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「…あいつら、大丈夫かねぇ…っと、ついたか」
エレベーターの中で背負っていた大剣を点検していた獅子リオン、エレベーターが止まり、扉が開くのを見ると金色の鬣を揺らしながら颯爽と先へ進みだす。
扉の先にはまるで商店街のような大通り、店先に下げられた看板はどれも名の知れたファストフード店ばかりのようだ。
「んん?敵がいる…ってわけじゃないよな、一体どういうことだ?」
剣を抜けるように身構えていたが拍子抜けするリオン、商店街の前に立てられた看板にはカードキーのようなものが貼り付けられており、
『先へ進む為にはこの商店街の店でチャレンジを突破すること、カードキーを承認すれば挑戦可能となる。』
と書かれていた。
「なんだこりゃ、こんな事させて何がしたいんだろうな…ま、いいか、折角だし乗ってやろうじゃねぇか!」
リオンはカードキーを剥がして持っていく、足を運んだのはすぐ近くの牛丼屋。
当たり前のように店内には誰もおらず、目の前には一台の機械が立っている、ディスプレイには
『未挑戦、挑戦者はカードキーを挿入し、お席でお待ちください』と表示されている。
「おぉ、こりゃ中々に面白そうな…っと、イカンイカン、それじゃこれを…」
リオンはカードキーを差し込むと、導かれた座席に座る、機械がすぐに厨房の方へ向かって、すぐに大きな盆とともに戻ってきた。
「もう来たのか、誰もいないから早いのか…って、おいおい…」
並べられるのはたくさんの器、中には大根おろしやチーズ、キムチやとろろ等様々なトッピングと、普通のサイズの牛丼、
機械のディスプレイには、『全てのトッピングを完食する事、牛丼の追加は無制限となっております』と表示されていた。
「なるほどなぁ、わんこそば、ならぬわんこ牛丼ってか?よっしゃ、やってやるか…いただきます!」
リオンは手を合わせ、箸を掴むとそのまま牛丼を食べ始めた。
「んぉ…こりゃうめぇ…」
牛肉とタマネギは柔らかく、ご飯も程よい炊き加減でふっくらとした味わい、それを包み込むような汁の味がさらに箸を進める。
最初は何も乗せずに食べきると、二杯目の牛丼には紅ショウガを乗せる、牛丼の味を紅ショウガの刺激でリセットするのを繰り返すとさらに食べる手が進む、
次にはチーズを乗せて少し溶けたチーズの濃厚な味を楽しみ、大根おろしにはポン酢もかけてさっぱりと、
ピリリと辛いキムチは汁の柔らかな味を引き締め、とろろ芋と混ぜてずるずると掻き込む。
「あぐっ…ふぅ、ごちそうさんでしたっ…と」
最後の一口を紅ショウガと共に平らげ、まだまだ余裕そうに一息つく、立っていた機械が電子音を鳴らすと、ディスプレイの表示が変わる。
『チャレンジの達成を確認、カードキーに達成を記録しました、カードをお返しいたします。』
とカードキーが排出された。
「うーん、これなら結構余裕かもなぁ、歩いてる間に食った分もこなれるだろうし、ちょっとしたバイキングかもな」
なんて余裕な表情で大剣を持ちながらもリオンは次の店へ足を運ぶ、急ぎではあるが、ゆったりした足取りで近くにあったハンバーガーショップへ。
やはり店内は掃除が行き届いているのか、どこを見ても埃一粒もない。
「うわ…こんなのを用意するとかとんでもねぇなぁ…ま、今は後回しだ」
カウンターには同じような機械が立っており、その機械にカードを通すと席へ促され、リオンはその席へ座る。
するとすぐに席へ機械が向かい、リオンの前にトレーを差し出す、其処にはハンバーガーと、ポテトにジュースのセットが。
ディスプレイには『バーガー、サイドメニューを完食する事、ドリンクは自由となっております』と表示されている。
「おぉ、こりゃ食べるペースも考えないとだな、よし、いただきます!」
とハンバーガーの包み紙を開く、一齧りすると、バンズはふわふわで柔らかく、肉はしっかりと火が通っているが、じゅわりと肉汁が口の中へ広がり、さっぱりしたピクルス、ケチャップやマスタードの味が程よく絡みあう。
ポテトも程よく塩が絡み、揚げたての味はハンバーガーとも相性がいい。
「うっめぇ!こりゃどんどん食べないとなぁ!」
ハンバーガーを食べると次のバーガーが出てくる、チーズが入っていたり、パティが増えたり、さっぱりしたトマトやカリカリに焼けたベーコンが入ったもの、照り焼きソースが入ったものや上げたチキンが入ったものもあった。
サイドメニューもサラダやパンケーキ、ナゲットやパイなど様々なもので、リオンの手は止まる事もなくむしゃむしゃと食べ進め、最後は大きな炭酸ジュースを飲みほした。
「っぷふぅ…食った食った…なんだかんだこんなに食うのはめったにないからなぁ…けふっ」
店を出たリオンは満足げに腹をさする、がっしりとした体形にふっくらと突き出た腹は食べた後だとはわかりやすいが、それほど太ってるとも言い難い。
「しっかし、これでもまだまだ序盤か…こりゃ終わったら何とかダイエットしねぇとなぁ…」
鎧で包まれている腹が多少つかえながらもリオンは次の店へ向かう、
近くにあった店はラーメン屋で、店の外に立っていても食欲を誘う香りが鼻をくすぐる。
「うーむ、次はラーメン屋とはな…こりゃ食べきるのも一苦労しそうだな…しかし旨そうな匂いだな!」
頬を掻きながらも暖簾をくぐると、客席にはもちろん誰もいないが手入れが行き届いており、
席に座ると即座に機械学習隣に立ち、リオンはカードを差し込む、同じ様に機械が厨房から戻ってくる。
出されたのは食欲を誘う香りを漂わせる琥珀色のスープの醤油ラーメン、
ディスプレイには『メニューのラーメンを全種食べること、サイドの注文は自由』と表示されている。
「お、おぉ…こりゃ結構きついかもしれねぇなぁ…しゃあない、食べるか!いただきます!」
リオンは意を決して箸を手に取り、ラーメンの麺をすする、麺にはスープが絡み、すすると醤油の香りが鼻をくすぐり、あっさりしながらもしっかりした味わいが口いっぱいに広がる。
「んむっ…こりゃうまいが…やっぱり…腹がきついな…」
ずるずるとラーメンをすすり、味が染みて程よく半熟な卵やメンマをつまみながら食べ進めるが、
もちろんリオンの腹にはここまでに食べたものが溜まっており、少しづつ食べるペースが落ちていく。
すると機械のディスプレイに写るメニューの右上に小さなポップアップと、リオンの耳に通知音が聞こえる。
「んん?なんだこりゃ…サポート機能だって…?」
ディスプレイには
『挑戦のペースが落ちております、効率化のサポート機能を使用いたしますか?』
と表示されており、リオンの手がちょうど届く位置で選べるようになっている。
「へぇ…まぁ、進まないとアイツらを助けられないしな、やってみるか」
と片手で了解ボタンをタッチすると、機械の側面からテーブルへ小皿に乗ったサラダが差し出される、
サラダには少量のドレッシングがかけられている程度なのだろうか、青々とした野菜が盛られている。
「ん…?これがサポート?唯のサラダ…じゃないのかね?」
訝しみながらもサラダを一口食べてみると、あっさりした味わいが口の中をさっぱりさせ、
それと共に満腹だった腹の中が段々とすっきりしていく感覚を感じる、
見ればリオンの腹が先ほどまではふっくらと張っていたのに段々と目に見えてしぼんでいた。
「お、おぉ…?こりゃ痩せ薬…ってわけじゃねえな!?」
リオンが腹を撫でていると、むちり、と身体が少し膨れたような感覚、
否、本当に体に贅肉が増えたのだ、とは言えがっしりしていたリオンにとってみれば少々脂肪が増えた程度ではあるが、
実際にリオンの腹はへこみ、まるで仕事終わりの様に空腹感もしっかり感じられる。
「うーむ、リスク付きのサポート、と言ったところか、まぁ、これなら食えるか!」
少し考えるが、リオンはすぐに食べる事の効率化を選び、食事を再開する、
食べ始めてすぐに実感したのは、まるで仕事終わりに食べに来たような食欲で、
途中だったラーメンもあっという間に食べきり、すぐに次のラーメンが出てくる、
あっさりした透明感のあるスープと野菜がたくさん入った塩ラーメン、
ゴマの風味と辛さが食べるペースを上げる担々麺、
こってりしたスープに紅ショウガがアクセントな細麺の豚骨ラーメン、
チャーシューがどっさりと乗ったチャーシュー麺、
様々なラーメンを食べる次いでにいつもの癖でついついおかずも頼んでしまう、
口の中で肉汁が溢れる餃子や香ばしいネギとチャーシューにパラリと解れるご飯のネギチャーシュー丼、
どれも出来立ての熱々で芳醇な味わいにリオンは尻尾を揺らしてがつがつと食べ進めてゆく。
「んぐっ…っぷふぅ…ごちそうさまでした!!げっぷ……さっきのサラダ、今食べられないか?」
ゴトン、とどっさりとコーンが入り、程よく蕩けたバターと味噌が絡んだ味噌ラーメンを食べきったリオン、
何となく機械にサービスでもらったサラダを頼んでみると、機械はあっさりと同じようにサラダを出してきた。
「おぉ、こりゃ助かる…さすがに食べ過ぎたからな…うっぷ」
そんなことをつぶやくリオンの腹は再開した時とは比べ物にならないくらいにでっぷりと突き出し、
脂肪の増えた身体と相まってまさに中年太り、と言う言葉が似合っていた、
リオンがサラダを食べて一息つくと、突き出た腹は段々とへこみ、体中がぶくん、と少し肉付いた、
落ち着いた頃のリオンは、全身がふっくらと丸みを帯び、がっしりした筋肉は脂肪に包まれ、
着ていた鎧のベルトが少し体に食い込み、仕方なしに少し緩める。
「あー……まさかもうベルトを緩めないとならないとか……本当にダイエットしねぇとなぁ…」
呆れながらリオンはつぶやく、ダイエットをしようと思う気持ちは確かにあるが、今はもっと食べねばならない、
ガタリとリオンは席を立ち、剣を背負って店を出る、腹は空腹気味に感じるが、それでも肥えた事実は変わらない。
「さて…初めは重い物にしたほうがいいか…後できつくなりそうだ」
そう呟いてリオンは次の店へ歩き出す、どっしりした足取りだが、まだ辛さは感じられない、
その後もリオンは食べ続けた、
焼肉、ピザ、寿司、サラダで一息、パスタ、フライドチキン、サラダを食べてまた一息、
そうしてフライドチキンの店を出て、最後の店にたどり着いたその時、
ブツン、ガララン、とリオンの鎧が落ちる。
「…うわ…やべぇ…げふ…」
腹部から胸部の鎧、手甲の留め具は何度か緩め、いよいよ限界と言った状態だったのだが、
今のリオンにとってはほぼ拘束具のようなものになっていた鎧が遂に外れてしまった、
仕方なしに胴部の鎧を拾おうとすると、思ったより肥えた身体がつっかかる、
改まって自分の身体を眺めると、リオンはとても太った、
確かに身体を支える筋肉はしっかりと残っているのだが、
それを包み込むようにもっちりと柔らかい脂肪が全身に余すところなくついている、
尻や胸もむっちりと贅肉で丸みを帯び、特に腹は初めは何とか締まっていたのが今ではぼってりと突き出してしまっている。
「全く…ダイエットがきつそうだな…それにしても、最後にコレは…」
ぶにぶにと自分の身体を触るリオン、やれやれとため息を吐き、頭を振って見上げる、
其処はスタンプカードの最後の店、しかしその店は、
ステーキやハンバーグなどを取り扱う大型チェーン店、しかも上質で大きなサイズで人気の店だ。
「…挑戦だからって、小さなサイズなわけねぇよなぁ……っしゃ!覚悟決めるか!!!」
ちょっとためらい、それでもぐっと前を向き、どっしりと一歩踏み出し、店へ入る、
いつもの様に席へ促され、そしてカードを機械へ差し込むとすぐに機械は料理を運んできた。
「…………だよな……」
出された皿を見た瞬間、リオンは一言しか出せなかった、
其処にはジュウジュウと香ばしく焼けたステーキ、脂が焼ける香りは食欲をそそるが、リオンの理性は満腹感のようなものさえ感じる程だった。
「…普段だったらテンションも上がるのになぁ…畜生…食うか…」
と、リオンはフォークとナイフを手に取り、ステーキを切り始める、
ステーキは中々の厚さなのに、ナイフを入れるとあっさりと切れ、中から肉汁が鉄板へ溢れるとさらなる香りが鼻をくすぐり、腹の虫が鳴く、
フォークにさして添えられているソースを絡め、鉄板で軽く焙るともっといい香りが広がり、涎も溢れてくる。
「んがふ……うっめぇ…!あぐっ…むぐっ」
リオンの心理とは裏腹に、食べる手も、口もまるで餓えていたように止まらない、
大きなステーキが見る間にリオンの口で噛み千切られ、喉を通る、
その最中に『なんとなく』頼んだ炊き立てのような米や、フライドポテトをつまむ。
「がふっ…がぶ…んぐ…げふっ…はぁ、まだあるのか…ん?」
ゴクゴクと水を飲み干す頃には、鉄板のステーキは無くなっていたが、リオンの腹はふっくらと張っていた、
おくびを一つ漏らしながら一息つくが、それでも開始したばかり、
気が滅入りそうなリオンの前に出されたのは、またあのサラダ、消化の手伝いをするが、反動のあるサラダ。
「お、おぉ…しょうがねぇ…食うしかねぇか…」
満腹ながらに少しづつ口へ運んでいくと、リオンの腹がまた消化し、全身がむち、みち…と贅肉に包まれていく、
鎧が少しづつ限界を迎える中、運ばれてきたのはまた大きなハンバーグ、ソースの香りを嗅いだリオンの口からは涎も少し垂れてしまう。
「はぐっ、むぐ、がふっ、うめぇ…やべぇ…めっちゃうめぇ…」
我慢できずにハンバーグを切ると、透明な肉汁が鉄板へ溢れてさらにいい香りを上げる、
口へ運べば芳醇な味わいが広がり、食べる手が止まらない、
付け合わせの野菜やご飯もしっかり食べ、無くなるとまたサラダ、反射的に食べて消化、
ブツン、ガラン、と手甲や具足がはち切れて転がり、むちむちと肥えた贅肉塗れの身体が露になっていく。
「あぐっ…むしゃ、がふっ、あむっ…んぐっ…んぐっ…」
リオンの装備はほとんど外れ、露になった体躯は丸々と贅肉にあふれた図体になっていた、
鍛えられた筋肉はほとんど埋もれ、ムチムチと張りのある身体は獅子と言うより、肥満体の熊のようで、
辛うじて着られているのは下着程度と言った状態のリオンは、出された料理を食べる量も次第に増えていた。
「んがふっ、むごぅっ、あがぅ…むちゃ、がふっ…んぐっ…んぐっ…ぐぇふっ…ふぅ」
最後のステーキとハンバーグを食べきり、飲み物を飲み干すとおくびを一つ漏らしながら一息つく、
張った腹を太くなった手で撫でると、どぷん、と明らかな程の肥満体なのが嫌でもわかってしまう、
端末からカードを返却されると、機械のディスプレイにはエレベーターへの道が表示されており、
リオンはどっしりと肥えた身体をドスン、と立ち上がらせると落ちていた鎧を拾い集めて一旦別のテーブルの上に置く。
「うっぷ…ふぅ…さて、どうするべきかねぇ…お」
鎧の変形機構を使い、大剣の鞘に鎧を取り付けて盾の様にする、
普段は使わない機構だが、鎧を置いていくわけにはいかず、リオン自身もこんな事の為に使うとは思っていなかった、
鎧がすべて盾の様に鞘に装着されると、テーブルには片手で持てる六角形の機械が。
「コレは…あー、トルテが言ってた新装備か…確か鎧にもなるんだよなぁ」
その機械は科学者でもある友人が作った新装備で、
鎧として装備すれば身体能力の補助もできる優れものなのだそうだ、
他にも人形の様に起動させることができるらしい。
「あー…確か、どんな状態でも装備できるとか、だったよな…けど、今は長く使えないんだっけな…?」
友人曰く、現状開発できた物は一つだけで、エネルギーも長期間の起動には間に合わないそうだ、
スタンプカードは埋まって、エレベーターに乗る事は出来るはずだ、
丸々と肥えた今の身体では以前の様に走ったりするのは大変だろうが、敵がいなければまだ安全だろう、
しかし下着だけで外を出歩くのは恥ずかしさを感じてしまう、
リオンはーーーーー
「…まぁ、もし使う事があったら使うかもしれないからな…誰もいないだろうし」
殆ど下着のままのリオンはそう呟いて、盾鞘になった鎧と大剣と、機械を持つと店を出る、
エレベーターの前の通りにはいくつかの露店のようなものが並んでおり、どこからもいい香りが漂う。
「うーむ、さっきサラダは食べたが、ちょっと食わないと大変かもなぁ」
装備による拘束も殆ど無いリオンは平然と露店に立ち寄る、
焼きそばや焼き鳥、肉饅頭などを買いながらむしゃむしゃと頬ばりながらエレベーターへ乗り込む。
「むぐっ、あぐ、あいつら大丈夫かねぇ…ま、なんとかなるか」
危険な戦いもなかったせいか、少し余裕を感じながらエレベーターを起動させ、
食べ物を食べながらリオンはリラックスした様子で移動していくのだった…
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