「触変」─ 地球外の生命体に寄生され異形へと堕ちていく少女のお話
第3話「[[rb:触変 > しょくへん]]」
私は今興奮の絶頂に包まれている。
全身が疼く。
胸の高鳴りを抑えきれない。
少しでも気を緩めたら、体中から触手を突き出し、周囲の人たちを襲ってしまうだろう。
別にそれでもいいけど、今は我慢だ。
私は肩から提げた鞄をギュッと握りしめる。
この中には夢と希望と浪漫が詰まっている。
そう、[[rb:淫女 > いんにょ]]先生の新刊 “触手[[rb:淫装遊戯 > いんそうゆうぎ]]” だ。
一秒でも早く家に帰って読みたい。
『本屋でパラパラと立ち読みしただろ。 お前の持っている他の本と同じように見えたが』
「はぁ~……」
私は呆れたような溜息をつく。
分かってないな~
(何を見てたの? 淫女先生初の触手鎧だよ? ヤバいって)
『……。 それは私の問いに対する返答になっていないのだが』
全く。
確かに触手物のエッチいマンガで間違いはない。
でも、今回は触手を使って悪と戦う少女騎士が主人公の物語なのだ。
触手が悪でなく善に回った。
これは革命に近い。
そして重要なのは今の私と状況がとてもよく似ているということ。
私は主人公と同じく、触手と融合した体で世を守り戦う正義の美少女ヒロインなのだから!
『……』
(何よ、文句あるの?)
『何も言っていないだろうが』
(ま、地球外生命体には分からないよね。 人間の感性なんて)
私は頭の中で悪態をついた。
『……。 この乱れは何だ…… 初めてのパターン、回路が焼き切れそうだ』
どうやら地球外生命体にも人間の感情が芽生えてきたらしい。
(まあ、それはどうでも良いんだけど…… ちょと臭うよね)
『そうだな。 家に帰ったらまずは風呂に入ることだ』
(そっちじゃないよ!)
『分かっている。 東に1キロといった所だな』
「おっけ~!」
私は周囲に認識改ざんの思念を放つと触手を体から突き出して走り出した。
沢山の足…… いや触手で走るその姿は結構気色悪い。
『あまりスピードを出すな。 認識改ざんが追いつかない』
(え~ 頑張ってよ。 逃げられたら面倒だし)
私はそう言いながらも触手を器用に動かし、高速で移動を続ける。
『この程度の処理すらギリギリとは今の自分が情けない』
(だったら欠片をもっと集めないとね!)
今でも凄い知識と力があるのに、欠片を全て集めて完全体になたらどんな事になるんだろう?
『時期お前にも分かる。 期待して待ってろ』
それは楽しみだ!
[newpage]
5分も経たないうちに目的地に到着する。
私は取り敢えず触手を仕舞ってから辺りを見渡す。
そして、臭いを探りながら人気のない路地裏に入り込んだ。
この辺なら人が入ってくることもないし、安心して楽しめそうだ。
「きゃー!!」
32メートル先から女性の悲鳴。
私は地面を蹴り上げ、触手から圧縮した空気を噴出させ一気に距離を詰める。
路地を曲がると、そこには尻餅をつき目の前にいる男を見上げる女性の姿があった。
女子大生位だろうか。
男は巨大なペニスを股間から突き出し、女性に覆いかぶさろうとしている。
間違いない、情報体の破片に寄生された男だ。
私は触手を勢いよく伸ばし彼女の体に巻き付けると、そのまま一気に引き寄せ自分の後ろへと運んだ。
女性は訳も分からずキョトンとした顔を浮かべている。
「ちょっとそこで待ってて、逃げられると面倒だから少し拘束するけど」
数本の細い触手を放って彼女を固定して動けないように封じた。
「……」
『どうした?』
(私って変身後は臭うんだよね?)
『それはもう凄いぞ』
これでも私は女の子、臭いと思われるのは心外だ。
私は彼女の鼻に触手を突き入れておいた。
これでよし!
『……その配慮は素晴らしいが、どうせなら目も隠してやった方が良くないか?』
「私の雄姿を目に焼き付けておいてもらおうと思ってね!」
私は男に向き直り、ある一点に視線を向ける。
「先輩よりも小さいけど、まあ合格。 私を全力で楽しませてね。 あはっ♪」
私は変身を解いた。
本来の姿に戻るために。
全身から触手が吹き出し私の体を包むと、ゴキゴキと音を上げて首が伸びていく。
「ひぃ!!」
後ろで拘束されている女性の悲鳴が聞こえる。
まぁ無理もない。
長く伸びた首を後ろに回すと女性が私を見て青ざめていた。
私は首の先端に付いた顔をもたげて彼女に向けて笑いかける。
うん、人外の化物っぽくていい構図だ。
「一応守るけど、殺しちゃったらごめんね。 あはっ♪」
彼女は絶望の表情をしている。
でもね、ここからが私の一番の見せ場だから!
直後、口から膨大な触手が噴き出し私の顔面を吹き飛ばした。
顔面がなくなった頭部がボコボコと変形し巨大な膣口へと変わると、全身に絶頂が走る。
口の中からは糊のような愛液がドプッと吹き出し、周りの壁や地面にへばり付いて凄まじい淫臭を放つ。
ふぅ……
やっぱりこれ、最高に気持ちいい~
『それは良かったな』
私は変身した姿を彼女に見せつける。
恐怖に震えたその表情、合格です。
でも、この人凄いな。
人間のくせに私のおぞましい…… いや、格好いい変身を見ても気絶しないなんて。
『おい、お前の相手はそっちではないぞ』
(分かってるよ)
私は目的の男性へと首を回して向き直った。
「お待たせー♪ んじゃ、いっくよ~!」
私は全身から生えた触手を一気に伸ばし男性の体を絡め取ると、そのまま持ち上げて引き寄せる。
私の膣口の目の前に巨大なペニスがくると、ゆっくりと膣と化した首の中へ咥え込んでいく。
あ~ 最高に気持ちいい……
全身から突き出た触手の先端から愛液が噴き出す。
ニュルッ…… グチョ グチュッ……
いきり立つ太くて長いペニスを首を収縮させて刺激を与える。
ゴポッ ゴポッ……
首の中が愛液で満たされ収縮する度に口から粘液が溢れ出す。
男はとてつもない刺激に悶えながら、腰を突き出し快感を得ようと必死になっていた。
そんな男の動作に私は満足すると、さらに強く締め付けペニスに無数の触手を打ち込み愛液を流し込んだ。
ビクッ! ドバァッ!!
ペニスが大きく跳ねた瞬間、男が射精を始めた。
大量の精液が子宮に流し込まれる。
私はペニスを更に奥深くへと突き入れ、締め上げながらさらに刺激を与え射精を促した。
ビュルルルーー!
(あ~ やっぱりぎもぢいい゛~ んあっ♪)
あまりの気持ちよさに首に力が入ってしまう。
ギュウゥゥ…… ビチャッ!!
肉が潰れる音が響き、彼の股間から血が飛び散った。
あっ、やっちゃった!
まだ始めたばかりなのに…… 男のペニスを膣圧で押し潰してしまった。
男の顔を見ると、白目を剥いてすでに絶命している。
こんなので死んじゃうなんて弱すぎるよ~ もっと楽しみたいのに。
『やってしまったものは仕方がない。 とりあえず喰っとけ』
(あいよ)
私は男を触手で隙間なく包み込むと一気に押しつぶす。
ボキベキッ グチャッ!
「うん、先輩の方が肉付きが良くて美味しかった」
『そうか……』
[newpage]
私は触手を引っ込め、女性に近づき触手の拘束を解く。
「あ…… な、なにこれ…… うっ!」
彼女は急に腹部を押さえると吐瀉物を吐き出した。
まぁこの惨状を見たらそうなるよね。
仕方ない。
気絶しなかっただけ凄いよ。
『いや、臭いの方だと思うぞ。 お前の体から放っている臭いで吐いたのだ。 これだけの臭いの中で気絶しなかったのは驚きだが』
(……)
臭い臭いって何度も言わないで。
私は一旦人間の姿へと戻る。
これなら大丈夫。 たぶん……
咳き込む彼女を横目に周りを見渡した私は、そこで信じられない光景を見てしまった。
「あー!!」
私の鞄が粘液塗れ!!
私の大切な本が……
鞄を開き念のため確認してみる。
ダメだ。
買ったばかりの “触手淫装遊戯” がドロドロの粘液塗れになってる。
その絶望的な光景を前に、私はガックリと頭を垂れる。
「あ、あなた…… 一体何なんですか。 さっきのは一体……」
女性が恐怖に満ちた顔で私を見つめている。
(あの人の記憶を消しておいて)
『喰わなくても良いのか?』
もうそんな気力ないよ。
今日はもうおうちに帰ってふて寝する。
まあ寝れないんですけど……
それに、多分だけど女性は脂身が多くて美味しくなさそうだし。
『そうか』
「はぁ~……」
私は、無残な姿となった“触手淫装遊戯” を鞄から出して表紙を軽く指先で撫でる。
ベチョッ
凄まじい粘性のある液体が指に付着した。
ダメだ。これ時間が経つと固まる系のヤツだ。
自分の愛液で固まった本とか、手元に置いておくほど私は変態じゃない。
買い直しかぁ~……
『では、改ざんの思念を送───』
「その本……」
女性が私の持つ本を震えながら指を指す。
私はギクッとして慌てて本を背中に隠した。
やばい。
取り乱していたけれど知らない人の前でこれは恥ずかしい。
「あっ、これはその何というか…… あはは(早くこの人の記憶を改ざんしてぇ!)」
『すぐやる』
「それ、私の本」
「え?」
「私、その本の著者で淫女って言います」
淫女? この人、今自分のことを淫女って言った?
淫女って淫女先生のことだよね?
それに、この本を自分の著書だと言った?
つまり…… この人は “触手淫装遊戯” を書いた淫女先生!?
(あーーー!!! 改ざんストップッーー!!)
『うるさい! 頭の中で騒ぐな!!』
うそ、この人が淫女先生!?
やばい、超可愛い。
さすが淫女先生。
こんなに若い人だったの!?
洋服のセンスも凄く素敵。
さすが淫女先生。
「実は私、淫女先生の大ファンなんです!」
「え? あっ、ど、どうも」
淫女先生が震えながらぺこりと頭を下げる。
「さっきの姿も先生の本に出てた触手融合体が参考でして、それであの、もしよかったらサイン貰えませんか? お願いします!」
私は思いっきり頭を下げた。
「えぇと……」
先生は困惑気味に返事を濁している。
そりゃそうだよね。
いきなり襲われて、化物に姿を変えた女の子にファンだと言われても困るだけだよね。
私はそっと顔を上げると彼女の目を見る。
「うれしい…… 嘘みたい。 私の大好きな触手型クリーチャーが目の前に現れるなんて……」
チャンス!
これは淫女先生とお近づきになれる絶好の機会だ。
逃してなるものか。
私は体から触手を突き出して空中でウネウネさせながら彼女に笑顔を向ける。
「あ、あの触ってもいい?」
「どうぞ」
やったーーー!!!
私は触手で彼女の手を握ると、それをゆっくりと動かして先生の腕に絡ませる。
ヌルリとした感触に、彼女は顔を赤く染めて戸惑っていた。
「なんなら “あなたの愛する触棒 ~for you~” のように優しく弄ってあげましょうか?」
『弁えろ馬鹿』
うぅ~、ごめん。
私は触手を戻して、少し残念そうに彼女から離れた。
淫女先生は不思議そうに私を見ている。
そんな彼女を他所に、私は急いで鞄からノートとペンを探す。
気が変わらないうちにサインをもらわないと。
「あっ……」
当然ノートは愛液塗れ。
「少し時間ある? 私の家すぐ近くだし、もしよかったら」
「え!? いいんですか!?」
「助けてもらったんだと思うし、お礼させて」
ラッキー♪
思わぬ形で淫女先生のお家に行ける事になった。
でも……
「あの、私は見ての通り人間じゃないですけど良いんですか?」
「だったら尚更家に来て欲しいな。 こっちからお願いしたいくらい」
えへへ~。
人間辞めて良かったぁ~
[newpage]
先生の家は現場から10分ほどの場所にある5階建てマンションの最上階にあった。
とても良い場所に住んでいる。
「誰も入れたことがないから少し恥ずかしいな」
先生は照れながらそう言って私を部屋に招き入れてくれた。
「お邪魔します」
憧れの先生のプライベート空間に入れる喜びで私の子宮…… いや胸が高鳴る。
「うわ~」
目の前にはイメージ通りの、絵に描いたような漫画家の部屋が広がっていた。
私は感動しながら室内を見渡す。
凄い。
壁中に見覚えのある触手達の絵がある。
しかも、どの絵も見開きで使われたベストシーン。
汚しも不自然な光も入っていない入稿前の生原画。
凄い迫力。
部屋中に張られた絵に目が釘付けになる。
「はい、これ」
淫女先生が私に1冊の本を差し出してきた。
タイトルは触手淫装……
「触手淫装遊戯!」
しかも全店舗分の予約特典付き!
「さっき汚れちゃったでしょ、だから」
うぉ~! 嬉しい! 感激!!
私は受け取った “触手淫装遊戯” を胸に抱きしめる。
「あ、あの…… もし良ければサインを頂いても?」
「もちろん。 お名前は?」
「美保。 佐々木美保です!」
「美保ちゃんね」
淫女先生は本を持って机に向かい、サラサラとペンを走らせる。
(これは凄いことだよ!)
『そうなのか?』
淫女先生はその素性を明かしていない。
商業誌での連載は一切行っておらず同人誌一本。
しかも流通は委託販売のみ。
つまり、サイン会を含め顔出しは一切行っていないのだ。
ホームページもBLOGもやっていないしSNSすら存在しない。
それが私の為にこうして目の前で直筆サインをしてくれている。
これがどれほど凄い事か分かるかな?
私は今、歴史の証人になっているんだよ。
『……』
それにしても随分と長いな。
サインってこんなにかからないよね?
「はい、お待たせ」
そう言って先生が私にサインを書いたページを開いて本を手渡してくれた。
「これ……」
「自分で言うのも何だけど上手くかけたと思う。 どうかな?」
見開きの空ページに大きく触手型のクリーチャーのイラストが描かれている。
『ほぉこれは凄い。 お前そっくりじゃないか』
「これ私!?」
私は渡されたイラストを食い入るように眺める。
うそ、私ってこんなクリーチャーなの!?
改めてみるとかなりヤバい。
全身の触手から愛液を吹き散らし、首を長く伸ばして口に突き入れた肉棒を噛み千切っている姿。
躍動感が半端ない。
でも、さっき私はペニスを食いちぎってないよ?
膣圧で押しつぶしたりはしたけど。
でも、見ているだけで快楽を貪っている時の興奮が蘇ってくる。
子宮が疼き、触手が膣を締め付ける。
「んっ♪」
『おい、押さえろ!』
「え?」
ブシャー!!
私は思わず秘所から大量の触手を噴き出してしまった。
ヤバい! スカートの下から触手が!
「あっー! すみません!! 私人外なもので興奮するとつい!」
『そんなヤツ宇宙を知り尽くした私でもお前以外に見たことないぞ』
頭の中の声を無視して私は必死に謝るが、先生は気にしていない様子。
「気にしないで。 私も書いている途中でその…… ぬ、濡れちゃったし。 あはは」
淫女先生は恥ずかしそうにモジモジとしている。
エロい! そして可愛い!!
私の粗相に併せて恥ずかしい告白をしてくれた先生の優しさ。
なんて素敵な人なんだろう。
[newpage]
それから私は先生と色々な話をした。
9割は触手と淫魔の話だったけど……
この人、本当に触手が好きなんだということが伝わってきた。
商業のために触手本を書いているわけではない。
愛しているから書いているんだ。
だからこの人に私のことを知って欲しい。
だって私は先生の大好きな触手を持った体なんだし。
私は先生に全てを話した。
隕石によって地球に飛来した情報体のこと。
落下時の分裂で散った破片の影響で引き起こされた人間の凶暴化のこと。
そして、私が寄生され遺伝子改造された元人間であったことを……
そう、この星を守るため人を捨てて魔法少女ならぬ触手少女になって人類を守る決意をしたことを!
そのモデルが先生の触手デザインである事を!!
「そうなんだ。 私の書いたマンガのせいであの姿に……」
「はい。 私の中で最強の生命体は先生の触手生物だったみたいです」
先生は少し申し訳なさそうな表情を浮かべて続けた。
「……たとえば、それが別の存在とかだったらそれがベースになったの? たとえば、蟲とか」
あ~
「どうなの?」
『そうだな。 蟲とやらを元に遺伝子改造を行っただろうな』
「だそうです」
「そっか。 え!? 今の何? 頭の中に声が聞こえたけど……」
先生は周りをキョロキョロと見渡しながら不安そうな表情を浮かべる。
「あっ、紹介します。 今のは私に寄生して融合している情報生命体で……」
あれ?
君、名前なんて言うの?
『そんなものはない』
そういえば名前で呼んだことがなかった。
「良い機会だし、名前付けようか」
『必要ないだろうが。 お前としか会話はないし』
「いやいや、この場には淫女先生もいることだし。 個の識別は大事だよ? 宇宙で習わなかった?」
『ぐっ…… 好きにしろ』
う~ん……
「じゃあ、インキュバスで」
『いや、それは……』
「淫夢を見せて性交を行う悪魔の名前」
『知っている。 意味を聞いたわけではない』
「……ノクター って言うのはどう?」
『ノクター?』「ノクター?」
私と寄生体の声が重なる。
「うん。人に寄生する生命体として、次の作品で出す予定のキャラクターの名前なん───」
「それでいきましょう。 決定です」
先生の言葉を遮って私は言った。
『私の意見は聞かないのか?』
先生が付けてくれた名前だよ?
それを断る理由が無いじゃん。
バカなの?
『……何故だろう。 この感情、太陽系を破壊したい気分だ」
ここら辺の煽りがノクターの我慢の限界のようだ。
覚えておこう。
良いなぁ~
先生に名前をつけてもらえるなんて、ズルい。
私も……
「ねえノクター。 私の姿って変えること出来るんだよね?」
『戦闘形態であればある程度自由度はあるが、触手のベース素体からは変えられないぞ』
「お~ 戦闘形態って言葉の響き、なんか格好いいね」
『それは良かった……』
だったら……
「先生、厚かましいお願いがあるのですが!」
「なに? 命の恩人だから私に出来ることは何でもするけど」
私は先生に向かって頭を下げた。
「お願いします。 私の戦闘形態の姿をデザインしてください!」
「え?」『え?』
今度は先生とノクターの声が同時に重なる。
『正気か?』
私の姿を先生が考えてくれたら……
これ、ヤバいって。
先生が私のためだけに考えてくれた姿だよ?
その姿で私は男を襲い、絶頂を貪って喰らい尽くす。
そんなの24時間いつでも喜んでその姿で戦えるって。
『よし、私も協力しよう。 淫女よ、この女に最強のクリーチャーの姿を与えてやってくれ』
「私に今以上に最強のエクスタシーを得られる体をください!!」
「……」
淫女先生は少し考えた後、ニコリと微笑んで口を開いた。
「喜んで。 私のデザインしたクリーチャーが本当に存在する事になるなら、これほど嬉しいことはないわ」
よっしゃー!
言ってみるもんだぁー!!
[newpage]
先生はすぐに机へ向かうとタブレット上でペンを走らせた。
「まず、これが今の美保ちゃんの変身後の姿…… 戦闘形態ね」
モニター上に先生が描いたイラストが表示されると、私はそれ見て息を飲む。
3面図の私の体。
やっぱり凄い…… いろんな意味で。
「ちょっと思ったんだけど、触手が強すぎると思うの」
「でも力はあった方が……」
「あっ違うの。 触手のイメージが強すぎて体全体が触手になっちゃってるって事」
確かに。
「ぱっと見だと触手の怪物ですね。 というか、でかい触手」
「そう。 体に融合した触手はあくまで器官、それが本体になっちゃうとどうしても……」
先生は少し思案した後、私の姿に修正を入れ始めた。
「お~」『お~』
私とノクターが声を上げる。
人間のシルエットが随所に残っている。
しかし、細部は異形の構造。
さすが漫画家。
ぱっと姿を見ただけで、触手を操る人外だということが分かるデザイン。
『触手の数がだいぶ減ったな』
太い触手が背骨に沿うように6本生え、その先端はイソギンチャクのような構造になっている。
「さっきの戦闘を見て使っていた触手はこのくらいの数だったから。 実際相手を拘束する位だったし」
なるほど。
確かに多けりゃ良いってもんではないよね。
反省。
「あと、首が膣で口が膣口って言うのは凄く良いデザインだからそこは生かしたいの」
確かにあれは気に入っている。
変身中に顔面が吹き飛ぶとか人外の変身らしくてお気に入りだったし。
それにフェラしているみたいで気持ちよかった。
まぁ実際私にとってはあれが性交だから気持ち良いんだけど。
「それで、これが最後の捕食シーン」
凄い……
マンガの見開きだ。 効果線まで入ってるし。
私のお腹が、いや首から股までバックリと裂けて無数の触手が飛び出している。
エグッ!
「それで、こんな感じで人間を取り込むの」
次のシーンでは私の体から飛び出した触手が男を包み体に取り込んでいる。
もはや脱帽。
取り込んだ人間を、バキ! グチャ! って体内で潰している効果音も最高。
実際そんな音してるし。
私こんな事するんだ。 エグいね~
『脇腹にある穴は何だ?』
ノクターが指摘したのは私の腰の付近に付いた無数の穴のような器官。
そこから何かを盛大に噴き出している。
「人間を捕食した際に発生したガスを抜くための器官。 ここから勢いよく噴射して捕食完了ってイメージ」
はい再び脱帽。
先生は私も知らない体の構造を理解してデザインしてくれたんだ。
嬉しい。
『良い案だな。 だったら左右2つ、合計4個にしてくれ。 その方が勢いよくガスを噴き出せる』
「はい」
先生は笑顔で答え、更に細かな修正を加えていく。
その後も細かな指摘をノクターから受け、細部を詰めていった。
あまりにも専門的すぎる用語に、私はただボーとそれを聞き流していくしかなかった。
そして、最終的に決まった姿は……
うわ~
生々しい生物感。
人には存在しない器官が体中から生えまくっているし、肌の質感もヤバい。
こんな生物見たら失禁どころかショック死するって。
私は詳細に書かれた設定図を上から順に目で追っていく。
「ねぇ、胸の所にある筒は何?」
私の胸の下から筒状の突起物が何本か突き出し並んでいる。
『高粘度淫汁噴射器官だ』
何それ……
もう名前だけで普通じゃない。
『お前の愛液は粘度が高い。生成から時間が経つにつれ粘度が高くなっていくから、固着を防ぐために一定間隔で古い愛液を体外へ噴き出すために付けた』
エグい。
エグすぎるよ、私の体……
私って本当に元は人間なの?
でも……
うん、先生のデザインしてくれた私の新しい姿はやっぱり最高だ。
凄い。
それ以外表現のしようがない。
ノクターも気に入ったようだ。
「でも、私この姿にきちんと変身できるかな?」
『遺伝子変換と細胞の調整は私が行う。 お前はいつも通り変身を進めれば大丈夫だ」
そっか。
だったら安心して変身することが出来る。
早くこの姿に変身したいなぁ~
と思った瞬間。
「……」『……』
感じた。
「南南西2キロくらい?」
『ああ。 しかし……』
少し感じが違う。
何だろう、今までの情報体が寄生した人間とは少しだけ違う気がする。
『女だ。 しかも識別パターンが少し違う』
「ノクター以外の生命体って事?」
『いや、ベースは私の物だ』
よくわかんないけど、行けば分かるね。
「じゃ先生。 今日はありがとうございました。 ちょっと敵が現れたみたいなんで行ってきます」
私は先生に頭を下げると窓を開けて飛び出す準備をした。
「あの……」
淫女先生が申し訳なさそうにモジモジとしている。
どうしたんだろう?
「私も一緒に行っても良い?」
「え!?」『え!?』
私とノクターの以下略。
「でも危ないですよ?」
『命の保証は出来ないぞ』
同意見だ。
流石に危険すぎる。
「私のデザインした触手型クリーチャーになった美保ちゃんを見ながら死ねるなら本望よ」
「じゃあ一緒に行きましょう」
そんなこと言われたら一緒に行く以外の選択肢はない。
『正気か?』
「どんな強敵でも絶対に私が淫女先生を守る!」
私は触手で先生を包み込んで持ち上げると背中に背負って固定した。
やばい、超幸せ。
私の子宮が喜んでるぅ~
『念のために…… ちょっとチクリとするぞ』
ノクターは私の意思と関係なく先生の首筋に触手針を突き刺す。
先生はビクッと体を震わせた。
「ちょっと、先生に何したの!?」
『お前が変身後に放つ臭いに耐性をもつように少し変えただけだ。 生体上の書き換えはしていない』
確かに先生は両手で顔を塞ぎ何かに耐えている表情をしていた。
「……。 そうですか。 なんかすみません」
私ちょっと変身しちゃってるしね。
気持ちよくてちょっとだけ吹いちゃったしね。
軽くショックを受けつつも先生を抱えて私は窓から飛び出すと、敵の気配がする方角へと急いだ。
[newpage]
数分後、私達はある住宅の裏庭へと到着した。
ここって……
私はこの家を知っている。
『聡美の家だな』
そう、ここは私のクラスメイトで同じ剣道部に所属している笹木聡美の自宅だった。
「聡美に何かあったのかな?」
私は淫女先生から触手を離すと、優しく丁重に地面へ降ろした。
「お友達の家?」
「はい……」
「そう。 心配ね」
いや、別に。
とは流石に言えない。
家の中で聡美が死んでいても何とも思わないだろうが、取り敢えず驚いて悲しむ振りをする準備だけはしておこう。
『勝手に殺すな。 生きているぞ』
(あっそ)
んじゃ、玄関からお邪魔しようか。
私達は正面玄関に回りインターホンを押した。
ピンポーン~
チャイムを鳴らしても応答はない。
「入ろうか?」
私はドアノブを掴むと鍵のかかった扉を一気に引いてみた。
ガシャン!
「……」
私の手には引きちぎられた取っ手が握られている。
「す、凄い力ね」
「私も正直びっくりしました」
人間の姿の時でもこの力って…… 気をつけなきゃ。
『でも扉は開いたようだな』
そりゃ壊れたからね。
私達は家に入り聡美の部屋がある2階へと向かった。
上から臭いがする。
階段を上り終え、部屋の前に立つと中から苦しそうな喘ぐ声が聞こえてきた。
「先生は私の後ろにいてください。 出来るだけ離れて」
私は勢いよく部屋の扉を開ける。
真っ赤に染まった部屋。
立ちこめる生ものが腐ったような臭い。
そんな部屋の中でベットの上に一人の少女が布団を被り私達に背を向け震えている。
間違いない、聡美だ。
『情報体の反応は感じるが破片は入っていないようだ』
(どういう事?)
『公園で襲われたときに情報体の残留思念が入り込んだのだろう』
そっか。
そういえば聡美は襲われた時に中出しされてたし。
というか、子宮突き破ってたから腹出し? いや、お腹も突き破ってたよね。
せっかく修復してあげたのに。
(助かる?)
『無理だな。 精神が汚染されて変質してしまっている。 戻せん』
「そんな……」
後ろで淫女先生が寂しい声を漏らした。
私とノクターの会話は先生にも届くようにしてある。
「本当ですよね。 そんなの酷い。 私には耐えられない」
可哀相な聡美。 しくしく。
『……』
ま、仕方がないね。
聡美は痛みを感じる暇も与えることなく一瞬で殺してあげよう。
断腸の思いだ。
『だったらそのにやけた顔をやめろ』
おっと失礼。
[newpage]
私は聡美のベットに近づき布団を剝いだ。
直後、聡美がベットから飛び出し私に覆い被さってくる。
「ガァアア!!」
聡美の口から獣のような叫びが漏れる。
彼女の瞳は白濁し、口からは涎が噴き出している。
しかもその口は大きく開き、イソギンチャクのような触手がウネウネと這い出ていた。
「きしょ!」
私はおもいっきり聡美を足で蹴り飛ばす。
聡美は吹っ飛んで壁に激突すると、そのまま床に崩れ落ちた。
直撃ををまともに食らい彼女は蹲ってもがき苦しんでいる。
「なにあれ! 凄っごいきしょいんですけど! 見た? あの口きしょ!」
『お前が言う台詞じゃないだろ……』
聡美があんな化物みたいな顔に……
これは人間の姿のままじゃ倒せないよね。
私も変身するしかないか。
『いや、そのままでも十分倒せると思───』
「[[rb:触変 > しょくへん]]!!」
私は仕方なく変身を始めた。
今の合図いいね。
出来るだけ先生の書いてくれた姿をイメージして……
来た!
来た来た!
「ごぉぼ! ごぉぼぼぼ!」
首が伸び口から触手が噴き出す。
予定通り顔面を吹き飛ばして新たな生殖器を作り出す。
体もノクターが寸分の狂いなく調整しながら構造変換を行ってくれる。
凄い! 凄い! 凄い!
「あはっ♪」
ジュルンッ!
背中から触手が生え、ビチビチと音を立てながら激しく暴れまわる。
(最高に気持ぢ良い…… イぐっ!!)
「美保ちゃん! 上を向いて!!」
先生が叫んだ。
私は先生に言われた通り、長い首を伸ばし天上に向けて大きく膣口を開く。
プシャー!!
勢いよく膣口から愛液が噴き出した。
部屋中に私の噴き出した愛液がまるで噴水のように飛び散る。
「そのままゆっくりと首をもたげて」
私はゆっくりと首をもたげ、先生の方へ顔を向ける。
ドブッ ドロッ
膣口から粘度の高い愛液が糸を引きながらゆっくりと垂れ落ちていく。
(あっ、これ格好いい♪)
『なるほど、首を伸ばして粘度の低い愛液だけを最初に噴き出したのか』
淫女先生は期待通りの光景だったのか頬を染め、嬉しそうに笑みを浮かべている。
「どうですか先生、私の姿は」
「最高よ。 想像以上に格好いい……」
「あはっ♪」
先生は目を輝かせて私を見つめている。
喜んでくれて何よりだ。
変身冥利に尽きる。
「ガー!!」
私の変身を待っていたかのように聡美が吠えながら突っ込んできた。
私は彼女の両手を掴み、力比べのような体制となる。
「聡美…… うそでしょ!?」
思わず叫んでしまった。
「くっ…… 大切な友達なのに手をかけないといけないなんて、残酷すぎ───」
先生が辛そうに声を漏らすが……
「聡美、弱っ!」
「え?」
驚いた表情で先生が呟いた。
「どうしよう先生! 聡美が弱すぎて、たぶん瞬殺しちゃいます」
「……」
嘘でしょ。
いくら何でも弱すぎでしょ。
何、この押し返してくる弱っちい力。
ちょっと力を入れたらたぶん聡美の手が潰れちゃうんですけど。
引っ張ったら腕千切れるよ?
『いや、お前が強すぎるだけだ。 これでも通常の人間に換算すれば数倍の力はあるぞ』
え~
ここで私が全身から触手を突き出したら聡美は肉片になってバラバラになる。
なのに、突っ込んできたの?
戦闘センスが絶望的にないじゃん。
『普通の人間にはそんなセンスなどはない』
ちょっとショック。
まぁいいや、じゃサクッと殺しちゃおうか。
『親友じゃないのか?』
それは人間だった時の話。 私はもう人じゃないし、聡美が肉片になろうが別に何とも思わないよ♪
私は全身から触手を噴き出す体制を取る。
[newpage]
「だったら、最後は快楽の中で逝かせてあげたら?」
先生が私にそう提案した。
確かに、それ淫魔っぽくて好きかも。
「いいですね、それ。 さすが淫女先生、ナイスアイデアです♪」
私は少しの間考えた。
快楽の中で逝かせる……
相手は人間の雌だし、だったらこれしかないよね。
「聡美、たっぷりと私の触手で快楽を貪ってね♪」
私は1本の触手を聡美の膣へ突き刺した。
ミチミチ グチャ!
どんどん奥へと触手を挿入する。
『バカ! 相手は人間のサイズだぞ!』
「え?」
「グギャッ!」
聡美が短い悲鳴を上げると、口から私が突き刺した触手が飛び出した。
ビクビクと痙攣を起こした後、聡美は目を見開いたままグッタリとなって動かなくなる。
「……」
『あんな物を突き入れたら死ぬに決まっているだろうが」
「で、でも最期は一瞬でも快感を味わえたよね?」
『凄まじい激痛なら味わえただろうがな』
先生の方に首を向けると引き攣った笑顔で固まっている。
「次はちゃんと出来るように精進します」
「ないことを祈るわ。 あはは」
「それより後始末はどうしよう」
『取り敢えず喰え』
「え~ だって女は絶対に美味しくないって~」
『食わず嫌いだろ。 それにこの女が変貌した原因を取り込んで調べたい』
「しようがないな。 まぁ先生の考えてくれた捕食もやってみたいし」
グチャ ニチャニチャ
私の体が首から股まで裂けると沢山の触手が体内から現れ聡美の亡骸を包み込む。
「お~」
ゴキベキッ グチャ! ブチュ!
そして、触手に包まれた聡美が私の体の中に結構な音を上げながら取り込まれていった。
うん、全て食い尽くし消化されたようだ。
大トロみたいでこれはこれでありかも。
でも、私は赤身派だ。
プシュー!
腰の部分の器官からガスが噴き出す。
捕食完了のサイン。
あ~ これゲップか。
確かにこっちの方が格好いい。
さすが淫女先生、一つ一つの行動にまで考えられた人外のおぞましさが宿っている。
私は先生に視線を向けた。
先生は羨望のまなざしで私を見ている。
鼻を摘まんでいるけれど……
『人間を喰らった後のガスだからな。 嗅覚を変更したとはいえかなりキツいだろう』
だろうね。
私でも結構臭いを感じるし。
でもこの臭い、意外と好き。
しかし、こんな凄惨な光景の中でも精神が壊れることなく平然としている先生は凄い。
「先生はこんな状況でも平気なんですか?」
「マンガを書くときの参考資料として見ているからね。 グロ耐性はそれなりにあるつもりよ」
流石、先生は素晴らしい感性をお持ちで。
「本物のグロシーンを見られてとっても参考になったわ。 ありがとう」
いえいえこちらこそお粗末様です。
私は首を上に伸ばし膣口からお礼の愛液を噴き出す。
そして、先生の眼前でゆっくりと首を降ろした。
ドロッとした愛液が糸を引きながら垂れ落ちる。
「うん、格好いい。 涎じゃなくて愛液っていうのがもう最高よ」
先生は満面の笑みでそう言って微笑んでくれた。
そんなに喜んでくれるのでしたらもっと愛液を噴きましょうか?
この体であればいくらでも作れるので。
『これ以上体内で作ると吹き零れるぞ』
(何が?)
ドプッ! ブボッ!
胸の下に付いた高粘度淫汁噴射器官とやらから糊みたいな愛液が噴き出す。
え……?
ボト ポタッ
私は自分の愛液が体を伝って垂れて行く様を眺める。
(なんか……)
凄く恥ずかしいんですけど。
この液体、白く濁ってるし。
すっごくネバッとしてるし。
トプッ!
また出た。
「ねぇノクター。 この白濁とした粘液、凄く嫌らしいんだけど」
『お前の愛液だ。 嫌らしい汁である事に違いないだろうが』
「そうなんだけどさぁ、なんで私の体に噴きかかるの? 時間が経った古い愛液なんだし外に噴き出せば良いじゃん」
私はノクターに愚痴をこぼした。
「やっぱり触手と言えば、粘ついた粘液に塗れた体だと思って」
え? これ先生のアイデア!?
『体の粘つきを増すにはこれが一番効率的だったからな』
あ~ そういうことか。
納得。
確かに粘ついてナンボの世界だしね。
「オッケーです。 これで行きましょう」
トプッ!
また出た……
これ以上この体でいても快感を貪ることは出来ないし、名残惜しいけど人間に姿に戻ろう。
聡美が寄生体の男だったら少しは楽しめたのに……
私は人の姿へと戻る。
そして周りを見渡し頭を抱えた。
「ねぇ、どうしようこれ」
血まみれの室内に、中々に香ばしい臭いが充満している。
流石に今回は他人に後始末をさせるわけにはいかない。
「聡美の親が帰ってくるまで待つ?」
『いや、この女の両親はもういないぞ』
「どういう事? 聡美って一人暮らしだっけ?」
『この女に喰われたようだ』
お~
それはそれは随分と痛ましいお話で。
『ついでに、お前のクラスの北条佳奈も喰ってる』
そういえば佳奈はお見舞いに行くって言ってたな。
私があの時断らなければ……
しくしく。
ま、どうでも良いけど。
「家ごと証拠を隠滅するしかないんじゃないかな」
淫女先生がかなり規模の大きい提案をしてきた。
「家ごとってどうするんですか?」
「その…… 燃やすとか潰しちゃうとか」
なるほど。
確かにそれなら簡単に隠蔽できそうだ。
死体はないし、たぶん大丈夫だろう。
決まりだ。
「じゃあそれで。 ノクター、よろしく」
『……』
結局、ノクターが全焼は周りへの被害が大きくなると言いだし、聡美の部屋だけを証拠が残らない程度に焼く事になった。
[newpage]
その後、淫女先生に別れを告げ私は自宅へと戻ってきた。
シャワーを浴び体に付いた臭…… 汚れを綺麗に洗い流す。
そして部屋に戻ると、私はベッドに倒れ込み枕に顔を埋めた。
「あ~疲れた」
本当は疲れていないけど、癖みたいなもんだね。
お腹はいっぱい。
体も綺麗になった。
「さてと、準備万端!」
私は鞄を開き淫女先生から賜った “触手淫装遊戯” を手に取る。
表紙を開くと先生の直筆サインと私の姿のイラストが描かれている。
えへへ~
『前の姿だがな』
「次の新刊が出たら私の新しい姿を書いてもらお~」
そして淫女先生の新刊を読み始めた。
至福のひととき。
触手鎧を纏ってしまい融合してしまった主人公。
私には分かるよその気持ち。
最っ高に気持ちいいよね~
人を凌駕する力をその身に宿してしまった主人公の苦悩。
分かる!
人間が弱すぎて絶望するよね!
私もそうだったから! 共感できるよ!
触手の力が暴走し、無差別に人を傷つけてしまう主人公。
あっ、それは経験したことないな。
私もまだまだ経験が足りないという事か……
でもいずれ、そういうシチュエーションに出くわしてみたい。
私も暴走してみたい。
『したいのか?』
(うん)
私は素直に頷いた。
だってさ、私の暴走を誰も止められないんだよ?
自我を失った私は狂ったように人を襲って蹂躙するの。
そして、地獄絵図のような光景の中で私は咆哮を上げる。
それこそが人外のあるべき姿だと思う。
『そうか……』
何よ、その汚物を見た後のような反応。
『いや、そういう訳ではないのだが…… お前も変わったな』
「そう?」
『ある程度予想していたとはいえ、まさかここまで急激に変わるとは思っていなかった』
「ま、私はもう遺伝子レベルで人間じゃないしね。 血も通ってなければ心臓すらない。 仕方ないよ」
そう。
私には地球上の生命体が持つような、器官や臓器はすでに体内には存在しない。
体の中は触手で埋め尽くされ、人のように見える皮膚や目、髪も人間の物とは異なる組織で作られている。
頭の中には脳すらない。
記憶や思考は体を構成する細胞一つ一つの繋がりで形成されているネットワークで処理されているからだ。
つまり頭を吹き飛ばされても問題ない。
肉体の欠損は空気中の素粒子からエネルギーを使って補えばすぐに復元できる。
よって死ぬことはない。
いや、死ねない体になってしまったのだ。
こんな肉体を維持するには心も人外になるしかない。
でないと、私は一瞬で気が狂ってしまうだろう。
だから私は変わるしかない。
体が進化すれば心もそれに合わせて進化を進める。
進化を繰り返していけば私はいずれ……
『どれだけ進化しようが、どのような状況下であってもお前が暴走することはない』
「どうして?」
『私が制御不能になることなどあり得ないからだ』
ノクターはそう言い切った。
自信たっぷりに。
「ですよね~ ちょっと残念」
私は暴走計画を打ち切り現実に意識を戻し、“触手淫装遊戯” を机の上に置いた。
「北西に3キロかな?」
『だな』
両目が紫色に染まって光を放ち大きく盛り上がる。
体の中で触手が暴れ回り表皮が波打つ。
私は窓を開けて体から触手を出すと勢いよく飛び出した。
「今度はちゃんと最後まで楽しもうね。 あはっ♪」
どんな獲物に会えるのだろうか。
私はワクワクしながら空を駆ける。
上空からウヨウヨと動く人間達を眺めながら。
人間って邪魔だな。
弱くて脆いくせに、私の方がコソコソしなきゃいけないなんて。
面倒くさい。
『見えたぞ。 あの森の中だ』
「おっけ~ 私も捕捉した」
私は暗闇の中、森の奥へと消えていった。
快楽と食欲を貪るために。
ノクターを完全体へと戻すために。
触手と化した私の体は、今日も進化を続けながら夜を彷徨う。
つづく?