉しい。

  「ふむ……分かった。じゃあ、二人は足元で寝てね」

  「「はーい」」

  言われた通り、パパが中心に寝転がり、ハンくんがすぐ右隣り、ツナくんがすぐ左隣、ケイくんが右隣の足元で、僕らが左隣の足元に横になる。パパ側が僕で、僕の隣がゲツくんだ。

  ゲツくんが、僕をギュッと抱き締めてくれる。僕もゲツくんをギュッと抱き締め返した。温かい。なんだか懐かしくって、落ち着く。

  「ん……」

  お布団の中で、ゲツくんの臭いを感じてると、うとうとしてくる。布団の中で籠るパパの臭いと、目の前のゲツくんの臭い。僕の瞼はトロンとして、ゆっくりと意識が遠のいて、眠りに就いた。

  色んな臭いが充満してる中で目が覚めて、僕とゲツくんはもぞもぞお布団から這い出る。

  「おはよう、みんな」

  『おはよう、パパ!』

  みんなでお布団から出て、ベッドの前でパパにおはようを言う。まずはみんなおしっこでいっぱいのおむつをパパに替えて貰ってから、ミルクを貰う。

  それからみんなでホールに出て、今日が始まる。今日は公園の遊具がいっぱいあって、みんなでそこで遊ぶんだって、ハンくんが言ってみんなを連れて行ってくれる。

  順番に滑り台を滑ったり、ロープのアスレチックを登ったり、ちょっと不思議なシーソーに替わりばんこに乗ったりした。なんだかお尻におちんちんみたいなものが入ったり出たりしてぐちょぐちょすると、なんだか不思議な気持ちになる。

  「んん……」

  それからお昼のおむつ替えの後も、なんだかシーソーの時から、変な気分が続いてる。どうすればいいのかな……?

  「ゲツくん……」

  「うん? シンくん、どうしたの?」

  「なんか、変なんだよ……」

  一番近いゲツくんに相談する。ゲツくんなら、何か分かるかな?

  「え? 何処が変なの?」

  「うーん、おちんちん……?」

  「おちんちん……おちんちんが、むずむずするの?」

  「むずむず……する」

  「むずむずかぁ」

  ゲツくんには何か分かったのかな? 僕にくっつくくらい近付いてくる。

  「ゲツくん……?」

  僕の前ボタンをゲツくんが外して、おむつを表に出す。まだご飯のすぐ後だから、おむつにはおしっこしてない。ゲツくんもボタンを取って、まだ白いおむつを表に出した。

  「シンくん、転がって」

  「え、こう?」

  ゲツくんに言われた通りに、僕は床に寝転がる。床が柔らかいから背中は痛くない。それからゲツくんは僕の上に、僕達のおむつを引っ付けるように圧し掛かってくる。

  「こうやって、おむつとおむつをゴシゴシするとね、おちんちんが気持ち良くなるんだ」

  「あっ……」

  スリスリされると、おちんちんのじんじんが、もっとすごくなっていく。でも、これ、嫌じゃない。ゲツくんがスリスリするのと合わせて、僕もスリスリする。

  「あっ、あっ、ゲツくん、これ、いい……」

  「んっ、シンくん、良かっ、た……」

  おちんちんが凄くじんじんしてきて、シュッシュ、シュッシュが止まらない。ああ、なんだか、おしっこ、出ちゃいそう……!

  「ゲツくん、僕、おしっこ出ちゃうよぉ……!」

  「僕も……!」

  グッとゲツくんにおむつを押し当てられて、僕のおちんちんから一瞬ビュッとおしっこのようなおしっこじゃないようなものが出て、更におしっこが続いて出ちゃう。気持ちいい。おしっこ、気持ちいい……。

  「ゲツくん、シンくん、なにしてるの~?」

  「あう……」

  「ハンくん……シンくんが、おちんちんじんじんだったから、おむつすりすりしてたんだ」

  「えー、いいなぁ」

  いつの間にか他の三人が僕らの隣にいた。ハンくん、いいなぁって……でも、確かに気持ち良かった。パパの特製ミルクを飲んだ時とはまた違う良さがある。

  「……ゲツくん、ちょっとパパと一緒に来ようか」

  更に、パパまで来ていたみたいだ。でも、ゲツくんだけ一緒に来ようって、どういうことなんだろう。言われた通りにゲツくんはパパに着いていって、寝室に入っちゃう。

  ゲツくんとパパが出て来るまで、ハンくん達に遊びを誘われたけど、僕は待つことにした。なんだか、気になって仕方ないんだ。

  しばらくして、パパだけ部屋から出てきた。

  「シンくんも、ちょっとパパと一緒に来てね」

  すぐに出て来たパパに呼び出される。なんだろう? っていうか、ゲツくんは?

  パパに連れられて寝室に入る。あ、ゲツくんもまだ、寝室にいるや。良かった。

  「シンくん、随分とゲツくんと仲良くなったんだね」

  「うん!」

  「そう。でもね……」

  なんだか、背筋に嫌なものを感じる。パパ、怒ってる……?

  「パパ……?」

  「パパはね、みんながみんなと仲良くして欲しいんだ。一人だけじゃなくて、ハンくん達と……みんなと仲良くして欲しいんだよ」

  パパは笑顔でそう言って来る。言ってることは分かるし、その方が良いって分かってるのに、なんでかそれがすごく怖い。

  「大丈夫、怖がらなくてもいいよ。怒ってるわけじゃないんだ。ほら、こっちに来て」

  少し怖いと思いながらも、パパの言う通りに恐る恐る近付く。パパがエプロンを取る。すると、その下にお洋服はなくって、お風呂の時に見た裸の姿がそこにあった。

  「……ゲツくん、シンくんをこっちへ」

  「うん!」

  「え?」

  パパの少し前にいた僕を、パパの後ろにいたゲツくんが飛び出してきて、手を引いてくる。今まで頼れると思ってたことが、急に怖い事になっちゃって、僕はその場から逃げようとしてしまう。

  「んんっ……!」

  後ろから持ち上げられて、パパの身体へと僕の顔が押し付けられる。胸元かと思っていたら、凄く凄く男の人の臭いのする、毛の濃い所に押し付けられてるみたい。

  「シンくんは臭いが好きなんだね。そんなシンくんは、パパの臭いをしっかり覚えていい子になるために、パパも少し恥ずかしいけど、脇の臭い、しっかり嗅いでね~」

  パパの鬣の臭いを浴びた時と比べて、ずっとずーっと濃い、汗と脇の男の大人の、雄の臭いでいっぱいになる。パパの大人おちんちんとも特製ミルクの臭いとも違う、圧倒的な雄に蹂躙しされて、僕の中の全てがパパに埋め尽くされる。

  「んあっ……!」

  また、あの気持ちいいおしっこが出て、それと一緒に僕の中から、何かが抜け出してく。

  ああ、一番安心出来る、お兄ちゃんみたいな存在のゲツくん。でも、違うんだ。本当に安心できるのは、パパなんだ。パパの存在は偉大で、パパの言うことを聞いて、良い子であること。それが、リトルスペースの子の幸せ。

  「はぁ、はぁ……」

  パパの脇から離れて、少し息苦しくなってたから息をたっぷり吸う。

  「パパ……」

  「シンくん。シンくんはリトルスペースの子。ハンくんと、みんなと仲良しお友達。ゲツくんはお兄ちゃんじゃない。もう、ゲツくんに責任を持たせちゃダメだよ? いいね」

  「うん!」

  「うん、それでいいんだよ。ゲツくんはもうシンくんの××じゃないんだから、ゲツくんだって、甘やかされないといけないんだから」

  みんなと仲良し。みんなとお友達。みんなと楽しくする。うん。僕はいい子だから、大丈夫。不安もない。だって、このリトルスペースにはパパがいるんだから。

  「……おや?」

  「わっ!」

  パパが入り口に向かって行って扉を開けると、ハンくんとツナくんとケイくんが部屋に雪崩れ込んで来る。あれ、もしかして、みんな部屋の前にいたのかな。

  「ハンくん、ツナくん、ケイくん、みんなどうしたのかな?」

  「ゲツくんとシンくんとなにしてたの?」

  「パパの臭い嗅いでた!」

  ハンくんの質問に答える。仲良しなんだから、秘密なんて必要ないよね?

  「えー、いいなぁ!」

  「いいないいな!」

  「僕も僕も!」

  みんなが羨ましがって、裸のパパの側に走ってくる。みんなパパが大好きだから、パパの臭いを嗅ぎたいんだね。

  「うーん……まぁ、たまにはいいか。おいで、みんな。ゲツくんもシンくんも」

  『うん!』

  パパが裸のまま両手を広げてベッドに横たわり、僕達は思い思いのパパの身体のに飛び付いて、鼻の先っぽを突っ込む。ハンくんとツナくんはそれぞれ両脇に、ケイくんはパパのおちんちんの玉の下に、僕とゲツくんは鬣にまず鼻を突っ込んだ。

  「あはは、ちょっとくすぐったいね……」

  みんながクンクンしてると、パパはくすぐったいと言ってはいるけど、動かないでいてくれる。ああ、パパの臭いだ。パパの鬣からする、パパの濃い臭い。

  「はぁ、はぁ……パパぁ……」

  「うみゅう……」

  ハンくんとツナくんはパパの脇を嗅いで、息荒くしてる。ケイくんも声すら上げずに無心にきんたまの裏を嗅いでる。僕もゲツくんも、スーッて息を吸い込み、パパの臭いを鼻から取り込む。

  「あう……」

  ああ、おしっこが、また出てる。気持ちいい……パパの臭いに包まれてするおしっこは、いつもよりも気持ちいい。パパの濃い臭いで僅かしか感じないけど、みんなもおしっこをしてるみたいだ。

  「あふぅ、みんな、かわろ」

  『うん……!』

  ハンくんの提案で、僕らは位置を交代する。今度はパパのきんたまの裏に鼻を突っ込む。鬣とも脇とも違う、雄の臭いがして、頭がクラクラしちゃう。ハンくん達は鬣に、ケイくんは脇を嗅いでるみたい。

  「みんながパパの臭いをこんなに好きだとは思ってなかったよ」

  「パパのにおいすきだよ!」

  「しゅき!」

  「大好き!」

  「大好きだよ!」

  「パパの臭い、好き!」

  みんながそれぞれパパに好きを伝える。みんなパパの事が大好きだから、パパの臭いだって好きなんだ。パパをいっぱい感じられるから、気持ち良くなれるし、幸せになれる。汚くなんかない。パパの臭いは、何処だって好きな臭いだ。

  『あっ……!』

  パパの臭いを感じて、堪能して、みんなまたおしっこが出た。もう、おむつからおしっこが漏れてないのが不思議なくらい、おしっこしてる気がするや……。

  「ふぅ……」

  「みんな、満足してくれたかな?」

  『うん……!』

  「よかった。じゃあ、おむつ替えようね~」

  『うん!』

  パパは起き上がって、僕ら一人一人のおむつを替えてくれる。いつもの黄色いおむつよりもずっとツンとするおしっこの臭いが強かった。みんないっぱい出して、違うおしっこもいっぱい出てたみたい。

  これからも、このリトルスペースで、みんなと一緒に、パパと一緒に幸せでいられるんだ。こんなに幸せなこと、きっと他にはないんだ……。