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四人のヒーロー達

  ガタン、とエレベーターが止まる。

  「ん…ついたか、よ…っとぉ…はぁ…」

  壁に立て掛けていた大剣を手に取り、どっしりと肥えた巨体を揺らす獅子、リオン

  ここに来た時の彼とは打って変わり、鍛えられた筋肉はたっぷりの脂肪に埋もれてなお、彼を支えている。

  「…はぁ…ったく…やっぱり…ふぅ…重いな…」

  広々とした通路ではあるが、リオンの今の図体では逆に丁度がいいくらいの幅になってしまっている、

  どすどすと鈍重な足音を響かせ、ふぅふぅと息を切らせながら進んでいくと、広い空間に出た。

  「お、やっとついたか…ふぅ…しかしここは…ん?」

  広い空間の奥は薄暗く、何かがあるとぼんやりわかるが、それ以外には何もわからない、

  リオンが目を凝らしていると、近くの通路から足音が三つ。

  「えっと…ふぅ…ここが最後かな…?」

  長い槍を床に突き、息を整えながらのしのしと出てきたのは、

  銀の角にはそれほどの変化はないが、翠の鱗が汗で少し煌く巨体を辛うじて押し留める蒼いウェアを着る龍人。

  「はっ…ふっ…やっと…ついた…ふっ…」

  ドスドスと息を切らせながらどぷん、だぷんと身体を揺らして出てきたのは、

  辛うじて持っている弓と、白と蒼に黒や黄色の鮮やかな模様に隼の面影を感じさせるが、

  頬、胸、腹に尻まででっぷりと肥え、衣類が辛うじて胸や尻を抑えるような状態の隼。

  「んしょ…んふぅ…はふぅ…到着ぅ…疲れたぁ…」

  ドスン、ドスンと鈍重な足音と共に真っ黒な毛玉が出てくる、

  ところどころ銀色の毛並みの巨体、ソレをワイヤーで下から持ち上げ、

  自分の服では入りきらなかった胸や腹、尻の肉をそのまま揺らし歩く姿は狼とは思えない位の肥満体だ。

  「お、お前ら…まさか、アルマにフォルスに……クロか!?」

  と、三人の丸々とした図体の変化に驚くリオンだが、当のリオンも中々に肥えていた、

  元々筋肉質でがっしりしていたのも相まって、でっぷりと突き出た腹とそこそこに張った胸は精々中年太り程度だろう、

  リオンが驚き叫ぶと、三人もリオンの存在に気付き、リオンを視認する。

  「リ、リオン!?どうやってここまで…」

  アルマ達からすれば、リオンがここにいるとは思っていなかった事だろう。

  「…まぁ、僕らが入った後に呼ばれたんだろうね、連絡用の端末は来るときに置かざるを得なかったわけだし…」

  フォルスは冷静に状況を判断するが、いつもの様に身体を動かすと柔らかな贅肉がたぷん、と揺れてしまう。

  「あぁ、お前らが捕まったとか言われたからな、書類は後でもなんとかなるだろ…と言うか……クロ、だよな?お前雌だったのか、揃いも揃ってでっぷりしてるが、それにしても随分と丸く…あだぁっ!?」

  ひらひらとリオンが手を振って、三人を見ながらも特に変わりすぎたクロに言及した、

  その直後にリオンの頬をワイヤーが張り倒す、クロがどっしり肥えた片手でワイヤーを器用に振り当てたのだ。

  「…リオン、そういう事、次に行ったら今度は簀巻きにして吊るすよ?」

  たぷん、と腹の肉を揺らしながらクロはもっちりと膨れた頬からリオンを冷たい目でにらみつける。

  「やぁ、やっとそろったようだね、待っていたよ」

  と、リオンが張り倒された頬を撫でながら立ち上がったところで、広間の奥から声が聞こえた、

  四人が其方を向くと、其処には八尾の銀狐と、巨大な機械が聳え立つ。

  「へぇ、君が犯人か、随分と迷惑な事をしてくれたよね、大人しく出てきたのは観念したからかな?」

  狐に対しフォルスが弓を構えて狙う、丸々と張った腹とムチムチと肉付いた手ではあるが、それでも正確に狙いを定めている、

  リオン、アルマ、クロもそれぞれ武器を構え、どっしりとした巨体を息で揺らしながらも臨戦態勢を整えていた。

  「観念?いやいや、最後の仕上げに来てあげたんだよ、君たちを最高に堕落させる為にね!」

  狐が片手を上げると、背後の機械が駆動し始める、巨大な機械につけられた四つのカプセルが開き、大量のアームが四人めがけて襲い掛かってくる。

  「ハッ!こんなもので俺たちを止められると思うなよ!」

  リオンが大剣を振るい、迫りくるアームを薙ぎ払う、しかしアームの量が多く、突撃するには間に合わない。

  「確かに止められはしないけど…このままじゃ段々追い詰められて…うわっ?!」

  槍を大きく振り回してアームを薙ぎ払っていたアルマだが、

  振るっていた槍がでっぷりと肥えたアルマの胸に当たり、ぼよんっ、と弾かれて手から滑り落ちる、

  何とか槍を拾おうとするが、すぐにアームがアルマの贅肉まみれな巨体をぶにゅぅう、と掴み、

  そのまま持ち上げてカプセルの一つへ放り込む。

  「アルマ!?くっ…この…しまった!?」

  弓で機械を狙っていたフォルスだったが、ついにその巨体が掴まれて空いたカプセルへ放り込まれた、

  一方アームをワイヤーで縛っていたクロも足元をすくわれてそのままカプセルへ詰め込まれ、

  残っているのはリオン一人になってしまった。

  「おやおや、もう残り一人か、しょうがない、折角だから少し早めに始めてあげようかな」

  狐が機械を操作すると、三人が詰められたカプセルの上部からゼリーのような液体が流れ込み始めた、

  カプセルの中の三人はそれぞれ必死にゼリーに埋もれない様に身体を捩っていたが、

  そのゼリーが口元に触れると、抵抗する手が少し鈍り、ゼリーに口をつけてごくり、と飲み始めてしまう、

  アルマはまだ口に流そうとするのを無理に閉じて耐えようとするが、口周りを舌でべろりと舐め取ってしまう、

  フォルスは片手で嘴を覆って守ろうとしているが、自分の贅肉の上に溜まったゼリーを嘴で啄んでしまう、

  クロに至ってはちょっと舐めただけで味を占めたのだろうか、流れてくるゼリーを口を開けて逆にごぷ、ごぷと飲んでいた。

  「あいつら…ちくしょう、何とかできないか…あん?ありゃ…そうか、アレならなんとか…!」

  カプセルの中でゼリーを飲む三人の身体は少しづつ、ブク、ムク…と贅肉が増え始めており、

  リオンの戦局も段々と追い詰められていた、贅肉がついてはいても鍛えられていた体躯はドスドスと鈍重ながらもアームを薙ぎ払う力をしっかりと維持しているが、無限に戦えるわけではない、

  このままではまずいのを理解しているリオンは打開策を考えていたが、ある事実に気付き、鎧に入れていたあるモノを取り出すと、口元に近づけて命令を唱え、ソレを薙ぎ払いながらこっそりと投げ捨てると、大剣を構えてアームの群れを切り込んでゆく。

  「へぇ、やっぱりやるねぇ、だけどここらが限界だったみたいだね?」

  リオンの勢いは強く、アームも容易く切り捨てられ、狐と機械めがけて大剣は確かに振り下ろされた、

  しかし大剣は刃が届く前に止められ、リオンの身体にも逃げられない様に大量のアームがまとわりついていた、

  力づくでアームを振りほどこうとしたが、リオンの身体は身動ぎすらできない程に拘束され、そのまま持ち上げられて最後のカプセルへ運ばれる、

  カプセルの中には既にゼリーが半分入れられており、抵抗しようとするリオンを無理矢理押し込むとカプセルの蓋が閉められ、その上から大量のゼリーが流し込まれ、リオンは抵抗する間もなくゼリーを飲まされ、ブクブクと太り始めてしまう。

  「くく、ふっふっふ、これで私の勝ちだ!ヒーローも最早戦う事などできない!このままブクブクと太らせて人々に見せつけさせてやろう!はっはっは!!」

  狐が高笑う、勝利を確信した笑い、四人のヒーローはカプセルの中でゼリーを飲まされ続ける、

  しかし、突然、ゼリーが止まった。

  「は?」

  機械の駆動音も止まり、動かなくなってしまう、狐は何が起きてるのかもわからなかったが、

  機械の電力ケーブルを確認しようとしたその時、一人の影が狐の前に躍り出た、

  それは鋼の鎧、鋭くも鮮やかに煌く鎧が持っていた剣を構えると、そのまま機械にめがけて切り込む。

  「想定外だ!まさかもう完成していたなんて!」

  機械が壊れる轟音の中、リオン達はカプセルの中で動けずとも、ゼリーが無くなった事で多少なり落ち着いた四人は何とかどぷん、だぷんとカプセルの中で身体を揺らして出ようとしていたが、

  鎧がカプセルの下部を叩き割る、四人の身体は肥えた贅肉がたっぷり詰まっている事でガラスも刺さらずにどすん、と地面に降りた。

  「うぷ、ま、まだ重い……」

  アルマが思わずつぶやく、どす、だぷん、と贅肉を揺らしながらも狐に身構える四人、

  しかし狐はしばらく四人を一瞥すると、ふいと踵を返してしまう。

  「いやはや、これじゃあ私の完敗だ!ここは大人しく退散しなくてはねぇ!!」

  そう叫ぶと狐は爆弾を取り出し、地面にたたきつける、狐一人が爆炎に包まれ、消える頃には姿も形もなくなっていた。

  「んむ…けっぷ、あいつは、逃げたのかな…もうちょっと食べたかったかも」

  べろりと口周りを舌で舐めながら鼻で匂いを嗅ぐクロが呟く、食べたかった、の一言には四人も内心、少し同意しそうになっていた。

  「そ、そんな事より、リオン、その鎧は一体何なんだ?」

  フォルスが話を逸らそうとリオンの傍らに立つ鎧を指す、鎧は静かに立っているだけで、何も語らない。

  「ん?あぁ、コイツが例の開発されてた補助武装?とか言うやつだよ、使ってなくてよかったぜ……あ、そうだ、えっと……トルテに連絡取れるか?敵は撤退したみたいだし、流石にこの格好で帰るわけにも行かないからなぁ」

  リオンが鎧を撫で、ついでに先ほどよりでっぷりと突き出た腹を少し撫でながら軽く説明する、

  フォルス達三人は小さな駆動音だけで立つソレに興味津々だ、鎧には隙間一つ無く、顔もバイザーの様になっている、

  その鎧がリオンに頼まれると、バイザーに連絡中のアイコンが浮かび、ソレが発信中に変わる。

  『通信機能の稼働は問題ないみたいね、リオン?状況は言わなくても大丈夫、このアーマーを通して見れるから、今迎えのトラックを送ったから、それに乗ってね、替えの服も用意しておいたから、あぁ、そろそろバッテリーが切れそう、もうちょっと改良するべきかな、リオン、ちゃんとコレ持って帰って……』

  持って帰って来て、そう言い終わる前にバイザーの通信が途切れ、アーマーがどんどん畳まれて六角形のデバイスに戻ると地面に転がる、リオンがそれを拾おうとしてバツンッ!と言う音と共に履いていたパンツが引き裂けたが、ほとんど肥え切った四人ではお互い笑うに笑えない雰囲気だった、

  何はともあれ、四人はのしのしと巨体を揺らして施設を出る事にしたのだった………

  つづく。

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