~ただひたすらに快楽を貪る体へ~

  【ここまでのあらすじ】

  公立高校に通う奈央は、正体不明の線虫に寄生されてしまう。

  彼女は、触れた物の構成情報をその身に取り込んで融合する人外の体へ変貌してしまった。

  人の能力を超えた力を手にした奈央は、肉体の変化に合せるかのように心までもが歪みはじめ、より完璧な同化を求めついに人間の捕食へと手を染める。

  全ては幼馴染みである聡と恋人になる為、そして愛される為に……

  奈央はどんな姿にでもなれる自分の能力を使い聡を誘惑、恋人として身体を合わせる事に成功し快楽を貪りはじめる。

  他人の姿や性格になる奈央の姿に戸惑う聡であったが、彼女に寄生させられた線虫の認識操作により全てを受け入れていった。

  聡は自分が求めていた性癖を満たせる事に快感を覚え、奈央は聡を満たせる異能の体を手に入れたことに幸福感を味わい、二人は愛を深めていく。

  もっと、もっと聡の好みの彼女になりたい。

  聡に沢山愛され、彼を沢山満足させたい。

  私にはそれが出来る……

  奈央は人間を辞め、化物となる道を選んだ───

  [newpage]

  翌日。

  奈央と聡は、普段通り学校へ登校した。

  廊下で聡と別れ教室に入ると、クラスメイトの由香がニヤニヤと笑みを浮かべながら近づいてくる。

  奈央が席に着くや、由香はまるで悪戯っ子の様な表情で奈央の両肩にポンと手を乗せた。

  「随分と仲がよろしいようで」

  彼女の手を伝い奈央の中に記憶と思考が流れ込んでくる。

  聡と登校中、路地裏でキスをしていたのを見ていたようだ。

  彼女は、どちらが告白したのかを聞き出そうとしているらしい。

  (面倒くさいなぁ)

  奈央は、ふふっと微笑むと肩から寄生虫を出し由香の手を伝って体内へと侵入させる。

  直後、彼女の体が一瞬ビクッと震え眼球がグリグリと異常な動きを見せた。

  「由香、もうすぐ授業始まるよ?」

  「……。 え!? あっ… そうだね」

  奈央の言葉にハッとした様子の彼女は普段の表情を取り戻すと、自分の机に戻り教科書を準備し始めた。

  そんな彼女の後ろ姿を奈央は無表情で見つめる。

  これで、この女は今後面倒くさい話は一切してこないだろう。

  万が一何か言ってきたら次は精神を支配すれば良い。

  (ま、別に捕食しちゃっても良いけど)

  奈央は、そんな残虐な考えをする自分に何の違和感も抱く事は無かった。

  授業が終わると、奈央は弓道部の部員達と一緒にとある場所へとやってきた。

  私立[[rb:和桜 > わおう]]学園女子高等学校。

  県内を代表する中高一貫の名門校であり、裕福な家庭で育った良家の子女も多数在籍している。

  奈央の通う学校と距離が近い事もあり、月に一度、豪華な設備を備えた弓道場を間借りして合同練習を行っているのだ。

  「ようこそお越し下さいました」

  校門の前にはすでに数名の生徒が待機しており、その中の一人の少女が丁寧に挨拶をして出迎えた。

  奈央は和桜女子へは何度も来ており、部員のほとんどの子とは顔見知りである。

  しかし、挨拶をしてきたのが部長の[[rb:社家沙織 > しゃけさおり]]と気付くまで少し時間がかかった。

  理由は彼女の着ている制服。

  確か和桜女子は茶系のシックなセーラーだったはずなのだが、彼女の着ているのは白を基調としたワンピースだ。

  「あの、その服は…?」

  「え? ああ、これは[[rb:盛夏服 > せいかふく]]です。 今日みたいに夏の暑い日はこちらの方が涼しくて良いんですよ」

  奈央に問われた沙織は上品な笑顔で答える。

  流石私立のお嬢様学校だけあって制服まで別次元だ。

  「とても素敵ですね。 今日はよろしくお願いします」

  「こちらこそ、よろしくお願いいたします」

  奈央は沙織に手を出して握手を求めると、彼女もそれに応えて優しく握り返してくれた。

  当然、それは彼女から記憶や思考を読み取る行為で、盛夏服なる制服の構成情報も一緒に取得する。

  (ふふっ、これで清楚なお嬢様はいつでも再現出来るし、聡も喜んでくれるかな)

  「あの?」

  奈央が中々手を離さないので、不思議そうな顔をした沙織が声をかけてきた。

  奈央は、すみませんと言って手を離すと彼女はニッコリと笑って言った。

  「では、弓道場へご案内いたします。 着替えはいつもの更衣室をお使い下さい」

  昭和初期に作られたらしい立派な弓道場は、奈央の通う学校の物とは比べ物にならない程立派だ。

  異様に広い射場と、丁寧に手入れされた板張りの床で矢を射るのは普段とは違った気持ちで集中力を養う事ができる。

  奈央は、何本か矢を射ると一旦射場から下がり汗を拭う。

  それを待っていたかのように、和桜女子の子が奈央へ話しかけてきた。

  「あの奈央さん、もしよろしければご指導頂けませんでしょうか?」

  こう見えて奈央は弓道の腕前はかなりの物で、このように教えを請われる事も多々ある。

  奈央は喜んで快諾し、彼女の射法や姿勢を手取り足取り、いつもより丁寧に指導した。

  勿論、彼女の性格や思考といった情報をその身に取り込みながら……

  4~5人ほどの指導を終えたところで、彼女たちの性格や特徴、趣味嗜好などをある程度把握できた。

  (流石お嬢様。 華道や茶道、バレエや乗馬にバイオリン…… 庶民とは習い事すら次元が違うとは)

  格の違いを実感し、思わず苦笑してしまう。

  しかし奈央には彼女たちがまだ経験した事がない世界を知っている。

  惚れた男と、生まれたままの姿で汗だくになって激しく求め合う女としての悦びを。

  彼女達より自分は女として一歩リードしていると、勝手に優越感に浸る事で奈央は自尊心を満足させておいた。

  「奈央さん、今日はありがとうございました。 それと、うちの部員が練習のお邪魔をしてしまったみたいで申し訳ございません」

  奈央の前に和桜女子の部長である沙織がやってきて深く頭を下げる。

  その洗練された仕草に奈央は感心してしまった。

  「いえいえ、こちらこそ勉強になりましたから。 あははは」

  頭をポリポリと掻きながら沙織に苦笑いを浮かべると、彼女はクスッと奥床しく微笑んだ。

  先程彼女の情報を取り込んだ奈央には分かる。

  彼女は何の含みもなく、ただ純粋に奈央のその姿が愛らしく感じ笑っているのだ。

  沙織はこの学校の中でも別格の箱入り娘。

  家柄、容姿、性格、勉学、全てが完璧であり、周りからは尊敬と羨望の眼差しを向けられている。

  将来を約束され、何不自由なくお姫様のような扱いで育てられてきた彼女は、他に読み取った部員とは次元の違う人種。

  首からパチモン臭いウサギ柄のタオルを巻いた雑草のような奈央とは本来交わるはずもない存在なのだ。

  だから……

  「沙織さんは今日終わりですよね? 良ければ途中まで二人で一緒に帰りませんか?」

  沙織はパァと笑顔を見せると、嬉しそうに “はい” と頷いた。

  本来、彼女は家の車による送迎があるが、今日は合同練習の終わり時間が読めないためタクシーで帰宅することにしていた。

  当然その情報は奈央も把握している。

  家柄上、他の学友とは少し距離がある彼女にとって、友人と下校することはささやかな望みでもあった。

  [newpage]

  部員達を先に返し、着替えを終えた二人は学校を後にした。

  沙織の希望もあり、少し遠回りして駅へと向かう。

  その道すがら、奈央は沙織の思考を読みながら話題を振った。

  先程から何度も軽く振れ、思考を取得しているため沙織の考えは大体把握できている。

  店に寄っては買い食いし、他愛もない会話をしながら歩く二人。

  沙織は自分のしたかった事が叶い、とても満足そうな笑顔を浮かべていた。

  そして……

  「沙織さん、この裏路地の先に小さなアクセ屋があるんだけど行く?」

  「はい。 行ってみたいです」

  奈央は、沙織の手を取り裏路地へと入っていく。

  道はどんどん細くなり、右側は高い壁に囲まれ、左は工事現場だろうか白い幕が張られており、誰からも見られないような作りになっている。

  「あの、奈央さん? 道を間違えたんじゃ─── ひぃ!」

  少し前を歩いていた沙織が、奈央の方へ振り返ると彼女は引き攣った悲鳴を上げた。

  その視線の先には、真っ白に染まった奈央の顔があった。

  恐怖のあまり、沙織は反射的に後ろに下がり奈央の手を振りほいて逃げようとする。

  しかし、奈央と握っていた手が異常な力で引っ張られその場から動くことが出来なかった。

  「うそ… なにこれ……」

  二人の握っていた手が、融合しているかのように一本に繋がっている。

  さらに、真っ白く染まった奈央の腕からモゾモゾと白い寄生虫が這い出し沙織の手を侵食してきていた。

  「嫌…… 嫌っ、イヤー!!」

  沙織は、恐怖のあまり悲鳴を上げるがその眼前に奈央の顔がズイッと近づいてくる。

  その目は白く濁り、顔中がビッシリと白い線虫で覆われ蠢いていた。

  肌の色が白くなっていたわけでなく、夥しい数の白い寄生虫が奈央の顔を覆っていたのだ。

  「大丈夫、痛くないしないから。 あなたの情報をこの体に取り込むだけ。 すぐに終わるわ」

  奈央は、そう言って口を大きく開くと、その口から真っ白な寄生虫を吐き出した。

  ドバァッと、まるで白い雨のように沙織の顔面に夥しい数の線虫が降り注ぐ。

  「イヤー! 止めっ─── ゴボゴボボッ!」

  沙織の体は一瞬にして寄生虫に覆われ、次々と体内へ侵入していく。

  体内に入り込んだ寄生中達は、彼女の細胞や脳組織に取り付き、その構成情報を瞬く間に読み取っていく。

  ビクビクと痙攣を起こす沙織の体から、奈央の体へ様々な情報が流れ込む。

  (この子最高… 凄く優秀… 欲しい…… 欲しい… 欲しい欲しい欲しい! 全部欲しい!!!)

  沙織の体の隅々まで寄生虫が行き渡り、今までの彼女の人生、経験、記憶、思い、趣味嗜好、その全てが奈央の中に流れ込み混ざり合い一つになっていく。

  「おい、アンタらそこで何してんだよ」

  「お? いい歳した女子高生が喧嘩か? 随分激しいなオイ」

  頭上から柄の悪い声が聞こえた。

  奈央は、ゆっくりと声のする方へ振り返る。

  工事中の建築現場に設置された足場の上から、二人の作業員と思われる男女がこちらを覗いていた。

  「うわっ、アンタ何だよそれ!?」

  「嘘だろ… あれ人間じゃねぇぞ!?」

  奈央の姿を見た作業員達は、顔を引き攣らせ怯えた表情を見せる。

  二人は奈央の顔面が白く染まり体表を白い寄生虫に覆われている姿を見てしまった。

  そして沙織を襲っている所まで。

  「チッ」

  奈央は舌打ちすると、彼らのいる足場に繋がった単管パイプに目を向けた。

  (殺すか)

  右手をパイプに触れ、構成情報を読み取り素材の構造変更を行う。

  その途端、足場のパイプは飴細工のようにグニャリと曲がり細かい砂に変ると二人がいる足場を落下させた。

  ドサッと、二人が地面に叩きつけられる音が耳に届く。

  落下してきた二人は呻き声を上げながらも、なんとか立ち上がろうとしていた。

  しかし、奈央はそんな二人を睨みつけ、一緒に落ちてきた大量の砂を本来のパイプに戻すとそれを拾い上げる。

  「捕食の邪魔してんじゃねーよ!!」

  奈央は、そう怒鳴りながら鉄パイプで作業員の腹を殴りつけて動きを抑えた。

  そして、全身から寄生虫を噴出させ彼らの体内へと侵入させる。

  二人の作業員は声にならない悲鳴を上げながらビクビクと痙攣を起こし始めた。

  「死んで詫びとけ」

  奈央は無表情のまま、そう吐き捨てる。

  その意志に従い、二人に侵入した寄生虫が彼らの生命活動を強制的に停止させた。

  ビクンと痙攣を起こした二人の体から、寄生虫が這い出し奈央の体へと戻っていく。

  万が一の事を考え、彼らから取得した情報をその身に取り込んだ。

  「ったく、折角お嬢様の情報を取り込んで良い気分に浸ってたのに、最低なもんまで食わせやがって…… 気分悪っ」

  奈央は、そう吐き捨てると沙織に目を向けた。

  そこには、まるで蛹のように全身を白い寄生虫に覆われた彼女の姿があった。

  どうやら、奈央の怒りに伴う興奮に合わせ寄生虫の増殖が促進されてしまったようだ。

  奈央は沙織の体から寄生虫を消去すると、何とも言えない表情を浮かべる。

  「あちゃ~ 彼女は捕食後に記憶改竄して生かしておくつもりだったのに……」

  そこにあったのは、もはや人とは言えない白い塊。

  細胞自体が暴走した寄生中によって作り替えられ、人としての… いや、地球上の生物としての要素は微塵も残っていなかった。

  「う~ん……」

  しかし、奈央にはこの物体に自分の構成情報が遺伝されていることが何となく理解できた。

  それは自分の細胞と寄生虫から生み出された、言わば奈央と同じ構成物なのだから。

  「試してみようかな」

  奈央は、その肉塊に沙織の構成情報を展開してみた。

  直後、ボコボコと肉塊から芽が吹き、そこからさらに細胞分裂を繰り返し増殖し人の形を形成し始めた。

  そして……

  肉塊が成長を終えると、そこには今さっきまでそこにいた少女の姿があった。

  それは、先程まで一緒にいた盛夏服を着た社家沙織。

  「あ~… ふふっ」

  目の前に現れた沙織は、不気味な笑みを浮かべフラフラと左右に体を揺らしながら奈央に顔を上げた。

  だらしなく開いた口や耳からは寄生虫がウネウネと這い出し、瞳は白く濁っている。

  「「凄い! 私分裂した! あははっ!」」

  奈央と、沙織の姿を持った人物は、同時に同じ言葉を発しケラケラと笑い出す。

  二人の意識は完全に共有され、互いの情報も手に取るように分かる。

  性格、趣味嗜好、思考や記憶も全て。

  最早、二人の間の意思疎通に言葉は必要なかった。

  「「これ面白い!」」

  二人はもはや完全に同じ存在であり、分裂とも肉体や精神の乗っ取りとも違う、生物の概念を超えた存在となっていた。

  彼女らは体の主導権を奪うことも不要でありそれは何の意味も持たない。

  想像以上の結果に、奈央は自分の体が概念さえ通用しない化物に変わってしまったことを再確認し、喜びに打ち震える。

  この体は奈央をベースにいくらでも増やすことができる。

  奈央は自分に寄生した生物の意図が一つ理解できた気がした。

  人間は自身が自己増殖するための食料以外の何物でもないことを……

  「私、完全に化物になったね」

  「でも、どうして静物の情報まで取り込めるんだろう?」

  答えは出なかった。

  しかし、今はそれよりも気になることがあった。

  二人は地面に転がった作業員の死体に目を向ける。

  「この場にいる事を誰かに見られると面倒だし帰ろっか」

  「聡と早くエッチもしたいし」

  奈央と、奈央の分裂体となった沙織は仲良く手を繋ぎながらそれぞれの自宅へと帰っていった───

  [newpage]

  部活を終え自宅に戻ってきた聡はベットで横になりながら奈央の帰りを待っていた。

  明日は土日、しかも両親は戻ってこない。

  今日の朝、奈央から休み中は体力の限界まで愛し合おうと言われた。

  顔を赤く染め甘い吐息を吐きながらそんな事を話す奈央の姿を思い出し、聡は下半身がムクムクと大きくなっていくのを感じながら枕を抱きしめる。

  (早く奈央に会いたい)

  目を瞑り、聡は愛しい恋人の事だけを考えていた。

  そして、ガチャッという玄関の開く音が聞こえ聡は目を開ける。

  階段を昇ってくる足音が聡のいる部屋の前で止まると、ゆっくりと部屋の扉が開いていく。

  「ただいま戻りました」

  「お帰り奈央…… え?」

  目の前には奈央でなく、見知らぬ女子高生が立っていた。

  白いワンピース風の制服に身を包み、スクールバッグを両手で膝下に抱え上品な笑みを聡にに向けている。

  その顔立ちはとても整っており、清楚な雰囲気が漂っていた。

  「えっと… どちら様でしょうか?」

  「ふふっ、聡さんったら。 奈央ですよ。大切な彼女を忘れないでくださいね」

  彼女は、嬉しそうに照れ笑いを浮かべて聡の隣へと腰掛けてきた。

  その動作や話し方は、普段の奈央とは違いとても上品で、聡はつい見惚れてしまう。

  「……。 あぁ奈央か。 確かに… うん。 奈央の香りがする……」

  聡の頭にピリッと電流が走った。

  奈央の香りが、彼の中にある何かを刺激した。

  それは、本能に近い何かだ。

  鼻を伝わってくる甘い香りではなく、聡の遺伝子が奈央を識別した香りだった。

  「それ、和桜女子の夏服だよな。 可愛い」

  「ふふっ、よくご存じですね。 盛夏服と言うようです」

  奈央は、聡に褒められたことが嬉しいのか頬を緩めて膝の上で指を踊らせながら体をモジモジとさせる。

  その仕草が愛らしく、つい見惚れてしまうほど魅力的だ。

  「正真正銘、名実ともに清楚なお嬢様ですよ? 弓道部員なので道着姿にもなれますが…… 昨日沢山楽しみましたし、今日はこの格好で愛し合いましょう? 聡さん」

  奈央は、そう言いながらスカートを僅かにたくし上げ、清楚な白パンを見せつける。

  そんな行動を取る自分が恥ずかしいのか、頬を真っ赤に染め上げ瞳を潤ませた視線を聡から逸らした。

  可愛すぎる。

  聡が思い描く清楚なお嬢様を体現したかのような奈央の行動に、聡の股間が急速に膨張を始めた。

  このままでは、今にも彼女を押し倒しそうな勢いだ。

  しかし、その思考を先に察知したかのように彼女は聡へ優しく口づけをする。

  柔らかな唇が、聡の理性を溶かし尽くし、体が無意識に動き出して彼女を押し倒してしまった。

  まるで、そう動くのが自然だと言わんばかりに……

  彼女は、仰向けに押し倒されながら熱っぽい瞳で聡を見上げている。

  「奈央… で良いのか?」

  「はい。 本当は社家沙織という名ですが、この場では奈央とお呼び下さい」

  二人は、互いに顔を寄せ合い唇を重ねた。

  今度は奈央の方から舌を聡の口へと這わせる。

  ねっとりと互いの舌を舐め合うように絡ませ、二人の唾液が混ざりあった口内でクチュクチュと音を響かせながらお互いの脳を犯していく。

  そして、奈央の唇が聡から離れた時、互いの口を繋ぐように透明な糸がつーっと伸びた。

  「…して」

  彼女は、恥ずかしそうに頬を染め聡から顔を逸らし呟いた。

  ほとんど吐息のようなその声。

  それは聡の脳を刺激し理性を一瞬で焼き切る。

  すでに完全に勃起した肉棒が、彼女の白いパンツへと押し当てられた… はずだった。

  しかし、伝わってきたのはヌルリと愛液に濡れた柔らかな肉の感触。

  聡は ふぇ? とその感覚に驚いて思わず変な声を出してしまう。

  彼の肉棒は直接秘所へと押し付けられていた。

  「準備は出来ています。 そのまま挿入して下さい、聡さん」

  奈央はそう言うと足をM字に開き、秘所に聡の肉棒を擦り合わせる。

  彼女の膣口は愛液で濡れそぼり、淫らに糸を引きながら聡の亀頭とこすれ合っていた。

  んっ… と彼女の口から甘く可愛い声が漏れると、聡の肉棒がその誘惑に勝てず膣内へと侵入を始めた。

  「ん! んあぁぁあああ!」

  彼女は、口に手を当て体を仰け反らしながら声を上げた。

  ツプッと、亀頭が肉壁を内側から押し上げ更に奥へと突き刺さる。

  秘所からツーと赤い血が流れ、聡の太ももをつたってシーツに赤いシミを作った。

  「処女… だったのか?」

  「はい。 私も聡さんに初めてをもらって頂けて幸せです」

  “も” という言葉に聡は引っかかりを覚え、沙織の潤んだ目に視線を合わせる。

  彼女はクスッと笑みを溢すと、体を起こし聡に優しくキスをした。

  「中村早紀も、私… 奈央も聡さんが初めての異性ですよ? こんな風に失血はしませんでしたが」

  そう言いながら、沙織は腰を動かし始めた。

  柔らかな膣壁が、聡の肉棒を程よく締め付けながら愛液で濡れたヒダで絡みつく。

  彼女の腰が動く度にグチュっと淫猥な音が鳴り響き口から甲高い嬌声が上がる。

  「たった2日で3人の乙女の初めてを奪うなんて、聡さんはとんだ野蛮人ですね」

  「ごめん。 知らなかった」

  彼女は聡の首に腕を回し彼の耳元へ口を近づけると、甘く蕩けそうな声で囁いた。

  「謝らないで下さい。 私は、聡さんに奪って頂けた事が幸せなんですから」

  その囁きが、聡の理性を完全に破壊した。

  彼女を押し倒し、腰を一気に突き下ろす。

  今までよりも強く激しく、彼女が壊れてしまうのではないかという勢いで聡は腰を振り始めた。

  グチュングチュンと音が響き、二人の股間から蜜液が溢れ出てくる。

  彼女の甘く良い匂いが鼻腔を通り脳内へと流れていくたびに、聡の感情は支配され欲望のままに腰を突き上げる。

  それは、奈央に支配された沙織も同じだった。

  その清楚で知的な雰囲気とは相反し、彼女の膣内は聡の肉棒を締め上げ射精を促そうと彼の亀頭を力強く締め上ていく。

  二人が互いに腰を振り、互いの肉体を激しく貪りあううちに体の奥から熱いモノが込み上げてきた。

  聡の肉棒がビクビクと震え、何かが出そうな感覚を訴え始める。

  沙織は聡の体へ足を回しぎゅっと抱きつくと、膣を今までよりも強く締め上げた。

  「出して下さい! 私の顔を見ながら、私の体を聡さんの精子でマーキングして下さい!」

  聡の前に広がる沙織の顔が、ボコボコと波打ちはじめる。

  そして、シューと煙が上がるとその顔は奈央の顔になっていた。

  しかし、それ以外の部分は沙織のままであり、口調も体も、秘所も沙織のままである。

  「奈央! うっ!!」

  「聡さぁーん!! んあっ!」

  白く美しい奈央の顔で、沙織の体が聡の欲望を全て受け止めようと膣を限界まで締め上げた。

  その締め付けが、一押しとなり聡の欲望が吐き出される。

  ビュルルル! と勢いよく吐き出された白濁液が、彼女の中へと流れ込んでいく。

  彼女は恍惚の表情を浮かべながら全てを受けた。

  そして、二人が同時に力を抜き体をベッドに横たえると、息を荒げながら互いに視線を絡め、どちらかともなく再び唇を重ね合わせた。

  舌と唾液が絡まり合う淫靡な音が脳内に直接響き渡るように強く音を立てる。

  長く、濃密で愛情に満ちたキスを終えた時には二人は肩で息をしていたほどだ。

  「はぁ… はぁ… ねぇ聡、私もっとセックスがしたい」

  彼女の体つきは沙織のままだが、口調が奈央のものに戻っていた。

  そして、仰向けになりながら片足を大きく開き膣口を広げる。

  先程出したばかりの白濁液がドロッと溢れ、蜜口からは愛液が流れ落ちてきた。

  まるでお漏らしをしたかのような濡れ方だが、その下にある秘裂はピクンピクンと可愛らしく痙攣している。

  「ああ、俺も同じだよ。奈央をもっと満足させてやりたい」

  「嬉しい。 でもこの体はもう限界みたい」

  彼女は、体をプルプルと震わせ力尽きたかのように大の字でベッドに倒れ込んだ。

  「少し休むか?」

  聡が奈央の頬へ手を当て汗で張り付いた髪をどけていると、奈央はその手を強く握り締めた。

  彼の気持ちが流れ込んでくる。

  もっと奈央を楽しませてやりたい。

  もっともっと、彼女を愛したい。

  そんな感情が手に取るように伝わってくる。

  奈央は、そんな彼の気持ちに嬉しさが込み上げてきた。

  聡の願いを叶えてあげるためには、まずはこの体をどうにかしないと。

  本来の奈央の体に… それとも感じやすい中村早紀の体……

  いや、もっと力強いセックスがしたい。

  その時、奈央にある考えが浮かんだ。

  自身の体に吸収した人間の情報を引き出し精査を始め…… 見つけた。

  奈央はニヤリと口角を上げると、ベットから起き上がり秘所から白濁とした液体を垂らしながら少し距離と取ると、聡の方へ振り返った。

  [newpage]

  「ねぇ聡、こんなのはどうかな?」

  彼女はそう言いながら、全裸の姿を見せつけるように両手を広げ妖艶な表情で微笑んだ。

  直後、肌の色がまるで日に焼けたかのように小麦色へと変わり、奈央の腕と脚がピクピクと震え血管が浮き上がり始めた。

  そして、浮き出た太い血管に沿ってボコッと一気に膨れ上がると、それに合せるかのように肩幅がメキメキと音を上げて広がりを見せる。

  胸を押し上げて筋肉のラインが浮かび、腹部がボコボコと収縮を繰り返しながら次々と割れ目を作って、腰周りを広げてく。

  「かはっ!」

  急激な肉体の変化に堪えきれず、奈央が両膝をついて四つん這いになると背中がメリメリと厚みを増して隆起を始めた。

  背中の筋肉が中央に深い溝を作りながら凹凸を増やし、ハッキリとした輪郭をもつ背筋が出来上がる。

  聡はその光景を口を開け呆然と眺めていた。

  「ふぅ… ふぅ……」

  奈央は、息を荒げ口から涎を垂らしながらゆっくり立ち上がると、そこには一回りも二回りも体格が良くなり褐色に染まった裸体があった。

  彼女の呼吸に合わせ分厚い胸板が上下しているのが聡の目に映る。

  奈央の体からは先程までの女性らしいボディラインが影も形もなくなり、筋肉で覆われた屈強な体へと変貌を遂げていた。

  両腕は力瘤を作るように筋肉が隆々と膨れ、バキバキに割れた腹筋が見事なシックスパックを作り出している。

  血管がミミズのように全身を駆け巡り、女の子とは思えないような分厚い腸腰筋が腰回りを押し広げ、あきらかに聡よりもウエストが太くなっていた。

  顔は奈央のままであるが、褐色に焼け目元が鋭くなり髪の毛も脱色したように金色に染まっていた。

  まるで格闘家を思わせる容姿に変貌した奈央は、腕や脚を曲げ伸ばしながら自分の体を確かめている。

  「この体、凄っご」

  奈央は自分の体が想像以上に強化された事に興奮を覚えずにはいられなかった。

  この体ならどんな激しいセックスも耐えられる。

  そして、聡に今まで以上の快感を与えてあげられる。

  「確かに凄いな…… まるでボディービルダーみたいだ」

  聡は奈央の体を見て、思わずそう呟く。

  奈央は聡の言葉を聞いてニヤッと笑うと、首を横に振って否定した。

  「そんな見せかけの体じゃないよ。 この筋肉は自然に作られた天然物なんだから」

  奈央はその屈強な肉体を見せつけるかのように両手を広げた。

  次の瞬間、体の上に次々と服が構成されていく。

  足下が膨らんだ独特な形状をしたズボンと足には地下足袋を履き、上半身に和柄の派手な柄がプリントされたシャツを纏っていた。

  頭にタオルを巻いたその姿は、まるで真夏の現場上がりのように汗でぐっしょりと濡れ、激しく汚れた格好をしている。

  ドッシリとした体格とその風貌は、どこから見ても柄の悪そうなガテン系の肉体労働者だ。

  「鉄骨鳶だって。 すっごくやんちゃなセックス大好きアバズレ女鳶職人。 この体、マジでエグいよ?」

  奈央はニヤッと笑いベットに戻ると、舌なめずりをしながら聡に近寄っていく。

  彼女の体から汗の臭いに混じって鉄さびや土のような匂いが漂ってきた。

  そして、獲物に食らいつくかのように聡に覆い被さると、そのまま唇を重ねる。

  キス… とは呼べない激しいそれは、ズゾゾゾッ、ジュルジュルという生々しい音を上げ、貪欲に聡の唾液を吸い上げながら口腔を犯していく。

  一瞬で唾液は泡立ち、聡の口の中に汗の塩辛さと鉄の錆び臭さが口いっぱいに広がった。

  「ぷはぁ……」

  奈央は唇を離すと、口元から白く泡立った唾液が糸を引き聡の顔へと滴り落ちた。

  彼女は口元を手首に巻いた手甲で拭うと、今度は聡の顔を舐めまわし始める。

  首筋から耳まで激しく何度も往復し、聡の顔がベチャベチャに濡れていく。

  「ちょ、奈央… 激し……」

  聡は、あまりにも激しい奈央の口撃に戸惑いを見せた。

  しかし、奈央は構わず聡の耳の穴へ舌を差し込んだ。

  グチュッグチョッ! ピチャッピチャ……

  鼓膜のすぐ側で卑猥な音が響き、聡は体をビクつかせる。

  奈央はそんな彼の様子を楽しむと、舌を抜いて耳元で囁いた。

  「確かにアタイだけこの体じゃ不公平だよな。 アンタも変えてやるよ」

  「え?」

  その声は確かに奈央のものであった。

  だが、口調が明らかに違う。

  聡が戸惑いを見せた瞬間、彼の体に異変が起きた。

  肌の表面がまるで焼けるように熱くなり、血管がボコボコッと脈打つように浮き出てくる。

  自分の意思とは関係なくガタガタと体が震え出し、まるで体の中で何かが暴れ回っているかのよな感覚に襲われた。

  そして───

  ボコン! ボコボコッ!

  体中が内側から膨張するかのように一気に膨れ上がると、肌の色が徐々に褐色へ色を変えていく。

  腕や脚の筋肉が一気に盛り上がり、胸板もどんどん厚みを増す。

  体を包む筋肉がギュッと引き締まりながら、体の至る所で隆起を繰り返し鋼のような筋肉を形成していく。

  腹筋が割れ背中にも筋肉の溝が出来ると、聡の体は瞬く間に筋肉で覆われた屈強な肉体へと姿を変えていった。

  「はぁ… はぁ…」

  体の変化が終わった聡は、荒い呼吸を繰り返している。

  ゆっくりと自分の体を見回すと、そこには奈央よりも黒く肌が焼けた自分の姿があった。

  全身から汗が噴き出し、額からはポタポタと玉になって落ちてくる。

  そして、聡は気付いた。

  自分が今どんな状況になったのかを。

  それは、奈央が変貌を遂げた時に見たものと同じだった。

  頭にはタオルを巻き、元の色が分からないほど汚れたダボダボのズボンとボロボロにすり切れた地下足袋を穿いた肉体労働者の姿。

  しかし唯一、奈央と違う部分があった。

  聡の体に更なる変化が訪れ、ジューと焼けるような音と煙が体全体から立ち昇る。

  「くッ!」

  チクリとした痛みと共に、体の至る所から焼けたような痛みが伝わってくる。

  全身の皮膚に様々な色が混ざり合った不思議な模様が次々と浮かび上がり、まるでボディペインティングをしているかのようだ。

  赤、青、黄色、緑……

  他にも数種類の色が彼の体に模様を刻んでいく。

  そして────

  「ふぅ… はぁ~……」

  痛みが引き、同時に煙が収まると彼の体には鮮やかな刺青が刻まれていた。

  それはタトゥーのような生やさしい物ではなく、彫り師が魂を込めて入れ込んだような迫力のある和彫り。

  龍や般若といった色鮮やかな図柄が、ビッシリと体を覆っている。

  胸や腹だけでなく腕から手首に掛けても彫り物が施され、地肌が見えない程、まさに全身を覆い尽くした見事な総身彫りだ。

  パンプアップして血管が浮き出したその体は、刺青の柄をより鮮明に浮き立たせ、今にも飛び出してきそうなほどの迫力に満ちている。

  その光景に聡は目を奪われていると、奈央はクスッと笑みを浮かべながら言った。

  「気性が荒くて喧嘩っ早い、筋金入りの根性悪。 毎日筋トレで鍛えてっから力は半端ねぇらしいよ。 当然コッチも桁外れらしいし」

  そう言いながら、奈央は聡の股間に手を伸ばしズボン越しにペニスを掴んできた。

  既にズボンはテントを張っており、その大きさは自分の物とは思えないほどの大きさになっている。

  「こりゃすげーや。 何だよこのヤベー体」

  聡の口調が普段と違い、柄の悪い男っぽいものになっている。

  奈央は、聡の気持ちや記憶はそのままに、この肉体を持っていた男の性格を彼の人格に混ぜ合わせ融合させたのである。

  それは奈央自身に施しているものと同じで、自我は失わないよう調整をしてある。

  特に違和感を感じる事なく変化した自分の肉体を受け入れた聡は、興奮を抑えきれないのか息を荒くしながら、自分の体を撫で回していた。

  「悪ぃけど奈央、今日は加減できそうにねーぞ。 マジでヤッベーぞ、この体」

  聡は、鋭い目つきで奈央を見据えながらそう告げる。

  奈央は、“男” を絵に描いたような性格とガタイに変わった聡の姿を舌舐めずりしながら見つめ、ニヤッと口角を上げた。

  「現場上がりの聡の姿、最高。 そんな男の体を見せられたらオマンコ疼いてビッチャビチャよ。 今日は寝させないから覚悟してよね」

  「はっ、言ってろ。 一突きでヒーヒー言わせてぶっ壊してやんよ」

  二人は、まるでお互いを挑発するかの様に柄の悪い言葉を交わすと、激しく唇を重ね舌を絡め合った。

  それは愛を確かめる優しいキスとはほど遠い激しいディープキス。

  互いの唾液を交換しながら、貪欲に相手の舌を求め続ける。

  やがて、唇を離すと二人の間に泡だった唾液の糸が引いた。

  聡は、汚れた作業服に身を包んだ奈央を見ると、呆れたように口を開いた。

  「ったく、汚ったねー格好しやがって。 これが10代の女子高生のする格好か? 」

  「アタイはアンタと同じガテン系の肉体労働者。 鳶服と地下足袋が制服よ」

  聡は、はッと鼻で笑うと奈央のダボシャツに手をかけ一気に引き裂いた。

  ビリリッ! と布が裂け、奈央の屈強な裸体が晒される。

  「ったく、女とは思えねぇな~ 何だよこの体は」

  「女なんてとっくに捨てたわ。 でも… 確かに自分で見てもヤバい体よね。 アンタ以外この体を満足させる事が出来る男はいないだろうし」

  奈央は、聡に見せつけるように腕に血管を浮き上がらせて力瘤を作った。

  その体は見事なまでに筋肉で覆われており、ムキムキというよりバッキバキといった表現が正しいだろう。

  そして、それは聡の体も… いや、それ以上に凄まじかった。

  奈央は聡の胸元から腹部にかけて描かれた龍の刺青に手を伸ばし、指先でそっとなぞっていく。

  そして、聡を押し倒しズボンをずらすと飛び出すように現れた肉棒にしゃぶりついた。

  ジュルルル… ジュポッ… ズボボボッ

  卑猥な音を響かせながら激しく頭を上下させ、舌で亀頭の裏スジを刺激する。

  そのまま激しくピストンを繰り返していた奈央はペニスを一度口から引き抜き聡に懇願した。

  「突き刺して。 喉の奥まで突いてめちゃくちゃにして」

  奈央は聡の腰に手を回して再び彼の股間に顔を埋めると、更に激しくペニスを貪り始める。

  聡は奈央の望み通り、彼女の後頭部を押さえつけ激しく腰を突き上げ始める。

  「いいぜ。 奥までぶっ込んでやるよ! その口マンコでしっかり受け止めろや! オラァッ! 」

  聡は両手で奈央の頭をがっちり掴むと腰を突き上げ、噴き出すように射精した。

  「んぐ… ジュルジュル… ぶッ! んん~」

  グビュビュビュと大量に放たれる精液を奈央は口に頬張り、味わうようにして飲み込んでゆく。

  「ふごい量... 聡の特濃ザーメン、トロトロでいやらしい臭いがして頭おかしくなりそう」

  満足そうに口角から溢れ出た精液を垂れ流し、ズボンを下ろすと自分の秘所を聡の口の上へと持って行く。

  「なんだよ。 何もしてねーのにぐっしょりじゃねーか。 こんなにトロトロにヒクつかせやがって、女捨てたんじゃねーのか?」

  聡は愛液と汗でびっしょりと濡れた奈央の秘所へ舌を伸ばすと、溢れ出るマン汁をジュルジュルと嫌らしい音を立てながら舐め回す。

  「今のアタイは快楽だけを求めるメスの獣よ。 アンタもオスなら発情したメスを屈服させてみなさいよ」

  「ったく、ガテン女になるだけじゃ飽き足らずに、とんだ淫乱なメスの獣に成り下がったもんだぜ」

  聡は両手で奈央の秘所をバックリ開くと、秘所に口を付け高速で舌を出し入れし舐め回していく。

  グチャグチャに濡れてヒクついた秘所からは濁った汁が吹き出し、肉壁は激しく収縮を繰り返していた。

  奈央は、全身を襲う快感で聡の顔に股間を押し当てたままガクガクと腰を動かし、体を硬直させる。

  そして、膣壁が動きに合わせてヒクつきながら激しく収縮を起こすと、同時に大量の潮を吹き出し聡の顔を濡らす。

  潮を吹き出した後も奈央は腰を振り続け、ブシュッ!ブシュッ!と何度も潮を吹き全身を痙攣させながら絶頂を迎えた。

  「ねぇ、もう我慢できない。チンポ頂戴。 聡のデカチンをアタイの淫乱イきマンコにぶち込んで」

  「はッ、気持ちよすぎてブッ壊れんじゃねーぞ!」

  聡は体制を変え、奈央の足を抱え込むと一気に剛直を根元まで差し込んだ。

  ズブゥッ!! 膣壁が押し広げられ、子宮口を直撃した瞬間、奈央は一瞬意識が飛びそうになるほどの快感に襲われた。

  「凄っご… 聡のチンコ、形までハッキリ分かる……」

  「ったく淫乱すぎだろこの欲しがりマンコが。 精子欲しくてもう子宮が降りてんじゃねぇか」

  奈央は腰をグリグリと動かし、聡の巨根を味わうかのように膣壁を擦り上げる。

  聡は奈央の両足をガッチリと掴み、勢いをつけ激しくピストンを始めた。

  ズブッ!ズボッ!グチュンッ!!

  子宮をガン突きしながら腰を力強く突き上げ、亀頭が抜ける寸前まで引き再び一気に腰を突き上げる。

  一球… いや “一突入魂” といった言葉が相応しい程に一突き一突きが力強く、重く、そして深い。

  その一撃で確実に子宮を抉り、責め立て、聡の剛直の形と大きさを奈央の体に刻み込む。

  奈央の膣が凶暴な肉棒の動きを受け入れる為に愛液を次々と分泌し、二人の結合部は淫猥な汁で泡立ち、ブチュブチュと下品な音を響かせている。

  奈央の腰はガクガクと震え、だらしなく開いた口から唾液を垂れ流し完全に快楽に堕ちたメスの顔になっていた。

  「イッてる! おマンコイ”ッてるぅ~ ッ! イグの止まんない”ッ!! もっと! もっと突いてェ~!! あ”あ”ぁ!!!」

  「オラオラオラオラ! どうだ最っ高に気持ちいいだろぉがッ!! こんな前戯で勝手にぶっ飛んでんじゃねぇぞ!!」

  パンッ! パァンッ! と激しく腰を打ち付ける度に、奈央の胸がブルンッブルンッと激しく揺れ動く。

  その光景を見た聡は、奈央の乳房を鷲掴みにして揉みしだき乳首を指で荒々しく弄り倒した。

  奈央は嬌声を上げながら聡の激しい行為に応える様に、ピストンに合わせて自分からも激しく腰を振り乱す。

  「あ”~ 聡ぃ! もっと激しく! この体まだまだ全然イケるから! もっともっと荒々しく犯してぇ!!」

  奈央の言葉を聞いた聡はニヤリと笑うと奈央の両足を肩にかけ、彼女の股間を押し付けるように覆いかぶさる。

  そして、全体重を乗せて真上から奈央の子宮を潰すかのようにペニスを深く突き刺した。

  その瞬間、奈央の目の前が真っ白に弾け、ぷしゃぁぁぁ!と再び大量の潮を吹きながら絶頂を迎えた。

  しかし聡はピストンを止めず、潮を吹き出し絶頂している最中も激しく腰を動かし亀頭で子宮口をこじ開け、中にねじ込もうと突きまくった。

  その激しさは、今までの比ではない。

  まるで、内臓を引きずり出されそうな感覚に陥るほど激しいものだった。

  荒々しくて、まるで自分の快楽だけを貪る野獣のような一方的なレイプ。

  しかし、奈央はそんな聡の野性的なセックスに興奮していた。

  まるで獲物を喰らう肉食獣のように、ただひたすら奈央を求め犯し続ける普段とは違う聡の姿。

  奈央はその光景にゾクゾクと背筋を震わせる。

  それは恐怖などではなく、自分が心酔する男の、野獣の本性を垣間見た事への興奮であった。

  (この体、取り込んでおいて良かった……)

  「っしゃ、出すぞ! 子宮口開けろやぁ!」

  「開けた! 開けたから中に出して! 熱いのいっぱい注いで! 全部飲ませてぇ!」

  聡の体が激しく震えると、奈央の子宮に大量の熱い子種が注ぎ込まれた。

  ドゥバァーッ!

  大量の精液が噴き出すように奈央の子宮を満たしていく。

  それと同時に奈央も再び絶頂を迎え、体がビクンと跳ね上がった。

  二人の体がミシッと音を上げて、筋肉が引き締まり血管がより太く浮き上がる。

  ビュルルッ!ビュルッ!

  なおも聡のペニスから吐き出される精液は勢いよく奈央の子宮へと叩き込まれてゆく。

  「第1ラウンドは終了だな」

  聡はペニスを引き抜き奈央の足を乱暴に下ろす。

  奈央の子宮に収まらなかった精液がドロォ……と膣内から逆流してくる。

  同時に奈央の股間から、ぷしゃぁぁぁ!と潮が吹き出した。

  (この体、最っ高……)

  奈央はうっとりとした表情を浮かべながら、自分の下腹部に手を当てる。

  そして、愛おしそうに撫で始めた。

  注がれた精液の情報を精査するも、聡の肉体改造を急激に行ったせいか彼の遺伝子情報は滅茶苦茶に乱れ、もはや人のものとは言えないような構造になっていた。

  できれば今の聡の構成情報を取り込みたかったが、今は諦めるしかなさそうだ。

  だったら……

  奈央は、射精しても未だ衰える事無くイキり立つ聡の肉棒を両手で握った。

  「まだ、出来るわよね?」

  「はっ、今言っただろ、第1ラウンドだって。 こっから本番だ、俺が満足するまで寝られると思うなよ」

  奈央は聡の返答を聞くと嬉しそうに微笑み、聡を押し倒して騎乗位の体勢で彼の上に跨った。

  既にヌルヌルどころかグチャグチャに濡れそぼった秘所は、簡単に聡の剛直を飲み込んでいく。

  そのまま腰を落とし根元まで挿入すると、奈央は聡の体に抱きついた。

  「次はアタイが攻めてあげるわ」

  奈央は妖艶な笑みを見せ、ゆっくりと、そして力強く腰を動かし始めた……。

  [newpage]

  すでに日は昇りきり、時計は昼前を示していた。

  空が明るくなるまで何度も何度もお互いを貪り合い、強烈な快感に満ちた獣のようなセックスを堪能した。

  その後、二人は泥のように眠りにつき、奈央が目を覚ますと聡の体の上にウマ乗りになった状態になっていた。

  互いの体は昨日のままガチガチの筋肉に覆われ、蒸しかえるような部屋のせいで、噴き出した汗が筋肉の溝や割れ目に水滴となって溜まりテカテカと光っている。

  聡のゴツゴツとした体の感触がハッキリと伝わり、柔らかさとは無縁の逞しい肉体が奈央に安心感と幸福感を与えてくれる。

  奈央は色鮮やかな入墨に覆われた聡の厚い胸板に頬を押し付けて、まだ眠っている聡を愛おしそうに眺めた。

  「昨日は凄かったね… 聡、男らしくて素敵だったよ」

  奈央は、昨日の事を思い出しながら聡の胸板にキスをした。

  聡の体から汗に混じって男の濃厚な匂いが漂ってくる。

  好きな男が放つ香りに奈央の子宮が疼き、思わず熱い吐息を漏らしてしまった。

  あれだけセックスしたと言うのに、この体はまだ性欲を滾らせている。

  「本当この体凄い。まだおマンコ疼いてる……」

  奈央は聡のペニスに手を伸ばし、優しくしごきながら彼の下腹部にキスをする。

  見る見ると膨れ上がる肉棒から、カウパー液が溢れ出した。

  その卑猥な臭いに吸い寄せられるかのように奈央は口を開いて顔を寄せた瞬間、彼女の視界が突然反転した。

  奈央の上に覆い被さるように聡の体が現れる。

  「朝から随分と盛ってんなぁ、奈央」

  ニヤリと笑う聡は、奈央の首筋に舌を這わせながら彼女の股間に指を這わせた。

  彼の性格はまだ昨日の荒々しいままだ。

  奈央は、そんな聡にうっとりとした視線を向けて彼の背中に両手を回すとギュッと抱きしめる。

  そして本来の奈央の性格に戻っていた自身の心に、再び女鳶の荒々しい性格を混ぜて再構築する。

  「寝起きの一発は、男の仕事じゃないの? 女にやらせたら男が廃るわよ?」

  奈央は、聡の首筋に舌を這わせながら挑発的な目線を向けた。

  聡はそんな彼女の腰をガッチリと掴むと、一気に体を持ち上げる。

  そして、ズドンと奈央を落下させ彼女の秘所に自身の剛直を突き刺した。

  「あっ… あ”あ”あ”っ……」

  奈央の体に電撃のような快感が走る。

  全身の筋肉が引き締まり、膣が聡の剛直を締め上げるようにギュッと収縮する。

  それと同時に、彼女の尿道からは大量の潮が噴き出した。

  潮を吹きながらガクガクと体を震わせる奈央の体を、聡は乱暴に抱きしめ激しく腰を動かし始める。

  太くたくましい腰と立派な腹筋、腕や足を包むように盛り上がる筋肉。

  それら全てが、昨日のセックスでさえも凌ぐ激しさのピストン運動を叩き込み奈央の膣壁を蹂躙していく。

  体中を突き抜ける暴力的とも言えるような快楽に、奈央は身を震わせながら叫び声を上げた。

  「あんッ! 聡、激しっ…… アンタ、寝起きでも容赦ないわねっ、あッ、んあ”ッ!」

  「あ? 奈央が盛ってんのが悪いんだろうが、この淫乱女が。 たっぷりミルク飲んで大人しくなれやッ!」

  奈央の子宮口をこじ開けるように、聡の亀頭がねじ込まれる。

  そして、ドプッ……と熱い精液が吐き出され、奈央の膣内を白く染め上げる。

  その熱に奈央も体を跳ねさせ、聡の体にしがみつく。

  子宮を満たす熱い精液を感じながら、奈央は深い絶頂を迎えた。

  聡は奈央から剛直を引き抜くと、まるで物のように彼女をベットの上に投げ出した。

  ドプッドプッ… と奈央の秘所から聡の精液が逆流する。

  奈央は荒く息を吐きながら、秘所に指を当て垂れ落ちる精液をすくい取り口へ運んだ。

  (決めた… 今日一日この姿で聡とデートしよ)

  [newpage]

  失敗だった……

  奈央と聡は電車に揺られて、一つ隣の繁華街へと向かっていた。

  車内はそこそこ混み合っているが、二人を避けるように席が空いている。

  現場上がりの汚れた作業服に地下足袋姿、聡にいたっては半袖シャツの下から見事な入墨が入った腕が見えるのだから。

  汚い。 怖い。 関わりたくない。

  そんな声が聞こえてきそうな程、二人は周囲の人々から距離を置かれていた。

  しかし、奈央が考えていたのはそれに対する恥ずかしさや、気まずさなどではない。

  現に二人は、周囲の迷惑も考えず足を広げて座席にふんぞり返るように座りながらイチャついている。

  奈央は、決定的なミスを犯していたのだ。

  今日は聡の彼女としての初めてデート。

  それを失念していた事に対して強い後悔を覚えていた。

  初デートは本来の姿と性格… 本当の奈央と聡で楽しむべきだ。

  こんな柄の悪い体と格好じゃなく、普段の自分に戻って。

  駅を降りたらすぐに構造変換をして、いつもの奈央と聡に戻ろうと心に決めた。

  と、思った矢先……

  若い男が奈央の前に現れた。

  「周りの迷惑になるから、大人しく座ったらどう?」

  年齢は二十歳前後だろうか、今時の大学生のような服装をしている。

  正義感満載の絵に描いたような好青年といった容姿だ。

  奈央は鋭い目付きでその男を睨みつけ、席を立ち上がろうとするが聡に腕を掴まれた。

  聡は奈央の代わりにゆっくりと立ち上がると、鋭い目で若い男を睨み付けながら彼の耳元で口を開いた。

  「俺の女をあまり怒らせない方が良いぞ。 オレ短気だからさぁ…… マジで殺すぞ」

  すると男はビクッと体を震わせて、小さな声ですいませんと呟き早足でその場を立ち去って行く。

  聡のドスの効いた低い声と威圧感に奈央は心が高鳴った。

  性格は少し弄って気性が荒くなっているが、奈央を自分の女として守ってくれた心は聡のもの。

  聡が自分の彼女である事を奈央は実感出来て嬉しかった。

  今まで感じたことのない、女としての喜び。

  (あぁ…… こういうのも悪くないかも)

  ◇

  駅を降りると、二人は人気のない場所で本来の姿と性格に戻った。

  やはり初デートは一生の思い出。

  どうしても本当の自分で楽しみたかったから。

  奈央は聡の腕に自身の腕を絡めると、恋人同士がやるような密着した体勢で歩き出した。

  周囲の視線が気になるが、今はそれよりも聡と一緒に歩く事が楽しい。

  そんな奈央を見て、聡は笑みを浮かべながら口を開いた。

  「奈央とこうやって一緒に歩くのが夢だった。 ありがとう、奈央」

  「え? えへ。 えへへ」

  奈央は、今まで見せた事のないデレッとした表情を浮かべながら、聡の腕を抱きしめるように組んだ。

  (はあぁぁ…… 幸せ)

  聡とのデート、そして初々しいやり取りに奈央は心満たされていた。

  彼がどんな姿、どんな性格であってもやっぱり聡は聡であり、奈央を心の底から愛してくれている。

  その事実だけで、奈央は胸がいっぱいになった。

  「聡… 好き。 大好きだよ」

  「俺もだよ、奈央。 愛してる」

  奈央はゆっくりと目を閉じ、顎を少し上げようとしたその時。

  聡の視線が彼女の顔から離れた気配を感じた。

  そして───

  「奈央さ~ん」

  上の方から聞こえた声に、奈央は背後にあったお店のような建物の2階に目を向ける。

  そこには、見覚えのある顔が奈央に向かって控えめに手を振っていた。

  和桜女子の弓道部員、橘 美咲だ。

  先日彼女には触れなかったため記憶の共有などは出来ていないが、他の部員の記憶を引き出して彼女の事を把握した。

  「橘さん、だったよね?」

  「覚えて頂けてたんですね。 嬉しいです」

  美咲は、笑顔でそう言うと聡に向かってお辞儀をした。

  大きな窓枠に手をかけこちらを見下ろす美咲は、白いドレス姿のようで頭にティアラのような物を付けている。

  彼女のいる建物にはバレエスタジオという看板が掲げられており、その建物の中で彼女はバレエの練習に励んでいたのだろう。

  他の部員達の記憶の中にも彼女がバレリーナとして舞台で舞っている姿が残っていた。

  「橘さんバレエをやっているんですね。 実は私バレエに興味があって… 見学だけでもさせてもらえませんか?」

  「本当ですか!? お時間があるようでしたら、ぜひ中にお入りください」

  美咲の嬉しそうな言葉を聞き、二人はバレエスタジオの中に入って行った。

  「奈央の知り合い?」

  「うん」

  説明が面倒なので、聡の頭に寄生させた線虫を介して橘美咲という少女についての情報を強制的に流し込む。

  聡は、へぇ~ とまるで奈央から直接説明を受けたかのように納得した。

  [newpage]

  バレエスタジオに入ると、そこには美咲だけでなく沢山の女の子達が各々の練習に励んでいた。

  美咲は二人の姿を見つけるとすぐに近寄って来る。

  ヒラヒラとした純白のチュチュを身に纏い、頭にヘッドドレスを付けている美咲の姿は絵に描いたようなバレリーナだ。

  彼女は奈央の側まで来ると、スカートを軽く摘みトウシューズに包まれた脚を少し持ち上げ上品にお辞儀をした。

  その優雅で美しい所作に、奈央は苛立ちを覚える。

  ただでさえ、聡とのイチャラブの間に割り込んできて腹が立っているのに、彼女の姿を見た聡の心が一瞬でも動いたことが許せなかったのだ。

  奈央の心の中はドス黒い感情で渦巻き、今すぐにでも彼女を殺したいという衝動に駆られていた。

  「橘さん凄く綺麗。 見とれちゃった」

  「お褒め頂きありがとうございます。 今日は舞台前の衣装合わせも兼ねた練習なので… 普段はもっと地味でとてもご覧に入れられるような物ではないんですよ」

  美咲は謙遜するようにそう言うと、聡に視線を向けニコリと微笑む。

  「お素敵な彼氏様ですね、奈央さん」

  「へへっ。 あっ、そうだ橘さん、お手洗いお借りしても…?」

  「勿論です。 ご案内いたしますね」

  彼女と話をしたいという意思を察したのか、美咲は軽くウインクをした表情を見せる。

  そして、二人は部屋を出ると廊下の突き当たりに設置された化粧室へと移動する。

  化粧室の中に入ると、美咲は誰もいない事を確認しニマニマした表情を浮かべて奈央の方へ振り返った。

  「奈央さんにあんな素敵な殿方がいたなんて私…… え?」

  彼女は、奈央の顔が視界に入るや一気に顔面蒼白になり身体を硬直させた。

  まるで、恐ろしいバケモノにでも会ったかのようにガタガタと体が震え始める。

  当然だ。

  奈央の顔はモゾモゾと蠢く寄生虫をビッシリと顔中に張り付かせた、おぞましいものだったのだから。

  「いや… いっ─── 」

  恐怖に引き攣った顔で美咲が悲鳴を上げようと口を開いた瞬間、奈央は彼女の両肩を掴み自分の口を彼女の口へと押し付けた。

  美咲はジタバタと手足を動かし抵抗するも、奈央の力にはまるで敵わない。

  彼女の目に映る瞳のなくなった白く濁る奈央の目が、笑うように細められる。

  次の瞬間、ドバッと彼女の口内に大量の寄生虫が放出された。

  声すら上げられず、あまりにもおぞましい感覚と激痛が美咲の全身を貫く。

  次々と体内へ注ぎ込まれる寄生虫は美咲の体内で細胞と融合しながら増殖を繰り返し、彼女の全身を瞬く間に支配した。

  激しく暴れ回っていた美咲の体の抵抗が弱まったのを確認すると、奈央は彼女の肩から手を離しニタァと笑みを浮かべた。

  支えを失いドサッと両膝をつき座り込んだ美咲は、顔を天上に上げながらガクガクガクと大きく震えている。

  「さぁ、生まれ変わりなさい。 私の分身として」

  直後、美咲の目から瞳が消え白く濁りピンッと背筋が伸びると、そのまま体が後ろに仰け反ってゴツンと後頭部が床に打ち付けられる。

  両脚と頭部を床に付け、大きく仰け反ったその姿は流石バレリーナ、体の柔らかさを見事に体現していた。

  そして、全身が一瞬激しい痙攣を起こしピタッと動きがとまると、美咲はゆっくり上体を起こしながらその場に立ち上がる。

  口から寄生虫をポタポタと垂らし、頭を二、三度左右に振ると、その顔を奈央の方に向けた。

  白く濁っていた目に黒い瞳が戻り、真っ直ぐ奈央を見つめながら彼女はゆっくりと口を開く。

  「これで橘美咲は “私” になった。 この姿も記憶も人生も全て “私” のものに」

  そう言うと、奈央と美咲は互いを見つめ合いながらニヤァと笑う。

  二人は両腕を高く伸ばし、まるで空中を舞い踊る妖精のようにその場でクルっと一回転すると、互いに向かい合って優雅に一礼した。

  その姿は洗練された美しいバレリーナそのもので、奈央の体にも美咲が融合された事を如実に表していた。

  「流石プリマ、素晴らしい体ね」

  「聡にも私のこの姿を見せて上げたい」

  二人はそう言うと、クスクスと笑いながら化粧室を出て行った。

  [newpage]

  橘美咲がプリマとして舞った演目を見学した後、奈央と聡は食事に行くためにバレエスタジオを後にする。

  美咲はこの後も夜まで練習があるようで、奈央達に挨拶を終えると中へと戻って行った。

  「随分と中が良さそうな雰囲気だったけど」

  「もちろん。 親友以上の仲… もはや一心同体、みたいな?」

  奈央の言葉に、聡はそっかと頷くと意識の端にいる美咲をもう一度確認する。

  それは、彼女に奈央の香りをわずかに感じたからだ。

  「安心して聡。 今日はプリマの私が聡の上で優雅に踊ってあげるから」

  奈央は聡の耳元で囁やきながら、彼の腕に抱きつくと自分の胸をわざと押し付けた。

  その柔らかく大きな双丘に、聡は顔を赤らめながら頷き奈央の顔を見る。

  彼の頭に中にいた美咲の顔が、奈央の顔に入れ替わったのを感じた。

  「綺麗だよ、奈央」

  「嬉しい……」

  奈央は、うっとりとした表情で聡を見詰める。

  彼には沢山私の気持ちを伝えたい。

  私の気持ちを全部受け止めて欲しい、私を誰よりも大切にして欲しい。

  だから、彼には人が味う事のできない楽しみを沢山与えてあげたい。

  自分にはそれが出来るだけの力があるのだから。

  聡を、私だけのものにする為なら何だってできる。

  彼の気を引くためなら躊躇なく人間をコントロールするし、捕食だっていくらでもする。

  聡は、私に優しいから人間を辞めた私でも愛してくれる。

  化物と化した私でも……

  しかし、その事を思った瞬間、奈央の心にふと黒い影が差した。

  【化物の私を受け入れているのは、私が聡の感情を操作しているから】

  (違う、彼は私がどんな化物になっても絶対に裏切らない)

  【人間は人を簡単に裏切る生き物。 長いものに巻かれ、保身に走り、ちょっとしたことでいとも簡単に手のひらを返す】

  (聡は… 違う……)

  【聡が人間である限り、私はこの先何度も何度も彼の情報を弄る事になる。 それは本当の聡なの?】

  (……)

  奈央の心がグニャリと歪む。

  【悩む必要などない、聡をずっと私の隣にいさせる方法がある。 それは私と同じように……】

  (【聡も人間を辞めれば良い】)

  奈央の心を縛っていた最後の糸のようなものがプツンと音を立てて切れ、ドロリと泥のような物が奈央の心を、魂を浸食し黒く染め上げた。

  スゥーと心の中から憑き物が取れたかのように気持ちが軽くなった。

  「奈央?」

  急に動きを止めた奈央を心配そうに聡は覗き込む。

  「ん?」

  「疲れたなら先に少し休もうか?」

  「大丈夫! さ、行こっ!」

  奈央は聡の手を取り、二人は街の中へと消えて行った。

  彼らが通った後には肉眼では分からないほど小さな寄生虫が地面に散らばり、街ゆく人の中へと入り込んでいく。

  寄生された人間が、その事に気付くことは永遠にない───

  第2話(終)