【skeb】『イケメンヒーローは感覚共有ディルドでチンポを苛められてヴィランにエロい事を要求される』

  ヒーロー。能力犯罪者、ヴィランと戦う能力者である。かつては自警団的な存在だったが、今や国家組織だ。

  今まさに、ヴィランが現れ平和を脅かし、そしてヒーローがヴィランと対峙し、その決着が付こうとしていた。

  「クッソがあああ!」

  破れかぶれになった、黒いボディスーツに身を包んだヴィランが、ヒーローに飛び掛かる。

  「これで終わりだ! 必殺、ブライトセイバー!」

  それに対して、白に青のラインの入ったヒーロースーツを着た狼獣人のヒーローが、青白い光で出来た刃を、すれ違いざまに振り抜く。

  「ぐああああ!」

  するとヴィランの身体を中心に、十字の光がヴィランの身体から放たれて強く光を放つ。光が収まる頃には、地面に倒れる。

  『わあああああ!!』

  周囲の人々から歓声の声が上がった。

  そんな映像が流れている。あまりにも出来が良くて、一部撮影と思っているような不届きな輩がいるけれど、紛れもなく交戦記録からの映像だ。

  「キャー! ブライト様ー!」

  「ブライト・ウルフー!」

  「ありがとう、諸君!」

  俺はブライト・ウルフ。ヒーローだ。全身純白の毛の狼獣人で、男のヒーローらしく鍛えた身体に、自分で言うのもなんだが、基準の高い狼獣人の中でも顔が良い。人生でモテなかった時期なんてないくらいだ。

  今、俺はヒーローと市民の交流イベントとして、グリーティングに参加している。ヒーローとしてヒーロースーツを着て、希望者の要求に応じて、握手やハグ、ツーショットを撮るような、そんなイベントだ。アイドルのイベントみたいで、参加するヒーローをタレントヒーローだのなんだの言う輩もいるが、元々は能力者への偏見を無くそうという理念がある、大事なイベントである。

  まっ、どんな意義があっても関係なく、俺にスポットが当たるイベントに、出ないわけには行かないからな。顔が良い以上、表に出る義務がある。別にヒーローは大抵マスクしてるから、顔の良さは関係ないって? ならもっと積極的に自信持ってこういうイベントに出て欲しいものだ。

  「次の方ー!」

  イベンターが列を整理して次々人々が俺の前に案内される。ヒーローに憧れる子供から、明らか名目で子供を連れて来て、自分の方がテンションの高い母親や、バズりそうって理由の強そうな学生諸君。ヒーローマニアっぽい成人男女、たまたま近くを通った爺さん婆さん。老若男女様々な人々が俺の元に訪れる。

  「次の方ー!」

  そして、時間もそろそろ終盤の頃に来たのは、アンダーリムの眼鏡を掛けた、焦げ茶の毛の狐獣人で、サラリーマンなのかくたくたのスーツを着ていた。休日昼間なのにスーツってのも、どうなんだろう。休日出勤帰りだろうか。

  「初めまして、ブライト・ウルフ! やっと会えました!」

  意外と熱量のある言葉を発しながらも、決して距離を詰めて来ない。これは、手慣れてるな? ヒーローオタクってやつか。

  「やぁ! 何をして欲しいんだい?」

  「えっと、握手してください!」

  おっと、意外と一番無難なファンサ要求だな。サインとかかと思ったけど、色紙も何も持ってないか。

  「ああ、いいぞ!」

  「ありがとうございます!」

  俺が手を差し出して許可を出すと、すぐに俺の手を両手で握ってくる。

  「いやぁ、ブライト・ウルフと言えば、こういった華やかな活動が目立ちがちですが、しっかりとした実力派で、敗北知らずのヒーローと来ている」

  「おっ、そうか?」

  しっかり俺の手を握ったまま、がっつり褒めてくる狐獣人のお兄さん、かな。実力自体は、様々なハイライト映像が流れてるのもあって知られてるだろうけど、面と向かってそっちを褒められるのは珍しい。大体は顔的な意味でのカッコイイが枕詞に付く。

  「私、様々なヒーローの活躍を見て来ましたが、ブライト・ウルフほど鮮やかに人々を救うヒーローもいません。その姿はまさに理想のヒーロー像だと思っています!」

  「ほぉ、嬉しいこと言ってくれるじゃないか!」

  まだ手を握ったままだったけど、えらく嬉しい事を言ってくれて、気分が良くなったから気にならない。

  「ふぅ、すみません捲し立ててしまって。今日はありがとうございました」

  「おう、いいんだぜ!」

  サインくらいねだったって良いってのに、謙虚にもそのまま行っちまった。時間ギリギリだったから、そこら辺も弁えてたんだろうな。

  それから数人にファンサしていたら、終了の時間が来た。

  「今日はみんなありがとうな! 時間切れで参加出来なかった人も、次もあるから来てくれよな!」

  俺の事をわざわざ見に来た市民に応えられないのは心苦しくあるが、ヒーローが時間にルーズでルールを守らないなんて、ナンセンスだからな。

  「ふぅ……」

  一通り業務が終わり、自室に戻る。既に日はどっぷりと暮れ、さすがの俺も少し

  疲れている。とはいえ、だからこそしっかりケアは欠かせない。シャワーを浴びて汗汚れを洗い流して、シャンプートリートメントを全身、特に顔周りは二度トリートメントして整えていく。それからシャワーを終えて、全身ドライヤーで毛を乾かしてから毛を整える。

  「……うん、良い男だ」

  鏡を見てから確認してから風呂場を出る。顔の良い俺だけど、パートナーはいない。俺に釣り合うような相手がいない、なんてそこまで傲慢ではない。ただ、顔バレしているヒーローなんてヴィランに恨みを買う事になるから、お相手が、ましてや家族が弱みになるなんて、とても耐えられない。

  割と良いところに住んではいるものの、正直寝に帰る場所だから、普通想像する金持ちと比べれば、かなり質素な部屋だ。

  「さてと……」

  次はSNSのチェックだ。わざわざエゴサするようなことはないけど、自分のSNSは更新しておかないとな。今日のイベントの風景を、マネージャーに貰っておいた写真と一緒に載せておいてっと。

  今日も表にも裏にも、メッセージが色々来ている。賞賛の声も、ファンの声も、嫉妬剥き出しの誹謗中傷も、妄想全開のヤバめの奴も、一応全部目を通しておく。

  「ん?」

  『ブライト・ウルフ様。見本の自撮りをお送りください。今晩中に要求に応えて頂けなければ、罰を与えることになります。それでは』

  なんだ、イタズラか。こういう性的なのもまた、しょっちゅう届く。僻みから来る面倒くさい誹謗中傷よりはマシだから、別に削除するだけでいい。なんなら見えない場所で匿名の相手なら、一切角も立たないから楽なくらいだ。

  「んー……よし、こんなところか」

  SNSの更新も終わって、後は寝るだけだ。どうせ寝ればこういう事なんて忘れられる。

  物は大してないけど、寝具は最高のものだ。布団に入り、目を閉じれば、意識が溶けるように眠りに就く。

  ---[newpage]

  翌日。気にも留めて無かったメールの事などすっかり忘れ、ヒーローとしてヒーロー協会へと出向き、ヒーロースーツに身を包み、俺はブライト・ウルフとなる。

  「今日はパトロール以外の予定はあったかな?」

  僕のマネージャーに予定を確認する。一応自分で把握しているものの、メディアへのインタビューや撮影なんかの予定が急に入っていることもある。

  「今日は……」

  『ヒーローに告ぐ。ヴィラン出現。至急出動しろ』

  「午前の予定ならキャンセルだ。午後なら間に合わせよう」

  「では、午後に予定を移しますね」

  「ああ、頼んだよ!」

  すぐに出撃して、現場に向かう。光の力で加速していき、あっという間に現場に着いた。

  「!!」

  まさにヴィランが一般人に刃と化した腕を振り下ろそうとした瞬間、ギリギリ間に合い光の刃で受け止めて弾いた。

  「もう大丈夫だよ」

  「ブライト・ウルフ!」

  「チッ……!」

  「逃がさないぞ!」

  猫獣人のヴィランは大きく飛び退き、あっさり逃げ出そうと背を向ける。俺もすぐに追いかけてブレードを振り上げ……。

  「んっ……?!」

  光速移動しようとした瞬間に、突然股間に有り得ない感覚に襲われ、思わず噛み殺さなければならない声が喉から上がって来て、手も足も止まってしまった。

  何だ? ヴィランの攻撃か? けど、どう見ても金属を操るような力のはずなのに、ヒーロースーツの下に干渉する手段なんてないはずだ。セクシーな股間とは無縁なプロテクターをしているから、直接干渉されているわけではないはずだから、他に何か……。

  いや、分析している場合じゃない。急に来たから驚いただけだ。とにかくさっさと止めて……。

  「ひっ……!」

  また、急な刺激に声が出そうになるのを、必死に止める。平常心を保ちたいのに、不規則な刺激に集中力が乱されて、ヴィランの背を追う状態になってしまった。

  「くっ……なら……!」

  動けなくとも、光の力として最も分かりやすい、レーザーがある。集中力を有するし、ぶれると危険ではあるが、やらないわけにはいかない。

  「ブライトレーザー!」

  幸い刺激が収まり狙いをしっかり定められたから、ヴィランの足に当てられた。走るヴィランはその場で転び、なんとか追い付きブライトセイバーで追撃する。

  「ふぅ……こほんっ、皆、もう大丈夫!」

  能力が切れて元の手に戻った手に、ちゃんと手錠を掛けて能力を封じておいてから、周囲の市民と撮影ドローンにアピールしておく。クソッ、何処かにヴィランがいるのか?

  「お疲れ様です!」

  「……」

  「ブライト・ウルフ?」

  「っ! ああ、ご苦労様! それじゃ引き継ぎよろしくね!」

  いけないいけない。変な現象のせいで過敏になってしまっていた。俺はブライト・ウルフ。何があっても輝く爽やかな笑顔と余裕は崩してはいけない。

  警官にヴィランを引き渡してから、すぐに状況を確認するためにヒーロー協会に戻ることにした。いつもならファンサービス的に少し残るんだけど、あんな状態にいつなるか分からないのに人前に、ましてや市民の前に出るわけにはいかない。

  「お? ブライト、もう戻って来たのか?」

  「なんだ、珍しいこともあるんだな。ヴィランは瞬殺してたくせによ」

  「ああ、ちょっとね」

  ヒーロー協会に戻ると、同僚のヒーロー達に、揶揄されるようにそう言われる。古い時代のストイックさが正義だと思っているのは結構だけど、ヒーロー業の方だって俺の方が戦績は良い以上、ただの僻みにしか見えない。

  「午後から撮影もあるしいぃっ……!」

  まただ……ぬめる何かが玉の裏を這うような感覚が急に襲ってきて、変な声が出そうになるのをどうにか抑えることしか出来なかった。

  「ん? どうした?」

  「い、いや、なんでもないんだ……」

  「?」

  同僚達が不審そうな目で見て来るのを、強引に振り切って休憩室に向かう。その間も今度は陰茎に這うような感覚が移動していて、悶えそうなのをどうにか我慢して来たところだ。

  「ヒーロースーツ、解除……」

  ヒーロースーツのトラブルということはほぼほぼ有り得ないにしても、万が一の事もあるかと思ったが、変な感覚が残り続けている。

  「なんなんだもう……」

  私服に戻り少しして、刺激は収まった。周囲に誰もいないし、ましてヒーロー協会にヴィランが入り込んでいるとは思えない。

  「ん?」

  携帯端末を見ると、メールが来ているポップアップが上がっていた。見覚えが無い……いや、これ、なんか見覚えがあるような……。

  『ブライト・ウルフ様。約束をお守り頂けなかったようなので、軽く罰を与えさせて頂きました。本日中に指令を達成出来なかった場合、翌日も、より長時間の責めを行わせて頂きます』

  そんな文面と共に、画像が二枚添付されている。そうだ、昨日のイタズラメール……だと思っていたもののアドレスと同じだった。この状況ではイタズラだったわけではなく、ヴィランからの脅迫だったわけだ。

  「うん……?」

  一枚目の画像には、ディルドが映っていた。ただのディルドとも言えるが、妙にリアルな性器の形だけど、そのディルドの妙は、白をベースに青のラインが入った、俺のヒーロースーツのデザインそのものだ。

  『こちら貴方のチンポとリンクしているディルドになります。貴方の勃起したチンポと全く同じ形をしているはずですよ』

  そして、あまりにもふざけた内容が添えられていた。この状況でなければ鼻で笑うようなものだけど、これがヴィランの能力で作られたものだと考えれば、事実なんだろう。一体いつ能力を使われたんだ。

  二枚目の画像は、分かりやすい自撮りの画像だった。顔は加工して目元を線で隠しているけど、俺と同じ狼獣人の男性で、上半身には何も着ておらず、下半身はビキニをずらして男性器を露出させている。

  「なんて下品な……」

  こんな事をさせるヴィランか……とはいえ誰かに知られるわけにはいかないよな。このアドレスを調べさせることくらいはして貰うにしても、あんな状態が続いては明らかにヒーロー業に支障が出る。こうなると完全にどうしようもないのも、却って厄介だ。

  ピロン

  『ああ、そうそう。このやり取りは秘密にしておいた方が良いですよ。今回のはほんの挨拶です。もし……』

  「いぎぃっ……!」

  文面全てを読み終える前に、先程とは比べ物にならない性的刺激が急に襲い掛かって来て、思わず股間を抑えてしゃがみ込んでしまった。確実に勃起してしまっているし、こんなのが常にあってはまともに動けない。

  『……お願いが果たされない、もしくはこちらを詮索するようでしたら、最低限これだけの刺激が待っていますよ』

  思わず落とした端末に、そこまで表示されている。刺激は収まったものの、まだ少し快楽が残っているように感じてしまう。

  「くっ……」

  監視されている……わけではないだろう。今ここには誰もいないし、ヒーロー協会の休憩室を監視出来る立場のヴィランがいて貰っても困る。最悪な状況で使われるか分からない……と言いたいところだけど、戦闘は中継されるから、十分最悪な状況を狙われる要素はある。不意な性的刺激でヴィランにやられるなんて、考えたくもない。

  「けど……」

  そのために、あんな品の無い自撮りをヴィランに送る……いや、顔を隠していてもいいんだ。顔は勿論、身体もヒーローとして鍛えているから自信はある。男性器も、まぁ平均かそれ以上だという自負はある。ヴィランが何にそれを使うつもりなのかは分からない。凄まじい風評被害の可能性は否めない。

  「……」

  いや、俺はヒーローだ。ブライト・ウルフだ。風評がなんだ。散々不当な批判は受けている。それでなんとかなるなら、やるしかない。午後の仕事までに不安は払拭しておきたいから、今撮ってしまおう。

  休憩室にはシャワー室がある。個室ではないものの、午前中に他のヒーローがいることは殆どないはずだ。ひとまず先客はいない。これなら大丈夫か?

  シャワー室の手前にある脱衣所で服を脱いで、パンツ一枚になる。中にも外にも誰もいないのを再三確認してから、服の中から携帯端末を取り出して、カメラを自撮りに切り替える。自撮り自体は慣れてるから指定されたポーズを撮るのに問題はない。

  パンツを摺り下ろして、自分の性器を表に出す。その状態で角度を調整して、顔を入れつつも身体を中心に映した。

  「……うぅ……」

  よりにもよってこの俺が、こんな品のない自撮りを撮ることになるなんて……ああもう、こんなものが端末に一瞬でも存在しているという事実が嫌になる。さっさと返信して送り付けて、画像は消してしまおう。

  何事も無かったように、俺はパンツも脱いでシャワー室へと入る。嫌な気分も一緒に流せるといいんだが、結局気が気でなくて、すぐにシャワーを終えて更衣室に戻り、着替えて端末を確認する。

  『ブライト・ウルフ様。画像を確認させて頂きました。本日はこれで結構です。それでは良き日々を』

  何が良き日々だ。丁寧な対応をしているように見えるが、厄介なヴィランだ。

  詮索するなと言われているが、アドレスくらいは調べて貰うか。能力の説明が正しければ、監視はされていないだろう。どういう名目で調べて貰うかだが……とにかく午後になる前に直接技術部に行こう。

  ひとまず技術部に重要な証拠になるかもと、嘘を吐いてアドレスの解析を頼んでおいた。同僚には良い目をされない俺だけど、職員にはファンが多いから、秘密裏に頼める相手はいる。

  午後になって予定をずらして貰っていた、雑誌の撮影へと向かった。ヒーローとして、ではあるものの……。

  「目線くださーい!」

  ヒーロースーツでの撮影が終わった後、裏表紙の撮影として素顔で、しかも私服での撮影が行われる事となった。とはいえ、これはもう恒例になっているから、文句を言う事もない。ただ、撮影となると、どうしても自撮りの事がチラついてしまう。いやいや、そんなこと、表に出すわけにはいかない。

  「オーケーでーす!」

  無事撮影が終わり、一息入れられる。緊急出動も無かったし、意外と言うべきか、また性刺激が来ることは無かった。あれで要求が終わるとは思えないが……。

  物憂げで良いなんて言われていたけど、集中出来ていなかったのは反省しなくては。ともかく、技術班の成果が出る事を祈ろう。

  ---[newpage]

  翌日。結局メールアドレスからは何も辿れないようだ。普通のアドレスを装っているが、ヴィランネットワークというものを介しているせいで、辿ったところで送信者に辿り着くことはないとの事だ。

  だとしたら、もっと深く接触して来た時を狙うしかないか。或いは、能力の方で探して貰うか……いや、ヴィランがあんな能力を申請しているはずがないか。

  調査が出来るわけでもなく、それでも気が気でなくて、パトロールに出ることにした。ヒーローとして他のヴィランにも目を光らせなくてはならない。

  「あ、ブライト・ウルフだ!」

  「ブライト!」

  ヒーロースーツを着て道を歩けば、多くの人々が声を掛けて来る。普段からパトロールをするときに声を掛けているというのもあるだろうか。

  「やぁみんな! 怪しい人がいたら、すぐにヒーローにっ……!」

  まただ……! 今回は、そんなに強い刺激ではなかったから、言葉に詰まる程度で済んだ。クッ、ちっとも約束を守る気なんかないじゃないか。

  「ブライト?」

  「あ、ああ、大丈夫さ!」

  言葉強くして誤魔化す。今は刺激がないから何とかなったけど、市民の前で無様は晒せない。

  俺は急いで人目のない場所へと駆け込み、変身を解く。俺は要求を飲んだというのにまだちょっかいを掛けて来る以上、何か別の要求をして来ていると考えて、すぐ携帯端末を取り出す。

  『ブライト・ウルフ様。貴方の送って下さった自撮りは大変好評を博しております。つきましては、こちらのアドレスからとあるサイトに、ブライト・ウルフとしてご登録頂きたいと思います』

  メールには、そんな内容とアドレスが添えられていた。当然見覚えの無いサイトの、長いアドレス。主要なポルノサイトではないのだろう。これも、ヴィランネットワークというものなのか。

  「ひぎっ……!」

  一度持ち帰ろうと思ったら、チンポに一瞬強い刺激が走る。

  ピロンッ

  『すぐに登録しない場合、断続的に性刺激を与えます』

  なんて奴だ……ヴィランである以上、要求がエスカレートすることくらい考えるべきだったけど、ここまでとは……けど、このままじゃ表に出るのも適わない。見えている地雷を踏み抜くのは嫌過ぎるけど、やるしかない。

  アドレスをクリックして、真っ黒な背景のサイトに飛ばされる。登録というが、名前だけだった。既にこちらの個人情報は盗られていると見ていいから、今更ではあるんだろう。

  『ブライト・ウルフ』の名前で登録する。通常であれば、ただのなりすましとしてスルーされるようなものだ。そうはならない可能性が高いのが、嫌でならない。

  ピロンッ

  『登録を確認しました。今晩、追って指示を出させて頂きます。確実に指示を果たして頂ける事を祈っております』

  そのメッセージと共に、すぐに性刺激は収まった。このヴィランネットワークのアドレスを調べても無駄かも知れないが、少しは手掛かりを得られたと見ていい、のか……?

  と思い、そのサイトが何のサイトなのか、内容を確認する。端的に言えば、ポルノサイトだった。登録者の中でも特別な会員だけが投稿されたものを閲覧出来て、投稿者には他の投稿者の情報を見る事は出来ないというものだ。

  解析して貰いたかったけど、ポルノサイトだと分かると流石に抵抗がある。ヴィランに脅されてと言えば済む事ではあるけど、俺のイメージを壊すような事は出来ない。

  仕方なしに、もう一度ヒーロースーツを着てから、パトロールに戻る。幸い今日はヴィランも現れずに一日が終わり、何事もなく部屋に戻れた。

  ピンポーン

  部屋に戻り、いつ指示が来るのかそわそわしながらもSNSを確認していると、チャイムが鳴る。カメラを確認したが、そこには誰もおらず、代わりに小さな段ボール箱が置かれていた。

  爆発物の可能性もあるから、普段なら絶対に取らない。だけど、今は事情が少し違う。メールでの連絡がない事を考えると、あの荷物はもしかする可能性がある。

  万一の事を考えてから、慎重に段ボール箱を拾い、その表に書かれている内容を確認する。

  『ブライト・ウルフ様へ。次の指示を内封しております』

  やはり、変態ヴィランのものか。

  中を確認すると、まず一枚の印刷された紙が入っていた。

  『ブライト・ウルフ様。貴方にはアナル開発動画を撮って投稿して貰いたいと思います。こちらでローションと、目標のディルドをご用意させて頂きましたので、是非ご活用ください』

  書かれている通り、紙の下には透明な液体の入った、シンプルなボトルと、円錐状で直径が途中途中に書かれているディルドが入っていた。

  「何が活用だ……」

  本当にこんなことをしなくてはいけないのか……? 性刺激が不意に襲い掛かって来るとはいえ、言ってしまえばそれだけだ。我慢して配達人を特定して情報を聞き出せば、なんとかなるのではないか。

  そうだ。俺はヒーロー、ブライト・ウルフだ。たかだかチンポへの刺激ごときで、ヴィランに屈するわけにはいかないんだ。

  俺は要求を突っぱねて、その日は床に就いた。

  ---[newpage]

  「ん……ひんっ!」

  寝覚めは最悪だった。性器を弄られ、先っぽを摘ままれるような感覚で目を覚ましたのだ。当然こう来るとは分かっていたけど、耐えると決めた以上、耐えてやる。

  どうにかなる要因からではないから、気合でどうにかするしかない。幸いヒーロースーツは勃起していたとしても表からは分からないから、最悪それでもなんとかなるはずだ。

  「やぁみんな、おはよう!」

  他のヒーローや職員に悟られないよう、いつも通り、いや、いつも以上に爽やかに挨拶をする。断続的に与えられる性刺激に少し慣れて来たのもあって、少し余裕が出て来た。

  『ヒーローに告ぐ。ヴィラン出現。至急出動しろ』

  早速ヴィランが現れてしまった。いつもいの一番に出動しているし、送られてきているデータ的に俺の管轄内だ。出ないと違和感を与えてしまうし、かと言って戦闘になるかどうか……。

  「さぁ、ブライト・ウルフ、出撃だ!」

  不安になっても仕方ない。気合を入れて出現地点に光の速さで向かう。感度の上昇ではないため行動による影響がないのは不幸中の幸いか。

  「そこまでだ!」

  何処かの組織のヴィランだろう、揃いの黒いヴィランスーツを着ている集団だ。見た事はないから、新参だろう。武器は銃器らしきものを持っているけど、周囲の状況から、捕縛用の粘着弾を発射しているようだ。

  「光のヒーロー、ブライト・ウルフ、ここに見参!」

  「ゲッ、ブライト・ウルフ!」

  「どうすんだよあんなの!」

  「んなもん、やっちまうに決まってんだろ!」

  ヴィラン達が一斉にトリモチ銃をこちらに向けて撃って来る。それを光の速さで弾を回避しつつ、ヴィラン達へと迫り、レーザーブレードを展開する。

  「ブライトセイバー!」

  「ぐああああ!」

  まずは一人。残りもこのまま……。

  「んひぃっ!」

  今まで感じていたのが些末なものに思えるような、チンポ全体を細かい何かが凄まじい速度で擦り付けられているような、そんな刺激だ。

  「あ?」

  「チャンスじゃん!」

  ヴィラン達がしゃがんでしまった俺に向けてトリモチを放ち、俺の身体を捕縛してくる。俯せの状態で道路に張り付けられる形となってしまった。こんな無様を晒しているのも問題だが、今はあまりの刺激に頭が真っ白になってしまっている。

  「ハッハッハッ! あのブライト・ウルフがこのザマかよ!」

  「いっそこいつも持ち帰ろうぜ!」

  落ち着け……いや、声を抑えるだけの事が既にかなり限界が近い。スーツの下でチンポは勃起して、いつ射精してもおかしくないような状態だ。我慢せずに出すにしても、顔に出ないようにするのはどうすれば……。

  ハッ、収まった……!

  「あまり、調子に乗らないことだ!」

  すぐにレーザーブレードを自在に動かし、トリモチを切り立ち上がり、まだ粘つく状態だけど、ビームを放ちヴィラン達を薙ぎ払う。

  「ぎゃああ!」

  「嘘だろお!」

  ビームの当たったヴィランの光が爆ぜて、十字の光が立ち上る。危ない危ない……ヴィランの気まぐれでなんとか生かされたようなものだ。

  「ブライト、大丈夫ですか!?」

  「ああ、大丈ひっ……!」

  思わず声が出る程強い刺激が来て、マネージャーにちゃんと言い切れなかった。まずい、市民の前で、こんな声出してる場合では……。

  「ブライト……?」

  「……あ、ああ……少し、調子が悪いみたいだから、戻らせて貰うね……」

  「では、一緒に戻り……」

  「あ、いや、大丈夫だよ。後処理隊の手伝いをして上げて欲しい」

  「え、はい、お気をつけて……」

  マネージャーに不審な顔をされているが、それを気にする余裕がない。このまま性刺激を与えられ続けては間違いなく射精してしまう。なんとか、これを止めて貰わなくては……。

  「……」

  ヒーロー協会には戻らず、ヒーロースーツを解除してから、自分の部屋に戻る。

  「クソッ……」

  部屋の鍵を掛けて、服を脱いで、心の底から嫌だけど、生配信に使うカメラを起動する。画面を見て、ベッドの上が映るように調整して、忌々しいディルドとローションを用意してから撮影を開始する。

  「んっ……」

  まだ刺激は続いているせいで、既に性器は勃起したままだ。ローションを垂らして、指で尻穴を拡げる。こんな痴態を撮っているというのに、萎えるどころか刺激のせいで勃起したままだ。

  「ひんっ……!」

  指で尻を拡げる感覚とは全く異なる刺激に、抑えたくても声が出る。これじゃあ、尻を弄る行為に興奮していると見られてもおかしくはない。

  念入りに解してから、ディルドを手に取り尻穴に当てる。なんでこんなもの入れなくちゃいけないんだ……恥を忍んで調べて貰うべきだったのかも知れないけど、もう限界だ。

  「んっ……!」

  ディルドを入れてすぐに、刺激の強さに限界を迎えて射精してしまった。これではディルドを先っぽだけ入れて射精したようなものだ。

  ……いっそこれでいいんじゃないか。これを書き出して、さっさと投げてしまおう。

  「ひんっ……!」

  けど、出したというのにまだ性刺激は収まらない。向こうからすれば、撮影したことも何も知らないのだ。いっそ一縷の望みを託して、あのアドレスに返信してみるしかないか。

  ピロンッ

  「……」

  『分かりました。一度裏切られた身ではありますが、もう一度だけ信じましょう』

  案外すぐに返信が来た。それと同時に、性刺激も終わる。これで満足するとは思えないが、今はもう、何も考えられないし、考えたくない。

  ---[newpage]

  動画が書きあがって、なんとか投稿した頃には、俺はまだ勤務時間中だというのに眠ってしまっていた。協会の方には『体調が悪いので早退させてもらいました』と送っておいた。

  それから数日間、アナル開発の動画を投稿させられた後の事。

  『ブライト・ウルフ様。先日は大変素晴らしい動画をどうも。さて、今回は登録して頂いたサイトで、生配信を行って頂きたいと思います。とっておきの荷物を送らせて頂いたので、そちらを使ってアナニー配信をしてください』

  そんなあまりにもふざけた内容と、そして中身の入っている荷物。その中には……。

  「これは……!」

  小さな荷物の中には、しっかりと梱包されたディルドが入っていた。ただのディルドであれば、そこまで驚きはしなかった。けど、そのディルドが、一度だけ見た事のある、白に青のラインの入った、俺の、ブライト・ウルフのヒーロースーツと同じデザインの、俺のチンポと全く同じ形のモノだった。

  「んっ……」

  恐る恐るディルドを取り出すと、本当に自分のチンポに触れた感触がある。こんなものを使われていたというのか……? いや、そもそもこれがここにあるなら、別にもう……。

  「ひんっ!」

  一瞬だけ、強烈な快感が走る。今触っていなかったから、これ一つだけということはないようだ。

  仕方なしに、例のサイトにアクセスして、生配信の準備をする。有名サイトのUIを丸パクリしているから、使い方には問題なく、カメラを認識させてライブを開始した。

  「んっ……」

  いつも撮影で使ってしまっていた、高級ベッドの上で、アナルを解す。こんなものに慣れたくはなかったけど、すっかり簡単に解せるようになってしまった。

  俺の今そこにあるチンポと全く同じ大きさとなると、果たして入るのか……。

  「あっ……」

  ディルドの先っぽがアナルに触れると、俺のチンポにも同じように生温い感触がある。俺自身で、俺の開発したアナルを体感することになるのか……。

  「んはぁ……」

  ゆっくりとディルドを挿れていくと、挿入の快感とチンポへの刺激が同時に襲い掛かり、一瞬腰が退けてしまう。けど、完全に挿れて、動かしたら、どうなってしまうんだろうか。

  「んっ……あひっ……!」

  ディルドを挿入していき、完全に入る頃には、触ってもいないチンポにもアナルにも、奇妙ながらも確かな快楽が齎される。

  「あっ、ああっ……!」

  自らの手で自らを犯すのを止められなくなる。ディルドを通して感じる、自分の中がこんなにも気持ちいいなんて……。

  「んああっ!」

  頭が真っ白になっていく。快感から何かが込み上げて来て、触ってもいないチンポが膨れるのを感じる。止める理性なんてなく、俺はそのまま精液を吐き出していた。

  「……はぁ、はぁ……」

  こんな痴態が、普通にはアクセス出来ないサイトとはいえ、ヴィランに晒しているなんて……ああ、けど、思ったよりも罵声より、純粋にエロいだのなんだのが多いな……。

  ピロンッ

  『ブライト・ウルフ様。大変素晴らしい生配信でした。お客様方も満足して頂いております。これからも続けて下さるようでしたら、それを差し上げましょう』

  「それ……?!」

  何の事かと思ったら、手元にあったディルドが粒子になって消滅したのだ。ヴィランの能力で作られたものである以上、その意志で消せてもおかしくはない。無い、が……。

  ピロンッ

  『もし続ける意志がおありでしたら、本登録の方をお願いします。それを続行の意志と見做して、後日新しいものをお送りします』

  「……」

  もう、ヴィランが要求して来ていない。後は、俺次第という事になる。

  俺は……。

  カタカタカタカタ

  ピロンッ

  『ご登録ありがとうございました。これからも、素晴らしい生配信を、ご期待しております』

  ---