閑話六話『仮面の下に望む』

  共に、小さくない怪我をして、カガチは観念せざるを得なかった。ほんの数分の出来事。しかし、二人ともいつも通りを装えるほど傷は軽くなかった。

  幹に腰を下ろして、顔を出す星達の光に嘲笑されながら、カガチとシナノは今日初めて、本当の意味で言葉を交わした。

  

  騒がしく盛り上がる祭りの音。子が騒ぐ声が、大人が酔っ払う声が、火の炊ける音が聞こえる。

  風が木々を揺らす音も聞こえないような雑音の中、カガチとシナノは向き合って話をする。

  カガチの話を、シナノは静かに聞いていた。

  カガチの目的、女の目的、ヤシロ家全員の意見、その諸々を、包み隠さずにーー。

  話しているうちに気づいた。本当に、何も知らされていないのだと。あの女の裏を何一つとして感知していないのだと。

  カガチのやってきたことは、只々あの女の欲を満たすための一端に過ぎなかったのだと。

  シナノのためになることなど、何一つなかったのだとーー。

  そうして、ことここに至るまでカガチは結局あの女にとって都合のいい男であった。それに気づいたことを後悔した。

  あくまで自分はシナノの意思に従ってシノビとしての仕事をしているんだと、そう思えるだけでカガチはなんでもやってのけられたというのに。

  その想いすら、幻想であった。

  カガチの、ホオズキには無いはずのカガチの灯火。その炎で照らすべき道すら誤っていたのだと。

  そして今、カガチはシナノと敵対するに至った。

  怠惰な狸の、生きた先がここだった。

  何も知らないシナノへと詳細な話をするに従って、カガチの心にヒビが入っていく。途端に自分のしてきた何もかもが色褪せて消えていく感覚があった。

  敵対しているこの状況すら、あの女の掌だというのに。

  カガチの意思の介在はもはやーー、一つしかなかった。

  包み隠すことなく全てを話しは終わりを迎える。

  否、ここに至って一つだけは隠したままだった。

  「成程……妻が……」

  「あ、あぁ。そうだ。アイツが……アイツらがお前を殺して、穢れを断とうとしてる…そのために俺はーー」

  互いに己の服の汚れが少ない部分を引きちぎり、患部に当てがい応急処置をして、倒れていた巨木の切り株へと腰を下ろして話をしていた。

  

  カガチの方は左腕がほぼ動かない。かなり深く裂かれたらしく、指先は感覚がほぼない。これは治癒魔法を受けたとしても後遺症が残りそうだなと、思う。

  一方シナノは、そこそこに腹を抉られていた。幸い内臓には届いておらず、多少脂肪が吹き飛んだぐらいだろうか、どちらにせよこちらも軽い怪我では無い。

  シナノはこの怪我を見た時、『少しは痩せれるだろうか』などと嘯いていたが、冗談を言う余裕があるのではなく、空元気を示しているだけに過ぎないだろう。

  苦悶の表情、ひたいを流れる汗、痛々しい笑み。全てがカガチの選択の誤りを示していた。

  

  ーー橙色に染まる風が、二人の耳を撫でてすり抜けていく。

  軒並み話し終えたカガチとシナノの間に、沈黙が訪れる。互いに思うところがあって、頭の中をいろんな考えが巡っている。空を仰ぐシナノと、地面を眺めるカガチ。

  足元の枝を踏み折り、先に口を開いたのはカガチだった。

  「シナノ、俺は今でもお前を殺すべきじゃねえって俺思ってる。これは『化』の家の長と、そうじゃ無い俺両方からの考えだ。」

  「カガチ…」

  赤い瞳で血の滲む左手を眺めながら、カガチは続ける。

  「はっきり言って、あの女の暴走っぷりは異常だ。そしてそれは、お前がいなくなることでより酷いことになる…かも、しれない。制御する存在が必要だし、それにーー」

  「……モガミが成長するまで、仮の当主として…も、置いておくのは、不安か?」

  カガチの言葉の先を読み、シナノが言葉を繋ぐ。

  

  それに対してカガチは無言で答え、それをシナノは肯定と汲み取る。そして、空を仰ぎ

  「妻はな、あれでとても優秀なんだ。私の手の届かないところを、幾つも埋めてくれている。祭りの準備もそうだし、不器用な私がこなすべき神事、その補助も。何より子育てもそうだ。私な不甲斐なさで、私はずっと彼女に迷惑をかけている。」

  「……それが、裏切る理由になるかよ」

  「違うよ、そんな妻だからこそ、私はこの血を絶やすべきだと思うんだ。」

  シナノは、そう寂しそうに笑う。

  自分の無能を補完する存在、そんな妻が下した決断をシナノは疑っていない。シナノは額の汗を拭い、続ける。

  「私の父の系譜、そんなもの調べればすぐに分かる。もし仮に本当に翡翠からの流れものなのだとしたら…私はこの血を流して、後世への穢れを断つべきなのだろう。」

  「……でも、もし違ったら」

  「それはこそ、だ。私のような無能な主人が消えて、モガミが完成するまで、妻が当主として私以上に励んでくれるだろうさ。」

  シナノの決意は固い。それは目を見るまでもなく、言葉端からわかる。否、もっと根本から、シナノの心は根強い。

  「分かってたよ…お前がそう言うことぐらい…」

  下唇を噛んで、苛立ちをおさめる。

  こうなるから、交渉などしたくなかった。事情を話したくなど無かったのだ。筋を通す、家の穢れ、そんなことのために、シナノは自分の命を粗末にしようと言うのだ。

  だが、『そんなこと』と言ってしまえるのはあくまでカガチの視点での話で、シナノにとって何より重んじるべきものなのだ。不器用、無能、無意味。お飾りの立場、そんな言葉を陰で囁かれていたことをシナノが知らないはずがない。

  それでもこうやって、自分の不出来を承知の上で当主という立場にいたのは、シナノのに、その立場を請け負う覚悟と責任、そして誇りがあったからだ。

  自分の一生を費やして、その人生をヤシロ様へと捧ぐ。その使命のためだけに、シナノは自分という存在を丸ごとその立場へ預けているのだ。

  

  だからこそ、馬鹿だ、阿呆だと、騒ぎ立てられない。

  だけど、カガチはそれを馬鹿だと、阿呆だとそう思うから。

  「俺は…反対だ……。お前が死んでどうなる、お前が死んだら、この家はどうなる」

  「……?それこそ、さっき言っただろう。妻が綺麗にこの家を納めてくれるさ」

  「その女を信じられる根拠がお前だ、シナノ。それこそ外部の女だ、どっかから嫁いできた外部の誰かだ。お前なしで信用できるほどーー」

  「言っただろう?私の功績のほとんどは妻の力ありきだ。それは他の家の長達は知っている……むしろ、お飾りの当主の私など、邪魔で仕方ないのだろう?」

  「……っ、そんなこと!俺は、俺はお前がーー」

  「…公私を弁えろ、カガチ。私が死なねば、その凶刀は今度はモガミに向く。消えていなくなるのは、私だけでいい。」

  「モガミ……」

  「そしてその下手人は、スギナ殿になるだろう……違うか?」

  「…………っ」

  シナノはあくまで淡々と、カガチの我儘に答える。

  こうしたい、こうして欲しいと喚く。我儘なのはきっと、カガチの方なのだろう。生きて欲しい、死んでほしく無い、ただそれだけなのに、カガチはこれ以上何を言えばいいのか。

  なんだ、何を言えばいい。

  家のため、家のため、家のため、家のため、家のため、家のため、家のため、家のため、家のため、家のため、家のため、家のため、家のため、家のため、家のため、家のため、家のため、家のため、家のため、家のため、家のため、家のため、家のため、家のため、家のため、家のため、家のため、家のため、ーーー

  それがシナノにとって生きる全てであって、生きる理由なのだろう。

  そんな、シナノに。カガチはなんと声をかければいい。

  ーーいや覚悟はもうしてきたろ。

  言葉で動かせるなんてサラサラ思っていない。

  だから、カガチはここにいるのだから。

  カガチは立ち上がり、揺れる左腕に痛みを感じて舌打ちをして、シナノの刀を引き抜きに立ち上がる。

  立ち上がったカガチをシナノは見上げて、首を傾げる。

  「俺は、お前を殺さない。殺したく無い、殺すべきじゃねえって、そう思ってる。」

  地面に突き刺さる刀を引き抜くと、カガチの血が固まって赤く染まっていた。それをシナノ目掛けて投げつけると、刀はシナノの座る幹に浅く突き刺さる。

  そしてカガチは懐から何本目かのクナイを引き抜き、シナノへその先端を突きつける。

  「風は風の流れるままに、水は水の行くままに、なら……剣士は剣士の在るように。」

  「……」

  「俺はシノビだからな…あいにく切り結べる刀は持っちゃいねえ。けど、シノビらしく、クナイだったら握れる。」

  小刀はどこかへ吹っ飛んだ。

  なら、カガチに今握れるのはこの小さな小さな投擲用のクナイだけだ。小指と薬指のかけた手で、残りの三本指で力なくクナイを握りしめる。

  

  「その刀を取れよ、シナノ。俺はお前を連れて帰る。」

  「…私が生きていては、この家はーー」

  「家は、そうかもな。お前が生きてちゃ血族が穢れるってんなら、そうなんだろうさ。それをお前が償う必要がどこにあんのかしらねぇけど、他の家の奴らも、お前の考えもひっくるめりゃそれが正しいんだろうよ。けどよ、」

  カガチは姿勢を下ろし、シナノの顔を覗き込む。

  

  「俺はお前に聞いてんだぜ、シナノ。家とかどうとかじゃねえ。俺はお前を、俺とチャンバラして遊んでた『シナノ』を殺したくないって言ってんだ。」

  あの頃から変わらず、カガチが姿勢を低くしてシナノの顔を覗き込む。真剣な話をする時は、いつもこうだった。幼さが残る顔立ちのシナノ。しばらく二人の目がまじまじと混ざり合う。しかし、シナノは小さく首を振り、彼方を見つめて

  「…だが…それも同じく、私であることに間違いはない。立場、責任、それら全てを、背負った上で今の私がいる。カガチ、私はお前のように、面を取っ替え引っ替えしたりしない。全部全霊で、私という個だ。」

  

  腹を抱えながら、途切れ途切れに話すシナノの顔は決意に満ち満ちていた。当主としてのけじめを、責任を全うすると。灰色の目に赤い決意が灯るように見えるのは、夕焼けの色が反射したから、だけではないだろう。

  この男の、心根が燃えているのだ。

  できるけどやらないカガチと、できないけどやるシナノ。

  そこの線引きが、現れている。

  

  

  「平行線だな」

  「平行線、だとも。」

  背中を向けて、幹に座るシナノから遠ざかるように歩いていく。

  話し合いの結果に、満足なんて求めてなかった。

  初めからこうなることは、全部わかっていた。あわよくば無血でトントン拍子に行って欲しかったが、それができたら初めからそうしている。

  故にカガチは、シナノに背中を向けたまま、懐に手を忍ばせる。

  「俺はお前を殺さないために、お前の前に立ちはだかる。手足の数本切り落としてでも、お前を殺さない。」

  昔からそうだ。不器用で不出来なくせに、頑固で意地が悪い。それは、自分もそうだが。

  「カガチ、私を連れ帰ると言う、のなら、それは私への反逆だ。」

  背中越しに歩くカガチへと、不意に声がかけられる。

  

  「『化』の家、の長が、役目を放棄して、それでも私の前に立ちはだかる、と言うのなら、それは反逆の罪に問われる。」

  腹を抱えながら、シナノが刀を握って幹から姿勢を上げる。やはり動くと痛むのか、表情は痛みを堪える渋い顔だ。

  「『化』の字、私は今、見ての通り手負いで、とてもじゃないが追いかけられまい。逃げ帰る、というのなら、今回は見逃してやる…」

  あくまで主人としての立場を崩さないまま、カガチの行いを咎めるシナノ。飽き飽きするほど感じたその責任感はいっそ清々しいほどにうざったい。

  シナノは、どこにいるというのか。

  

  舌打ちをして、横目で睨みつける。

  「…逃げ帰る選択を、俺が取るとでも…?」

  逃げ帰る、帰れるわけがない。それをシナノは知った上でカガチを煽っている。それはおそらくーー、

  「ならば、私の首はここにある。私が捧げるのは首だけだ。これ以上、何も渡すつもりは、無い。」

  上着を腰に巻きつけ、上半身があらわになったシナノ。全身の毛の隙間を吹き抜けるように、風が吹いていく。

  血の流れる横原を押さえつけながら、シナノは目を細めてカガチの背中を瞳に映す。

  腹を押さえつけたまま、反逆者であるカガチへと刀を構えて、精一杯の虚勢でカガチを睨みつける。

  「死にたがりが」

  そう低く喉を唸らせて、刀を構えるシナノへと振り返り、互いに交戦の構えだ。

  互いに使えるのは片腕だけ。

  

  左腕が骨と皮でくっついているだけの状態のカガチ。

  脇腹がえぐれて、思うように左腕を振るえないシナノ。

  刀とクナイ、長さの異なる凶器が互いの首筋に冷や汗をかかせる。

  ーー和太鼓が鳴り響いた。

  「しっーー」

  カガチが踏み込み、前へと進む。風を纏わず、只々踏み込んだだけの一歩。だが、それでも俊敏なシナノの動きに、左腕は必死についてくる。

  痛みに顔が歪み、ただでさえ凶悪なカガチの顔が歪んだ狂気を見せる。

  そんな顔つきで飛び込んでくるカガチを、シナノは凛々しい顔つきで迎え撃つ。宮内の狙う先は首ではなく、腕だ。

  「…ッ、死にたがりのくせに、抵抗してんじゃねぇよ!」

  刀の間合いに入った瞬間、シナノは目を見開きカガチの鼻先目掛けて刀を振るった。それをクナイの切先で弾き飛ばし、飛び退いた先に着地。そしてそのままシナノはカガチへと追撃を始める。

  「っ、カガチ、私の首以外を狙うたびに、私は一度お前を切る。っ、切る」

  凛々しく踏み込み、カガチとの距離を一気に詰め、刀を振るったシナノ。だが、その腹の傷ではいつも通り振ることも叶わず、

  「ってぇなあ、ヘボ当主!刀もまともに触れないくせに、カッコつけてんじゃ、ねぇ!」

  傷は刻まれた、だがあまりにも浅く、それはむしろ怪我には含まれない。刀をクナイで弾き飛ばして体制が崩れたところへ蹴りを入れる。

  シナノの体が吹き飛び、木に叩きつけられる。腹を抱えるシナノにより一層苦痛の表情が浮かぶ。だがーー、

  「来い、『化』の字。」

  シナノは立ち上がる。木を背に擦り付けて刀で姿勢を支えながら立ち上がる。灰色の目に灯る赤い勇姿はまだ消えちゃいない。

  

  「ちっ、諦め悪すぎんだろうがよ」

  「そのままそっくり、お返ししよう」

  黒光りするクナイを投げつけ、再びカガチは詠唱に入る。飛んでいくクナイはシナノの首を掠め、そのまま木に突き刺さる。

  「『風よ』ーー」

  「遅いーー」

  詠唱するより早くシナノが動き、赤く光を反射しながら刀が振るわれる。懐からクナイを取り出す暇もなく、カガチの右腕目掛けて刀が振るわれる。

  

  「つ、かまえた…!」

  振るわれた刀をそのまま右手で掴み、血が流れて刀を伝う。鼻先で止められたその刀。カガチはそのまま鋭い歯を見せながら笑って、

  

  「ふ……おっらあああ!!」

  刀を握る手に力が入り、血が流れる。細い目をカッピラいて顔を歪ませる。

  刀を握りしめたまま、その巨体を生かしてシナノごと刀を振り回し、思い切り空へとぶん投げる。シナノは抵抗できるまでもなく、二度目の空中浮遊を迎える。

  そして、シナノが空中で浮遊しているその隙に、カガチは森の中へと姿を消した。

  だが、

  「あぁ、いいな。今宵は目が冴えてる。」

  空に浮かんだシナノは、怪訝な顔つきで木々を飛び回るカガチを視ていた。いつ考えても、あの巨体が為せる速度ではない。風のように木々の隙間を飛び回るカガチの動きを目で追いながら、シナノは刀を肩に置く。

  先ほどと違い、風魔法と、シナノの跳躍力で飛んだ時とは違い、よほど高くは飛ばなかった。カガチの筋肉によって投げられたシナノは木のてっぺんほどまで浮かびんですぐに地面へと降り立つ。

  そして、カガチの用意した脅威はーー

  「まだ、どこに隠し持っていたんだ、これは」

  四方八方から無数のクナイが発射され、着地するシナノを狙って襲いかかる。背を狙うクナイは跳躍してかわし、跳躍した先にあるクナイは背を折りかわし、身を狙うクナイは刀で叩き落とし、百をくだらないクナイは全てその剣技にはたき落とされる。

  血が滲む腹の痛みに顔を歪めながら、シナノへ襲い掛かることごとくを切り伏せる。

  そして、息を吐く間もない百一つめーー

  「ぬ、がああぁぁぁああ!」

  足に風を吹かせるカガチが他のクナイが飛びおわる最後に射出されクナイを手に持ち襲いかかる。唸り声と共に射出されるカガチ。気づいていたとはいえ、数の暴力全てをはたき落としたばかりのシナノにこの体重を全て支えるだけの構えはできていなかった。

  「おっも、」

  刀でクナイを受け、そのまま地面へと倒される。100を裕に超える体重のカガチを咄嗟にどうできるわけもなく、シナノの小さな体はカガチの巨体に押し潰される。

  シナノの長い後ろ髪を結ぶ白い紐が解かれ、シナノの毛が地面へと広がる。

  倒れると同時にカガチの左腕がその反動で激しく揺れて、血が流れシナノの顔を血で濡らした。

  「っ…….、口の割に容赦ないな、カガチ。死んだら、どうするつもりなのだ、お前…」

  はぁはぁと荒い息遣いのシナノを下敷きにするカガチ。シナノの腹を弄ると、再び赤い血が流れ出していた。カガチの体重に押され、ただでさえ深い傷口にさらに圧がかかり、血が吹き出す。

  正直冷や汗が出ている。

  「お前がもうちょい、素直だったらこうはならなかったんだけどな」

  シナノの胸の上にまたがり、両足でシナノの腕を踏みつける。シナノの苦痛に歪める顔に睨まれながら、カガチは淡々と右肩を思い切りクナイで突き刺す。

  すると、シナノの体がその痛みで一瞬跳ね飛び、カガチの体も揺れる。

  「…これで刀はふるえねぇ…俺の勝ちだシナノ。」

  シナノの血で濡れた手のひらを舐めて、カガチが赤い瞳で冷ややかにシナノを見つめる。だが、シナノの目はまだーー

  「諦め悪りぃな」

  「諦めが、悪いのはどっちだ…!」

  互いに睨み合う瞳が交差する。

  片や、片手の使えないシノビ。片や腹がえぐれて片腕が使えない剣士。

  

  誰の目にも、勝敗は明らかだった。

  だが、

  「私を、私を殺せ…!なぜそこまでして生かそうとする…!」

  シナノは死にたがるのをやめなかった。今までに無いほど顔を険しくさせて、カガチへと縋るように叫ぶ。

  「だから言ってんだろ、俺はお前をーー」

  変わらず死にたがるシナノにカガチは何度目かの『殺したく無い』を口にしようとする。しかし、

  「殺したく無い…?殺したく無い、したく無いばっかだカガチ!お前は、なんなのだ!」

  突然爆発したシナノの激情。それに気圧されてカガチは一瞬口を紡ぐ。何度も何度も死にたいと、殺せと、そう口にしたシナノに対して、カガチは何度も殺したく無いと口にしてきた。

  それと同じ数だけ殺せとシナノは叫び続ける。

  「なんなんだ、だって?」

  シナノの言葉に、カガチも唇を振るわせながら叫ぶ。

  「知った顔だ、幼馴染だ、死んでほしくねぇって思うのは当然だろうがッ!そんなに不思議か、俺がお前を殺したくねぇって思うのは、そんなに不自然かよ!」

  その激情に、シナノは目を見開く。しかし、すぐにまた目を鋭くさせる。腹の傷から血が流れていることを忘れさせるほど、シナノは強く叫ぶ。

  「お前はシノビだろ?カガチ。そんな感情一つに左右されていいような役では無い…!」

  「俺がシノビだとか関係ねぇだろ、俺がしてんのは俺の話だ!シノビじゃねぇ、カガチの話をしてんだ!!俺は、お前の中でただのシノビかよ!俺の中でお前はシナノで、シナノだ!!シナノでしかねぇ!そのシナノが死にたがって、俺に殺せって言うのか!?」

  「ああ、言うとも。カガチの中の私がどうとか、どうでもいい。私はここの当主で、命で贖うべき罪がある!それを全うする責任がある…!!」

  どこまでも平行線ーー、癇癪を起こした大人二人は息を切らしながら互いに睨み合う。そして呼吸が整った頃に、カガチが睨む目を俯かせて、ポロッと呟く。

  

  「……なんで、そこまで死にたいって言うんだよ…。」

  死にたい、殺せ。それしか叫ばないシナノ。その胸中では一体どんな風が荒れているのか。

  当主として無能、穢れた血が流れている。ただそれだけでそこまで死を望めるというのか。その灰色の瞳で見た景色に、少しでも生きたいと思える何かは無かったのかーー。

  「……カガチ」

  俯くカガチを見て、シナノの表情も和らいでいく。シナノの腕を踏みつけるカガチの足の力が緩み、無傷の左腕が解放される。シナノはその左腕をカガチの膝に置き、名前を呼ぶ。

  「…私が生きていては、ダメなのだ。」

  

  「またそれか…まだそれなのかシナノ」

  変わらず、自分の命を否定するシナノ。何度も聞いたそれを、カガチは顔を俯かせたまま聞き捨てる。だが、シナノはフルフルと首を左右に振り、

  「私は生きていてはいけない。……それは、契約だからだ。」

  「……誰だ、そんなふざけた契約ーー」

  シナノが死ななければいけなくなる契約、そんなものを結んだ不届きものが誰なのか。そんなふざけた奴がいるのなら、カガチが直々に手を下してやる。

  そんな考えが一瞬頭によぎるが、否。それは個人間の契約では無い。

  「……ヤシロ様か、ヤシロ様との契約がお前を殺せって」

  「そうだ、契約が、ある。そしてそれは、もはやそれは私だけの問題では無い。私が穢れだとして、それは契約に反することになる。」

  ヤシロ様との契約ーー。

  この国が国たる所以は、ヤシロ様との契約で国を怪物どもから守る結界が張られているからだ。

  結界が張られているから、外をうろつくモンスター達は結界内の人々を襲わないし、襲われない。

  好き好んで結界の外に出ていく狩人や物好きは別として、契約の維持により百数十年をモンスターの手から逃れてこの国は成り立ってきた。

  「私……ヤシロ本山の当主、王家の血、そして、契約が結ばれた当時にいなかった、別のもう一人……。その三人は全て、『群青』の出自であること。結界の維持のために、その土地出自のものであることが、結界石の契約の条件だ。」

  獅子族達、王家の血筋から一人。

  ヤシロ家の系譜から一人。

  そして、そのどちらでもない者から一人。

  全員が群青の生まれであること。だが、シナノはーー

  「でも、結界は維持されてる。だからお前はー」

  「疑いがあるだけでも、ダメなのだ…私が契約を反故にすることで、何人が死ぬ?誰が死ぬ?お前か?私か?お前の家族か?私たちの家族か?」

  それだけで済めば、まだいいだろう。だが、現実はもっと違う。さらに多くの死人が出る。抗う術を持たない無垢な市民達はなす術なく食い荒らされ消えていくだろう。

  王家を守る狩人達も、戦い続ければいずれは全滅するだろう。

  狩人が死ねば、王家も消える。

  ヤシロ家の者たちには、戦う術を持つ者も多い。だが、化け物と対峙したことある者はほとんどいない。

  全てが無情に食い荒らされる。残るのは、血濡れの荒野だけ。

  シナノの脳裏には、その情景が流れているのだ。

  「わかるか…私が生きて、契約を反故し続ければ、待っているのはヤシロ家の滅びなんてものじゃない。この国が、諸共なくなってしまうのだ。他でもない、私のせいで…!」

  滅ぶ、消え失せる。全てなくなる。

  誰のせいでーー、シナノのせいで。

  「この立場に着いた時から、私の脳裏にはその光景がちらつく。不器用な私が、いつか契約を破るのではないかと。私のせいで、皆が消えてなくなるのではないかと」

  シナノの灰色の瞳から、一滴の涙が浮かび上がる。

  「わかるか…?生まれてから、今に至るまで私の手にはこの国の民全員の命が乗っている。何一つ、失ってはいけない。何一つ誤ってはいけない。そんな緊張を抱えながら毎日毎日、一日が無事に終わるのを過ごすんだ」

  シナノの声が、揺れ始める。

  シナノの瞳が、揺れ始める。

  「一日が無事に終わったと思ったら、また明日の心配だ。明日はどうか無事でありますように、私が何も間違いませんようにと、自力本願を他人に預けて。それでも私は当主として、生きていかなくてはならないのだ…!」

  カガチの足に触れる左手に力が籠る。

  「毎日毎日、悪夢のようだ。気の休まる時間はない、他の家の長たちから嘲笑を受けているのも、敬意を向けられていないのも知っていた。だが、それでも当主としてあり続け、契約に縋り、妻に縋り、息子に縋り、果てにはお前にまで縋りたいと思って…!!」

  シナノの目から、涙がぼたぼたとこぼれ落ちる。小麦色の毛をくぐって、橙色の陽の光が反射して、カガチの赤い目に痛いほど突き刺さる。

  「シナノは、もうどこにもいない…!私は、シナノで、でも、本当に生きたかった私は、もうどこにもいない…!!責任に押しつぶされ、取り繕い、面を作り、何度も新しく作り直して、もはや本来の私などどこにいるのというのだ!!」

  震える声で、シナノは叫ぶ。

  「ヤシロ家当主としての私しかここにはいない……だから、カガチ、私を……殺してくれ……。私のものではない私の人生……その人生の意味を…奪わないでくれ……」

  「シナノ……」

  「望んでなったわけじゃない……何度だって、投げ出して、逃げ出したいってそう思っていた…。でも、それが許される時が、来たのだ…。ようやく、私が終わっていい時が来たのだ……。だからカガチーー」

  懇願、悲願、最期の我儘ーー。

  「私を……殺してくれ……カガチ、私を…救ってくれ…」

  涙を流しながら、力なく微笑み、カガチに救いを

  求める。

  「妻が望み、『躁』が望み、『業』が望み、『楽』が望み、『録』が望み、『艇』が望み、『概』が望み、『創が』望み、『絶』が望み、『珠』が望み、『念』が望み、『計』が望みーーそして、私も望む。」

  「これだけ皆に望まれて、それを私自身も望む。」

  本家に当たる妻ーー、そして分家に当たる十一の家長が、シナノの退場を望んでいる。

  そしてそれを、シナノ自身も望んでいる。

  なぜならーー、それはシナノに望まれた最後の役目だからだ。

  お飾りの当主として生きてきたシナノの、お飾りではない『当主』としての立場が尊重されるが故のシナノにしかできない役割だからだ。

  「自死する勇気を持てない私に、希望をくれ……『化』の字。」

  そう言ってシナノは右肩に突き刺さるクナイを引き抜こうと、カガチの足から左手を動かす。

  

  「私のただ一人の友なのだーー、カガチ」

  

  

  「私を…終わらせてくれ…それが私のーー僕の、最後のお願いだ。」

  

  →→→→→→→→→→→→

  「私を、僕を殺してーーカガチ。」

  シナノはすでに限界だった。

  お飾りの責任を押し付けられ、しかしそれを誰も望まず。生きてきた意味など見出せず、そこに命を散らす。

  生きていたいと思える理由もなく、自分の命に価値などなく、ただ最後に自分に望まれた役割を完遂すれば無為に生きた三十年に意味を与えられるだろうか。

  否、生きた意味を作ってくれーー。

  「…それでも俺は、お前を殺さない。」

  「は….」

  だが、強情な狸は、シナノの願いなど受け入れてくれなかった。

  ただ一人の親友。せめて人生の終着点を終わらせるのは、彼であって欲しいと。そんな願いさえも受け入れられず。

  「何度でも言う、言ってやる。俺はお前を殺さない、殺したくない。こんな状態にしておいて何だが、俺はここからお前を連れてーー」

  

  「なぜ…、なぜだ。なぜそこまで私を、私をーー生き地獄に置こうとするんだ…!!せめて、お前の手で、その力も、意味も、何でもできるだろう!お前なら!!」

  カガチの言葉を遮るように、シナノが叫ぶ。鋭く光る犬歯を噛み締め、カガチを恨めしそうに睨む。

  カガチの表情は逆光で見えない。その暗闇の顔面で、どんなふうにシナノを見下ろしているのか。

  「私が生きてたら皆が死ぬ!!私が生きてることを誰も望まない!!責任だけが私にある!!私だって、こんなーー、こんな、誰が望んでこんなこと…!」

  生まれた時点で人生というのは決まっている。

  そんな家に生まれた不器用で無能な息子は、結局誰にも期待されず、望まれず、果てには皆から見捨てられて死だけを望まれた。

  剣を振れるだけの、他は何もできない犬だけがそこにいた。

  一人で剣を振り回して、望まれた仕事は何をしてもうまく行かず、全部周りがお膳立てする。

  疎まれて当たり前だ。いなくなれと思われて当たり前だ。

  誰もシナノを望まない。

  こんな世界で、なぜカガチはーー

  「何でお前は…私を、殺してくれないんだ……」

  親友にさえ『シナノ』を生きてきた意味を受け入れられず、シナノは絶望した。

  涙を流す。穢れた血と同じ涙が、山に染み入る。

  

  何もかも、放り出して逃げ出してしまえたらーー。

  「俺は、お前を殺さない」

  聞き飽き、飽き飽きした同じ言葉をカガチが呟く。

  いい加減うんざりなその言葉に、シナノは反発しようと口を開こうとした。だが、言葉は出ることはなく喉の奥へと押し込まれる。口は開く、だが、声だけが出ない。

  「……ッ!」

  突然訪れたそれは、あまりにも場違いで、何もかもが間違っていて、怒りも悲しみも吹っ飛ばして、ただ困惑と驚嘆だけをシナノにもたらした。

  

  ーーそれは、カガチの想いだった。

  カガチにとっても、複雑な胸中だった。

  墓場まで持っていこうと思っていた感情を、なぜこの場であらわにしたのか。なぜ最初から伝えなかったのか。

  相手は既婚者で、男で、幼馴染だ。あの女を痴女だと揶揄していたというのに。それと全く同じことを、しているのだから。

  まあ、でもきっとーー、伝えるべきなんだろうなと心の端で思っていたのだろう。

  「はっ…」

  二人の口が離れて、二人は顔を赤らめて、互いの顔を見る。互いに赤面していた。

  シナノは困惑の表情を隠しきれず、眉が下がっている。

  一方カガチはバツが悪そうに、顔を顰め、それでも口端は緩んでしてやったと言いたげな表情をしていた。

  二人が呼吸をする音だけが響くーー。

  「…嫌じゃないか?」

  「………」

  肩を掴むカガチに熱い眼差しで見つめられ、シナノは不意に目を逸らす。しかし、目を細めて再びカガチと目を合わし、そっと目を閉じる。

  それをカガチは了承と受け取り、その大きな口をシナノの口に合わせる。

  

  血まみれの獣が二人、困惑ばかりの一度目とは違って、二度目の接吻はーー確かに命の熱さを感じた。

  

  夫婦まとめて頂いた、なんて言ったらスギナに怒られるだろうなーー。

  そんな考えが頭によぎるが、カガチはそのまま舌を動かし続ける。緊張して強張るシナノの舌を絡め取り、互いに相手を求めて口の中で交差する。

  シノビとして生きてきたカガチにとって、偽物の色恋を演じることは少なくなかった。経験ばかりが積み重なり、だがしかし意中の相手には発揮されることはなかった。

  だが今ーー、こうしてシナノと繋がれているなら。

  幸せを感じるために、使えているなら。案外シノビとして生きていたことも、悪くはなかったんじゃないかと思う。

  「悪いヤツだな、シナノ。女がいるってのに、なぁ?」

  互いに口が離れて、濡れる口端を血で濡れる指で拭う。その顔は、凶悪に歪んだ顔でシナノを見下ろす。

  赤い瞳に当てられて、シナノは薄く目を開く。

  赤面したシナノが、口端に涎を垂らしたまま、カガチへと尋ねる。

  「なぜ、私をーー」

  それは何に対するなぜ、なのか。

  なぜ今キスしたのか。なぜシナノにキスをしたのか。なぜシナノを殺さないのか。なぜ、カガチはシナノを殺したくないのか。

  多分いろんななぜがそこに含まれていた気がする。

  だが、その答えは結局この一言に集約される。

  「お前が好きだ、シナノ。ガキん頃からずっと、お前だけが俺の生きる意味なんだ」

  ムードも何もない、散々殺し合った満身創痍で伝えるにはあまりにも滑稽すぎるこの言葉。

  思わず鼻で笑いたくなる、そんな言葉だがーー。

  「俺が俺であることを受け入れてくれた、それがお前なんだ、シナノ。俺がずっといい子ちゃんを演じることを強いられてたなか、お前だけが俺を知って見てくれてた。」

  幼くして、『化』の家長であることを強いられたカガチにとって、その存在は救いだった。

  

  「お前が苦しんで、殺してくれってそう望むなら、俺はお前を助けたいって、生きて欲しいってそう望む。それでお前が救われるわけじゃないって、そう分かってる。でもーー、」

  シナノがこの世界で生きることに希望を抱いていないのを知った。責任に押しつぶされているのを知った。誰にも縋れないことを知った。誰もシナノを必要としていないと、そう思い込んでいることを知った。

  「俺はお前に生きていて欲しいんだ。生きて欲しいって、一緒にいてぇって思うんだ。だって、俺は」

  いつからだったか、この感情はーー。この灯火は、きっと今も熱く燃え盛っているだろうか。

  いや、まだまだいけるだろう。カガチ。

  「お前を好きで、お前のことが大好きで、愛してるんだから。一緒に生きてぇって、そう思うんだ。」

  ホオズキがひび割れるのを感じる。カッコつけて取り繕った面で話すな。

  そうだ、シナノに『シナノ』を見せろと言ったカガチは、ホオズキだった。ひたすらにくるくると取っ替え引っ替えしているうちに、いつか侵食していたホオズキの面がビキビキとひび割れる。

  相手に本心を求めるのに、自分が本心を曝け出さないでどうするーー。

  この感情を隠す必要はもうない、だからーー。

  『あばよ、カガチ。後はどうにかできんだろ。』

  

  そんな空耳が聞こえて、ホオズキの面が割れて無くなる。一九年寄り添った外面がなくなるのを感じて、カガチの胸がスッと晴れる。そんな感覚が訪れる。

  「俺と一緒に生きよう、シナノ。他の誰が望まなくても、俺だけはお前がいい。お前じゃないと嫌なんだ。」

  面が割れ、出てきた本音。その本音と共に、カガチの瞳からも涙が溢れる。演技じゃない、心からの涙はいつぶりだろうか。

  そして涙を流しているのはカガチだけじゃなかった。

  「私は、当主シナノーー、契約に従って、私の命は、失わなければーー」

  「ああ、かもしれねぇ。けど、そうじゃない可能性だって残ってる。お前が今すぐ死なないといけねぇ理由なんてねぇよ。」

  結界は維持されている。

  もし穢れが理由で契約が破棄されるなら、今続いてる結界はなぜ維持されていると言うのか。

  

  「私に、望まれているのは、死の贖罪だけだーー、」

  「俺がお前を望んでやる。生きろって、そう言ってやる。」

  あの女が何と言おうと、他の家の家長が何と言おうと、シナノが生きていることを望む。生きろって、そう言う。言い続ける。望んでやる。

  「私はーー、私は」

  「ああ、お前はどうしたい。シナノ。」

  灰色の瞳が見開かれる。そしてそこには、シナノを見てくれるカガチがいる。相変わらず目つきが悪い。触れる毛もチクチクとしていたい。地味に胸が体重で圧迫されて苦しい。

  

  今まで生きてきた人生の何もかもが、シナノにとって色褪せていた。それは、自分の瞳と同じく色を放たず、何をしようと何があろうと色づくことはなかった。

  妻を娶り、子を持ち、剣を振った。それだけの人生。

  そんな人生の最後にーー、赤く輝く瞳を見つけてしまった。

  

  

  皆が死ねと言う。

  妻が死ねと言う。

  でも、そんな中で生きて欲しいと熱く燃えたぎる炎が、シナノの心を焚き付けた。

  だから、シナノはーー、『シナノ』はーー

  「私はまだーー、僕は、死にたくない…!」

  涙ながらに叫ぶ。それはきっと永遠に閉ざされるはずだった本音だった。

  だから、その本音を願いに、カガチは笑う。

  「あぁ、任せろ。俺が生かしてやる。」

  

  それはカガチとシナノ、実に十八年ぶりの、立場を挟まない、幼馴染の会話だった。

  神楽の時間は、刻一刻と近づいていたーー。